2020年4月

日常とは?


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渋谷のハチ公にもマスクがついたという

緊張感のあった非日常の日々が、いつのまにか日常と化してきた。我が家では自粛を守り、日に一度のダイアモンドゲームと韓流ドラマ(愛の不時着)を毎日一話ずつ観るのが常となった。初めは馬鹿にしていた韓流ドラマの「愛の不時着」。なんともクサいタイトルに苦笑いしながら見始めると、これがハマった。

こんな事態でも起きなければ、たぶん観ることもなかっただろう。ストーリーがよく出来ていて、主役の二人が個性的なキャラクターを上手く演じている。コロナは時間を止めて、発見や気づきをつくってくれるのだから、大いに楽しんでやろうと腹をくくっている。


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夕日に祈りを捧げていると思ったらカメラを持っていた

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レッドロビンにも花がついた

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葉の中に青梅を見っけ〜

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草むらを覗くとコバンソウ

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そして郷愁を誘う・・・


発見


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神田川沿いのお洒落な家


テレワークの日々、仕事はほぼ午前中に終わるので、午後は地図を見ながら近くを散策している。気の向くままに路地に入ったり、お店を眺めたり、公園で本を読んだりして、日が傾いてきたら買い物をして帰宅。

一つ発見をした。小さなお豆腐屋さんを始め、手を動かしてモノを作っている人たちには、なんともいえない親しみを感じるということ。たとえば煎餅、石焼き芋、コロッケなどを渡されるときの、オジさんオバさんの笑顔。手から手へモノが渡るとき、笑顔ももらっている。

豆腐が好きなこともあるのだが、アチコチの小さな豆腐屋さんをつい覗いてしまうのは、手仕事をしている職人さんたちの声を聞きたい、笑顔に出会いたいからなのだと思う。


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空き地がお花畑に


箱根山(標高44.6m)


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「ようこそ」と言われると嬉しいものだ


こんな山が我が家から徒歩30分ほどの地にあったとは、知らなかった~。箱根山は東京都心では最も高い山で標高44.6m。一帯は江戸時代、尾張藩徳川家の下屋敷があり広大な敷地を誇っていた。箱根山の由来は、庭園内に小田原の宿場町の街並があったと登山口の掲示板にある。
ところが明治維新後になると、土地の所有が政府に移り、陸軍戸山学校が設けられ軍事面での拠点となり、景観は劇的に変った。

森の公園に入って行くと「箱根山登山口」の大げさな看板が迎えてくれた。30年も近くにいて、こんな良い山があったとはねえ・・・。勿体ないからゆっくりと登る。五合目?辺りにはベンチがあった。慌てることはない。ベンチで一休みする。マスクを取れば、緑を抜けてきた風が美味い。

低くたって独立峰。山頂に着くと360度、桜の木が植えられ、樹々の間から新宿の副都心ビル郡が見える。満開時は、見事な桜だっただろう。江戸の頃は、彼方に富士山や筑波山、丹沢や奥多摩の山々まで見えたに違いない。


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長いスロープを上げっていく

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長いスロープにはベンチがいくつか

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戸山公園は日比谷公園より広い敷地をもつ

Where we go?


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コロナウィルスのパンデミックにより経済活動が停滞し、温室効果ガスの排出量が減っているそうだ。世界の国が協力しあってCO2を削減するなんて、夢のような話だと思っていたら、ひょうたんから駒ならぬ、CO2削減が飛びだした。

史上最強の敵コロナウィルスに、否応なく世界経済の減速を迫られ、気がついたら環境問題を改善していたとは、笑ってしまう。この力学的なできごとを理解しようとすると、自然や神の存在をベースにしたSF小説を重ねてしまう。

読み終えた池澤夏樹「きみのためのバラ」の中の短編「レンタション」という作品に似ている。地球上から警察や軍隊が消えるというストーリーなのだが、今回のこれと重ねている。

今、私たちは歴史的な出来事の真っただ中を歩いている。なにを学び、どんな方向へ向おうとしているのか。未来人は、私たちの選択を興味深く見守っているに違いない。



テレワーク


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フルムーンの二日前


在宅の人となって、テレワーク!?で仕事をしている。娘もテレワークということで、三食が一緒になった。ネットの活用がじつに上手く、詳しい。一つ教えてもらったのが「coromap(コロマップ)」。コロナウィルス感染者の位置情報を伝えるサイトで、開くと日本地図に感染した場所、感染日が記されている。こんな、サイト知らなかった・・・。

そして夜になると「オンライン飲み会」。友人らとスカイプを使って、パソコンの前に酒と肴を出し会話をしながら楽しんでいる。ふ〜ん、時代はこう変わってゆくのか・・・。

夜は、おやじの提案でゲームをすることになった。納戸から出てきたのは、昔遊んでいた人生ゲーム、オセロ、ダイアモンドゲーム、ビンゴ、バックギャモンなどなど。寝る前のひととき、己を曝けだして熱中する。娘が意外に負けず嫌いであることが分かった。

仕事も出費も少なくなって、身軽な毎日。新しいスニーカーで走り始めようと思っている。


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いよいよ


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週末のわらび採りは来年までお預けにして(グッと我慢)都内を歩くだけにした。西新宿を抜け、御苑の横を通って、神宮の森辺りを目指す。この数週間、桜ばかりに目が行っていたが、樹々の芽吹きは始まっている。

都庁に着くと、大ケヤキの新緑が気持ちよくそよいでいた。視線を上げると、第一庁舎のワンフロアーに灯りが入っている。コロナ対策で担当職員は休日出勤なのだろうか。


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苑内の花々だけが賑やかな新宿御苑正門前


都庁前、新宿駅南口、新宿御苑正門、どこも人が消えたかのように静かだ。いいねえ、と言っては不謹慎だが、こんな大東京の散歩は生涯もう出来ないかもしれない。
新国立競技場に着くと、小雨が降ってきた。小さなカフェで雨宿り。いよいよ決断の時か。


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残念だね、来年だって、分からない・・・

家出人と宿主


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瀬を早み・・・われても末にあはむとぞ思ふ


今朝の福岡伸一さんのコラムを読んで心がときめいた。この歳になってときめくなんてことは、そうあるものではない。まずこの歌を読んでほしい。

我慢ではなく
辛抱かもしれない
撲滅ではなく
共生
共存なのかもしれない

ある歌会の題詠「辛抱」で詠んだ歌だ。
コメントを求められれば、人生観や自然観について語ることになるけど、どう話していけば良いだろうと思っていた。最初の二行についてはこうだ。

人間の英知は、私たちに快適で心地の良い暮らしを提供した。しかし今度のコロナウィルスの試練は、人間が私たちの社会が、いかに脆弱であるかを突きつけた。

楽観や期待を込めた我慢だけでやり過ごせない。先を見据えた辛抱する覚悟が必要なのではないか。それにしてもウィルスが人間を脅かすというのは、何か意味があるのではないか、だった。

喩えば・・・驕ることなかれ、人類

人は自然を克服することはできない。この地球という大きな生命体の中において、ウィルスもまた存在する意味や価値があるのではないか。そんなことをぼんやり考えてこの歌を詠んだ。

福岡さんはこう解いていた。
いくつかを紹介すると

・ウィルスは高等生物の遺伝子の一部が外部に飛び出したもの、ウィルスはもともと私たちのものだった(ひっくり返るくらい驚いた)。
・家出人を宿主は優しく迎え入れている(ここは面白く、納得できた)。
・おそらくウィルスこそ進化を加速してくれる。
・宿主に気づかれることなく行き来を繰り返し・・・

コロナウィルスも彼が唱える動的平衡の理論に組み込まれてゆく。痛快で分かりやすく様々な疑問がストーンと落ちていった。結びはこうだ。

かくしてウィルスは私たち生命の不可避的な一部分であるがゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。私たちはこれまでも、これからもウィルスを受け入れ、共に動的平衡を生きていくしかない。

歩いて、感じて、言葉にしていく。こんな楽しいことが人生の一つなのではないか。今日は偉そうにそう言えるような気がしている。


たらの芽


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フェンスの向うに見えたわずかな葉の形状を見逃さなかった。紛れもなくたらの芽である。誰がこんな場所に植えたのか。ツツジを分け入ってフェンスから顔を出すと、背丈を伸ばしたたらの芽が目の前に現れた。
手を伸ばしたが、ちょっと育ち過ぎ。今年は諦めようと、グッと我慢した。来年ね、しっかり場所を確認  (^^)V

こんなところでたらの芽が・・・よし、週末、そっと山に入ろう。


なぞかけ


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飼主も急かさない、いい関係


転職したばかりの娘がテレワークとなり終日家にいる。午前中のやり取りが終わったら、これといった仕事も無いらしく、暇を持て余している。よって朝晩、顔を合わせての食事が増える。週末の夕食時に、ひょんなことからなぞかけをしようとなった。
突然、娘がコロナとかけまして・・・と言いながらこちらを見た。しばしの沈黙・・・。

できました。コロナとかけまして・・・

テレワークとなった君と解きます。

娘:そのこころは〜

シボーが増えています。

上手い!と娘は大笑いして、受けてくれた。

家人:ちょっと不謹慎かも。

昔、独立したばかりの事務所で、シェアした仲間と毎晩、なぞかけや格言パロディをしながら呑んでいたことを思いだした。仕事が少ない頃で、落語好きの仲間らが酒と肴を持ってきて、遅くまで大いに笑って遊んだ。ここで笑いのツボを鍛えられたのかもしれない。

最強の敵を笑いで吹き飛ばしたいものだが、ウィルスはなかなかしぶとい。

では最後に、コロナへの対応とかけまして

SMの女王と解きます

そのこころは

たえしのぶ さん。