散歩哲学


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散歩哲学という書のなかに「よく歩く者はよく考える。よく考える者は自由だ。自由は知性の権利だ」。そんな一文があった。

散歩は、自然や町の埋め込まれた意味やイメージを発掘する読書。読書もまたコトバの森に踏み込み、刺激を受けるという意味では散歩に繋がるともあった。

すぐに使える情報ばかりを求めず、寄り道をして無駄な知識をため込んでみる。スマホを忘れて散歩というリハビリテーションで自由を取り戻そうとあった。

なるほど、スマホから離れてみるのは、自由なのか、不自由なのか、半日でも試してみるか。

べらぼう


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このポスターをよく覚えている


前回の蔦屋重三郎展からすでに15年。NHKの大河ドラマ「べらぼう」で、蔦重こと蔦屋重三郎の人気にさらに火がついた。今週末で終わる蔦重展に滑り込んだが、準備した二時間では全てをゆっくり鑑賞するには足りなかった。

音声ガイドの横浜流星の美声とBGMに酔いしれながら進んでいくと、展示物の一つひとつがドラマと重なり、吉原へタイムスリップしていくような甘美な気分になった。

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江戸時代の傑出した出版業者である蔦重は、その商才を活かして、コンテンツ・ビジネスを際限なく革新し続けた。狂歌の隆盛に合わせて、狂歌師や戯作者とも親交を深め、武家や富裕な町人、役者、戯作者、絵師らのネットワークを広げていく。

人たらしで、商才にすぐれ、ユーザーの視点をつねに意識して、楽しいものを追い求めた才能に拍手喝采!

この時代の空気を、なにか身近に感じ取れたのは、若い頃、仕事仲間たちとワクワクしながら過ごした日々と重なったからだろうか。

おいしい


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宮沢賢治を偲びながら食べたはずだが・・・


先日、京都「菊乃井」のご主人、村田さんが昨今「おいしい」を言い過ぎるのではないかと苦言を呈していた。それはテレビ番組でレポーター達が「おいしい」「うまい」「やばい」を連発するために、いくつかの料理店が混んで、なかなか入れないからだという。

沢山の経験がないと、味わいのある感想を云うのは難しい。けれど表現はその人を語ってしまうのだから、感想を聞かれると言葉に詰まることが多い。

そういえば「おいしい」だけでなく、「かわいい」「たのしい」。この二つもよく聞く。子どもまで「たのしかった〜」ばかり。たしかにそうなのだろうが・・・。