2010年3月

辛夷(コブシ)



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早秋の山懐で花をつけた辛夷に出会えることがあります。そこは山間の中流域の河原などで、時おりの優しい風を受け、何ともいえない揺れ方をします。まるで山に向かって手を振る女性のようにも見えます。


花泥棒


 
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詠題の「泥棒」でこんな歌ができました。考えてもなかなかイメージは膨らまず、しばらく悩みました。「花泥棒」に決めて、大人と子供の世界に花を結びつけてみました。歌会では4〜5行目は1〜2行に置いていたのですが、しっくりいかず入れ替えてみました。

白い朝

雪国育ちの人間は、不思議なセンサーをひとつ持っています。それは家の中でも、外の雪を何となく感じる能力です。上京して二三年経った頃でしょうか。朝早く妙な静けさで目が覚めました。そしてすぐに感じました。雨戸の向こうは、きっと雪だ。そんな経験を詠んでみました。


photo by torus8