歩キ眼デス3

環境ポスター展


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芸術の秋、というわけで、展覧会のお知らせです。今年も環境ポスター展にポスター1点を出品しました。「地球はともだち」をテーマに毎年秋に開催しています。
是非ご覧ください。


10名のデザイナー、イラストレーターによるカレンダー展もご覧いただけます。


カレンダーの売上の一部は、東北3県に寄贈いたします。

等々力渓谷


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ORHACのメンバーと等々力渓谷を歩く。ほんのわずかな渓谷のコースだが、ここが都内?と思ってしまうほどの静けさ。途中には、滝や日本庭園、不動尊、展望台、茶店などがあって小さな秋が楽しめた。

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立ち寄った日本庭園に竹林があった。まっすぐに延びる竹に、光が射してさらに青く美しい。水上勉が、エッセイのなかで「竹には音を吸収する力がある」ということを書いていた。なんでも竹の空洞が音を吸い込むのだと。だからか、賢人の庭やお寺などに竹林があるのは。

渓谷が抜けた先には多摩川が待っていた。堰堤を歩いていくと二子玉川駅。ハワイのショッピングセンターを思わせる駅南口辺りを散策する人たちは、若い世代ばかり。
高齢者がいない。。いるのは我々だけか?


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ベビーカーと愛犬と若いカップル。ここは、時代と逆行している街なのだ。

トレラン


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正しくはトレイルランニング。さまざまな未舗装路を走ることで、ハイキングコースや登山道を利用する今人気のスポーツだ。

ということで、山登りを楽しんでいると上から、下から「すいませーん」とやって来るので、つい道を開けることになる。

昔は「お〜頑張ってるね〜」などと声をかけていたが、最近は「特急が来ます」と云って、道を譲る。週末になると、頻繁に現れてくるので、落ち着かない。

人のいない丘陵を走ると、さぞ気持ちがいいだろうと思うのだが、高尾山のような山道で走られると、登山者が多いので接触、事故もありえる。どうしたものか・・・。

「いつか膝が痛むぞ〜」と言ってあげたいが、彼らは笑顔で「ありがとうございます〜」と駆けてゆく。

トウガラシ


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山を下りてくると不思議な果樹?を見つけた。遠くから見るとホオズキにそっくり。畑のなかに男性がいたので「これ、ホオズキですか?」と尋ねると

「世界一辛い、トウガラシです。触っても危険です」。辛いものがチョー苦手なので、思わず身構える。こんなトウガラシ、誰が口にするのだろう。

調べてみると「キャロライナ・リーバー」という種類。辛さ世界一で、あのハバネロでさえ世界10位というのだから、辛いもの好きな人が、もし口にするとどんな声を上げるのか。

ちなみにゴーグルなしで取り扱うと、失明するとも。柵が無かったので、もし子供が入ってきたら大変なことになるのではと心配になった。

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男性がゴーグルをしていたかは、覚えていない

夕焼け


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友人から送られてきたある日の夕焼けの写真。空いっぱいの夕焼けに、富士山とスカイツリーがピタリと収まっている。新しい家の眺望自慢、素直に羨ましい。

高層マンションが次々に建ちはじめ、空の景色を独占して、富士山も雄大な広い空もマンションの資産価値に組み込まれている。億ションはすぐに完売するという。

下駄を履いて眺めていた頃の夕焼けが懐かしい。あの日の茜色は、誰もの顔を染めていた。

ツルリンドウ


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「これはツルリンドウですね」。城山に続く山道で、写真を撮っていたら、年輩の女性が声をかけてきた。花を持ち上げてみると、スルスルと長い茎が伸びてきた。そうか、ツルリンドウだったのか。立冬が過ぎてもリンドウの花が楽しめるんだ。


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アザミが終わると蝶もいなくなって、山は寂しくなる。覚えられないキク科の小さな花がいくつか、秋の陽をうけていた。

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紅葉


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都心の紅葉も色付きはじめ、それなりに美しい。

上京した年の秋、紅葉がきれいですねと、誰かに言われて、驚いた。この色で紅葉と云うのか?錆び色、薄茶色の木々を仰ぎながら、違うだろうと思った。燃えるような北海道の紅葉の比較にもならない。

歓喜するような色こそが紅葉だと思っていたから、東京の秋をどう受け止めていいのやら。春からいくつも寂しい事が重なっていたので、くすんだ木々の色は、気持ちを重くさせた。

その後、東京で歳を重ねて、鈍色の木々の美しさもそれなりに分かるようになった。そして似たような色合いのフランネルのシャツを好んで着ていることにも気がついた。

久保敬親さん


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写真:久保敬親氏


午前中に中標津の写真家、久保敬親さんの奥様より電話が入った。「NHKのウェブに記事が載りました。そして明日、先日受けた取材が、道内のNHKで放映されるようです」。

動物写真家の久保さんとは、事務所が近いという事で交流が始まったのは、30年も前。鳥の写真をお借りしたり、新潟のお酒をいただいたりと、ラフなお付き合いをしていた。

小さな頃から、虫や鳥、動物、自然が好きなこともあって、久保さんの撮る動物たちと背景の自然に心を奪われた。この写真家の待つという時間は、どれほどなのだろう。
一匹のキタキツネの写真を見ながら思った。

思えば、星野道夫の写真の前でも、同じ事を考えていた。ずいぶん経ってから、二人が友人同士である事を知る。久保さんが「いつか星野くんを紹介しますよ」と言った。お二人への親しみがさらに募った。

三年前、久保さんが突然、肺がんで他界された。熊のような人も死んでしまうのか。
微力ながら、久保さんの写真を多くの人に伝えていければと思っている。

久保さん仕事が「ほっとニュースweb」で紹介されています。


巨樹


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先月の道東の旅で、原生林を歩いていると巨樹に出会った。樹類500年を超えるというミズナラだ。100年前の開拓時代には、多くの木が伐採されていく中、枝を四方に伸ばしていたために、利用価値が低いとみなされ、切られずに残ったとプレートにあった。

幹から伸びる二つの太い枝は、まるで伐採を拒むかのような両手にも見えて、迫力がある。

日々、移り変わりの烈しい時代を生きていると、500年もの間、じっと森の静寂の中で生きてきたこの樹と出会えたことに、感謝と深い敬意を覚えた。

眺めていると、あることを思った。素直にすくすくへ伸びていくよりも、アンテナをいくつも張って、広い世界をゆっくり見つめながら成長していく、そんな生き方もあったのではないかと。

*アイヌの人たちは、三又の樹には、神様が宿るとして崇めていたようです。

ビーバームーン


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今日は、月カレンダー15.0の満月。名前も付いていて「ビーバームーン」。アメリカ先住民の言葉で、ビーバーの冬ごもりの季節、毛皮にするための狩猟の時期ということで、そう呼ばれている。

そして皆既月食も重なる。夕方から月に地球の影が映り、赤くなっていく。空に浮かぶ赤い月を眺めながら帰ろう。

秋空


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ようやく空が高くなった。気持ちが晴々とする。この空のはるか向こうに、戦争があるのだろうか。ミサイルもドローンもこの空を飛んではいけない。そう願う。


染みる夜汽車〜♬

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信州の友人カメラマン、嵐太さんの季節がやって来ました。
この染みる夜汽車、☟ここをポチして、100番に一票を入れてください。

https://www.nhk.or.jp/nagano/torushin-cal/select-vote.html

きっと素敵なカレンダーが届くはずです。

三ノ輪商店街



久しぶりに都電に乗って、早稲田から終点三ノ輪橋の一つ手前駅で下車し、三ノ輪商店街の入口に立った。

写真は、文化の日、午後2時半の三ノ輪商店街である。記憶の街とはまるで違う。かつての面影はどこへやら。

お店からは食べ物の匂い、焼き鳥を食べながら歩く人、外で食事をしている人、買い物袋を抱えて歩いている人で一杯だった。それが、今ははるか向うの三ノ輪橋の出口まで見える。

シャッター通りと一言で片付けるには、あまりにも哀しい。ここにはいつも人の温もりがあった。笑い声がアチコチから聞こえるいかにも下町らしい空気に包まれていた。

ポツンと開いているお店の人たちが寂しく見える。開いている店に立ち寄り、ミカン、焼鳥、パンを買った。小さなミカンは甘く、ハツと砂肝はビールに合い、数十年ぶりに口にしたジャムパンは、懐かしい味がした。


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住んでいる街がどんどん変わっていく。人手に渡った大きな敷地は、マンションになるか、切られた羊羹のように、数件の家に生まれ変わる。商店街が消え、庭も消えて、直線の街になり、人間だけが、古くなっていく。

深大寺


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深大寺の参道にはお茶屋さん、蕎麦屋さんが並ぶ。ブームに乗る店がある。ゲタを乗せる。ぺんぺん草を乗せる。看板を傾けてみる。
商売繁盛の発想が素晴らしい。


パンパスグラス


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秋空を見よ!とばかりに、パンパスグラスの帆が高々と伸びている。気持ちのいい秋の新風景だ。風に揺れる真珠色の穂は、大空に向って手を振っているかのようだ。

コクワ


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標津遺跡群の管理事務所の方から、「そこのコクワ、取って食べていいよ」と言われた。敷地の隅にある藤棚のような蔓植物に小さな実が付いていた。なんか懐かしい。内地ではサルナシという。手を伸ばしていくつかを口にすると、キウイフルーツに似た甘い味がした。

猿が我を忘れて食べるので、サルナシ。山ではほとんど見ることも少ない。しっかり、貴重な味を記憶した。


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子供の頃、故郷の藻岩山でも食べた記憶が・・・

標津遺跡群


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熊鈴効果か、現れなかった

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時々、熊除けの鐘も鳴らす


道東は、野生動物の宝庫だ。到着してすぐに道路端でキタキツネを見た。そして、エゾリス、シマリス、オオハクチョウ、雄のエゾシカ、トビ、タンチョウとひと回りしただけで、こんなに多くの動物たちと会えた。

ヒグマには、会えなかったが、熊はどこかからこちらを伺っていたかもしれない。海の町、標津には、一万年に渡って人々が暮らし続けた日本最大の竪穴式住居「標津遺跡群」があった。広大な原野には4,400の竪穴住居群があり、いまにも古代人が現れるような雰囲気がある。


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長い木道が続いていた

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この川にも鮭が上がったのだろうか

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こんな竪穴式住居に暮らしていた

いくつもの川では鮭を狩猟し、縄文文化、アイヌ文化と変遷したいったとあった。そんな歴史を感じながら、長い木道を風に吹かれて歩くというのは、いい気分だった。


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ヒグマは頭もデカイ

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最後に現れたのは、糞虫のオオセンチコガネ


シマリス


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小中のクラス会二つ楽しんでから、動物写真家の久保さんの事務所(中標津)へ飛んだ。中標津は知床半島の付け根に位置し、大規模の農業、酪農の盛んな町。緩やかな丘陵が続き、北海道らしい風景が広がっている。

カレンダーのための写真選びを終えた翌日、早起きして、野生動物に会えるかもしれないと近くの公園に出かけた。園内に入ると、アマチュアカメラマンがすでに何かを写していて、よく見るとエゾリスが大きな岩の上を跳ね回っている。その動きの速いこと。素人には簡単には撮れないトリッキーな動きだ。

これは無理と分かって、人の少ない林に移動。しばらくすると、昨年に知り合ったKさんがやって来て、「すぐそこにシマリスがいます」と云う。指差す先を見ると、木の穴から小さなシマリスが顔を出していた。


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「これ、コッコですね。今年生まれた一匹です」。「まだ警戒心がないんだわ」。

あまりの可愛さに、しばらく眺めていた。Kさんのシャッターが聞こえてきたので、ゆっくり撮り始めた。顔洗い、欠伸、ウトウト・・・もう、可愛くて、笑みがでる。尾を入れない体長は15センチくらい。手の平に乗るかもしれない。


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気がついたら100カット以上撮っていた。ありがとうね。カラスに気を付けろよ。今年一番の「可愛い」を体験して、素晴らしい一日になりそうだよ。

故郷


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雪虫も出迎えてくれた


先週は、一週間北海道でした。小学校と中学校のクラス会では、懐かしい友らと旧交を温め、そしていつもの二人とマドンナを誘っての三次会では、熱燗とおでんで体を暖めました。

実家は無くなりましたが、友らが迎えてくれる故郷が、まだあるというのは幸せなことです。会っている時は、時間が戻って誰もが少年少女になり笑っている。あの日々は、なんだったのだろうと、帰ってきてからまた懐かしんでいる。

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「昨日熊が出ました」の表示があった藻岩山の登山口

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昔は石階段。中学時代、スキー部の連中は、ほぼ直下降で下りた


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拡大して、初めて知った「雪虫」の正体


一本杉


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高尾山のある痩せ尾根を登っていくと、杉の山並を覗きこむように、見事な曲線を描いている一本の杉、この姿でもうかれこれ10年?、倒れずに頑張っている。

枝の先を見ると、わずかな葉を付けているから、生きているのだ。
ここに来るたびに、東日本大震災で荒波に耐えて残った「奇跡の一本松」を重ねる。

この杉も台風によって大きく曲がってしまったのだろう。ところが、すでに折れてしまった杉に寄りかかり、なんとか踏ん張っている。

また来るから、頑張れよ〜。

浅草界隈


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10日は、定例の吟行歌会だった。案内をお願いしているYさんと共に歌友六人、江戸の風情が残る浅草界隈を歩いた。

浅草は、江戸の頃よりもっとも賑やかな遊興地だった。一言でいえば、聖と俗がひしめき合う巨大なワンダーランド。神社やお寺があるかと思えば、芝居小屋、遊郭などもあって、男は吉原へ、女は猿若町の歌舞伎見物へ、というのが浅草の楽しみ方の一つだった。


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車屋のお兄さんとお客さま


今回、面白かったのは、浅草寺の子院の待乳山聖天(まつちやましょうでん)。ここは健康を祈願する場合、社務所で大根を買って奉納するという習わしがある。奉納された大根はふたたび境内の横に積まれ、心付けを納めれば持ち帰ることができる。


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皆さんどのくらいの心付けだったのかな?

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女性陣は、心付けを収めてご利益のある大根をいただいていた。人とモノと金が、上手く回っている浅草の姿はいまも変わらない。

「日に三箱 鼻の上下 ヘソの下」という諺をYさんが教えてくれた。かつて浅草界隈では、日に千両箱が三つ動いた。「鼻の上は、目で楽しむ歌舞伎などで、鼻の下は、口、つまり魚河岸で、そしてヘソの下は・・・私にはよく分かりません」とYさんは含み笑い。

こんな話にニヤニヤしながら、秋の半日、吟行歌会を楽しんだ。

お供物の
お下がり大根
一本買って分けようか
ご利益も
等分に       Uさん(一席)

森吉山(1454m)


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東北の地図を眺めては、いつか行こうと決めていた森吉山。山岳会の友人がこの山には何回も登っていて、いいよ〜と強く推していた。

そしてこの日が来た。やっと会える〜。ただ天気予報が午後から雨とあったので、ロープウェイで一気に上がることにした。

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彼方に日本海と男鹿半島

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王冠の形をした秋田駒ヶ岳

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山頂駅から20分ほど登って、展望台に到着。なんと日本海、そして男鹿半島が見える。そして遠くには秋田駒ヶ岳。こんな一瞬がたまらない。地球の上に立っている実感が沸く。


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雲で見えないが、北に八甲田山、南には鳥海山、月山、蔵王まで遠くに見えるはずだ。木道をしばらく歩くと小さなピーク「石森」に到着。ここから森吉山のたおやかな山容が見えた。こんもりと左右対称、美しい山だ。さて、向おうかと思ったときに、雨が降りだした。

山頂を目指そうと思ったが、雨は強くなりそうだ。花の季節にもう一度訪れようと決め、下山した。


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地を這う茎から伸びていた不思議な植物

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寒さのなか、竜胆は蕾のままで終えるのか

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冷えた体はいで湯で・・・

八幡平(1614m)


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久しぶりの八幡平(岩手県)の駐車場に着くと、気温は氷点下だった。冬の装備をしていたが、立っているだけで体温が奪われていくのが分かる。
辺りの木々は霧氷をまとっている。雲は低く垂れ下がり、今にも雪が降りそうな空。冬が触手を伸ばしている。


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前回はピークハントで、登山口から真っすぐ山頂に向かい、360度の景色を見て、すぐに下山した。これが100名山名なのか?という印象を抱いた。

今回は余裕をもって八幡沼、がま沼を回って山頂に向かうコースを選んだ。草紅葉のなかに沼がいくつか点在し、長い木道を辿って行くと、尾瀬の秋を思わせる景色が広がっていた。南には10年前の夏に登った岩手山が見える。体力もまだあって、グイグイ登っていった頃だ。


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八幡平、その名の通り、じつに懐の広い山であることが分かった。山頂だけでを目指すのではなく、遠く近くの有り様を眺め、山を一つの命として受け止めなければと思う。

雪の重さに耐える幹、風雪になす術なく身をさらす枝、北の木々はみんな辛抱強い姿をしていた。
その日、東北の山々に初冠雪があったと宿で知った。

日本哺乳類図譜


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しばしキタキツネの写真と対峙する。凛々しいその眼差しに見入られて、動けなくなった。動物写真家の久保敬親(くぼけいしん)氏の作品である。

動物写真家は、対象が現れるまでひたすら原野で待つ。待ち続ける。待っている間に、動物たちの生き方や暮らしを学んでいくのだろう。だから出逢ったときには、その思いを抱きながらシャッターを押すのだ。

このキタキツネは、そんな思いを感じているのだろうか。眼差しには、対峙している両者の思いが通じ合っているように映る。交歓の一瞬。

動物写真には、ときとして撮影者の息づかいを感じる。待つと云う時間を感じる。

そんな原野での動物たちの世界を会間見ることができる写真集が出来上がった。


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久保敬親著「日本哺乳類図譜」。持ち上げると約二キロにもなる重量級の写真集。大きさはA4変形版。この写真集の特長は、デジタルカメラのデータではなくポジフイルムを使って印刷していることだ。その自然な色合いの美しさに魅了される。私たちはその昔、こんな素晴らしい印刷物を眺めていたのだと、改めて気づく。

エゾシカやキタキツネの凛々しさ、ヒグマの迫力、シマリスの愛らしさ、野生の臭いさえたちこめてくるような写真集。こんな距離感でカメラマンは、野生動物を追いかけ、ジッと見つめていたのだと、ズシリとしたメッセージが伝わってくる。
ぜひご覧いただきたい一冊です。


村上選手


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これは、昨日ヤクルトの村上が56号を打った瞬間
ではなく、9月23日、ベイスターズの濱口投手にセカンドゴロに打ち取られたシーンだ。

その日、ベイスターズファンのIさんと神宮球場でヤクルト戦を観戦していた。昨年の観戦も雨の日だった。前半からヤクルト打線にボカスカ打たれ、雨に打たれ、ガックリして途中で球場を後にした。

しかしこの日は違った。ベイのホームラン攻勢で四回までに7点のリード。こうなると雨なんて平気だ〜、のはずが、五回に雨足が一気に強くなり試合が中断した。
30分後に試合は開始、ヤクルトの猛追を受け、なんとか二点差で逃げ切った(ヤレヤレ)。


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ベイの⑦番、佐野選手のホームラン

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傘をさすことが許されない球場で、ビッショリになってビールを販売する売り子さんたち。優しい濡れネズミのおじさん達がビールを頼むと、大きなコップにはビールの泡と一緒に雨粒も入る。優しい売り子さん達の声も入る。とても不思議な光景だ・・・。

そんなことを思い出していたら、22歳の若武者は、三冠王と三億円の家をゲットしてしまった。

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ヤクルトに点が入ると小さな傘が回り、カクテル光線に煌めく



野の花


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麓で見つけたワレモコウ、他はアササンコースの道端から


花野風という美しい言葉がある。秋の花を揺らす風とあるから、きっと切なく、愛おしさを感じるような風に違いない・・・。
土曜日の朝、窓を開けると金木犀の香りがふんわり〜。これがその花野風だろうか。

空は晴れ上がっている。書を捨て山にいこう〜!というわけで、四ヵ月続けての高尾山へ。春に歩いたコースを辿って、ハナイカダの実を探してみようと決める。


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ハナイカダの特長ある葉っぱから実はほとんど落ちてしまったようだ。探し求めて、ようやく一つ見つけることができた。実はすっかり熟して、鳩さんになって可愛いこと。


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その他にもツリフネソウ、ハギ、ミゾソバ、シロヨメナ(上から)を見つけた。

あざみの群落には、アサギマダラが舞っていた。その飛翔の優雅なこと。南の国へはまだいかないのだろうか。数少ない花を愛でながら、ようやくの秋を満喫した。


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蕎麦


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蕎麦の季節がやって来た。蕎麦は香りが全てだと思っているので、十割蕎麦が好きだ。十割といえば、出雲、そして永平寺。これは飛び抜けて旨い。その旨さが強く記憶されているので、その他の蕎麦では、なかなか満足を得られない。まあこんなものだろうと思って食べている。

そして蕎麦がき。苦戦しながら蕎麦がきを作り、アツアツを摘みながらの酒はたまらない。そば粉の風味を失わないうちに、食べなければ勿体ないのだ。

味覚の秋、人生、そんなに長くはないのだから、美味しいものを食べるのだ。食べたいのだ。

ジンジャー


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家を出ると、ほんのり金木犀の香りがした。しみじみ秋だなあ〜と思う瞬間だ。

先日、鎌倉のお寺で甘い香りを放っていた白い花、それが昭和記念公園のハーブ園にも咲いていて、Kさんが「これはジンジャーです」と教えてくれた。

そうか、甘いはずだ。お寺の名前は「ぼたもち寺」。そしてお寺なのに「ジンジャー」とは、可笑しい。「ぼたもち寺」、正しくは常栄寺。境内に入ってゆくと、このジンジャーと萩、そして白い芙蓉が咲いていて、浄土のような雰囲気を醸し出していた。


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風や香りで季節を知るのは、幸せなこと。
時の移ろいにあわせるように、人は前へと踏みだしていける。

昨日のクサカゲロウが、窓際で死んでいた。やはり一日の命だった。

カゲロウ


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山に入ると、虫や花に気がつく。先日「ここにショウリョウバッタが」と云って葉を揺らすと、すぐにバッタは羽ばたいた。一緒に歩いていたTさんが、よく分かりますねと云った。

そう言われると、どこかに昆虫センサーが付いているのかもしれない。少年の頃から虫を追いかけていれば、知らない内に身に付いるのだろう。

我が家の天井の隅に、虫らしきものがいた。何かが動いているように見える。すぐには近寄らず、知っている虫を重ねてゆく。分からない。細くて長い虫。


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椅子に乗り拡大鏡で確認したら、クサカゲロウの仲間だった。カゲロウは、ある日一斉に孵化して、交尾、産卵して一日の命を全うする。こいつは、どこかではぐれたのだろうか。

長い触覚を動かし続けている。短い命だから、殺さないようにと家人に言って、放置した。


今朝、国葬で名文を詠みあげた菅元首相の追悼の辞を読んだ。あまりにも美しすぎる。誰が書いたのか?電通のお抱えコピーライターか?と、読み進めているうちに、原田マハの作品「本日はお日柄もよく」を思い出した。

これ、そっくりやん。最後に読みかけの一冊「山県有朋」の一首が出てきて、ひっくり返ったというか、驚いた。まあ、よくも図々しく、歴史の人物(山県有朋と伊藤博文)二人に自分らを重ねられるものだと。ライターから出されて、どんなやりとりがあって、読み上げたのか。

じつは、国葬を使って「あなたの意志を受け継いで、私も二度目の首相を目指します」と宣言したのだろう。

きみを想う気持ちはカゲロウ〜♬。そんな歌があったことを思い出した。


カオス


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コスモスは、宇宙を意味するギリシャ語で、「秩序」や「調和」の意味がもとになっているという。云われると一斉に揺れるコスモスには調和があるし、空へと伸びる姿と広大な空とはマッチしている。

コスモスにも反対語があることをはじめて知った。「カオス」。つまり混沌。
なるほどと思う。宇宙(コスモス)が決めた秩序を乱しているのは、いつも人間。社会を自然環境を乱しては、カオスをつくっている。



カオスといえばいまの四谷駅周辺。大勢の警察官、反対のビラとティッシュを配る人たち、献花のために列を作る人たち、そして通行人が、交差点で交錯する。

献花の人たちの長蛇の列が、九段坂公園から並びはじめて四谷駅で折り返している。ときおりのサイレンの音と上空の数機のヘリが、午前中から喧しい音を立てている。

コスモス


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秋の空が広がる昭和記念公園、柔らかな芝生と360度に広がる空、秋に包まれてどこまでも歩いた。銃声も爆音もない当たり前の日常がそこにあった。残念ながら、コスモス畑のいくつかは、数日前の台風の影響で多くがなぎ倒されていた。

人は、黄色、そして揺れるを楽しみにやって来るのだろうか。コスモスの丘のあちこちで、カメラやスマホを手に撮影会をしていた。

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反省


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今回の台風を期待していたなどと書きましたが、九州の水の被害を目の当たりにして、これはいかんと反省しております。被害に遭った皆さま、不愉快に思われた方、失礼をいたしました。

7月末から列島のどこかで雨が降っていたので、今日の秋らしいお天気が、うれしい。地図を見ると、日本列島どこもお天気マークだ。

しかし秋分の日から再び、雨模様。お天気の神様は、なんども試練を与える・・・。

台風


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かつて経験したことのない・・・
なんて云うから、ちょっと期待していたのに。
そうでもなかったわね、と百合子さん。

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アタシの花言葉は、「用心、警戒、要注意」よ、覚えてね、とアキノキリンソウ嬢。

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今回の台風の名前は「ナマンドル」。いかにも屈強そうな響きから、これはやるなと予測し、風速50メートルの力を見てやろうじゃないかと、テレビのニュースに見入っていた。
が、上陸するや勢力を衰えさせて、スッと通りすぎた。

大げさに言い過ぎると、本物が来たときに言葉が無くなるよ。

かつてない
経験したことのない
なんて
言うから
ドキドキ待っていたのに

蝶たち


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タテハチョウ、クジャクチョウは成虫のまま越冬

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キアゲハ、ヒョウモンチョウ、ジャノメチョウは命を終わらせる

このまま命を終わらせるもの、木の洞や樹皮の間などで越冬し命をつなげるもの、まもなく蝶の命は二つに分かれていく。タテハチョウやクジャクチョウの仲間は、翅をボロボロにしながらも越冬し、春に産卵する。
アゲハやヒョウモンチョウなどは、もう儚い命だ。

冬の温かな日に、春と勘違いをした蝶が飛んでいることがある。

秋の花


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ツルニンジン

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ミズヒキ

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ツルニンジンだろうか

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キンミズヒキ

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ヤマホトトギス

高尾山はすっかり秋の花に覆われていました。


投稿


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鐘は鳴らなかった・・・・


昨日、A新聞の「かたえくぼ」という欄にひとつ投稿をしたので、今日の朝刊に、もしやと思って開いてみたが、残念無念・・・採用されなかった。

全国からかなりの数が寄せられるので、そう簡単には採られるはずはないのだが、やはり落ちると悔しい。今朝の作品より、こちらが上と思っている。

未投稿が条件なので、ここで披露すると、もう採用されないことになる。

・かたえくぼ

   『私たちも改名いたします』

    自由統一党
     ==支持率回復委員会

          (東京・歩キ眼デス)


正直が一番、という皮肉を込めたのだが、ちょっとヒネリのレベルが高かったか、と反省している。


? なんで


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この広告を知っている人は、どれだけいるのだろうと思いながら、見上げてた。このキャッチコピー「?」のカタチをしている。
上手いなあ〜。

変わらないサントリーの広告文化に敬意を表したい。クリエイティブのスタッフ達も、好い仕事してる・・・。

缶コーヒー一本から、こんなに世界が広がっていく。たいした仕事はしていないけど、帰りにBOSSを一本、買って帰ろうか。

続きを見たい方は、☟こちらから



弱肉強食


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食べれられているのは、ガガンボか


虫の世界もまた弱肉強食。蝶は蜜を求めて花から花へだが、トンボは餌となる虫を探して、複眼を働かせている。ハエ、ハチ、チョウなど、自分より小さな虫を空中で捕える。

最強のハンターは、オニヤンマだ。同じ仲間のトンボをはじめ、時にはスズメバチまで捕まえて食べる。

多くの虫たちは、その恐ろしさを知っているので、黒と黄色のストライプカラーに近づかない。

というわけで、オニヤンマの色を模倣した虫除けグッズが人気だ。効果のほどは分からないが、納得のタイガースカラーが主張する。


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虻や蜂除けに効果あり!?

守屋山(2)


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守屋山の山頂付近には、秋の七草がいくつか咲いていた。下界はいつまでも酷暑が続いていたのに、山の季節はきちんと進んでいたのだ。


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ハギの花

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ナデシコ

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ワレモコウ

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ツリガネニンジンかな

守屋山(1650m)



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昨年の秋にも登った八ヶ岳の西側に位置する守屋山。山頂からの眺望があまりにも素晴らしかったので、山仲間に声をかけ、4人のメンバーと登ってきた。

台風接近のニュースのなか、お天気に恵まれ、秋の花を愛でながら、1650メートルの山頂に無事に辿り着いた。山頂は我々だけの貸切で、眼下に広がる諏訪湖、対面に聳える八ヶ岳、そして雲に見え隠れする山々を眺めて寛いだ。

空にはトンボの大群、そしてヒョウモンチョウ、ジャノメチョウ、キアゲハ、クジャクチョウなどが乱舞。風もなく夏と秋のまん中に降り立ったような感覚だった。


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トリカブトの淡い紫に癒されて登った

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久しぶりにマツムシソウに出合った

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ご存知、アキノキリンソウ

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蝶を集めるアザミ

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初めて見ましたハナイカリ

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山頂部は広く、眺望も素晴らしい


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耳鳴りと肩甲骨付近の痛みに耐えながら、体にも秋かなと痛感している今日この頃。自然界は変わりなく季節の移ろいを繰り返していく。そんな姿を眺めて、なんとか心は癒されるのだけれど

酷暑、干ばつ、あるいは豪雨と、地球にも秋が来たのだろうかと、世界から届くニュースに不安は続く。


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食糧不足に備えて、ムカゴもいただこうか

持ち主


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持ち主はどこへ行ったのだろう。繋がれたままにされて草木に覆われてゆく。


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持ち主は誰だ?「売地」が「荒地」に

ジュエキ


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カナブンとハナムグリが樹液に夢中になっていた。あまりにも美味しいのか、スズメバチが近くにいても意に介さない。

ジュエキといえば・・・ジュエキ(受益)という既得権益に群がる輩たち。

オリンピックも選挙もジュエキ溢れるクヌギの樹なのだろうか。幹にようやく辿り着いたモノだけが得られる甘い汁・・・。余った甘い汁はどこへ運ばれるのか。

岸田総理は「ジュエ樹」「ケンエ樹」を切り倒し、反社会的団体と縁を断つことはできるのだろうか。票のため、当選にためなら、どんな反社会的団体とでも手を組むというのは、民主主義の破壊だ。

明日の記者会見で、岸田総理、何を語る?


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怖いモノなしのスズメバチになろうとしているのか?

ツクツクボウシ


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約五メートル先にいた・・・分かりにくい


夏休みが終わる頃、ツクツクボウシが鳴きはじめて・・・そんな歌が、今月のある歌会で詠まれていました。

机に向かうと   
なぜか
別のことをしたくなる
ツクツクボウシ
夏休み          Sさん

昨日は、ミンミンゼミ、アブラゼミに混じって、ツクツクボウシの声も聴こえてきたので、見上げて探すが、樹皮に溶け込んでいるのか、なかなか分からなかった。

蚊に射されながら、注意深く見つめると、、見つけました。上手く擬態になっていた。

カマキリ ナナフシ
アンコウ オポッサム
あなた そして私
身を守るために
嘘つく生き物       Hさん

この歌は、擬態をベースにして、上手く詠まれています。人間なら「攻守一体」となった迷彩服だろうか。なんか嫌だな。


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セミダブル

カンナ


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世界各地で起きている干ばつで、多くの河が干上がっている。アメリカのテキサス州の川底から1億1300年まえの恐竜の足跡が出現した。またヨーロッパでは、ドイツの戦艦の残骸が、中国では600年前の仏像が出たりと、ユニークな話題を提供しながら、気候変動は間違いなく進んでいる。

雨量の少ない地域では干ばつが進み、豊かな地域では豪雨が続いている。コントラストがはっきりしてきた。気温上昇だけは、分け隔てなく地球規模で起きている。

戦争を止めるのは、この気候変動ではないかと思っている。温暖化の先に勝者はいない。誰もが分かっている。

毎年同じ道を歩いていると、僅かな気づきはあるが、驚くような変化はまだ少ない。カンナが咲きはじめた。秋よ早く来いと、呼んでいるように見える。

百日紅


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香りのする薄紫の百日紅


暑さは、いくぶん退いただろうか。今朝の風にちょっぴり秋を感じた。神田川沿いをアササンしていると、清掃している方たちの作業に目を奪われる。いくつかの箇所に枯れ葉が集められて、歩くのがもったいないような美しい道になっている。アササンのレッドカーペットだ。黙礼をして通り過ぎる。

清掃された道には、甘い香りのする百日紅が咲いている。喩えると仄かなコロンだろうか。色は決まって淡い紫色の花。顔の辺りに房が下りているので、ゆっくり香りを楽しめる。

アササンコースには、他にもジャスミン、沈丁花、バンマツリ、クチナシ、カズラ、そして金木犀と季節の移ろいを香りで感じさせてくれる花が多い。

季節季節に、小さな幸せをいただいている。


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百日紅は次々に花を咲かせている

気候主義


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CLIMATE JUSTICE って「気候主義」。英語がいいの?


今朝、アササンをしていたら、このポスターに目が止まった。新鮮だ。ようやく、このテーマを掲げる政党が現れたかと、少し明るくなった。

酷暑が続く先月、関西のある歌会に、こんな歌とコメントを送っていた。

誰一人として
温暖化には
触れない
猛暑日のなかを
選挙カー

温暖化対策をテーマにしても、票は稼げないのでしょうか。目先の物価高も大事だけど、気候変動にも目を向けてほしい。未来のある若い人たちはそう願っているはずです。

欧米には、環境主義や多文化主義を掲げている政党がある。自国だけ、周辺にだけ、目を向けるのではなく、広い視野を日本の政治家に求めたい(無理かもしれないが)。

明日発売の新潮、文春の記事で、岸田丸は、はたして沈没してしまうのか?

病葉(わくらば)


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カツラの葉も匂いはじめた

桜やプラタナスの病葉が落ちてくる。昔に比べて、その数は増えているように思う。これも気候変動の影響だろうか。決まった日があるかのように、突然、プラタナスがハラハラと葉を落とした。

見上げると、木々は青々としている。悪いものを病葉に託すことで生を全うしていく、そんな感じか。散っていく葉は、選ばれるのか?受け入れるのか? 不思議に思う。
じつは私たちの世界でも、それに似たような不条理、不合理が起きている。

とすれば、残された者は、精一杯に生きねばならない。

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桜の落葉が早くなった?


嬉しいニュース!!

五行歌の友人、Rさんの写真が、長野富士フィルム主催「信州写真展」の「信州の自然の部」で金賞を受賞された。Rさんには、五行歌カレンダーで写真をお借りしていることもあり、嬉しさは格別。おめでとうございます〜♬
作品名は「月虹物語」


雨花火


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ときおりビルの向うが明るくなるだけ


夕方から雨になった土曜日、6時から9時までの三時間、屋上を開放した。花火打ち上げの七時半に屋上に上がり、傘を差しながら神宮方面を見つめていると、「見えますか〜」と沢山のご家族がやって来た。

ヘリが四機ほど飛んでいる。しばらくすると西の空が時々明るくなった。想像していた副都心のビル群よりもずっと左側だった。

「花火は見えませんねえ〜」と皆さん諦めて、そぼ降る雨の夜景をグルリ眺めてから下りていった。引越してきた当時は、新宿副都心の全景がくっきり見えたのに、高層マンションやビルが立ちはじめて、すっかり空が小さくなってしまった。

花火


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明日は神宮の花火大会。東京はお天気が保ちそうなので、周辺は浴衣姿の人たちで一杯になるだろう。

上の写真は、事務所のベランダから観た以前の神宮の花火。距離にすればほぼ1キロくらいか。夕刻より近隣の家々の屋上や路地には、椅子やテーブルが出されて、花火一色の空気に包まれる。

今年は、自宅マンションの屋上を開放しようということになり、急遽チラシを作ってエレベータに告知を貼ったのだが、果たして花火は観られるのか。新宿西口の高層ビルが遮るのか。

言い出しっぺは、ドキドキしている。

思い出横丁


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新宿駅西口には、いまもなお昭和が残っている。思い出横丁は、俗称ションベン横丁と呼ばれ、敗戦後の闇市にそのルーツを持ち、焼き鳥屋、定食屋、金券ショップなどが所狭しと並んでいる。

いまでこそ昼呑みという言葉が定着しているが、ここはいつだって昼間から呑める店ばかりだった。猥雑な空気が漂っているが、カウンターに座って呑んでしまえば、いつの間にやらこちらの人になっていく。

足を緩めて、店の奥を覗くと、あの日の私が座っていた。

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アジウリ


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野菜づくりに精を出している弟から、沢山の夏野菜と懐かしいアジウリが届いた。子供の頃、全ての果物のなかで、アジウリが一番美味しいと思っていた。青く甘い香り、そしてやや固めの食感、口にすると瑞々しさが口一杯に広がった。それがメロンが現れてから、忽然と消えてしまった。

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冷蔵庫で一日冷やしてから、先ずは二つに切って、香りを嗅いでみるが、ほとんどない。種を取りだし、皮を剥いて、口にしてみる。まあ、なんと硬いこと。そしてあの甘さも感じない。

どうしようかと考え、軽く塩をして半日寝かせてみた。すると瓜の香りがして、グッと旨味が増した。残りの一個も塩を一振りすることにした。

憧れていた野菜づくりは、いつの間にか弟が始めて、毎年種類も量も増えている。お盆休みの間、夏野菜のレシピを随分眺めた。


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ポポー


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身延山の帰り道は、やがて七面山に続く石畳の道となり、谷間の赤沢宿という集落に辿り着いた。山の勾配に20軒ほどの木造家屋が連なり、まるで映画のセットのような佇まい。疲れきったからだが、息を吹き返す。

古い木造家屋の休憩所に入るやいなや、アイスクリームはありますか?と訊ねた。三角巾をした、女性がゆっくりと答えた。「ありますよ、よかったですね〜」。

メニューを見て「このポポーアイス、本体は見られますか」と訊ねる。

じつは、ポポーという果物があることは知っていた。ネットには、瓜のようなカタチをした果物で、マンゴーのような味と香りのする果物とあり、見つけたら、必ず手に入れようと思っていたのだ。

女性は、それが全部アイスに入れて、今はないという。ザンネン、アイスで食べよう。冷え冷えの陶器に入って、それはやってきた。・・・一口・・・バナナのようなトロピカルフルーツのような美味しさにカラダが固まる。

暑い中を歩いてきてよかった。こんな遠くまで来てよかった。このポポーの美味さで、全てが霧散した。通り抜ける風と初めて口にした幻のフルーツに、しばしの涼を楽しんで、旅の出会いに感謝した。

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出会い


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身延山は霊山なんだなあと歩いていて感じるものがある。ロープウェイができてからは参道を歩く人も減りましたと、お坊さんの一人が語っていたこともあって、この日すれ違ったのは二組4人だけ。山は、濃密な静かさに満ちていた。

登り始めに出会ったのは、ハンミョウ。別名ミチオシエ。すっかり見ることが少なくなった甲虫で、思わず嬉しくなる。そしてオニヤンマ。悠然と近づいてきて、目の前をスイッと横切った。瑠璃色をしたニホンカナヘビが、足早に次々に現れては消える。

生き物が濃いなあ、山が豊かなんだなと感心していたら、カモシカが現れた。ゆっくりと近づくが、何度も振り返りながら、逃げていった。春の谷川岳以来のご対面。

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距離にして約50メートルの間合いを保つ

しばらく行くと、鹿の親子に出会う。母鹿が草を食んでいるそばで、人間が珍しいのか、子鹿がジッとこちらを見つめている。距離を置いては、またこちらを振り返り、しばらくすると親子は白いお尻を上下させながら森に消えた。

山道をさらに進むと茶色をした動物が崖を一気に駆け上がった。キツネか、アナグマだろうか、余りにも早くて正体が分からず。

日本にはまだ自然が残っていると実感した。日本全国、熊が出没していると云うニュースも納得の出会いの一日だった。

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久しぶりに出逢ったハンミョウ

身延山


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以前から登ってみたいと思っていた身延山。日本山岳会が調査を進めているプロジェクト「日本の古道120選」の一つ「日蓮聖人歩いた道」を訊ねてみませんかと誘われ、昨日、メンバーの一人として参加した。

身延山は、山梨県の南に位置し、鎌倉時代に日蓮聖人によって開かれた久遠寺のある日蓮宗の総本山。

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どのお店の前にも蓮の花が飾られていた

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まずは総門を抜けて門前町を通り、日本三大門の一つ「三門」を仰ぐ。京都の南禅寺ほどではないが、荘厳で圧倒されるような風格がある。一礼をして中に入ると、はるか先には、菩提梯(ぼだいてい)と呼ばれる278段の急階段(最大斜度50度)が見えた。ここを登っていくと、ロープウェイ駅があるのだが・・・今日は、それを使わず山頂にも行かないと、リーダーは云う。

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松樹庵から見える久遠寺は吉野の景色と重なった

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蒸し暑い中、喘ぎながら裏参道と呼ばれる急坂をゆっくりと登ってゆく。途中、ポイントの写真を撮り、地図を眺め、お坊さんの話を聞き、日蓮さんに思いを馳せると、心に静寂が広がっていくような気がした。

身延山の頂を背にして、七面山への長い山道を下りてゆくと、意外な動物たちとの出会いが待っていた。

天候不順


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日本の全ての河川を可視化させると、日本地図は毛細血管に覆われた生き物のように見える。これだけの川があるのだから、常識を超える大雨が短時間に降ると、どこかが決壊してしまう。

「数十年に一度」、「かつて経験したことのない大雨」、「直ちに安全を確保」、「命を守るための行動を・・・」。こんな言葉を聞くことが増えた。

九州ばかりか、山陰、東北へとここ数日のゲリラ豪雨、線状降水帯は神出鬼没。秋田、新潟の川の水位は、まだ安定していない。
酷暑から豪雨へと不安定な天気が続き、夏らしい夏がなかなかやって来ない。


ネジバナ


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久しぶりの出会い。なのに、踏んずけてしまった。

かつて


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あっという間にヨウシュヤマゴボウに覆われた


我が家の周辺は、宅地開発で慌ただしい。あったはずの家が瞬く間に取り壊され、しばらくすると、どんなだったかを思い出せない。空き地になった前で、立ち止まり、はて?と、眺めるだけだ。

旅をしていると、人が住んでいた痕跡を見つける。草ぼうぼうの中に立つ、朽ちたサイロや牧舎だったり、山懐の段々畑や家屋の跡とか、かつてここには人の暮らしがあって、笑い声も聞こえていたのだろうと想像すれば、ちょっと切ない気分になる。

かつて
ここには と
山は語る
家屋を 畑を 畦道を
呑み込んで

上がる


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蝉は鳴きはじめたが、数が少ない。大雨で地中で絶えたか?


我々はいま、地球の大きな変化の真っ只中に、立っている。気温の折れ線グラフはどこまで上がっていくのか?この酷暑の夏に終わりはあるのか、不安になってくる。

仮に毎年0.8度ずつ最高気温アップを記録していくと、10年後の都心は45度ということになる。昨日、37度の新宿通りを歩いてみたが、100メートルが限界。すぐに日陰を探した。辺りを見ると信号待ちの人たちが、街路樹や建物の陰に隠れていた。

暑いのは日本だけでない。熱波がヨーロッパを襲っている。フランスは記録的な干ばつで、水の規制が厳しくなっているため、農業や酪農に大きな影響が出ている。シャモニーでは、氷河が溶け始め落石が多発し、山登りには不向きになったと聞く。

大規模な森林火災は、フランス、スペインからドイツやチェコへ広がっている。アメリカのヨセミテの火災は鎮火したのだろうか。CO2がますます放出されている。

ところでコロナウィルスはこの暑さ、平気なのだろうか?気温が上がり、物価が上がり、我らは根をあげる。戦争なんかしている場合ではない。
北極の気温上昇は、世界平均の2倍だ。どうする?プーチン。


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ちらし寿司


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週末、娘たちから招待を受け、誕生日を祝ってもらった。なんだか恥ずかしいやら嬉しいやら。

部屋に入ると、壁にかけられている「吾唯足知」。仲居さんに一応、意味を聞いていたら、在りし日のちらし寿司のことを思い出した。

子供の頃、誕生月が同じ弟と一緒に祝ってもらい、メイン料理(といってもこれだけ)は決まってちらし寿司だった。

魚介などが乗るものではなく、かんぴょう、干し椎茸、卵焼き、紅色をしたでんぶなどがすし飯に飾り付けられたもの。これが楽しみで、丸いお膳を囲んでワイワイ云いながら食べた。色とりどりの具、すし飯のキュッと舌を刺激する味わいに特別な日を感じていた。

あ〜〜、いつから飽食になったのか・・・。

恥ずかしい話だが、魚介類メインのちらし寿司は上京してから知った。どうやって食べるのか分からず、寿司屋のカウンターで戸惑った。

そんないくつかのことを話題にしてもよかったかなと、思っていたら、デザートが運ばれてきた。

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選んだのは、いちじくの羊羹

ムクゲ


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これ、八重のムクゲ?


今日は夏らしいお天気。抜けるような空と蝉の声。風があり、湿度がやや低く、こんな夏だったらなんとかいけそうだ。

百日紅、ノウゼンカズラ、ムクゲの花が、数日の雨で多くが落ちていた。それぞれの落花は個性的。百日紅は、風が少しでもあるとポロポロと花を落としていく。花の多い木は、ピンクの絨毯のようになる。

ポトリと椿の花のように落ちるのはノウゼンカズラ。なにか潔い男花のような印象だ。ある時からポトリポトリと落ちていく。

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そしてムクゲ。開花期間が長く感じるのは、多くの花を付けるからだろう。一日花で、咲き終わると蕾のカタチになって、ポトリと落下してゆく。しめやかで儚く、慎ましい花の哀れを思わせてくれる。


しめやかに
一生の一日(ひとひ)を閉じて    
ムクゲ
蕾となって
ほろりと転がる

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ブーゲンビリアも蕾となって散る

自民殿の13人 !?


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いま、一番興味を持っているのは北海道で次々に牛を襲っている巨大ヒグマ、コードネーム「OSO18」。場所は、北海道東部の標茶町。今月、すでに6頭の乳牛が被害に遭っている。2019年から60頭以上が襲われているのに、そのヒグマが発見されたのはただの一度だけ。

利口な熊で、深夜に電気柵を壊し、侵入してくるらしい。一撃で牛や馬を仕留めるヒグマの恐さを小さい頃から教え込まれていた。立ち上がると3メートルを超える。はたしてこの巨大ヒグマは仕留められるのだろうか。

喰いモノにされる乳牛は可哀相だが、永田町では、元大臣たちとオカルト教会の両者、どちらがどちらを喰いモノにしているのか。魑魅魍魎のヌエたちがそこで蠢いている。こちらも今のところ仕留められてない。

そして、もう一つ。カリスマ的領主が亡くなった今、『自民殿の13人!?』のドラマが始まろうとしている。ドラマでは、二つの勢力に分かれ、壮絶な裏切りが始まるらしいが、NHKと三谷幸喜の先見の明は凄い!と、自民殿の13人を思い浮かべてみると、皆それぞれクセのある役者が並ぶ。

食堂


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たしか、八年前もこんなだったなあと、懐かしく店内を見渡す。家人や友人Sは、このポットのお茶(?)を飲めるだろうか。注ぎ口まで・・・錆びているもんな〜。

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壁の上には、こんな張り紙。錆は薬草のパワーだろうか。注いだからには、残さずに飲むこと。どうする S?

そして、「・・・お断り」「・・・下さい」の張り紙がやたら多い。かつて大勢の観光客、登山者で賑わったからだろう。両替お断り、セルフサービス、ごみの持ち帰り、自分の弁当は食べるな・・・などなど。

ここは、西沢渓谷の入口にある一軒の食堂。古いポスター、大きな天狗の面、鹿の角、風林火山の旗、なんだか時間が止まっているような、ちょっと笑える昭和のお店だった。

西沢渓谷


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調べてみると、ちょうど八年前の7月に西沢渓谷を歩いていた。今回も全く同じコースを歩く予定が、道の一部が崩れたために、メインの「七ツ釜五段の滝」の手前で迂回することになった。

地図には「迂回歩道」とあるから、橋を渡るのかなと高を括っていたら、ほぼ直登の山越えルート。「アキサミヨ〜!」。木の根と幹に取り付けられたロープを頼りに、息絶え絶えで登った。高さは100m以上か、それまでのマイナスイオン&爽快さが霧散した。

子供だったら滑落する怖れがあるかもしれない。「迂回歩道」と云う表記はマズいでしょう。入口で「Uターンのすすめ」を告知すべきではないか?とブツブツ・・・。

登り切ったその先の道は、広く明るく安全な道だっただけに、あの崖登りはいただけなかった。しかし水音を聴きながら、涼しい週末を過ごせたことに感謝した。


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シモツケソウ

夏山


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夏の百合といえば、ヤマユリ

この一週間で山靴を4回も履いた。広瀬川の後、おっさん三人による猛暑の高尾山、そして翌日は西沢渓谷歩き。さすがに帰宅してから、疲労困ぱいとなった。

夏の高尾山は、2000メートルの山よりも辛いかもしれない。湿度100%の中を登っていると、修業のように感じる。花が少なく、ただただ汗をしたたらせて、足をすすめるだけ。

山頂に着いた時は、やれやれ。達成感は乏しい。夏は、早朝に登るか、気温の低い日を選ぶかをしないと、熱中症になりやすい。

しかしながら、初めて山登りを体験されたTさんは、すっかり山登りにはまった。これが今回の成果。秋にまたおっさん三人で違うコースを登る予定(らしい)。


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ウバユリの蕾 咲いてもイマイチかも

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ヤブミョウガの花言葉は「報われない努力」

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夏の高尾山を代表する花、タマアジサイ

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謎の花は、イワタバコ 初めて見つけたかも

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山も桔梗の季節

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汗を流しても熱い天狗焼きを食べる

広瀬川


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広瀬川の穏やかな流れ。淵には大きな柳の木

広瀬川流れる岸辺 想い出は帰らず〜♬ 青葉城恋歌のメロディと詩に想いを馳せたのは、もう45年前。いつかは歩いてみたいと思っていた。

市内地図を眺め、川沿いの歩けそうな土手を見つけてバスから降りた。

でも土手なんて歩かない。淵のそばに小道があるはずと、草を掻き分けていくと、やはりあった。いまでも誰かが歩いている小道だ。

長雨のせいか、川にはたっぷりの水、音をさせずにゆったりと流れていた。大きな柳、サワグルミ、ネムノキが、川の側に立っている。

今日は平行移動。カラダが弛んでいく。歩いていくと、鳥たちが飛び立つ。ショウリョウバッタ、チョウやトンボも多い。

川と花と虫と、ときおりの風と、もうなにも要らない。


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ヒラケ〜ハネ

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コガネムシにカメラマンが映っている?


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川から上がると、立派な正門に出くわした。なんじゃこりゃ。宮城県知事公館とある。近づいて読みはじめたら、急に腹立たしくなった。

大正年間、当時の陸軍が城から歴史ある文化遺産を勝手に移築していた。それも長官舎の正門としてだ。こうした力づくは、今始まったことではないと分かる。

気分を抑え、中を清掃していた方に許しを得て、見学をさせてもらった。広い庭からは、眼下に広瀬川が眺望できた。権力者は、いつだって眺めのいいところに舘を持つのだ・・・。

泉ヶ岳


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ちょうど五合目くらい、ここからキツかった


ちょうど今から七年前の六月、大きな歌会が終わって、どこに行こうかと仙台市内の観光マップを見ていたら、市民に愛されている山「泉ヶ岳」の紹介があった。山だけでも眺めてみようと地下鉄とバスを乗り継いで約一時間、登山口まで赴いた。

1175メートル。姿は、故郷の藻岩山のイメージだけど、標高は2倍以上。いつか登ろうと決めた。そしてこの日を迎えた。


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登り始めは唐松林の穏やかな道


18日。雨は上がっていたが、湿度が高かった。樹林帯の中は風がないため、体感温度が上がった。喉が渇き、息だけが上がる。山頂直下は岩だらけで、斜度もキツかった。下りて来る人たちに励まされ「達成感はハンパナイよ」の言葉を信じた。


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ようやく山頂に着いた。だが景観はゼロ。ただ、風は気持ちよかった。山頂でいつも感じるのは、風のありがたさだ。しばらく風にあたって汗を収めた。北側をしばらく歩くと眺めのいい場所があり、蔵王、月山が見えた。ここで会えるとは思わなかった。

西に目を動かしていくと、朝日連峰、飯豊も確認できた。低山もこれからいいのではないか、と頭をよぎった。


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はるか北にかつて登った蔵王、月山が見えた

初蝉


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昨日、雨上がりの一瞬、セミの鳴き声が聞こえた。たった一匹だけ、それも小さな声。他はどうしたのだろう。月初めの酷暑で絶えてしまったのかと心配していた。この長雨が終わるのをじっと待っているのだろうか。

座敷わらし


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家人からLINEが入った。玄関の人感センサーのライトが、何度も点滅するので、行ってみると誰もいない。気持ちが悪い、前にもそんなことがあったと云う。

「座敷わらしではないか」と、返事をする。一人でいたときにも同じようなことがあった。キッチンから物音がするので、ドアを開けたところ、誰もいなかった。

「きっと誰かいるよね」と時々話をする。座敷わらしだろうと決めて、同居を許しているのだから、一度、姿を見せてほしいと願っている。

花の名前


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人の名前もそうだが、花の名前をせっかく覚えたのに、スッと出てこないことがある。花の形状から印象まで、しっかりイメージしているのに、名前が出ないというのは、腹立たしく、悔しい。そのたびにググっては、そうだったと、口にしてみる。

そのなかでこのルドベキアは、サッと名前が出る。種類が多く、夏から秋にかけてあちこちでよく見かける。ひまわりを小さくしたような暖色系の花は、ひょろっとした丈の先にあり、風によく揺れる。好きな花の一つだ。

モモ忘れ


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たぶん暑さのせいではない。モノ忘れの頻度が高くなっている。今日も駅まで行って、スマホを忘れていることに気づき、我が家へ戻った。

鍵とスマホ、この2つしかないのに、どちらかを忘れることがよくある。理由としては、緊張感の希薄。そして準備の怠りだ。

変なことを思い出した。桃は食べたけれど、スモモとプラムは酸っぱくて、そのままだったのではないか。スマホ>>スモモ・・・そういうこと!?  

吊革握りながら、モモ忘れしていることにも気がついたのである。

死と生


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週末は「死と生」をテーマにした吟行歌会だった。場所は、東京写真美術館で開催されていた岩合光昭氏の「パンタナール」と世界の著名写真家による「メメント・モリと写真/死は何を照らし出すのか」という二つの写真展。

約二時間、写真をじっくり鑑賞しての自由詠と題詠「命あるいは死」に、こんな歌が寄せられた。

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・自由詠

ワニをしとめた  Kさん(一席)
ジャガーの目
戦車で
人をひきずる
人間の目

喰われ尽して   Sさん(二席)
残る
わたしか
枯れてころがる
骸骨(しゃれこうべ)

・題詠

命は他者の    Sさん(一席)
命となる
涙も美談もない
大自然の死は
美しい

輪になり踊っている男女  Kさん(二席)
繋いでいるはずの
手がない
ぎりぎりの生か
死による自由か

そして小生の歌

・自由詠

地球が
ポツリ
メメント・モリ
水に耐えろ
熱に生きろ

・題詠

死を
これほどまでに
意識しても
明日には
忘れて生きている


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動物好きの家族、女性が多かった

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歌会会場はシビックホールで

水の音、波の音


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猛暑のなか、このCDを聴いている。一滴の水が、小さな流れとなり川となり、そして山を下って、やがて海に辿り着く。浜辺では波音が待っていて、それが繰り返されるという構成だ。

猛暑の昼間、眠れない人のためのCDは、涼やかな水音で体感温度を下げてくれる。BGMとしても心地よく、リゾート地にいるような気分は、心身に優しく、そして節電効果も!?

森は水族館


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選んだレストランは、まるで森の中の水族館だった。四方がガラスに囲まれ、森の底に沈んでいるかのような錯覚。景色が見え過ぎてしまうということは、なんだか落ち着かない。緑が揺れると、風の中にいることも分かる。久しぶりの友との時間なのに、どうも話が上の空になってしまった。

ここは八ヶ岳の麓。ネットで一枚の写真に魅せられ、ここにしようと決めた中学校のミニクラス会。「お前のセンスはいいよ」と友らがいつもより喜んでくれた。

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30種類以上の旬の地元野菜を使用した一皿。野菜一つひとつの力強い旨味が伝わってきた。この他に、スープ、サラダ、デザート、コーヒーがつく。
Sが「なんかヴィーガンの食事みたい」と笑った。

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〆は豆乳のアイスクリーム。「まるで女子会のランチだね」と、おっさん四人は大満足。

レスレスレスレス


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まさかこの歌が発端でKDDIの通信障害が起きたとは思えないが、こんなエピソードが「天声人語」に紹介されていた。

通信障害が起きた日、スマホが使えないために公衆電話を探していた人が、ようやく電話を見つけ、掛けようとしたら、小銭がないことに気づいたというのである。スマホやカード決済の習慣で、現金の持ち合わせがなかったようだ。

新しい日常が機能しなくなったとき、思いがけぬところにも被害が及んだ。貨物列車の遅延、アメダスの配信トラブルなど、様々なインフラに影響が出た。

一元化していくことで起きるもう一つの「レス」は、ストレスだった。

紫陽花、萎れる


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紫陽花の花も葉っぱも下向きに(2日土曜日)


不思議なもので、今日の30度があまり暑いとは思わなくなった。とすると、いずれ35度を超える日が続いても、慣れていくということだろうか。

「YAHOOニュース」に「猛暑で異変?」というアンケート結果が載っていた。

・あじさいが一気に枯れた(滋賀県)
・まだセミの鳴き声が聞こえてきません!(東京都)
・路上にミミズがたくさん干からびていた(千葉県)
・蚊が少ないような気がします(福岡県)
・日傘を差す人が増えた(神奈川県)
・ダンゴムシが幾つかひっくり返って干からびてました(東京都)
・皮膚疾患が悪化(岩手県)
・猛暑が関係あるかわかりませんが今年は竹がやたらに生えてきます(福島県)
・毎年咲く、ダリアの花背丈が伸びる前に花が咲きだしてます(千葉県)
・鳥が飛んでいません(岡山県)

その他にも栃木県の農家では、サツマイモが根の奥まで熱で腐っているというニュースもあった。

こうした気づきは、温暖化の情報として、共有していくことが大事だと思う。
「歩キ眼デス」でも五感を働かせて、チェックしていきたい。

分かっているけれど・・・


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通り抜ける時、一瞬、涼しい


分かっている・・・けれど・・・暑い

作家、平野啓一郎氏がFBに「自分が生きている間は、恐らくもう、これより酷い夏しか来ないと思うと、悲しくなる」と書いていた。

そうなのだ、ボディブローのように続くこの暑さこそが、地球からの返事(メッセージ)なのだ。分かっているのに、我らは、返事ができずに、書いては消し、書き直しをただ続けている。

マイクで叫ぶ候補者たちも、この課題には言及しない。

べこ餅


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懐かしい故郷のお菓子「べこ餅」。見た瞬間に、その味わいが口に広がった。なぜこんな形をして、こんな色をしているのか。

北海道では、端午の節句にどの家でも上新粉と砂糖で作っていた(記憶に薄い)。黒い方は黒砂糖が入っている。白と黒で牛のホルスタイン柄だから「ベこ餅」。そんな見た目で命名されたとあった。

口に含むと、思っていた通りの味わい。故郷の風が吹いた。


紫陽花


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朝、小さな蜘蛛はまだ眠っているのかな


紫陽花の原種は、日本のガクアジサイで、それが世界に広まった。そんなこともあってか、どんどん新しい品種が開発されている。日本人が好きだと云うこともあるのかもしれない。

最近の新種では、この万華鏡。島根県の農家と県が共同開発した紫陽花だ。


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たしかに万華鏡を覗いたみたいだ

梅雨明け


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上に花が咲いた!


関東地方が梅雨明けしたようだ。にもかかわらず、東京電力の「供給見通し」は、まだ梅雨の真っ最中!?

温度計という「嫁」と、限られた供給電力量という「姑」の間に挟まれながらも、東電「息子」は、「水分補給を行って、暑い時間帯には適切に冷房などを活用して・・・」と、工夫をアナウンスしている。

「本日の電力使用状況」という表示もいよいよ始まった。

そして「酷暑」「食糧不足」「物価高」。
この三つも「頭・体・財布」の三つに打撃を与えていく・・・

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ムクゲも咲き出した

幸運の虫


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天道虫は、世界の多くの国で幸運の虫と言われている。飛ぶ姿を見たら、願いが叶うというが、いいことは起こるのだろうか。

一方、選挙カーが通り過ぎていくと、良からぬものを見た気分になってしまう。

梅雨の晴れ間


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新宿通りを一本はずれると、下町のような一角がある。紫陽花とムクゲが道を覆っていて、真っすぐには歩けない路地。近所からクレームは出ないのだろうかと、思いながらも好んでこの道を通っている。

この紫陽花の少し先には、例のシロバナネムノキ、そしていまコンロンカが目を楽しませてくれる。振りかえると一軒の銭湯があって、懐かしい思い出がひとつある。


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ゾウムシ


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驚いて固まってしまったゾウムシ君。先日のセブンサミットで出逢った甲虫の仲間で、ゾウムシ科、名はヒメシロコブゾウムシ。ヤツデなどの葉っぱを食べている。

初めてゾウムシを見つけたのは小学4年だったか。大きさは2㎝くらいのオオゾウムシ。日本最大のゾウムシで、こんな甲虫がいるんだと驚いた。それから、甲虫の美しさと種類の豊富さにハマってしまった。

虫好きはいくつになっても変わらない。甲虫らしき虫が飛んでいると、追いかけて手で捕えてしまう。

セブンサミット


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ガスらなければ、富士山が前方に見える


誰が命名したのだろうか。南高尾山稜外周コースにある7つの山を総称してセブンサミット。曇りの土曜日、やや強いメンバー5人で大垂水峠から登攀を開始した。約30分、急坂を登り切ると最初のピーク大洞山に到着。

しかし・・・暑い。気温は高くないのだが、湿度があり過ぎだ。おまけに風がないため蒸し風呂の中を歩いているような感覚。

熱中症になってはいけないと、頻繁に止まっては水分補給をする。ここでオヤジギャグ。

「熱中症より、ねっ、チュウー しよう」を呟くと、力なく睨まれる。ますますアツい。。

コースの登山道は、よく整備されて安全。そして木の植生が豊かで、歩いていても飽きない。少しずつ高度を下げながら、残りの山を登っていくというのも嬉しいものだ。

七つ目の山、草戸山を登り切って気が弛んだわけではないが、高尾山口までに繰り返される上り下り、むしろセブンサミットより、後半がキツかった。達成感というよりも疲労感?たっぷりの一日となった。

しかし、下山後のビールは美味かった〜

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泰山木


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この花を鑑賞したら、すごすごと引き下がる、一言呟いて・・・

 タイサン ボク

香りは高貴。遠い世界へと誘うような香りを漂わせていた。


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梅雨明け


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立ち葵の花が、一番上まで咲くと梅雨明け。そうだったなと、蕾を数えてみる。7月中旬頃だろうか。線上降水帯なるものが、今年は列島に発生しませんようにと願って、通り過ぎる。

菖蒲!?


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吹上菖蒲園は、満開でした


ご存知だろうか?「しょうぶ」と打っても、「あやめ」と打っても、「菖蒲」の漢字が出る。随分乱暴ではないか!と、誰かに文句を言いたい。

だからか、いくら教えられても、アヤメなのか、カキツバタなのか、ショウブなのか、ハナショウブなのか、はたまたアイリスなのか、分からない。

一つ覚えたのは、乾いた土でも咲いているのはアヤメ。


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おじさんが、まだ咲いているのに次々と摘んでゆく


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駅のホームにアナウンスが響き渡る。女性の声だ。でもイントネーションがおかしい。一文字、あるいは単語を繋げているかのような話し方。たぶん、AIによる声なのだろう。

バスの中や公共の空間で聞こえてくると、なにか未来都市に立っている気分になる。昔は、列車(古い〜)が駅に到着する度に、尾を引くように駅名が連呼されて、郷愁を感じたもんだ。

今はテレビでもAIの声でとか、AIの◯◯ちゃんがお話をしますと断りが入る。ケチらんとチャンと人が喋れよ〜、と言いたい。
人の仕事が無くなっていくぞ〜


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先週見つけた、シロバナネムノキ。夕方はどうなっているのだろう?と、再び訪れると〜なんと!咲いている!!
葉はすっかり眠ってしまって、昼と真逆だ。この時期だけのお楽しみ〜


シロバナネムノキ


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世の中知らないものがあるものだ。事務所近くの狭い路地に見つけた白い花!?。小さな纏のようでもある。葉を見るとオジギソウか、はたしてそうか。

ググると、シロバナネムノキとあった。昼間はこんな姿だが、夜になると丸いボンボンのようになるらしい。ほんとかね〜。帰りに見てみよう。

シロバナネムノキといえば、アカバナユウゲショウが浮かんだ。いま、路地でも見かける小さな花だ。

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歩9day


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クチナシの八重を見つけた


昨日はすっかり九日だと思って、我が家まで歩いてしまった。9日は、歩く日と決めているのだ〜「歩9day(アルクデ〜)」。

マスクをせずに荒木町を抜けていくと、すれ違う人は皆マスクをしている。ところが居酒屋を覗くと、カウンターではマスクなしの飲んべえたちが、ワイワイと楽しそうにやっている。

おかしな光景ではないか。外を歩く人がマスクをして、お店の中ではノーマスク。あ〜こりゃこりゃと、笑いながら通過していく。すれ違う人の中には、ノーマスクの人がけっこういる。

こうして少しずつ平時に戻っていくのかなと思いながら、約一時間、我が家までの新コースを歩いた。


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カツラ


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樹形とハート型の葉っぱですぐ分かる


香りは、花ばかりではない。ふわっと甘い香りがした。カツラの木だ。この時期にも香りを放つんだと、葉っぱを嗅いでみるが、さほど強くはない。

新緑の樹形が美しく、葉は鬱蒼とはならないので、涼しげに感じる。

バレリーナ


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御苑のどこかに、八重のドクダミが咲いていると聞いていた。ところが苑内はドクダミだらけ。そう簡単に見つからないだろう。視線を下げてゆっくりと歩きはじめた。

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コースの3/4ほどを歩いたが、まったく発見できず。バラ園のそばのベンチで宛内地図を眺めていると・・・温室近くに「ドクダミ」の4文字を見つけた。ここだろうか。

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周辺は広く、なかなか特定できない。地図に指を当て、辺りを見回していると、三角コーナーのような場所に、ありました。まあ、なんとかわいい。ぴょんぴょんと八重たちが飛び跳ねている。

だれも気づかない。かがみこんで草原のバレリーナたちの舞いをしばらく撮り続けた。


環境の日


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スズカケノキにも緑がつき始めた


へえ〜、そんな日があるんだ、ラッキー!
土曜日、「環境の日」ということで無料開放された新宿御苑の玄関前の告知に喜ぶ。春夏秋冬、我が庭のように散歩コースは、ほぼ決まっている。

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まずはラクウショウを見ようと、人の少ない西側の道を辿っていく。スズカケノキ、メタセコイアといった高木の下を通っていくと、もう人影はまばら。ラクウショウの木道に通行禁止の札がある。仕方がない、ここから眺めよう。

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ドクダミの花が一面に咲いていた。ここから「母と子の森」を抜けて、「上の池」へ。ここは広い。楕円形に刈られたツツジが、日本庭園の雰囲気を強調していた。

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御苑は桜の頃、決まって入園者が増え、入園規制が行われていた。それが影響したのだろうか、三年前、突然入園料が500円に値上げされた。

公営の公園でお金を取ると云うのは、ありえないと外国人が言っていた。それでも大都会のオアシス御苑は、人が絶えることはない。


バラ


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都会のど真ん中、大きなバラが咲いてい

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紀尾井町ガーデンテラスにて


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風が強いのだろうか。事務所の外から風の音が止むことなく聞こえてくる。なんだか心強い。

今年に入って、何度か耳鼻科に通っている。最初は中耳炎の症状。二度目は、右耳の聴力が落ちていると診断された。心当たりはないが、時々ワンワンと音が響く。それもしばらく続く。雨の前後に多いので、気圧のせいかもしれない、と思っていた。

テレビのリモコンの数値が高くなっていることが多く、家人に注意を受ける。低いと聞こえないので、「いまなんて言ったの?」と訊ねる。

このやりとりが続くのはよくないと思い、聞くのを止めにした。いろんな部位に変化が現れている。・・・永遠はないのだ、と静かに受け入れている。


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木蔭に入ると、風が抜けていった。ヒンヤリとしたその瞬間の快感。
風に吹かれる気持ちよさ・・・これに勝る幸せはあるだろうかと思う。

いま見えているもの
聞こえているもの
いま匂うもの
触れているものだけで
どうして満足できないのか

谷川俊太郎の詩に、こんな一節があった。

この感覚、どれもカタチのない透明なものばかり。
ときには植物のように追い求めず、感じること、受け入れることだけをと思うのだが・・・。

サギ


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深夜、FBに映しだされた広告のコピーに心が動いた。

コロナウイルスの影響により、弊社のキャッシュフローが悪化し、実店舗での運営を維持できなくなり,全店舗閉店となりました。ただし、倉庫にまだロレックス腕時計300個ほど在庫があるため、ネットで在庫一掃激安セールを実施します。在庫無くなり次第終了しますので、どうぞ、お見逃しなく!

そうなんだ・・・・と、時計の写真をクリックすると、こんな画面が現れた。

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なんと、一千万円のお値引き!


えっ、48時間だけのセールとある。デパート、ROLEXの文字に惹かれ、気がついたら時計を選んでいた。とりあえずこれを一つ買ってみようかな・・・。

でも、一応、配送などをチェックしておこうかと、「私たちに関しては」を読んでいくと、日本語が変!?かもと、気づいて、これはサギだと分かる。

思えば、在庫一掃とはいえ、デパートが99%も割引くわけがない。ROLEXのロゴに惹かれ、危うくカードを引き出していたかもしれない。

FBには、まだこの画面が出ている。どれだけの人が騙されているのだろう。それにしても、この写真を選んだ犯人のサギレベルは高い。

恋は、雷のようなもの


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観客、わずか8名。ドキュメント映画「瀬戸内寂聴 99年を生きて思うこと」の観客数を数えていたら、いつのまにか映画が始まっていた。

日曜日。気温が30度を超えている、どう過ごそうか?。こんな日は、山ではなくて、涼しい映画館か・・・。とマークしていた映画を観ることにした。寂聴さんの新聞のエッセイを読んでいたこと、そして恋仲だった男のこと、その男の娘・井上荒野の小説「あちらにる鬼」を読んでいたこともあり、〆はこの映画だろうと選んだ。

すでに観ていたテレビのドキュメンタリーの映像を使いながらも、いくつかのフィードバックを繰り返すことで、重厚にまとめられていた。心を寄せた人(ディレクター/監督)に見せる姿が愛らしく、作家の本音を上手く引き出すその人の語りの技量は、なかなかのモノと感心した。

「恋は、雷のように落ちて来るのだから、打たれるしかないの」。これは名言だと思う。救われた人はどれほどいたことだろう(笑)。

そんなことを思いながら、少し涼しくなった西新宿のビル街を抜け、我が家までの道を歩いていた。

私の前を・・・


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通り過ぎていった花たち。ではない。私が通り過ぎていったのだ。というわけで、紹介できなかった花たち。

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春好きな花の一つ、山のミツバツツジ

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テンナンショウ、別名マムシグサ

匂う


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この二つの花を植えているお宅がある。テイカカズラとニオイバンマツリ。足を緩めて匂いを嗅ぐ。競うかのように、どちらも強い香りを放っている。
どんな人が住んでいるのだろう。

紫陽花


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歌を詠みたくなる


紫陽花は、雨に似つかわしい花だと思う。この季節を選んだのは、水をたくさん必要とするからだろうか。

上京した年、この時期の雨に音を上げた。北海道では一番良い季節なのに、連日の雨、そしてジットリとした湿度に体調を崩しかけた。まるで外国人だなオレはと、うな垂れた。

ところが、慣れてくると不思議なもので、このウェットな感じ、悪くないと思っている。透明傘に流れていく雨と紫陽花の組み合わせ、なんとも好い。

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?ジョオン


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写真を撮っていると、知らない人にも聞かれる。
「この花は、どっちですか?」

よく分からないので、春に咲くのがハルジョオン。夏以降に咲くのがヒメジョオンと、勝手に決めています。

これを教えてくれたのは、亡くなった友人のSだった。見分けがつかないのだから、それでいいのだよと。

この花を見つけると、ふとSを思い出してしまう。

アサギマダラ、リンドウ、ヒメジョオンと人に繋がっていることに気がついた。


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先週末で終わったMさんの個展、曲線のオブジェは楽しげだ


パラソル


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今日のランチはオニギリにしようと、四谷アトレのエスカレータを上がっていくと、色とりどりのパラソルがお出迎え。お〜、粋なことをするじゃんと、嬉しくなった。

パラソルを使ったこんな表現を時々見かけるけど、梅雨の鬱陶しさを逆手にとって、華やかさも生まれて、とても良いアイデア!

誤送信


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もうすぐ黄金色になるはずのコバンソウ

我が家のFAXが鳴った。ゴゴゴゴッと音がして、一枚の送信表に「ご送金いたしました」とある。ナニナニナニ!と色めき立った。文面を読むと、ある区役所の送信ミスと分かった。

内容は、とある保育園が区に申請をしていた案件に対し、区が振込みをしたという通知だった。「こんなふうに山口県のある町では、オッチョコな担当者が、誤送金したのだな」と独りごち。

それにしてもあの男、オンラインのカジノで勝てるとでも、思っていたのだろうか。海外ならまだしも、こんなおかしな事件が日本でもあるのかと、いささか驚いた。

じつは、どこかに隠しているのではと睨んでいる。警察のこれからの調査に期待をしているのだが・・・さて。


コゴメウツギ


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植物に詳しいHさんが「これはコゴメウツギです」という。たしかに「小米」だ。写真にとっても、その大きさが分からないので、手を差し伸べた。

これより少し大きい種類が、ヒメウツギ。五月の山には、いくつものウツギが見られる。マルバウツギ、ハコネウツギ、タニウツギなど、どんよりした空にしっくりとくる雨の花だ。


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虫たちの活動も始まった

寄り道


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ナンジャモンジャノキ


八王子城に向う途中、鬱蒼とした緑の庭をもつ一軒の家があったので、玄関から恐る恐る声をかけた。

「素敵なお庭なので、少し拝見させてください」

「どうぞどうぞ〜」

素敵な庭は、見てもらいたい庭でもあるはずだから、ダメですという人は、まずいない。「失礼します」と奥に入ってゆくと、手造りのピザ釜と東屋があって、その回りを様々な低木が囲んでいる。

「主人が造園の仕事をしているので、全てが手造りなんです」

テイカカズラ、エゴノキ、ウツギ、ナンジャモンジャノキ、テッセンと初夏の花が満開だ。さらに二カ所ほどに湧き水!?があって、水琴窟、メダカの泳ぐ池と、子どもになってしまいそうな仕掛けが施されている。

「あ〜こんな暮らしがしたい」とメンバーのFさんがポツリ。季節の移ろいとともにある暮らしは、心穏やかなことだろう。山登りを忘れて、しばしお話を聞いていた・・・。

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玄関には、可愛い鬼が対になって迎えてくれる。ググると「庭カフェ〜作庭家 林好治の世界」が出てきた。これはもう、素敵なご夫婦に違いない。

美し郷
http://www.hayashiteien.co.jp/umashisato/index.html


八王子城址


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ハコネウツギは・・・

鎌倉山の翌日は、裏高尾の八王子城址を訪ねる。さすが山城、これでもかというくらい、城址は遠かった。登り終えても天守閣はさらに奥、よくぞここを落城させたものだと感心する。

途中から関東平野が一望できる箇所があった。駿河湾、横浜、六本木、スカイツリー、筑波山、さらに男体山までが眺望できるとなると、ここに城を建てたくなる思いは分かるような気がした。

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紅く色を変えてしまう

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卯木の季節、これはマルバウツギ

鎌倉山


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西側には雲海から丹沢山系が顔を出していた


先週末、そろそろ会おうよとなって、家人と鎌倉山に住む女友達を訪ねる。20年ぶりの再会だ。ドアツードアでちょうど2時間。鎌倉山のバス停で下りると、小犬を抱えて待っていた。大きな池のある公園を抜け、山頂近くのマンションにおじゃまする。リビングに入ると広い窓からドーンと小高い山が見えた。

ベランダからこんな豊かな緑の景色が見えるというのは、初体験だった。山の向こうに江ノ島、富士山、丹沢が見える。眺望にうっとりしてしまい、20年ぶりの会話はすぐに始まらなかった。

「素晴らしいところに移って来たんだねえ〜」と、話が始まった。出逢ってから40年。その半分は、手紙や電話のやりとりだった。共通の友人たちのその後、家族のこと、日々の暮らしなどを語り合っていたら、あっという間に4時間が経った。20年も4時間もあったという間だ。

噂に聞いていた鎌倉山は、リゾート地のような別世界だった。軽いカルチャーショックを抱えながら、帰りの車中でググると、200メートルくらいかなと思っていた鎌倉山は、なんと標高520メートル。高尾山より上だった〜!

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真ん前が江ノ島、そして富士山〜、我が家と比較してしまう

ウスバシロチョウ


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風に乗るように優雅に飛んでいる白い蝶、もしやと思って近づく。止まった瞬間に、この一枚だけを撮った。フサフサの体毛から、そして翅のスジ模様からして、間違いなくウスバシロチョウ。珍しい蝶である。

150万年前の氷河期を生き残って、今日まで至ったという証の密生した体毛。極寒の世界を生き延びてきた変わらぬその姿に、愛おしさを感じた。


GW(4)シャクトリムシ


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シャクトリムシの歩行はユニークだ。6本の足は全て前にある。後ろは、足のような吸盤で、これを上手く使って前進する。危なかしくって、見ていて飽きない。

時おり、後ろの吸盤を支えにして立ち上がり、風の匂いを嗅いでいるかのようにキョロキョロとした動きをする。目は見えているのか!?

そんな動きをするものだから、多くが鳥の餌になってしまう。うまく蛹になると、シャクガという蛾なる。

シャクトリムシの名は、等間隔で歩くことから「尺を取る」ので、この名前が付いたとあるが、距離からすれば、尺ではなく「スン(寸)トリムシ」では(^^♪


GW(3)カーテンを洗う


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三日目からは、我が家の人になる。全てのカーテンを取り外して洗い、干す。これだけで三日もかかる。部屋が広いのではなく、ベランダが狭いのだ。干し上がるまでの時間は、資料や書籍のかたずけ、そして散歩と読書。散歩に出ればお気に入りの和菓子店で、豆餅とミタラシ団子を買ってくる。

新しい散歩コースで見つけた和菓子店。一口食べて、眠っていた「豆餅命(いのち)」が目を覚ました。遂に発見〜!!家人が呆れるほど、ごそっと買って、しみじみと食べる。塩味がほんのり効いて、しっかりとやや固めの黒豆は、その存在を主張してくる。

枝豆、黒豆、鞍掛豆(くらかけまめ)・・・いま、お気に入りの「みつ豆」だ。

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つい買い過ぎてしまう


GW(2)ウォーキング


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幹廻り約6メートル、樹齢は推定で400年の松本楼の大銀杏


二日目は、恒例となった日比谷公園までのウォーキング。今年で4年目。我が家から車の少ない新宿通りをひたすら半蔵門に向って歩く。半蔵門に突き当たったら右折して、お堀沿いを国立劇場、最高裁判所、国会議事堂を横目に見ながら桜田門へと下りてゆく。

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伸びてしまったワラビを拡大すると


お堀サイドには、ワラビがわんさかと伸びている。もう十年以上も前、家人と「勿体ないこと〜」と言いながら摘んでいると、警官がやって来て「もしもし、いけませんよ」と注意された。どうやら見えない監視カメラがどこかで睨んでいたのだった。

そんなこともあって、毎度おなじみの愚痴をこぼしながら、ワラビは「撮る」だけにして「勿体ない」を収める。

お堀を見ると、冬鳥の多くが飛び去り、いるのは、オオバンとカワウの数羽だけだ。

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ようやく日比谷公園の松本楼に到着。指定席は、大銀杏の前と決めている。カラッカラに喉が渇いていたので、生ビールとステーキ一枚が乗ったダイナミックサラダを注文。ヒンヤリの木蔭で、至福の時間。

遠くの喧噪を聞きながら、柔らかい光をうけていると、リゾート地にいるのではという錯覚に陥る・・・。

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GW(1)生藤山


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ツツジと木漏れ日の山道

皆さんのGWは、どんなだったのだろう。まずまずの天気に恵まれ、久しぶりの遠出を楽しまれた方も多かったようだ。こちらは、恒例の安近短コースでゆったりの時間を楽しんだ。


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時おり、山桜の花びらが舞ってくる

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フカフカの尾根道

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さらにフカフカの森の道

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前半の一日目は、990mの生藤山(神奈川県)へ山仲間3人と登山。深緑から新緑のグラデーションに揺れる山道を約二時間半かけて無事に登頂。楽しみにしていた富士山の眺望は、すっかり緑に覆われてしまった木々が邪魔をしてかなわず。

それでも久しぶりに登った千メートル峰の達成感を味わった。五月の風と優しい陽光をうけてのおにぎりの味は、至福の時間。一年の美味しいところを摘んでいるような幸福感に充たされた。

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バス停のある里山へ下りると、谷間を埋めるように鯉のぼりが泳いでいた。かつては、ここにも多くの子どもたちがいたのだ。泳がせる人も眺めている人も、今は年寄りばかり。山間の鯉たちは、たまには帰ってコイ〜と泳いでた。

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お庭御免


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お土産の栗のマロンパイ


長野の二日目、小布施に立ち寄った。友人のSに、「栗の木テラス」のモンブランを食べたいとお願いをしていた。店内が混みあっていたので、テイクアウトをして裏の小道に入ると、以前テレビで放映されていたコーヒーを焙煎して飲ませてくれる店を見つけた。

蔵を改装した趣きのある店構え。中に入って注文してから「以前、テレビで拝見したお店だと思うのですが・・・」と訊ねると「三年前のNHKの『小さな旅』で紹介していただきました」と云う。

「お嬢さんは、お元気ですか。お友達と小道を走っていましたね」と記憶を辿って話すと

「よく覚えていらっしゃいますね」と感心された。大切なことをよく忘れるが、小さな感動は、どこかに仕舞われているらしく、ふとした時に思い出す。

小布施には、「お庭御免」という文化があって、どこの家の庭も平気で通り抜けができる。花を愛で、ゆっくり散歩ができる。この日は、裏のベンチでコーヒーとモンブランの時間だけで終わったが、季節の良い時にまた訪れ、お庭御免を楽しんでみたいと思った。


水芭蕉


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当初は、斑尾山(1382m)を登ろうと予定していていたのだが、まだ積雪があるとのことで、花の散策に計画を変えた。春の代表格は、なんといっても水芭蕉。飯綱高原のむれ水芭蕉園を訪れると、遊歩道周辺は歌でも歌いたくなるほどの花盛り。それは尾瀬とは違う小さな水芭蕉に、なにか一安心した。


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近くには、リュウキンカやカタクリの花も見つけた。


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巨樹


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桜好きの友人S夫婦に誘われて長野は戸隠、飯綱周辺を回って、たくさんの桜の巨樹を見てきた。いま桜は、標高の高いところも見頃で、リンゴやモモ、モクレン、レンギョウなどが一斉に満開を迎えていた。

吹きこぼれる、沸き出す、覆いつくす、そばに寄ると桜の巨樹は人を呑みこんでいく。風をうけると一気に花びらを飛ばす。しかしそれでもなお、満々と花を抱えている。

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あらゆく角度、遠近、遠くの景色と合わせたりして、その優美で悠然とした姿を眺める。こんな贅沢な楽しみ方があったのだ。

200年から300年を経た荒々しい樹皮は、美しい花とは対照的だ。ゴツゴツとした中に秘められた静かなエネルギーを感じた。リオのカーニバルのごとく、この一瞬のために一年があるのだ、云っているかのように。


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初夏


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ここの家の前を通るのが愉しみ


散歩をすれば、ハナミズキと新緑が目に入ってきて、初夏の入口にいるかのようだ。日々、緑は濃くなり、花の蕾がどんどん開いて、歩くのが楽しい。

服装も軽やかになり、今日なんかTシャツ、ポロシャツの若者を随分見かけた。後一ヵ月、たっぷりの初夏を楽しみたい。


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下から見上げると涼しげ

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新緑と一緒だと映えるね

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出遅れました〜

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香りで伝えてきます

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路上を彩るベニマンサク

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もうヒメウツギが〜

けやき


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自然界のことはよく分からないが、福井県の小浜にダイオウイカが打ち上げられたとか、佐賀県のある民家の黒竹が120年ぶりに花をつけたとか、珍しいことが起きると、なんか不吉な予感がする。

そんな心配はご無用と、何色もの緑色をまとって、ケヤキは風にまかせて揺れていた。淡い緑と黒い幹との美しいコントラスト。未来を捕まえているかのように揺れていた。


初蝶


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モンキチョウは撮らせてくれなかった


初蝶は、ヒラヒラと目の前をいくモンキチョウだった。その年、最初に見た蝶がもし黄色だったら、幸せな一年になるよ、そんなことを教えてくれた人は、元気でいるだろうか。
毎年、蝶を初めて見た時に、そんなことを想う。


タンポポ


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タンポポを見ると童心に還る。春、タンポポの中で時間を忘れ、遊んでいた幼い頃。そんな日々が、なんか特別であったような、そんなことを思い出させるのがタンポポだ。


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菜の花


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雨上がりの土曜日、ORMACのメンバーと東武線・高麗駅から巾着田、奥武蔵自然歩道、天覧山を経由して、飯能駅までの約10キロをハイキングした。

雨の上がった空は澄み渡り、新緑と花々を春色に揺らしていた。曼珠沙華の群生地として有名な巾着田には、この時期、菜の花畑がいくつもあって、その圧倒される黄色の広がりにただ見入った。

彼の地で戦をしているなんて忘れてしまう。「こんな日があったなんて、思いたくないね」と呟いてしまった。


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揺れる


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戦争のもつ不条理を考えることが多くなった。笑っていること、美味しいと感じること、良いお天気だなあと見上げること、こんな当たり前さえ奇蹟の連続なのではと思ってしまう。

地震、カミナリ、火事、オヤジ。こんなことが怖いと思っていた時があった。

捨てない生活?


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調べると37年前にリリースされたアルバム


先日、五木寛之氏の「捨てない生活」という、断捨離とは一線を画す逆の発想・生き方をオンライン配信で聴いた。捨てずに「モノを依り代に生きる」というもので、深く感心した。

そうだ、捨てなくたって良いのだ、と家人に同意を求めたところ、「寝室のいくつもの紙袋、何が入っているかも分からないのでは」と云われた。

ズキッと刺さり、ひとつ一つチェックしていくと、一つから、LPレコードがドサッと出てきた。買った覚えのあるもの、借りていたもの!?、サイン入りのものなど、どれもお宝だった(はずだ)。

もうレコードプレーヤーがないのだから持っていてもしょうがない。よし、破棄しようと決めると「もしかしたら・・・誰かに」と云う家人。処分を任せた。

中島みゆきの録音テープ、沢山の手紙、付き合いの長かったジャケットなど、サヨナラできないモノがあった。
あったことさえ忘れていたモノたち、さてどうする!?

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これに到っては44年前のアルバム


吟行歌会の歌


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以前、吟行歌会は景色を眺めての歌づくりだったが、江戸の歴史に詳しい案内人Yさんにナビゲーターをお願いしたことで、歴史(時間)という空間が加わり、歌作りに深みが出てきたように思う。


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今回の板橋宿から一席の歌、三首を紹介する。

この橋の先に
京を
夢見たのだ
眼下には
花筏      宇佐美友見

縁切榎の絵馬
目隠しシールの下の
闇の深さは
神様だけが
知る      渡辺加代子

宿のある
ところに
歴史あり
人生あり
 疲れあり   いわさきくらげ




はじめチョロチョロ


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板橋の商店街を歩いていると古い蔵をリホームしたお店を見つけた。中を覗くと、竃で炊いたご飯をお弁当にして販売、そして奥と二階は和風レストランになっている。お店の右側のへっつい(かまど)では、二つの大きな釜で、ご飯が炊きあがろうとしていた。

薪で炊いたご飯のいい香りがする。なんか懐かしい匂いだ。こんなところが下町らしい。ご飯もそうだが、風呂も薪を使うと湯が柔らかく感じる。古き佳きものを今に伝える。それも若者が、うれしいことだ。

「はじめチョロチョロ、中パッパ」。最後は、「赤子泣いてもふたとるな」で終わる。昭和の誰もが知っていたお呪い。消えていきかけた言葉が、いま復活していた。


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板橋宿


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週末は、吟行歌会。桜の散るなか、京都へと続く中山道へ、日本橋から数えて一番目の宿となる「板橋宿」界隈を散策した。案内は、いつものように歴史・演芸ライターの山口師匠だ。

板橋宿は、上宿、仲宿、平尾宿の三つ宿の総称で、それぞれの宿には名主がおかれ、旅籠(宿屋)は約50軒、2500人の人たちが暮らしていた。

宿泊客は旅人だけではなく、旅人の見送り人や飯盛女(宿場女郎)目当ての客もいたそうで、おおいに繁栄したらしい。しかし明治に入ると中山道の役割も薄れ、宿も次第に寂びれていき、板橋遊郭として賑わいを変えた。

いま、仲宿のメインストリートは賑やかな商店街となり、多くの人で活気づいている。宿といえば飯。タイムスリップしたかのように、何軒もの米屋とその倉がそのまま残っていたのが印象的だった。


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縁切榎
縁を切りたい人が通ったと云う名所で、榎に触ったり、樹皮を煎じて呑むと願いが叶うと云われた。現在の榎は、三代目。今もその信仰は活きているらしく、願いが書かれた多くの絵馬がぶら下がっていた。


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榎の樹皮を剥がされないようにと竹で防御

板橋宿の旅籠で働く飯盛女と呼ばれた人たちを想って、こんな歌を詠んだ。

飯盛女
この逞しき呼び名よ
飯も
女も
山盛りにして


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板橋と云う橋があるとは知らなかった

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球春


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よく見かけるワカケホンセイインコ


大谷翔平、開幕戦のピッチングは、上擦ってしまい投球数を増やしたが、それなりにまとめた。次は打って、勝利投手をもぎ取ってほしい。
花と野球とフレッシュマンと、季節はようやく動き始めた。


花筏


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セグロセキレイ君


春の雨と風で桜はすっかり花を散らせていた。わずかな風に、残り少ない花が舞っていく。咲いて、散って、安らぎを与えてくれる桜は、日本人の心と共にある。


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もうすっかり蕊だけになっていた


数独


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モグラも温かさに気づいたかな?


このパズルを見つけると、どうしても解きたくなる。解き方を覚えると、レベルの高いものを求めていくのは世の常で、「難関数独100問」を買った。

難しさのレベルは半端なく、果てしない宇宙を行くがごとくで、十年経っても解けない難問がある。何日もかけて、ようやく解けた時の達成感は喩えようがない。その日の日付を小さく書き加えている。

すぐに解けないときは、出題者を褒め称えているが、時間の経過とともに恨み節の一つも出てくる。「これは解けんだろう」・・・。

解けはじめるとき、不思議な思いが沸く。意地悪の中にもユーモアがあったり、ミステリーのようスにトーリーがあったり、出題者とやり取りをしているような幸せな一瞬が訪れる。

小川洋子著「博士の愛した数式」の「素数」を偏愛する博士の思いだろうか。今は亡きMさんのベットのそばにこの数独の一冊があった。余命を知っていたMさんは、孤独と痛みをいっとき忘れたかったのだろうか。深夜、数独と向き合っていると、Mさんのことを思いだす。

「忘我。人生には、そういう時間があってもいいのではないか」と数独出題者が話されていた。数独は、いろんな役割を果たしている。


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10年間、解けない難問

寝不足


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新宿西口公園の芝生広場では、若者たちのお花見が多かった

朝ドラの「カムカム〜」を観て、少し気分転換になったが、酷い夢を朝方まで見てしまい、寝不足。その夢とは、ロシアの戦勝記念日の軍事パレードに、反対派の人たちと一緒に大立ち回りをするというもの。

シュプレヒコールを上げた後に烈しく衝突し、逃げ回る、水をかけられる、殴られる?こんな繰り返しが、延々と続き、ヘトヘトになっていく。

朝方、夢であることが分かって、このままだと寝不足になる、気持ちを落ち着かせようとしていた。なんでこんな夢を見たのだろうと思ったら、前夜、ウクライナでの戦争犯罪のニュースにショックを受けたからだと分かる。

戦勝記念日に堂々とパレードだと!?そんなこと許せん!と苦々しく思って寝たのが悪かった。これは正夢で、その日に、なにかが起きるかもしれないと、密かに期待をしている。

外国人もお花見を楽しんでいた


兼高かおるさん


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新宿駅からわずか五分の常泉寺にて


週末、冒険家、登山家の本を読んでいたら、ふと兼高かおるさんのことを思い出した。その昔「兼高かおる世界の旅」という番組があった。

旅行家の兼高かおるさんが、ナレーター、ディレクター、プロデューサーを一人でこなし、世界各地を駆けめぐり、その風俗・文化・歴史などを紹介する構成で、当時の国家元首から秘境の地に住む村人まで様々な人たちと接し、幾多の冒険にも果敢に挑戦するという、世界を知らない少年にとっては、とても刺激的な番組内容だった。

とくに驚いたのは彼女の美しい言葉だった。進行役の芥川隆行に話しかける丁寧語、敬語、謙譲語に、こんなきれいな言葉があるんだと聴き入った。

ある時、アフリカの未開のような地で、虫の幼虫を口にした映像が流れ、芥川隆行の質問に「酋長さんが、勧めてくださったんですの」。少年だった私は、ゲラゲラ笑った。

動物の骨を鼻に差し込み、裸同然で槍を持っている人たちに囲まれ、彼女は笑っていた。それは、まさにカルチャーショック。知らない世界への驚きよりも、彼女の感性と人間性に感動を覚えた。

「・・・ですのよ」と、モノマネを学校でやっては、友達とはしゃいだ。
綺麗な言葉使いの人に出会うと、兼高かおるさんを思い出す。


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夜の枝垂は幻想的だ


はや四月


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4月1日、20歳だった成人年齢が18歳に引き下げられ、いろんな値上げがスタートをした。桜は散りはじめたが、大谷はまだかいな・・・と口にしたくなる、春半ば。暗いニュースの多いなかで、希望は大谷翔平だけかな、と桜を眺める・・・。


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言いにくい


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春場所、優勝したのは、軽量力士の若隆景(わかたかかげ)。双葉山以来、86年ぶりの新関脇での優勝で、大関候補となった。しかしこのしこ名、じつに言いにくい。
わかたかかげ。家人は、なんど繰り返しても上手く言えない。わかかげたか、わかたげかた・・・(笑)

命名した親方は、もしかしたらキャリーパミュパミュのファンかもしれない。
と思っている。


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上野公園の枝垂、京都・丸山公園にはかなわないか


大相撲


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相撲が好きだ。小学校の頃は、皆相撲に熱中した。土に大きな丸を描いては、仲間たちと相撲をとった。強い子は高学年も投げ飛ばした。下駄には、若乃花、栃錦など人気力士のしこ名が書かれていた。高学年になると、大鵬、柏戸に変わった。

小学校に入る前、相撲放送は一人ラジオで聴いていた。その頃の力士は軽量なので、皆動きが早い。早いからアナウンサーも、早口で喋る。若とか栃とか、略して喋り、二度繰り返して話すことが多く、スピード感が増した。

その声を聴くと、体に力が入って、拳をキツく握った。「投げた投げた」「吊った吊った」でカラダが動き、そして「残った残った」で息を取り戻して、腰を据え直した。

何年も放送を聴いていると、力士の様子を頭に描くことができるようになった。「手を伸ばして左はタテミツに」「無双を切った」「小手を巻いて右内掛けに」、そんな声に、体は力士になった。

いまでもラジオ放送を聴くと、四つになった力士の組んだ姿が浮かぶ。荒い呼吸も聴こえる。想像するということは、この時に学んだのかもしれないと、いま思う。

場所が始まると、今楽しみにしているのは、元横綱北の富士のコラム「はやわざ御免」だ。遠慮なしのキレのいい語りぷりは、力士時代と同じ。じつに小気味がいい。

昨日80歳になったが、男前は変わらない。相撲好きの内館牧子がこんな句を詠んでいる。

初場所や 心の恋人 北の富士

ヤンチャがよく似合う男である。


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さくら さくら いざ舞い上がれ
永遠にさんざめく光を浴びて
さらば友よ またこの場所で会おう さくら舞い散る道の上で

神田川の桜並木を歩いていると、森山直太朗の桜(独唱)が、耳元を奏でる。



蔓(まん)を持して


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長い規制だった・・・3月22日、蔓(まん)を持して、この歌を出した。

図書館


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我が家からすぐの処に区の図書館があった。本棚のようにして利用していたが、急に閉館になった。すると中学校の跡地に新図書館が完成したというので、どれどれと見学した。

以前の1分から今度は10分(トホホ)。中に入ると、その環境性と充実さに驚いた。児童書だけのフロア、辞典だけのエリア、ジャンル別のエリアも広く取られていて、明るく開放感がある。

並べられた大きなソファには、4人の中年男性らがしばらくは動かんぞという空気を醸し出している。壁のカウンターには、イヤホン学生たちがズラリ勉強中。閲覧席では、ホームレスらしき人がうたた寝。

その他、赤ちゃんコーナー、子どもラウンジ、授乳室、ミーティングルーム、そして企画展用の小さなスペースと至れり尽くせり。

公共施設も変わったなあ〜。今度、絶版の本をリクエストしてみよう。

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三階吹き抜けに本ビッシリ

浅き川も深く渡れ


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Kさんは五人の登山家の他に、写真家・星野道夫も紹介された。彼もまた人生という旅の最中にヒグマに襲われ命を落とした。43才という若さだった。

彼の言葉の多くは覚えていたつもりなのに、小学校の卒業アルバムに記した言葉「浅き川も深く渡れ」は知らなかった。こんな素敵な言葉を小学生が書くのだろうか。
いや星野道夫ならありえると思った。

浅そうな川であっても用心して渡れ、がその語意だが、星野が書いたのなら、もっと深い想いが込められているのではと思ってしまう。

なにか起こしている時、小さなことであってもきっと意味がある。そう思うことが大切だ。こんなことくらいしか思いつかない。

そしてなぜか、開高健の「悠々として急げ」を思い出した。


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登山家がいた時代


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氷雨と雪で、開花はしばしお預け


昨日、山岳会の知人で「山と渓谷」の元編集長Kさんの講演会を聴いた。タイトルが「登山家がいた時代」。1964年、東京オリンピックが開催され、日本は経済大国への道をひた走った。あらゆる分野で国際化が進み、登山界もおおいに影響を受け、若きクライマーが世界の山へ挑戦していった。

植村直己、加藤保夫、山田昇、長谷川恒男、小西政継といった伝説の登山家らがそうだ。彼らは、日本人初、世界初を目指し、冬季、単独、無酸素といったより困難な状況のなかで、険しいルートから山の頂を目指した。

個性ある人たちばかりだが、多くが四十才前後で山で亡くなっている。
山への真摯な姿勢、情熱、そして天性の素質があって、達成のための努力を惜しまない。そんなスペシャリストたちが山で命を落とす。

山には魔力のような魅力がある。山との向き合い方を高めようとすれば、当然リスクも高くなる。いくら経験を重ねても、年齢から来る体力は確実に落ちていく。Kさんは、それも落とし穴だったのではないかと推察していた。

多くの山は登り尽され、エベレストが大衆化してしまった今、登山家は、登山者、登山客と呼ばれるようになった。

Kさんは、約十年をかけて彼らの足跡を世界に辿って、一冊の本を上梓された。「未完の巡礼」。Kさんとお話をしてサインをいただき、会場を後にした。

いい話を沢山聞いて、心は熱くなった。この本で彼らを追いかけてみたい。


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植村直己の北極点犬ぞり単独行に夢中になった


青い影


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雪に映る影は青い、それを詠まれている歌があった。二月に谷川岳で撮った一枚にも青い影が映っている。こんな発見を歌にするなんて、親近感を覚えるなあ。

凍てつく日  空の青は
雪の上に
散歩中の
犬の影さえ
青く刻む          萌子

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そして青い影といえば、プロコル・ハルム。もう半世紀以上も前の歌だから、御存知のむきは少ないだろう。この曲が、バッハの「G線上のマリア」がベースになっていると知り驚いた。
二つの曲を比較できるサイトを見つけた。


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この雨で開花は三連休かな?


鳩サブレ


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鎌倉駅のそばで鳩サブレを買った。これといったインパクトがないので、印象は薄いのだが、家人が食べたいと云っていたのを思い出したのだ。

店に入ると大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の影響なのか、はたまたパラリンピックの会長が「ピース」と世界にメッセージを送ったからなのか、どのレジの前にも多くの客が並んでいる。

丸みのあるカタチ、そして香り、口にすると温かな気持ちになった。創業120年、鳩は永遠なのだなあと、変わらぬ味に染み入る。


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夕べの地震には、驚かされた。一週間くらい余震がくるかもしれないので、心づもりだけはしておかなければ。

文旦


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柑橘系で何が好きか、と聞かれたら、文旦(ブンタン)と応える。15年ほど前、高松の友人N君に四国を案内してもらった折、高知の果樹園でこのブンタンを初めて口にした。

その大きさ、皮の剝き方に驚いていたら、「この美味さはサイコーだよ」と云われ、口にすると爽やかで瑞々しい味わいに驚いた。こんな美味い果実があったとは・・・。感激して20個ほど買って我が家へ送った。

ところが、届いた文旦の半分は時期を過ぎていた。ガーン。ショックだったが、ジャムを作ったところ、香りもうま味もそのままの文旦ジャムができた。

そして今回。文旦の皮を捨てるのは勿体ない、とピールに初挑戦。レシピを見ながら、なんども湯でこぼしたのだが、苦みが残った。

ピールづくりの名人Tさんに聞いたところ、苦みを消すポイントは「おろし金で皮を削る」だった。残りの一個、週末に再度挑戦しよう。


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湯でこぼすこと3回、冷蔵庫で寝かせて、砂糖で煮詰める

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100度のオーブンで加熱

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一個でこんなに沢山できました〜♬

鎌倉アルプス


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二ヵ月間、見送られていたORMACのハイキングを開催した。北鎌倉駅から明月院の横を抜けて、鎌倉アルプスの最高峰「太平山」を目指す。アップダウンを繰り返して、進むこと約二時間で山頂に到着。湘南の海、そして鶴岡八幡宮が見えて鎌倉殿の9人は満足。

ランチしてからの下山コースも、ロープの急斜面、小さな渓谷、切通しなど、なかなかのバリエーションルートを楽しめた。鎌倉へ下りると、梅どころか桜、コブシが開花を始めていた。


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明月院の梅を見て

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太平山で春うららのランチして

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里に下りるとコブシ、桜が待っていた



ウォーキング


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我が家から一時間かけて事務所まで歩く。途中、新宿御苑横の散策路を通過している時に、発見!まぎれもなくフキノトウ。そしてそのすぐの水たまりでミドリガメが泳いでいる。
春のワンシーン。週末にかけて気温が上がっていくようだ。

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高層ビル


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ここは、我が家から歩いて五分くらいの散歩コース。フェンスの下は神田川だ。いつもここをひと回り(約6500歩)しながら四季の花を楽しんでいる。

以前は、遥か向こうに副都心が見えるだけだったのに、いまや巨大ビル群が乱立し、接近、包囲されていくかのよう。まるで彼の国のように。


春は海からも


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天気予報士の南さんが、サクラの開花時期を予測していた。今年は3月21日だそうだ。南さんは、この10年間の正解は、一度だけ。すべてはこれからのお天気次第らしい。
いよいよあと二週間でサクラか・・・。

そして今朝のご飯に桜えびが加わった。聞けば、隣り駅の大きな魚屋さんで買ってきたという。贅沢ですねえ〜と云いながら、ご飯といただけば、ほんのりの塩加減で、フワッと春が広がった。


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箱一つで、なんと298円〜、安〜!

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3月21日らしいぞ


ラッセル


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雪をこいで前に進むことを山言葉ではラッセルという。このワンちゃん、飼主がスノーシューを装着している間、ずっと雪の中をラッセルしていた。嬉しくてしょうがないのが分かった。


沈丁花


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花粉がおさまった夕方、神田川沿いを歩くと、所々で好い香りがする。もうこんな季節。椿はまだ蕾のまんまだというのに、沈丁花が満開になっているところが一カ所。
寒々しい色をしているからか、香りも冷え冷えとした感がある。


ある光景


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先日、20人くらいのご婦人らが、この彫刻を囲んで、なにかミーティングをしていた。代表者らしき人が、像の隣りで話をされている。そんな光景を二階から眺めていたら、ふいに可笑しくなった。みんな集中して聞いているのだろうか!?

館内に音楽ホールや美術館があるので、見学者か関係者かもしれない。立ち姿もよく、なんとなく品のある方たち。だからか、なおさら可笑しくて、クスクスが止まらなかった・・・。

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テレビで会えない芸人


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友人Kさんが勧めてくれた映画「テレビで会えない芸人」を先週末、地元のポレポレ座で観てきた。鹿児島テレビ制作のドキュメンタリー映画で、主演はコント集団「ザ・ニュースペーパー」の元メンバー、ピン芸人の松元ヒロさん。この映画は、彼の活動と暮らしの一年間を追っている。

彼はテレビには出ない、出られない。テレビも彼を避ける。彼は「政治」と「社会」をネタに、たっぷりの毒で笑わせながら、権力を風刺し、モノを言えぬ今の風潮を浮かび上がらせる芸を持ちネタにしているからだ。

例えば政治と金を扱ったネタでは、声もそっくりに「まあアソー セメントください」などと、メディアが取り上げられないブラックな笑いで、観客を楽しませる。

というわけで、彼に会えるのは舞台だけ。公演が決まるとすぐに完売。チケットがなかなか手に入らない。

落語家、立川談志が「他の人が言えないことを代わりに云ってやる奴が芸人だ!お前を芸人と呼ぶ」と彼の芸を観て評し、自分の舞台によく招いたという。

異質なモノを攻撃し、排除するような理不尽で不寛容な社会へ、彼の芸は訴え、問いかけていた。

叩かれ、パッシングされ続けると、モノが言えなくなる風潮がある。そしていつの間にか、戦争が始まって、誰も抑えられなくなっていく。そんな今の状況において、松本ヒロさんの生き方と芸は、凛々しく、そして逞しく映った。


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かもしか


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ロープウェイの窓から眼を凝らして生き物を探していると、人の足跡ではなく、転がる雪の跡でもないラインを見つけた。その跡を辿っていくと、木をひと回りしたり、孤を描きながら上に向っている。

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お、あれは、かもしか?。ズームにして、ピンを合わせる。雪の中にジッと踞っている。ぽかぽか陽気の下で昼寝でもしていたのだろうか。

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同系色だから分かりにくいが、春の山ではよくカモシカに出会う。八ヶ岳では、4、5メートル先にいたカモシカをしばらく眺めていたことがあった。


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八年前の八ヶ岳でも出会った


谷川岳


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週末の山は、無風そして気温が上がるとの予報。なら谷川岳から雪山を見よう!と決めて、早朝に出発した。谷川岳は、いままで正しく下から登っていたが、今回はロープウェイを使用。

こんなピーカンなのに人が少ない。なぜと思ったが、少ないのはスキー客で、すでに多くの登山者がピークに向っていた。

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ロープウェイ山頂駅から谷川岳の猫の顔を思わせる山容が見えた。岩の部分がなんだか猫の目のようで面白い。左のピークがトマノ耳、右がオキノ耳。時間的に山頂までは登れないと判断。眺めのいいところで360度を楽しむことにする。

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雲ひとつない空の向こうに朝日岳、巻機山、そして昨年登った平ガ岳が見える。眼下には、ピッケルの使い方、イグルー(カマクラ)造りの講習をしているパーティがあった。春を思わせるような温度(摂氏4度)で、一休みして汗を拭く。

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稜線をアップにしてみる

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さらにアップにすると

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もう下山している人がいる


腰を下ろして、空気を嗅いで、山の音を聴く。風がないのがありがたい。稜線部を望遠で撮る。アイゼンをつけての登りも下りもさぞかし気持ちがいいことだろう。この空の果てに戦争があるなんて信じられなかった。

久しぶりに「こんなことをしてられない!」を実現して、すっかり山屋さんになった。


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空と大地


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Oさんのフェイスブックのプロフィール写真がこの二色に変わっていた。しばらく、眺めた。Oさんの明確な主張が汲み取れた。こんな分かりやすい思いと伝達があったのだと、感心した。

そして、哀しくなった。春は菜の花をはじめとした、黄色の花がいっぱいに咲く季節。青空の下で、誰もが待ち焦がれていた景色のはずなのに。

地平線を少し下げてみた。

空の青 春の花の黄色
そんな
季節のはずなのに
そんな
国旗に見えるのに


富士山の日


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今年の富士の雪は、一段と美しく映える


2月23日ということで、223(フジサン)の日。山梨県が平成23年に条例にしていた。

日本人に愛される富士山。「銀座」と同じように、全国には富士の名がつく山が沢山ある。せっかくだから、いくつ登ったのかを調べてみた。

蝦夷富士(羊蹄山)、利尻富士(利尻山)、知床富士(羅臼岳)、オホーツク富士(斜里岳)、津軽富士(岩木山)、岩手富士(岩手山)、出羽富士(鳥海山)、吾妻富士(西吾妻山)(東吾妻山)、会津富士(磐梯山)、吾妻小富士(摺鉢山)、筑波富士(筑波山)、天津小富士(浅間山)、御岳富士(御岳山)、越後富士(妙高山)、戸隠富士(高妻山)、富士ノ折立(富士ノ折立)、加賀富士(白山)、大野富士(荒島岳)、お馬富士(仙丈ヶ岳)、諏訪富士(蓼科山)、戸隠富士(高妻山)、伊那富士(戸倉山)、湯河原富士(岩戸山)、伊豆富士(大室山)、都富士(比叡山)、豊後富士(由布岳)、薩摩富士(開聞岳)

その数28座、富士の名が付くとは知らずに登っていた山もあった。
中学校の時に羊蹄山、そして、大きな失恋をして羅臼岳。ここから山登りが始まったのかもしれない。

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今年の初夏に予定している伊吹山も雪が深い

蓋開け


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「これ懐かしいでしょう」と、妹からこんな写真が届いた。正式名はなんと云うのだろう。蓋開けでいいのだろうか。昭和のノスタルジーだ。

瓶に入った牛乳のフタは、これで開けられていた時代があった。

冬、中学校の教室は、大きな石炭ストーブ一つで暖をとっていた。ストーブの上にはいつも蒸発皿が置かれ、湯気がやんわりと揺れていた。三時間目が終わると牛乳が運ばれ、何人かがフタに自分の名前を書き、蒸発皿の湯の中に入れた。

牛乳は、四時間目が終わる頃、温かなミルクになるはず・・・が、ときおり底が抜けてしまうことがあった。

教師が白濁した中を覗いて、割れた生徒の名前を告げた。すると小さな歓声が教室内に響いた。懐かしい思い出である。

蓋開けは、銭湯の冷蔵庫の横の柱や壁にも紐で吊るされていた。火照った体に、この蓋開けを使って飲むパンピー(乳酸飲料、製造中止)は、美味かった〜。

描くひと 谷口ジロー展


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友人のYさんが、ふらりと事務所にやって来て、「この作品展、なかなかいいよ」とチラシを見せてくれた。漫画家、谷口ジローの作品展。以前、Yさんが貸してくれた「神々の山稜」シリーズ、そして「孤独のグルメ」で、すっかり彼の絵のファンになっていたので「行きましょう」、と応えたのが、先月末。


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土曜日、世田谷文学館で彼の作品をじっくり観た。結論は「人は生きている間にこんなにも多くの精密な絵を描けるものだろうか?」だった。まず、彼の作品世界の視線が素晴らしかった。

草むらの下から、雪の降る天空から、主人公の眼から、主人公の遠くから、まるで映画のシーンを観ているかのような世界が丹念に描かれていた。

作品の多くは小説をベースにしている。関口夏生の「事件屋家業」、夢枕獏「神々の山嶺」、川上弘美「センセイの鞄」などの作品世界が、絵で楽しめるのだ。


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センセイの鞄のワンシーン

たとえば「センセイの鞄」。主人公のツキコが高校時代の恩師でもある古文の先生と、居酒屋のカウンターで出会うシーンがある。二人は一人の客を挟んで、お互いをなんとなく確認する。そこからの時間が好いのだ。

じつは。このシーンが好きで、このページを何度も開いたことがある。懐かしいような、恥ずかしいようなシーン。釘付けになって眺めた。そうか、谷口さんのセンセイは、こんな人か。ツキコさんは、なるほど・・・。こんな楽しみ方を各コーナで、時間を忘れて眺めていた。

セリフが、一つもない漫画もあった。言葉は読み手!?に託されていることが分かる。言葉の無い世界の瑞々しさ、静けさ、透明さに気づく。時間や自然、発見や出会い、谷口ジローが伝えたかったことは、一人ひとりにそれぞれの物語がある。命の尊さがある。
そんな彼のメッセージを受け取った。


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夢枕獏作「神々の山嶺」

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夏目の漱石の書斎を漫画で

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「描くひと 谷口ジロー展」
〜2月27日まで、世田谷文学館で

老舗


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我が家からすぐの商店街では、古いお店が次々に壊されて造成ラッシュだ。多分小さなマンションがいくつも建つのだろう。なんだか他所の街になっていくようで、寂しく心許ない。

仕事場の四谷も随分様変わりした。親しいお店のお婆ちゃん、お爺ちゃんはいなくなった。けれど、次の世代が受け継いで、変わらぬ味を守ってくれている。

創業百年の志乃多寿司。稲荷とかんぴょう巻きの二種類だけで、創業百年。頭が下がる。どちらも甘くてコクのある味つけが特長だ。コロナでこの店に通うことが増えた。愛想のいいお姉さんではないけれど、電話で注文をしておくと、「ハイこれです」と渡してくれる。


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そして鯛焼きといえば「わかば」。ここも約70年。ここのオヤジさんが、以前、新宿区議選に立候補した。選挙カーが事務所の前を通っていく。「鯛焼きやのおやじでございます」「わかばのおやじでございます」、他にもちゃんとしたことを言っていたのかもしれないが、この二つだけを覚えている。
選挙の結果、なんとトップ当選。尻尾まで入っているアンコの効果は絶大だった。

いつまでも伝統の味を守ってほしいと暖簾をくぐっている今日この頃・・・。

北斎VS廣重(3) 


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三十六景のいくつかにキュンとする風景画がある。この蒲原がその一つ。子供の頃、記念切手の収集が流行り、発売日には朝早くから郵便局に並んで「蒲原」を手にした。買った切手はセロハンで包み、切手帳に収めた。浮世絵、富嶽三十六景、オリンピック競技、天然記念物などのシリーズは毎月のように発行され、江戸時代に浮世絵を手にした大人と変わらない面持ちで眺めていた。

蒲原の宿は、雪の多い地域だったのか。番傘の人物は、雪が積もらないように蕾めてさし、雪下駄を履いている。深々と雪の降るモノトーンの寂しい景色のなかに、人物三人だけに彩色しているのは、自然と人の関係性を伝えようとしているのか。シリーズの中では好きな一枚だ。


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そしてもう一枚は、藍色だけでまとめたこの作品「甲州石班澤」。この字を「かじかざわ」とは読めない。石班(ウグイ)と読むべきをカジカと間違えたという説がある。

藍色の美しさに息をのむ。富士の前にたなびく霧、勢いよく流れる川を背景に、立ち姿の川漁師をまん中に据えて、静と動、面と線で上手く表現している。富士の裾野と漁師の網のライン、波と岩の方向性など、全てを計算したセンスに脱帽だ。


北斎VS廣重(2) 


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北斎は、悪戯好きだたのかもしれない。富嶽三十六景の作品中に、ある人物が、たびたび登場していることに気づいた。


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まずは「相州仲原」の絵に、このおじさん


いくつかの作品に、この変な顔のおじさんが出てくる。誰なんだろう。親しい友人だろうか。この人物には名前があったりして。江戸っ子に人気の芸人だったとか。それとも絵を見る「あなた」を想定して描いたのか。北斎のユーモアと稚気に、親近感を覚えた。いずれにしても浮世絵は、誰もが楽しめる大衆的な楽しみ(情報)だったことがよくわかる。


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「東海道吉田」の片隅にも・・・

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「東海道品川」では踊っている

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「身延川裏不二」では職人に

一方、廣重はというと五十三次の絵の中に「広」をあしらった模様、柄をそっと入れたり、絵の販売所を店の看板などにさり気なく書いたりと、こちらもセンスと商売上手が光る。

そして到着地、京都の三條大橋から身を乗り出して川面を眺めている一人の旅人は、廣重自身ではないかともいわれている。


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二人のユーモアとセンスは、壮大なテーマを緩く支えながら、江戸っ子たちの暮らしぶりや当時の文化を多いに想像させてくれる。

ヨーロッパの印象派の画家たちに多大な影響を与えた浮世絵。マクロの眼で楽しめるこの企画展は、見どころがいくつもあって、飽きさせない。

北斎VS廣重


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混んでるだろうなあ〜と思いながら、「北斎VS廣重」の企画展をネットから申し込む。ところが、行ってみると人が少ない。おやおや、三連休というのに、どうしたことか?もしかして、この企画展自体を世間は知らないのかな。

まず最初に、この二人のプロフィール、そして今回の見どころをビデオで学ぶ。浮世絵は「絵師」「彫師」「摺師」と三つの作業工程を経て作品が上がる。版画はこの三者の息の合った総合芸術なのであると・・・。

そしてこの企画展は「20億画素の超高精細デジタル記録と3次元質感画像処理技術により和紙の繊維の一本一本から微細な刷りの凹凸まで現物を再現させている」。それは・・・凄い発見だった。


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波の模様、馬のむしろ柄は、空摺という技で表現


北斎の作品。美濃和紙の質感をそのまま雲や波として浮き出させる、彫られた柄をあえて空摺りして透かし模様にする、淡いグラデーションを出すなどの手法を目の当たりにすると、浮世絵の奥深い技の世界に魅了される。


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この絵の繊細さを見てほしい。雨の降るなか、走っていく人たちの息づかいまで聞こえてきそうだ。

天才彫師、摺師の高い技を、デジタル技術によって目の当たりにすることができるこの企画展は、江戸文化の秘密基地だった。じっくり二時間、富士山と東海道、そして江戸の人たちの様々な姿を飽きることなく堪能した。


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ルールといえば


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我が家のルールの一つに「料理は後片付けまでがワンセット」というのがある。亭主がキッチンに入るようになり、新しくできたルールだ。レシピ確認、買い物、準備、料理、盛りつけ、これで終わり〜と思ったら、、そうではないという。後になると嫌になるから、手が空いたら、ササッと洗い物をする。すると広く使える、後での作業が楽になる。でしょ・・・と。

ごもっともです。というわけで、ボーッとせず、時間とスペースを上手く使えるようになり、お弁当作りも少し手際よくできるようになった。


雪便り


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photo by Ranta


オリンピックどころじゃないよと、雪国の人たちはボヤキながら雪かきをしているだろうか。天気予報の雪マークを見るたびに除雪作業の労苦を思う。
秋田の人からは、我が家も町も雪に埋もれてしまいました、とメールが入った。明後日から東京も雪予報だ。

さてオリンピック。

オリンピックのジャンプスーツの規定に違反して、高梨沙羅選手が失格になった。規定よりも2センチオーバーしていたのだという。

ルールを出されると、仕方がない。それにしてもオリンピック競技は、まさに人間ドラマだ。生まれた明暗は、大きな渦を起こす。喜ぶカナダチームと肩を落とす日本チーム。
騒然とした中で、失意と悲しみの高梨選手を支える仲間たちの姿が印象的だった。

高梨選手は、きっと次を目指すと信じている。いつか輝いた時、こんなエピソードがあったことを思い出して笑ってほしい。

それにしても、五秒間、頭を下げつづけた姿があまりにも切なかった。


映す


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パンデミック、オリンピック、感染より観戦。と、お呪いのようなことを唱えて、週末はオリンピック競技を観ていた。

モーグルという膝をガクガクさせた後に、空中で技を繰り出すと云う競技をいったい誰が考えだしたのか。カメラワークの進化によって、あのガクガクの体感が烈しく伝わってきた。頭を上下させず、獲物を追いかけていくチーターの走りにそっくりだ。

ジャンプでは、従来の側面からの撮影だけではなく、天空から追いかけるようなアングルで着地までの様子を映しだしていたし、スピードスケートでは氷の下から、ホッケーではゴールの中からと、スピード感やシズル感を映しだそうと、カメラはその一瞬を狙っている。

臨場感を映しだす、今大会のカメラワークからも目が離せない。


高尾山


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先週の日曜日、こんなことをしてられない、と立ち上がり、リュックに山用具を適当に放りこんで高尾山へ。年が明けたというのに、まだ一歩を踏み出していないことに気がついた。

京王線・高尾山口に到着。登りを下山によく使う稲荷山コースに決めて、田中陽希並みに急斜面をグイグイ攻めた。山頂まではザッと140分だ。11時スタートなので、人は少ない。正月から続けているスクワットの効果か、喘ぎながらもグイグイと上がっていける。


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いつも迂回しているので稲荷山があるなんて知らなかった

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雪のために山道が崩れたとかで迂回させられる

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見上げると溜息がでる380を数える木段


休憩は、撮影時と給水時だけと決め、ほぼノンストップ。最後の木段の前で、上を眺めて、ため息一つ。木段の数は約380だ。足元だけを見つめ、登りはじめる。途中で息が上がった人たちを追い越す。太股とふくらはぎがパンパンになっていくのが分かる。


人もまばらな高尾山山頂

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山頂にある新しくなったビジターセンター

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見えるはずの富士山は霞の中


終わりはいつか来る、息が上がる頃、木段が終わり、山頂が見えてくる。約80分で到着。かなり早い。ビジターセンター横のベンチで食事をとる。山頂は、ほとんどがケーブルカーで上がってくる観光客ばかり。

富士山は残念ながら霞の向うだ。新しくなったビジターセンターに寄って、下山コースを考える。少し悩んで、コンクリートの一号路から下りようと決める。
痛めている膝に負担をかけないよう、丹田に力を込めてゆっくり下山を開始。


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高尾山神社はあらゆるご利益がある

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ヤマアジサイは時間を止めたまま

到着は14時。よしよし、まだ登れる。
とりあえず今年のスタートは切れた。


'22・2・2


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明日は何の日か、ご存知?  
夫婦の日だろ。

ダブルの夫婦の日だよ、 なるほど。。
そんな会話があった昨日、郵便局で受付番号を引くと「777」が出てきた。

お〜昔なら、オールセブンのフィーバーだろう〜と、在りし日のパチンコを思い出した。これは1/1000の確立だから、なんか良いことありそうと、局員の女性に「これいただいていいかな」と確認して、財布へ。
はたしておトクは舞い込むのだろうか?

「夫婦の日」とかけて

「沖縄のお兄ちゃん」と解く

そのココロは「ニーニー」

失礼しました (^^;

心意気


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商店街を歩いていたら、半纏を着た青年から「これどうぞ」と渡された。なんじゃこれ?と、思いながら「ありがとう」と云う。すると「一つ質問していいですか」と聞くので、「どうぞ」と応じる。

携帯はどちらのメーカーをお使いですか?
ドコモだよ。

一ヶ月の料金は、おいくらくらいでしょうか?

なるほどね・・・
質問は一つじゃないの。これ返すよ。と云えば

すいません、どうぞ持って行ってください。

と言うわけで、「シュガーラスク味うまい棒」がテーブルにある。先日、このうまい棒の記事が新聞に載った。1979年以来、初の値上げ。10円から12円。

しばらくその記事を眺めた。数えると、43年ぶりの値上げ、それもたった2円。製造元である東京都墨田区のヤオキンという菓子メーカーの子どもたちへの愛情、そして値上げに踏み切らざるを得なかった無念さが伝わってきた。

いま、世界的なコロナ感染の影響で暮らしが脅かされている。輸入に頼る食材はその影響を受け、値上げが相次いでいる。

15円ではなく12円。昭和に戻ったかのようなこの値上げに、下町職人の心意気とこだわりに心が沁みた。


感動


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ダイアモンドダスト/photo by Ranta


久しぶりに、テニスで興奮し、感動した。全豪オープンテニス・男子決勝、中年の星、ラファエル・ナダルが5時間15分の戦いを制して優勝した。

2セット続けてナダルが落とした時は、体力的にみても次のセットで終わりだろうと思った。ところが不屈の闘志で、若手のホープ、ロシアのメドベージェフを睨みつけ、200キロ超えのサーブを連発し、ストロークでは声を絞り出し、そしてポイントを奪っての雄叫びで、セットを続けざまに奪い返した。

ケガから回復したばかりのナダルは、戦前の予想では勝率が低かった。ゲームが始まる前から、スタジアムの声援は、ほぼナダルだけに向けられた。

可哀相なのはメドベージェフ。ローマ時代、ライオンのいるコロシアムに放り込まれたたった一人の若き奴隷のように見えた。

それでも彼はナダルの応援を自分のエネルギーに変えてしまう不屈の精神を宿していた。パワー、技術、戦略、スタミナ・・・時間の神様もただ見守ってしまうような緊張の戦いが続いた。

終わりがあるとすれば、どんな終わり方だろう。誰もが想像したはずだが、誰も予想できないほどの拮抗した試合。静寂と歓声が繰り返される・・・終わってほしくないと思った。

しかし、全てには終わりがあるのだとばかりに、ナダルのショットが相手コートに強烈に突き刺さった。瞬間、ナダルは両膝を着いた。観衆は立ち上がり、割れんばかりの拍手と称賛の声を送った。
戦いの時間は昇華し、美しく霧散した。

歴史に残る試合を観てしまった。ここから私は変わらなければいけない。そう思うほどの、ナダルの姿がそこにあった。


ホシくらげノ會


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五行歌仲間のいわさきくらげさんと、ひょんなことから一昨年に、五行歌サークル「ホシくらげノ會」を立ち上げた。

設立趣旨を
「わたしたちは、五行歌が、自らを表現し、理解し合うための比肩なき器であるとの認識のもと、あたらしい風による、五行歌の更なる普及・発展を目指し、『ホシくらげの會』を結成しました」とした。

会の前半の活動は、先輩五行歌人と食事をしながらの談話、横浜ベイスターズの応援(なぜか)、そして後半はzoomによる歌会の講評、會の今後などを話し合った。

昨年の秋、ふたりの歌をカレンダーにというアイデアが出て、九首ずつを持寄り「山の星・海の月」なる「カレンダー型ミニ五行歌集」が完成した。
親しい五行歌仲間に見ていただいたところ、なかなか評判なのだ。


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よろしかったら一部いかがでしょうか。
限定50部。販売価格は千円(税・送料込)です。


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また「いわさきくらげ・五行歌卓上カレンダー」も販売中です。
限定10部。販売価格は千円(税・送料込)です。

どちらもお申し込みは
メール arkmds@3coco.info へ
よろしくお願いいたします。

黄色の花


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もしかしたら、と近づくとやはりロウバイ。里山では数輪の花が甘い香りを漂わせていた。ロウバイが咲くと、黄色の花が次々に綻んでゆく。近所ではレンギョウとジキタリスも咲きはじめた。そしてミモザ、マンサク、福寿草、菜の花へ。黄色の花たちよ、オミクロンを吹き飛ばしてくれ〜〜。

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レンギョウだと思うんだけど・・・

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首を長くしているジキタリス

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 10日前に見たミモザの花と



薪ストーブ


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子供の頃、家の暖房は薪ストーブ一つだった。薪を割るのは子どもの仕事で、火が熾きるまでの手間や時間、いい想い出はなかった。なのに、冬の山小屋で薪ストーブに温められていたら、無性に欲しくなった。

爆ぜる音、マキの匂い、ストーブの上の薬缶の湯気、そして柔らかな暖かさ。煙突から上る煙、積まれた薪・・・そんな光景を眺めると、薪ストーブ愛に火が点る。

炎を見ていると、時間の過ぎてゆくのを忘れる。男は火から離れられないのかもしれない。


高円寺


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我が家からほぼ二駅、暗渠だけを歩いて高円寺駅にたどり着く


JR中央線には「寺」の字がつく駅が三つある。国分寺、吉祥寺、そして高円寺。どの駅も若者に人気があり、若者密度が高い。とくに高円寺は、青春時代からそのまま住みつく人が多いせいか、店舗のオーナーは若者ばかりだ。

二十代前半、高円寺に三年ほど住んでいた。当時中村雅俊の演じるテレビドラマ「俺たちの旅」そのままの生活をしていた。つまり友と酒、ほぼこれだけの日々。友人Nと一軒家を借りていたために、週末になると悪友が訪ねてきた。深夜まで議論をしたり、麻雀をしたり、近所中に声が響いていたのだろう。お巡りさんが、二度ほどやって来た。

遠くに住む大家さんからも注意を受け、気をつけますと応えたが、悪友らは容赦なかった。やがて優しい大家さんは、引越しにかかるお金を出しますから、出ていって欲しいと懇願した。

悪友たちが訪ねて来なければ、この街に住んでいたのかもしれない。そんなことを思いながら、若者の優しいエネルギーに満ちたこの街を歩いた。


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暗渠からこのパール商店街、そして純情商店街へと繋がっていく

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二つのお店に入ると、若い人たちが店の利用法を教えてくれた

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どの店もとにかく安い、この街に住むと出られなくなるかも

太宰治


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生まれてすみません。太宰治と聞けば、このフレーズを頭に浮かべる。高校に入ってから太宰にハマってしまい、二十歳のとき、猛吹雪の冬、友人Sと共に津軽の斜陽館へ。さらには太宰の乳母サヨさんの家を探し当てて、そこへ押しかけた。
若さ故の行動だと今にしては思う。

玄関口でサヨさんの息子から、母が老いていること、そしてあなた達のような太宰ファンが訪ねて来て困っていると聞き、謝罪してすぐに辞した。

斜陽館の隣りの旅館に一泊した。夕食の時、どっしりとした女将が太宰のことを津軽弁で話してくれたのだが、なにを話しているかまるで理解できなかった。戦時中、そこの小屋(広い太宰家の庭の一角)にいて、なにか情けない風体だったと云っていた(推測)。


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太宰が好んで着ていたマントが掛けてあった

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そんな日があったことを、先月オープンした太宰治展示室で思い出した。

フグのヒレ酒


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ちょっとオシャレなグラスで


寒い日が続く。こんな夜は、ビールをさっさと切り上げて、フグのひれ酒だ〜と、昨年下関で買ったフグヒレを出して、まずは熱々の燗酒をつくる。そしてフグのヒレを焦げないように、ゆっくりと火で炙る。

好い香りがしてきたら、耐熱のグラスに放りこみ、そこへ熱燗を投入。そしてすぐにフタをする。グラスの中を覗くと、フグヒレから僅かなエキスのようなものが出始め、酒とゆったり絡んでいく。ここが、たまらん/その1。期待感が増していく。

たまらん/その2は、蓋を開けた瞬間の香りだ。「ク〜〜」と声が出る。この香りで、上手くいったかどうかが分かる。酒がヌルい、ヒレが半生だと、そうはいかない。そしてたまらん/その3へ。

「アチアチ」といいながら口に含むと、鼻から口からフグの魔力が押し寄せる。そして、しばし浮遊〜〜。もう肴なんか、いらない。目を閉じて、フグの毒に身をまかせる。

フグのヒレ二枚で、こんな幸せが訪れるとは・・・でした。


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時間が経つと酒が少しずつ飴色になっていく

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秋田の姐さんからこんな写真が届いた


バードウォッチング


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カワセミをよく見るようになった。瑠璃色をした小さな飛翔体なので、すぐに分かる。さてどこに止まるかと眼で追っていくと、だいたいは小魚がいそうな小枝に止まる。
いつ飛び込むかと観察していたが、なかなか動かない。では次の鳥を探しに・・・。


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するとすぐ近くにいたのがヒヨドリ。赤い実を好んで食べるなかなかの大食漢だ。あっという間に実を食べ尽して飛び去った。


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そして珍しいアオサギ。小魚だけでなくけっこう大きな魚、カエルや鳥のヒナまで食べる。頭に黒い冠羽があるのが特長だが、この日は追い風になって、目立たなかった。


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アオサギの近くにダイサギがいた。サギの仲間では一番大きい。脚と首が長く、飛んでいても歩いていても優雅だ。捕食シーンを見ようと思ったが、なんせ寒い。鳥たちの一日は、ほぼ捕食活動に費やしている。生きていくのは、大変なのだ。


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アオサギやダイサギが来ても平気なカモたち

フユシラズ


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冬枯れの雑木林のなかで、オレンジ色の小さな花を見つけた。以前、陽だまりのなかで、この花を見たような記憶があるが、思い出せない。調べてみると「フユシラズ」。いい名前だ。

冬知らずとは、つまり「寒さ知らず」の「冷え知らず」か。原産地は地中海沿岸で、日本に帰化したとあり、冬から春にかけて長期間オレンジ色の花を咲かせるようだ。この寒い中を、よく堪えているねえ。


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人影の少ない冬の雑木林、枯れ葉を踏む音が響く


マイバック


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二代目のマイバッグ


「まん延防止措置」がいよいよ適用されそうだ。これが発出されると、お昼はおにぎりを買うか持参して、外食を控えることが多くなる。

マイバックは二代目で、もうヨレヨレ。弁当ばかりでなく書籍や酒、お菓子、雑貨等を収納できるのでじつに便利だ。

マイバックが定着するまでには時間がかかった。お店で提供される無料のポリ袋は、ゴミ袋にもなるので重宝されたからだ。しかし海の環境汚染のニュースが広がると、海洋生物ばかりでなく我々の健康にも連鎖的に繋がることが分かり、プラスチック容器やポリ袋をなるべく使用しないコンセンサスが生まれた。

もう四半世紀前、東京都のごみの有料化、分別、リサイクル、そしてマイバックキャンペーンと約二年間、欣ちゃんや当時のスタッフと有意義な仕事をした。清掃局の現場は毎回、大変だったと思うが、新しいルールが生まれていく、そして定着していく充実感があった。


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欣ちゃんが若い!


火山


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昨年辺りから、火山に関する記事をよく目にするようになった。地球の歴史は、火山噴火の繰り返しで、大きな爆発が起きると住民だけではなく、当時の文明すらも滅亡させた。

火山噴火の規模を図る単位にVEI(火山爆発指数)がある。もっとも大きな単位が、VEI 8の「破局噴火」。ウィキペディアにはその規模を「地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火形式を表す用語。地球規模の環境変化や大量絶滅の原因となるものを指す」とある。

一昨日トンガで起きた火山爆発がVEI 5〜6規模だという。あれだけの規模で、まだVEI 5〜6・・・ということは、8の破局噴火が起きると人類は一体どうなるのだ。

そんな心配をよそに、里山では蝋梅の蕾が開き、甘い香りをさせていた。


雪だるま


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壊されないもの、壊せないもの、それは雪だるま。融けながら、温かなものを伝えていた。


石川啄木


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石川啄木顕彰室の前にある石碑


啄木の歌一つをスラスラと言える。

しらしらと氷かがやき千鳥なく釧路の海の冬の月かな

この一首を覚えたのは、若い頃だった。壁にかけられていた短冊を見て、鳥好きの私は「えっ?」となった。冬の釧路にチドリはいるんかい?。チドリは夏だろう。そう思って何度か読んでうちに覚えてしまった。

情景は美しいが、鳥を間違えているのではないか。冬に千鳥は鳴かないだろう。などと今でもこの歌を口ずさむたびに、そう思う。

26歳という若さで亡くなった啄木。歌の多くに哀切の情が込められている。
しかし、その放埒な人生はあまり褒められていない。小説が認められず、浅草で遊びまくって現実逃避を繰り返した。借金を踏み倒し、売春宿に通いまくったと記されている。

それでも、啄木の歌は人気だ。太宰もそうであるように破滅型の天才は、人の心を今も動かし続ける。

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小石川七福神


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南蔵院に安置されているしばられ地蔵


先週末はイベントが目白押し。今年最初の吟行歌会は「小石川七福神」巡りでスタートした。「七福神巡り」はどうやら全国的な正月の行事。最初に音頭をとったのは地元商店街か自治体で、あくまでも地域振興が目的のようだ。

人が動けば、お金も落ちる。そして足腰によく、運気にも繋がるとなれば、七福神はまさに「福の神」となる。江戸の案内人、Yさんの案内で茗荷谷駅からスタートする。

小石川界隈には、七福神よりも古くから顔を利かせていたキャラたちがいた。最初のビックリは「しばられ地蔵」。なんじゃこりゃ?江戸時代から庶民の信仰を集めていたお地蔵さんで、縄をかけながら願いをかけ、かなうと縄を一本外す。

お地蔵さんを見ると、縄が多く残っている。ということは、もしかしてご利益が少ないのだろうかと思ってしまった。


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そしてとぐろを巻いてその上に顔という奇妙な男弁財天が徳雲寺にありました。弁財天と聞けば女性のはずが、男性なのだ。昔のお祭りにでていたような怖い風体だが、下町ではユニークな姿でも神様であれば受け入れていたようだ。

最後に現れたのは、こんにゃく閻魔。眼を患っている老婆に片目を差し出したという閻魔は、喝!といたお顔でこちらを睨んでいた。これも夜見ると怖い顔だ。七福神を巡ってスタンプ8つをいただいたのだが、印象に残ったのは七福神よりもこの3つのキャラだった。

その他にもジッと見つめてしまう可愛いキャラやパワースポットがあった。また訪ねてみたい。


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ミニサイズの鳥居がスクランブル状態!?

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人気は啄木終焉の地にある「石川啄木顕彰室」


ラグビー


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これが隈健吾が設計した競技場か・・・その広さにまずは驚く。
娘と二人で大学ラグビー決勝を観戦する予定が、国立競技場が会場と知った家人と娘の連れ合い、「ぜひ観たい」となって急遽参戦となる。

冷え込んだ日曜日、これでもか状態の厚着にホカロン、そして冷えたカラダにジンワリと沁みるホットワインを抱えて、第三コーナーの指定席へ。前々日降った雪はフィールドの外にかき出され、青空と芝の緑が眩しい。

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検温、持ち物チェック、消毒をして入場

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この景色は、競馬場、野球場と同じ

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数日前の深夜に、伝説の決勝戦「雪の早明戦」を観ていた。1987年、この試合をテレビ観戦してから、ラグビーにハマったのだ。

その試合に出場した選手の多くは、社会人、日本代表となり、後に大学や社会人ラグビー部の監督になった。早稲田の清宮、今泉、堀越、明治の吉田、大西らがそうだ。そんなことを思い出しながら、一段と大きくなった選手たちを見ていると、感慨深い。

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明治のラインアウトに自軍の選手がキャッチ

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明治ようやくのトライにOBの歓声

約一時間半の肉弾戦は王者の貫禄か、帝京大学がダブルスコアで勝利する。帝京の主将の雄叫びが、何度もこの広い競技場に響き渡った。
どれだけデカイ声なんだ。

ノーサイドとなって両軍が向かい合い、親指を立てて健闘を讃えあう。このシーンはいつだって気持ちがいい。
今年の暮れはいよいよワールドカップ、楽しみに待とう。

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七草


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一月七日は人日の節句。七種の野草の入った粥を食べて、邪気を祓い万病を除くという風習が残っている。さらに御節料理で疲れた胃を休め、野菜を摂取できる。そう聞いていたので、今朝、静かに一杯いただいた。
けれど、昼前にはお腹が空いてしまった。

春の七草といえば、「せり なずな おぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ」となり、これを洒落たのが「五行はこべば」。
アルキメデスの帰りによろしければ、お立ち寄りください。




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事務所の西の窓から


屋上で雪だるまをこさえているのだろうか、二人の子が雪を楽しんでいる。子どもは雪が好きだ。都内のあちこちで、無心に遊んでいることだろう。

昨日一昨日よりも寒さを感じない。思えば雪の日を寒いと思ったことはなかった。風がなければの話だけれど、雪の日は、心を温めてくれるから!?。

オミクロンもこの雪とともに解けていってくれるといいが・・・
夕方、雪は止んだ。


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北国の景色になりました

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樹氷のよう


卓上カレンダー


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年末、カレンダー作りに励んでいた。写真の他にも3種類。最後の一つは本日入稿。小さな卓上カレンダーではあるけれど、思いを込めて向き合うことができた。鳥のカレンダーも五行歌のカレンダーも、日々、見てくれる人が、ほんのちょっぴりでも温かくなってくれればいいなと。

写真と言葉の組み合わせは、新たな世界を創っていく。そう感じた一ヵ月だった。

おめでとうございます


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新しい年、まずはどこに登ろうかと思案して、選んだのが港区の愛宕山。標高25.7メートル、三等三角点のある23区内では最高峰の山。一昨年に登った戸山公園の箱根山の44.6メートルより低いが、あの有名な愛宕神社がある。

「これ、いいじゃないか」と井の頭五郎ように独りごち。日比谷線の新駅、虎ノ門ヒルズをチェックしてから、あの急階段の男坂を登ろう。

急階段は別名「出世の階段」と呼ばれているからだろうか、はたまた厳しい時世がらか、スーツ姿の若者でいっぱいだった。

階段の前に立って見上げる。「ここを馬で上がるなんて、無理でしょう」。講談では曲垣平九郎がこの石段を馬で上り、梅の枝を折って将軍に献上したことになっている。


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危険な急階段だ
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高所恐怖症なので下を見ずに、ゼイゼイいいながら一気に上がる。見下ろせば、恐ろしい光景が真下にあった。上で一人が転げ落ちたら、芋づる式で皆が落ちていくだろう。

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混雑のなか、半纏を着ている方に三角点の場所を聞くと、親切に案内をしてくれた。三角点を撫でてから、山登りの安全と娘夫婦の健康、出世の祈願をして、無事に下山した。

佳いお年を〜


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一年間、歩キ眼デスをご贔屓いただきましてありがとうございました。
2022年もよろしくお願いいたします。

今年最後の歌は、ちょっとシリアス。

羨ましいな
堂々と
備蓄石油
アベノマスク
放出
    (汚染水)


水のこと


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未来はどうなるのだろう。新聞を読めば、水の不安が現実になっていることを知る。
つい先日、フィリピン、マレーシアで100年に一度の大洪水が起き、南米ブラジルで起きた洪水では、40万人以上が被災している。一方、イランでは大河が干上がり、水不足は深刻な政治問題に発展しているという。

水不足は、すでに中東、アフリカの各地で、近隣国との情勢不安の材料にもなっているし、アメリカの中西部の穀物畑でも大量の水を吸い上げてしまったため、地下水脈が枯れ始めている。

五年前のナショナルジオグラフィックの記事には、こんな予測があった。

 我々の食料のほぼ半分が、地球上の温暖で乾燥した地域で生産されている。そうした場所では、穀物に水を供給するために地下水の過剰なくみ上げが行われており、帯水層と呼ばれる地下の貯水層の水量が急速に減少している。最新の研究によると、今世紀半ばには、インド、パキスタン、ヨーロッパ南部、米国西部の広い範囲で帯水層が枯渇する可能性があり、そうなれば食料供給が打撃を受け、また18億人もの人々がこの貴重な水源を利用できなくなる。

食糧の不安はジワジワと始まっている。日本近海の水産資源の減少、小麦やバターなどの輸入製品の値上げなど、暮らしに響く問題は、環境への不安を増大させる。

環境問題は、経済問題、そして国際紛争へ繋がっていくのだろうか。

NHK「食糧危機が招く暴動の連鎖」の動画が未来を予測している。



冬山


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写真をクリックすると登っている人が見える!?


卓上カレンダーの写真候補を探していたら、こんな写真が出てきた。
10年ほど前に、山仲間と冬の八ヶ岳に登ったときのワンカット。硫黄岳までは雪の斜面をラッセルして上がったが、もうそこでギブアップ。主峰横岳と赤岳は、眺めるだけとなった。風が強く、覆っていた雲が面白い動きをしていた。

さっと晴れ上がった瞬間、雲が谷へと流れて、横岳山頂を目指しているパーティが見えた。思わず心で拍手。きっと冬山のベテランばかりだろう。彼らの誇らしい気持ちが伝わってきて、胸が高鳴ったことを覚えている。

今年はどこかを一つ登ってお終いにしたい。

加古隆


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クリスマスの夜、加古隆のコンサート「組曲 映像の世紀」を聴いた。彼のピアノに、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが入ったアンサンブルユニットで構成され、奏でられていく組曲に、NHKスペシャル「映像の世紀」のシーンを重ねた。

「映像の世紀」は繰り返し観ていた。人は、なんと愚かで、そして愛おしく、哀しいものだろうか・・・エンディングの曲が流れはじめると、思いはいつもそれに尽きた。

繰り返される殺戮、破壊は、苦悩と恐怖を、科学による進歩は、欲望、歓喜を・・・番組のテーマ曲「パリは燃えているか」は、この一世紀の人間の歴史を炙り出す。

加古隆は「ピアノの詩人」と呼ばれている。語りかけるような調べは、眠っている感情を揺さぶり、涙を誘う。静かな話しぶりとその声質にも音楽への崇高な愛情を感じた。


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Merry Christmas


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呑み終わって表通りに出ると、煌めくネオンと人の流れが、昔と変わりなくあって安心する。昨年末はほぼ閉まっていて、どの通りも静かだったなあ〜と独りごち。
第六波が近づいているらしく、もしかしたら呑めるのもこの年末までかもしれない。この三日間、待ってましたとばかりによく呑みました。

今日は休肝日。音楽を聴いて静かな聖夜を過ごします。


冬至


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家人から「今日は冬至ですよ」と云われた。
毎年、冬至という峠を越えると、希望が膨らんでいくような気持ちになる。それは幼い頃、誰かに聞いた温まる話をそのまま抱いたきたからに違いない。

「ほんの少しずつだけど、日が長くなってゆく」と、生前の母も明るく言っていた。

本格的な寒さはこれからだというのに、なんと呑気なことをと思っていたが、厳しい冬を超えていくためには、日が長くなるという甘やかな希望が必要だったのだと、今ならわかる。

こうした旧暦の慣習をこれからも続けていきたい。はたして母なる地球は、いつまで許し、見守ってくれるのだろう。


干し柿


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晩秋の里山の原風景の一つ、吊るし柿。こんな風景を見ると長閑な日本がまだ残っているようで、ほっとする。柿は、天日干しにすることで、渋さがなくなり、ほどよい甘さが出てくる。


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唐辛子は、苦手


ホットハウス・アース


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こんな風景は消えていくのだろうか


NHKの深夜番組、コズミックフロント「ホットハウス・アース 温暖化破局は回避できるのか」を見終わったら、無力感に襲われ、目が冴えてしまい、眠れなくなってしまった。

「ホットハウス・アース」、SF映画のようなタイトルだ。「温室と化した地球」になるかもしれない。いや、なりつつあるというもの。

地球温暖化が暴走の限界を超えた時、地球は「ホットハウス・アース」という酷暑の地球に化す。この破局を私たちは回避することができるのか? 様々な視点からシュミレーションし、報告されていた。

今世紀半ばまでに温室効果ガスの排出を実質ゼロにしない限り、温暖化が暴走する可能性があると専門家は指摘しているが、はたして、そんなに猶予はあるのだろうか。

分かりやすい話があった。
気温上昇により、北極、南極で氷河が解け、その白い面積が減っていく・・・太陽光を反射させることによる地球の冷却機能が低下する・・・気温上昇が促進する・・・海流の動きが鈍くなる、海の浄化作用が落ちる・・・二酸化炭素の吸収率が低下する、海面温度が上昇する・・・雨が多くなり気候変動が促進・・・水不足、食糧不足etc・・・???

別の番組では、10年後には食糧不足が日本でも始まると予想していた。コロナ禍で、すでに食事にさえ困窮している人たちがいる。

地球が暴走を始めると戻すことはできない。地球も火星や金星と同じような星になるのだろうか。

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今年は、ウニ、カニ、イカなどの漁獲が少ないというが・・・


針穴写真


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昼飯の後、ふと目に止まった針穴写真展を覗いた。写真レンズを使わない単純なカメラで、作品はどれもシンプルで温かい。そしてピンのゆるい写真が、懐かしい記憶を呼び戻そうとしてくる。

なんだろう。デジタルの超リアルな画像や映像ばかりを見ていると、モノクロームでややピンボケの写真がとても沁みる。ピンをあわせるのは受け手の作業ですよと云っているかのように。

当たり前の風景が、懐かしく思ってしまうのは、針穴写真の特長である、まん中周辺にだけピンがフォーカスされるからか。

針穴写真という手づくり感のある写真を眺めていたら、自分の作った歌をあわせてみたくなった。

ご自分で作ったという写真機を見せていただきながら、カメラマンの方とつい話し込む。

沢山の話を聞いているうちに、「どの作品も素晴らしいだけに、テーマ性を持たれるといいかと思います」などとアドバイスをしていた。 ( >_< ) 


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ポラロイドカメラが人気を復活させているとも聞くし、優しく語りかけてくるような針穴写真の世界がもっと広がるといいな、と思いながら会場を後にした。


熊った


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「熊出没注意」。高い山でよく見る看板のひとつだ。長い間、山を登っているが、いまだ熊には出会ったことがない。というわけで、見ても恐怖感なし。まして看板のある山では、多くの登山者が熊鈴を付けているので、熊は近づいてはこないと思っている。

ところがこの看板、高尾山の山中にあった。ついに人に見られてしまったか。昔から高尾山には熊がいることは伝えられていたが、夜行性なので人と接触することが少なく、騒ぎにはならなかった。

この看板が増えてくると、高尾山でも喧しい熊鈴を付ける人が出てくるかもしれない。あ〜やだやだと思ったが、まてよ、登山者が減るかもしれないぞ。


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北海道での単独行では、さすがに怖い


ケサランパサラン


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高尾山での休憩時に、ふ〜わりと大きな綿毛が飛んできた。誰かが「ケサランパサラン」と呟いた。謎の綿毛が現れると、そんな名前で呼ばれる。見つけると幸せになれると云う不思議な綿毛。じつは我が家の小瓶にも、ひとつ入っている。

オニアザミの綿毛だろうか。いや、種の大きさからして違う植物だろう。しばらく仲間の手の上で見つめられてから、風にのって飛んでいった。

調べないで「ケサランパサラン」と呟くだけにしておこう。幸せを運んでくるというのだから。

さよならは
はじまりのようだね
アザミの綿毛
空に呼ばれて
風とゆく


もやしそば


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インスタントラーメンも遂にここまで来たか・・・と、このもやしそばの味に驚いた。じつはこのラーメンとの出会いまでが可笑しい。

家人がスーパーで、ある風景を目にした。店員がインスタントラーメン入りの箱を運んで来ると、お年寄りたちが「これ美味しいんだよねー」と次々に手を伸ばしてカゴに入れ始めたので、慌てて一つ手にしたと云うのだ。エピソードを笑いながら聞いて、本当に美味しいんだろうかとレシピ通りの手順でつくり、口にすると・・・。

「これ、スゴいかも」。

思えば、今年は美味しいものをいくつか発見した。


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夏に丸永製菓の「あいすまんじゅう・和栗」に魅せられ、秋は門司・湖月堂の「栗饅頭」のまろやかな栗の味わいに舌包みをうち、そしてこの「もやしそば」。手の届く世界にも美味しいものがある幸せ。
このもやしそば、おススメです。


時間割


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これは、和田誠氏による高校二年生時の似顔絵時間割。見たことのない各教科の先生たちの雰囲気を、じつに上手くを捉えている、と言いたくなる。手書きなので、同じ先生も様子が少し違っている。

ご本人曰く、高校時代は絵ばかりを描いて、ほとんど勉強をしなかったという。それが可笑しく伝わってくる作品で、すでにこの時期には、和田誠風の似顔絵が完成していたのだ。

ユーモアとセンス、サイコー。
六時間目の角刈りの顔、これは体育ではないかと想像したりして


想いの秋


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想いを重ねていた秋が、飛んでいきます。


和田誠展


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ふたたびオペラシテイを訪れ「和田誠展」を観てきた。圧倒される作品群。その領域と数、目が眩むほどだ。イラストレーターの他にも、グラフィックデザイナー、映画監督、作家、作詞・作曲、翻訳家、エッセイストなどの肩書を持ち、どのジャンルでも高い評価を得て、多くの賞を得ている。

ところ狭しと天井高くまで作品が展示されていて、全てをゆっくり鑑賞していたら一日では到底無理だ。二時間見終わっても約半分、椅子に腰かけ、彼の60年の人生を思った。好きであるということ。才能が溢れ出るということ。多くの人に評価されるということ。するとこうなるのか・・・。


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週刊文春表紙画30年、自身の著書だけで200冊、ポスター、絵本、マーク、装丁、レコードジャケット、カレンダーなど全てが和田誠ワールド。今後、これだけの作品を創出する人は出てこないのではないか。

観にきている層の多くは、学生?か若い人たち、もしくはオジさんオバさんだ。パソコンで何でも仕上げる時代にあって、和田氏の描くシンプルで優しいラインは新鮮そのもの。そして温かい。


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一休みをしてから、なんとか見終わった時には、外は暗かった。


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もう35年前、ドサ健、出目徳、よかったなあ〜


パイプオルガン


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新春の世田谷フィル・定期演奏会のフライヤーを創るので、東京オペラシティでイメージとなるパイプオルガンを撮影をした。照明を少し変えるだけでコンサートホールの佇まいが変わってゆく。タイトルや演奏家の写真の位置を想定しながら、撮影位置を変えてシャッターを切った。

新春にこのパイプオルガンが響きます。よろしければ、演奏会にいらっしゃいませんか。65歳以上の方100組200名様をご招待しています。詳しくはウェブかお電話でお申し込みください。

世田谷フィルウェブサイト/「メールでお問い合せ」からどうぞ。


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師走


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はや12月。新たな変異株が現れるし、コロナ禍の中、投機マネーによる世界的な食品の物価高がはじまり、インフレも進んでいるようだし。

世界のニュースを聞いていると「日本のようなインフレになるかもと・・・」と話す人が多い。えっ、日本はインフレが始まっているのか?知らぬは、日本人だけなのか。

どうなるのだろう〜〜 チャッポン〜


神田川


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昭和の名曲の一つだと思っている「神田川」。この曲を作詞した喜多條忠さんが亡くなられた。自らの体験をこの詩に込めたそうだ。切ないこの曲を聴くたびに、20代前半の日々を思い出す。週末、神田川沿いの友人のアパートに転がり込んでは、酒を呑み、麻雀をし、夕方になれば近くの銭湯に行った。

区画整理が進み、今近くを歩いてもどの辺りかも分からない。喜多條さんはこの碑の前に立たれたのだろうか。結びの「ただ貴方のやさしさが怖かった」の一行に、青春のひとかけらを感じてしまう。

「ただ貴方のやさしさが怖かった」。この言葉から連鎖するのは、上村一夫の「同棲時代」という漫画。幸せにしてやれない自信のなさを優しさでごまかす男とそれに気がつく女。そんなやり取りが描かれていた。

女性の手と紙飛行機のシーン。
窓際にもたれかかる女性の手から、紙飛行機がゆっくりと放たれる。アップのコマ送りシーンを眺めて、上村さんは天才ではないかと思った日があった。

喜多條忠さん、ご冥福をお祈りいたします。


この葉なんの葉


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葉の上に花が咲くハナイカダ。それを上回るような不思議な葉っぱと出会う。なんじゃこれ?葉の端から新たな小さな葉が生まれている。ポロポロと零れているようだけど、なにがなんだか・・・。

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葉の上に花が咲くハナイカダ


オミクロン


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ふと、目が合ってしまった


第六波は、いつだろう。果たして来るのだろうか、などと話をしていたら、新たな変異株が現れた。オミクロンなる名前を付けられて、すでにヨーロッパに侵入したという。ということは、日本での収束したかのような期間は、もう僅かなのかもしれない。

多くの変異を持ち、ワクチンが効きにくい性質と高い感染力を持っていると云われているが、まだ全貌が見えない。

ようやく社会が動きだしたというのに、心が荒んでしまうなあ。

バナナの叩き売り


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「四谷赤坂麹町、ちゃらちゃら流れるお茶の水、粋な姉ちゃん立ちしょんべん・・・」バナナの叩き売りといえば、寅さんの口上を思い浮かべてしまう。ここは門司港のすぐそば。こんな記念碑に足を止めた。

プレートを読むと「バナナの叩き売り」は、平成29年に日本遺産に認定されたとある。建物だけではなく、ヤシの口上が文化遺産になるなんて、いいじゃないか!と、思わずニコリ。

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門司港の駅は超レトロ。大正、昭和へ趣きがある


クエといわれても


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なかなか手に入らない魚の一つがこのクエ。高級魚であることは知っていたが、市場でもこんなにするんだ。この価格、どう算出したんだ!?

旅先が港町であれば、必ず市場にいく。下関には唐戸市場があり、河豚を中心に、様々な魚や寿司、海産物が並べられ賑わっていた。日本海、太平洋の魚がここの市場に届くのだろう。


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目が合って、思わず、オーパ!

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トラフグのお刺身他で一皿、2000円!


欲しい魚はあったのだが、買っても東京は遠すぎる。迷った末に買ったのは河豚ヒレ。寒い夜、熱々の燗に入れ、あの香りを想像する・・・そしてツマミに河豚煎餅。いずれも荷物にならないお土産なので、今回はこの二つにした。


環境ポスター展


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環境ポスター展に、五行歌、山、学生時代の友人らが駆けつけてくれた。今年の開催場所はビルの14階だったので、来場者数の心配をしていたが、最終日の昨日は、多くの人たちで賑わった。

自分の作品をどう評価されるか、これは歌会の歌同様、ドキドキするものがある。
今回は「かっこいい」というお誉めの言葉をお二人からもらい、そんな評価があるんだと、自作のポスターを見つめながら「なりほど」と、ちょっといい気持ちになった。

学生時代から環境をテーマにした作品創りや啓発活動に参加してきた。こんな企画展があることで、自然環境の現状を認識し、思いを表現できる。そして仲間たちに会える、集える。
これからも表現することを続けていきたいと改めて思っている。

環境ポスターは、この後、横浜美術大学に展示される予定。


11月24日の今日は、「和食の日」。
制作した新聞広告が昨日、全国版で掲載された。

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漂彦龍VSアーティスト展


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東では「チャリティカレンダー&環境ポスター展」、西では「漂彦龍VSアーティスト展」。どちらにも作品を出しています。歌会、そして友人と山の相談を出かける理由にして、週末、下関を旅してきました。

下関駅のすぐの大丸デパート催事場で、五行歌の友人とアーティストらの競演をテーマに、様々な形態で作品が展示されている中、
小生の作品となった歌は・・・

心の言葉を
字幕にすれば
私は
上映禁止

大好きな映画、シネマパラダイスのワンシーンを使った作品と和田誠風の2点を創りました。

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上映禁止_B.jpg

明日は、環境ポスター展に午後から在廊しておりますので、よろしかったらお訪ねください。お待ちしています。


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p−2.pngのサムネール画像

MVP


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大谷翔平のMVPが決まった。
メジャーリーグ機構は、今季のアメリカン・リーグMVP(最優秀選手)にエンゼルスの大谷翔平選手(27)が満票で選出されたと発表した。

今年、コロナ禍にあって大谷の活躍は、どれほど私たちを明るくしたことだろう。こんな歌を作っていた。

アメリカの空に
オータニサン
誇らしく
思ってしまうのは
なぜだろう

若者が好きな世界で活躍をする、活躍が出来る、素晴らしいことだ。全ての振る舞いにおいてもMVPに値すると思っていた。おめでとう大谷翔平。

環境ポスター展


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今日から毎年恒例のチャリティカレンダー&環境ポスター展が始まります。お時間があればご来場ください。小生のデザインした環境ポスターが展示されております。

先日、COP26が課題を残して閉幕した。石炭の使用を巡り、「段階的に削減」という、あやふやな採択で終わり、多くの国から失望の声が聞かれた。

船が沈没し始めているのに、まだ大丈夫だろうと言っているようなもの。気温は専門家が予測している以上のスピードで上昇している。
東アジアでは毎年、夏の到来が早まっていて、故郷札幌は、この二十年間で20日以上も早まったと報告されていた。中国、韓国も例外ではない。

先進国と発展途上国、会議の土俵で睨みあってもしょうがない。未来を見つめる行事からは「待ったありません」の声が上がっている。


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ココアシガレット


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山登りの会ORMACのメンバーIさんが、毎回、舶来(古い!)のお菓子を持参して皆に配ってくれる。いつも戴いてばかりではと思ったのか、他のメンバーもお菓子を持参するようになり、ランチ時には交換会のように賑わうようになった。さらにテーブルには、お惣菜なども並べられて、山の食事の楽しみが広がっている。

Iさんのようなお菓子は手に入らないので、懐かしいお菓子はどうだろうと、先月、サイコロキャラメル(メロン味)を選んだところ、好評だった。
というわけで、今月はこのココアシガレット。もう半世紀以上も前、父の真似をして、口にくわえてプハーとやって食べていた。

ふと、気がついた。たしか一本ずつ紙に包まれていたのではないか。プハーとやってから、丁寧に剥がしてから口にしていた。時代の流れか、手間と経費を考え、紙巻きを止めたのかもしれないとポキポキと齧れば、味もこんなだったか、記憶が曖昧になっていた。

箱の上を見るとこんな表記が・・・
「オリオン株式会社はあなたの禁煙を応援します。」
「We  support your No-smoking.」
こんなユーモアが好きだ。

高尾山


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お声をかけたら、肉を焼きながら一杯やっていました


週末は、山の会ORMACのメンバー八名と久しぶりに高尾山へ。紅葉シーズンなので、人の少ない大垂水峠からのコースを選び、城山茶屋で富士山を眺めてのランチ。混んでいる山頂を避け、リンドウやキツリフネを愛でながら日影沢を下り、高尾山口駅近くの蕎麦屋「たまの里」に滑り込む。

コロナがようやく収まり、普通の日々が戻って来たことの幸せを感じながら、盃を重ねる。12月の予約を入れて、夕方にはお開きとなった。


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第一回から参加されているTさんを記念撮影


シツゲン


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①「下々の皆さん」
②「産まなかった方が問題」
③「アルツハイマーの人でも、これくらいは分かる」
④「岩手は日本のチベット」
⑤「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」

八島ヶ原湿原の木道を歩いている時に、あの人のシツゲンを思い出していた。思い出せたのは①②、そして最近の⑤である。

その他にも「ナチスドイツの事例を出した憲法の話」など枚挙に暇がないようだが、いくど失言を繰り返してもマスコミ、国民は寛容である。

言葉の足りぬ元総理と失言を繰り返す元総理(だったらしい)。

湿原の池は秋の空を映し、言葉はその人を映しだす。

瀬戸内寂聴さん


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毎月の第二木曜日に掲載される瀬戸内寂聴さんの記事「寂聴 残された日々」を楽しみにしている。今朝そのページを開くと、静養中に付きお休みとあったので、大丈夫かなと心配をしていた。

すると、先ほど亡くなられたのメールが家人から入った。掲載の日に・・・。絶句、いま哀しみの中にいる。
達観した生き方と歯に衣着せない話し方が好きで、いつしかファンになっていた。90歳を過ぎて、老いと向き合いながら、その境地を分かりやすく、そして向き合う術など伝えてくれていた。

じつは先月の記事を読んで、おやっと気がついたことがあった。前半と後半にタイムラグがある!?。前半の文体、文字使いに「おかあさんが、おいしいおべんとうをいっぱいつくって、果物やおかしなんかも、ふろしきに・・・」
後半の文体は、いつもの通り「母の最後の望みは、自分独り・・・」、と戻っていた。

おかあさんと母、どうして!?と思っていた。
病院に入っていたことは伝えられていたので、前半は自筆でそのままに、後半は親しい方が話しを書き留めたのかもしれない。

半藤一利、立花隆、小林亜星、高橋三千綱、小三治と、今年は好きな人が多く亡くなっていく。昭和が終わっていく。


八島ヶ原湿原


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雨ならば撤退しようと決めていた二日目、天気予報が外れたので、秋の湿原を歩こうとなった。諏訪湖からそんなに遠くない八島ヶ原湿原を選ぶ。

標高は、前日に登った守屋山とほぼ同じで1630メートル。面積は約40ヘクタールの高層湿原だ。草紅葉も後半に入り、湿原は鈍色の秋のパレット。一周すると約一時間半。木道が整備されていて、安心して歩ける。初夏はお花畑になるらしいので、混雑しそうだ。

広い空が開放感をより高める。昨日見た山々が垣間見えるので、歩いていても疲れを感じない。守屋山と八島ヶ原湿原をセットにして、いつか山仲間とまた訪れよう。


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いつもSが先を進む

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カラマツの黄葉が圧倒する


守屋山(1650m)


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あと20メートル、歓喜の少し手前


先週末、以前よりマークしていた守屋山(諏訪市と伊那市の境の独立峰)に友人のSと登った。百名山33座がその山頂から確認できるというので、楽しみにしていたらまさに!


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登山口のカラマツの下半分はすでに落葉していた

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光を浴びているイタヤカエデ?かな

茅野駅から登山口までは車で約20分。カラマツと広葉樹の落葉を目にしながら約2時間、ゆっくり登っていくと広い山頂が待っていた。蓼科山、浅間山、八ヶ岳、鳳凰三山、南アルプス、中央アルプス、御嶽山、乗鞍、そして北アルプス連峰まで、ため息をつきながらクルクルと何度も廻って見ていたら、山好きのおじさんに声を掛けられ、すっかり打ち解けてしまった。山頂ではどうしてと思うくらい、誰とでも心を開いて話をしてしまう。


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眼下には諏訪湖が広がる

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東には八ヶ岳連峰

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雲が切れると南アルプスの雄、甲斐駒ケ岳

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そして雪を被った御岳山がドーン!


「今晩、諏訪湖に花火が上がるから、湖畔で是非観てください」。

山頂からの眺望だけで大満足しているというのに、眼下の諏訪湖で花火まで見られるとは、Sと共にこの偶然を喜ぶ。
諏訪湖で花火を見たのはもうずいぶん昔のことだ。当時取引のあったT信用金庫の営業担当者から、「ほぼ女性ばかり」の一言に騙されて、スタッフらと参加すると、バス席にはおばあちゃんの笑顔がズラ〜〜。

そんな苦笑いのエピソードを思い出してしまった。


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その夜、花火の音にも貫かれた


酒と人生


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敬愛する太田和彦氏の本をまた買ってしまった。どうしてあんな風に女将たちにもてるのか。全国の居酒屋を訪ねる彼の番組を観て、検証している。静かで呟くような語り。聞き上手。勧められた酒やアテは「ではそれを」と素直に受ける。

酒はもちろん、旬の肴の知識までじつに広く深い。そして美味しく呑み、食べる。口への運び方も酒を愛する人らしくゆったりのペースだから、時間までがとろりと伝わってくる。

いつまでも美味しく呑みたい質(タチ)なので、彼のペースが心地よく映る。ならば、この本の通り、独酌がいいのだろうなと思うこの頃である。


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太田さんもここでこの酒を選ばれたのだろうか

絶滅を選ぶな


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環境ポスター展の作品を制作し終えてから三日目、新聞の記事の一つに目を奪われた。「人類よ、絶滅を選ぶな」。
なんじゃこりゃ。恐竜がマイクを握っている。

気候変動枠組み条約・締約国会議(COP26)に合わせて、国連開発計画が制作したビデオメッセージのフレーズだった。こんなアプローチがあったんだ。
こんなメッセージを送りたかったなあと、ビデオを見ながら、悔いた。


くしくも昨日、我が国の首相の演説に、哀しき「化石賞」が贈られた。環境配慮への努力目標を伝えようと言葉を駆使したが、見透かされてしまった。
経済界との綱引きがあるのだろうが、世界は許してくれない。

「化石賞」の記念品は石炭である。我慢して官邸に持ち帰り、執務室の机に置いて日々、見つめてもらえないだろうか。

世界のあちこちで気候変動が始まっている。ニッポンはいつ腹を据えて、戦略を組むのだろうか。コロナのように後手後手となり、いつか「後手、投了です」の声が、恐竜からかかるか分からない。


秋色


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都会でもそれなりに、秋の色が目につきます。

選挙が終わって・・・


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笑ってしまおうか、それとも泣こうか

眺望


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風が強いと、遠くの景色が見えることがある。昨日は、群馬県の赤城山から東京都心の夜景にスカイツリーや東京タワーが映ったいたらしい。

都内には「富士見」の地名が多くある。広い空の向こうに富士山が見えてさえいれば、江戸っ子はケチな了見なんぞもたずに、暮らせたのではないか。

遠くといえば、昔、福島県の会津駒ヶ岳から富士山を見つけ、とても得した気分になったことを思い出した。

掲載


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知らぬまに、夕刊フジに掲載されていました。


朝日


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多分いちばん古い友人のTさん。FBに、こんな素晴らしい写真がアップされていたので、アルキメでお借りした。北海道のウトナイ湖に朝日が上がり、白鳥がそれを受けている。前を泳ぐのは、親鳥だろうか。後ろを振り返って三羽を見つめている。いや、四羽かな。

世知辛い世の中、一幅の絵のような風景写真に心が洗われる。

荻(オギ)


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ススキではありません。これは荻です。と言われても、目の前に見えるのはススキそのものだ。水辺に繁殖して背丈が高く、穂の先が白く、株にはならないのも見分けるポイントとか。
萩(ハギ)にも漢字が似ているし、じつに紛らわしい植物が現れた。


小網代の森


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コロナ禍のお達しとお天気の関係で、半年以上も延期となっていたハイキング企画をようやく実施した。歩いたのは、森と干潟が繋がっているという三浦半島のほぼ突端にある「小網代(こあじろ)の森」。

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開発から自然保護へ、生物の多様性を守る視点でNPOをはじめとした地元企業、住民の方々によって地域の宝として維持されている森だ。この日も若者たちによるオリエンテーリング形式のクイズラリーが催されていた。

キツい山も悪くはないが、穏やかな海を見ながらのハイキングと生ビールも好いものだ。
惜しむらくは、先月末で閉館となったマリンパークに行けなかったこと。


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山の会ORMACの仲間らとのんびりハイク。今回は愚痴一つ聞こえない。

冷たい雨


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秋をジャンプして冬になろうとしているのだろうか。冷たい雨が、心身に沁みる。12月中旬並みの寒さらしい。選挙カーからの声が、いっそう寒々しく聞こえる。手なんぞ振られたくないからと裏道を歩いていると緑のトンネル。
この樹木、雨があがっても元に戻らないのではないか。

レバカツ


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食パンの上に千切りキャベツ・・・

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その上に、レバカツをドーン

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ふたたび千切りキャベツをのせて、マヨネーズ

地元駅の小さなデリカテッセンで、レバカツなるモノを見つけた。試しに一つ買って、ビールに合わせると、目を瞑ってしまうほど、これが美味い。

頻繁に買うようになり、今度はパンに挟んでみると。お〜〜昭和の香りが口に広がった。
一枚120円。お薦めです!


クレーン


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高層マンションが次々に建てられていく月島辺り


寒空の下でクレーンを動かしている人は、どんな気分なんだろう。風の強い日は揺れるのではないかと、高所恐怖症は、見上げて余計な心配をする。

クレーンとは「鶴」に似ているところから「crane」と命名されたらしいが、それ、ちょっと違うのではないか。キリンなら分かるけどと反論したくなる。支柱部分が鶴の首のように細いからか。

「吊る」→「つる」→「鶴」で、納得したい。


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冷え込み


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ヒメツルソバの花が咲きはじめた


今シーズン一番の冷え込みだったらしい。一気に寒くなった。昨日は薄着で出かけてしまい、風が吹くたびに身震いをしていた。予報よりも気温が低かったのではないか。

今朝、街を往く女性の大半がコート姿だった。コロナ感染者数も一気に下がったことだし、気温とともに風向きが変わってくれると嬉しいのだが・・・。


カレンダー


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コンビニのレジの前に立つと、もう来年度版のカレンダーが売り出されている。御節も早いが、カレンダーも早い。焦るよなあ。そろそろ気持ちを集中していかなければ・・・

不気味


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眺めているうちに伸びてしまった豆苗


昨日のコロナ感染者は僅か49人。ここまでの急激な減り方を説明できる専門家はいないという。謎らしい。大津波の前は、沖まで潮が引いていくというから、何かが起きる前兆ではないかと不安だ。

戒めとしているのは、放物線のグラフだ。急激に上がっていくモノは、同じ弧を描いて落ちることが多い。例えば、実力をつけずに人気を得た者は、あっという間に沈んでゆくように。

訳の分からない安心を喜んでいて良いのだろうか。


吟行歌会


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小伝馬町牢屋敷跡の公園で、400年前にワープする


一昨日は、歴史・演芸ライターのY師匠の案内で、歌会仲間と人形町界隈を歩いた。まず最初は、小伝馬町牢屋敷跡のあった十思公園からスタート。そこは江戸時代、全国最大の牢屋(2618坪)があり、吉田松陰をはじめ勤王の志士ら96名が処刑された場所。今は子どもたちの公園となり、面影すらない。

250年以上も続いた怖い伝馬町牢屋敷のエピソードを聞いた後は、落語の富くじにも出てくる椙森神社の境内で、Y師匠から「高津の富」の一節を聴く。笑いのツボを抑えた話はいつも可笑しい。


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海も近く、湿地も多かったこの地に、幕府は小伝馬町牢屋敷を移転させた翌年、遊郭(元吉原)を造り、明暦の大火までの約40年、この地で営業を続けた。歩いてみて分かったのだが、牢獄と遊郭は、ほんの少しの距離にあったのだ。

江戸時代、芝居小屋の多かった町には、人形を製作する人、そして修理する人が多く住みついたことから、人形町の名がつけられた。


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Y師匠、後ろ姿も粋ですねえ〜

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今はハサミなどを扱うお店


粋な路地をいくつか抜けて、甘酒横丁に入るとお待ちかねのひと息タイム。人形焼きを買い、甘酒を呑んで、プチ歴史の旅を振り返った。

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最後は歌会会場で一首をひねる


出るに出られぬは
遊女も同じ
よしあしの
揺れる向こうに
小伝馬町牢屋敷   山碧木星



塩見岳(4)


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朝日が仙塩尾根をくっきり照らす


この尾根を21キロを歩くと仙丈ヶ岳に行ける。仙塩尾根、コースタイムは約20時間、二泊三日だろうか。稜線を目で辿って、しばしの幸福を味わう。

多くの山屋さんは、北アルプスを目指す。槍、穂高、劔そして上高地、涸沢といった人気の山やロケーションがあるからだが、南アルプスの雄大さや個性的な山々の魅力を知ると、北にだって決して引けを取らないと分かるはずだ。


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辿っていくと仙丈ヶ岳。その先のピラミダルで小さな山は甲斐駒ケ岳

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左、甲斐駒ケ岳。右の大きな山は農鳥岳だろうか

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遠くばかりを見つめて、近くの紅葉を忘れていた


塩見岳(3)


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夜のベールが消え、雲海が流れていく山の朝


太股と脹ら脛が癒えてきた。ここ数年、重い荷物を担いで縦走すると、下りてから筋肉痛になる。負荷が重く長くかかるからだ。高尾山の日帰り登山であっても、数キロの重量をリュックに入れて歩くべきかもしれない。
それでもテーピングとスパッツがかなりのダメージを抑えてくれた。

肉体的には余裕がなかった山行だったが、雄大な景色と時おり飛んでくるホシガラスが、気分を和らげてくれた。ホシガラスは、ハイマツの高山帯に多く見られる鳥で、美しい姿とは不似合いな嗄れた声で鳴く。カササギも酷い声だから、カラス科の多くは似ているのだろう。


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白い水玉の背中だけが見えるホシガラス

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ハイマツの実を運んできては食べているようだ

P3089893-1.JPG.jpeg以前雪山で撮ったワンカット


塩見岳(2)


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山との別れはいつも辛い。振り返りながら、この山の眺めもこれで見納めかと思うと、感慨深い。

わずか数時間前に、あんな高さにいたのかと思うと不思議だ。終わりは、新しい旅の始まりのはずだが、今回だけは少し違うものを抱えて帰ってきた。


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岩が落ちてきたら、大変なことになる、200mの岩峰

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至るところ鎖だらけ。だが鎖を信用してはいけない

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ようやく三伏峠の小屋が見えてきた。これで帰途の半分


塩見岳(3052メートル/日本百名山92座目)


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憧れの山であり、登らなければいけない山、塩見岳。山の友人、TさんとKさんの協力でなんとか登頂を果すことができた。

3052mの山のキツさと、自分の体力の無さを痛感した。いつからこんなにパワーが落ちたのか、登っている最中にショックを受けた。二人になかなか追い着いていけなかった。

それでも最後の急登200mを登りきると、塩見岳の標識が待っていて、360度の眺望をご覧あれと促した。富士山、南アルプスの名峰が見事に連なり、息を呑む美しさだった。

遥か前に登った、甲斐駒、仙丈ヶ岳、そして北岳と間ノ岳。遠くには僅かながら北アルプスも確認できた。三日間、お天気に恵まれたことは幸いだった。

山小屋では、百名山談義に花が咲いた。鹿児島から来ている男性二人。そして既に91座目と云う若い女性。キツかった山々の情報交換などして、しばし和んだ。

キツかった山を共有する嬉しさと安心感。お互いにその山の想い出を掘り返して、その山の好さを語り合う。そして残りはどこですかと確認して、お気をつけてと別れる。

92座目が終わった。この先はあるのだろうかと不安になるほどの、体力のなさに今一度仕切り直しをしなければと反省が残る山行となった。


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小さな秋(3)


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初めて見ました。なんでしょうね。葉っぱの上に実が一つずつ載っています。おんなじコースを20年以上も歩いているのに、ふと気がつきました。身近な自然界にも知らないことが、沢山あるようです。


小さな秋(2)


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金木犀の香りがあっという間に消えて、銀杏の実がポトポト落ちてくる。季節は駆け足ですすみ、日本はもう亜熱帯になったのだろうか。

雨も多くなり、超大型の台風も増えた。この100年の平均気温上昇を見ると、世界平均は0.68度なのに、日本は1.15度と高い。

季節は、さまざまな自然の恵みを運んでくれるはずが、今や様相を変えてきた。風も雨もそして海流さえも、警鐘を鳴らしている。


小さな秋


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一昨年だったか、散歩の帰りに少しばかり収穫をしていたムカゴの蔓が根元から切られた。春先だったから、雑草の一つとして刈られてしまったのだろう。

ところがである。二年の時を経て、逞しく網に絡まっている。蔓系の強い生命力だ。ムカゴは衝撃に弱く、大きくなると軽く触れるだけでもポロポロと零れ落ちてしまう。

しばらくは、眺めて楽しむことにした。


塩見岳(2)


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表紙には2014年とあるから、この地図を7年も見続けてきたことになる。コースタイムは、ほぼ頭に入っている。さて、台風とドンピシャになってしまったスケジュール。果たして台風一過の晴天となってくれるのか、台風の目から眼が離せない。


コンサート


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昨晩は、世田フィルの定期演奏会があり、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、モーツァルト三人の交響曲を久しぶりにゆっくり聴くことができた。コロナ禍にあって、開催が約一年遅れとなったコンサートだっただけに、指揮者、演奏者らの熱い気持ちが伝わってくるような演奏会となった。

音と言葉をつかさどる脳は、それぞれ違うはずだが、演奏者の言葉(文章)が、まるで音楽のように心地よく感じるときがある。演奏されるまでの至福の時間、プログラムに響くような言葉で書かれていると、期待はより高まる。

昨日も、そんな曲目紹介があったので紹介したい。ウィットもあって好感がもてた。

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メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

 本日お聴きいただく3曲の中でも、この曲は特に有名だと思います。本日お忙しいところ大田区のホールまで聴きにいらしてくださった熱心なお客様には、冒頭を鼻歌のように口ずさめる方も多いことでしょう。ベートーヴェン、ブラームスの協奏曲とともに三大ヴァイオリン協奏曲、あるいはチャイコフスキーを加えて四大ヴァイオリン協奏曲などとも言われますが、その中にあっても甘くせつない出だしで始まるこの曲は「メンコン」として断トツに親しまれている曲だと思います。
 
 ちなみにベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーはヴァイオリン協奏曲を1曲しか書いておらず、メンデルスゾーンが書いたもう一つのヴァイオリン協奏曲は弦楽器だけの伴奏によるものです。4人ともピアノ協奏曲は複数残していますので、ヴァイオリン弾きからすると、もっと書いてくれても良かったのにと思うところです。
 
 このヴァイオリン協奏曲は、急緩急の古典的な三つの楽章から構成されていますが、楽章間を休みなしに続けて演奏するように指示があります。本日も続けて演奏致しますが、楽章ごとに雰囲気とテンポがガラッと変わるので、楽章が変わったことにお気づきになるかと思います。ちなみに休みなしに続けて演奏される形式は、ベートーヴェンの田園交響曲などにもありましたが、斬新な手法であったようです。メンデルスゾーンは、当時、楽章ごとにあった拍手を嫌ったという説もあるようです。 

 第1楽章の冒頭にはオーケストラの序奏がなく、すぐに独奏者が耳慣れた旋律を弾きはじめ、心をつかまれます。ちなみに協奏曲によっては、前回の定期演奏会で聴いていただいたドヴォルザークのチェロ協奏曲のように独奏が出てくるまでに3分もあって、その間に独奏者が居眠りして独奏を出損ねたという逸話があるような協奏曲もありますので、すぐに主旋律が出てくるというのもこの曲の特徴のひとつと言えます。 
 
 この曲は1809年生まれのメンデルスゾーンが35歳の時に書いた作品ですが、38歳でこの世を去った早熟の天才、メンデルスゾーンにとっては既に晩年の作品ということになり、この時期には残した5曲の交響曲もすべて書き終えています。ちなみにメンデルスゾーンがいかに早熟だったかというエピソードもいろいろと残されています。最初に出版されたピアノ四重奏曲は13歳の時に作曲され、15歳で交響曲第1番を書いています。 

 本日の曲目解説は最近流行りの「ちなみにクイズ」の形式で書いてみましたが、もう紙幅が尽きようとしています。メンコンにさらに親しみを持っていただけましたでしょうか。最後に本日私が一番お伝えしたかった「ちなみに」は、メンデルスゾーンは音楽だけでなく絵の才能もあったということです。是非「メンデルスゾーン 風景画」で検索してみてください。 
(ヴァイオリン 川井孝之)


秋晴れ


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待ってました〜と、ベランダが賑わう、ニッポンの秋晴れ。

中秋の名月


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昨夜は全国的に美しい仲秋の名月が見られたようだ。月を見ていると、心が穏やかになっていくことが分かる。太陽の光を受け、間接照明となって自身を映しだしているからだろうか。

ススキやお団子を飾り付けるほかにも、池や水鉢に映したり、窓を使って一幅の絵としたり、日本人はさまざまなカタチで月を愛でてきた。

昨今の若者は、月を宝石に見たて、手や指と組み合わせたり、新名勝となっている東京駅の前では、カップルが月を入れて撮影したりと新たな嗜みを始めている。

で、おじさんはというと・・・「仲秋のおにぎり」と勝手にネーミングして、秋を一ついただきました。


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雑穀米に栗がひとつ

鞍掛豆


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弟の畑からやってきた鞍掛豆


札幌の弟から約束の枝豆が届いた。中を開けると収穫時期を逸したような豆がいくつもある。???。鞘から出すと豆が変色しているし。これは種類の違う豆なのかもとググると「鞍掛豆」という種類が出てきた。別名パンダ豆。なるほど、そうだったのかと安心する。流通している豆は乾燥しているものが多く、一度水に戻してから茹でるとある。どうしたらいいのか・・・。

半日経ってから弟からLINEが入る。「それは枝豆だから、そのまま茹でるのだ」。えだ豆よりもやや硬めとあるので、茹で過ぎないように注意していると、甘く強い香りがしてきた。これはまさしくエダマメだ。秋に入ってまだ枝豆を食べられる幸せ〜。豆の奥行きは広い。


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一緒に入っていたプチトマトも入れて撮り直し

塩見岳


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緊急事態宣言は、山小屋にも影響を及ぼした。その多くは閉鎖を余儀なくされた。あるいは人数制限をしての予約制、宿泊する場合は各自がシーツや枕カバー持参する。検温やマスクの着用、消毒なども平地と同じだ。

そんな中で10月の初旬、山岳会のTさんと塩見岳をアタックすることを決めた。長く憧れていた山だった、というよりも娘の名をこの山からいただいていた。山名の塩見を変えて、汐美。

いつか一緒に登ろうと勝手に決めて、幼児の頃は背負子に乗せて近隣の山を登った。小学校を卒業するまではかなりの山に登ったはずだが、中学校に入ると部活が優先された。大学、社会人となってから何度か声をかけたが、いい返事は貰えなかった。

長くとっておいたが、そろそろシオミ時。ゆっくり堪能して登ろう。


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雪が降らないことを祈っている


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雨上がり、大きな樹に付着している苔の美しさに足を止める。ここ数年、意識するようになったのは、こちらも歳を重ねてきたから!?。高尾山の巨木の多くに苔が鬱蒼と広がっている。樹皮を伝わっていく水に光があたると、苔はさらに美しさを増す。


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神田川沿いのソメイヨシノの古木にも苔が覆う


戦争が終わり、昭和30年代から全国でソメイヨシノの植樹が始まった。60年が経ち、そろそろ寿命ということもあって、樹の多くに苔が見られるようになった。

人生もソメイヨシノと同じように、60年といわれた時代があったなあ〜


リユース


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ここ数年、壁掛けカレンダーは浜野史子さんの描く動物カレンダーを使っている。温かみとユーモアがあって、眺めているだけで心が和んでいく。こんな素敵なイラストをポイと捨てるのは忍びないので、週末に封筒にしてみた。

忙しくなると手を動かしてみたくなるのは、性分だろうか。数ヶ月分の絵柄を見ながらトリミングを考え、展開図をイメージし、即カッターを入れ両面テープで仕上げる。ハマってしまって、一気に6枚を仕上げた。

そういえば、子供の頃、母とカレンダーやポスターで、長い二等辺三角形を沢山つくってスダレを作っていたことを思い出した。ゴミにせず、なんでも利用することを教えられていたのだなあと、母との時間を振り返った。


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浜野史子さん・・・http://www7b.biglobe.ne.jp/~fuuya/home.html


秋の虫


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これがカンタン


秋の虫の美声ベストスリーは、スズムシ、マツムシ、カンタンだそうである。秋の夜長、虫の声を愛でる日本の文化を素晴らしいと思う。

西洋人は虫の声を右脳の音楽脳で聴いてしまうので、それを機械音、雑音と認識するようだ。背景には、虫=害虫という潜在意識があるからという。

日本人はというと、左脳の言語脳で聴くので、表現も「虫の声」となる。とても納得。
虫の声に耳を澄ませながら、キューッと一杯、今宵も楽しみたい。


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往く夏を惜しむ虫たち

秋の花


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昨日の夕方、散歩中に金木犀の香り。今年もまた不意にやって来て、立ち止まらせた。虫の音も響き、いつのまにかひっそり秋に包まれてる。

夏の終わりの山道にも、萩、ミズヒキ、センニンソウ、そしてツリフネソウ、ホトトギスが咲いていた。


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萩の花を拡大するとこんな

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こちらは、キンミズヒキ

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センニンソウはジャスミンのような香り

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名前の如くツリフネソウ

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ちょっと色素不足のホトトギス

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シュウカイドウの開花期間は長い


古今東西・新旧混在


アサギマダラの好きなヨツバヒヨドリに・・・


首相退陣から次の総裁選にかけて、相変わらずの生臭い駆け引き、化かしあい、そして各候補といえば「不信・不安」の実力不足。この程度の粒しか残っていないのかよ〜と云いたくなる面々ばかり。

妖怪たちに担がれて、風見鶏を載せたニッポン神輿は、どこへゆく。


一方・・・・

全米テニス・女子の決勝カードが決まった。十代の二人だ。こちらは観客を味方につけて、一気に勝ち上がってきた。フレッシュな二人が、次々と上位選手を打ち負かした。
実力も充分。将来を背負って行くだけの力と華がある。

潮目が変わるときってあるようだ。男子も二十歳前後の選手が、上位に来た。若い人が伸びるときは、期待を大きくして観てしまう。決勝は、世界のテニスファンを沸かせてくれることだろう。


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18歳のエマ・ラドゥカヌ(左)と19歳のレイラ・フェルナンデス(右)

展望台


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アササンコースの途中に小高い公園があって、そこに展望台なるスペースがあることを発見。南東方面に目をやると新宿西口、そして遠くにはスカイツリーの上部が見えた。

風が強く吹いた後は、大気中の塵が取り払われて雲の微妙な色が楽しめる。昔、この辺りから富士山が見えたとしたら、富士のついた地名でも付いたかもしれない。いまや大気汚染と高層ビルで眺望すらかなわない。

それにしても、高層ビルをまた造っている。テレワークが主体となっていく社会状況の中、テナントは大丈夫なのか、と余計な心配・・・。


贔屓


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山登りの朝より早起きをして、全米オープンテニスの準々決勝にチャンネルを合わせる。一昨日に19歳になったばかりの女子選手、フェルナンデスのプレーを観たいからだ。

大坂なおみを負かしたとき、この選手の実力は半端じゃないと感じた。身長165センチは今大会で一番背が低いのではないか。ところがゴムまりのようなカラダから繰り出されるショットは、気持ちが良いほど相手コートに突き刺さっていく。きびきびした動き、メンタルの強さ、運を引き寄せていく態度、どれも惹き付けられる。

試合後、接戦をものに出来なかったスピトリナ選手の祝福がよかった。若くても、下位にいる選手であっても悔しさを抑えて敬意を示し、称えることが大切だ。勝ったときより負けたときの姿を人は見ている。

大坂なおみの後も、歴代のチャンピオン二人に辛くも勝利したフェルナンデス。後二回勝利すると、全米チャンピオンだ。だが、この後はさらに格上の選手が待っている。どんな戦いをして、どんな結果になるか、最後まで清々しい試合をしてくれることを期待している。


秋雨


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サルスベリの花も実も雨とともに・・・


あの熱波、猛暑はどこへやら。パラリンピック閉幕とともに気温が一気に下がり、秋を思わせるような雨の一日。外を控え目にしていたせいか、蝉の声やサルスベリの勢いを感じないで終わったような夏だった。

権力


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いつまでも しがみついていたかった でも 先が 無かった

あいすまんじゅう


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最近見つけた優れものがこれだ。コンビニやスーパーで時折見かける「あいすまんじゅう」。あまりにも美味しいので調べてみると、製造会社は九州久留米市にある創業88年の老舗。商品紹介には『世界に認められた品質、モンドセレクション金賞連続受賞』とある。発売は昭和37年、つまり60年の歴史を誇るアイスなのだ。

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このシリーズでは、『和栗』が美味い。初めて口にしたときの、栗のホクホクした味わいに、思わず、瞑目・・・栗と小豆、最強の組み合わせだ。秋冬のシーズン限定だけに、心配は、美味しさの噂が広まって、売り切れ・生産間に合わずの非常事態。
だから、本当は教えたくはない。

枝豆


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枝豆があるからビールを呑んでいる。と公言したいくらい、枝豆が好きだ。七月、八月と枝豆を食べなかった日は、数えるほどだったはずだ。大別すれば青豆、茶豆、黒豆の三種類、さらに品種が数多くあって、楽しめる。味の一番は、なんといってもトウモロコシのような香りと深い味わいだろう。

昼間の暑さを一瞬にして霧散してくれる枝豆。プチッと口に含めば、いっぱいに広がる豊穣の海、ゆっくりと噛みしめていくと口福の波が打ち寄せる。


北斎づくし


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葛飾北斎といえば、富嶽三十六景。江戸のスーパースター浮世絵師のイメージを持っていたが、この「北斎づくし」を見たら、それどころではないと知った。

卓越した描写力は、森羅万象、この世に存在するもの全て、いや存在しないものまで、描くに描いたり、その数三万余点。前半生の「北斎漫画」で画家としての地位を築き、その後のシリーズは江戸っ子をとりこにし、絵画ブームを巻き起こした。

自然への畏敬、ユーモア精神、人生の讃歌、あらゆる全てを描きたかったのかもしれない。
改号すること30回、転居すること93回。90歳の最後まで描き続けて、「後五年生きられたら、本当の絵描きになれたことだろう」と云ったとか。

どの作品にも魅了されて、足も目もショボショボ。気がついたら二時間半が経っていた。今後これほどの規模で北斎を観ることはできないかもしれない。おススメです。

・〜9/17まで。六本木ミッドタウン・ホールで


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「富嶽百景」シリーズでは、富士山が意外なところに隠されている

自助


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巡り合わせというか、偶然というのか。国立競技場の観客席のカラーリングは、オリパラの無観客を予測してデザインされたわけではない。しかしながら、賑わいを感じさせる客席の色使いに見いってしまう。

あちこちで賞賛されるたびに隈健吾氏は、苦笑いをしているのではないか。

この人の言葉も巡り合わせというか、偶然というか、この禍を予測をしていたかのように、輝きだした。

「自助・共助・公助」。

災害発生時からの避難者のあり方を語ったはずが、この言葉で、この人は勢いは失った。意外に冷たい人なのではと思われ、その後の読みも戦略も、ことごとく外れてしまったが・・・

ところがである。コロナの感染状況が悪化し、脆弱な医療体制が露呈してから、この人の「自助」が、皮肉にもフォーカスされる。言い当ててしまったこの言葉が、憤りとともに沁みてくる。

地域にも、そして国にも、守ってもらえないの「自助」。


暑い・・・


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ハグロトンボの雌


今週は暑くなると聞いていたが、まあ暑いこと。しかし世界を見ると、45度以上の地域がいくつかあって驚いてしまう。そんな暑さに耐えられるのだろうか。ニュースでは、ギリシャやトルコの森林火災が、なかなか終息しないと伝えていた。そして日本近海でも海水温も上がり、大雨が長く続いているし・・・。

すすむ温暖化、土地の荒廃は、農地にダメージを与えている。世界の農地では地下水が枯渇し、食糧危機はゆっくりと始まっている。NHKスペシャル「2030年未来の分岐点」では、10年後の日本もその影響を受けるだろうと予測していた。

今のうちに枝豆でも沢山食べておこうかな〜。

書き順


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長く書き順を間違えていた漢字がいくつかあって、それを正してみると、意外にも上手く書けることに気づく。たとえば「飛」の字。みんな間違いなく書けるのだろうか。

まるで迷路のようで、一度では覚えられないが、正しい書き方を覚えるとイキイキした字に仕上がって、一人悦に入る。

ところが、この字の書き順だけは、どうしても納得がいかない。

「必」。

この字を間違いなく書ける人は、少ないのではないか。まさかの書き順に驚愕すること必至だ。お試しあれ。



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いま一番の贅沢は、マスク無しで風を浴びることではないか。沢から吹き上げてくる風を吸い込み、汗したカラダを晒す。ヒンヤリと抜けていく風が、カラダを浄化いく。

コロナ禍になる前から、幸せの一つは「風の中にいる」と決めているから、山頂での風は格別だ。心身が開放されていく。

おもいっきり欠伸をする、クシャミをする、口を開けて笑いあう、そんな当たり前の光景はいつ来るのだろう。

キャラメル


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コンビニの小さな棚に「北海道コーナー」を見つけ、故郷のお菓子をつい衝動買いした。

この中でも懐かしいのが千秋庵の山親爺。これを齧りながらお茶しようと思い、自慢しながら家人に渡すと

「まあ、このに暑いときに、キャラメルばかりを沢山買って・・・」。

・・・・。

まあそう言わずに、この富良野メロンキャラメルをお一つ、どうぞ。


慣れ


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「病院でなんか死にたくない、我が家で、畳の上で死にたい」。昔、そんな話があったのを覚えている。ところがコロナ禍にあって、それが叶ってしまう現実となった。

ギリギリまで耐えて自宅で待つ、もしくは乗り超えるよう当局からのお達しが出て、感染者も非感染者もドキドキの状況だ。これは静かな医療崩壊ではないか。

いずれマスコミが「本日のコロナ感染者・自宅死亡者数」を報道する・・・。

でも人は、その数字にも慣れてしまうのだろう。

親バカ


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美しい人


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朝刊に「茨城のり子」の短い詩が紹介されていた。これは詩だろうか、愚痴だろうか。

言葉が多すぎる
というより
言葉らしきものが多すぎる
というより
言葉と言えるほどのものが無い

そしてつぶやく。

さびしいなあ
うるさいなあ
顔がひんまがる

と。

今の日本を見据えていたようなメッセージではないか。正直にこんなことを言える人は、そうはいない。もし身近にいたら、きっと好きになってしまうだろう。

言葉をきちっと扱える人は美しく、聡明に見える。そうではない人が、あまりにも多い世の中だから。

国のトップは、堂々と自分の言葉で、語ってほしい。言葉の深い意味を勉強をせずに国政に上がってきた人が、あまりにも自信無げに言葉を扱っている。



シルバー文庫


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突然のスコールがあった。新宿通りを見下ろすと景色は灰色になり、向かいのコンビニの前では、雨宿りの人たちが数人、車道を見つめていた。
雨は直ぐに止んで、何もなかったかのように、日が注ぎ始めた。昔はこんな夕立がよくあったことを思い出す。

届いていたスマートレターを開くと、太宰治の「走れメロス」の文庫本一冊とキーホルダーが出てきた。すっかり忘れていた。歌友が「シルバー文庫」なる出版を始めたというので、クラウドから応援させてもらっていたのだった。

目次には「走れメロス」「駆込み訴え」「富嶽百景」「親友交歓」。どれも高校時代に読んでいた小説ばかり。懐かしい。

大きな活字の「シルバー文庫」。一ページには、たったの9行。凄いインパクトだなあと読みすすめると、童話のようにスイスイとページが進む。小さな文字が苦手の人たちは、どんな印象をもつだろう、などと思いながら「走れメロス」を一気に読み終えてしまった。

世の中の多くの人たちに、この文庫が知られると良いなと思う。
志を持って前を進もうとする人を応援したい。その思いは変わらない。

トマト


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こんなにいらないよ〜。畑を趣味にしている札幌の弟からトマト、ピーマンなどがごっそりと届いた。すでに完熟しているミニトマトを選別し、湯剝きして蜂蜜漬けに。

リタイアしたら、やりたいことの一つが畑。弟は、仕事を持ちながらも、庭で野菜を20種類ほど作っていて、今年は成長が早く、採っても追いついていかないよ〜とこぼす。命あるものとの暮らしは、羨ましい。

サラダ、オムレツ、肉と煮たり、カレーにしたりとしばらくは、トマト健康生活。
ありがたい。

競歩


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炎天、燃ゆるばかり。こんな暑い中を、なぜ人は50キロも歩かねばならないのか。朝、六時過ぎにテレビを付けたら、もう男子競歩50キロレースが始まっていた。

急げ急げ急げ・・・と歩くフォームは独特だ。どちらかの足が地面についていること、そして着地時には膝を曲げてはいけないという、二つの約束を選手は強いられる。

2キロごとに許される給水場では、どの選手も頭から水を浴びていた。我々が走るスピードよりも速く、50キロを四時間を切るスピードで歩き抜ける。だれが考案したのか、定かではないらしい。

目が慣れてくると、札幌の懐かしい景色が見えてきた。三越のマーク、大通り公園、テレビ塔、狸小路、路面電車の線路・・・故郷の風景は、なんだかよその街のように見えた。
この街を飛び出してからすでに半世紀が過ぎたのだ・・・。

独走!?していたポーランドの選手が、国旗を掲げて、ゴールに向っていた時、開高健の言葉、「悠々として急げ」を、ふと思い出した。

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タトゥー派


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佐久間象山や与謝野晶子も入ったという熊の湯


オリンピック競技を見ていて気づくのは、タトゥーを入れた選手の多いこと。ほとんどの競技で彼らを見かける。そのなかでもよく見かけるのが五輪マーク。出場の記念に、あるいはメダルを目標にと、手首や足、肩、そして腕に彫ったのだろう。

タトゥーはオシャレという感覚から取り残されている世代なので、どうしても違和感はぬぐえない。いまやそれは、少数派からタトゥー派にならんとしている。

本心


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平野啓一郎の最新長篇作「本心」を読了した。
2040年代を生きる、母を亡くした一人の青年の物語だ。AIによって再現された「母」によって、その悲しみと孤独の慰めを得ようとする。母の情報を学習したヴァーチャル・フィギュア(VF)が、「自由死」を願い続けた母の「本心」を語ることを、恐れつつ期待しながら、やがて母の死後、初めて知ったその人間関係が、青年の心に大きな変化をもたらしてゆく。

「本心」とは何なのか?私たちは一体、何を感じ、考えながら生きてゆくのか?「本心」について考えることは、社会全体について考えることかもしれない。
格差とは、バーチャルを求めて生きる意義とは、・・・。

途中、亡き母の姿が何度も立ち上がった。もはや叶わぬことだが、もっともっと話すことで、ともにいまを生きることができたのかもしれないと、後悔も生まれた。

モウセンゴケ


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雨上がりの湿地、こんなに沢山のモウセンゴケを見たのは、初めてだった。キラキラして見えるのは、葉先からでている粘液だろうか。

毛氈を敷きつめているように見えることから命名されたが、じつはモウセンゴケ、苔ではなく種子植物。

葉の表面に線毛が生えていて、その先から甘い香りの粘液を分泌し、小さな虫を捕まえ、溶かして消化吸収してしまう食虫植物。

栄養分が少ない湿地だからこそ、こんな適応の仕方があるんだ〜としばし、そのファンタスティックな姿に見とれた。


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指で突つきたくなるほど、妖しく魅力的なオレンジ色の線毛


初めて


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初めては、どんなときだってドキドキするものです。このトンボ、見たことがありませんでした。


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これも初めてで、仮称「目玉おやじ」と名付けて調べている。

感染よりも観戦


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世の中は、コロナとオリンピック。外で獲物を探すウィルスに見つからないよう、大人しく自宅でのテレビ観戦がいいかもしれない。

負けたのか! 勝ったの? 
敗者と勝者のコメントを聞きながら、勝負の分け目は、なんだったのだろう。どこだったのだろう。と、試合を振り返るのも面白い。

最終日、この大会で引退を決めたマラソンの大迫選手の作戦はいかに。2時間、一緒に走っているような気分になることだろう。

そういえば、オータニの話題が消えてしまった〜

アンバランス


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感染者の数は、メダルの数で覆い隠せるのかと思いながら、二つの進行形に、心が烈しく揺れる。開会式直前に尾見会長が予測した感染者の数字に到達した。それも八月上旬よりも早く。

こんな不思議な体験は、この先の人生でもないだろう。
「安心・安全」の人は、今どんな気分でいるのだろう。

お湯割を飲みながら、氷を齧っているような気分。


ホタル


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急な坂道を谷へ下りていく。灯りは途中まで


生まれて初めて、ホタルを見た。それもすごい数のホタル。幽玄の世界に紛れ込んだような錯覚。深い森と河のせせらぎ、その上を明滅しながら飛ぶホタルに魂を抜かれ、時間を忘れて見つめていた。

撮影は禁止。ホタルに余計な灯りを見せてはいけないという配慮があるからだ。残念だが仕方がない。それに上手く撮るのは難しい。記憶にだけに残そうと微動だせずに、闇を浮遊する小さな灯りを見続けた。


左の肩口を登ってきて、飛んでいった


その翌日、日本選手のメダルに喜んでいると、瑠璃色をしたカミキリと小さなハムシと遭遇。なんだか幸運が続く嬉しさ。


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見られているとは知らないで・・・


マンゴー


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夕方、家人より「ドライマンゴーと無糖のヨーグルトを買ってきてほしい」のメールが入る。ハテ!?、と思いながら、購入した二つを渡すと「マンゴーをいただいたので、この二つを加えて、つくってみましょ」となった。

滅多に口に入らないマンゴーなので、記念撮影をさせてもらう。買ってきた二つを合わせると、ドライマンゴーはヨーグルトの水分を吸ってしっとり、ヨーグルトはトロ〜りとなった。それをマンゴーに注ぐと、違う触感がパラダイスを創った。

思えば、去年は、Sから送られてきたメロンに、アイスクリームを加えて食べていた。一年が早い・・・。

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山岳古道調査


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はい、そこでそのまま止まりましょう〜


そして、日曜日は山岳会120周年企画「全国山岳古道調査」の撮影で、奥多摩の浅間尾根(せんげんおね)へ。約五年をかけて、日本全国の山岳古道を120選び、山岳会会員が調査して、書籍やHPなどで発表するという壮大なミッションが、いよいよ始まった。

前日の物見山の疲れが残っていたが、参加していただいた会員の方々の声を聞いているうちに元気が出て、無事撮影を終えることができた。打ち上げは、峠のそば処「みちこ」。楽しみにしていた、玄関前のクリンソウはすでに咲き終わっていたが、一仕事の後の蕎麦は格別に美味かった。

二日間、大汗をかいて山から下りると、体調がすこぶる良くなっている。汗といっしょに毒素が抜けたのだろうか。じつに単純なカラダだ。熱中症だけには注意して山登りを続けて、この夏を乗り越えたい。

この日は、ご褒美のように珍しい虫との出会いがあった。


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何年ぶりだろう〜ルリボシカミキリ

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初めて見ました〜ニイニイゼミ

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もうキンミズヒキが咲きはじめている

真夏日


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オカトラノオの花がまだ咲いていた


オリンピックを歓迎するかのように、太陽がギラギラと温度を上げた週末、暑さに慣れなければと山に出かけたが、朝方、麓に降った雨が、湿度100%にしてくれた。あまりにも息苦しくなってマスクを外した。ほとんど人のいないコースだったのでそのまま山頂まで登った。

低山二つを登ってから、下山。歩数=二万歩。光を浴びて、汗をかなりかいて、少しだけ夏カラダに近づいただろうか。


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夏の低山はキツい・・・


梅雨明け♬


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四谷駅前から赤坂方面


関東も梅雨が明けました。夏雲が一気に広がりました〜。
週末、熱中症に気をつけましょう。

映画・地球交響曲ー第九番ー


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このシリーズがもう最後になるかもしれないと聞いていたし、「炎のコバケン」こと小林研一郎が指揮するヴェートベンの第九を聴けると知り、梅雨の晴れ間、東京写真美術館に足を運んだ。

映画「地球交響曲」は、イギリスの生物学者ジェームズ・ラブロック博士のガイア理論「地球はそれ自体がひとつの生命体である」と云う考え方に勇気づけられた龍村仁監督が、30年前に制作を始めたオムニバスのドキュメンタリー映画シリーズだ。

この映画に出演した小林研一郎は、噂にたがわず、リハーサル風景の映像で息を呑ませる。ヴェートーベンの音楽を伝えるために、団員らに烈しく投げかけられる言葉の数々に唸った。
思いを伝える言葉とは、こんなにもシンプルで、厳しく、優しく、深く、沁みていくように語れるものなのだと。

10歳のときに、ヴェートーベンを聴いて涙を流し、音楽を目指そうと決め、まっしぐらに歩いてきた81歳のマエストロ。

ヴェートーベンの音楽を探し求める人の姿は、どこまでも静かで、そして美しかった。


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知ってましたか?タチアオイの一番上の花が咲くと、そろそろ梅雨明けだということを。

定点観測


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雨は景色はモノトーンにした

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色が少し戻って来たら・・・

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久しぶりの虹が現れた


無観客


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案外知られていない、競技場が見える小さな公園


「知ってた?国立競技場の椅子の色は、あたかも満席に見えるような配色にしているって」と家人が言った。

ということは、隈健吾は、オリンピックは、無観客になることをすでに予知していたのか!?
だとすると、凄い!凄過ぎる。
そして、それを評価し、採用した側も先見の明がある。

選手はあたかも、人が見ているような錯覚の中で競技をして、テレビ観戦者も、満席のようなイメージを抱く。なんて、そんなバーチャルのような映像、あまりにも虚し過ぎる。

どうせなら、椅子が揺れたり、上下するまで考えてほしかった。

いずれにしても・・・
「オリンピックには向かん客」である。


写真を詠む


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先週末は吟行歌会。今回は「写真を詠む」をテーマに、東京写真美術館で開催されている篠山紀信の「新・晴れた日」と世界報道写真展を観て歌を詠んだ。

社会性のあるテーマで企画されている写真展は、受け手はまずそれを咀嚼する行程を求められ、歌づくりが難しくなりがちなのだが、そこは達人ばかり。さまざま写真はこんな言葉になった。


芸術と報道の
境目に
ぽかり浮かんで
紀信の「ATOKATA」
震災を語る

キャプションは
見るまい
この一枚に
あふれでる
熱情をあびよう

ニクソンの
左目は
ヒラメより
死に近い場所に
たどり着いた

彫刻を
彫る眼差しで
お尻を撮す
美しいを超え
物語を語り出す

ひとつのリアルから
人を通して発露される
映像
言葉
どれも無くしてはいけない

コロナで死んだ者も
介護される者も
ビニールで包まれて
ていねいに
抱きかかえられる

・小生の歌

朽ちるはずの真
果てるはずの虚(うろ)
を させてくれない
写真の
意地悪

紛争、抗争、戦争
知らないことは
幸せか
知ってしまうは苦痛か
写真は炙る(あぶる)


暑い日は、涼しい室内での絵画や写真、そして音楽会などがいいのかもしれない。



八年前


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雨のなか、見つけて感激したウスユキソウ


ちょうど八年前の今ごろ、岩手県の早池峰山(はやちねやま)を日帰り登山をしている。記録を見るとウスユキソウを楽しみにしていたのに雨の一日。新花巻まで新幹線に乗り、数少ないバスに揺られての登山だったが、ウスユキソウをはじめ、何種類もの花をちゃんと見ている。

岩手県の二千メートル近い山に日帰りなんかして、この頃はまだ体力があったんだと感心する。百名山、残り十座、どれもキツいのばかり残った。はたして達成できるのだろうか。


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ん!?


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怒りはもう表面張力〜


またか。緊急事態宣言ふたたび。
この宣言は、感染防止の抑止力になっているのだろうか。なぜ、オリンピックはやるのか。やるかやらないから、いつのまにか、観客を入れるか否かにすり替えられている。

目標を定めずに、宣言だけを繰り返すこと4回目。酒を呑んで愚痴でも言うか、ができないから、なお辛い。再び40日間の「禁酒黙好」。ため息・・・。


初鳴き


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梅雨の晴れ間、蝉が鳴き始めた。辺りを気にしているかのように、ちょっと控え目だ。「ワタシが、最初でよろしいのでしょうか?」。そんな感じの鳴き方だった。
七夕のミンミンゼミ、覚えておこう。

この一年、コロナという厄介が、四六時中一緒なので、時の流れになにか疎い。マスクを続けていることも、気づきを妨げている要因だろう。

当たり前の日々が、当たり前のようにやって来るのだろうか。

藻岩山


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原生林が残る藻岩山、植物の種類は約400種


昨晩、NHK-BSで故郷の山「藻岩山(もいわやま)」が紹介された。大都市近郊の山といえば、東京の「高尾山」が有名だが、200万都市の札幌にも原生林がそのまま残っている自慢の山がある。我が家(今はもうない)から、僅か10分ほど歩くと登山口があった。

夏になると小学生の私は、大好きな虫探しに、朝昼晩と登り、さまざまな山道を見つけては、どこにどの虫がいるのかを覚え、誰よりも先に採集した。山葡萄のツル、栗や胡桃の在り処を見つけ、友達と拾い集めた。

中学校に入るとクラスの仲間と歌を歌いながら登り、高校では、お中元配達のバイトで市内を自転車で走り回り、藻岩山をランドマークにしていた。

藻岩山の名前は、小学校、中学校の校歌に織り込まれている。

藻岩根の ひらける丘に
こぶし咲く 春の訪れ
満ち溢る 恵みにわれら
鍛えゆく 若き生命を

還暦も近い頃、藻岩山を登った後だったろうか、母校の壁に刻まれていたこの歌詞を友人Sと見つけ、大声で歌った。あの頃、学校が好きで、日曜や長い休みなんか無い方がいいと思っているくらいの学校ラブの二人だった。

番組の最後、山頂から見える札幌の市街が紹介された。いつか山好きの友人を藻岩山に連れて行きたいと思った。

歌人


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タニウツギはそろそろ終わりかな


先日、落語を聞いたあと、お決まりのアンケート用紙に回答を書いて、最後の職業欄で手が止まった。さて、なんて書こう。いつもであれば、デザイナーか自営のどちらかを書くところだが、落語会のあと、そして場所も神楽坂、粋に決めてみようと、「歌人」と書いた。

じつは、ある歌会で、Sさんが「退職をしたので、今は職業欄に歌人と書いています」と云ったのを覚えていた。「それ、いいなあ」とずっと思っていたので試してみたのだが、用紙を渡すときの、恥ずかしさといったらなかった。

家人に、その話をすると、「稼げない職業を書いて、いいものだろうか」とのたまう。
「あのね、詩歌で飯が喰えるのは、ほんのひとつまみの人だけ」「だからいいのよ」。

でも、「歌人」の名をを汚さぬよう、精進をせねばと思った。


酪農


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人の数よりも、牛の方が多いといわれるほど、道東は農場が点在していた。その一軒を見学させていただいた。家族数人で、数百頭の牛の世話ができるのも、全ては機械化によるものですと、女性農場主は笑顔で教えてくれた。

朝、牛たちは搾乳ロボットの前に大人しく並んで、順番を待つ。ロボットは、牛の乳首をまず洗浄してから自動で装着、そして搾乳を始める。一頭ずつのその日のミルクの量も記録され、データ化していく。搾乳された牛は、次に朝食が待っている場所へ大人しく向っていく。

しゃがんでバケツを置いて搾乳していたのは、もう昔の話。広く清潔な牛舎には、さまざまなシステムが導入され、厳しかった北海道の酪農の歴史は、変わったのだよと教えてくれた。


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人の手では追いついていけない〜


目的達成シート


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「七夕にお願いを書いていたら、父親が、夢なんかもつな、目的をもちなさい」「小学生の子どもにですよ、すごい父親でしょ」。

フジテレビ「とくダネ」の元司会者、小倉智昭氏のお話。吃音で悩んでいた少年時代に、父親に「夢なんてもつな、目的を・・・」と言われ、努力を重ねて吃音を克服し、テレビの前に立つようになった。

「目的」といえば、大谷正平。彼が15歳の時に作った「目的達成シート」を改めて眺める。
ここに書いてあることは、もう身に付けているのかもしれない。たとえば「メンタル」をアップするために →「一喜一憂しない」「仲間を思いやる心」「頭は冷静に心は熱く」・・・その他、多くを達成するために、彼は言葉にして、そして実践してきたのだ。

凄いは、突然生まれない。
今日もホームランをかっ飛ばした。
夢と目的。この違いを考える、今日この頃だ。


全然、大丈夫


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最近よく目にする花、コンロンカ


「全然、大丈夫」。こんな言葉を聞いたのは、ずいぶん前だ。
娘が、中学生くらいの頃だろうか。おかわりは?と聞けば、「大丈夫」の答が返ってきた。「!?」。一瞬、分からない。食べなくていいのか?と念を押せば「全然、大丈夫」。

全然は、否定形につく言葉と思っているから、すんなりと入ってこなかった。その後、時間がかかったが「全然+肯定」のあり方が少しずつ身に付いてきた。

美味くないだろう?と聞けば、「ぜんぜん、美味しいですよ」。
う〜む、なにか抵抗があるんだけど、優しくも聞こえてくる。

時代と共に、言葉が変化している。


林家正蔵


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週末は、神楽坂の赤城神社で落語会を楽しんだ。誘ってくれたのは、友人のY師匠。人気の菊之丞、正蔵、三三という三人会で、80名限定のチケットは、あっという間に売り切れた(そうだ)。三人の演目は、どれも知っている噺だったので、ゆったりと聞けた。

正蔵は、いい歳を重ねている。「ねずみ」の左甚五郎は、そこはかとなく人間味、人情味があって引き込まれた。これから贔屓になって、しばらく追っかけてみようかと思わせる一席だった。後10年でどれほど変わっていくだろうか。楽しみが一つできた。


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新しい赤城神社は、隈健吾氏による建築デザインでモダンに生まれ変わった


道東の旅(3)


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北海道といえば「食べる」が楽しみの一つ。初日は、小学校時代の友人と会って、イコロの森で大好きなスープカレー。揺れる樹々を眺めながら、仲間のこと、花のこと、家族のことを語り合いながら・・・ココナツミルクで抑えられたカレーの辛さと野菜のマッチングがよくて、ペロリと平らげた。


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二日目は、中標津のパスタレストランで「トウキビ、ベーコン、チーズの入ったミートソースパスタ」。ドンと大盛りでやって来た。美味しかったのだが、なんせ量が半端なく、完食できず・・・無念。


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旅先では、酒蔵と市場をよく覗く。市場では、まず魚だ。ありました・・・トキシラズ。地元ではトキ(時)と呼ぶ。一尾19,800円。いい値段。美味いだろうなあ〜と思いながら、その大きさに魅了される。

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最後の日の食事は、釧路駅の近くで唯一開いていた食堂に飛び込む。健さんが出てきそうな、創業70年という歴史のある雰囲気のなか、頼んだのは、外れはなかろうと消極的選択で「鍋焼きうどん」。昭和31年に釧路にきたというおばちゃんは、いろいろ語ってくれる。「この鍋も70年使っているんですか?」と聞く。「そうだわ〜」と返ってきた。

エビ天、卵の代わりに、麩とナルトがそれぞれ二つ入っていた。「まだ子どもが食べてるでしょうが〜」、北の国からの五郎さんの声が聞こえてきた。


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釧路は夏でも20度を超える日が少ないという

道東の旅(2)


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道東の花は、どれも淋しげな感じをうけた。そのなかでも、初めてお目にかかったリシリヒナゲシ。雨があがると、淡いクリーム色の花びらが開いた。風に揺れるさまはポピーそのもの。これが野の花なのと、思えるような気品に溢れている。日本で唯一の野生のケシの仲間だ。


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そして、マンテマ。調べるとサクラマンテマか。別名はフクロナデシコ。なにか、タスマニアの動物を思わせるような名前。サクラソウのような花が咲く。


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これは野付半島に咲いていた。エゾフウロに似ているが、花びらのカタチ、スジの具合が違うようだ。


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スズランは、北海道では雑草と同じ扱い。生息範囲をどんどん広げていく。

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クリンソウ。多年草で、水の多いところを好む花。年を追うごとに白くなっていく。

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野付半島に咲いていたセンダイハギ(千代萩)もどこか淋しげ。

道東の旅


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やがて上高地の大正池の樹々と同じように朽ちて、消えていくのだろう


傍の林まで飛んできた郭公の声、エゾハルゼミの涼しげな鳴き声が、まだ耳に残っている。道東、中標津に三日間、来年のカレンダーの写真を探しのため、写真家、久保敬親氏の膨大な動物写真コレクションと向き合ってきた。


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すぐ近くに感じる北方領土の島々

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西に目をやると知床の山々が見える

久保氏とは以前、四谷に事務所を構えていた頃からのお付き合いが続いている。写真選びの合間に野付半島の「トドワラ」と水平線が丸く見えると云う「開陽台」へ連れていっていただいた。


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開陽台からの景色は、360度ほぼ一直線


水平に続く景色を見ていると、ドアツードアとか、キャパシティなんて言葉がぶっ飛ぶ。ここにあるのは、永遠を思わせるような眺めと、ゆったりと流れている悠久の時間だけだ。


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野の花


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野の花が、暮らしの中にあると、こころが華やぎ、穏やかな時間が生まれる。近くを散歩して、花を摘む、そんなことができる地に住みたい、と常々思っているが、いつかそんな日がくるのだろうか。


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山百合が、オニーさんと呼び止める季節


明日から火曜まで、北海道にいます。

花と蝶


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花が咲きはじめると大型の蝶が吸蜜にやってくる。それぞれにお気に入りの花がある。


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アサギマダラは、フジバカマが好き

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キバナコスモスには、アオスジアゲハ

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ヒメジョオンにジャコウアゲハ

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オナガアゲハはウツギの花


米どころ


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田んぼを眺めながら思った。コシヒカリが米の一番、と思っていたら、いまや北海道のユメピリカやナナツボシといった、ブルートレインみたいな名前の米が生産を伸ばしているという。温暖化で米どころが北海道になるなんて、半世紀前には想像もつかなかった。

東北や北海道では、数年おきに冷害を繰り返していたのに、いまや酒蔵まで転居している。やがて、美味い酒も北海道となるのだろうか。

子育て


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天敵に見つからぬよう子スズメはじっと動かない

自然界は、いま子育てのシーズン。子スズメが枝に止まったまま動かず、親が運んでくる餌をじっと待っている。親鳥は、まだ遠くへ飛べない子の口へせっせと餌を何度も運ぶ。他の枝に止まっている子スズメの口にも公平に。食べても食べても、餌をねだられて、母さんスズメは大変だ。

この季節は、虫も多く孵化するので、セキレイやツバメたちも、忙しなく川面を飛び交っている。

梅雨入り


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栗林からは濃密なニオイが漂ってくる

いよいよ関東地方も梅雨入り。今年は遅いなと思っていたら、平年より一週間程度という。雨不足の不安から開放され、ホッとする人たちが多いのではなかろうか。

空気が重く感じるからか、たいした仕事をしていないのに疲労感がある。体調を崩さないように、のんびりこの季節に体を合わせていこう。

待たされて


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関東地方は空梅雨なのだろうか。雨が欲しい、居酒屋の喧噪が恋しい。あと10日、待って、待たされて、また、ひじ鉄を食わされるのだろうか。


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カアチャン、オナカスイタ〜〜

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ハイ、オアガリ〜


旅気分


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ガラガラのMt.TAKAO号で読書タイム


高尾山に向かうときは、新宿から高尾山口駅までノンストップで走る特急「Mt.TAKAO号」を使うことが多い。この電車を利用してみると、乗客が少ないことと、そして旅気分が味わえることが分かった。
特急料金が別にかかってしまうが、これも旅気分に加えれば、いつもの高尾山に特別感が生まれてくる。


微熱少年


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その昔、作詞家の松本隆が書き上げた青春小説にこんなタイトルがあった。「微熱少年」。このアオオサムシを見つけると、小学生のあの日に見てしまった「オオルリオサムシ」に繋がっていく。

小学校三年の夏、山で見かけた瑠璃色の虫。青い輝きを放ちながら、山道から草むらへ逃げ込んでいった。その虫の名をどうしても知りたくて、近くの大学の構内に入り込み、標本の中から北海道にしかいないというオオルリオサムシを見つけた。

暇さえあれば、大学の標本室に通い、穴があくほど眺めていた。もう一度見たい、捕えたいと、短い夏のほとんどを一人で山に入って、探した。翌年の夏も、その次の夏も。そして中学校に入学した最初の夏に、隣りのクラスの男子が甲虫の標本を自由研究として出品した。そこに虹色のオオルリオサムシがいた。

驚きとあれほど探しまわったのに見つけられなかった悔しさのようなものが沸いた。その彼と話をした。生態や学名まで知っている知識に愕然とした。上には上がいるのだと知った。

どうして、あんなにも熱を上げてしまったのか。瑠璃色を見ると、あの夏に繋がっていく。


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微熱少年にさせたオオルリオサムシたち


ニッポンの


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アジサイの原産地はニッポンで、ガクアジサイだそうです


サッカーの国際試合やテニスの四大大会で、よく耳にする言葉が「ニッポンの◯◯◯」。一昨日の全仏オープンでも「ニッポンの錦織圭、最初のセットをダウンしました」とアナウンスされた。

この「ニッポンの」は、脳の何かを刺激するのだろうか。耳にすると、僅かながらアドレナリンが放出される。この場合「ニホンの」ではなく「ニッポンの」、この半濁音がクセモノだ。

「ニッポンの」を聞くと、普段は眠っている「国威発揚細胞」が刺激され、ここぞのシーンで連呼されると、ムクムクと起きだしてくる。

「サッカーのような団体競技であれば、「ニッポンの」も分からないではないが、テニスの錦織選手は、ひとり孤独に戦っているわけだし、そんなこと云われなくたって分かる。
そして錦織圭は、べつに日の丸を背負って戦っているわけではない。

まあ戦略的に使用されていると思うが、「ニホン」と「ニッポン」。いろいろ考察してみると面白いかもしれない。


♬ お知らせコーナー

歩くことで、自分と社会が健康になっていくプロジェクト「歩ランティア」に参加しませんかというお誘いです。

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日本山岳会では創立120年を記念して「日本の山岳古道」を調査し公開する活動をすすめています。その活動を応援していただく企画が、「歩ランティア」。歩くことで、健康を促進し、『古道調査活動』を応援できます。スマートフォンからぜひご参加ください。

https://www.kao.co.jp/healthya/product/monitoring/

よろしくお願いいたします。


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♬ ご報告

ニッポンのではありませんが、事務所のYくんの甥っ子が、朝日アマチュア将棋名人戦で四連覇を果した。すごい快挙であり、じつに嬉しいニュース〜♬

野球は九回ツーアウトから


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ハマスタ名物のマグロ丼を食べ終えると、雨が上がった


昨日は、横浜ベイスターズファンのI君と共に、先月の神宮の敗戦をなんとしてでも振り払おうとハマスタまで応援に行ってきた。球場に着くと、ベイブルー姿のファンがひしめいている。いやがおうでもボルテージが上がってくる。

横浜球場ライトスタンドウィング席・最上部からほぼ一杯に入った観客席を眺めて思った。ファンとはありがたいものだと。コロナ禍であろうが、贔屓チーム応援のため、小雨が降るなか、早くに席について応援の準備をしている。


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ベイの久保元投手とロッテの里崎元捕手との一打席対決があった

ハマスタの名物「マグロ丼」とコーラで腹ごしらえをしていると、応援歌が流れ、チアガールが踊り、選手紹介の映像に拍手が起きる。まるでコンサート会場のような盛り上がりだ。小雨が上がった。ベイの先発投手は、待ちに待った今永! さあ、行こう!


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この日も終盤になってから、押さえ投手が打たれ、同点に追いつかれる。まさかまたかのあの歌ように・・・しかしこの日は違った。九回、ツーアウトからの大和のレフトフェンス直撃のヒットが生まれて勝ち越し〜、今期初めてのサヨナラゲームとなった。

思わず、バンザイをして周囲のファンと歓びを交わし、I君とハイタッチ。勝負は最後まで分からない。交流戦、なんと同率首位。一瞬でも、いい夢を見せてくれた。


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試合が終わって、恒例の勝鬨花火が上がった

全仏オープン


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コートの外も騒がしい


全仏オープンテニスを眠い目をこすりながら、深夜まで観ている。全豪であれば、タイムラグは無いのだが、フランスは約7時間。贔屓選手と同じ思いを抱えながら、最後まで観てしまい、睡眠不足〜。

明後日は、横浜でベイスターズ戦! こっちも応援するぞ〜!

水無月


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ひょいと潜ると・・・


昨日、空梅雨と書いてからふと思った。六月は旧暦でいう水無月。雨の季節になぜ、こんな名前なのか。不思議に思って調べたら「無」は「の」と読む助詞の役割とある。つまり「水の月」。なるほど・・・単純に納得。とすると、神無月も同様に「神の月」か。

雨の音を聴きながら楽しむものに、もの想い、読書、お茶と水羊羹、菖蒲園の散歩、そして旅の計画などがある。

嫌いだった梅雨の季節が、心を落ち着かせるものなのだと感じるようになったのは、時間が作ってくれた余裕なのだろう。雨が降りはじめると、窓を少し開けて、雨音を楽しんでいる。


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心配して親を捜すカイツブリの雛三羽

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天敵に襲われずに成長できるのは僅かだ

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カワウは襲わないのだろうか!?


マスキング


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時節がら、触れてはいけないと分かっていても・・・


山でもマスクをしている人が大半だ。人の少ない山道では、マスクをせずに登っているが、すれ違うときだけ、アゴのマスクを装着する。このスタイルが増えている。

先月、マスクをせずに登っていると、タオルで顔を隠してすれ違っていく人がいた。こちらに非があるようで、とても不愉快な気分になった。

「そこまですることはないだろう」と思わず振り返ったが、いろんな人に対応しなければいけないのだ。すれ違うときだけマスキング。
山の新しいマナーになりそうだ。


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今年の関東地方は空梅雨だろうか。乾いたアジサイが雨を求めているように見える。


我慢


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コロナも怖いが、マムシも恐い


事務所から我が家までは、5.2キロ。週にほぼ一回、徒歩で帰宅している。かなりのスピードで歩くので、約一時間で到着。コースを色々変えていたが、今はほぼ決まったコースになった。

昨日は、青春時代にお世話になった新宿三丁目の居酒屋街、ここをを抜けるときに、思わぬ光景に出くわした。多くの店がアルコールを出している。それも堂々と。もう我慢の限界ということだろうか。

泣く泣く店仕舞するよりも、たとえ咎めがあってもということか。複雑な想いを抱えて通過した。コロナに追い込まれた人たちの苦悩は計り知れない。「限界」という言葉をよく耳にするが、見えない敵に蹂躙されていくような感覚はストレスを生む。遅れるワクチン接種、進めるオリパラ開催が、イライラを募らせる。折り合いをつけていく難しさを感じる。

日本人は我慢強い。これは自慢していいことなのだろうか。


初夏


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足元には自分の蛹の抜け殻か?ミヤマカワトンボの雄


新しいカメラが届いたので、試し撮りに選んだのは、天覧山〜多峯主山(とのすやま)〜入間川のハイキングコース。二年前、ORMACのメンバーと歩いたお気に入りのコースだ。

山靴、サングラス、シャツなども新調したので気分は高まったのだが、如何せんこの日は夏日。飯能駅から山に入るまでが暑かった。いつもより水の補給を繰り返し、低山、里山、川歩きという三拍子揃った道を辿っていくと、ドラミングのコゲラ、涼しげなカワトンボ、そして鈴の音のように鳴くカジカガエルの声に出会うことができた。


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コゲラのドラミングが響いた

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標高は高尾山の半分以下〜楽チン

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入間川に掛かるその名もドレミファ橋

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気温が一気に下がった

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鈴の音のようなカジカガエルの声が響いていた

ネマガリダケ


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北の友人からネマガリダケが送られてきた。まだ間に合うかもしれないと、わざわざ山に入って採ってくれたものだから、喜びはひとしおだ。

東北・北海道でタケノコといえば、このネマガリダケ。北海道ではヒメタケ(姫竹)。山で夢中になって採っていると、熊と遭遇の話をよく聞く。冬眠が終わった熊は、このタケノコが大好物。毎年タケノコ採りで、熊に襲われたニュースが流れるのも今ごろ。

これを茹でて、週末に煮物や天ぷら、酢みそ和えなどでいただこう。酒は何にしようか、今からルンルンである。


卯木の頃


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緑のトンネルは愉しい


初めての山道を歩くときは、アンテナをいっぱいに広げて感受しようとする。道のおおよそは、事前の地図でイメージできるが、樹々や花の種類までは分からない。


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マルバウツギ

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雨の季節、谷を彩るウツギの花

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シシウドの仲間がもう咲いていた


ヤマザクラもサツキも今年は早くに咲いた。ウツギもそろそろだろうが、セリ科のシシウドがもう咲いているのには驚いた。青い空に、白いアンテナを高く広げるのは、8月だと思っていた。


ヤマザクラ


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ワクチン、ワタシが先よ
そうはさせないわ

なのか

咲くときは、一緒よ
モチロンだとも

なのか

あなた、じつはサクラでしょ?  
そういう君もサクラだな

なのか

山の中だから、誰も見てないわ

乗り越し


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その日は、この花の名前・・・ベロペロネ


このご時世に、呑み過ぎての乗り越しを体験した。中野駅で乗り換えをして、一駅のはずが、座ったのが不味かった。すぐに眠りに落ち、目が覚めたら13駅も乗り越し。聞き覚えのない駅名が聞こえ、一瞬なぜその駅にいるのか分からなかった。

反対ホームで電車を待つ間に思ったのは、懐かしさと嬉しさ。こんな馬鹿なことをよくやっていたよなあ。浦和に行ったり、高尾で気がついたり・・・。

Nさんの自宅兼事務所で呑むと、毎回呑み過ぎてしまう。ピッチが早くなるのはなぜだろう。気がつくとグラスに酒が入っている。話に花が咲く。おっさん同士で緊張感が無いなど、奈落の酔いのエレベータ。

そういえば、近頃電車で酔っている人を全く見かけなくなった。
これでいいのだろうか!?


ユキノシタ


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ダイモンジソウに似ているが、これはユキノシタ。ほぼ真っ白なダイモンジソウに比べ、こちらはカラフル。何で今ごろユキノシタが咲き始めるのか。それも雪が降り積もらないような場所で。

名前の由来は諸説あって、どれもフムフムというようなもので、説得力に乏しい。素直に雪の下で頑張っていたんだ・・・と思うことにしよう。

ユキノシタと云えば、去年の日本海側はまさに雪の下だった。雪は止むことなく、秋田の内陸部の友人は毎日のように雪かき、屋根の雪下ろしをしていると云っていた。

そこに咲くユキノシタと都会のユキノシタでは、花に向けられる思いが全く違うのだろう。


ネーミング


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ネーミングに弱い。とくにこの類いの名前を見つけると、心が躍る。「ヤングドーナツ」一袋43円。レジに並んでいるときに、思わず手を伸ばした。「ヤング」、オマエはまだ生きていたか。「ナウでヤングな」などと使っていた時代があった。

なぜこんな名前が付いたのか?宮田製菓のHPをチェックした。創業70年の老舗で、餡ドーナッツを製造したのが50年前。ヒット商品に恵まれずにいたある日、「子どもが喜ぶように小さく食べやすく、安価なドーナッツを作ってはどうか」となって、見た目も可愛く、誰からも愛されるドーナツはヒットした。つまりこのヤングは、子どもたちを対象としている。

静岡の夜のお菓子「うなぎパイ」。北海道の名菓「白い恋人」。売れる製品には、美味しさだけではなくネーミングの妙がある。

東京には、お土産になるような代表的な菓子がなかったが、ある時「東京ばな奈」という凄いネーミングの菓子が東京駅に現れた。
「東京」を入れたか・・・これきっと、良い勝負をするかもと思っていたら、いまや主要駅やターミナルでの大ヒット商品になった。

どれもが旅行客をターゲットにしているなか、この「ヤングドーナツ」は、生活密着型商品といえる。たまには、こんなおっさんも買ってしまうし。
それにしてもイラストの「ヤングくん」。トホホの涙である。


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エゴの花が終わった



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緑に緑を
重ねて
光の下に
緑をつくる

この水面を見ていたら、Aさんの歌を思い出した。緑にもこんなに沢山の色があるのかと感心する。絵画のような揺らめきをの中にいると、現実から遠のいていくような気分。
樹々や田の緑は水を得て、これから色を濃くしていく。


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いつのまにか、送るから送られるへ


沈黙は金


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この歌、表彰台には上がれなかった


あちこちでオリパラ開催の是非が論議されている。開催と云うラグビーボール型の時限爆弾を抱えて、三者(IOC会長、首相、都知事)が、パス廻ししながらゴールに向って走っている。

トライした者は負けなのか、勝ちなのか。ゴールは近づいている。


もう


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いよいよ、ではなく、もう梅雨入り。今年は平年より二十日以上も早いらしい。さあこれからと思った矢先に、五月の君はもう去って行く・・・。

残されたものはいくつもの憂鬱ばかりだよ。


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歩く


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こんな景色を見られる場所を発見!


いつもと同じ道を歩いている時に気がついた。歩くスピードが落ちている。四谷駅前の横断歩道を渡ってから次の信号まで、普通に歩けば問題なく着いたはずが、いま信号の点滅を確認して慌てて渡っている。

スピードが落ちた理由として考えられるのは、
①老化。知らず知らずうちに進んでいるのだろう。若い人たちがスイスイと追い抜いていく。そうか、あなたたちの人生はきっと忙しいのだな、とエールを送っている。

②急ぐ必要が無くなった。急ぎの仕事がない日は、和菓子屋さんのお姉さんに黙礼したり、プラタナスの緑を眺めたりしてのんびり歩くようになった。

昔、友人のSさんが「ここの通りは良いねえ、道幅が広いから歩きながら本が読める」と言っていた。ケータイがまだ現れない頃のエピソードだ。そんなことを思い出しながら、慣れ親しんだ新宿通りを今日もマイペースで歩いている。


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ビルの屋上部にも緑が増えてきた


もやもや


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気圧が下がると頭が重たくなり、後頭部に違和感が広がる。ポジティブに考えれば、天気の変わり目をキャッチするセンサーを獲得したわけだが、あまりいい気分ではない。

頭を痛めているといえば、世界の首脳も同じだろう。とりわけこの国の首相は、オリンピック、ワクチン、コロナウィルスの国難三大疾病を抱え、解決策を見いだせないでいる、どころか、さらに混迷を深めようとしている。
本当に殺されるのではないか。

AIの予測は、凄い。一ヶ月前、非常事態宣言をしても五月中旬に感染者数増加を予測していた。政治不安という情報も加味していたのだろうか。


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花の季節であることがわずかな救い

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週末はトマトラーメンで楽しみます


告白(2)


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4月15日の「告白」では、ベイスターズファンであることを赤裸々に綴った。
この歌は、その前日、雨の神宮球場を後にしながら詠んだものだ。そして昨夜のベイスターズの三嶋投手、この歌を身に沁みるものにしてくれた。
連夜の九回の悪夢。セットアッパーの三嶋、九回ツーアウトまで取りながらツーランホームランを打たれ、勝利を消した。

ここまで繰り返されると、歌が現実を作り上げているのではないかと、怖くなってくる。ベイスターズからジャイアンツに鞍替えした井納投手にホームランを浴びせ、梶谷選手を三振に打ち取り、ガッツポーズで九回が終わるはず、が、まさか、またか。

ベイスターズの選手から、この歌への共感はいらないのである。
新たな歌を詠むしかないのか。

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涙雨のなかでアジサイだけが活き活きしている


オトシブミ


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この時期、注意深く山道を歩いていると、オトシブミが見つかる。小さな甲虫のオトシブミが、ナラやクヌギの葉にかみ傷を作り、筒状に巻き込んで卵を産みつける。孵化した幼虫は、葉を食べて成長し羽化して成虫になる。

誰が命名したのか、古典的でロマンチックな名前だ。作っているところをなんとか見ようと探したが、この日は発見できず。


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これが成虫


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ウツギの花にやってきたオナガアゲハ


花が咲くと蝶たちがやってくる。そして昆虫おじさんたちもやって来て、この日は「オナガアゲハ」を教えてもらった。名前だけではなく、生態や好きな花、雌雄の判別方法など聞いた。


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そしてもっとも好きな甲虫のオサムシとも出会えた。こいつは足が速いので、撮るのが大変。しゃがんで追いまくって、ようやく一つだけピンが合った。
アオオサムシ。青緑の光沢が美しい。


政治に殺される


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題詠「心」で詠んだ歌


こんな歌をつくっていたら、宝島社からドーンと ↓ こんな新聞広告が出た。あまりにも的を得た表現とコピーに、思わず唸る。


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タケヤリ、少女、そして真ん中の赤いコロナは、日の丸か。この難敵を少女のタケヤリで打ち負かそうとしている。根拠のない精神主義の妄想政治で、ついに来るべきところまで来てしまった。笑えて、そして哀しい、日の丸広告。これこそ今置かれている、我らの国、日本だ。


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「私たちは騙されている」。そう思っている日本人は少なくはない。けれど大人しくしている。云わないことが、美徳なのか、保身なのか。しかし「このままじゃ、政治に殺される」とまで云われている、さてどうする。


我が家から歩いてみる


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新緑も美しい樹齢約400年の松本楼の大銀杏


友人のグループ展が土曜日で終わることに気がついて、どうせなら歩いて行くかとググれば、我が家から京橋までは約8キロ。コースを頭に叩き込み、指示通りの道を辿ってみた。

途中でお茶をしよう、できればオープンカフェがいいなと記憶を辿れば、日比谷公園の松本楼が浮かぶ。しかし夏日、一度も休まずに日比谷まで歩けるか?
こんな自虐的なことが好きで、つい挑戦したくなる。

準備をして、正午にスタート。爽やかな風の中、黙々と歩けば、約50分後には事務所の前を過ぎ、30分後には半蔵門。皇居一周のランナーたちに抜かれながら、日比谷へと下りていく。


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皇居の廻りは、ワラビが多い。頭の部分だけでも摘んでいこうかなと思ったが、「オソレオオクモ・・・」の声が響いてきて、手を引っ込める。遠くには警官が立っているし、カメラもどこかに備え付けられているに違いない。「モッタイナイ」。


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ようやく松本楼に到着。大銀杏の前の特等席が空いているという。これはご褒美だ。四百年以上生きてきたイチョウと今年も会えた。初夏、お茶をしながら、巨木を眺める幸せ。テーブルにやってきたスズメにケーキをお裾分けする。


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キミは青くはないけれど、幸せは近くにもあると教えてくれた


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Mさんのバッグ。「フェルトの布で五角形にしてみたが、ものを入れにくいのが難点」。こんな自由な感覚が好いなあと思う。


エゴノキ


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可憐な花なのに、なんでこんな名前なのか。それは実を食べると分かるらしい。舌や喉を刺激するほどのえぐさ、えごさ。だから、エゴノキ。
でも房状にぶら下がって咲く花の香りは、芳しい。この木の下に入ると、香りのシャワーを浴びているような気分になる。


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山笑う


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この五日間、よく歩いた。山では、強い風に吹かれたけれど、五月の樹々は、廻りを緑に染めるかのように、光を散らす。キャンバスとなった大地は、その影を輝きに変える。

目を瞑って息を吸い込めば、目眩と緑の匂い。

山も悦んでいるのが分かる。


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チゴユリとホウチャクソウが咲きはじめた


四月尽


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モッコウバラが、四月を連れて散っていく。バラに被われると、散歩道の景色が変わった。ゆっくり通り過ぎて、今日、春とお別れ。


頭痛


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ここに至るまでの画像を見たい


頭痛 肩凝り 樋口一葉・・・頭が痛い。もう二週間ほど悩まされていて、音も聞こえにくくなるときがある。かかとを勢いよく着けると、痛みが後頭部を突き抜ける。

これは季節の変わり目によく起きる現象らしい。昨年の今ごろもそうだった(かもしれない)。若い頃は、精神的なことで頭を悩まし、歳をとると体の痛みばかり。面白いと思うが、こう長く続くと心配にもなってくる。


Forget me not


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怖いお話。家人から、LINEが入った。「爪切り、見つかったのね」・・・「!?」。「引き出しの中にあるよ」・・・「なぜ !?」。

爪切りが忽然と小さな引き出しから消えて、約一週間。引き出しの中は勿論、テーブル、ソファの周辺など、何度も探したが見つからなかった。仕方がないので、予備の爪切りを使って、引き出しの中に戻した。

すると、探していた爪切りと並んで入っているという。そんな馬鹿なことはないだろう。誰かが戻したのか?「以前から、室内に人の気配を感じることがある」と家人は云う。それも怖い話だが、二人のどちらかが、忘れているのではないかというのも怖い。
爪切りを眺めながら、お互いを静かに疑っている。



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青い空に雲が出始めたので、夕方散歩に出た。心地よい風は、雲のカタチを変えていく。そして陽が傾きはじめると、今度は色を変えていく。
風と雲があるだけで、こんな幸せな気分になれるというのが嬉しい。


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モウ〜勘弁


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Don't touch 撫でてもご利益なし


三たびの緊急事態宣言の発令。コロナウィルスは変異を続け、そろそろ終わり〜と自ら判断を下すまで、終息しないのではないか。
その間、人間はモルモットの如く、その培養のお手伝いをしているように思う。そしてワクチンで早く鎮めようと分かれば、「なんじゃなんじゃ」とさらに強い変異種が現れるのではないかと心配する。


薫風


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いい風が吹いている。山の雪はどんどん解けているだろう。大雪山、鳥海山、そして北アルプス、かつて登った山々に心が飛ぶ。雪融け水は音をたてて、残雪の下を流れ、川をつくって、やがて田畑を潤していく。いつもと変わらない春の風景が広がる。
こんな風の中を歩きたいという想いを、今年も叶えられない・・・のか。


水鏡


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写真を整理していたら、景信茶屋で撮った二枚の写真の不思議に気がついた。
水に浮かんが花びらと、桜の木のピントが、それぞれ違う。オートで撮るかぎり、二つのピントは合うことはない。

当たり前のことかもしれないが、水鏡は空間をも映してだしている。水瓶の深さはないのに、奥行きがあるように感じてしまう。


ライラック


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好い香りだと思ったら、ライラック。車道を背に、面白いカタチをして咲いていた。初夏、札幌の街はライラックの甘い香りに包まれる。桜が終わり、朝晩の寒暖差が残って、なかなか温かくならないその季節を市民は「リラ冷え」と言っていた。

「花冷え」ではなく「リラ冷え」。文学的な香りのするこの表現が今でも好きで、札幌の大通公園辺りを思い浮かべる。


古民家カフェ


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NHKの番組「はるさんの休日」で、ここのカフェが紹介されていた。店は、築70年以上の民家を改築したもので、レトロな空間が人気を呼んでいるのだろうか、絶え間なく人がくる。この前を流れていた桃園川は、いま暗渠となり区民の憩いの散歩道としてその面影を留めている。

光が強い日は、とくにこんな店に入りたくなるらしい。生け垣の向うから室内を覗く人が多い。椅子やランプシェードの種類が全て違う、食器も可笑しく古いものが多い。なのに違和感をあまり感じないのは、包みこむ木造の温かさなのだろう。

チーズケーキとカモミールティ、外のキツい光、そよいでくる風、緑の庭木、そして静かに流れているジャズ、五感が弛緩していく。
ドライカレーのような匂いも漂ってきた・・・。



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ポツンと光が当たっている花を見つけると、足を止める。この季節、競い合う花たちに目を奪われがちだけど、ひっそりと咲く一輪に愛おしさを覚える。


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告白


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試合前からの雨、声の出せない球場は、なにか寂しく、そして寒い


告白します。半世紀以上に渡って陰ながら応援しているチームがあります。横浜ベイスターズ(その昔は大洋ホエールズ)。名将と言われた三原監督が巨人、西鉄と渡り歩いて大洋ホエールズに就任し、1960年に弱小チームを優勝させた。父が三原監督の不遇と才能を幼少の私に聞かせたのだろう。以後、圧倒的な巨人ファンの友人たちにバカにされながらも頑に大洋(ベイスターズ)を遠くから応援してきた。

1998年の権藤監督時代に、歓喜の美酒を呑ませてもらったが、それ以降、戦績は芳しくない。もう贔屓は止めようと思うのだが、ついスポーツ欄の戦績を眺めている。

体に染みついたDNAを哀れんでいたら、昨年、I君が「私もベイスターズファンです」と名乗りを上げた。おう!では観戦しようではないか、となった。
ときはコロナ禍、観戦よりも感染ということで席の確保がままならず、今年ようやく応援が実現した。

三塁側の最高の内野席を確保したが、生憎の雨、震えながらの応援となった。3回裏、逆転されたところで雨で中断。点を取ってもらった直後、エラーと四球、そして長打を浴びると云ういつもの負けパターン。体は冷えるし、心も冷えるしで、撤退を決めた。

弱きチームを擁護する親心、そしてため息のような歌だけが生まれて、二人、雨の神宮を後にした。


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写真を眺めていたら、昭和18年、雨の神宮外苑・出陣学徒壮行会を思い出した。
今は幸せな時代なのだ。


あけび


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ついアケミと云ってしまう。思い出しても「アケミ」の顔は浮かばないし、らしき店にも出入りした記憶はない。口を開ける様子を「開け実」、または色から「朱実」という説があって、それが色濃く残っているのだろう。

昔、キューピーマヨネーズの広告で「ただ鑑賞のために咲く花より、実を結ぶために咲く花を、私たちは美しいと思います」というコピーがあった。

当時としては珍しい胡瓜や茄子、ジャガイモの花が紹介されていた。アケビの花を見ていたら、そんなことを思い出した。

都会では、アケビの花は珍しい。新芽は茹でて食べられるという。


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こちらは、ミツバアケビか?

クルナ ウィルス


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散歩の途中、ここで川を覗く。緩やかなカーブが、せせらぎの音をつくる。眺めもよく、ここにいると、世の中で起きている不幸や災いをしばし忘れてしまう。

大阪のコロナ君、遂に千人切り!というニュースが飛び込んできた。今ごろコロナの御旗を立てて、江戸を目指し、ひたひたと東海道を東上しているのかもしれない。

攻めることもできず、ただ静かに守るしかない現状。共存していける術、知恵を見つけられないものだろうか。


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コロナ菌の天敵は花。花がコロナを不活化させると分かれば、どの国も花だらけになるだろう。あるいは、二酸化炭素が感染を広げているのであれば、温暖化対策は一気にすすむ。
こんな上手い具合にはいかないものだろうか。


春の吟行歌会


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樋口一葉が住んでいた家が今もある


先週末は、春の吟行歌会。着物姿がすっかりお似合いの山口師匠の案内で、参加者九名は湯島〜本郷界隈を散策し自由詠と題詠「作家」の二首を詠んだ。

東京の真ん中に、まだこんな家屋が残っているんだと感心しながら、宮沢賢治の旧宅、一葉の住んでいた家、啄木が通っていた質店など、名所旧跡を訪ね歩いた。当時の作家たちの生活とそれぞれの作品を重ねあわせ、タイムスリップしながらの路地歩きは、歌づくりのヒントを掘り起こしてくれた。

ランチは、東大生が通う創業120年の「食堂もり川」。一部屋を借りて、各々好きな定食を食べながら、思索の世界に入り込んでいった。


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赤門は閉鎖中なり

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八重桜が新緑と重なり美しい

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百花繚乱


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我も我もと百花繚乱の春。色だったり、八重だったり、そして香りでも呼びかけてくるので、花に目を奪われている間は、コロナを忘れている。

雨の季節がやって来るまでの間、美女たちに囲まれて〜浮き世の春を楽しみたい。


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ヤマブキ

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白いヤマブキ

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ベニマンサク

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ツルバラの種類

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ミヤマキケマン

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サンシュユ

もう


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お蕊〜だよ


ウスベニニリンソウ


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花びらの裏がピンク、そして雄しべが踊っているよう


いくつかのニリンソウが赤っぽいので、手にして見ると花びらの裏が淡いピンク。帰ってから調べるとウスベニニリンソウ(薄紅二輪草)とあった。八重だったり、緑色だったり、そしてあらたにこんな種類まで。
こんな変異種なら、大歓迎〜!と言いたくなる今日この頃です。


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雄しべが楽しそうだね〜♬


早生


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高尾山のスミレは約50種類。覚えられない〜

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ニリンソウが咲きはじめた


体がすっかり鈍っている。歩かねばと、週末選んだコースは、陣馬高原下から登って尾根道に入り、堂所山を経由して景信山までのコース。とりあえずそこで遅い昼飯を喰おうと決めた。
登り始めてすぐにスミレに混じってニリンソウの群生に気がつく。今年は、街の桜だけでなく山の花々の開花も早い。


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中腹に入ると、ミツバツツジも花をつけていた。ということは・・・山桜も満開どころか・・・散りはじめて・・・いた。ソメイヨシノと開花時期が変わらないではないか!
早過ぎる。昔はGWに散っていたこともあったのにと、なんでも早生になっていくのを心配する。温暖化がすすんでるなあ。


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景信茶屋のシンボルツリーの山桜は、もう蕊で紅く見える

地図にもナメコ汁にも花びらが絶え間なく落ちる

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山桜は葉といっしょに開花する

五郎さん


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コデマリが咲きはじめた


田中邦衛さんが逝去された。富良野は大きな哀しみに包まれているんだろうなあと思いながら、倉本聰さんの愛惜あふれる追悼文を読んで哀しみを深くした。

若大諸シリーズの青大将から北の国からの黒板五郎へ、男の顔はこんなにも変わるものかと、晩年の深いシワと自然体の演技を感心して見ていた。北海道のどこか地方に行けば、きっといそうな優しくてオッチョコチョイで、我慢強い男。そして子どもを愚直なほどに愛してしまう父親。ダイジェスト版を観ていたら、旅立つ息子に向けたこの言葉に、また涙した。

「疲れたらいつでも帰ってこい。息がつまったらいつでも帰ってこい。くにへ帰ることは恥ずかしいことじゃない。お前が帰る部屋はずっとあけとく。布団もいつも使えるようにしとく」

愛するがゆえに、息子とぶつかり、ボタンを掛け違うことを繰り返し、どちらも間違ってなんかいないと、視聴者に云わせて涙させる。倉本さんの真骨頂の脚本だった。

疲れたらいつでも帰ってこい。いつだったか、父に言われたような気もするが、それは黒板五郎だったのかもしれないと、在りし日のあれこれを重ねた。

五郎さん、天国でたくさんの仲間が待ってるね。いってらっしゃい。


ほろほろと散る



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水面に吸い寄せられるがごとく

今週末で、東京の桜はおおかた散ってしまうのだろう。花や鳥はいつものとおり、人間界の騒ぎなんて知る由もない。散るべきときに散り、花筏の中を鳥たちが泳いでいく。

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4月の魚の日


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フグではなくカワハギが、冬の魚の一番である


「あなた知ってる?4月1日は、フランスで『4月の魚の日』というんだよ」。
友人のSが、コーヒーの香りを嗅ぎながら、ポツリと云った。フランスでしばらく暮らしていたSは、ときどきこんな話をする。

かつてフランスでは、冬の魚の漁が4月1日までとされていて、可哀相な漁師をからかい、そして慰めるたびに『Poisson d'Avril(4月の魚)』といったらしい。フランスでは今日、魚のカタチをしたお菓子や酒を買って楽しみ、「Poisson d'Avril」と書かれた紙を背中に貼りつけるいたずらをするらしい。


ゲンシュ


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ゲンシュと聞きくと、つい原酒の方を思い浮かべてしまう。これはチューリップの原種。正式名は、「クルシアナ ペパーミント スティック」。
カラフルで可憐なチューリップの祖先は、こんなシンプルな姿だった。先日に訪ねた森田オープンガーデンの一角に咲いていた。
調べると、16世紀、原産地のトルコからオランダに渡り、改良が加えられて今日の姿になったとあった。


玉川上水を歩く


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高齢の、ではなく恒例の、月イチの山の会ORMACの12名は、先週末玉川上水沿いをハイキングした。桜と新緑を愛でながら、足湯に使ってランチして、フラワーガーデンでは花を愛でながらカモミールティをいただいた。

玉川上水は、高低差は100mでわずか21センチという高い土木技術で勾配が作られている。だから川音はいたって静かだ。耳を澄ますと涼しげなが聞こえてくる。堰堤の花を撮れば、川面が映りこんで長閑な一枚となる。皆に遅れながら、春うららを楽しみ歩いた。


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まさに黨が立ってしまった蕗の薹

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土がむき出しの箇所がある

数年前、多摩川の羽村の堰から四谷の大木戸までの約43キロを何度かに分けて完歩した。思ったのは、よくぞ完成させて江戸の飲料水を確保したものだということだった。途中、土がむき出しの壁面を眺めては往事を偲んだ。


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株を下げてしまった一枚


桜往く


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神田川の淵はもう花吹雪

まだかまだかと待っていたら、もう終わりだよ、と云っている。待ち遠しかったものは、いつだって過ぎゆくのが早い。放物線のような軌道を描いてはくれないのだ。

待つという時間を、充分に楽しんでいたのだから、惜しむことも愉しもう。


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花筏のカーペットでスヤスヤ



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つい桜に目が向いてしまいがちだが、見上げるとケヤキには、新緑の萌。これから暫くの間、ケヤキがもっとも美しく映える。なぜか?

それは、空に打たれた投網ように黒々とした枝の美しさが、新緑によってより強調されて見えるからだろう。裸木のときは、さほど気に留めなかったケヤキの枝ぶり。それが水彩絵の具の淡い緑が加えられることによって、生命が漉きこまれたかのようにイキイキし始める。

画用紙に黒い幹といくつもの梢と枝を描きあげたら、水彩パレットの淡い緑を滲ませながら加えていくと、春にそよぐケヤキができあがる(はずだ)。


さくら色(2)


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カステラ屋さんのはいま一つでした


今年は、しっかり桜餅を食べようと思う。四季折々のなかでも桜餅ほど多くの人に愛されている和菓子はないだろう。愛でて、食べて、桜を楽しむ。大島桜を見つけると、つい葉っぱの匂いを嗅いでしまう。

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大島桜は花びらが少し緑色


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落花の上にはヒヨドリ


あの人には華がある、なんて聞くと、う〜んなるほどねと云いながら、大人になってきたような気がする。もしかしたらこの人も華があるのでは、と思っているのが、元横綱の北の富士(最近はこの人のコラムにハマっている)。相撲解説の舞の海が「北の富士さんは、何を着てもよく似合うし、色気がある」と云っていた。まさにその通りだと思った。

現役の頃から、相撲ぷりが好くて、格好がよかった。甘いマスクと均整の取れた体にマワシと紋付き羽織がよく似合った。それだけではない。いつも颯爽としていて、負けて土俵を去る時の姿だってよかった。

それに比べていまの力士は、下ばかりを向いて、負けるとまともに礼をせず、不貞腐れて土俵を下りる。負けの美学をもっと勉強しろと云いたい。「おい、遠藤、下ばっかり見るな。お前には華があるんだから、もう少しイキイキしろ」。話は脱線してしまった。

他にも北の富士似のなかにし礼や十八代目の勘三郎にも華があった。
そうか、もてる男には華があるのだ。


石岡映子展


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おっ、今日までだと気がつき、金曜日の夕方、銀座で開催されていた「石岡映子 グラフィックデザインはサバイブできるか」を観てきた。彼女は輝き続けたグラフィックデザイナーであり、もっと世に知られていいアーティストだ。毅くて靭やかな精神と感性をあわせ持ち、マルチな活躍をして時代を駆け抜けた。

二月、現代美術館で観た回顧展のタイトルは「血が、汗が、涙がデザインできるか」。このタイトルからでも、仕事への取組む姿勢が分かるというもの。


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「私、貴方ほどの努力をしていませんでした」と彼女の写真を見ると、思わず呟いてしまう。石岡映子は大学時代の夏休み、海や山にも行かず、ただ一人、部屋に閉じこもって絵を描き、粘土を使って造形物を創っていたという。自分は何者なのか、自分の中の熱気をデザインできないか、伝えられないかと摸索し、そしてまだ誰も表現していないモノを探し続けた。

銀座グラフィックギャラリーの一階スペースは、広くはないが、室内を石岡を象徴する赤色にまとめ、壁面は彼女がかつて話していた言葉を並べ、自身の声を室内に流すなど、広がりのある空間演出を施していた。

さくら色


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花を愛でながら酒を呑む。これ以上幸せなことはあるだろうか、と酒呑みは思う。しかし週明けに非常事態宣言が解除されると、人出とともに、コロナ吹雪も舞うのかもしれない。気をつけねば・・・。

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今日は昼飯の帰りに、和菓子店に寄って、桜餅を買った。大島桜の葉の香りを嗅ぎながらお茶といただく。これもこの時期ならではの至福。昼もよくて、夜も好い、春なのだ。

降リンピック


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新宿西口公園の太田道灌、伝説の一情景「久遠の像」


こんな像さえ批判の対象になりそうなオリンピック騒動が続いている。
思い起こせば、「トーキョウ」の決定に沸き返ってから、憑かれたように災いが続いてきた。まずは、国立競技場のコンペのやり直し。そしてエンブレムマーク騒動。コロナの発生。組織委員長の女性蔑視発言ときて、ボランティアの辞退、統括責任者の差別的プランへの批判。
昨年詠んだこの歌の信憑性が増してきた。


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「久遠の像」
道灌が武蔵野の原へ鷹狩りに出かけた折、にわか雨にあってしまい近くの農家に駆け込んだ。そこで蓑を貸してくれと頼んだところ、若い娘が山吹の枝を差し出した。蓑は借りれず花では雨がしのげぬと、怒って雨の中を帰った。城でこの件を話すと、家来の一人が次のように説明した。
歌に「七重八重花は咲けども山吹の(実)みのひとつだになきぞかなしき」とあります。「みのひとつだになきぞかなしき」と蓑ひとつない貧乏を山吹の花にたとえたのです。それを聞いた道灌は不明を恥じ、歌道にいっそう精進するようになった、というエピソード。

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娘が差し出す扇子の上には、ヤマブキの実




コロナを詠む


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コロナを詠んでいる詩歌をよく目にする。会いたくても会えない、リモートによるやり取り、清潔の順守など、変わってしまった日常を詠んでいる歌が多い。

川柳なら笑ってしまうことも。

抱き上げた孫が一言 密ですよ
テレワーク気付いた会社のイスの良さ
出勤が運動だったと気付く腹
久々に家族が揃った在宅で

こちらは毎日新聞の「サラリーマン川柳」の上位作品から

会社へは来るなと上司 行けと妻

小生も昨年に早々といくつか詠んでいた。

↑ 写真の歌。ドット(●)を入れたのだが、分からなかった人が多かった。
英国製ワクチンに副作用がでたため、使用停止になった。すぐに出来るわけがない。慌ててつくるワクチンなんて信用できない。そんな思いを込めた。

いつまでも
新型なわけでなし
いずれ
新・新型 超新型 名乗って
やってくる

名前は違ったがやって来た。変異株と云うらしい。発生した国が命名されるている。この先いくつ出てくるのか。殺し屋みたいな奴も現れるかもしれない。

終息とは
全ての人が感染したとき
コロナ氏が
漏らす
安堵の息なり

長期戦になると思っている。京都大学の山中教授が、闘いは「長いマラソン」になると、コロナのHPを開設した。何をもって終息というのだろう。ン十年、かかるのではないか。共存共栄までに。

非常事態宣言が起きた頃に、詠んだ歌。

家呑み
不名誉連続記録を樹立させ
夫婦喧嘩
口聞かぬ記録も更新させた
コロナ維新

今は、この頃が懐かしい。


一寸先


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人生、一寸先は分からない。桜が開花しました〜とスタートするはずの月曜日、まさかの病院でお泊りコースになるとは・・・暇を持て余してこんな歌をつくっていた。

医療は進んでいる。次々にやってくる看護士は流れ作業の如く、手首のバーコードをピッと鳴らしては、血圧、採血、問診、点滴などを済ませると、データ入力をして立ち去ってゆく。

近くから聞こえる患者とのフレンドリーなやり取りに、いまを感じる。こんな会話が全国の病院で普通なんだろうと思いながら、将来、賢い患者をになるためにと、やり取りに耳を傾けていた。

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主役の座を奪われた桜たち

都市再開発


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都庁の西側にあった雑木林が整備されて、芝生が広がる公園になった。この動きはオリンピック決定後だから、予算が計上されて整備した違いない。ここには以前、路上生活者の人たちがいた。イギリスやブラジルでもそうだが、オリンピック開催に合わせて、路上生活者の人たちが都市空間から排除される。

子どもたちが元気に芝生を走り回り、親がそれを見つめる。ここに生活者がいたことを誰も知るよしはない。


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隣接した建物の中にボルダリング施設があった


3・11


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五年前に訪ねた石巻港


十年前の今日を思い出す。大きな揺れが起きてしばらくすると、眼下の新宿通りを徒歩で帰宅する人たちが列をなしていた。現実のことなのに、違う世界にいるような不思議な光景を茫然と見ていた。

そんなことを思い浮かべながら、東北の歌人、斎藤梢さんの歌を読み返した。

 この力どこにあったか「津波だぞ」の声にかけ上がる立体駐車場

 十二日の朝日を待ちてペンを持つ 言葉は惨事に届かぬけれど

 桜餅のさくらの色の懐かしさひとりにひとつの配布に並ぶ

 夜のうちに溜まりしものを文字にして書き始めゐる今朝も車中に

 推敲はもはや必要なくなりてただ定型に縋り書きつぐ

書かなければならないという思いが、当時の歌から伝わってくる。エネルギーが凝縮されたまま残っていて、当時の景色も立ち上がってくる。
思いは言葉となって残る。それが歌だ。


 かなしみの遠浅をわれはゆくごとし十一日の度(たび)のつめたさ

 ベランダと春の海との間には冷たいままの更地ざらざら

震災を背負って、斎藤さんはいまも詠み続けている。


コブシ


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咲いてるぞ〜〜とコブシを上げていました。

写真展


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こんなちょっとした空間に身を置くだけで、気分転換になる。人生とは「人と本と旅」と誰かが書いていたけど、それに「酒」も加えるべきであると、鼻息をちょっと荒くしてサッポロビアステーションへ向う。

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写真展が好きなのは、一枚の写真から時空を超えた旅を始められるからだ。記憶を引き出したり、想像の世界に想いを寄せたりと、いっとき浮遊していられる。白川氏の山の写真から「羅臼岳・・・20代での失恋登山・・・100名山のスタート・・・ORMAC・・・玉川上水・・・参加何人だろう」モグモグ・・・このロースビーフ、もう少し美味かったのではないか。


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つい立ち止まって、首の角度を決めたりして・・・

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ロバート・キャパのノルマンディ大作戦

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いつかは行きたい植田正治写真館

白川義員写真展


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美術館までのこのアプローチが好きだ


週末、東京都写真美術館で開催されている白川義員の「永遠の日本」を観てきた。見たこともない日本の山々の写真。感想は、圧巻の一言。山や気候、天候の知識、そして写真のあらゆる知識・技術を知り尽している人でなければ、捉えられない写真だった。僅かな光の動きを読んで、一瞬を切り取るために託した時間、そして運。カメラマンの情熱は素晴らしい。

白川氏は普段のインタビューからもいいしれぬ迫力が伝わってくるが、今回の写真、コメントを読み、この方は「理数系に強い岡本太郎」であると確信した。

「かつて誰も撮ったことのない写真」というの拘りが伝わってくる。彼のエネルギー、バイタリティはあらゆる人を動かして、渾身の一枚を生み出してきたのだろう。スタッフの協力、努力も伝わってきた。

全作品のコメントを読んでいたのは、小生だけだったかもしれない。全てを熟読しての約二時間。展示されている山々の3/4には登頂していたので、引き込まれるように観てしまった。そのお陰で帰宅してからコメント集を読み直していくと、ほとんどの写真が、再び目に浮かんだのには驚いた。


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続きは4月からだ


22世紀


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朝、駅のホームに立っていたら、園児たちが並んでこちらを見ていた。二才くらいの子たちだろうか。数えると八人、みんな金網をがっしと両手でつかんで、走りゆく電車を真剣な眼差しで見ている。特急、特快、鈍行、通り過ぎるたびに喜んでいる。いいなあ、なんでも新鮮に映るんだろうなあ。

そうか、この中の数人は22世紀の扉を開けるのかもしれない。22世紀。
さて、君たちを待つ22世紀は来るのだろうかと、不意に暗い気持ちになった。

秋田犬


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この犬を見ると、ブサかわ犬として評判をよんだ「わさお」を思い出す。そして飼主のお婆さんがこの犬に似ていたのも可笑しかった。10年ほど前、青森の岩木山を登ってから五能線に乗り、白神山に向う途中に「わさお」の住む鯵ヶ沢駅で、途中下車しようかと迷ったことがある。山の予定が決まっていたので諦めた。

そうだ、ロシアのスケーター、ザギトワにもらわれていった「マサル」はどうしているだろう。ネットで調べると、あの子犬はとてつもなく大きくなっていた。そして昨年、日本の寝具の会社と広告契約(ザギトワも一緒)を交わしていた。
マサルと命名したのは「勝る」をヒントにしたのだろうが、ご主人に勝るとも劣らない活躍だ。



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旅に出ていない。旅をしたい。人生に無くしたくないものの一つ、それは旅かもしれない。旅のどこがいいのだろうかと自問する。目的地にいくよりも、移動しているときが楽しいのかもしれないと思う。車窓に移りゆく風景を眺め、地図を広げたり、本を読んだり、そしてビールを呑んだりと開放されいく感覚が沁みわたっていく。

以前、週末にメールや電話が入ると、「いまどこですか?」と聞かれることがよくあった。家では週末家にいると、起きてきた娘が「えっ、なんでいるの?」と云った。古い手帳やブログを開くと、いつもどこかにいた。回遊魚は、いま養殖池の中でフラフラと泳いでいる。


謙る(へりくだる)


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先日、テレビのインタヴューで、おかしなことを云う人がいた。「テニスをさせていただいているのですが・・・・」。「なんじゃそれ!」「テニスをしている、だろう!」とテレビに向って叫ぶ。なんでそこで「謙るんじゃ」。

最近、よく聞くフレーズ。「◯◯◯◯をさせていただいているのですが・・・」。分かっているのだろうか。それ、謙虚とは違うよ。どこに向って気遣いをしているのだ。違和感を感じる。

「お仕事をさせていただいているのですが」「ご飯を食べさせていただいているのですが」仕舞には「愛させていただいているのですが」と云うのかもしれない。

こういう人は、拒絶するときも笑顔で優しく云うのだろう。
「お断りをさせていただいているのですが・・・」

ん!?、これは正しい使い方か。


スノームーン


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やれやれようやく一週間が終わったと、週末、震えながら四谷駅の交差点に立っていたら、冴え冴えとした月が、くっきりと浮かんでいた。
スノームーン。う〜む、なんとなく・・・。
二月の満月。アメリカでは、そう呼ぶらしい。

半藤一利


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早くこの人のなかに入っていきたい。読みたい。その衝動を抑えながら、今日も現実と向き合って苦戦中。
なんか昭和がどんどん終わっていくなあと、故人になられてゆく人たちを見送っている。

早いね


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紫陽花の葉が開き始め、ユキヤナギの花が綻んでいた。まだ二月だろう。温暖化に背中を押されているんだろうなあ。寒さが遠のくのは嬉しいが、あんまり急ぐなと、言いたい。


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ほぼカニ


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手が伸びる輩はどんな人!?


スッと手が伸びた。こんなネーミングに反応してしまうから困る。「ほぼカニ」の左下のサングラスのキャラが、やや挑戦的だ。君はいったい誰?

「カニではありません」とか「レモンサワーとナイスマッチ」とか、思いつきのようなコピーが並ぶ。そして極め付きはこの文言!
片仮名にすると「クロスイリワダシカニスツキ〜」。
新発見されたロシアのカニの仲間か!?

目を瞑って食すると、はたして荒海のたらば蟹を想像できるのだろうか・・・。


春は黄色から


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美味しそうな蝋梅の花もそろそろ終わりだろうか

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ミモザの花を見つけるとなぜか幸せな気持ちになれる

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昨晩、辛子和えでいただきました

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まんず咲きました

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一月から咲きはじめていたカタバミ


生顔?


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コロナは、新しい言葉を生み出している。例えば「黙食」。言葉を発さずに食事をとること。学校給食の場で、子どもたちは、話をせずに静かに食べている。「美味しい!」と言いたいはずなのに・・・感動を口にできない。哀しくなってしまう。
そしてこんな言葉も現れた・・・「黙乗」。ある市営バスの啓発ポスターにこの言葉が、一時的に出ていた(今は外されている)ようだ。

とすれば、銭湯には「黙浴」。お触りバーでは「黙欲」。こんな表示も出てくるかもしれない。

こんな言葉は生まれないだろうかと・・・思いついた。
マスクを外した顔を「生顔(なまがお)」。
もしかしたら、もうあるのか? 調べると・・・日本国語大辞典にありました。ただし「いきがお」と読み「生きているときの顔。死ぬはずであったのに死なないでいる人の顔」。

「君の生顔(なまがお)を久々に見たよ」。
生首、生足があるのだから、あっても不思議ではない。


オオイヌノ・・・


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口にだすのも憚れますが・・・

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春を代表する天使です。


ユーモア


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昨日、面白いモノが届いた。スマートレター便を開くと、ししゃもの詰め合わせ!?。鼻を寄せるとししゃも独特の乾いた匂いがしない。見ると「ししゃもチョコ」とある。印刷がいいのですっかり騙された。

付箋には、妹の字で「面白いものを見つけました」。どこで作っているんだ〜調べると「食のエンターテイメント」をコンセプトにしている大阪の企画会社。なるほどねえ・・・こういうユーモアに憧れてしまうんだよなあ。

ふと「恋の鉄砲玉」というチョコレートを思い出した。鉄砲玉そっくりのチョコが、女の子が喜びそうな美しいパッケージに数十個、収められていて、口溶けもよく人気の商品。送る側も鉄砲玉だから、外れても仕方ないと諦めることができる。ネーミングの力で需要を掘り起こしているに違いないと睨んでいる。

どこにも出られない昨今、こんなユーモア商品が、気分を変えてくれる。


コーラ!


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いつもの散歩道、讃岐やさんは今日も大繁盛。暖かな日は、外の方が安心だし心も和む。ここを通過して行くと、いつも十人くらいは並んでいる伊奈コーラのお店の前に人影がなし。

これはチャンス、呑もう!「人生もうそんなに長くないのだから」と、決まり文句を唱えてお店に入る。

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一つ500円。決して安くないが、期待は高まる。袋にいろいろな液体が注入される。でき上がり〜ストローで口に含めば、まさしくコーラ!
いままで呑んだこことの無かった新感覚。これはコーラの概念が変わりそうだ。


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目印はこれ

ピーカン


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地上の憂さを全て包みこんでしまいそうな空の青さ。空気が澄んでいる分、青さが際立っている。しかし雲ひとつない空、というのもつまらない。

モノクロ時代の映画の撮影現場では、ピーカンの日はロケがよく見送られたそうだ。光が強いためにコントラストが際立ち、中間色が出にくいと言う理由からだ。ベテランの役者になると、明日はピーカンだなと予測し、遅くまで深酒をしたと聞く。

ピーカンの空を見ると、それを予測したある日の殿山泰治の「ヒヒヒ・・・」の笑い顔が聞こえてくる。


命日


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こんな川を見るとRさんを思い出してしまう


一昨日は歌友のRさんの命日だった。ちょうど一年前、Rさんが亡くなったと連絡が入った。突然死と聞き、まさか・・・と思った。一ヵ月ほど前に四谷駅で彼と偶然会ってあれこれと話をしていたからだ。少し疲れているようにも見えたが、いつもと変わらぬ様子で、ちょっと哀しみを秘めたような笑顔を投げかけられ、そして別れた。

彼とはあちこちの旅先の歌会会場で話をした。盛岡、気仙沼、仙台、福岡、松山、熊本・・鉄ちゃんの彼は、思いがけないコースを何時間も乗り継いでやってきた。訳ありの人生を歩いていることはうっすら知っていたが、何も聞かなかった。

ロマンチストで寂しがりやで(たぶん)おせっかいで、ちょっとわがままで、弱き者には優しくて、それでいてポツンと離れていることが好きだった(と思っている)。

手帳のカレンダーには亡くなった友人らの命日を記している。その日の朝に手を合わせれば、今なお明るい声で話しかけてくる。
誰もがまだ、そこにいるかのように。



トリとめもなく


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潜ると・・・・同心円  進むと・・・・軌跡

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狙っているか・・・・佇んでいるか の どっちか

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ほぼ天敵無し


ORAMAC


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山の会ORMACは、今年8年目に入った。この写真は、二年前のハイキングのワンシーン。標高差200mの山を一つ登った後、川の淵に沿って飯能の駅までのんびりと歩いた。3月はこんなコースがいいかなと、メンバーのIさんを思い浮かべながら地図を眺めている。

昨年末、Iさんから胃がんの手術をしますと連絡があった。さらに食道まで転移していたと聞いて心配をしていたが、先月無事に手術を終えて、いまリハビリを続けている。

この山の会を誰よりも愛し、自らおやつ係として珍しいチョコレートを毎回持参してくれる。そんな彼を仲間たちはLineで応援する。なんかとてもいい会になったなあと思っている、今日この頃・・・。


変わらぬもの


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嫌なニュース、暗いニュースばかりが流れてくる。変わらないのは自然からのメッセージだけ。こんな世の中だけど、咲きますか?

今日は父の命日、そして娘の誕生日。これも変わらない。

宮崎県


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宮崎県に行ったことはあるだろうかと地図を眺める。北の祖母山、南の韓国岳と二度訪れていたが、どちらの山も県境にあるので、宮崎の印象が全くない。よし、では宮崎県へ行こうと我が家を出発。


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神田川沿いを歩いて、新宿西口公園、都庁、山の店を覗いたりしながら、新宿南口の「みやざき館KONNE」へ。入館すると「今日は、全商品三割引です」と云われた。おもわず「酒も割引ですか?」と聞けば、「そうです」。


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ウ〜ム・・・三割引。。鼻息を荒くしていると、目の前に、完熟きんかん「たまたま」。ななんというネーミング、そしてこのロゴタイプ、とても刺激的、気にいった〜手にとって、カゴに入れる。キンカンの美味しさを知ったのは、ここ最近だ。クッドタイミング〜♬


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その他にも柚子胡椒、柚子ドレッシング、塩ケンピ、アジの開き・・・。もしかして、GO TOの中止と関係があるのだろうか・・・と思いつつ、つい買い過ぎてしまった。


コロナ〜外


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今年は124年ぶりに2月2日・節分ということで、大変珍しいらしい。太陽の公転の周期のズレからというが、よく分からない。

所帯を持った翌年の2/3、帰宅のドアを開けると「鬼は外〜」と豆をいきなりぶつけられた。ビックリして、ナンダナンダ〜。朝喧嘩したわけでもないし、事情を聞いてみると長野の実家では必ず豆まきをしていたという。
庭に部屋に、豆が散らかっている。そんな習慣、すっかり忘れていたなあ。北海道では「鬼は外〜」と落花生を雪景色に撒いていたことを思い出した。

鬼ブームとも重なって、今年は「コロナ〜外」だろうか。


一月往ぬる


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一月が、ぼんやりしている間に過ぎていった。梅は咲いたが解除はまだかいな〜。緊急事態宣言の影響を受け、新宿御苑は今年もまた臨時閉鎖となった。去年は満開の桜の時期に閉鎖となり、門の外から眺めていた。

カレンダーのGさんの歌の力強さが、心のモヤモヤを振り払ってくれる。

裸馬に
跨がって
北の春は
鎧をぬいで
原野を駆ける

春を待つ作者の喜びが伝わってくる。雪が融けはじめると、北国は一斉に春の息吹きが広がっていく。鬱屈とした気分を祓うには、心を彼方に飛ばす創造力と妄想力で、憂さを晴らすしかない。Rさんからは、こんな写真が届いた。


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この景色を眺めながら、コタツで熱燗を呑りたい・・・妄想


お年玉


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麹町倶楽部という五行歌の会には、年間大賞という新春恒例のビッグイベントがある。一年間の上位の歌(12ヵ月分)からメンバーが好きな歌を十首選んで発表するというドキドキの企画だ。

一昨日に結果が発表され、なんと ↑ この歌が、一席に選ばれた。ビックリで、しばし呆然・・・。素晴らしい歌のなかから選ばれたのだから、お年玉をもらったような気分。

そして三席にも、雨の大糸線で詠んだ歌が選ばれた。こうして読み返すと、どちらもあの日をくっきり連れてくる。記憶は、出し入れをするたびに、色を濃くしてページに織り込まれてゆく。


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アンテナショップ


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旅ができないのなら、散歩の足を少し伸ばして、都道府県のアンテナショップで買い物を楽しむのはどうだろうと考えた。

都内には47都道府県のアンテナショップが点在している。そこへ旅気分で訪れ、食べたい&呑みたいを買って我が家でさまざまに妄想をする・・・。

向田邦子展の帰り、近くに新潟物産店があるのを思いだし、立ち寄った。新潟は酒蔵数が日本一。そう思って入ると、いきなりワンコインで呑み比べができる「立ち飲みスペース」があった。500円で三杯。ただしグラスはお猪口。これは小さすぎる・・・我慢しよう。

酒をスルーして、まずかごに入れたのは笹だんご。若い頃、スキーで越後湯沢に通っていた頃、必ず食べていた。笹の強い香りに包まれて、濃いみどり色した餅の中から粒餡が顔をだす。いいねいいね。そして、柿ピーのバリエーションに目を見張る。種類が多い。もう手が止まらない・・・
旅行に行ったと思えば、これくらい〜〜♡


向田邦子展


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向田邦子展「いま、風が 吹いている」を観てきた。没後40年、もうそんなに経つのかと月日の流れを感じずにいられない。タイトルがいいな。もしかしたら向田ブームの風が吹くのかもしれない。
最終日、多勢の若い人たちが来ていたし。


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青山スパイラル一階フロアには、氏のポートレート、エッセイやドラマの脚本の自筆原稿、氏が選んだ100冊の小説、「徹子の部屋」の対談ビデオ、そして台湾旅行に出かける前に録音したという、向田さん最後の応答メッセージが聞ける電話機と、生前の氏を身近に感じてしまう構成。
また天井から????が舞い降りてくるユニークな仕掛けもあって、手にした人はじっくり読んでから、クルクルと巻いて大切に仕舞い込んでいた。

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舞い降りてきた細長い紙を受け取った・・・
「夕暮時というのが嫌いだった。昼間の虚勢と夜の居直りのちょうど真ん中で、妙に人を弱気にさせる。ふっと本音のことを言いそうで腹が立ってくる」ドラマ「冬の運動会」

誰だろう、懐かしい作家の一行を読んでいるような気持ちになった。
たとえば太宰とか・・・

息づかいが聞こえてきそうな原稿を読み、きれいな言葉使いを聞き、氏が身につけていたお洒落な装飾品を眺めて、昭和が息づいていた日々を思い返した。
元気だったら私たちは、どんな作品に出会えたのだろうかと、胸がツンとした。


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山口瞳は氏を可愛がっていた。だからか?こんな一冊を選んでいた

オンライン


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世の中のオンラインが加速している。コロナが起こした大きな社会現象だ。友人のKさんは、ミーティングはもちろん、講座、同期会、歌会と毎日のようにオンラインが続くと驚いていた。

先日ある小学校の校長先生からオンライン授業の最前線を伺った。その小学校では、全生徒にタブレットが配布され、すでにオンラン授業が始まっている。授業の電子化は加速し、2030年には小学校では教科書がなくなり、全てタブレットに収まるというのだ。

ということは、ランドセルも無くなるのか?つまり、爺婆はランドセルを買ってあげる楽しみが無くなる・・・。

打ち合せ中に、そんなことを思いながら、マスクを外してコーヒーを飲み、すぐにマスクを着ける。
そういえば最近、打ち合せ中のコーヒーをゆっくり味わっていない。
香りという五感の一つを失っている・・・。

子供達は言うだろう。わざわざ婆ちゃんちへ行かなくたって、オンラインで会えばいいじゃん。

子どもたちを抱きしめられない日がやって来る!?


よく思うこと


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大根おろしのように心がごりごりとすり下ろされ、痛みとみずみずしさが同時にわき上がってくる。
芥川賞を受賞した宇佐美りんさんの書いた小説「推し、燃ゆ」の冒頭にある一文。

先週末の朝刊に掲載されたに彼女の寄稿文のなかに
人と関わりたくなかったと言ってしまうと、なんだか人嫌いのように聞こえるが、そうではない。人を苦手になるよりさきに、自分をよく思っていなかったので、一人でいなくてはならない、人に近づいてはいけないと感じることが多かった。

若い人の揺れ動く繊細な思いと苦悩が伝わってきた。

コロナ禍の中、若い人たちの将来や未来への苦悩を聞くと気の毒になってくる。生きづらい時代、それでもなんとか諦めずに切り開いてほしいと願う。君たちしか未来を変えられないのだから。最近よくそう思っている。


気になる女(ひと)


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新春の富士山は雪が少ない


深夜に大相撲のダイジェスト版を観るのを楽しみにしている。横綱は欠場。大関が弱い。こんな場所がしばらく続いている。そんなわけで相撲はつまらないかといえば、どっこい平幕の有望力士の取り口や技、そしてキャラクターなどにも関心が向けられ、けっこう面白い。

そしてもう一つ。観戦している女性の一人にどうしても目がいく。その女性は、前列の席(向って左側の通路に近い席)で、静かに土俵を見つめている。背筋を伸ばした正座姿がじつに美しい。毎日、定位置。いったい誰だ〜とついにググってしまった。

ネットでは「溜り席の妖精」と呼ばれている・・・すでに相撲ファンには知られていた。しかし詳細は不明。ワンピース&マスク女性への関心が、日増しに増していく。荒っぽい力士と謎の美女の組み合わせ・・・画面から目が離せない。

解説の舞の海〜教えてくれ〜〜


甘党


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神田川でコサギの捕食を眺めていたら、急にお腹が空いてきた。少し先に、創業大正三年・寒天工房「讃岐屋」さんがある。小さな店なので二回に一回は、満員で入れない。今日はどうだと、暖簾をくぐれば、一組だけ・・・よかった・・・

少ないメニューから、焼き団子とぜんざいを注文する。飲み物は懐かしのアップルタイザー。コロナマスクを外して、まずタイザーをグイと一飲み。梅の香りが残って、じつに爽やか。
しばらくすると焼き団子がやって来た。串に小さな団子が五つ。醤油の焦げた甘い香りに鼻がヒクヒク、四本はクイクイと胃袋へ。

そして「餅二つ入り・椀ギリギリまで小豆」のぜんざいがやってきた。あまり甘くはないが、団子四本の後の大盛りぜんざい。これはキツかった。
タイザー、お茶二杯飲んで、なんとか完食。小豆は美味しい。


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半端ない小豆が椀の底までたっぷり〜

コサギ


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珍しく大人しくステイホームの週末を過ごした。神田川沿いを散歩すれば、ムクドリ、カモの声が聞こえてくる。あまりキレイとは思えない川には、コサギが四羽。餌となる小魚を狙っているのだろうか。待てよ、この川にだいたい小魚なんているのか?・・・


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四羽の真ん中からウの幼鳥らしき一羽が水から現れた。ということは、間違いなくいるということ。大人しく観察をしていると、素早く長い首を伸ばして小魚を捕獲しはじめた。10センチくらいの小魚か。あっという間に呑みこむ。他のコサギが奪おうとする動きを見せるからだ。

見飽きることがない。次々に小魚をゲットしていく。欄干にもたれて鳥を眺めるというのは幸せな時間だ。
常に食べ物の心配をしなければならない鳥たちを眺めていたら、急にお腹が空いてきた。

記憶


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見上げて思わず「ビュフェ」と口にする。こんな冬木立の絵を見た記憶があったからだ。画家の名前は記憶のスイッチを動かした。

もう半世紀も前か・・・心淋しい冬木立が並ぶ公園の雪道に、足跡が点々と付いている。その足跡の間隔は狭い。なぜ?

ある朝、それが分かった。小学生が用心しながら足跡を辿って歩いている。通学する小学生のために、大人の誰かが早起きをして、歩幅にあった踏み跡を付けていたのだ。

口にすると記憶のドアが開くことがある。

五輪終


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この歌を詠んだのは去年の10月。発表すると、意外に反響があった。
この歌の矢面に立たされているのは組織委員会の森会長だ。先日、新年の挨拶で最後に語ったのは「スマホをみると、私の悪口ばかり、菅さん以上だった。長い人生でも初めて、森内閣でもこんなにひどくなかった」。

このコメントの向こうにある森さんの思いを想像した。
「本当は、俺だって中止にしたい。しかし今、そうもいかんのよ」。語り口、語り方には、立場の辛さがにじみ出ている。関係者は分かっていて気の毒がっているのかもしれない。時間が経って「あの時は辛かったねえ・・・」と振り返るのか。

現役で立場にあると、私見・私情を通せないことがある。

\^o^/^o^\ニュース
サッポロの「RAGAR」は、スペルミスのママ売り出されることになった。廃棄するのはよくないと言う消費者の声に会社は発売を決定したようだ。
意外に売れる!?のではないかと予測している。


スペルミス


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今日発売予定だったサッポロのラガービールのラベルデザインに、スペルミスがあり発売が延期されたというニュース。「RAGER」と表記されるべきを「RAGAR」と印刷してしまい、出荷前に気付いたという。

厳しいチェックを受けてるはずなのに、なぜこんなミスを・・・そう思ったが、昨年末に同じようなミスをしていたことを思いだした。

「CALEDAR」とすべきところを「CALENDEA」とし、入稿ギリギリまで気付かずにいた。「RAGER」とは、全くの逆だ。そうだと思い込んでいると、チェックは甘くなる。

思えば数年前、甲武信岳で小屋を見つけられず山頂付近で途方に暮れたのも、小屋の位置を尾根一つ間違えて覚えていたからだった。地図を見ても勘違いに直ぐに気付かなかった。あとで10年以上の勘違いをしていたことに気付く。

チェックした担当者を気の毒に思う。このビールは出荷されるのだろうか。


ほっかぶり


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東北、日本海側の雪は半端ないようだ。秋田湯沢町の歌友からは「街が埋もれてしまって出歩けません、郵便局にもいけないので、発送が遅くなります。ずっと雪かきをしています」のメールがあった。

テレビには、降り積もった雪が、平屋建家屋の屋根近くまで達している様子が映しだされていた。ふと、ふるさと札幌の冬の日々を思いだした。

「おい兄貴、行くぞ!」と、父から声がかかる。受験勉強を途中で止め、アノラックと軍手、長靴を装着し、スコップを持って父を追いかけ、家の回りの雪かきを始める。夜に何度か済ませておかないと、朝、家から出られなくなることがあるからだ。30分くらい体を動かし続けると汗が噴き出てくる。「これくらいにするか」の声がかかってスコップを仕舞い、玄関に入ると、父は頬被りの手拭を外して、雪をはらう。「しかしよく降るな〜」と言いながらも気持ち良さそうだった。

雪かきといえば父の頬被り。それを「ほっかぶり」と言っていた。聞き続けた言葉は、深く記憶される。ほっかぶりは、父の造語だとずっと思っていた。あるとき調べると、仙台や鹿児島の方言とあった。北海道には、内地から連れてこられた言葉がいくつもある。ほっかぶりもその一つだったのだと知った。


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素足


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年が明けると楽しみの一つが、宝島社の新聞広告30段だ。今夕に緊急事態宣言が再発令され、なんだかタイミングがピタリとあった。

「感染拡大は、個人の責任だそうです。宝島」。〜だそうです、とあるのが、いかにも宝島社らしいコピー。それぞれの社会生活をミニマムにしなければならないようですと、やんわりと言ってるのか。

写真に目を移せば、素足の少女がスカートの裾をパンツに挟んで、熱心に机を拭いている。床はすでに丁寧に拭かれているのだろう、清潔に見える。

「言われなくても、やっています。」。モノを大切にすることを教えられていた、昭和30年代・・・あの頃は、子どもの多くはまだ素足だった。

水の冷たさ、土の暖かさ、草の匂いなど、足の裏はセンサーのように反応した。音をたてずに廊下を歩く、陽がさした畳の温かさを感じる、足を小さくしたくなる三和土の冷たさ、そして木の肌や泥まで、足の裏はきっと学んでいたんだ、とこの写真は教えてくれる。


言葉


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昨年を振りかえると、心太(ところてん)のような一年だった。狭いところに押し込められ、何もさせてもらえぬまま、コロナという押し棒でグイグイと押され、気がついたら細く緩く締まりのない一年となって終わり。もちろん味も素っ気もありやしない。

ため息をついてばかりいても仕方がない。ふと思いだして、昨年の春にメルケル首相が国民に向けたテレビ演説を改めて読んでみた。

この時期すでに、ここまでまとめていることに驚く。言葉のもつ意味と重みが沁みてくる。興味とお時間のある方におススメめします。

*****

2020年3月18日 メルケル首相のテレビ演説

新型コロナウィルスにより、この国の私たちの生活は今、急激な変化にさらされています。日常性、社会生活、他者との共存についての私たちの常識が、これまでにない形で試練を受けています。

何百万人もの方々が職場に行けず、お子さんたちは学校や保育園に通えず、劇場、映画館、店舗は閉まっています。なかでも最もつらいのはおそらく、これまで当たり前だった人と人の付き合いができなくなっていることでしょう。もちろん私たちの誰もが、このような状況では、今後どうなるのかと疑問や不安で頭がいっぱいになります。

本日は、現下の状況における首相としての、また政府全体としての基本的考えをお伝えするため、このように通常とは異なる形で皆さんにお話をすることになりました。開かれた民主主義のもとでは、政治において下される決定の透明性を確保し、説明を尽くすことが必要です。私たちの取組について、できるだけ説得力ある形でその根拠を説明し、発信し、理解してもらえるようにするのです。

本当に全ての市民の皆さんが、ご自身の課題と捉えてくだされば、この課題は必ずや克服できると私は固く信じています。

ですから申し上げます。事態は深刻です。皆さんも深刻に捉えていただきたい。ドイツ統一、いや、第二次世界大戦以来、我が国における社会全体の結束した行動が、ここまで試された試練はありませんでした。

私からは、感染拡大の現状についてご説明するとともに、政府や国・地方自治体の機関が、共同体の全ての人を守り、経済・社会・文化の損失を抑え込むためにどのような取り組みを進めているかをお話しします。さらにそうした取組において、なぜ皆さんが必要なのか、一人ひとりに何ができるのかについてもお伝えしたいと思います。

さて、感染拡大に関してですが、これについて私がお話しすることは全て、政府と、ロベルト・コッホ研究所の専門家、その他の研究者、ウイルス学者の人々との継続的な協議に基づいています。現在、世界中で急ピッチで研究が進められていますが、未だ、新型コロナウイルスの治療法もワクチンも開発されていません。

こうした状況において、あらゆる取り組みの唯一の指針となるのは、ウイルスの感染拡大速度を遅くする、数カ月引き延ばす、そして時間を稼ぐということです。時間を稼ぎ、研究者に治療薬とワクチンを開発してもらうのです。同時に、発症した人ができるだけよい医療を受けられるようにするための時間稼ぎでもあります。

ドイツは、世界有数ともいえる優れた医療体制を誇っています。このことは安心材料ではあります。ただし、あまりに多数の重症患者が極めて短期間のうちに搬送されるようなことになれば、我が国の医療機関も対処できない状況に陥ってしまうでしょう。

これは、単なる抽象的な統計数値で済む話ではありません。ある人の父親であったり、祖父、母親、祖母、あるいはパートナーであったりする、実際の人間が関わってくる話なのです。そして私たちの社会は、一つひとつの命、一人ひとりの人間が重みを持つ共同体なのです。

この機会に何よりもまず、医師、看護師、あるいはその他の役割を担い、医療機関をはじめ我が国の医療体制で活動してくださっている皆さんに呼びかけたいと思います。皆さんは、この闘いの最前線に立ち、誰よりも先に患者さんと向き合い、感染がいかに重症化しうるかも目の当たりにされています。そして来る日も来る日もご自身の仕事を引き受け、人々のために働いておられます。皆さんが果たされる貢献はとてつもなく大きなものであり、その働きに心より御礼を申し上げます。

現在の喫緊の課題は、ドイツに広がるウイルスの感染速度を遅らせることです。そのためには、社会生活を極力縮小するという手段に賭けなければならない。これは非常に重要です。もちろん、国の機能は引き続き維持され、物資の供給体制は確保され、経済活動は可能な限りの継続を図っていきますので、あくまでも理性と慎重さに基づいて行っていきます。

しかし今は、人々を危険にさらしかねないこと、個々人あるいは共同体にダメージを与えかねないことをことごとく縮小していかねばならないのです。

人から人への感染リスクをできる限り抑えていかなければなりません。

日常生活における制約が、今すでにいかに厳しいものであるかは私も承知しています。イベント、見本市、コンサートがキャンセルされ、学校も、大学も、幼稚園も閉鎖され、遊び場で遊ぶこともできなくなりました。連邦と各州が合意した休業措置が、私たちの生活や民主主義に対する認識にとりいかに重大な介入であるかを承知しています。これらは、ドイツ連邦共和国がかつて経験したことがないような制約です。

次の点はしかしぜひお伝えしたい。こうした制約は、渡航や移動の自由が苦難の末に勝ち取られた権利であるという経験をしてきた私のような人間にとり、絶対的な必要性がなければ正当化し得ないものなのです。民主主義においては、決して安易に決めてはならず、決めるのであればあくまでも一時的なものにとどめるべきです。しかし今は、命を救うためには避けられないことなのです。

こうしたことから、今週はじめより、いくつかの重要な近隣諸国との国境において、国境管理と入国制限措置が強化されています。

大企業・中小を問わず企業各社にとり、また小売店、飲食店、フリーランスの人たちにとり、状況はすでに非常に厳しくなっています。そしてこれからの数週間、状況は一層厳しくなるでしょう。政府は、経済的影響を緩和し、特に雇用を維持するため、あらゆる手段を尽くす考えであり、このことを私は皆さんにお約束します。

私たちには、この厳しい試練に直面する企業や労働者を支援するために必要なあらゆる策を講じる力があり、また意思があります。

また、食糧供給は常時確保されていますので、どうか安心していただきたい。たとえ商品の棚が一日空になることがあったとしても、商品は補充されます。スーパーに買物に行かれる方に申し上げたいのですが、ストックの買い置きが有意義であるのは、何も今に始まったことではありません。しかしそれは、節度を守ってこそ、です。商品が二度と手に入らないかのごとく買い占めに走るのは無意味であり、結局、他者への配慮に欠ける行為となります。

さてここで、感謝される機会が日頃あまりにも少ない方々にも、謝意を述べたいと思います。スーパーのレジ係や商品棚の補充担当として働く皆さんは、現下の状況において最も大変な仕事の一つを担っています。皆さんが、人々のために働いてくださり、社会生活の機能を維持してくださっていることに、感謝を申し上げます。

ここで、本日、私にとって最も重要な点についてお話します。国がどのような対策を講じても、急速なウイルス感染拡大に対抗しうる最も有効な手段を用いないのであれば、それは徒労に終わってしまいます。最も有効な手段とは、私たち自身です。誰もが等しくウイルスに感染する可能性があるように、誰もが助け合わなければなりません。まずは、現在の状況を真剣に受け止めることから始めるのです。そしてパニックに陥らないこと、しかしまた自分一人がどう行動してもあまり関係ないだろう、などと一瞬たりとも考えないことです。関係のない人などいません。全員が当事者であり、私たち全員の努力が必要なのです。

感染症の拡大は、私たちがいかに脆弱な存在で、他者の配慮ある行動に依存しているかを見せつけています。しかしそれは、結束した対応をとれば、互いを守り、力を与え合うことができるということでもあります。

まさに、一人ひとりの取り組みにかかっているのです。私たちは、ウイルス感染拡大を無抵抗に受け入れる以外になすすべがないわけではありません。私たちには対抗する手段があります。それは、互いへの配慮から人との間に間隔を置くことです。ウイルス学者の助言ははっきりしています。握手はしない、手洗いを頻繁かつ徹底して行う、他の人との間隔を最低1.5メートルあける、そして今は、特にリスクの高い高齢者との接触を極力避ける。

これらを実際に実行するのが私たちにとっていかに大変なことか、私も承知しています。困難な時期であるからこそ、大切な人の側にいたいと願うものです。私たちにとって、相手を慈しむ行為は、身体的な距離の近さや触れ合いを伴うものです。しかし残念ながら現状では、その逆こそが正しい選択なのです。今は、距離を置くことが唯一、思いやりなのだということを、本当に全員が理解しなければなりません。

よかれと思って誰かを訪問したり、不要不急の旅行に出かけたりすることが、感染につながりかねない今、こうした行動は控えるべきです。専門家の方々が、今は祖父母と孫が会わないほうがよい、と助言しているのは、十分な根拠があるからこそなのです。

不要な接触を避けることは、感染者数の増加に日々直面している全ての医療機関関係者のサポートになります。そうすることで私たちは命を救っているのです。接触制限は多くの人にとって厳しいものであり、だからこそ、誰も孤立させないこと、励ましと希望を必要とする人のケアを行っていくことも重要になります。私たちは、家族や社会として、これまでとは違った形で互いを支え合う道を見つけていくことになるでしょう。

ウイルスが社会に与える影響に対し、さまざまな形で立ち向かおうとする創意工夫が見られます。おじいさん、おばあさんが寂しくならないよう、ポッドキャストを録音してあげるお孫さんなども一例でしょう。

私たちは皆、親愛や友情を表す手段を見出していかなければなりません。それはスカイプ、電話、メールであったり、あるいは郵便の配達は続いていますから手紙であったりするかもしれません。買物に行けない高齢の人を近所の人が支援する活動など、すばらしい取り組みの例を耳にしますし、きっと他にもいろいろできることはあるでしょう。私たちは、互いに置いてきぼりにしないという共同体の姿勢を見せていきます。

皆さんに呼びかけます。どうか、今後しばらくの間適用されるルールを守ってください。政府としては、再び戻せるところはないかを継続的に点検していきます。しかし、さらに必要な措置がないかについても検討を続けます。

事態は流動的であり、私たちは、いつでも発想を転換し、他の手段で対応ができるよう、常に学ぶ姿勢を維持していきます。新たな手段をとる場合には、その都度説明を行っていきます。

ですから皆さん、どうか噂話は信じないでください。様々な言語にも翻訳されている公式な発表だけを信じてください。

我が国は民主主義国家です。私たちの活力の源は強制ではなく、知識の共有と参加です。現在直面しているのは、まさに歴史的課題であり、結束してはじめて乗り越えていけるのです。

私たちはこの危機を克服していくと、私は全く疑っていません。ただ、犠牲者数はどれほど増えるでしょうか?私たちは大切な人を何人、失うことになるでしょうか?このことは相当程度、私たち自身の行動にかかっています。今こそ、固い決意のもと、皆でともに行動するときです。制約を受け入れ、互いに助けあうのです。

現状は深刻ですが、この先はいろいろな展開があり得ます。

ということは、一人ひとりがどれだけ自制してルールを守り、実行するかが、全てではないにせよ、今後の展開を決める一つの要素なのです。

かつて経験したことのない事態ではありますが、私たちは、思いやりと理性を持って行動し、命を救っていくことを示していかなければなりません。例外なく全ての人、私たち一人ひとりが試されているのです。

皆さんご自身と大切な人の健康に気をつけてください。ご静聴ありがとうございました。


おめでとうございます


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今年の干支は丑、ということで、年賀状にはこの赤べこをあしらってみた。赤べこは、会津地方の民芸品の張り子で、赤い色には魔除けや厄除けとしての願いが込められている。

疫病が流行った昔、この赤べこが防いだという謂れがあるのなら、施策が後手後手に回るこの国にはモ〜ウ頼らず、この赤べこをダウンロードしていただき、ぜひ玄関ドアやマスクなどに張っていただければ、と思うのであります。


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冷え冷えとした月明かりが、コロナの地球を照射している


一年間、歩キ眼デスをご贔屓いただきましてありがとうございました。
2021年もよろしくお願いいたします。


Merry Christmas


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こんな看板が交差点を見つめてた
家族との時間が増えた一年だった

昨年は、バタバタして掃除もまともにしないうちに一年が終わった。今年は余裕をもって、紙類、資料などをご苦労さ〜んとばかりに、紐でグルグル巻きにしていく。積んでおいたモノがドンドン無くなっていくのは気持ちがいい。

一片付けしての昼飯。蕎麦屋の店主と客が一年の〆の挨拶。遠くにそれ聞きながら蕎麦を啜る。暮れを感じる心地いい時間だ。仕事もすっかり少なくなって不安だが、見えてくるものもあった。

コロナ禍の流れは川のごとく、無用も有用も、削り、呑み込み、解かして、やがて何もなかったかのように大河となるのだろう。

たゆたえども沈まず、この先に見えてくるものを見たい、知りたい。

忙中、感あり


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ようやく年賀状とカレンダーなどの入稿作業が終わってひと息ついた。明日から掃除、整理をしながら、コロナ禍の一年を振り返るのだろう。無かったことにしたい年だったが、考えてしまう一年でもあった。

人、モノ、情報が動いてこそ、カネが動き、経済は回る。流動しなければ経済が保てないというのは、まさに体と同じだ。血やリンパ、髄液が流れていないと決まって体調に変化をきたす。

戻すためには、血液をサラサラにする「go to???」という特効薬の投与。初めは効き目良好だったが、症状との相性が悪くなって投与中止に追いこまれる。

クスリ漬けにしても、体そのものを鍛えなければ、正しい回復にはつながらないのではないか。いつまでも打ち出の国債から小判を出し続けて貰っていいのだろうかと、危惧してしまう。

石岡映子


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東京都現代美術館で石岡映子の大懐古展「血が、汗が、涙がデザインできるか」を観てきた。というか体感をしてきた。さまざまな展覧会を観てきたが、こんなにもアドレナリンが出まくったのは初めての体験。美術館を出た後も興奮が収まらず、凍て月の光を浴びて頭と体を冷やした。
彼女のスケールの大きさをあまりにも知らな過ぎたのだ。

館内にインタビューに応えている石岡の声がずっと聴こえている。日本での広告の時代を「静」とするなら、ニューヨークへと拠点を移し、舞台、映画、ミュージカル、オペラ、サーカス、オリンピックへと活躍の舞台を広げた時代は「動」。その圧倒的な仕事の質量に押しつぶされた。

館内はいくつもの空間に仕切られている。映画やオペラ、サーカスなど、その場に居合わせてるかのような展示空間の演出が凄い。音と映像、そして彼女のデザインした衣装の森の中で、呆然と立ち尽しているとアドレナリンが分泌しはじめた。一つの個性、才能は、ここまで大きくなるものだろうか。空間を移動をしながら感じたことはそれだった。

色校正、コンセプト案、デザイン画、絵コンテ、どれも妥協を許さない石岡の姿があった。今まで自分の歩んできた世界にこんな人がいたのかと思うと、茫然自失となった。

年が明けたら、もう一度、行こう。行くしかない。

石岡映子「血が、汗が、涙がデザインできるか」
2021年2月14日まで。


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一度来てたはずなのに、建物の構造をスッカリ忘れていた


冬至


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朝一番に、今日は冬至です、のメールが入った。すっかり忘れていたので、嬉しくなった。寒波が来ようと、雪が降ろうと、変異種のコロナがイギリスで拡大と聞いても、今日から日が長くなると思えば、希望の光が差し込んできたような気分だ。

そして宙では、木星と土星も超大接近するという。それが約400年ぶりと聞いてもよく分からない。もしかしたら土星的な人と接近するのだろうか、期待してみよう・・・。


視線


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何らかの画面見つめて日が暮れる

こんな川柳を見つけ、まさに現代の風景を詠んでいると感心した。電車の中、レストラン、公園、そして歩きながらも、老いも若きも画面を見つめて今を流れていく。

先日、車内で文庫本を読んでいると、両隣りに座った人が読書を始めるという不思議な時間を体験した(昔なら当たり前)。三人が並んで本を読んでいるのだから、反対側の席からは、どんな風に映っているのだろうと、頭を上げると皆さん一心にスマホの画面を見ていた。そうだよな・・・

これじゃ車内の中吊り広告も少なくなっていくのは仕方がない。寂しいものだが、今日見た中吊りに「お値段異常、コジマ」、これには笑った。「お値段以上、ニトリ」のパロディ広告。こんな広告を見てニンマリする。この人たち、気がつかんだろうなあ〜と眺めて電車を降りた。



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大雪が降っているよ〜と秋田の歌友からメールがあった。長野のRさんは、お願いをしていた吹雪と電車というテーマを見事なトリミングで撮ってくれた。寒い夜中に電車が来るまで待って、ただ感謝、うれしい。この写真に歌一首を入れてカレンダーにする。

昨年は、全く雪が降らず、そしてコロナ。温暖化の影響だろうかと心配していたが、ちょっと安心。この雪、コロナも封じ込めてくれないだろうか・・・


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マハにハマる


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知人から原田マハは、いいですよと教えられて、素直に一冊目を購入。「まぐだら屋のマリア」。「尽果(つきはて)」という架空の地で、夢を失った若き主人公が料理人マリアに助けられ、立ち直っていくという作品だ。一気に読み終えて、この作家には力があると感じ、次々に夢中になった。

ここにないもう一冊に「楽園のカンヴァス」がある。ルソーとピカソが生涯抱えた秘密をベースに、ミステリーに仕立てた作品。誰かに貸したのだろうか、見つからなかった。

原田氏は、元キューレーター。学芸員と訳されるが、美術館、文化施設の専門職の呼称で、欧米では一目置かれる職業だ。氏は、森美術館の設立に携わった後、作家の道をすすんだ。

そんな背景もあってか、美術や画家を描いた作品が多い。「たゆたえども沈まず」は、ゴッホのいた19世紀末のパリを物語にしている。折れそうで沈みそうなコロナ禍のなか、誰もがお呪いにしたい言葉になるのではないかと思う。

「たゆたえども沈まず」。
落ち込みそうになったら、口にしてみてはどうだろうか。


森を守る


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北高尾の山を下りてきたら煙をたなびかせている小屋があった。
小屋の入口横に山岳会のマークと「高尾の森づくりの会」のプレートが表示されていたので入ってみる。二人の男性が薪ストーブの前で談笑していた。薪の爆ぜる音がしたので、思わず「好いですねえ〜」と笑顔になって、まずは挨拶。

聞くと、この小屋は森を守るボランティアたちのベース基地で、伐採や植林などの作業を続け、高尾山周辺の広大な森を守っているとのこと。少しずつではあるが、針葉樹から広葉樹の森づくりも進めているらしい。

雇用期間の延長により退職者が少なくなり、ボランティアが減ってしまったとお二人は嘆く。200人近くいたメンバーも80人まで減ってしまい・・・・・どこも同じなんだ。

森を守ることは山を守ること。これから山はどうなっていくのかなと少々不安になった。


冬苺


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晩秋から冬にかけて、陽の当たる林道沿いで冬苺は赤い実をつける。小さくて粒もわずかだが、手にとって口に放り込むと、甘酸っぱさが口いっぱいに広がる。
こんなに沢山あるなら採っていこうかなと思っていたら、親子が小さなタッパをもう一杯にしていた。

「ジャムにするのかな?」と小さな男の子に話しかけると、とてもうれしそうに笑った。
いいなあ親子で・・・君はこの冬苺を忘れないと思うけど、おじさんも君たちのことを忘れないと思うよ。


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心拍数


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クラゲの寿命は約一年だが、ベニクラゲは不老不死といわれている


朝方、心拍数が上がってきて目が覚めた。体が水をくれ〜と叫んでいる。ごそごそと這い出し、水を補給しながら前夜の酒宴を振りかえる。そろそろ酒は終わりにしようと思っているのだが、止められない。

ずいぶん昔、五木寛之のエッセーに人や動物の心拍数は決まっていて、1分間の脈拍回数から寿命が計算できるとあった。数式はY=ax。Yは一生の心拍数。aが一年の心拍数で、xが寿命。つまり心拍数が多い動物は長生きができない。

心拍数で比較すると、ネズミ毎分600回で寿命約4年。ゾウやは毎分20〜40回で70年。ゾウガメは平均寿命146歳。

呑み過ぎの年間回数と早打ち心拍数をその数式に加えると、そんなに長生きはできないだろう。絶好調〜と言いながら、どこかでポキッと逝くのかもしれない。


赤紙


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いまの若い人に「赤紙」と言っても何のことやらサッパリ分からないだろう。新型コロナで医療体制が逼迫という大本営の発表を聞いて、いよいよ我が国の医療の旗色が悪くなっていると知った。

今日の歌会の参加者も少ないし、国民外出禁止令でも発動されれば、戦時下の空気(なんや知らんけど)に近づいていくのではないか。そしていつか我が身にもコロナからの赤紙が届くやもしれない。


焚き火


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コロナ禍、テレビ局はステイホームを意識した番組を考えている。先日紹介した旅をしない旅の番組「妄想トレイン」もそうだが、最近、身も心も預けてしまうのは「魂のタキ火」(NHK火曜日)。

焚き火を囲んで、初顔合わせの三人がポツポツととりとめのない話をする。カメラは炎と彼らを映しだす。たいした内容のある話なんてしない。焚き火の前ではそれがいい。主役はあくまでも燃え続ける焚き火だ。ときおり爆ぜる音がして火花が飛ぶ。焦げた臭いも漂ってるに違いない。

テレビ側の空いた席に我が身を置くと、あたかも四人で囲んでいるような気分になる。炎だけを見つめているといつしか話し声が遠くなっていく。
焚き火を囲んで呑んだのは、いつだっただろうか。


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暗渠


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神田川から高円寺へと続く長い一本道を初めて歩いたのは、もうかれこれ30年以上も前のこと。直ぐにこの道は昔、川だと分かった。不要となった川には、フタをされ道として残った。暗渠は都内にどれくらいあるのだろう。

人の往来が少ない暗渠の道。河の上という感覚で歩いていくと、時代を遡っていく気分になっていく。


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暗渠の道の特長はカーブが多いこと

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大きな道に出ると決まって橋の名前がでてくる


芸術の秋


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この緞帳を見て、すぐ分かる人は講談通だ


友人の展覧会、友人の姪っ子が監督をした映画、応援している講談師、落語家の舞台にと、この二週間、せっせと足を運んだ。

可笑しかったのは、講談の宝井琴調師匠のお話。目が合ったからこんなエピソードを語ってくれたのか「師匠のお嬢さんが、冬休みなんで子どもたちを連れて実家に戻っていたんですね。寒い日の朝、庭で洗濯板を出して自分のものを洗っていたら、お嬢さんが縁側で「子どもたち集合〜」「昔はこうして洗濯をしていたんです」

「昔じゃありやせんよ〜いまですよ〜ってブツブツ言ったんですが、修行中はよく赤切れをつくっていやした」。ここに出てきたお嬢さんこそ、本郷歌会の前代表のYさんだ。

菊之丞、権太桜の師走、晦日の話を思いだしながら、年の瀬の街を歩くというのも乙なもんだなと思うのだった。


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毎年恒例のネコ中心の展覧会

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絵師Kさんの姪っ子さん二本目の映画「空に聞く」を地元ポレポレ座で

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昨日は新橋ホールでご贔屓の菊之丞の「二番煎じ」を


ワクチン接種


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山茶花の花が散っていた


予防接種法改正案なるものが参院本会議可決され、国民にはコロナワクチン接種の努力義務が生じると報じられていた。有効性や安全性が確認できないのに随分と急ぐものだ。

新しいニュースでは、新型コロナの症状には100種類以上あるとNHKが報道。もしかすると先日の原因不明の顔の痛みは、その症状だったのかもしれない。ならば我が体には、抗体が出来ていると判断していいのだろうか。

焦ってつくったものには、当然リスクがある。様子を見守りたい。


流行語


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今年の流行語大賞は「3密」が選ばれた。これはもう異存のないところ。その他の候補を見ると「愛の不時着」「アベノマスク」「ソロキャンプ」など、馴染みのある言葉が目につく。しかし「フワちゃん」、これはなんぞや?
毎年、知らない言葉が選ばれることが多くなった。世間とのズレというか、距離と言うか、無関心というか・・・どちらにしても数年経つと「それなんだっけ?」となる。

この流行語大賞なる年末企画は、1984年(昭和59年)に創始されている。「イッキ!イッキ!」「セクシャルハラスメント」「オバタリアン」「小泉劇場」などは懐かしいが、「ブッチホン」「毒まんじゅう」「品格」・・・今となっては!?だ。

そういえば、流行り風邪という言い方があったが、
今年ならもちろん・・・

アボガド



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窓辺に置いたアボガドの種から芽が出ていた・・・


往生際


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ランハム裕子さんの文章は面白い


この写真を見て、こんな言葉が浮かんだ。2月の大統領選の真っ最中、演説後に「I LOVE YOU」と言って星条旗を抱きしめた瞬間のカットがこれだ。それがいま、別の意味をもって公開されている。

アメリカには「往生際が悪い」という言葉はあるのだろうか。じつにしぶとい。羞恥心を知らない人間は無敵だ。この手段でビジネスも自分優位を曲げずに、ここまでのし上がってきたのだろう。

日本にも少し前までしがみついていた人がいたし、広島にも未だに頑張っている人がいる。権力はそんなに甘いものなのだろうか。

羞恥心と
合理主義とを
開放させた
なしたとすれば
そんなこと


しみじみ・・・


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じっくり静かに、好きな日本酒が呑める。それだけで幸せなのに、お好きなものを四つお選びくださいと云われて、選んだのが「ナマコ酢、長芋、ホタルイカ、塩辛の一夜漬け」。声が出ません、どれも加減が好い・・・いつまでも健康でいなくっちゃ、こんな時、しみじみ思う。


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岩殿山(2)


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さあ〜昼飯はチャンポンだ〜と、前日スーパーで選んだ一品を取りだす。具材たっぷりのチャンポーン!ところが、この中に野菜が入っていないことに気がついた。袋をよく見ると、野菜が入っているとはどこにも書いていない。

ガックリ・・・具材無しチャンポンとは、どんなものなのか。レシピを見ると①水にスープを入れる②沸騰してきたら麺を投入③煮えてきたら、炒めていた具材を入れて完成。
③がなし。②で終わり。なんとも寂しいチャンポン。
思わず、涙が チャンポ〜ン


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気を取り直して、ワイルドなリースを一つ作りあげた


岩殿山(634メートル/畑倉コース)


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山梨県の岩殿山への最短コース「強瀬ルート」が崩落のため、通行止めになって早一年。大月駅から見上げるように登っていくのがスリリングで良かったのだが、仕方がない。大きく回りこんだ畑倉コースからアタックする。

古くからある道なのだろう。つづら折の優しいコースで良かったと思っていたら、後半アキレス腱と脹ら脛が一気に伸びてしまうほどの急坂が待っていた。どのルートから登ってもこの山はキツいということが分かった。

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落ち葉を踏み固めながら一歩ずつ・・・いよいよ山頂へ。ここからの富士山の眺めは素晴らしいのだ。着いた〜太陽を背にオツカレサンと富士山が迎えてくれた。「秀麗富岳十二景」の岩殿山は634m。ということは、スカイツリーの高さと同じということになる。さあ、上手いチャンポンを食べよう!


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東側に目をやると中央自動車道

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風が樹々から乾いた葉を奪い取っていった

環境ポスター展(2)


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環境について考える時間が持てるこの企画展を毎年、大切にしている。今年はコロナという未曾有の事態に社会は激変した。暮らしを変えてしまった新型ウィルスとどう向き合うのか、難しいけれどこれをテーマに挑戦してみた。

悩み抜いた結果、見えてきたのは経済と環境(人命)という背中合わせ課題を抱えていることだった。いまもなお天秤ばかりのバランスの目盛を探るような舵取りが続いている。


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イラストを描いてくれたぷりんさんとは30年来の仕事仲間。考えた末のアイデアを見事に具現化してくれたその才能に脱帽〜そして感謝。

展覧会は、今日で終わりです。コロナ感染者の激増により、来場者が減ってしまったことは残念至極。来年こそ、新型から希望のある新年になってほしい。


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5つの小


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こんな感じ?、と娘が差し出した


昨日、都知事が緊急記者会見をしたというので、ニュースをググってみると・・・感染者数が高い水準で推移している、高齢者に感染が増えている、などの説明の後に、いつものようにパネルを出した。

ヴィジュアルコミュニケーションの小池知事らしい。
パネルには「5つの小」。
年末にかけての会食の仕方だという。

「5つの小」とは、「少人数」「小一時間」「小声」「小皿」「小まめ」。密になりやすい宴会には、この五つを心掛けろと・・・。
まあ、よく考えて出してきたねえ〜標語作りのメンバーには落語家がいるのではないか。

それにしても、お通夜じゃあるまいし、こんな情けない会食ならしない方がいい!

「ん!?」

もしかしたら、それが目的?


環境ポスター展


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本日から、恒例の環境ポスター展が始まった。今年はコロナと環境をテーマにしようと、早い段階から考えはじめたが、人類の前に現れた強敵、試練をどう理解すればいいのか、どんな終息を迎えるのか、分からなかった。

感染者が増えるに従って、人の行き来が止まり、世界の経済活動は停滞した。ロックダウン措置によって、大気汚染状況は改善され、オゾンホールが小さくなった(因果関係は不明とされている)のニュースが飛び込んできた。コロナウィルスが投げかけたのは、経済と環境という相容れない関係性かもしれない・・・。

というわけで、なんとか完成したのだが、コロナがふたたび猛威を振るいはじめている。お誘いしにくいのだが、素敵なカレンダーも販売しています。
いらっしゃいませんか(小声で)。


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妄想トレイン


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かつて、こんな不思議な検定試験があった



また感染者が増えてきた。Goorle Cloudなるサイトが、日本の感染者予測を発表した。向こう28日間で約5万3千人が感染するという。今までの感染者数が約11万7千人だから、わずか一ヵ月でその半分に匹敵する人が感染するという予測。どこからそんな数字が出てくるのか分からないが、気を引き締めなければならない。

そんな社会背景からこんな番組が生まれたのだろうか。BS日テレの「妄想トレイン」。時刻表を元に妄想のプランを立てて、旅をするという番組。これがけっこう面白い。

プラン通りの旅の映像を見ながら、スタジオ内で、電車の音を聞き、車窓を眺め、名物料理の匂いを想像し、風呂に入るしぐさをするなど、ただただ妄想を重ねて旅を楽しんでしまうという、これまさにコロナが生んだ「旅をしない旅番組」。鉄ちゃんにもたまらない。

そうだ、これに近い鉄ちゃん向けの仕事をしていたことを思いだした。


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最後もまた開聞岳


天職ではないかと思ったほど、この仕事は楽しかった。9年間、アイデアは次々に生まれた。最後の試験のポスターには、止めないでほしいという鉄ちゃんたちへ、万感の思いを込めて、別れを告げた。


花梨


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花梨が一カ所に集められていた。見上げると背の高い樹には、まだたくさんの実をつけている。いずれ熟すと落ちてくるのだろうか。鳥は食べないのだろうか。勿体ないなあ〜、花梨酒を作れば、かなりの量を作れるだろうに。植物園内は持ち出し禁止なので、触って香りを嗅ぐだけ。手にとると洋梨のような甘い香りが鼻腔を刺激した。


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クモの上を


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週末の二日間は快晴だった。空の高さを指標する雲さえ見つからんなあと、ぼんやり眺めていたら低空飛行の旅客機が北西から現れはじめた。午後の時間帯、我が散歩道の上空は飛行経路になってしまうのだ。30秒ごとに様々な機種が羽田空港を目指していく。

場所を変えて撮っていると、おや、クモの上を・・・


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黄葉


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巨木の一つ、ユリノキがすっかり黄葉した


いま黄葉が美しい。先週から一気に冷え込んだこともあって、木々が色づいた。プラタナスやユリノキ、ナラ、クヌギがもう葉を落とし始めている。桜はすっかり葉を落とした。イチョウも例年より早く黄色に染まりそうだ。


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昨日の歌会に、先日の青木ヶ原で詠んだ歌を出した。


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甘い香り


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この時期、カツラの木の前を通ると甘い香りが鼻腔を抜けていく。醤油煎餅、綿菓子の甘く芳しい匂いに近い。これはマルトールという成分のはたらきで、葉の細胞が弱り壊れていく秋、黄葉の頃により生成されるとある。

より茶褐色の葉が香るのは、そういうことなのか。金木犀がそうであるように、この香りに気がつくと、キョロキョロしてその存在を確かめる。色づいた葉からも香りが降りてくるようで、心が開放される。
葉がハートのカタチをしているのも心を和ませてくれて、いい感じ。


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MRI(2)


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ツワブキの花が咲きはじめた


今朝、MRIの結果を聞きに、我が家から直ぐの耳鼻科へ行ってきました。因に歯科は徒歩五分、内科は徒歩三分と、病院が近い環境に我が家はあります。

耳鼻科の医師は、パソコンの画面を見て「問題はないようですね」と言った。画面を一緒に見ながら説明をするでもなく、わずかその一言で終わろうとした。総合病院まで行って、30分以上暗いトンネルで、15種類以上の喧しい音を聞きながら耐えていたんだぞ〜、それはないだろう。

「ところで脳みその方は問題はありませんか」と不意に聞いてみた。
「何も写っていないので大丈夫でしょう」。
門外漢がそんな判断していいのか!?と、不信感を持った。せめて、専門ではないので詳しくは分かりませんがくらいは、言ってほしかった。

「先生、そのデータ、頂けませんか?」といえば、貰えたのだろうか。
嬉しいような、不安なような思いを抱えて帰ってきた。


福岡の生嶌さんが、一緒に登った恵那山の想い出を書いてくれた。

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青木ヶ原


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ハイキングコースになっているので迷うことはない


11月のORMACは、富士山の麓「青木ヶ原」。自殺の名所を歩ける〜ということで、新人4名を含む13名の参加という、近頃では珍しい大所帯となった。出発時に点呼をし、途中でも人数確認するなど、行方不明者が出ないよう常にチェック。

予報されていた雨はなく、穏やかな曇天のなか、栂とミズナラ、カラマツの美しい森を歩き、大展望台に続く広い尾根を登っていくと、雲を被った富士山以外の山々、そして三つの湖を眺めることができた。

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木々の根は溶岩を包むように延びている

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トーボクコーシン

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展望台に続く最後の登りをゆく

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枯れ葉に隠れていたリンドウ一輪

MRI


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高所と閉所にチト弱い


これから脳のMRIを受ける。大峰山を登る前から右奥歯の回りが痛むので、歯科医でレントゲン・チェックを受けたが異常なし。数日してリンパ辺りが腫れてきたので、風邪の影響かと思い内科に行くが、喉が少し腫れているだけだと云われる。さらに痛みは、耳の奥に及んできたので、耳鼻科で診てもらうが、やはり問題なし。

なぜだ!? 担当医は、総合病院で頭部のチェックを受けた方がいいと、予約を入れてくれた。
ところが、昨日から痛みが消えた。どうする?
逡巡したが、流れには乗った方がいいのかもと判断。

さて、写るものは何だろう。


密は文化


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密は文化。そんな四文字を新聞で目にした。つまり距離をとることは、文化を失っていくことと理解した。人が集い、生活を豊かにしていく活動の全てを文化と云うならば、それを支えている習慣や人たちのなんと多いことか。

コロナは、生活様式だけでなく文化活動にも大きなダメージを与えている。たとえばお祭りが中止になることで金魚の生産者に、演芸の場が失われてしまうことで三味線作りの工房にと、日々を豊かにしていた毛細血管の先には、様々な人たちの仕事の場があった。

「ネット金魚すくい」で、上手く掬えたら、業者から金魚が届くなんて日が来るのだろうか。丸めた布団を一人で担ぎ、声を出しながら部屋の中を動き回ったって、神輿を担ぐ密な体感は得られない。

コロナは何を生み出そうとしているのだろうか。
密が愛おしい。


すすき


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秋の箱根といえば仙石原のすすき。風が吹くと海原のような趣きとなり、シャッター音が一斉に鳴り響く。西日が当たる頃、どんな輝きを見せるのだろう。
すすきは、白樺と同様に不毛な地に生える代表的な植物の一つだ。


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すすきの中はビューポイント

遠赤外線暖房機


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先週末、大峰山の前泊は小さな宿を選んだ。二段ベッド独り占めで、宿泊客はもう一組だけという静かな環境。女将が部屋の説明と暖房機の取扱に付いて話してくれた。

ん!?これ、昔、プロダクツから販売までに関わった遠赤外線暖房機「アーバンホット」ではないか
懐かしい。「これ、じつはと・・・」と話をしたら、驚かれていた。きっと生協ルートから購入されたのかもしれない(図書コーナーには環境に関する本が多かったから)。

嬉しくなって柔らかな起毛のパネル面に触れてみた(火傷の心配がない)。「W暖流」「Move & Compact」など、当時、開発したキーワードのいくつかを思いだした。

この製品は、その冬の人気商品となり、生産が追いつかずとうとう買えなかった。柔らかな温かさをふたたび体感して、よし、購入しようと決めた。



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こんなパンフレットを作っていた


陀羅尼助丸


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山では最後まで女性に会うことなく、洞川温泉への道をトボトボと下りた。温泉街に入ると「陀羅尼助丸」なる看板がやたら出てくる。何て読むの?「だらにすけ」。読んでからしばらくすると、忘れてしまう。ダラニスケ・・・片仮名で覚えようか。
全てのお店で売っているようだ。


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雪洞が灯ると、古き佳き温泉街に変身する

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お店に入ってなぜこんな名称なのかを聞くとこんな話だった。
今から1300年前、修験道の開祖である役の行者(えんのぎょうじゃ)が大峰山の開山の際、山中に生え繁るキハダを煮てそのエキスを取ったところ、胃腸の病をはじめ内臓、外傷にも薬効のある事を知った。それ以降、この地で「陀羅尼助丸」を販売しているとのことだった。

お酒を呑む前にも効果があるらしい。年末、一度試してみよう。



大峯山(3)


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この標識をよく見なさいよ〜と後で独り言


晴れ上がった空の元、歩いてきた山道を思いだしながら、買ってきた柿の葉寿司を広げる。八合目辺りでシャリばてしていたので、ことのほか寿司飯が美味かった。今日は余裕をもって下りられそうだと、地図を眺めていたら、目の前を3人グループが通り過ぎていった。


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そうか、彼らの後を追いかければいいのだなと合点した。リュックに荷物を入れて、さあ出発。緩やかな坂を下りていくと低い笹の道が現れた。スキップしたくなるような小道だ。誰にも追い抜かれず、すれ違いもない。いいなあ〜と歩いて約30分。
まてよ・・・最初の「レンゲ辻」の標識が出てこない。立ち止まって、太陽を確認。???

違う。この道ではない。地図を出して確認する。ヤバっ!これは熊野へと続く道だ。「レンゲ辻」へのルートは、もう一つあったのだ。ガックリ・・・
山頂へ登り返す。一時間以上のロスタイムだが、まあ、時間に余裕があるから大丈夫と気を取り直す。
(^^;

山頂でようやくレンゲ辻の道を見つけ、これで安心と下山開始・・・だんだん斜度がキツくなり、下が見えないほどの階段が現れた。もしかして、これ上級者のルート!?。下山時に滑落する人が多いので気をつけてと、宿の人が言っていたのが、この道かもしれない。

カメラを出せないほどの急階段、鎖の壁、幅30センチほどしかない崖覗きの道を用心しながら下りていく。しばらくすると水音を聞こえてきた。緊張の糸が切れ・・・安堵。


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この赤テープなら見つかる
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赤いテープ、見つけられますか?

細い川筋に沿って歩く。時々、道を失う。立ち止まって辺りを眺める。すると川の向こうに赤いテープを発見する。川を渡るんだ・・・素人は迷うだろうなあ。なんども赤いテープを探しては徒渉を繰り返す。

林道に出た時は、ホッとした。ずいぶん歩いたなあと歩数を確認すると、35000歩超!
ロスタイムの分が加算されていた。これでようやく92座。さあ洞川の温泉に入ろう〜♬


大峯山(2)


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女人結界であるから、駐車場にいた人たちは当然のように男ばかり。当たり前か・・・。厳しい登りと緊張していたら、意外に穏やかな道が続き拍子抜けした。陽が上がってくると、紅葉が鮮やかになってくる。


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森のなかのモミジやカエデに陽が当たると、そこだけが暖炉のようにポッと点る。寒さを忘れてしまうような暖色が針葉樹の中に見え隠れする。


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山頂が近づくと風が強くなり、ついに噂の「西の覗(にしののぞき)」に到着した。「捨身の行」が行われる場所だ。絶壁から命を絶つ覚悟で身を乗り出し、仏の世界を覗くという修業。聞いただけで身震いしてしまうくらいだから、当然近づくこともできない。カメラをあげて撮ったが、遠景が少し写っていただけ。怖くて、早々に引き下がった。
若者三人は「こぇえ〜〜」と言いながら、ニコニコしていた。


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そして、最後の急な登りが終わると、笹が広がる山頂に出た。遠景の山々がはっきりと見えるが、どれがなにやらサッパリ分からない。山頂で記念撮影をして、ランチタイム。この後、大変なことに・・・。


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大峯山(山上ヶ岳・1719m/百名山91座目)


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まだ暗い温泉街を抜け、山上ヶ岳の登山口を目指して歩をすすめていく。一時間ほど山道を上がっていくと「女人結界門」が現れた。今もなお宗教的理由から女性の立ち入りが認められていない世界でも類を見ない珍しい場所だ。

今から1300年ほど前、女性が近づかない山の奥こそ異性に煩わされない厳しい修行の場と考えられるようになり、修験者は山岳を選び修業したといわれ、霊山と呼ばれる山には女人禁制が定着するようになった。

その後「男尊女卑を肯定する象徴」として多くの物議が繰り返されてきたが、2004年にはユネスコの世界遺産に登録された。

修験道者ではないが、ここはひとつ失礼をしてと緊張しながらこの門をくぐった。


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まだ眠っている洞川温泉街

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行者たちの休憩所を通り抜けていく珍しい山道

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もうすぐ0度〜!


好山病


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というわけで、今年最後の百名山を大峰山(1719m)に決めた。週末の天気予報は晴れマーク、久しぶりに雨具を気にしない山行が楽しめそうだ。

大峰山は修験道の盛んな山で、現在も女人禁制となっている。飛鳥時代に開山された歴史のある山だというので、期待もあり緊張も高まる。


心構え


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来月の環境ポスター展の作品づくりに追われている。毎年、テーマを決めアイデアが出るまで、身を捻るようにして悩むのだが、この自虐的な苦しみは、やがて快感となってくる。こんな状態をアニメの宮崎駿監督は「メンドウクサイ、めんどうくさい、大事なことは、いつだって、面倒臭い」と頭を掻きむしっていた。いいねえ〜よ〜く分かる。

今回は強力な助っ人イラストレータとタッグを組むことになったので責任も重大。作品のヒントになるかもと、ここ10日間ほど展覧会や講演会に足を運んでいた。
「SDGsユーモアイラスト原画展」「国立公園・企画展」「ポストコロナからはじまる都市創造とアート」など、目的意識を持って、観る+聴くをすると、響くもの、湧きあがるものが違う。

心構えの問題だろうか。
さて、どこへ連れていってくれるのだろうかと、悩みながらも、作品づくりはいつも楽しい。

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*吉里吉里国の芳賀正彦さんのビデオレターに涙した。
 いつか、ここにアップしたいと思います。



ああ、上野駅


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道路が消えて公園と直結になった上野駅公園口


半世紀前、貧乏学生が故郷札幌に帰ろうとすれば、まず上野駅から青森、そして青函連絡船に乗って函館、そして札幌へ、最短でも16時間。待ち合わせが悪いと丸一日の辛苦を味わった。年末であれば、席を確保するために、まず早くに行って並ぶ。あるいは臨時列車を狙う。いずれにしても上野駅は大混雑した。
指定の列車が入線するまで、上野公園の特設テントに移動させられ、ひたすら出発を待った。多くの人は、荷物とお土産を抱えていた。

列車が動きだすと、仲間同士で酒を呑みはじめ、ご機嫌な方言が聞こえてくる。福島弁、宮城弁、岩手弁、そして最後に津軽弁。津軽の人たちは大人しく、青森県に入ってから喋りはじめていた。

そんなことを思いだしたのは、上野駅の公園口が大きく変わって、道路が消えていたからだ。駅そのものも大きく変わってしまい、昔の面影はすっかり無くなってしまった。


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テントの奥にぶら下がるのは、行き先などが表示されているプレート

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年末の上野駅は熱気に包まれていた


方言といえば、こんなサイトが


無名橋


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国立競技場から徒歩2分に名もない橋が掛かっている。Mumeibashi。いわれを知りたくてググってみたが分からなかった。誰がつけたのか、オリンピックの開会式会場のそばにあるのが不思議。

昔はここから富士山や江戸城の天守閣が見えたのだろうか。橋の下を車と電車が燧なしに通過していく。こんな名前の橋が頭上にあるとは、誰も知らずに。


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冬鳥


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金木犀の香りに秋を感じていたら、週末の朝、けたたましい声で目が覚めた。ヒヨドリだ・・・一年中いる留鳥だと思っていたけれど、朝鮮半島から渡って来た輩かもしれない。

花に、鳥に、季節の移ろいを教えてもらっているんだなあと、寝ぼけ頭をボリボリと掻く。春のサクラまでの約半年、この声を聴いていくことになる。


空高し


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空が高い。広がるウロコ雲は、まさしく秋の空だ。空気もひんやりとして、あの八月の猛暑はどこへやら。このまま清々しく週末〜と期待していたのに、これから雨模様とは。明日のORMACの青木ヶ原ハイキングには14人の参加予定だったが、やむなく中止・延期とあいなった。残念。(>_<)

仕方ない。まずは原田マハの「シネマの神様」を読み終わろう。友人からすすめられて、原田マハにすっかりハマってしまって、これが三冊目。夢中になって、なんども乗り越しをしそうになった。
そして百名山の92座目「大峰山」のチェック。これをなんとか年内に登りきって終わる。

晴れてくれないかなあ・・・


力(りょく)


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どっこい!枝を延ばし多くの葉をつけていた


電車を降りようとドアの前に立っていると、目の前に四角いシール広告があった。「合格力」の文字がドン。進学塾の募集広告だ。なるほど、合格する力、若しくは合格させる力か・・・インパクトと説得力があるなあ。

ふと思いだした。この「力」という字がブームになったことがあった。「老人力」。赤瀬川原平氏が、老化の衰えをによるマイナス思考を「老人力がついてきた」とプラス思考に変えたブームだ。なんとユニークでポジティブな発想と、愉快になった。

老人らが活躍する映画も多くあった。「最高の人生の見つけ方」「ドライビングMissデイジー」「マイ・インターン」など、こう年を重ねていきたいものだと観ていた。
そんなことを思いだしていたら、すんなり事務所にトウチャコ。


マユミ


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マユミ・・・ふと口にしてしまった。家人がそこにいたら、訝しんだかもしれない。
しかし、目の前にいたのは、わけありの女ではなく、赤い木の実ひとつ。これを見て、マユミと口にする男は、そう多くない(はずだ)。

漢字で書くと「真弓」。美しい樹形、白く可憐な花、赤くなった実は、割れて種子を愛らしくぶら下げる。一年を通して目を楽しませてくれる庭木だ。
花言葉がいい。「あなたの魅力を心に刻む」「艶めき」。


空にしみ入る蝉の声


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新しくできた公園のベンチに座って、ぼんやりしていたら、どこからか響いてくるもの。セミだ。真上から聞こえてくる。この時期にまだ地中から出てくる輩がいるのか。
遅れて出てきたセミは、寂しかろうね。そんな弱々しい声だ。

できたてホヤホヤのホテルの前には、どでかい国立競技場。オリンピックが開催されていたら、今もなお東京は賑やかだった・・・。さまざまな期待は、新型コロナで霧散した。

果たして来年はあるのか。中止の材料、筋書きは、充分過ぎるほど揃っている。大げさに演技なんぞしなくても、中止宣言は、すんなり受け入れられることだろう。

虚しさや 空にしみ入る 蝉の声  


曼珠沙華


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嫌いな花はあまりないのに、この曼珠沙華は、好きになれない。なぜだか分からないでいたら、こんな歌が昨日の朝日歌壇にあった。

地の底に花火工場あるがごといっせいに上(あ)ぐ曼珠沙華の炎(ひ)

田んぼの畦で帯状に咲く曼珠沙華は、一列になってマグマを噴き出す火山だ〜と眺めたことがあった。抑えきれぬ情念の炎の花、そう思って見ているからかもしれない。


金木犀


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山から帰って来ると、街は金木犀の香りに満ちていた。季節が巡っていることが分かる。それにしても噎せ返るような匂い〜絡めとられそう。

昨日の歌会でも金木犀の歌が、三首詠まれていた。例年よりも香りが強いらしい。十月のスイッチが入ると一斉に香りを放つんですと、十月生まれのSさん、ちょっと嬉しそうだった。

でなく
あたりの空気が
まるごと香る
金木犀

夜気の中に
微かに
金木犀の香り
今年もぴったり来たね
十月の使者よ

かすかに
金木犀香り
なぜか
あなたの
気配だけを思い出す

昔こんな歌をつくっていた。


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平ガ岳(4)


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平ガ岳の山頂部は、なぜ穏やかな台地が広がっているのか?
富士山のようにマグマの力で盛り上がった山ではなく、プレートからの圧力で隆起した大地がこんな山容をつくった(らしい)。「名は体を現す、サントリー角」という広告コピーがあったが、まさに平ガ岳も名前の通りの山だった。

尾瀬方面を眺めると、雲間から顔を出すのは双耳峰の山、燧ヶ岳か。北アルプスでもそうだったが、登った山が見えるのは嬉しいもの。いつ誰と登ったかを思いだして噛みしめる。もう四半世紀前か。夜行の疲れもあって、山頂で昼寝していたら誰もいないことに気付いて焦ったことがあった。そして眼下の尾瀬沼が美しかった。

昨日のことをケロッと忘れてしまっても、山の記憶は、なぜかはっきりしている。細い山道まで覚えていたりして、どうよ〜と苦笑い。

クーポン券を使って買い物をしなければ〜と下山を開始する。腰痛を患ってからは登りより下山が苦手になってしまった。滑落の前科もあるので、より慎重に下りていく。
もうすぐ紅葉は、山々を染めながらゆっくりと下りていくはずだ。


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チングルマが白いボンボンになって揺れている

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冬の豪雪を受けて、どの木も谷側に弛んでいる

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鱗雲が出てきた。明日は雨だろうか

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旅のお伴はもっぱらこれ。我が家から持参した銘酒一合

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魚沼といえばこれでしょう〜と差し出しました(^^;




平ガ岳(3)


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登山口から約二時間、20名くらいの団体を追い抜き、樹林帯が切れるころ草紅葉の広がる大地に出た。木道は枝分かれになって、それぞれ山の彼方へと続いている。ガスがかかり草紅葉の鮮やかさが半減されているのが残念〜。光が降りるとどれだけ輝くことだろう。

まずは自然がつくったという奇岩「たまご石」に寄り道する。ふむふむと納得。丸い石よりも眼下に広がる地糖に目を奪われた。尾瀬や苗場山の山頂部を思いだす。二千メートルの地にこんな眺めがあるとは・・・紅葉がすすむとさらに映えるだろう。


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なぜ落ちない?

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たまご石を背に地糖を眺める

ここで朝と昼を兼ねたおにぎりタイム。シャリばて(炭水化物不足・山用語)していたので、美味いのなんの。極上の疲労感と目の前の景色を楽しんでいたら、この平ガ岳で100座達成という男性がやって来た。前日の温泉で100座の話で盛り上がっていたのだ。

この後どうするの?と聞いた。200名山があるよと振れば、「これで終わりです。冬に登った山がいくつかあるので、夏に登ってみます」という。残りの9座のことを思った。どれも厳しい。体力が果たして保つだろうか。人生の目標と決めたのだから、精進しよう、楽しもうと、立ち上がり、山頂へと向った。

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山頂に近いデッキで皆さんランチタイム

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人差し指は、91座達成の意味


平ガ岳(2)


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定刻の三時半、平ガ岳を目指す岳人たちが宿の前に集まってきた。日帰りだというのに、なんでそんなに荷物が多いの?皆さんのリュックが膨らんでいる。挨拶をしてミニバスに乗り込む。12名。

「登山口まで一時間半かかるので寝てください」と宿の運転手の方は言ってくださるが、カーブが多いオフロード、なかなか眠れない。目を閉じたり開けたりしているうちに空が明るくなり、細い林道を上がりきったバスは平ガ岳登山口に着いた。

降りると意外に寒い。ブルブルときた。10度を下回っている。靴の紐を締め直し、息を大きく吸い込んで、歩きはじめる。気持ちのいい水音が聞こえてきた。よく流されるという細い橋を渡って、急登が待つ山道へと入っていく。

40分くらい喘ぎながら登っていくと登山口のバスが確認できた。紅葉は始まっていた。山頂には草紅葉の絶景が待っているはずだ。それを期待して、キツい斜面を息を切らしながら登り続けた。


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乗ってきたバスが遥か下に見える

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中腹まで上がると樹々が色づきはじめていた

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笹の葉だって色づく

平ガ岳(2141メートル/日本百名山90座目)


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百名山も余すところ後10座。どれも簡単には登れない山ばかりが残った。新潟県と群馬県の境に位置する平ガ岳もそう。後回しにしてきたけれど、そろそろ行こう!と決めた。

ときはGO TOキャンペーン。山奥の宿まで割引対象になっているとは知らなかった。2000円のクーポン券をいただく。なんだか申しわけがない。明日の英気を養おうと山に囲まれた一軒の温泉「白銀の湯」で、しばしうたた寝。温めの湯が心地いい。宿に戻ると、熊の爪を撫でながら、原田マハ「楽園のカンヴァス」最終章を読む。山頂に続く急登800mを忘れて、幸福な時間を過ごす。

早朝三時半、宿を出発しなければならない長丁場。夕食後、夜九時には布団に潜り込んだ。


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熊の毛皮に寝転び、爪を弄ってのミステリーは・・・イイ〜


ぼっこ


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牛蒡そっくりなこの正体は・・・「山わさび」。北海道に自生しているワサビだ。地元では春先の野菜売り場に並ぶ山菜の一つで、強く爽やかな辛さは、刺身、焼肉、冷奴となんでも相性がいい。
とくにおすすめは、摺った山ワサビに醤油を落とし、それを熱々ご飯に乗せて喰う。できればノリで巻いて・・・う〜ん、たまらん。

保冷されていた山ワサビを見て、ふと浮かんだ言葉が「ぼっこ」。北海道の方言で棒のことである。地元では誰もが、棒のことを「ぼっこ」と呼ぶ。美人のお姉さんは「そこのぼっこ取って」。お母さんも「今日は寒いからぼっこ手袋はいていきなさい」。ミトンの手袋は「ぼっこ手袋」。はめていきなさいは「はいていきなさい」。変だよねえ。

時々、故郷の方言をテーマにしてみようかなと思う。

明日から百名山91座目、新潟県の平ガ岳(2141m)にアタック。もう山は寒いだろうなあと、戦々恐々。週明けに報告します。


否定形


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娘に「どうする、たべる?」と聞いたら、「大丈夫、ありがとう」の応えがあった。ずいぶん昔のことだが、初めは「ん?」だった。なにが大丈夫で、ありがとうなのか・・・。暫くして「いらない」の上品な断り方だと分かったが、それでもなにか合点がいかなかった。
そして世の中は、こんな言葉がいつの間にか定着していった。

もはや「全然大丈夫」は日常会話のなかで、堂々と用をなしている。全然は否定形だろうと言う人も、もはやいない。

ど〜僕のこと?

「・・・全然好きです」。・・・・・やはりスッキリしない。


リアル歌会


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久しぶりに、これからリアル歌会。皆と顔を会わせるのは半年ぶりだ。「よくぞご無事で」「耐久生活はいかがですか」と時候の挨拶をするのだろうか。
少しでも前へ進まなければ、未来はない、とはいうものの、参加の判断はひとそれぞれ。これから僅かずつでも参加者が増えていけばいいなと思う。

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春の花のような色合いのツルボ(蔓穂)


秋到来


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新宿御苑で見つけた白い萩


朝、抜けるような空の青さを見て、やっとこんな日が来たかと思った。窓を開けると爽やかな空気が流れ込む。ややヒンヤリの空気が美味い。当たり前に当たり前の空気を胸一杯に吸える幸せ。
変わることのない季節の移ろいを感じながら、歳を重ねていきたいものだ。


テレ笑い狂歌会


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山でこんな蔓を見ると、思わず口ずさむ「つたのからまる」。
江戸時代、浮世絵を出版していた名プロデューサー蔦屋重三郎の狂歌名、蔦唐丸(つたのからまる)が頭に浮かぶ。
歌麿・写楽らの浮世絵を世に送りだし、広めた出版人なのだが、狂歌本も手がけ、ヒット作を次々に刊行した。

そして身近にも酒上綾街(さけのうえのあやまち)という粋な狂歌人がいて、「テレ笑い狂歌会」の宗匠を努めている。「テレ笑い狂歌会」とは狂歌のユーモアをネットで楽しもうというお遊びの会で、門下生には落語家、講談師のほか怪しげな人たちが名を連ね、定期的に捻りのある歌を詠んで投稿している。

前回は「前句付」というジャンルだった。
後の句:「行きたくもあり行きたくもなし」の前を詠んでみようというもの。
たとえば

マスクしてフェイスシールド美人ママ・・・
格安の世界一周クルーズは・・・
年老いた初恋に会う同窓会・・・・
あの世には樂しみもなく苦もないが・・・

閉鎖的になりそうなコロナ的状況をユーモアで乗り切ろうじゃないかという遊び。すっかりハマっている。


大岳山(1266m)


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先週の四連休、関東近郊の山々には人がどっと押し寄せた。奥多摩三山の一つ、大岳山(おおだけさん)山頂もランチする場所が確保できないほどの賑わい。二十年前、札幌に帰ると決めた弟と最後に登った山がこの大岳山。御嶽駅からロープウェーを使わず歩きはじめ、御岳山、鍋割山を経由して大岳山に辿り着いた。

ここまで来たら鋸山を経由して奥多摩駅まで行ってみるかとなった。これが大間違い。厭というほどの登り返しが続く鋸山。まさに鋸の刃のごとし、ヘトヘトになって奥多摩駅に着いた日を思いだした。

この日は、ガスがかかり山頂からの景観は望めなかった。山頂付近の山道は暗く、偶然出会ったヤマドリにもなかなかピンが合わず、ガックリ。


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秋を感じさせるシュウカイドウ


秋の花


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シシウドの花を下から見上げた。手前の蕾をよく見ると、お料理のゼリー寄せみたいだ。小さな花がギュッと寄せ集められている。


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ジャスミンのようないい匂いがした。

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ホトトギス


お床の・・・


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息が詰まりそうなほど花をつけたボタンクサギ


信号待ちしていたら目の前に黄色の派手なダンプが止まった。解体専門のダンプらしい。好きなことが勘亭流で書かれている。面白いので一つひとつ眺めていたら、後部の一行に笑った。

お床のなかの男

なんだこれ?(^^; よく見ると「なか」の右横に元気なイラストまである。いやはや・・・どれだけの人を笑わせたことだろう。


免疫


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免疫学者の多田富雄さんが「免疫の意味論」という本の中で、面白いことを書かれている。「免疫」というシステムは、単に体の中に侵入してくる異物を拒絶し、排除する自衛的なはたらきをしているだけではない。異物と共存する作用も持ち合わせている。

免疫の中には<寛容>というはたらきがあって、自己の中に非自己を共存させていく側面をもっているという。つまり<自己とは何か>というものを決定するのが免疫の大きなはたらきだと言う。

そんな免疫システムが、我が体内にあるのかどうか・・・好き嫌いが少ないと自負している大家は、店子にも寛容であってほしいと願っている。


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烏瓜の蔓は自分より硬いものを見つけると巻きはじめる


秋風索漠


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赤い「氷」の字が涼しさを呼ぶのが不思議


ようやく朝晩が涼しくなってきた。蝉の声に変わり、夕方になると虫の声が聞こえてくる。辛くて長かった夏の日々を思う。七月の長雨が終わったら、八月は厳しい猛暑。日本列島が毎日のように赤く染まっていた。

なんとか乗り越えて、ようやく心が落ちついてきた。



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鳩に似ているけれど、違う鳥かなと思った。揺れる枝に止まって、花?を啄んでいる。道や公園で餌を探すふだんの姿ではない。眺めていると、鳩の昔は、こうだったのではないかと思えたきた。


アツクナレバ


こんな記事を見つけた

台風10号 勢力弱まった要因 先行台風が海水温低下させた影響か 

台風10号は一時、鹿児島県に接近する段階の中心気圧が930ヘクトパスカルと、特別警報級に発達すると見込まれましたが、東シナ海を通過する過程で発達が止まり、その後、勢力を弱めました。
この要因について専門家は、先行して東シナ海を通過した台風8号と9号が、周辺の海水温を下げたことが影響したと分析しています。

一般的に台風は、海水温の高いところを通過するとエネルギー源となる水蒸気が供給されるため勢力が強くなるということですが、台風が通過すると海水をかき混ぜるため、深いところの冷たい海水が持ち上げられ海水温が下がります。

これを読んで、思わずヒザを叩いた。
読みが当たった・・・


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ちょうど二年前に環境ポスター展に出品した作品がこれ。地球だって人間と同じなのではないか。そう思って、このキャッチフレーズに行きついた。
生命の星、地球は、自浄能力を持っているのだ。


変さ値(へんさち)


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ブログを長く続けていると、よく不思議なことや発見に出会う。我がアンテナに神様が協力をしてくれるのか、もともと変なことに出会いやすい体質なのか、分からない。

先日、ある本を読んでいたら「変さ値」なる言葉に出会った。これは変な人の変具合を数値化したものではなく、変なことによく出会う人の変の値だという。

今日は「変さ値」が高かった〜。駐車場の前の家の、あれはアオギリという木かな。根元をよく見ると鉢から伸びているんだ。苗木を植えてそのままにしていたら、どうやら鉢の底を破って根を地下に延ばしたらしい。

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沸沈


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新型コロナウィルス(COVID-19)のワクチンの臨床試験が中止になったという。イギリスの製薬メーカーの臨床試験を受けていた参加者に有害事象が確認された。ほら、やぱりね。
人の命を救うはずのワクチンが、いまや大国の経済武器になろうとしている。そんなことを予感して、GWにこんな歌をつくっていた。

SARSやMERSのワクチンだって開発することができなかった。抗体ができにくい、できても消えていくという今回のCOVID-19の特長を考えれば、わずかな期間でできるのだろうかと訝っていた。

開発競争に参加している大国、大手製薬会社、そして買い付けに走る先進国。自国最優先という獲得合戦のエゴイズムが露呈している。これはまさにワクチンナショナリズム。

ワクチンができるまで、きっと時間がかかるはず。それまでに感染して、自身で新たな抗体をつくる人がどんどん出てくるかもしれない。


御法度


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お犬さま御一行とすれ違う。みんな仲良しだ。こうしたグループの場合、犬が主人で、飼主は従人となる。ゆえに話題は主人中心となり、けっしてお一人暮らしですか、とか、主人に留守番を任せて一杯やりませんか、などと、従人同士の話題は御法度なんだろうなあ〜と、すれ違うのだった。


神田川


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アササンのコースに、この碑が立っていたのを知らなかった。「神田川」。昭和の名曲の一つだ。いまの若い人にこの切なく哀しい歌詞のイメージは伝わるだろうか。

一緒に出ようと約束したら、待たされるのは男ではないのか?と思うのだが、待っているのは女。待たせてはいけないという女心か。赤い手拭をマフラーに、そして石鹸がカタカタ鳴る、なんとも昭和の貧しかった時代を歌っている。

この碑の近くには、たしか銭湯があった。友人Sが古びたアパートの二階に住んでいて、その銭湯に一緒に行ったことを思いだした。

若かったあの頃、恥ずかしいことや間違いばかりを繰り返して生きていた。そんなことを想起させる歌詞が刻まれていた。


半田素麵


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去年からハマっている麺の一つに半田素麵がある。徳島県のつるぎ町の半田地区に伝わる素麵だ。冷麦と同じくらいの太さで、讃岐うどんのような腰の強さが特長だ。

近所に素麵専門店が出来たと聞いて、直ぐに食べに行ったのがもう十年前。すっかりご無沙汰していたら、そこの女将が様々な素麵レシピをテレビで紹介していた。スダチのスライスが丼一杯に乗った、スダチ素麵もその一品。

暑い日、冷えた出汁、素麵、スダチ、この三つを口に含んで避暑地をつくれば、四万十の風が吹き渡る。


スーパーベスト


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来るなら来てみろ〜


桁違いの台風が日本に近づいている。各テレビ局の気象予報士がその凄さを伝えようと、様々な言葉を使っていた。

・過去最強クラス
・スーパーベストな避難
・最大級の警戒
・極めて異例な規模
・稀にみる危険な台風
・特別警報急の勢力
・甚大な被害が予想される

このなかで響いてきたのが、「スーパーベストな避難」という言葉だった。普段はバカにするような言葉なのに、不思議なインパクトがある。スーパーベスト、このダブりなんだかおかしい。

九州の人たちは、固唾をのんで台風の進路に注視していることだろう。これ以上の被害を日本に起こさないでくれいと願っている。


紫さん


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紫のクサコならリンドウだろうか



早いなあ、もう四年も経ったんだ。四年前の今日、五行歌の友人、紫草子さんが亡くなられた。いつも明るく元気な人で、圧倒されっぱなしだった。二人して漫才をして遊んだこともあった。

「私も山に連れてってよ〜」
「いいよ、リュックに入れて連れていく」
「どこの山へ行くの〜?」
「姥捨て山〜!」

 チャンチャン。

ご自分の名前、草子を「くさこ」と言っていたのを思いだす。有言実行と言うのだろうか。クサコは九三子。九月三日を命日にしてしまった。これなら誰も忘れることはできない。なら九月三日を「むらさ忌」としようか。
そちらでも歌を楽しんでますか。


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漫才の練習をしたり〜♬


清掃


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集められた枯れ葉が、道の際に点々と美しい


アササンをしていると、枯れ葉を掃き集めている人がいた。皆が歩く頃、すっかり歩道がきれいになっているのは、こうした方たちの日々の清掃の賜物だ。作業の男性に、感謝していますの黙礼をして通り過ぎた。


としまえん


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今朝、豊島園が94年の歴史に幕を下ろしたという記事を読みながら、娘を連れて正しいお父さんをしていた時代があったなあと、懐かしんだ。

ある川柳を読んで、この広告を思いだした。35年前、この広告を見た時に、やられた!というか、これだ!と思った。世の中の広告クリエーターが、表面的なかっこよさや美しさを追いかけていた時代だった。売れようが売れまいが、かっこ良くて、オシャレな広告ばかりをつくっていた。それを笑うかのように、この広告は、ガツンと登場した。

背景にあるのは「ビール冷えてます」。この広告を見たら、おとっつぁんは子どもを連れて、プールへ行きたくなるだろう。何度も眺めて、ため息をついた。
「上手い」。

こんなユーモアで潜在意識を喚起させ、共感を呼び起こす広告をつくろうと決めた(ような気がする)。広告が、まだまだ楽しい時代だった。

この広告を想起させた川柳がこれ ↓

惜しまれて 総理ではなく としまえん

そして怪しい総裁選には、このコピーで広告を。

国民 冷えてます


八月尽


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コロナコロナで今年もはや2/3が終わり。ウィルス、オリンピック順延、猛暑、首相退陣、そして次は風速70メートルの台風が待ち受けている。なんとも慌ただしい。

月末は蕎麦大盛り無料という嬉しい「政吉」の鴨南蛮を食べながら、今年の世相を現す漢字を考えていた。「禍」か「災」か・・・


海月


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この透明なエネルギーはどこから生まれてくるのだろう。足の長いものはゆったりと、短いものは細やかに、なんか人間とそっくり、そう思って見ていると親近感が湧いてくる。

宇宙を遊泳しているかのように、たゆたう海月を見ていると、存在の意味なんて、どうでもいいのだと思ってくる。暑さに疲れたたら、水族館がおすすめ。


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足が長過ぎるのか、数が多過ぎるのか、数匹が絡まって


玉蜀黍


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昨日は、久しぶりの山岳会の定例会。挨拶をして入ると事務の方から「ニンニクはお好きですか?」と聞かれた。はい、好きですが・・・と応えると「ではこれをどうぞ」と袋に入ったニンニクを渡される。なんでも青森支部の方からの差し入れがドンと届いたらしい。

嬉しいですね、そこにあるお酒も差し入れですかと聞けば、「こちらは半額でお分けしています」と言う。「山」の字に引き寄せられるように、細かくチェックもせずに買い求めた。


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今朝、ラベルをよく見ると「玉蜀黍」の文字。原材料らしいのだが、すぐに読めない。もしかすると、調べると、やはり当たっていた。

「とうもろこし」。なぜ「唐」ではなくて「玉」なわけ?と眺めながら、味を想像する。面白そう〜、今度の山の会に持っていこうと決めた。


旱天の慈雨


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杉林の中を吹き上がってくる風に、生き返る


尾根までの急坂を登っていくと穏やかな山道(高尾山〜陣馬山縦走路コース)が待っている。外気の暑さとカラダの熱で喘いでいる時、西側の谷から爽やかな風が吹きあがった。
ク〜、来た来た〜、甘露、甘露〜。この風を感じたくて登ってきたのだ。

再読している五木寛之著「大河の一滴」のなかで「旱天の慈雨」という言葉があった。

乾ききった大地の一滴の雨水は、暗黒の中の一点の灯りと同じ。
なにも期待していないときにこそ、思いがけず他人から注がれる優しさや、小さな思いやりが「旱天の慈雨」として感じられるのだと。

吹き抜ける風はまさにそれ。それまでのキツかった時間を忘れさせてくれる。こんなタイミングのいい風になれるだろうか・・・と一瞬、思う。


深山烏揚羽


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ミヤマカラスアゲハが地面にとまって吸水をしている。蝶だって暑いのだ。グイグイ吸水しては、お尻から水分を放出する。それはまさにオシッコ。体温調節をしているためといわれている。

ミヤマカラスアゲハは漢字で「深山烏揚羽」。日本のアゲハのなかでも、一際美しい大型の蝶だ。青緑色に輝く翅を追いかけていた少年は、いまも山道でシャッターを切り続けている。


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終わりと始まりの混沌


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すすきの穂が空に向っていた


陣馬山から東に延びる尾根は、高尾山へと続く。起伏の少ない西側の巻き道を進んでいくと、ときおり爽やかな風が吹き抜ける。
汗まみれのからだにヒンヤリと気持ちがいい。秋がもうそこまで来ているのではないかと思ってしまう。

誰かが言っていた。旅をするなら季節と季節の間がいいと。終わりと始まりの混沌。季節が次へと変わっていくのは、寂しいような、うれしいような、青春のあの頃になんか似ている。


東京の空には


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静かだった東京の空に、旅客機が飛ぶようになった。二分間に約1回のペースらしい。新宿であれば上空約900メートル、渋谷・恵比寿であれば約600メートルという近さだ。

これは国が勝手に決めたことで、我々には飛行ルートと時間帯、そして本数などの報告があったのみ。反対をする暇(いとま)もなかった。
オリンピックに開催に合わせ、新たな飛行ルートとして決まったに違いない。


甥っ子


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お盆に甥っ子のRが、我が家にやって来ると知った札幌の弟(父親)は、「あいつに食べさせてやってくれい」と、自分の畠でつくった野菜を前日に送ってきた。
恒例のミニトマトと胡瓜は夏サラダに、モロッコいんげんは煮浸しにして出すと、Rはビールを呑みながらあっという間に平らげた。

日焼けしたRは、いまサーフィンに夢中らしく、ボードを鎌倉に預け、週末を楽しんでいるという。「そろそろ山を始めようぜ」と誘うのだが、「いつか一緒しますので、もう少し待っててください」と言う。Rには、以前山靴とリュックを進呈していて、将来サポートしてもらおうと企んでいる。

ところで、まだ走ってるの?
「こないだ、我が家から横浜までの多摩川沿いを走りました」
何キロ?
「25㎞です。さすがに帰りは電車に乗りましたけど」
凄いなあ・・・
そういえば小説「一瞬の風になれ*」の登場人物の一人だっけ?
「3巻の中で、本名で出ていますよ」


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読んだはずなのに、すっかり忘れていた。週末は雨らしいので、もう一度読んでみるかと、書庫の奥からこの三冊を見つけ出した。

*佐藤多香子著「一瞬の風になれ」は、神奈川の高校陸上部の若者たちを描いた青春小説。



山は秋の花


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雌しべの先に透明の粒が見えるタマガワホトトギス


標高が500メートルを超え、風が少し吹くと山は別天地になる。今ごろ娑婆はクソ暑いんだろうなあ〜と思いながら、冷気を含んだ風を受ける幸せ・・・思わず目を閉じてしまう。
半日影の山道には、黄色い秋の花が咲いていた。


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吊り下がるようにして咲くキツリフネ

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秋の訪れを告げるキンミズヒキ


75年


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終戦記念日には、新聞の投稿欄にさまざまな体験が寄せられる。鼻の奥がツンとするような投稿を見つけた。避けることも逃げることもができなかったあの時代、誰もが必死に自分を生きていたことが分かる。

「なぜおまえは一番先に自分の両親のもとに帰らなかった」と一喝した父親も正しい。もし同じ状況下にあれば、娘婿に同じように言うかもしれない。
夫の優しい一言を75年間、胸に抱き続けきた人生は素晴らしい。文体も素敵だ。


駅ピアノ


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明かりを灯すかのように、レンゲショウマが森に咲きはじめた



好きな番組の一つに「駅ピアノ」がある。世界各地の駅の構内や空港ロビーに置かれたピアノを、様々な人たちが弾くのを映すノンナレーションのドキュメンタリーだ。ピアノ演奏が終わった後に、それぞれの人生や思い、そして音楽の素晴らしさを語る。

ここ数日、気がついたらある曲をハミングしていた。どこで覚えた曲だろう。しばらくの間、気がつかなかった。昨日ふと、その曲を思い出した。ロンドンの駅で、91歳の元花屋の男性がピアノを弾きながら、小さな声で歌っていた歌だった。

弱き者には「私は強い」と貧しき者には「私は豊かだ」と言わしめよ・・・

演奏が終わると、拍手が周りから起きて、若い男性が「素晴らしかったです、感動しました」と言って握手を求めた。ちょっと照れながら、彼は「感動してくれたんだ」と呟いた。

周りに人たちに受け入れられて、毎日を重ねてゆく。演奏が人々に喜びをもたらす。祈りが通じた気がする。ありがたいことだ。本当に幸せな人生だ、これのおかげでね。
男性はピアノを撫でて、ゆっくり立ち去っていった。

いい番組は、タイトルもシャレている。

あの男性は今日もロンドン駅でピアノを弾いているだろうか。弾いていて欲しいと願う。


スミナガシ(墨流し)


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多くのチョウは、アゲハ、タテハ、シジミ、ヒカゲなど、その属性(科)の名が付けられている。ところが、この蝶に限ってはスミナガシ(墨流し)という特別な名前をもつ。暗青緑色の地色に白い複雑な翅の模様が、命名者の心を動かしたのかもしれない。


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吸水をしているとき蝶は、充たされているかのように、翅の開閉を繰り返している。


暑さ忘れれば・・・


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涼風が薬王院を吹き抜けていった


気温予想の日本地図が赤く染まっていた。今日は、40度を超えた地域があったとか。炎天下、歩いているとマスクに汗が沁みこんでいく。

我慢の限界と、信号待ちでマスクをはずし、・・・熱中症か、コロナウィルスか。どっちを選ぶ。。


昨日は、権師匠の一周忌でした。

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権師匠が撮ったISSの軌跡


特別な夏


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今年の大移動は・・・


昨日の小池知事の手にするパネルにこんな言葉があった。
この夏は「特別な夏」。・・・・上手い。いつも感心するのだが、ブレーンにコピーライターがいるのではないかと思っている。じつにソフトに語りかけてくるフレーズ。

この夏は「特別な夏」。特別は、分かっていてもあえて言葉にしない。するのは受け手であり、そして、どう過ごすかは、それぞれが考えましょうと言っている。

9連休の会社もあるという。特別な夏をどう過ごすか、考え始めている。


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立秋である。山は秋の花が咲きはじめた


ハナイカダ


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春に花をつけていたハナイカダを探していた。目印は葉の上の黒い実。これは甘味があって食べられるので、この時期、人や鳥に取られてしまう。別名、ヨメノナミダ。


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ヨメノナミダの謂れ
ある若嫁が殿様の使いから「葉に実のなる木を見つけてほしい」と言われました。
夜おそくまで山の中を探しまわったのですが、見つける事が出来ず、その時に流した悔し涙が葉に落ち、月の光で黒真珠のように輝いた。それがハナイカダの果実になった・・・


カナヘビ


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一瞬、両者に緊張が走る。木漏れ日を受けて、青と金色が鈍く光る。


くうねるあそぶ


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暑い日はカタツムリにかぎる


タマアジサイ


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「花が若さを象徴するのは、はかなく散る姿ゆえである」と今朝の天声人語にあった。
都会の紫陽花が、幾多の色を経て、そろそろ鈍色になろうとしている頃、梅雨空けの山間にタマアジサイが咲き始めた。


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蕾の殻!?が、そのままぶら下がっている

玉のような蕾がポンと割れて、開花していく姿が特長。咲き始めると、涼し気な色合いで、夏の終わりまで長く登山者を楽しませてくれる。


バランス


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経済か、感染か。バランスを失っている天秤ばかり。秤の左右は「経済」と「コロナ感染」。「経済」の皿に「GO TO キャンペーン」の分銅を加えて、バランスをとろうとしたが、東京都の分銅が抜かれてしまった上、感染者がどんどん増えて、傾がっていく。

バランスをとっている「我慢」の小さな分銅たち。いつまで耐えられるか。何か妙案はないものだろうか。



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ムラサキシキブが蕾をつけはじめた


雨が
空から降れば
思い出は
地面に
しみこむ

このフレーズが好きで、今月は何度も口ずさんだ。
でも空よ、もう雨は、勘弁してほしい。
蝉もとうとう我慢できなくなったぞ。

小室等が歌っていたので、ずっと彼の詩だと思っていたら、作詞は別役実だった。

─雨が空から降れば
─思い出は地面にしみこむ
─雨がしとしと降れば
─思い出はしとしとにじむ

─しょうがない
─雨の日はしょうがない
─公園のベンチでひとり
─お魚を釣れば
─お魚もまた雨の中

童話作家らしく、なんともメルヘンで温かい〜♬


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誕生日


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本日は、恥ずかしながら、誕生日。毎年、これといった自覚も感慨もなく、一日が終わっていく。今日もそうに違いない。

いま何合目にいるのか、分からないけれど、ここまでの道がずいぶん早かったような気がする。導かれるままに、見えない山頂を目指していきたい。


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下駄


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山から下りて、久しぶりに下駄を履いた。桐の下駄だろうか、とても軽い。鼻緒から微妙な圧が加わって心地がいい。子供の頃、夏は下駄と決まっていた。若乃花、栃錦などの横綱名が書かれていて、子どもたちは、いざ履く時に自分の下駄が直ぐに分かった。

10年以上も下駄を履き続けると、親指と人差し指の隙間が大きくなり、どちらの指も逆三角形のカタチになった。新しい下駄の鼻緒に無理矢理、指を差し込んだときの感触を思いだす。最初は馴染めないのだが、いつのまにか指とフィットし、足の裏が吸い付くようになった。

石ころだらけの道を走り回っていると、稀に下駄が割れた。割れ目に肉が食い込み、悲鳴が上がる。紐などで結んで、足を引きずりながら帰ると、父は下駄の裏から添え木を当てて釘を打ち、修復した。歩くとその下駄が重かった。モノを大切にする精神を足の裏も学んでいた。


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前日の山行を思いながら、朝の山を眺めるのは至福の時間


恵那山(2)


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撮ってきた写真をチェックしていると、ガスっていたこともあって恵那山の写真が少ない。前日歩いた麓の池、下りてきてからの宿の周辺ばかりだ。人が少なかったこともあり、Sさんと近景、花や虫たちを多く撮った。


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自分たちのささやかな世界を守りながら生きている花や虫たちを見ていると、こうした小さな命こそが、おおいなる自然を内包しているではないかと思えてくる。


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アサギマダラは、フジバカマ、ヨツバヒヨドリなどの蜜を吸って、体内にアルカロイド系のフェロモンをつくり天敵から補食されないようにしているという。
もうすぐ南へ数千キロの旅を始めるはずだ。


恵那山(2191メートル/日本百名山90座目)


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前泊した萬岳荘は、ログキャビンの清潔な山小屋だ


恵那山の山地図を買ってから五年が過ぎた。眺めてばかりでもしょうがない、そろそろ登ろう。アプローチは長いが、危険の少ない神坂峠からのコース(往復約11時間)を選び、福岡の友人Sさんを誘った。二つ返事があって、計画が進み、梅雨の晴れ間の二日間、久しぶりに手応えのある山行を楽しんだ。


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夕食はちょっとリッチに


出発地点の標高が1600メートルで累積標高差1300メートル。つまり登りと下りで、それぞれ約1900メートルずつ。早寝をして、朝3時半に起床し、簡単な食事をして四時過ぎに出発。


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少し登ったところで素晴らしい朝焼けが始まった。二人でしばらく眺める。朝日は生きていることの実感そのものだ。森と笹尾根の道を辿りながら、6つのピークを越えてゆく。湿度がハンパナイ。水分をいくら補給しても滝のような汗が流れる。五時間程歩いても霧がかかった山はピークをなかなか見せてくれない。いつになったら表示が出るのだ!とストレスが溜ってくる。


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こんなピークを6つ程、越えてゆく

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霧がかかった森は山水を思わせる幽玄の世界


見上げた先にうっすら空が見え、やがて分岐の表示が出た。ここから30分で山頂とある。遂にここまで来た。6時間。よく歩き通した。
Sさんもかなりバテている。帰りは大丈夫だろうか?

山頂を極める前から、二人、帰りの心配をする。また同じ道を下りてゆくのか・・・山頂は、霧の中。樹々に囲まれ眺望もなし。何年もかけた恵那山、こんな感じなの?
しかし、これだけ歩けたことに満足感はあった。Sさんも「自信が持てました」と至極満足げだ。

三時過ぎから雨予報になっている。昼食をササッと済ませ、下山を開始する。もう何も考えない。足元に神経を集中し、無事に二人で下りる。Sさんに声をかけて、気持ちを切らせない。ピークを2つ残したところで雷が鳴り出した。ゆっくりと鈍い音が近づいてくる。


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遠くに中央アルプスから南アルプスまでの山々が見渡せる


突然、ポケットのスマホが鳴った。萬岳荘の管理人Hさんだ。「雷が鳴り出したのでロープウェイが止まりました」。えっ?下りれないじゃん!「車で峠まで迎えに行き、下の宿まで送りますから、用心して下りてきてください」。

なんと親切な〜。前日の夜、共通の山の友人がいることが分かり、多いに気持ちを通わせたからだろうか。ありがたい。ヘトヘト、ビショビショになりながら、彼の車に迎えられ、シートに沈んだ。
Hさん、ありがとうございました。この山で出会えて、本当に良かったです。

宿に着いて、風呂上がり、乾杯のビールの美味かったこと。ク〜と、しばし絶句・・・


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センジョーコースイタイ


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「センジョーコースイタイ?」。初めて聞いたとき、その言葉をかみしめていると「戦場香水隊」なる字が浮かんだ。いやいや違うだろう。「線状降水帯」。不謹慎なこと、この上もないのだが、ときとして違う言葉が浮かんでしまう症候群なのだ。

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Uber Eatsのバッグを背にした若者の自転車が、坂をかけ上がっていくのを見ると「奪〜it」と口にする。現代のピンハネ奴隷制度ではないのか?と思えたりして、つい言葉の不思議世界に入り込んでしまう。

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先月からの晴天率は例年の半分以下だという。太陽の光が恋しくなるくらい、雨の日が続く。雨をうける花たちの写真を整理していると、この雨は花たちには必要なのだと思えてきた。

メロン


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ひょんなことからメロンに牛乳、そしてアイスクリームを入れて食べることになった。

話は半世紀前に遡る。茅ヶ崎の加山雄三の家(正しくは上原謙邸)に遊び来た、高校生の加瀬邦彦(ワイルドワンズ)に、若大将は「お前に上手いものを喰わせてやる」と、高級メロンを二つに切り、種を取って、牛乳を注ぎ「こうやって喰うと美味いんだ」と食べ始めた・・・。

そんなエピソードが収められているYouTubeを静岡の友人Sに転送したところ、しばらくしてメロンが届いた。「我が地はメロンが特産品、君もぜひ試してみたまえ」「牛乳もいいがアイスクリームもいける」と。


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家人は「もったいないこと」と呟いたが「至極の贅沢〜〜」と、まずは大きなスプーンでメロンを削ぎながら、牛乳と一緒に口に含む。「ウ〜ム・・・イメージ通り・・・やや牛乳が勝るか」。続いてアイスクリームメロン。「これは美味い!どちらも美味い!!しかし・・・なぜ混ぜなくてはいけないのか?」。

加瀬邦彦、享年75歳。贅沢なメロンを口にしながら、いつも笑顔だった彼のことを思いだしていた。

お時間のある方は、ぜひどうぞ ↓

生き物の死にざま


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「生き物の死にざま」。このタイトルに惹かれた。ここには29種類の生き物の一生が紹介されている。著者は生物学者なのだが、科学的な解説だけにとどまらず、子孫を残すために懸命に生きる全ての親たちに、哀切の筆運びでその一生を讃えている。

たとえばカゲロウ。成虫になったらわずか数時間のうちに死んでしまう。この間に子孫を残さなければならない。ところが空に水の中に捕食者たちがいる。次の命のバトンのために考えた策は、途方もない数で一斉に孵化し、数時間で子孫を残すという方法だった。

その他にも生まれた幼虫たちに我が身を捧げるハサミムシ、不老不死のベニクラゲ、老化しない奇妙な生き物ハダカデバネズミなど、不思議な生き物たちを紹介している。

死にざまとは、まさに生きざまの裏返し。読み終えて感じたのは、人間もまた命という普遍のプログラムの中を生きているということ。死すべきは死に、生きるべきものは生ききる。私たちはその繰り返しをしていくだけなのだ。


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カナブン
カミキリ
カブトムシ
いくつになっても
甲虫が好き

雨の山


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ビールを呑みながら雨の白馬岳を振りかえる


一面の田んぼはまるで荒海のようだ。見えない魔物たちが緑を漕いでこちらに向ってくる。西からの風は、低い雲を押し流していく。二日間、山の中で雨音ばかり聞いていたら、さすがに心配になってきた。雨を集めた谷筋には滝ができ、凄まじい音を立てていた。山で一番怖いのは、風だと思っていたが、降り過ぎる雨はもっと怖いと知った。


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谷筋にはいくつもの滝が現れた

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犀川、梓川、千曲川は、やがて信濃川に吸い込まれてゆく



尾張藩


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箱根山麓には我々のためにパネルが用意されていた


「吟行・四季の歌会」は35回を迎えた。今回は新宿区内にある戸山公園と箱根山。コロナ感染者が一気に増えたこともあって、キャンセルが参加者より多くなってしまったが、参加者はガイドさんの話に聴き入った。

戸山公園は江戸時代、尾張徳川家の下屋敷のあった地で、広さは東京ドームの約10倍。明治に入ってからは陸軍用地として戸山学校が置かれた後、戦後はGHQが支配し、返還後は公園と住宅用地となり、今は公園を囲むようにして区の高層住宅が並んでいる。

ガイドさんの説明によると、当時屋敷内には御町屋(おんまちや)という小田原宿を模した通りがあって、鍛冶屋、米屋など37軒の店が並んでいたという。営業は、お偉い方が来た時のみで、尾張藩の侍が町人に扮してお相手をした。小田原まで行けない将軍家のためにそんな町屋まで尾張藩は造ったのだ。それだけではなく大きな池や滝、そして橋、馬場、茶屋、さらに富士山を遠望するための小高い山(いまは箱根山)まで造成した。

なんという尾張の財力と贅沢。もしかしたらこの下屋敷は、徳川家への忠誠を伝えるためのテーマパークだったのではないかと思った。


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歩いたのは広い公園の一部


鉄人


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雨にも痛みにも負けず・・・キヌガサソウ


鉄のように強靱な肉体や精神を持った人を「鉄人」に喩えられる。この花を見ていたら、球界の鉄人、衣笠祥雄を思いだした。キヌガサソウ。大きな葉に包まれるようにして、一輪の白い花がスッと首を伸ばして咲いている。こころなしか、茎が太い。これも鉄人っぽい。


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三週間前、北高尾の山で滑落した。昨年の北アルプスに続いて二度目の打撲。今回の方が衝撃と痛みは大きかった。首を強く打ってしまい、一瞬気道が閉じて息が吸えず焦った。ゆっくり手足の指を動かすと、問題なく動いたのでホッとした。

二週間続いた背中の痛みはようやく引いて、思った。
我がカラダは、鉄人ではない。


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花はやがてピンク色になっていく


サンカヨウ


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儚げ。こんな言葉が似合う花だ。雨をうけてサンカヨウの白い花びらは、見る見るうちに透明になり、ガラス細工のようになっていく。

ところが、水分を含んでしまった花びらは、脆い。風に煽られ、雨に何度か当たるとその一片はほろりと落ちる。花の命はわずか一週間くらい。だから、この花に逢うために、山にやって来る人たちがいる。



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木編に母と書いて栂(つが)と読む。標高二千メートル、雨をうけて栂の葉先が、ほんのり桃色に染まって丸く膨らんでいる。どんな花が咲くのだろうと、つい想像してしまう。

だが、ここから吹き出るのは、新芽。つまり新緑。蕾のようなカタチからは若葉が生まれていく。この時期、山に降る雨は、花ばかりではなく、樹々にも命の潤いを与える。


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降りんピック


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空しい横断幕が雨風に揺れている中野駅近く。先日、都知事選候補者四人によるオンライン討論会で、オリンピック開催の賛否が問われていた。
◯と×がそれぞれ二人。

いま口にしてはいけないようなオリンピック開催の是非。選手らを思うと、大きな声で「非」とは言えないが、出来るとは思えない状況だ。コロナ禍のなか、TOKYOへ世界の若者たちはやって来るのだろうか。

もしかしたら「出来ない・しない」のロジックを、関係者たちはもう練っているのかもしれない。ワクチン開発の動向を睨みながら・・・。


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家呑みが続き、ほぼ呑みつくしてしまった


裏返し


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知らなかった・・・。靴下は裏返しにしたまま洗濯をすると、臭いが落ちやすくなるだけでなく、靴下の傷みを抑えて長持ちするということ。説明書きには「洗う時はうらがえしにしてください」と表記されているらしい。裏返しに脱いでも問題なしという、じつに便利でありがたいお話。


変化の色


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アガパンサス、ムクゲが咲き始めた。そろそろ紫陽花は終わりだろうか。
この紫陽花、遠くから眺めていたら、白山山頂に咲いていたクロユリを思いだした。なにか侘び寂びの趣きがある。こんな種類なのか、それとも最後の変化の色なのだろうか。


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短冊


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労働の手からこんな美しい字が生まれるんだ・・・


妹から五月に亡くなった伯母の短冊が送られてきた。享年98歳。これを詠んだのはいつ頃だろうか。耳は遠かったが、足腰は丈夫で、日高の浜で長男と孫の船を待ち、上がって来た魚を組合へ運ぶ、加工するなど、浜の仕事を長く手伝っていた。

若くして海で夫を亡くし、四人の子どもを育てなければならない時代があった。そんななかにあっても長女として母たち兄妹らへの気遣いを忘れなかったそうだ。おおらかで肝の座った人だった。

この歌は晩年の作だが、短歌は辛い時代の伯母を支え続けていたのではないかと思う。いつかゆっくり伯母の歌を読みに日高を訪ねてみたい。


女帝


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友人にすすめられて購読を決意したのだが、書店で手にとった時の重みに、一瞬、読めるだろうかの不安が生まれた。420ページ超の分厚さである。しかし、読み始めたら止まらない。著者の石井妙子さんの時間をかけた調査、取材、資料のまとめに裏打ちされた明晰な文章は、最後までページを開く手を止めさせなかった。

結論は、ぜひ読んでいただきたい一冊である。とくに都民の方には、投票前の必読の書だ。
どうして、この人の描く世界が完成してきたのか、関心、興味はその一点である。これ以上を今書いてしまうと、お楽しみが消えてしまう。後日に、また書いてみたい。


ツバメ


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大人になると口の回りの白色は消える


産毛が抜け始めているので、ヒナたちの巣立ちは間近かもしれない。四羽のヒナに両親は代わる代わるエサを運んでいた。末っ子らしき一羽だけ、ひと回り小さかった。


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フンガイせずに巣の下にはボードが設置されていた


八重咲き


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八重咲きの花を見つけると、四葉のクローバーを見つけた時のようなシアワセ感が生まれる。春のニリンソウ、この時期のムクゲ、そしてこのドクダミもそうだ。


野良の矜持


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ときどき無言のにらめっこをする神田川沿いに暮らす野良。群れず、媚びずに生きているキミはいつも堂々としている。その睨みにも敬意をはらっていますよ。


ロングトレイル


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北高尾は登山者が少なく、静かな山行を楽しめる


これで四週連続山登り。そろそろきつめの山登りをと思い、数年前から考えていた北高尾のロングトレイルコースに挑戦した。一気に急斜面を登った後は、アップダウンの繰り返し。徐々に息は上がり、後半はいささかバテた。ただ荒い呼吸をしながらも登りの斜面に馴染んでいくと、酸素と血液と筋肉が共鳴しあって痺れのような感覚が生まれ、思わずうれしくなってくる。

いい歳をして、こんなことをする歓び、分かってもらえないだろう。


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トラノオの花が咲き始めていた


コロナ維新


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地方の人から見ると、どうやら東京はコロナの危険地域として映っているようだ。地方の友人、知人らが上京をためらっていて、もう少し落ち着いてからにしますと云う。たしかに感染者ゼロの数字はなかなか出てこない。一桁の日が少しでも続けば、そろそろ大丈夫なのかなと安堵してしまうのは、大都市住人の麻痺した感覚ゆえか。

「コロナ維新」の入り口に立ったばかり。これからどんなことが起きていくのかと想像すれば、いよいよこれからが正念場かもしれないと思う。

淘汰と進化。人も仕事も社会もこの二つに向かっていくのだろう。嫌でも始めていかなければならない新しい生活とやら。何が消えて、何が生まれていくのか。コロナは様々な社会の歪みを露呈させた。多くの犠牲をはらいながらも意外とあるべき未来になっていくような気もする。

それを望むと望まざるに拘わらず・・・。


甲虫に夢虫


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甲虫の生態と前羽の独特な美しさに魅了されて、早?十年。浮き世をしばし忘れ、夢虫の世界へ。


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Oさん


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この時期、標高千メートルくらいの山々では、ハルゼミが鳴き始める。その鳴き声は、カエルのような声にも聞こえる。決して涼やかというのではないのだが、樹々の中から聞こえてくると、春が終わりを告げ、季節が初夏に向っていることを教えてくれる。

亡くなったOさんは、面白かった。森の中を歩いていると「この声はカエルですか」と聞くので、蝉なんですよ。ハルゼミですと答える。しばらく歩いていると「この声はカエルでしたか?」と聞いてくる。それを数回繰り返して、思ったのだ。

Oさんは決してからかっているのではなく、真剣にその鳴き声に魅了されているうちに、どちらだったのか分からなくなってしまうのではないかと。このハルゼミの鳴き声を聴いていると、Oさんの質問を想いだす。


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Oさんの古い友人Iさんの手にしばらく止まっていた


初夏・入笠山(2)


P6120190.JPGのサムネール画像
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雨上がり、カラマツに絡みついているのは、着生植物サルオガセ。待っていましたとばかりに、雨をいっぱいに吸い込んでいるように見える。雨の後でなければ、見られない目映い光景に出会った。

サルオガセは、霧のかかる森の樹々に着生して垂れ下がっている。宿り木のように他の樹々から栄養分を摂取することなく、水分と光合成だけで成長する不思議な植物だ。


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初夏・入笠山


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これから入笠湿原ではスズランが見頃を迎える


雨が上がり、スズランが輝きを増した。南アルプスの北端に位置する二千メートル峰、入笠山。山頂付近は、さまざまな初夏の花が咲き誇っていた。そのなかでも一際こころ惹かれたのはキバナアツモリソウ。菅笠を被った天使が草の中ではしゃいでいるようで、思わず微笑んでしまった。

眺望はいま一つだったが、山の空気は美味かった。ステイホームと言われれば、山に帰ってきたくなる。


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菅笠を被った天使のようなキバナアツモリソウ

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絶滅が心配されるホテイアツモリソウ

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こちらも絶滅危惧種のクマガイソウ


木蔭


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ここのベンチにはいつも誰かが座っている。アーチができた当初は、まだスケスケだったのに、いつのまにかノウゼンカズラが制圧した。五月から咲き始めて九月くらいまで、ポツポツと咲き続けていく。


クラフトコーラ


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アササンコースの神田川沿いにまた新たな名所ができた。世界初のクラフトコーラですって。若い人は、チャレンジ精神に溢れて素晴らしいな。若い人たちが並んでいて買えなかったけど、次はなんとか・・・。

近くには創業百年を誇るお団子やさん、自宅を改装したカフェなど、京都の銀閣寺に続く哲学の道のように、好い散歩道になっていくのかもしれない。


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伊良(いよし)コーラ


紫陽花を愛でて


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紫陽花を眺めていたら「照れワーク」の期間中、韓流ドラマ「愛の不時着」にハマっていたことを思いだしました。

この紫陽花、お隣では・・・

ハナビノスミダ。


給付金は手切れ金!?


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日本のこれからが心配になる話がいくつか入ってきた。皆さんこれでなんとか頑張ってくださいと配られている給付金は、じつは手切れ金なのではないのか。

取り敢えずは、今、なのだろうけど、原資をどんどん使い果たし、この先大丈夫なのだろうかと不安になる。税収の落ち込みに加え失業者・中小企業へのさらなる支援、毎年繰り返される災害への準備など、視野に入っているのだろうか。

この国の舵取りにはいつも不安を感じてきたが、お手上げ状態になったら「日本人は民度が高いから心配はない」とあの人は、また言うのだろうか。


萎縮生活


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テーマとは関係ありません。怖かった・・・


新型コロナウイルス関連の専門用語と赤のアラート光でバリアされている(ような気がする)。そして自粛を促されているうちに、いつのまにか萎縮していることに気付く。

新しい生活が求められ、当たり前だった日々は直ぐに戻らないかもしれない。まずは一年だろうか。

下宿人であるはずのウィルスが、大家の我らに目を光らせているという違和感が常にある。


手紙


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先月、不死身の人と思っていた伯母が亡くなった。98歳。五世代同居家族の長として幸せな人生を歩いてきたと思う。北海道の漁師に嫁ぎ、三十代で夫を海難事故で亡くした。浜の仕事を続けて、残された四人の子ども達を無事に育て上げた。

長男は中学校を出ると漁師になった。無口で無骨で笑顔の優しい、母親想いの従兄弟だ。長く漁業組合長を努めあげ、いまも浜では信頼されている。葬儀に出られない旨の手紙を書いた後に、残された叔母を思いだして、ペンを取った。

後日、その叔母から感謝の手紙がきた。「手紙を読んで涙が止まりませんでした。こんないい甥っ子をもって幸せです」と。末っ子の叔母ももう高齢だ。大家族のなかで育ち、今は独りぽっち、その心境はいかばかりか。

コロナ自粛の間に、途切れていた人たちに手紙を書いた。
喧噪から離れた静かな時間だった。


花時間


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花弁がクルクルッと巻きあがるウリノキ


ORMACのメンバーには植物に詳しいHさんがいる。毎回植物図鑑を持参してくれるので、だいたいの種類がそこで分かる。受粉の仕方、雄花・雌花の役割、近似種の見分け方など、フムフムと楽しい解説を聞いていると、生徒の気分になってくる。

今回は、ウリノキとタツナミソウを教えてもらった。どちらも初めて目にする花だ。ウリノキ(瓜の木)は開花すると花弁がクルクルッと巻きあがり長い蕊を垂らす。

タツナミソウ(立浪草)は字の如く「浪立つかのような花のカタチ」。花の姿を横から見ると北斎の冨嶽三十六景の中でも人気の高い「神奈川沖浪裏」を思いださせる。

たまには、あくせく登るだけでなく、花時間を楽しむのもいい。


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浪が立つかのよう〜いいネーミングのタツナミソウ



右手の人差し指の先がチクリと痛んだ。よく見ると少し腫れている。なんだろう、トンと記憶がない。目を凝らすと小さな点がある。棘?。そうか、週末の高尾山だ。山仲間にモミジイチゴを食べてもらおうと、薮の傾斜を上がり、採集している時にチクッとしたことを思いだした。小さな痛みを抱えるのも悪くないと思い、クスリを塗るだけにした。

タイピング時に手が止まり、この小さな一点に目がいく。触れるとズキンとする小惑星、なにかメッセージを送ってきているような気がする。


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野苺のなかでもモミジイチゴは美味い。口に放り込めば、爽やかな甘味が口に広がる。葉っぱの下に隠れているので、気がつかない場合が多い。

ハナイカダ


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自粛自主解除で登った一週間前の高尾山、すれ違ったのは一人だけだったが、先週末はかなり増えていた。日本人の多くはマスク姿だが、外国人はノーマスク。お国柄だろうか。
すれ違う時の挨拶「こんにちは」は、口だけを動かし、笑顔だけにした。分かってくれる人が多く、もしかしたら、流行るかもしれない。

緑のなかでの深呼吸の美味しさ。こんな当たり前の幸せを噛みしめた。自由に発言できる、息ができる。そして美味い酒が呑める。やっと山の会にも笑顔が戻ってきた。

コースの途中でハナイカダを見つけた。もう実になっている。誰が命名したのか、ハナイカダとはいい名前だ。雌花だけが実となり、黒く熟すると野鳥たちのエサとなる。


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下から見てもよく分かるが、実が野鳥に食べられると普通の木!?


エゴ贔屓


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好きなんだから仕方ない。

身心一如(しんしんいちにょ)


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肉体と精神は一体のもので、分けることができず一つの両面であるという言葉。なるほどと思いながら緊急宣言解除後の皆さんの様子を見ている。多くの日本人はこの二ヵ月の間、毎日のようにコロナ報道番組を観て、行動規範を正しく守ってきた(と思う)。

解除といきなり言われても、ハイ外出します、とはいかない。染みついた規範はそう簡単に離れてくれないのだ。

三密、ソーシャルディスタンスなどの言葉が連呼され、なんだか戦時下の日本のようだと思っていた。
「欲しがりません勝つまでは」「贅沢は敵だ」など数々の標語が生まれ、声をかけ合って、守らない者は非国民呼ばわりしたあの時代。

そして今、守らない者には、自粛警察なる者が現れた。なんだこれはと思った。おまえたちは戦時中の国防婦人会か?
そしてSNSでの中傷、誹謗など・・・と、なんだか呑み会のおやじになってきたので、チョン。

いずれにしても言葉の力は大きかったと思う。「三密」。たった二文字。スゴい。

週末は山だ!


食べ過ぎ


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自粛中につい食べ過ぎてしまって・・・と言う方は、案外多いかもしれない。小生も歩いているから良いだろうとか、あらもうこんな時間とか、散歩中におやつを買ってしまって・・・などついつい余計に食べていたように思う。

写真のヒマラヤスギ?も食欲旺盛だ。ネームプレートまで呑みこもうとする姿は、大きな魚を呑みこむアオサギのよう〜〜


新たな日常?


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喩えば墓の上で哲学するとか・・・


なんだ、この言葉。スッと入ってくるけれど、なんとも怪しげな言葉。
あの人が得意顔で使いたくなるような言葉だけに、そーはいかんぞ、と探りを入れたくなる。新たな日常? が始まると、なにが起き、なにが変わっていくのか。

新たな日常は、意識の変化から始まる。会社に出なくても仕事ができるじゃないかと分かれば、暮らしのカタチが変わる。人・モノが動かなくなると、カネも動かなくなる。当然、社会構造、形態も変わり、失業、倒産が増えていく。「新たな日常」を手放しで喜んではいられない。
 

自粛自主解除


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多くを語らず・・・・・

ウツギ ウツリギ ウヅキ


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ウツギの花が咲くと雨の季節が近いと思ってしまうのは、この花が半日影の場所を好むからかもしれない。初夏、やや日陰の森や山道で見かけ、白い花は遠くからも目につく。


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ヤマブキの花が散ってからは、白い花が山道を彩る。コゴメウツギ、マルバウツギ、ガクウツギ、フタリシズカ・・・涼しげで沢の音とよく合う。


山よ


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中野区もみじ山文化センターの裏庭


勿体ないなあ〜と雲ひとつない空を眺めながら、深緑に変わった樹々の中を歩いていると、山への想いが高まっていく。そんなときに、山の事故のニュースが入ってきた。

先月、今月と八ヶ岳、焼岳、妙義山で起きた道迷いや滑落のニュースだ。自粛中にもかかわらず・・・と記されている。
「なんでこんな時に・・・」。いつの間にこちら側の人間にすり替わって、いかんよなあ〜。

全国の山屋さんたちも今は忸怩たる思いで終息を待っているはずだ。いつか山小屋でこの年を語り合う日が、きっとくる。仕方がない。娑婆の花を眺めながら想いを募らせ、せめて心だけでも山へ飛ばそう。


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代々木公園

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明治神宮の森

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標高44メートルの箱根山五合目のベンチ

ポプラ


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歩いていると遠くに背の高い樹が見えた。近づくとあるお寺のなか、それもお墓の端っこにドンと聳えていた。都内では珍しい。しばらく眺めていた。小さい頃、この樹が好きでよく登っては風に揺られていた。枝が上に向って伸びているので、落ちる心配がなかった。

ポプラは北海道を代表する樹木で、小学校の校歌で歌われていた。

窓をのぞいて 立っている
ポプラとともに ぼくらは育つ わたしも育つ
雲をはらって すくすくのびよ
雪にまけずに ぐんぐん進もう
みんなみんな 肩くみあって

この樹を目にすると、少年が登っているのではないかと、つい探してしまう。


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代々木公園の樹は横に伸びていた


日常とは?


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渋谷のハチ公にもマスクがついたという

緊張感のあった非日常の日々が、いつのまにか日常と化してきた。我が家では自粛を守り、日に一度のダイアモンドゲームと韓流ドラマ(愛の不時着)を毎日一話ずつ観るのが常となった。初めは馬鹿にしていた韓流ドラマの「愛の不時着」。なんともクサいタイトルに苦笑いしながら見始めると、これがハマった。

こんな事態でも起きなければ、たぶん観ることもなかっただろう。ストーリーがよく出来ていて、主役の二人が個性的なキャラクターを上手く演じている。コロナは時間を止めて、発見や気づきをつくってくれるのだから、大いに楽しんでやろうと腹をくくっている。


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夕日に祈りを捧げていると思ったらカメラを持っていた

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レッドロビンにも花がついた

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葉の中に青梅を見っけ〜

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草むらを覗くとコバンソウ

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そして郷愁を誘う・・・


発見


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神田川沿いのお洒落な家


テレワークの日々、仕事はほぼ午前中に終わるので、午後は地図を見ながら近くを散策している。気の向くままに路地に入ったり、お店を眺めたり、公園で本を読んだりして、日が傾いてきたら買い物をして帰宅。

一つ発見をした。小さなお豆腐屋さんを始め、手を動かしてモノを作っている人たちには、なんともいえない親しみを感じるということ。たとえば煎餅、石焼き芋、コロッケなどを渡されるときの、オジさんオバさんの笑顔。手から手へモノが渡るとき、笑顔ももらっている。

豆腐が好きなこともあるのだが、アチコチの小さな豆腐屋さんをつい覗いてしまうのは、手仕事をしている職人さんたちの声を聞きたい、笑顔に出会いたいからなのだと思う。


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空き地がお花畑に


箱根山(標高44.6m)


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「ようこそ」と言われると嬉しいものだ


こんな山が我が家から徒歩30分ほどの地にあったとは、知らなかった~。箱根山は東京都心では最も高い山で標高44.6m。一帯は江戸時代、尾張藩徳川家の下屋敷があり広大な敷地を誇っていた。箱根山の由来は、庭園内に小田原の宿場町の街並があったと登山口の掲示板にある。
ところが明治維新後になると、土地の所有が政府に移り、陸軍戸山学校が設けられ軍事面での拠点となり、景観は劇的に変った。

森の公園に入って行くと「箱根山登山口」の大げさな看板が迎えてくれた。30年も近くにいて、こんな良い山があったとはねえ・・・。勿体ないからゆっくりと登る。五合目?辺りにはベンチがあった。慌てることはない。ベンチで一休みする。マスクを取れば、緑を抜けてきた風が美味い。

低くたって独立峰。山頂に着くと360度、桜の木が植えられ、樹々の間から新宿の副都心ビル郡が見える。満開時は、見事な桜だっただろう。江戸の頃は、彼方に富士山や筑波山、丹沢や奥多摩の山々まで見えたに違いない。


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長いスロープを上げっていく

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長いスロープにはベンチがいくつか

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戸山公園は日比谷公園より広い敷地をもつ

Where we go?


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コロナウィルスのパンデミックにより経済活動が停滞し、温室効果ガスの排出量が減っているそうだ。世界の国が協力しあってCO2を削減するなんて、夢のような話だと思っていたら、ひょうたんから駒ならぬ、CO2削減が飛びだした。

史上最強の敵コロナウィルスに、否応なく世界経済の減速を迫られ、気がついたら環境問題を改善していたとは、笑ってしまう。この力学的なできごとを理解しようとすると、自然や神の存在をベースにしたSF小説を重ねてしまう。

読み終えた池澤夏樹「きみのためのバラ」の中の短編「レンタション」という作品に似ている。地球上から警察や軍隊が消えるというストーリーなのだが、今回のこれと重ねている。

今、私たちは歴史的な出来事の真っただ中を歩いている。なにを学び、どんな方向へ向おうとしているのか。未来人は、私たちの選択を興味深く見守っているに違いない。



テレワーク


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フルムーンの二日前


在宅の人となって、テレワーク!?で仕事をしている。娘もテレワークということで、三食が一緒になった。ネットの活用がじつに上手く、詳しい。一つ教えてもらったのが「coromap(コロマップ)」。コロナウィルス感染者の位置情報を伝えるサイトで、開くと日本地図に感染した場所、感染日が記されている。こんな、サイト知らなかった・・・。

そして夜になると「オンライン飲み会」。友人らとスカイプを使って、パソコンの前に酒と肴を出し会話をしながら楽しんでいる。ふ〜ん、時代はこう変わってゆくのか・・・。

夜は、おやじの提案でゲームをすることになった。納戸から出てきたのは、昔遊んでいた人生ゲーム、オセロ、ダイアモンドゲーム、ビンゴ、バックギャモンなどなど。寝る前のひととき、己を曝けだして熱中する。娘が意外に負けず嫌いであることが分かった。

仕事も出費も少なくなって、身軽な毎日。新しいスニーカーで走り始めようと思っている。


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いよいよ


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週末のわらび採りは来年までお預けにして(グッと我慢)都内を歩くだけにした。西新宿を抜け、御苑の横を通って、神宮の森辺りを目指す。この数週間、桜ばかりに目が行っていたが、樹々の芽吹きは始まっている。

都庁に着くと、大ケヤキの新緑が気持ちよくそよいでいた。視線を上げると、第一庁舎のワンフロアーに灯りが入っている。コロナ対策で担当職員は休日出勤なのだろうか。


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苑内の花々だけが賑やかな新宿御苑正門前


都庁前、新宿駅南口、新宿御苑正門、どこも人が消えたかのように静かだ。いいねえ、と言っては不謹慎だが、こんな大東京の散歩は生涯もう出来ないかもしれない。
新国立競技場に着くと、小雨が降ってきた。小さなカフェで雨宿り。いよいよ決断の時か。


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残念だね、来年だって、分からない・・・

家出人と宿主


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瀬を早み・・・われても末にあはむとぞ思ふ


今朝の福岡伸一さんのコラムを読んで心がときめいた。この歳になってときめくなんてことは、そうあるものではない。まずこの歌を読んでほしい。

我慢ではなく
辛抱かもしれない
撲滅ではなく
共生
共存なのかもしれない

ある歌会の題詠「辛抱」で詠んだ歌だ。
コメントを求められれば、人生観や自然観について語ることになるけど、どう話していけば良いだろうと思っていた。最初の二行についてはこうだ。

人間の英知は、私たちに快適で心地の良い暮らしを提供した。しかし今度のコロナウィルスの試練は、人間が私たちの社会が、いかに脆弱であるかを突きつけた。

楽観や期待を込めた我慢だけでやり過ごせない。先を見据えた辛抱する覚悟が必要なのではないか。それにしてもウィルスが人間を脅かすというのは、何か意味があるのではないか、だった。

喩えば・・・驕ることなかれ、人類

人は自然を克服することはできない。この地球という大きな生命体の中において、ウィルスもまた存在する意味や価値があるのではないか。そんなことをぼんやり考えてこの歌を詠んだ。

福岡さんはこう解いていた。
いくつかを紹介すると

・ウィルスは高等生物の遺伝子の一部が外部に飛び出したもの、ウィルスはもともと私たちのものだった(ひっくり返るくらい驚いた)。
・家出人を宿主は優しく迎え入れている(ここは面白く、納得できた)。
・おそらくウィルスこそ進化を加速してくれる。
・宿主に気づかれることなく行き来を繰り返し・・・

コロナウィルスも彼が唱える動的平衡の理論に組み込まれてゆく。痛快で分かりやすく様々な疑問がストーンと落ちていった。結びはこうだ。

かくしてウィルスは私たち生命の不可避的な一部分であるがゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。私たちはこれまでも、これからもウィルスを受け入れ、共に動的平衡を生きていくしかない。

歩いて、感じて、言葉にしていく。こんな楽しいことが人生の一つなのではないか。今日は偉そうにそう言えるような気がしている。


たらの芽


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フェンスの向うに見えたわずかな葉の形状を見逃さなかった。紛れもなくたらの芽である。誰がこんな場所に植えたのか。ツツジを分け入ってフェンスから顔を出すと、背丈を伸ばしたたらの芽が目の前に現れた。
手を伸ばしたが、ちょっと育ち過ぎ。今年は諦めようと、グッと我慢した。来年ね、しっかり場所を確認  (^^)V

こんなところでたらの芽が・・・よし、週末、そっと山に入ろう。


なぞかけ


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飼主も急かさない、いい関係


転職したばかりの娘がテレワークとなり終日家にいる。午前中のやり取りが終わったら、これといった仕事も無いらしく、暇を持て余している。よって朝晩、顔を合わせての食事が増える。週末の夕食時に、ひょんなことからなぞかけをしようとなった。
突然、娘がコロナとかけまして・・・と言いながらこちらを見た。しばしの沈黙・・・。

できました。コロナとかけまして・・・

テレワークとなった君と解きます。

娘:そのこころは〜

シボーが増えています。

上手い!と娘は大笑いして、受けてくれた。

家人:ちょっと不謹慎かも。

昔、独立したばかりの事務所で、シェアした仲間と毎晩、なぞかけや格言パロディをしながら呑んでいたことを思いだした。仕事が少ない頃で、落語好きの仲間らが酒と肴を持ってきて、遅くまで大いに笑って遊んだ。ここで笑いのツボを鍛えられたのかもしれない。

最強の敵を笑いで吹き飛ばしたいものだが、ウィルスはなかなかしぶとい。

では最後に、コロナへの対応とかけまして

SMの女王と解きます

そのこころは

たえしのぶ さん。


ビニール傘


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ビニール傘に降り積もる雪が景色を朧にしていく。傘を上下にして雪を落とす。何度か繰り返しているうちに、小学生の頃、我が家の玄関にこげ茶色の番傘が掛かっていたことを思い出した。それは子供には重く、使い勝手の良くない代物だった。軸は子どもの手には太い竹製で、力を入れないと広げられなかった。

ぼってりとした蝙蝠傘もあった。これは番傘よりも実用的だったが木綿製なので、水を含み始めると重みを増し、軸から雨が伝わってきた。やがて素材がナイロン製になると、傘は一気にお洒落なアイテムになった。

雨の日の重苦しさは解消され、いつの頃か、透明のビニール傘が全盛となり街を歩き始めた。使い捨てという言葉は、このビニール傘が運んできたのではなかろうか。
透明ビニールは、水の中を歩いているような感覚にして、雨の日を少し楽しくした。


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雪と桜とコロナ


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外出はダメよと諭すかのように、関東地方は日曜の朝から雪が降り始めた。雪と桜とコロナ。よくも三つが重なったものだ。そんなことを思いながら、神田川の橋の上から枝垂れていく桜を眺めていた。

まるでコロナのような雪。春の歓びを押し止めているかのように無常に降り続く。だが花はこんな試練を当たり前のように受け入れている。儚い、可哀想と感傷的に思うのは人間だけだ。

耐えるしかない。いずれ花開くときは来る。しばらくは辛抱。この二文字から学ぼう。


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トレラン


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走りたくなるの、わかるけどなあ・・・フラットな高尾山の尾根道。トレランの集団がやってくると、片側に身を寄せて通過を待つことになる。皆さん、お騒がせしていると分かっているらしく、「ありがとうございます」と声をかけてくれる。「はい、どうぞ〜」と初めは優しく声を返しているが、頻繁に現れると静かな山行が脅かされているようで、だんだん機嫌が悪くなる。

静かな山道を皆して走ることなかろうに。

トレランとは「トレイルランニング」の略。陸上競技の中長距離走の一種で、舗装路以外の山野を走る競技だ。口コミや専門誌で高尾山の尾根コースが紹介されたのだろう。年々、トレランの人たちが増えている。
外国人、山ガール、トレランと、週末の高尾山は、歩行者天国並みの混雑になる。

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あっという間に走り去る

ザリガニ


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こんな光景を見ると、オジさんは思わず近寄って声をかけたくなる。ここは善福寺川の畔の和田堀池。落着きなく竿を動かす子には「我慢して待たなくちゃダメだよ」とアドバイスをしてしまう。

時代が変わってもザリガニの餌はアタリメと決まっている。長く水に浸しているとアタリメは白く解れてしまうが、全く問題なし。
しばらく眺めていたら、あの日の私と重なっていった。


健気



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ネコノメソウ


裏高尾の登山道は、昨年秋の台風19号の影響で崩れているカ所が多い。それでも春の花たちはどこ吹く風と、陽の当たるアチコチで咲き始めていた。こんな時に思い浮かぶ言葉が「健気」。今どき日本の暮らしの中でこの「健気」を喩えるようなシーンには、まずお目にかからないだろう。

そう思ってググってみると
健気とは、主に非力な者の振る舞いが甲斐甲斐しい様子などを意味する表現。あるいは、力の弱いものが困難な状況でも立派に立ち振る舞う様子、とある。

つまり大男が神経質なくらい頻繁に手洗い、マスクをしたとしても、健気ではないのだ。


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高尾山は世界的にもスミレの宝庫
その代表格がタカオスミレ

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ユリワサビ

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モミジイチゴ

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ミヤマカタバミ

天気晴朗なれど


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影まで風に流されている?


風強し。吹き飛ばすならコロナだけにしてくれぃ〜と、咲き始めたばかりの桜を心配している。花冷えならまだしも、強風はいかん。

週末、都内の桜の名勝が紹介されていた。花見といえばブルーシート宴会大騒ぎをイメージするが、今年は皆さん桜をゆっくり愛でている。これって、なかなか好い。

酒のない花見というのは寂しいものだし、コロナ騒ぎで世の中不安ばかりと承知しているが、自粛を通して、日々の暮らしを見つめ直す好機かもしれない。マスコミ報道にばかり揺さぶられず、ウィルスと命、国の脆弱さ、社会と個の関係などをよく認識し、なにが必要で大切なのかを問われているような気がする。


ニリンソウ


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思い起こせば、最初に起きたのがスタジアムの問題だった。コンペで決まったはずの国立競技場のデザインに待ったがかかって、コンペのやり直しになった。次が公式エンブレム。デザインは盗作ではないかと問題が起きてやり直しとなる。そして新型コロナウィルスの問題でいま延期へと動きだしている。

三散(さんざん)な目に遭った。

五つの輪(和)が一つ、また一つと不運の連鎖が続き、終には二輪に・・・。そんなことを思い浮かべながら、台風の被害を受けても健気に咲く高尾山日影沢のニリンソウに目を細めた。

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つながり


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夕日が線路の曲線を映しだす


人の繋がりは面白い。グラフィックデザイナーのMさんが張り子を出品するというので。先週末、作品展を観にいくと、小さな会場には、和紙や木粉粘土で作られた和テイストの作品が、数多く展示されていた。民芸調から今風なキャラクターっぽい作品まで、色とりどり。

Mさんが張り子教室の先生を紹介してくれた。若くて可愛らしい女性M・Bさん。教室や作品についてのお話を伺った。張り子はどれも手作り温かみがあって親近感を覚えるものばかり。「Mさんがこんな若い先生の生徒だなんて、面白いね」と冷やかした。


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Mさんの温かな張り子作品


すると今日、書家のIさんのFBに、M・Bさんの張り子が紹介されているではないか。どうして〜と、尋ねると「私の教室の生徒さんです」という。M・Bさんが今度は生徒となって、書を学んでいる。

Mさんも先生クラスのデザイナー、そしてM・Bさんも・・・。芸の領域を深めていくためには、学ぶことが大切なのだと教えてくれる。そして学びへの思いは、人を繫げていく。


名は体


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なにガンくれとんじゃい!


この冬鳥、こちらを睨んでは、こう呟く。

「なにガンくれとんじゃい!」。

鳥の名はキンクロハジロ。漢字で書くと「金黒羽白」。名は体を現すの諺とおり、金色の目、黒い体、そして白い羽根の組み合わせ。じつに分かりやすいというか、いい加減というか、ピタリの名前だと感心する。

観察していると、面白い。他のカモが悠々と泳いでいる中、キョロキョロと辺りを落着きなく見渡して、そして突然、水中をカイツブリのごとく、潜って泳きはじめたりする。

イラストのようなやんちゃな顔を見るたびに「キンクロハジロ」とは、イイ名前を付けてもらったねとニンマリする。


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キョロキョロ、ちょんまげが可愛い


冬よ


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雪が降っていた週末に、標本木の桜が開花したと発表された。観測史上最も早い開花だという。温暖化の影響でなんでも前倒しが当たり前。落葉は遅くなり、開花は早まる。まるで母親と嫁に挟まれたオヤジの如く、冬夫は、秋子と春子に押されて薄っぺらになっていく。

「まあ、そんな寒くなるようなことはおっしゃらずに・・・」と嗜められ、かつて威厳のあった冬夫は、行き場を失おうとしている。


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近所の神田川沿いにも一本、毎年早く咲く桜がある


キセル


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引き出しの中を片付けていると、古い切符が出てきた。刻印は、昭和47年4月16日。桜は散った頃か、もう半世紀が経っている。30円は一番短い区間のはずだ。新宿からの一区間 、どこの駅で下りたのか、今となっては定かではない。貧乏だったということもあったが、当時の若者にとってキセルは当たり前の乗車方法だった。安保闘争が盛んだった時代だから、国営企業への偏見が、キセル乗車を助長させていたのだろうか。

驚くようなエピソードがある。友人の一人は、大阪の恋人に入場券を一枚余計に買って入場してもらい、ホームで同じようにカットして堂々と東京〜大阪間をキセルした。途中検札は来なかったのか?と聞いたはずなのだが、なんと答えたのか、忘れてしまった。


よそいき


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父は身なりにうるさい人だった。戦時中に撮ったと思われる一枚の写真がある。父となる前の青年が、軍服姿の男たちのど真ん中で、一人白のスーツと白のソフト帽を被り、誇らしげに腕を組んで笑っている。なぜ父だけこんな恰好が許されたのか、幼い私にも不思議な写真だった。

戦後、父は一時期進駐軍で働いていたことがあった。そこで見聞きした情報は、父のお洒落心を奮い立たせた(ようだ)。きちんとした身なりでいることに口やかましく、私たちのよそいきの服を次々に作り上げた。

幼い私と弟のカラダの寸法を取り、新聞紙にチャコで型を描き上げて生地を断裁し、ミシンでシャツと半ズボンを縫い上げた。さらに余った生地でハンチングをつくった。街にでるときは、このよそいきを着せられ、弟と私は大通り公園でカメラに収まった。街に出るときは、かならずよそいきを着るものだと教えられた。

上京して初めて銀座を歩いた時に、このよそいきの教えが蘇った。誰もがよそいきの恰好をしていることに気がついたのだ。銀座という街ががそうさせたのかもしれないが、華やかな装いが眩しかったことを覚えている。いまやカジュアル主流の時代。よそいきは死語になろうとしている。


ウィルス


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木瓜は、ほど良いテンポで花を咲かせていく


医学的、科学的根拠のないウィルスの話には耳を貸さないことにしているが、この話には納得がいった。

多くの感染症は人類の間に広がるにつれて、潜伏期間が長期化し弱毒化する傾向があります。ウィルスや細菌にとって人間は大事な宿主。宿主の死は自らの死を意味する。病原体の方でも人間との共生を目指す方向に進化していくのです。感染症については撲滅より「共生」「共存」を目指す方が望ましいと信じます。長崎大学熱帯医学研究所教授の話である。

人類は農業を覚えてから爆発的に人口を増やしたことで、あらゆる病を呼ぶことにもなった。つまり様々な病を乗り越えてきた人類の歴史は、共生、共存を目指して、さまざまな抗体をつくってきた歴史ということになる。

そういえば風邪にかかっても自力で直せる人がいるし、お腹を悪くするような残った弁当を食べても平気なホームレスの人がいる。みんな進化系の人たちだ。

共生、共存。響く言葉だ。多様性のある社会が理想的であるとすれば、私たちのカラダもそれを目指し、多種多様な菌をもつべきなのかもしれない。

善玉、悪玉、たくさんの腸内細菌・・・案外強い人は、悪(ワル)を飼っている人!?


食に思う


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山仲間からいただいた「のらぼう」なる菜
なんでも西多摩地方で栽培されているとか


運動不足を解消〜と、先週のハナキン(古い)、事務所から自宅までの約5キロ歩いて帰った。約一時間の道のりだ。四谷三丁目から荒木町、舟町、富久町という江戸の落語に出てきそうな街を抜けていくと、飲食店の多いことに気付く。新宿までの道沿いに、ほぼ途切れることなく店の灯りが点っている。

いつから日本は、こんなにも飲食店が増えたのだ。ひと気の少ない店を眺めながら、半世紀前の故郷札幌の街を思った。バス停や市電の停留所付近には商店街があり、小さな蕎麦屋、ラーメン屋、寿司屋の暖簾が揺れていた。そこを利用するのは、学生や独身者、営業のサラリーマンだっただろうか。

蕎麦屋、寿司屋は、急な来客があったときのみ出前で利用していた。岡持ちから出てくる蕎麦や鮨に、子どもらは生つばを呑んだ。そして我が家とは違う華やかさとその匂いに、大人との間にある無常を少なからず感じていた。

料理は母親がつくり、家族皆で丸いお膳を囲んで食べるというのが、昭和の正しい食事のあり方だったから、頻繁に出前を頼む家は、まっとうな家ではない、まして玄関先に丼がいつまでも積まれているというのは、恥ずかしいことだと教えられた・・・そんな記憶が蘇った。

好きなものを食べて、食べ過ぎて、心配を抱えるなんて、当時は誰も思わなかった。


春うらら


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思案したが、山に入ればコロナは怖くなかろうと、週末、月例の山の会(ORMAC)を強行した。参加者6名。高尾山の南側に連なる外輪山をのんびり歩いた。小さなアップダウンを繰り返した後、陽の当たるベンチを見つけて、やや早目のランチ。

いつものコンビニおにぎりを止めて、今回は時間に余裕があったので、ガスコンロとコッフェルを持参してのカレーうどんに挑戦。コッフェルのお湯が湧いてきたら、サササッとうどんと具材を投入すると簡単にできあがった。

下界のコロナ騒ぎはどこへやら。山は春うらら。イチリンソウがもう咲き始めていた。


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三婚説


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鬱陶しいご時世なので、なにかないかと探していたら、面白い説に笑ってしまい、空想、妄想を広げた。それは「三婚説」と名付けられていた。

まず二十歳になったら、全員が20歳年上の異性と結婚をする。はたちの娘と40のオヤジ、はたちの青年と40のマダムだ。20年間結婚生活をして、離婚をする。そしてすぐに40歳の男女は、それぞれ20歳の歳下と再婚をする。60歳で二度の離婚をしたら、同じ境遇の異性と再婚をする。この3回で終わり。

この「三婚説」をお茶しながら、または呑む席で論議を楽しもうというのだ。恋愛観、人生観が違うから議論百出するだろう。酒の肴にはもってこいかもしれない。仮設ではなく法律になったとして話し合えば、我がことのように盛り上がるはず。
どなたか、今度、お会いしたら、この話を続けませんか?


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啓蟄


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花を愛でて、浮き世をグチる


コンサート、展示会、歌会、図書館など次々にクローズされて、お楽しみが消えていく。これで飲食店などが閉まっていったら・・・ありえない話ではない。モノ・ヒト・カネが回らなくなり、欲しがりません勝つまではになって、じっと我慢をしなければいけない。できるかなあ〜現代人、我慢、辛抱は苦手だろうなあ・・・。

そうだ、今日は啓蟄。怖くてムシたちも穴から出てこない!?




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トサミズキも


カラスの行水


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二羽のカラスが池の淵にいる。一羽がおそるおそる池に入ってから、バシャバシャと水浴びを始めた。辺りを伺っては、それを何度か繰り返す。スッキリした一羽はヒョイと池から出た。するともう一羽がゆっくりと池に入ってくる。同じ場所で数回、また水を浴び。これをカラスの行水というのか。どのくらいの時間だっただろう。1分くらいか。

以前スズメの行水を見たが、なぜスズメではなく、カラスでそれを喩えたのか。所作が面白く、青黒い羽が美しいからか。それとも綺麗好きなのか。
シャワーばかりの小生も、カラスの行水かもしれない。


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ヨチヨチ入ってきて

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バシャバシャ

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ア〜イイ気持ち

モクレン


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念のためにと電話をいれると、図書館の方は申しわけなさそうに「中旬まで閉館です」と云われた。写真展に続いて図書館からもNGを出された。さてどこに行けばいいか・・・そうだ、御苑なら大丈夫だろうと確認するとOK。

我が家から御苑までは、神田川に沿って歩き、途中から新宿西口公園を突き抜けると、大凡40分の道のり。新宿門から入園すると、驚くほど人が少ない。こういうところは安全なのになあ〜と思いながら、いつものコースを歩く。

膨らませているのは
キミの夢か
僕の夢か
モクレンの冬芽
まもなく

こんな歌を西口公園で作っていたら、御苑ではもう開花を始めている1本があった。大きなモクレンの木は、いつだって開花一番乗りだ。放射能もウィルスも関係なく、花たちは何ごともなかったかのように季節の針を進めていく。


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スペイン風邪


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100年前、大流行したインフルエンザ「スペイン風邪」を重ねている。第一次世界大戦の最中、このインフルエンザは世界中に蔓延し、5000万から1億人の命を奪った。戦死者の1600万人よりもはるかに多い数字だ。人の往来の少ない時代、ウィルスを広げたのは兵士だった。若者が罹患し、終には兵士が集まらなくなり終戦を迎えたとさえ云われている。

今は飛行機や船で世界中がつながっている。拡散はあっという間だ。まだまだ序章のような気がしてならない。どんなカタチで終焉を迎えるのか、妄想も進化している。

個性


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歌会にはじつにいろんな人がいる。豊かというか、ユニークというか、一緒に過ごしている時間は、とてもあたたかく心地いい。生物学的にいえば、多くの種が豊かな環境をつくっている、となる。

それは海のなかも同じかもしれない。それぞれが何らかの役割を果たして、関わりを持っている。長い時間をかけて、そんな関係や体系がつくられたのだ・・・個性的な魚たちの写真を整理していたら、ふと歌会で会う人たちを重ねてしまった。


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よく分からない人や

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ネックレスに気を使うお洒落な人や

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ココロが透明な人や

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恥ずかしがりやで隠れてしまう人

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つかみどころのない人まで・・・


親子登山教室


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週末は、親子登山教室のお手伝いで奥日光の森をスノーシューで歩いた。四家族とサポート6人を待っていたのは厳しい雪と風。ときおり襲いかかる地吹雪に大人は閉口したが、子どもたちは歓声を上げて喜んだ。ここが違うんだよなあ〜。雪玉をつくりながら歩く子、グイグイと森の中を進んでいく子、いろいろだ。皆、この日を楽しみにしていたらしい。

今回担当したAちゃんは、小学校二年生の女の子。溌剌として、好奇心旺盛、なんでも楽しんでしまう。今年はカリキュラムに全部に参加したいと言っていたので、また会える。孫のような子から沢山のエネルギーを貰った。


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見えないもの


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花粉シーズンではあるが、新型ウィルス予防のためなのか、見分けがつかないほど、マスク姿の人が多い。つけていない人は、買えない人なのだろうか。地下鉄内で咳を二三度したら、視線が飛んできた。違う違うと咳を我慢したら、苦しくなった。咳一つにも気を配らないといけない。そういえば、こころなしか吊革を握っている人が少ない。

ウィルスだけではないが、見えないというのは、不安で心細い。収束はいつになるのだろう。


天狗焼き


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高尾山に登ると、ケーブルカー山頂駅直ぐにある店で、名物の天狗焼きを買う。以前は細々と売られていたこの天狗焼き、いまや列をなさないと入手できないほどの人気だ。

外はカリカリで、中は熱々の黒豆の餡がギッシリと詰まっていて甘さ控え目。登山口から約一時間半登ってくると、この甘い香りに惹き寄せられてしまう。

天狗にならないように、ハイ、そしてパクリとやる。

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雛罌粟(こくりこ)


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ああ皐月 仏蘭西の野は火の色す 君も雛罌粟 われも雛罌粟

ぼんやりとテレビを観ていたら、与謝野晶子の歌が紹介されていた。

不思議なことがあるもので、つい最近友人から借りていた漫画本「項羽と劉邦」。三国志が三巻にまとめられている。ここに登場する絶世の美女が虞妃(ぐき)。そうか、虞美人草はここからきているんだとググれば、別名ポピーの名も。ほかにもケシやアマポーラ、ヒナゲシ、そして雛罌粟(こくりこ)の名まで・・・。虞美人草と雛罌粟がつながる。

晶子は寂しさに耐えきれず、五人の子どもを義姉に預け、鉄幹をパリに追った。男を捨ててパリへ赴いた女性画家はいるが、追いかけていくとは・・・真っ赤な雛罌粟の花なかに立つ晶子と鉄幹を思い浮かべて、この歌を想った。


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やられたワン


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ク〜〜〜、やられた。と思った。「イロイロ 遊び 台湾」。こんな提案、したかったなあ〜。台湾観光局/台湾観光協会の観光誘致プロモーションだという。見事なお手前。

広告がつまらなくなったのはいつからだろう。広告全盛の頃、新聞広告や車内吊りを見ては、上手いなあ〜と感心し、こんなことしてられないと、刺激を受けていた。時代が変って、いまやタレントが踊るだけのCM全盛時代。

「イロイロ 遊び 台湾」の一行は、視覚的要素が働いているからだろうか。思わず口にして、その術中に誘い込まれる。ユーモアで好奇心をくすぐられ、行き台湾〜と、なるのかな!?


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Rさん


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雲ひとつない穏やかな冬の空が広がっていた


高尾山、モミジ平の小さなベンチで、つい先日亡くなった歌友Rさんのことを思い浮かべていた。亡くなった弟と同い年で、急性心不全も同じ。そして憎めない笑顔まで。厄介を抱えていたようだけど、いつもニコニコしていた。ときどきジャブを放ってくるから、こちらもヒュッとグラブを伸ばすと軽くそれに当たって、笑いながら距離をとった。どうして一人が好きだったんだ・・・想いは深まるばかり・・・

昨日の歌会では彼の冥福を祈り、黙祷をしてスタートした。五行歌に会えて良かったね。繫げていくよ。
山で詠んだこの歌で送った。

二月の
紙飛行機は
スローモーション
少年のまんまを乗せて
一枚の空へ


20キロ


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こちら20キロ〜、それに比べて我がリュックの貧弱さよ


一昨日、こんなことしてられないと、リュックに帽子、手袋などを放り込み高尾山に向かった。高尾山口の駅前バス停に、重そうなリュックを横に男性が一人立っていた。「20キロくらいはありそうですね」と声をかけると、『一丁平で一泊しようかと思ってます』。高尾山でテン泊(テント泊)とは珍しい。

20キロを担がせてもらった。直ぐに上がらない。ようやく担ぐと、ズッシリ来た。これを背負って上がれんよなあ。今年79歳だという・・・鍛え直さなければならん・・・。

山の話が始まる。ヒマラヤ、百名山をすでに歩いている大ベテランだった。富士山はかなり撮ってますよという。山と花の話を聞く。ゆっくりと自慢するでなく、飄々としているところが好い。もっとお話を聞きたいですねと言ったら、名刺を出してくれた。

富士山の写真が素晴らしい。


新しい出会いの始まりとなるのか。ちょっとウキウキしている。


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名刺があるはずです・・・


ほころぶ


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棘まで赤く染めて、野バラが綻びはじめました。


謂れ(いわれ)


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これ、なんだったけ・・・この場所でこの花を見ていたはずだけど、あまりに変ってしまうと思いだせない。・・・ムクゲだ。フワフワの白い毛をつけた種は風を待っているのか。

ムクゲ・・・もしかしたら・・・剝くと毛が出てくる。
ムク+ケ=ムクゲ!?


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カモカのおっちゃん


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友人S夫婦から新潟月岡温泉の瓢湖にいます〜とこんな写真が送られてきた。冬はどうした〜と叫んでいたら、ここではしっかり冬鳥がやって来ているではないか。それにしても夥しい数。

カモカのおっちゃんの蒔くエサの総量からしても、カモ一羽の口に入る量は幾ばかりか。それにしても鳴き声だってハンパナイだろう。


自然の無言


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梅だけではありませ〜ん、アタシたちだって〜と、沈丁花がもう蕾を膨らませていた。しかし、この寒波。じっと辛抱、我慢だ。
谷川俊太郎のこんな詩が響いた。

いのちはすべて自然の無言に抱かれ
生きて滅ぶ
言葉を持ってしまったヒトだけが
こうして自然に逆らっている


梅は咲いたが


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アタシ、もう待てません〜♡とばかりに、八重の梅が咲いてしまった。ちょっと早いよね。鶯が群れをなして、蜜のご相伴に与っていました。「こんな風景を見ると、つい喜びそうですが、どんなもんなんでしょうねえ〜」と、お婆さんと眺めていた。


ビールス


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その昔、ビールスと言っていなかったか。いつからウィルスと呼ぶようになったのだ。と、思いながら、哀れなこのビールに手が伸びた。


さよならテレビ


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友人のMさんにこの映画を勧められ、我が街の自慢である小さな映画館「ポレポレ東中野」で観てきた。ガラガラだろうと予想していたら、15分前だというのに大勢の人が並んでいるではないか。整理券は69番。100席しかない椅子は上映時に埋まった。グルリと客層を見渡せば、問題意識を抱えているような顔立ちばかり。久々にある種の緊張を覚えた。

テレビは何を伝えているのか?東海テレビは、ドキュメンタリー番組を劇場版にリメークして、いくつもの話題作を提供している。(一昨年、ここで観た「人生フルーツ」もその一つ)。今回は自社の中にカメラを入れて、報道の裏側を映しだした。

上映中に起きる失笑、ため息、沈黙(当たり前か)・・それはやがて、同志達と一緒に観ているような安心感と浮遊感に変わっていく。

見終わった人たちがゆっくりと腰を上げていく。皆んな何かを話したいような顔して、ぞろぞろ出口に向かっていく。咀嚼して考える時間が必要、そんな感じだった。

私たちはすっかり慣れてしまっている。薄っぺらな番組を観て、ハラハラしたり笑ったりしながら、予定調和の安心へと導かれていくことに。いつしかそれを許容し、その先にあるもの、その裏にあるものを求めなくなった。それ故に、問題意識は希薄となり、いざとなったら社会の中から起きるから大丈夫だと思っている節がある。

今やツイッターなど個人が社会に影響を及ぼせる時代(トランプはメデイアは嘘つきだとさえ言っている)となり、メデイアは、その存在意義が問われているようになった。
そして私たちも情報を監視する・見抜く良識や見識を問われている。

東海テレビの「報道の使命とは」にこんな項目があった。
・事件、事故、政治、災害を知らせる
・困っている人(弱者)を助ける
・権力を監視する

私たちも、テレビを監視しなくてならない。


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暖冬だにゃ


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ひと春早い、あたたかさ。この先、どうなるんだろうニャ。いよいよ日本も40度の夏がやって来るのだろうか。ニャンとも分からん・・・


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今年は早い〜!思わずローバイ・・・

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あたしゃ、なんだか、おじゃまむし〜〜

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眠りネコ、あちこちに・・・


手仕事


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街案内のYさんは、露地や商店街にある名店を知っている。その日も細い露地の一軒、小さな煎餅屋さんを紹介してくれた。引き戸を開けると香ばしい匂い、そして機械の音が聞こえてきた。左手に煎餅を焼く機械と味を絡める釜、奥に小さな商品棚。客は眺めてから欲しい品を伝えて、買う。極めてシンプルな工場併設の直売所だ。


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ご夫婦が煎餅を焼き、そのお母さんらしき方が販売。美味しい煎餅を提供するために、一日、手を動かしているんだろうなあ。こんなお店があったんだ〜、ちょっと感動する。Yさんがミックスという一品を買い、試食させてくれた。焼きたての美味さが口に広がった。近くにあるなら、時々買いに来たい!!!。


お顔


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雑司ヶ谷界隈の七福神や仏様たちは、どことなく表情が柔らかだった。ありがたいオーラはないけれど、なにか暖かみがあり、親近感がある。これは下町の気さくさが繁栄されているのかもしれない。わざわざ、京都や奈良に行かずとも、充分にお参りが出来るお寺や神社が近くにいくつもある。江戸はそんな街だったのだ。


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寒桜も微笑んでいるかのよう


駄菓子屋さん


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そのお店は、鬼子母神境内の大銀杏のそばにあった。「上川口屋  創業一七八一年」の看板が掲げられている。はて、その頃、駄菓子屋なんてあったのだろうか、なんて失礼なことを思う。懐かしいお菓子がズラリ並んでいる。ゆっくり見て、店主の方と話をしてみたいが、今日は残念ながら吟行の流れの中、振り返りながらそこを後にした。店主の方の笑顔と毛糸の帽子が印象的だった。


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気になったので、調べてみた。この方は13代目の内山雅代さん、60年以上この店を続けられている。モットーは「皆さんに喜んでもらうために、人生は楽しむために」とあった。
大賛成!


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「鬼」の文字の上をご覧あれ。ツノというか、点が打たれていない。ここの像は、鬼ではなく菩薩の姿をしているので、ツノのない文字にして入るそうだ。安産、子育ての神様として広く信仰されている。


雑司ヶ谷七福神


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毎年一月の吟行歌会は、江戸の歴史に詳しいYさんに案内をお願いをして、七福神巡りをしながら、歌を一首詠むことにしている。今年は「雑司ヶ谷七福神」ということで、護国寺の仁王門前に集合した。

護国寺は、五代将軍徳川綱吉の生母、桂昌院の発願により建立された。本堂は元禄以来の姿(1697年完成)で残っており、江戸の面影を今に伝えている。東京にこんな古い木造建築物があるとは知らなかった。ほとんどが震災や空襲で無くなっていると思っていたから、少し驚いた。


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この後、露地を通り、大鳥神社、雑司ヶ谷の商店街を歩いて、鬼子母神、そして明治通りから池袋までのお寺を歩き通して、無事においしいイタリアンのお店に到着。皆さん、よく歩きました。

この後、いつもの角川庭園で歌会を楽しんだ。
上席の歌は、こんなです。即詠とは思えないほどの素晴らしさ、お見事!
かないません。

数百年の       Sさん(一席)
香と経が
私に移るか
大伽藍を支える
柱を抱いてみる

千人の子を喰ろうた  Kさん(二席)
鬼子母神の
腕のごとく
宙へ宙へ枝を広げる
墓場の大欅

ちなみに小生は圏外で

皆んな知ってる
財は心に
福は公平に
だから歩いて願う
雑司ヶ谷七福神巡り


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参加者全員の分を七カ所でペッタンしました


山言葉


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ムム、これはどういう意味・・・一瞬、分からなかった。ここは山の道具を揃えている店のエレベータの前。
山を想えば、山が恋しいだろう。なぜ人なのだ?
しばし考えた。
人とは、山の仲間や山小屋の主人のことだろうか。

気になったので、調べてみると、百瀬慎太郎という人の言葉だった。明治25年生まれ、旅館・山小屋経営者にして山岳家、そして歌人。その時代であれば、山を愛する人たちを想うのは当然だろうと思った。

読む山時間


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やはり買ってしまった。「再確認!」とあったので、今一度、チェックしなければいけない。もう一つの特集「ココロに効く!カラダに効く!ひなびた山の温泉へ」、これも嬉しい。


坂本直行(チョッコーさん)


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消費税が3%の頃に発売されている


弟からこんな画集が届いた。けっこうな額だが、どうやら新刊ではなさそうなので、安心した。そういえば数日前に「本を送るから」の電話があった。
坂本直行・・・よく覚えているなあ。

以前「故郷の先人たち」というエッセイを頼まれ、画家・坂本直行を選んだ。札幌の図書館に彼の資料があることを知り、弟に「日高の風ー孤高の山岳画家・坂本直行の生涯」を借りてもらったことがある(しては行けないこと重々承知)。大地を開拓していくという生き方、そして自然と向き合う姿に激しく揺すぶられた。毎日のように眺めて読んで、返却日を過ぎてから慌てて送り返した。

そんなことを覚えていたらしい。ありがたいこと。ページを進めていくと、北の花たちのスケッチとメモが生き生きと標されている。どれも力強い、そして愛情が感じられる。無骨な手と優しげな視線が思い浮かぶ。カッコイイ〜。
こんな男に弱いのは、女ばかりではない。


雪の高尾山


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昼前には止むはずの雪が高尾山の景色をどんどん山水画に変えていく。息を呑む程の美しさだ。高尾山口に集まったのは6名。参加予定の半数だ。この雪では仕方がない。山頂に着くまでには止むと予測し、登山を決行した。安全な1号路を登っていく。約一時間半で薬王院に到着。今年一年の登山の無事と娘が破談にならないよう祈願する。


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とりあえず山頂を目指そうと、さらに一時間余り雪のなかを歩く。山頂直下の食堂に入り、昼食を始めた。店が騒がしくなる。聞けば早仕舞いしたいという。店員の人たちも無事に下山をしたいのだ。我々も長いは無用と早々に食事を終えて、山頂へ急ぐ。


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こんな高尾山の山頂は初めてだった。北海道には雪が無いのに、こんな関東の低山が真っ白になって、これも温暖化のせいなのだろうか。ケーブルカーを使って全員無事に下山。宴会の酒が沁みた。


山あり・・・


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昨年末に登った秩父の美の山公園山頂で見つけたポスター。公園を管理している方が「外は寒いでしょうから管理棟の中で食事してください」と声をかけてくれた。ではではと、おにぎりを食べながら、写真などを見ていると、この一枚に目が止まった。

初めは手書きで描いたポスターだと思った。しかし近くに寄って見ると、これがじつによく出来ている。この制作者、おっさんかよ〜?このレトロ感覚というか、バタ臭さというか、たまらない味を醸し出している。

出演には参った。主演はダニ。そして、田畑薄着、草刈肌子、肌出狩人、羽衣山菜とある。驚いたのは、クレジットが「KORO FILM」。つまり厚生労働省が認めたポスターなのだ。まあ、よくぞ、これを採用してくれた!

寒さを忘れ大いに笑った。ずいぶん前に張られたのだろう。変色して紙もヨレヨレになっていたが、それがいい味を出している。「山ありダニあり」。忘れられないポスターとして記憶に残りそうだ。


ながらみ 


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田酒の文字に引かれて近所の居酒屋に飛び込んだ。ビールを頼んでメニューに目をやると、ムムム。「ながらみの塩ゆで」とある。久々に聞く名前。もう40年以上も前だろうか。西伊豆の何処かで泳いでいたら、食べられそうな小さな貝があると、仲間の一人が見せてくれた。地元の人に聞くとながらみと言う食用の貝だというので、全員が海の男となり、ながらみ採りに夢中になった。

ながらみを海水で茹で、貝を少しずつ回転させながら取り出し、ほうばる。「美味い」。味はサザエ、食感はアワビか!?
そんな昔を思いだして、楊枝で上手く引きづり出して食べると、磯の香りが口に広がった。思わず額を叩く。酒と合う。これだけで好い・・・

もうこれは、しがらみとなる。と一人馬鹿なシャレを言いながら、鉢一つを瞬く間に喰いつくしてしまった。



森林火災


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百蔵山を下りるとロウバイの花が咲いていた


雪が降っていませんと秋田の姐さんからメールがあった。北海道からも雪が無いよ〜と連絡があった。今年は変な冬だ。北海道といえば、オーストラリア。昨年から燃え続けている森林火災の焼失面積が北海度の広さに及んでいるという。

おいおい北海道って、九州の倍の面積だろう。それがいまもなお燃え続けている。どれほどのCO2が排出されているのか。シドニーでは多くの市民が、呼吸器系疾患の危険に晒されている。なぜそんなニュースが日本では騒がれないのか。コアラの火傷ばかりが報道されて。

大規模火災は、北半球でも起こり始めている。温暖化で超えやすくなっている植物。火がついたらなかなか消えてくれない。これからが山火事のシーズンだというから、オーストラリア全土が燃えてしまうのではないかと不安になる。

不謹慎ながら、こんな歌を思いだした。

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百蔵山(1003m)


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今年の初登りは、山梨県の百蔵山だ。すぐ近くに扇山もあるので、ついでにと思ったが、すぐに諦めた。千メートルの登りはキツかった。最後のクサリ場では、この山には頂上がないのではないかと愚痴の一つも出てきた。もうそろそろと思って見上げるのだが、なかなか見えてこない。

休憩時に見える富士山の姿がどれほど励みになったことか。クサリ場がようやく終わって見上げると、きつい斜面が消えていた。西に向って歩くと明るい山頂だった。数人が富士山に対座してお昼を食べている。辿り着けば、なんと穏やかな山頂。遥か下に中央高速と小さな街並みが見える。


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またあそこまで降りるのかよ〜と眺めながら、とりあえず今年最初の山を登れたことに安堵した。いつものようにおにぎりは、赤飯と梅。最後に行きついた二種類だ。

食べながら思うのは南半球。こうした今もオーストラリアは燃え続けているのだろうか。いつまでこの緑の山々はあるのだろうか。地球のこれからを心配しながら、富士を眺めていた。


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JR猿橋駅を降りて宮下橋を渡ると百蔵山と扇山(右)が見えてくる


ミーソン遺跡


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ミーソン遺跡は、ベトナム国内に8つしかないの世界遺産のうちのひとつで、6世紀から13世紀頃まで栄えたチャンパ王国の遺産だ。広いジャングルの中にたたずむ神秘的な遺跡群は、8つの地域に点在し、どれもレンガを積み上げていくだけの建築技法で作られている。


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気がついたのは、遺跡に彫られた像の顔がことごとく破壊されていることだ。いつの時代も征服者は、像の顔を壊したくなるのだろう。なかには歪な顔があるのだが、全体のバランスや色具合で、それが後年に加えられていることが分かる。

チャンパ王国は長い間、海洋国家として、アジア海域全体で活躍のしていたが、16世紀にキン族という今のベトナムを作った民族により滅ぼされた。つまり顔の破壊者は、このキン族!?。


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チャム族の伝統舞踊があった。53もの少数民族がベトナムの各地に存在していて、その中でも最大規模を誇る少数民族がチャム族。全体に細めで小さい人が多い印象だった。

踊りは男たちの打楽器に合わせたシンプルな舞いなのだが、とても優雅に感じた。きっと古くから変わらずに続いてきた踊りなんだろうなあと眺めていた。


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笑顔の素敵な人たちだった

フォー


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ここにパクチーをドンとトッピングする


美味しかったのはフォー。ホテルの朝食ビュフェ、夕食の〆、空港でとよく食べた。最初に食べた麺の柔らか過ぎ以外、どれも鳥の出汁が美味しく、麺がスイスイと喉に入っていく。ポイントはパクチー。これ一つで上品でボンヤリしているようなフォーがキリッとしてくる。

このパクチーは、好き嫌いがはっきりしている。家人は丁寧にそれを避けていた。上目使いでそれを眺めながら、もったいないなあ〜と毎回完食し、スパーでフォーのカップ麺までお土産に買ってしまった。


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全ての料理が美味しく、体重1キロ+で帰国〜


五行山


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映画のセットのような大洞窟がいくつもある


娘から毎年のように海外旅行を誘われる。けれど、休みが取れないのと、長時間、機内に閉じ込められるのが厭で、断っていた。ならベトナムはどうかと聞いてきた。渡された資料に「五行山」なる三文字。なんじゃこれは?もしかしたら、なにか縁があるのでは・・・。

よし、ここに行こう!と、鼻息荒く立ち上がった。

というわけで、旅の三日目、ダナンという街から五行山に向った。入山チケットを購入し、キツい階段を汗をかきながら登っていく(娘たちはエレベータを使用)。ここは流行りのパワースポットととして有名らしく、世界中の老若男女で混雑していた。

五行山は、5つの山で構成されていて、ベトナム最後の王朝であるグエン王朝の第2代皇帝ミンマン帝という人が、風水でも有名な陰陽五行説を元に名付けた。それぞれの山の名を宇宙を構成する金、木、水、火、土をモチーフとしている。なんでも「西遊記」にも登場した山で、暴れん坊だった孫悟空が500年間ずっと、閉じ込められていた山としても有名だ。


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五行山の最も高いところは標高100m。しかしアップダウンが激しいことと、大理石の階段がよく滑るので、気が抜けなかった。湿度もあり、持参した山の手拭が役に立った。


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ほぼ垂直によじ上る洞窟があったり、休憩所があったりで、アミューズメントパークのような五行山。「五行山」の三文字に引かれてのベトナムだったが、この国は、もう一度訪れてゆっくり回ってみようと、人生初めてのココナツジュースを飲みながら思うのだった・・・。


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おめでとうございます


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洞窟の最深部にあるフェンコン洞窟の巨大大仏


明けましておめでとうございます。
年末より、最初で最後!?の家族旅行でベトナムに行ってまいりました。昨年の秋、娘から海外旅行の話があり、あちこちの国を打診されている中、ベトナムの資料の中に「五行山」の名!?

五行歌+山。これは行かねばなるまい・・・。ここへ連れていってほしい。全て任せると娘に一任。ベトナムの人たちのエネルギーに翻弄されながらの旅のお話は、週明けから。

今年も、歩きながらの「見た・思った・考えた」を書き記していきます。よろしくお願いいたします。

佳いお年を〜



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今日は風が強かった。広い新宿通りの車道に、歩道にプラタナスの葉が舞い、あちこちに吹きだまっていた。イチョウはスイッチが入ったように散っていく時があるが、プラタナスも同じなんだ。年を越さなくてよかったねと、枝ばかりになった木立に呟いた。

一年間、歩キ眼デスをご覧いただきまして、ありがとうございました。2020年も「五行はこべば」と合わせてよろしくお願いいたします。
佳いお年をお迎えください。


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今年一番美しかった金沢城での夕やけ

さよなら腰痛


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師走に入ってから早い。毎日が駆け足で走り抜けていくようだ。振り返れば、いろんなことがあった一年だった。トップスリーは「五行歌巡回展を頑張った」「娘の婚約」「北アルプスでの大怪我」となるだろうか。

いやいや、忘れていた。一番は、6年間、痛み悩まされていた腰痛からの完全回復かもしれない。

GW、信号の点滅時に、横断歩道を思わず走っていたことに気付いた。あれ、腰に痛みが出ていない。えっ、少し走ってみる。全く腰に響かない。もしかしたら、いつの間にか治っていた!?

歓喜した。こんなことが起きるなんて、こんな日が本当に来るなんて・・・走ることも、寝返りすることもできなかった長い日々だった。今年は、待ちに待った記念すべき一年だったのだ。感謝しよう。
^o^^o^


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クリスマス・イブ


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「雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう〜♬」クリスマスにはこの歌、山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」。この曲が街角から聴こえてくると、しみじみクリスマスなんだなあと思う。
そしてフレーズは「きっと君は来ない・・・・」と続く。

そうかあ〜。あの頃、きっと君は来なかったんだ。約束は破られていた時代。雪空を見上げ、震えながら、相手のことを思いやって、時計を見たり、駅の案内掲示板に書いたりして、諦めて帰っていた時代。

今はそうはいかない。スマホでメールやラインで連絡しあう時代。つまり「きっと君は来ない・・・・」という歌詞は、もう生まれてこない時代なのだ。そう思うと、すれ違うことができた、あの時代を懐かしく思う。


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秩父の美の山公園でツツジが震えて咲いていた

冬至


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レンズがどんどん曇っていく。狭い我が家の風呂だから仕方がない。冬至の昨日、柚子湯とカボチャだ〜と一人舞い上がり、自ら風呂掃除をせっせとして、山で見つけた柚子、アササンの途中でいただいた柚子を惜しげもなく投入。香りを楽しみながら長湯に浸かり、甘いカボチャをいただいて、正しい日本人の一日でした。


年賀状


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右下に東京都のロゴを入れたい


2020年の年賀状のデザインは、指向を変え、テーマを「新たな決意と環境問題への想起」とした。毎年続くゲリラ豪雨と大型台風、そして30年以内に確立70%*で起きるといわれる首都圏直下型地震への覚悟と準備。

お正月だからといって惚けている場合ではない。こんな年賀状があってもいいはずだ。幸せ気分に水を注すのは申し訳ないが、これでどうだろうと、家人にプレゼンをした。

じっくり見てから、一言「勘弁してください」。そして「思いは分かるけど、毎年楽しみにしている方々へ、これはないでしょう」と。もう一度、眺めてみる。そうかなあ、もしかしたら、危機感を持って一年を過ごしてくれるかもしれないではないか。人助けにもつながる。

「運しかない。どこでどんな災害に遭うか分からないんだから・・・」。一時間ほど話し合ったが、却下。思いをこめてつくったものを破棄して、もう一度やり直すというのは、じつに辛い。

妹から届いたラインの記事を読み、よっしゃ〜とモチベーションを上げた。

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女将をしながら民生委員もして・・・君は偉い


*昨年9月、東京大学地震研究所などの研究チームが、M7級の首都圏直下型地震が起きる確率を「30年以内に98%」と発表した。その後、70%に変更した。


柿がなるなる


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郵便局の帰り道、大きな空き地から甲高い声が聞こえた。高い柿の木にヒヨドリが一羽、柿の実を啄んでいた。葉をすっかり落とした枝には沢山の柿だ。青い空との対比が目映い。これだけあればスズメやメジロ、シジュウカラの小鳥たち、しばらくは餌に困らないだろう。


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季節の歩み 時の歩み


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いつから季節の移ろいが遅くなったんだろう。12月も中旬だというのに、高尾山中ではまだ紅葉が続いていた。一丁平をから一度下山したが、時間があったので、別の林道を登り返した。人気の稲荷山コースへと続く道には人影が全くなし。


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コケの広がる湿った岩壁に手を当てたり、夕日の差す紅葉の美しさに立ち止まったり、花をつけたまま化石化した紫陽花に想いを重ねたりして、移りゆく時間を楽しむ。

歩くなら季節と季節の間がいい。ゆっくりとした時間が流れているように思う。


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リンドウが待っていてくれた
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台風の爪痕


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道路だったはずが小川が流れている


日曜日の朝、こんなことしていてはいかん、と、やや二日酔いの頭を叩きながら、高尾山に登る決意をした。1月のORMACは、高尾山参拝登山だ。いくつかのコースが台風19号の影響で通行止めだと聞いていたので、そのチェックをしよう。

高尾からバスに揺られ、日影沢の穏やかな林道を選ぶ。バスから降りて、すぐ下の川を覗いて、驚いた。川の流れが変わっている。おまけに流木が・・・。

登山口に着くと、この先が通行止めになっていると表示があった。行けるだけ行ってみよう。日影沢林道は沢筋なので、両サイドは急峻な傾斜だ。歩いてすぐに台風の爪痕に気づく。左右の谷から土砂が流れ落ちたらしく、樹々がなぎ倒されていた。あるところでは道がまるで川底のようになっている。川から溢れ出た水が道に流れ込み、土部分だけを流したのだろうか。岩や石だけが浮き出ていた。

立ち止まって、土砂崩れを起こした谷を見上げる。勢い良く流れてきただろう水と土砂、そして倒れていく樹々を想像する。19号の日は、ここがいかに危険な場所であったか・・・。穏やかだと思っていたこの道すら、この有様。大型台風の恐ろしさをまざまざと知った一日になった。


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あちこちで川幅が広がっている

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路肩がこそぎ取られている

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臨時で整地されているが車は入れない

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土が崩れ、スギが道路を塞いだようだ

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ここで地震がきたらアウトかもしれない

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それでも山頂に着けば富士山、救われるなあ〜


環境ポスター展


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今年は森林火災と台風被害をテーマにした



環境ポスター展に多くの友人らが来てくれている。嬉しい限り。とくに驚いたのは、中学時代のクラスメイトのIさん。連絡もなく突然だったので、感激した。久しく会っていなかったこともあって、家族のことや学生時代の仲間の近況などを話した。このブログを見てくれていた(いる?)ことも分かり、感動〜〜。あれから半世紀の時間が流れていることにも気がつく。
そして亡くなった権ちゃんの娘、Kさんも駆けつけてくれた。ご家族もすっかり落ち着かれたようで安心した。猫たちも元気だそうだ。よかった〜。

展覧会というのは、こうして、いくつかの機会をつくってくれる。そして作品を挟んで元気でいることを確認できる。これからも前を向いて続けていきたいと思う。



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環境ポスター展は、明日17日の14時まで


冬の桜


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雨に濡れた花びらのピンク色が、ひときわ映えて美しい、八重の桜。ガイドの女性に聞くと、春までゆっくりと花を咲かせていく珍しい種類だという。
蕊のピンク色が雨で落ちて、花びらについたように見えるが・・・


環境ポスター展


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環境ポスター展が、山脇ギャラリー(JR市ヶ谷駅前)で始まった。デザイナー、イラストレーターら約50名が環境への提言をA1サイズの作品に込めて出品している。夏の五行歌巡回展が終わった頃からいくつもの大きな台風が、そして海外では森林火災が生活環境を脅かし、地球は危機的な状況の中にある。環境・気象変化がはっきり現れ始めた。

テーマは決まった。「覚悟と準備」。これしかない。奇しくもNHKで「シリーズ 体感 首都直下地震 災害に耐える社会へ」が放映されていた。なんらかの活動を始めなければいけない。何ができるのか、考えている。

*環境ポスター展/12日、14日(15:30〜17:30)在廊しています。


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もう水仙の花が咲いていた


フィッシング詐欺


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スマホのメッセンジャーにこんなメールが届いた。「お客様宛にお荷物のお届けに上がりましたが不在の為持ち帰りました。下記よりご確認ください。http://tagese.com」。
調べてみたら、フィッシング詐欺だった。ふふふっ、釣ろうとしてもそうはいかない。しかし、あの手この手で詐欺グループが個人情報を盗もうとしている。もしかしたら、もうどこかから盗まれているのかもしれない。


花の思い出


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デリケートなペーパークラフト、白い花火、南の海の妖しいサンゴのようにも見える。早起きして何気にテレビをつけると、この花がコウヤボウキだと紹介されていた。確かそうだった。亡くなった権ちゃんが、いつかそう教えてくれたのを思いだした。

花の思い出は、いくつもある。母、あの人、あの時、あの山、花はときおり思い出を映しだすレンズのようでもある。


水底

 

カメラで撮ったはずなのに双眼鏡で覗いているようだ。
光ではなく、影が水底を映しだしている。


早師走


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あっという間に師走。しなければならないことがなかなか進まない。というか進められない。集中力が落ちているわけではないと思うが、焦る気持ちがやや乏しくなったとういことだろうか。

なるべく余計なニュースや記事を読まずに、目先の一つひとつを丁寧に片付けていこう。
センリョウ、マンリョウ、そしてシクラメンの花が目立ちはじめた。


金沢ひがし茶屋街


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ひがし茶屋街は古い城下町の佇まいがそのまま残っている。歩いていると心がしっとりとしてきて、歩くスピードがつい落ちる。米屋、味噌屋、麹屋さんなどが暮らしの中にあるから、そこに暮らす人たちを思ってしまう。道が掃かれ、挨拶があって、子どもたちの声が聴こえてくる。昔どこにもあった世界だ。


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格子の縦のストライプが涼やかな落着きを醸し出し、石畳の道が美しさを引き立てる。ふと立ち寄って、あれこれと話をして、気にいったものを買い求める。こんな当たり前のことが、旅先でしか見つからなくなったのかなあと思ってしまう。


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旅は、突然が好い


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金沢駅東口をほぼ直進していくとひがし茶屋街がある。美しい出格子と石畳が続く古い街並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、和菓子、伝統工芸品、雑貨などを扱うお店やカフェが軒を連ねている。

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露地を出たところで懐かしいマークを発見した。加賀藩御用達の菓子店「森八」。今から6年前の年賀状をここの最中を撮影してつくったことがあった。こんなダジャレの年賀状。


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辰年にこの最中を使ってデザインし
女将のNさんにお礼の賀状を送った


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お店に入ってコーヒーと栗最中のセットを注文する。築190年という時間が流れている店内。低い天井は、京都の旅館と同じで、刀を振り回せないように計算されているそうだ。奥には坪庭が明かり取りとして活かされている。なんともお洒落。

お茶を運んでくれた女性に「以前、女将に年賀状をいただいたことがあります」と話すと「午前中に本店におりましたからお会いできると思います」と告げられる。ならばと10分ほど離れた本店の暖簾をくぐると・・・その女将がいた。着物姿が艶やかで、遠くからも直ぐに分かった。

客足が途絶えたのを見て女将に声をかける。「そうだったんですか・・・」。いくつかの話をして、お土産選びのアドバイスをいただき、二階の「金沢菓子木型美術館」を案内してもらう。


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江戸時代から390年のお菓子づくりの木型がずらり。その量に圧巻、そして凹版の彫刻の美しさと細やかさに、目を見張り息を呑んだ。突然の縁がここへ導いてくれたのだ。我が家紋や龍の抜き型を見つける。旅は、突然が好い。
女将に丁重にお礼を言って、お店を後にした。


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玉を掴むマークの箱には「千歳(ちとせ)」、
そして女将が選んでくれた「福梅」をお土産に


雪吊り


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放射線状に伸びた縄はあくまでも緩やか


週末、金沢の街を歩いていた。加賀百万石の歴史が随所に見られた。繁栄をなした豊かさは、建物の佇まいや技術・工芸品ばかりだけでなく、暮らし向きにまで沁みているようだった。

たとえば、市内のあちこちで見られる雪吊りの技術。木、一本一本の個性を見抜き、支柱と縄だけで重たい雪に耐えられるよう様々なカタチで丁寧に組まれている。
庭師の技が、随所に見られた。

幹の上から放射状に放たれた縄は、この時期、まだ張りつめてはいない。緩やかな美しいラインとなって雪を待っている。


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雪が降りはじめる頃、その重さで縄のラインは直線になる(はずだ)。この緩やかな「遊び」こそが職人の技。相互の力が拮抗することで、支えるようにしながらも支えられる円錐形の美しいカタチになるのだ。
その頃にもう一度眺めてみたいと思った。


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木の個性を予測しながら、外から中から
眺め、カタチが決められていくのだろう

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背丈の低いツツジにこのカタチ、謎を解くように見入った

六義園


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幽玄の美とでもいおうか、六義園のライトアップは、樹々を水面に浮かべ、幻想の世界を創っていた。紅葉はまだそれほどでもなかったが、計算され尽した光と影は、来場者を無言にさせていた。
12月の中旬まで、おすすめです。


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キスを


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蔓系の植物は、夏の終わる頃からいち早く葉が赤くなる。それも全部がではなく、ポツンと一枚ずつ鮮やかな赤に。これが不思議。昨日の歌会の詠題『紅』にこんな歌を出した。

キスを
待つかのように
蔦の一葉
もう 紅をさして
しっとり

唇のような赤い葉が印象的だった。


じょじょ


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週末の弘法山ハイキングで見つけた赤い鼻緒の草履。この山道を女の子は、これを履いて歩いていたのだろうか。ジッと見つめていたら、みんなが集まってきた。

「赤い鼻緒の じょじょはいて おんもへ出たいと 待っている」。Yさんが呟いた。「そう、これをじょじょと言っていたわね」。そんな歌を思い起こさせる可愛い草履。よく見ると片方の先の部分が擦り切れている。大事にはいていたんだろうなあ。

枝に縛り付けているヒモは、拾い主のものではなく、脱げないようにと親御さんが付け足したものか。鼻緒にはてんとう虫のワンポイントが巻き付けられている。

なんだか時間が止まったかのような落とし物。女の子は、なにを履いて山を下りたんだろう。ちょっと気になってしまった。


弘法山


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なぜ、そこにだけ雲があるの?


もしかしたらORMAC今年最後の山行になるかもしれない。小田急線の秦野から鶴巻温泉までのハイキングコースに弘法大師ゆかりの低山、弘法山がある。その前には、浅間山、権現山という、いかにもスケールの大きそうな山を登らなくてはならない。

途中、富士山、相模湾、江ノ島、大島を眺めてのんびり。風もなく、光がもう少し弱ければ春のような穏やかな一日。

登り終えたら、鶴巻温泉で一汗流してから、呑もうという計画も、毎回なぜか時間が足りなくなってしまう。結局、やや急ぎ足で下山し、予約の居酒屋に飛び込むというおなじみのパターンになった。


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残っていた花たち

森を背負う


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先日の五行歌全国大会に出した歌だ。席には入らなかったけれど、多くの方が「私が選ぶ五首」の一つに取ってくれた。Mさんのこのコメントが心に残った。

まず、一、二行目の、腹に響くようなずしんとした表現に、ぐっと引き寄せられた。「森を背負い」で、男を言いおおせていると思う。また、リアル感をもたらす松脂が一つの焦点にもなり、それらすべてが収劍していく五行目に、作者の人物像も浮き上がってくる。
一首の余韻のなかで私は、山男の憧憬をこめ、物語をつむぎはじめる。すばらしい作品です。

七月の末、尾瀬の木道を歩いていたら、一人の歩荷(ぼっか)さんとすれ違った。尾瀬の小屋で必要な食料や燃料、日常品を目一杯担いで運ぶプロだ。約100キロの荷を高々と背負子に積んで、腕組みをして哲学者のように坦々と木道を歩いていく。

ふと嗅いだ匂いは、森の中で働く男の誇りのように感じた。それは幼い頃、玄関にかけてあった父の作業着の懐かしい匂いを思いおこさせた。

他にも印象的なコメントを二つ。

Sさん
前にどこかで歩荷さんという山の荷物の運び屋さんのことを読んだことがあり、それかなと思いました。まさに森の使者のごとく懸命に荷を運ぶ姿に、作者は松脂の匂いまで嗅ぎとっている。作者もまた森を愛する人に違いない。

Kさん
私の個人賞です。森を守るために森に選ばれた人、責任を任された人、森に対して真面目に取り組んでいるからの汗をちゃんと流した人の匂い。責任感やまじめなお人柄、生き方を感じます。花や葉ではなく、松脂が森の男という感じです。読み手にも郷愁のようななにか温かいものを感じさせてくれます。


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小歌会一席で一筆箋をいただいた

奇跡の出会い


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封筒からこんなチラシが出てきた。その夜の話を思いだす。この日は家に真っすぐ帰らず、我が家から五分くらいの居酒屋の暖簾をくぐった。

「これ、懐かしい写真だね」。ふと見つけた古いチラシを手に取った。「昔は上野から急行に乗り、青森まで、13時間かかったもんだ」。カウンター越しに店主に話しかける。

「さっきまでそこに座っていたのが、その本橋さんだよ。じつはさあ・・・・」
店主の話が始まった。

本橋さんとは、本橋成一(もとはしせいいち)さん。写真家でありながら、チェルノブイリ原発事故の被災地で暮らす人々を撮影した『ナージャの村』の映画監督でもある。この居酒屋のすぐ近くにある映画館「ポレポレ座」のオーナー。

ある日、本橋さんが来て、写真展があるのでこのチラシを置かせてくれというから、いいよと応えたんだ。あれこれ話をして、ゆっくりこの写真を見ていて手が震えたんだ。
「これ、俺のおふくろだよ」。

たぶん俺の替わりに、福島から上京したおふくろを兄貴が迎えにいき、そこで待つように言ったんだろうな。心配気なおふくろの後ろ姿だ。首にかけているショールは間違いなくおふくろのもの。風呂敷からなにまで・・・。驚いたのは本橋さんもだ。いつも呑みにいく居酒屋のオヤジの母親だとは思わなかったから。話が盛り上がってねえ・・・

そんな話を聞きながら、こんな奇跡ってあるんだと、軽い興奮を覚えた。
「裏の写真もいいねえ」「観にいきたかったなあ」。

そのチラシあげるよ、まだあるから。

その夜の出来事を思いだしては、このチラシを捨てられないでいる。


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さんさ踊り


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サッコラ チョイワ ヤッセ〜
さんさ踊りの掛け声は、こうらしい。しかしそうは聴こえてこないのが不思議。余興で若者たちが、笛、太鼓でさんさ踊りを演じてくれた。まあその激しいパフォーマンスは、ヨサコイを彷彿とさせた。これでもかと次々に演じられる舞いを見ていると、さんさ踊りのアグレッシブバージョンではないかと思った。そしてそのエネルギーを嫉妬するほどに感じた。


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夜の街に繰り出すと、そこでも店の若い衆が、さんさ踊りを演じてくれた。このくらいの踊りの方が、なんか沁みるね。酒が回っていたからかもしれないけれど。

読む ということ


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家人に この歌、どう解釈する? と聞いた。

「賞味期限間近の品を買ってくる我によく似た娘となりぬ」

安くなっているからトクだと思って買うんじゃないの。親子だから、似ていくでしょう。

なるほど。この歌を選んだNさんもそう解釈している。
安くなる頃を見計らってという貧乏性が、いつの間にか娘にも。親としてはちと寂しい。

こんな読みはないだろうか。
賞味期限を過ぎると食品は捨てられる。それはとてももったいないこと。捨てるということは、環境にもよくない。親子は普段からそんな話をよくしている。

作者の家には、片目のミケがいる。引き取り手のない小猫を殺処分から助けるために、貰ってきたのだ・・・

なんて、ないか。


岩手山


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週末は盛岡で五行歌の全国大会。北に雪を被っている岩手山が見えた。旅先で登った山が見えるというのは嬉しいもの。調べてみると今から6年前、2013年7月1日に登っていた。
岩手山(日本百名山・73座目)

鳥海山もそうだけど、ポツンと存在する山は、凛々しく見える。四季折々、良きにつけ悪しきにつけ、人はどれだけ山を眺め、対話をしてきたのだろう。宮沢賢治、石川啄木、彼らも励まされ、苦難の道を歩く覚悟を決めたのだと思うと、岩手山がいっそう神々しく感じた。


雪降る


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蔵王の麓は紅葉真っ盛りだった


朝、テレビのスイッチを入れると札幌の大通公園に雪が舞い降りていた。毎年のことではあるが、このシーンを見ると、スッと心が改まるような気持ちになる。どこかに故郷をしまって生きているんだなと分かる。

雪と折り合いをつけて生きていく人たちの姿は、私のなかの何かを支えているような気がする。


ツワブキの花


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なんで寒そうな所ばかりを選んで咲いているのだろうと、この花を見ると思う。陽の当たらない坪庭の一角とか、玄関の隅とか、秋の終わりを告げるかのように咲いている。

ツワブキは、あのキャラブキと同じではないのかと、思ったのはいつだろう。そして、もしそうだとしたら・・・えっ、あの佃煮は、この茎なの!?

今も、そのえもいわれぬギャップ感を抱えて、キャラブキの佃煮を食べている。


岩の名前


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はて?どこが庖丁なの?
ORMACのメンバーIさんが、すかさず「あの茶色の切り立った所ではないですかね」と応えた。あれが、庖丁!?・・・。
以前から思っていたことがある。日本の景勝地の岩には、名前が付けられていることが多い。

例えば、カエル岩、天狗岩、ゴジラ岩などなど。「なるほど〜」と納得してもらいたのであろうが、そうはいかない。どこの川下りだったか、船頭が次々に岩の名前を言うのだが、どれがそうなのか分からず、仕舞にはあきれ果てて、川下りそのものがバカバカしくなった記憶がある。

ローソク岩、夫婦岩ならまあ、ありかと思うが、やたらに命名されると興が醒めてしまう。
庖丁岩を見て思いだしたのは、藤島恒夫の「月の法善寺横丁」だった。
ホ〜チョウ〜一本 さらしに巻いて〜♬ 


蔵王・苅田岳


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一夜明けて、空は晴れ上がった。ドッピーカン! 朝食後、ドッコ沼から続く不動の滝まで散歩。これが結構な下りで距離もあった。細かいしぶきを受けていたら、滝の上に朝日が現れた。あごを突き出して、水と光を浴びていると、心が浄化されていくようだ。あ〜神よ、さまざまな悪事を許したまえ〜。


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熊野岳の山頂部に鳥居がポツンと見える


スッキリしたところでロッジに戻る。安達太良山を目指す前に、蔵王の苅田岳をやっつけようとなった。苅田岳山頂近くの駐車場に車を止めれば、すぐに登ることができる。広い駐車場に到着すると、昨日ガスっていた熊野岳の全容がドーンと見えた。

「なんだ、このなだらかな山容は・・・」。名は熊野岳、カタチはヒロイダケ。だから風がキツかったのだろう。とりあえず火口湖の「お釜」まで歩く。ここにも外国人が多い。大きな火口が見えてきた。お釜・・・まさに。地層が何度もの爆発を語っている。


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Sがお釜へ下りていく
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戻る途中、苅田岳に上がって記念撮影。たくさんの観光客でにぎわっている。蔵王も白根山も八幡平も、いまや車で山頂近くまで上がれるようになった。良いのか悪いのか・・・。

福島県の安達太良山の麓、岳温泉に着いた。Sに取ってもらった宿だ。宿泊者には地酒一本がプレゼントされ、夕食は飲み放題だという。ありがたいねえ。
最上階の部屋から安達太良山を眺めると、どんよりした雲に被われていた。明日は昼から雨だという。どうする・・・。

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部屋からドーンと安達太良山が見えるはずが・・・

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ロッジZAOドッコ沼


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Sとの山行は、旧交を温めるため。そう決めている。だから宿は大切なポイントだ。蔵王の宿は、一昨年からここしかないと決めていた「ロッジZAOドッコ沼」。ドッコ沼を見下ろすように立つ洋風なロッジだ。

笑顔の素敵なオーナーが迎えてくれた。HPで見た写真よりも素晴らしい室内。暖炉には火が入っている。ピアノがある。深いソファがある。山の本も置かれている。窓からは大きな沼が見える。後、ナニが必要!?


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夕食前、テレビが食堂側に向けられた


聞けばこの日の宿泊客は我々だけだという。まあ!なんと〜!独占〜
そして希望は叶う。「では夕食事にラグビー観戦できるようにセッテイングしましょう」とオーナーは笑顔で応えてくれた。至れり尽くせり。

広い岩風呂にゆっくり浸かって、冷えた体をじっくり温める。少し前までの極寒の中を歩いていたのが嘘のようだ。食堂に下りていくと、テーブルには山の幸が一杯に並んでいた。


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樹々を眺めながら岩風呂でジンワリ〜

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ビールで乾杯をし、ラグビー談義をしながら、まずはアケビの和え物から・・・笑顔が生まれ、思い出が温まり、山の夜は充たされていった。

来年、新緑の頃にまた来よう。


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ドッコ沼は10分くらいで一周できる

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窓辺からドッコ沼が一望


蔵王・熊野岳


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山の天気は変わりやすい


週末、S夫婦と今年二度目の山行。目指すは蔵王と安達太良山の二座。まずは蔵王の熊野岳。雲行きが怪しくなってきたので、途中までロープウェイを使う。眼下の紅葉は終わりを迎えていた。山頂駅に着くと、気温は三度と表示されていたが、外は風が強く吹いている。気温は氷点下だろう。慌てて冬装備になる。

山の天気は分からない。遠くまで見えた景色もわずかの間。瞬く間にガスってきて、視界が利かなくなった。こうなると山歩きの楽しみは消える。歯を食いしばってワッシワッシと山頂を目指す。収まることのない風のなか、標識が見えてきた。立っているのもおぼつかない。非難小屋に逃げこみ、一息つく。


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去年の八ヶ岳も霧氷が迎えてくれた。この季節、山はもう冬入りを始めている。なんとか無事に下山して温泉と酒をやろうとなり、熱いスープとおにぎり、そして甘いおやつを口にして五合目のロッジを目指した。
サミイ〜〜


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どんな季節が繰り返すとこんなカタチになるの?

・・・


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強くなっていく雨を眺めて思う。次々に襲ってくる台風は、まだ序章なのだろうかと。来年、再来年とこんな台風が続いていくと、日本は間違いなく脆弱になっていく。日本が日本の位置にある限り、逃げることはできない。

「いずれ私たちも、日本のようになっていく」。世界のどこかで誰かが言うかもしれない。スウェーデンの16歳の女の子が国連で話をした「よくもそんなことが・・・」の怒りを思いだす。

全てが間違っています。
そんな言葉から始まった彼女の訴えは、痛烈な真実の告発だった。耳が痛かった。環境をないがしろにした罰を人類は、これから受けなければならないのか。地球は環境に順応に反応しているだけだ。

本当に大切なものは、失ってはじめて気付く。

ダイエット


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娘がダイエット優先と称して、独自の食事に切り換えている。キャベツの千切りに納豆をかけるなど、その工夫が涙ぐましく、見ていると可哀想に思うが、本人はケロッとしている。というわけでお土産を買って帰っても、食べてもらえない。これは悔しい。

「これはナンじゃ?」娘の買ってきたパッケージを見て「?」と思った。
「100Kcal欧州カレー(中辛)」。聞けば、このシリーズには様々な種類があり、すべて100Kcalに収められ、栄養分表示もされているという。

なるほど・・・こう来たか・・・である。美味しさではなく「100Kcal」が選択肢。そしてご飯やパスタは全て150Kcal、合わせても買っても250Kcalに収まるという寸法だ。よく考えつき沢山のレシピを商品化したものだ。全てレンジで調理できるという。


初冠雪


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富士山に初冠雪のニュース。昨年より26日遅いそうだ。これも環境の変化が影響しているのだろうか。台風が続いているけれど、富士山の雪で、なにかこれで落ち着いてくれるのではないかと思ってしまうのはなぜだろう。

神風のように、富士には日本人の願いを包みこむような大きな力があると思っているからか。これで、季節の針が進んでくれるといいのだが・・・。


キャンセル


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台風19号の影響で、週末の鬼怒川温泉トレッキングプランが消えた。東武線にも影響が出ていたとは知らず、ノーテンキに天気予報だけを心配していた。仕方ないと諦め、チケットをキャンセルするために窓口に行くと、多くの人たちは、購入ではなくキャンセルのために並んでいることが分かった。
こんなに沢山いるんだ・・・。

キャンセルをしてから替わりの電車を探す人もいるので、なかなか前に進まない。列に並ぶのが元々苦手なので、だんだんストレスが溜ってくる。もしキャンセル料でも取ることがあれば、何と言おう・・・などと、一人興奮を高めていったが、そんなこともなく速やかに終わった。

宿のキャンセルは申し訳なかったが、仕方がない。行楽シーズンを迎えて、台風が多かった今年の観光地はどこも大打撃だったはずだ。大変だ〜。
来年のオリンピック開催時に大型台風が来たらどうなるのだろう。オリンピックも台風もキャンセルはしてくれないぞ。


キンモクセイ


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朝のウォーキングコースに、キンモクセイが意外に多いことが分かった。ずっとお天気が良くなかったので花の付きが悪いと思っていたら、ここに来て一気に色づいてきた。冷えこみがいいのだろうか?

秋の訪れを吸い込んで、ちょっと切なくなってみる。


冷え込み


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朝晩、冷え込んできた。心配になるのは被災地の寒さ。避難を余儀なくされた人たちは、渡された毛布一枚で、眠れるのだろうか。先行きの見えない暮らしの中で眠りは浅くなるし、体は持ちこたえられるかと心配してしまう。

北国はもうすぐ雪の季節が来る。家や仕事場を改修できないままに、一冬を過ごさなければならないのは辛い。これ以上の被害が出なければと願う。


三連休


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三連休は、台風で吟行歌会が中止なり、落語会に出演するはずの友人Sの自宅が停電になってしまい、どこにも出かけずにほぼ我が家にいた。

お陰でというか、ラグビー・スコットランド戦を4回も観た。日本チームのトライ、そして力強いタックルが決まるたびによし!の声が出る。試合のあった日曜日の夜は、近所からも大きな声が聞こえてた。何度見ても感動が蘇る。

試合は直ぐにトライを取られてしまい、今日の日本はキツいかなあと思っていたら、あっという間の逆転。それからの一時間は浮遊状態にいて、缶ビール、ワインが直ぐに無くなっていった。

横浜会場で観ていた娘は、低い観客席からは、どんな反則でスクラムやタッチキックになるのか、よく分からなかったと言っていたが、一緒に再放送を観て、納得していた。


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テレビ観戦なら、解説者の説明やスローモーションビデオで、なるほどとなる。ラグビー経験者でなければ、あのもつれあう中での反則は分からないだろう。
さて次は日曜日。山の中での観戦になりそうだ。

一方、台風十九号の大きな爪痕。ニュースは水の恐ろしさを伝えている。このクラスの台風が、頻繁に列島を襲うことにでもなったら、暮らしは覚束なくなり、日本は疲弊していくのではないだろうか。
いよいよ思っていたことが、現実になってきた。


超〜


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気象庁の発表によると、60年程前の狩野川台風*に匹敵する大型台風が来ると予測している。つまり経験したことのない甚大な被害を及ぼす台風。気象庁のサイトには「窓ガラスにはガムテープやフィルムを貼る安全対策を」とある。これは戦時下の対策となんら変らないではないか。

窓が割れるのか!?
都心ではすでにコンビニやスーパーから養生テープなどが消えているという。もしかしたら停電になるのかもしれない。我が家の準備は大丈夫だろうか。

日本はこれから何度も試練を迎えなければならない。そこで何を学ぶのか。試される時が来ている。

*狩野川台風:1958年に伊豆半島の狩野川が氾濫し、死者・行方不明者が1200人を超えた。


前田真三さん


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同じシンゾーでもこちらの方は、♡の温かい真三さんだ。先月、年末恒例の芋煮会のロケハンで、若い頃にお世話になったカメラマン、前田真三さんのギャラリーを見つけた。場所は八王子市の「夕やけ小やけふれあいの里」。ふらりと入った小さな建物の中に、彼の懐かしい写真がずらりと展示されていた。

真三さんは、富良野や美瑛の美しい丘を紹介した風景カメラマン。彼の撮った緩やかで色鮮やかな丘陵、ケンとメリーの木、セブンスターの木は、CMにも紹介され、以後人気スッポットになった。



武甲山(ぶこうさん)


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山の上部が喪失している


猛々しい名前の山だ。埼玉県秩父市と横瀬町の境界に位置し、西武秩父駅前からもその容姿が分かる。その昔、奥武蔵の名峰と称えられた山だったが、石灰岩の採掘で、縄文時代から近代までにいたる歴史のあった信仰遺跡や巨岩群、そして天然記念物の高山植物群生地を、すっかり失った。

昭和15年に秩父石灰工業が操業を始めてから、山姿が変貌するほど大規模な採掘が進められ、山頂部は40メートル低くなった。日本にもこんな山があるのだ。

一生に一度だ


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お〜! サモア相手にモールで押し込んでのトライ!


ペタンクの二次会を選ぶか、ラグビーのサモア戦か、土曜日の午後四時、秩父の日本選手権会場で悩んだ・・・ラグビーワールドカップのキャッチフレーズは「4年に一度じゃない。 一生に一度だ」。
そうだ!一生に一度なのだ〜!我が家のテレビへ急ごう!

担当者への挨拶を終えると、会場から秩父駅までジョギング・・・ここから我が家までは、約二時間・・・新幹線なら仙台、京都まで行けるではないか。
お花畑駅で下車し、西武秩父駅まで早足。時刻表を見ると、特急があった。

車内アナウンスが流れ、特急券が必要だと言う。「当たり前だ」。
お持ちでない場合は、200円の追加料金がかかるという。
「クッソ〜 まあ〜仕方ないか」。

4時間後、娘と私の大声がマンション中に響いた(はずだ)。


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TRY〜〜〜〜

ペタンク


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普及のためのシンボルマークを作った


日本では、まだ新しいスポーツのペタンク。ある日の夕方、都内の某公園でペタンクの第一人者Oさんに手ほどきを受けた。ルールを聞きながら、鉄球を目標となる小さなボール(ビュット)に近づくように投げる(距離は7〜8メートル)。対戦相手はさらに近づくように投げる。時にはこちらの球を吹き飛ばして。ビー玉とカーリングを合わせたようなルールだ。

なんとかビュットの側にボールを近づけても、Oさんの球がこちらのボールを確実に弾き飛ばす。その金属音の響きは、悔しさを倍加させる・・・しかし目標球のビュットも一緒に転がることがある。その時はそのビュットに近いボールが加点されるので、最後まで勝敗は分からない。ゲーム性が高いのだ。

明日から秩父で全国大会が開催される。全国から64チームが集結し、日本一を競う。朝早くからPRのためのイベントや撮影で動き回るのだが、予想気温33度。炎天下・・・不安・・・。


じょっぱり


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じょっぱりとは、津軽弁で「意地っ張り」「頑固者」を意味する。少ない酒の品書きの一つに「じょっぱり/青森」があった。「いい名前ですね、それをヌル燗でお願いします」。

この店、もしかしたら10年前に、一度来たことがあると、かなり酔ってから分かった。静かな女将の声、店の間取り、柔らかな灯、クジラ肉・・・。奥の座敷に座ったので、カウンターからの景色は分からない。こんなことはよくある。聞くと、ここに店を開いてから47年目だと言う。

ヌル燗徳利が置かれた。時間をかけて温まった燗は、手のひらにも優しい。口に含むと、柔らかな辛口。一升瓶には、六花酒蔵とある。いいねえ〜雪の花か・・・チラつく雪でも眺めながら、コタツに入って呑りたいなあ。

そこに山があるなら


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福岡に着いた初日、天神のアクロス福岡なるビルの裏側に回ると、緑が最上階まで溢れていた。なんと珍しいビル。これこそ「天空の城ラピュタ」。どうなっているんだ?上を眺めながらその日は通り過ぎた。

しかし、登りたい。帰る日、ままよと重い荷物を持ったまま、西側の階段から登り始めた。木の種類の多いこと。コナラ、クヌギ、シイ、モミジ、アセビ、ビワなどたくさんの植物が回廊を埋め尽くしている。植物が育ち過ぎているので景色が見えない。途中にベンチがあった。登山する?人への配慮だろう。


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いったい何階まで続くのか・・・汗が噴き出してきた。荷物をどこかに預けるべきだったと後悔した頃、空が見えて山頂にトーチャコ。13階だった。たった一人の頂。とりあえず階段に座ると、階下に中洲が見えた。福岡の人は、ここに登っていないだろうなあ。ビルからは入場できないので、山頂までは自分の足で上がるしかない。

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このビルは、造園家でランドスケープ・デザイナーの田瀬理夫さんの作品であることが分かった。植栽は福岡の山に自生する草木。土は「アクアソイル」という人口土壌。軽量で、保水性が高く、屋上緑化にピッタリの土らしい。

鳥が種をまき散らし、いまでは植物の種類は、竣工時の75種から3倍以上に増えているという。遊び心がいっぱいの森のビルだった。


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人口土壌を抜けてきた水か、滝が現れた

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五行歌展in福岡


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東京〜大阪〜福岡と毎月開催場所を変えての五行歌展。10月からは福岡市美術館だ。ギャラリーB、Cのスペースは驚くほど広く、天井も高い。五行歌の作品をこんな素晴らしい美術館で展示できるなんて、貼り終えた全作品を見て、感慨に慕った。思いを込めてデザインした211点の作品は、どんな風に来場者に伝わるだろうか。

展示を手伝ってくれた九州の仲間たち、そして本部の方々に感謝。美術館では、ギュスターヴ・モロー展と仙厓展が、同時開催されるというので、多くの方の来場が期待できる。とても楽しみだ。

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16名で無事に貼り終えました

友人S


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知り合って50年。先月、友人のSが亡くなった。家族に、猫や犬に、そしてなにより弱者に優しい男だった。若い頃はやんちゃをしていたが、歳を重ねるごとにいい男なっていった。お洒落で、野暮が全くない。極めて繊細、そして豪快。こんな好い男はなかなかいない。
明日は彼の四十九日。手を合わせにはいけないけれど、ご家族への手紙をいま書き終えた。今ごろは、好きなISSと一緒にこの星を眺めているのだろうか。


案山子


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ぎょっとした。人を脅かしてどうするんだ。相手は鳥や獣たちだろう。作者はどう思って創ったのか知らないけれど、なかなかのリアル感。それにしても廻りの畠や山道は、イノシシに掘り返されて無惨な状態だ。太いミミズが大好物らしいので、それを狙っての狼藉らしい。太いミミズねえ・・・イノシシの生まれなくて良かったなあ。

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見つめられると怖い

ボンネットバス


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この匂いは・・・国鉄時代の電車、チョコレート色した車輌の床から発していた独特な木の香り。ボンネットバスの車内に入ると、そんな香りが鼻を突いた。けっして不快ではなく、なんか懐かしい匂い。

このバスは少し前まで八王子駅と陣馬山の間を走っていた。運よくこのバスに乗れると、タイムマシーンの中にいる気分だった。スプリングが利いているので、体が上下した。

戦後間もない頃、母は北海道の小さな町でバスガイド(車掌)をしていた。叔父は、バスガイドの母は地域の憧れの的だったんだぞと言っていた。古い写真集を開くと、小さなボンネットバスの前で、車掌姿の母が恥ずかしそうに写っている。「ヤギまで乗せたことがあったんだよ」。そんなことも言っていた。


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囲炉裡


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囲炉裡の火を見つめながら、K氏とたわいもない話をしていた。若い頃の馬鹿話から始まって、互いのルーツなど。出身地を明かしあうと、K氏が鹿児島出身であることが分かった。両親は奄美出身だから、島と鹿児島(薩摩)は昔から仲がよくなかったのだという。それは今でも変らない。薩摩(島津)は、奄美、琉球から搾取し続けたのだと、やんわりと・・・。
「じつは私、ルーツは会津なんです」。

週末、親子登山のロケハンで、八王子の恩方醍醐にあるエコロジー村を訪ねた。村長であるK氏から炭焼きの話を聞いているうちに、なんだか打ち解けてしまい、若い頃の放浪生活の話が出るとなんだか嬉しくなった。女の話、仕事の話、一人で過ごす自由さ・・・酒が欲しくなった。
囲炉裡は、人の心まで暖めていく。

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多事奏論


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「多事争論」ならぬ「多事奏論」。あるとき朝刊のコラムにこのタイトルをみて、おやっ!?と思った。読み終わって、納得。筑紫哲也さんの「多事争論」のDNAを受け継ごうというのだ。朝日新聞論説委員・高橋純子。可愛い名前とは裏腹に、筆の力で政権を一刀両断する。筑紫さん、岸井成格さんだってここまでは書けないだろう。まずはお読みあれ。


ラグビーワールドカップ


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チケットもパッケージも日本的なデザインだ


いよいよ明日からラグビーワールドカップ。まずはロシア戦で1勝を狙う。日本代表が、南アフリカ代表を34-32で破った試合がもう4年前と聞いて驚く。あれからもう4年。歳をとるはずだ。五郎丸の独特なルーティーンにドキドキし、世界の強豪国相手に予選で3勝もした。

いつからラグビーに夢中になったのか。戦術が決まっていた大学ラグビーに、個性的な選手が現れた頃からだ。さっと思いだすのは雪の早明戦。雪降るなかスクラムを組む男たちの体からもうもうと湯気が上がっていた。ルールさえ覚えれば、こんな面白いスポーツはない。真っ向からぶつかって敵陣に楕円のボールを運ぶ。ただそれだけのために肉体を酷使する。試合後には決まって大の男が号泣する。勝っても負けても。しばらくすると爽やかな顔になる。

きっと、ラグビーファンが増えるに違いない。


高水三山


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諸般の事情で先週末の山行が低山となり、いくつかの山地図を出してコースを検討する。以前登った山をまた登ってみようと、選んだのが高水三山。地図には赤いラインが入っているので、登ったことは確かなのだが、いま一つ記憶に乏しい。もう20年以上経つのかもしれない。よし、来年のORMACのロケハンを兼ねて登ってみよう。

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一日に三座(高水山、岩茸石山、惣岳山)。キツくても4時間半ならなんとか歩けると、軍畑(いくさばた)駅で下車。駅前の小さな雑貨店で買い物をしたら、ご主人から山の地図を貰った。これは見やすい。歩いていくと、うっすらと記憶が蘇ってきた。前回は時計回りで歩いたと分かる。

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山道に入ると、しっとりとした樹林帯。湿度が高いから、一気に汗が吹き出る。標識はしっかりしているし、ベンチが多い。トイレも主要なカ所にある。しかし二番目の岩茸石山の岩壁はキツい。転げ落ちると大けがをするだろう。自分のペースが掴めてから、気分がよくなる。下りはコースを変え、沢井駅に下りて澤乃井酒蔵を訪ねようか(´ε`)


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ホトトギスが咲いていた

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山萩(やまはぎ)


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万葉集の中で一番読まれている花が、萩らしい。夏の盛りからポツポツと開き始め、晩秋まで長い期間咲いている。この花、なんか好いなあと思いはじめたのは、いつ頃からだろう。マメ科の花らしく、カラスノエンドウなんかに似ている。枝がやや垂れ下がり、そこに花を点々とつけて風が吹くとゆったりとしなって、秋の風情を醸しだす。

もしかしたら風に揺れるモノが好きなのかもしれない。芽を吹きはじめた頃の柳、茎を長く伸ばした白いサギソウ、高山植物、そして風鈴や煙、もしかしたら洗濯物まで。

風は何かを動かしてメッセージを送ってくれる。


阿久悠


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阿久悠は「感動する話は長い、短いではない。3分の歌も2時間の映画も感動の密度は同じである 」という言葉を残している。そうそう、五行の詩だってある・・・立体錯視を見終わった後、同じフロアにある阿久悠記念館にいた。年譜には彼が作詞をした曲がズラッと並んでいる。作詞総数、5000曲余り。圧倒され、クラクラして、唸った。一度の人生で、これほどの数の作品を残せるものだろうか。

尾崎清彦の「また逢う日まで」のタイトルが年譜にあり、歌詞のフレーズが聴こえてきた。最後はこんな言葉で締められている。

ふたりでドアをしめて
ふたりで名前消して
その時心は何かを 話すだろう

20代、大失恋した後、ここのフレーズが響いた。いつか、心は、慰めてくれるのだろうかと、膝を抱えていた日・・・彼の残した詩の数々をゆっくり読んでみたくなった。


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映画パンフもあった


トマト


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札幌の弟からトマトが定期的にドンと送られてくる。趣味が野菜づくりと演劇。トマトは苗から育て、植え付け、支柱づくりなど、写真を見るとかなり本格的だ。トマト以外にもカボチャ、枝豆、トウモロコシ、茄子、花豆などを育てている。
畠はいつかやりたいと思っていたら、まさか弟がやるとは・・・やはり血は争えない。

大きなトマトは、ボリビアトマトだとか。齧るとフォルクローレの音楽が聴こえそうな原始な色合いをしている。豚肉と豆類といっしょに煮込むと、まずは失敗はしないはずなので、週末に挑戦してみようと思っている。


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兄貴も呑んでる?


畦地梅太郎


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畦地梅太郎の名前は、ずいぶん前に大先輩のコピーライターHさんから聞いた。なんでも結婚式の引き出物が梅太郎の版画作品だったらしく、ちょっと自慢されていた。父親と梅太郎の親交から引き出物のアイデアが生まれたと言っていた。

当時は、この朴訥とした作品には興味をもてなかったが、山に登るようになると山岳誌で目にすることが増え、燕岳の先代のオーナーがパトロンをしていたと聞いてからは、親しみを強く感じるようになった。おっとりとした山男は、山時間に寄り添うような愛嬌でいつもポツンと立っている。梅太郎がどれほど山を愛してたかが伝わってくる。

雷鳥もシンプルに描かれている。登場する山男のヒゲのようにストライプだけで描かれていえることが多い。山で雷鳥に出会うと梅太郎の作品をつい思いだす。

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*町田市立国際版画美術館で23日まで。

行列


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ここには並びました。豆大福が美味い和菓子店「出町ふたば」


昼時になると行列ができる店がある。四谷であればラーメン屋が二軒。たぶん美味いのだろう。昔、椎名誠が面白いことを言っていた。「俺は絶対並ばない。僕、ラーメン食うために並んでいるんですよって、顔を見せたくない」「空いている隣りのラーメン屋に行く」。そんなことを思いだして、並んでいる人間の顔を眺めてみる。う〜ん、やはり並びたくないなあと思うのである。


立体錯視


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明治大学博物館で「立体錯視」なるものを、視てきた(となるのかな)。ありえない空間が視覚化できる展示会。気になっていたテーマだったので、最終日に滑り込んだ。

エッシャーの絵にあるような、おかしな空間は、どのように立体化されているのか?鼻息を荒くして列に並び、凝視した。その結果、たった一点のポイントから、それは、ありえないカタチに見えることが分かった。視線を落とし、動かさずに視る、腹筋がピクピク。カメラに写すのも容易ではない。

一体、どちらが正しいのか、視ているとそのマジックに酔った。


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鏡に映るとどうしてこうなるわけ?

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波のカタチだって違う


お酒の話


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お酒を注文すると、カウンターの上にボトルを置いてくれることが多いので、眺めながら呑む。旨い酒もそうでない酒もなんと美味そうな書であることか。

この田酒の文字は、昔から変わっていない(と思う)。ドンとしていて力強く、筆の運びのようにキレがいい。30年以上呑み続けているだろうか。あれば必ず最初に頼む。「まずは呑むデンシュウ」などと言って。


富士山展


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新宿東口のカレー屋といえば中村屋。朝ドラでは、主人公のなつが一時期お世話になっていたカリー屋さん(番組では川村屋)として紹介されている。ここに美術館があるとは知らなかった。中村屋サロン美術館。「富士山展」が開かれているというので、呑む前にちょっと観ようと、おなじみのメンバーが集まった。会場に入るや否や、球子ちゃん(片岡球子)の絵はどこだと、Aさんは探しはじめた。人気あるなあ〜。

40点余りの著名な画家による富士山の絵が並ぶ。横山大観、林武、小倉遊亀、川合玉堂など、見覚えのある作品から初めてのものまで、圧巻のラインアップ。トリミングはほぼ二種類。樹々や海などを入れて見せる富士全景と五合目から上だけをフォーカスした作品だ。

面白くて、分かりやすい。その中でも片岡球子の絵は輝いていた。眺めているとなにかありがたく、元気がドーンと貰えるようだ。
気になる作品が一つあった。というか作者プロフィールがエリートコースとは一人だけ違う。「中学卒業後、ゴッホの絵に憧れ、日雇いをして画家になった」という絵は、キョーレツなインパクトだった。絵の具を叩き付けたような真っ黒な富士。尊敬の念など何もない。なんだこれはと思った。村上肥出夫という画家だった。

調べてみると、こんなサイトがあった。
好きであるというだけで、人生が、いや人生を変えた男がいた。


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展示されていた村上作品とは違いますが・・・


秋田美人


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この女性と初めて会ったのは、いつだっただろう。ずいぶん前の古い写真集の中だったか。絣の着物にすげ笠、やや伏し目がちな眼差し・・・秋田美人って本当なんだと、しばらく見惚れた。

それからずいぶん経って、駅のポスターになって現れた。あっ、あの人だと思った。人混みの中で恋人にふたたび逢ったような錯覚。これは縁のなのかもしれないと思って調べてみた。この写真は1952年、写真界の巨匠木村伊兵衛が撮ったものだった。

あるコンテストの写真を見た木村は、秋田に行って彼女を口説いて撮影した。1952年といえば、私が生まれた年ではないか。これも縁だと思うとこころ穏やかではない。その後、非売品の写真集の表紙にもなっていた。最初に見たのはその表紙だったのかもしれない。

お名前は柴田洋子さん。72歳で亡くなられていた。


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木村伊兵衛が見惚れたのがこの写真。柴田さんは高校生だった

流し


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三軒目は、小さな居酒屋の屋上(三階)。ここでチビチビ呑んでいたら、ギターを抱えたお兄ちゃんが上がってきた。「一曲いかがですか」という。これは珍しい、流しだ。手ぶらで帰すのも可哀想だと思い、二曲ほどリクエストする。「ツナミは出来る?」と聞けば、回りの若者たちから「いいねえ〜」の声が上がる。

夜空の下の小さな空間に、切ない夏が流れてゆく。ちょっと星野原に似たお兄ちゃん。北島三郎だって、流しからスタートしたのだ。お礼を渡して「また頼むよ」と言った後、この店は初めてであることに気づいた。まっ、いっか〜


ペタンク


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新しいスポーツが流行り初めている。ペタンク。カーリングとボーリングとを合わせたようなスポーツ。目標球(ビュット)に金属製のボールを投げ合って、相手のボールより近づけることで得点を競うというゲームで、高い技術と戦略が求められる。
一度体験して、直ぐにはまってしまったのは、幼い頃遊んだビー玉にも似ているからか。子どもからお年寄りまで幅広く楽しめる。

昨日の柏市での大会では、80代のチームと若者のチームが対戦する試合があった。談笑しながら歳を聞いた女性は「あら、私の孫と同い年でないの〜」と叫んだ。こんな組み合わせは、他のスポーツではありえない。試合結果は、若者チームが大差で勝った。試合後は、握手をしてお互いを讃えあう。なんとも不思議な光景〜


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多くは年配者だが、この女子は上手かった。10メートル離れている相手チームの球に次々に当てて、試合を優位にすすめ、チームを勝利に結びつけた。


解体ショー


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解体ショーをしますというので、呑むのを一時中断し、カウンターの特等席に移動する。今や居酒屋ではこんなことをするのかと、ドキドキしながら待っていると、踊り子ならぬホンマグロが俎板の上にドンと乗った。でかい、というか、ギョギョであります〜と思わずサカナクンになった。尾を切られ、頭を落とされて、あっという間に五枚に下ろされる。見事なものだ。

真ん中の骨の部分が競りにかけられた。骨には中落ちがビッシリとついている。「1500円!」。ハイッと手をあげると数人が続いた。ジャンケンである。負けてなるものか!〜〜見事、勝って、9人が待つテーブル席へ。大きなスプーンで、赤味を掬い取りそれぞれのさらに皿に分けていく。マズいわけがない。けれどこのホンマグロもいずれ絶滅危惧種になるのかもしれない・・・と思うと、複雑な気持ちになった。


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あっという間にホンマグロは、五枚に下ろされた


友、逝く


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蝉の声が心なしか遠ざかって、夜は虫たちの大合唱。川面をゆく風も涼しくなって、季節はグラーデーションというよりも、プツプツと切れ目を入れたかのように変わっていく。これでは過ぎていった日々を振り返るというより、次の季節のことを思ってしまう。

八月は夢花火。思わず歌いだした。上京して初めて知り合ったSが逝った。18歳のときに同室になってから半世紀の時間が流れたことになる。性格はまるで違ったけれど、心のそこから信じあえる友だった。カメラマンから訳があってテキ屋の大将になって、若い衆からも慕われて、二人の子どもに恵まれて、家族と猫を愛し、愛された。

オシャレで、シャイで、優しく、正義感が強く、最高の友人。元気な頃は、このブログにいつもコメントを入れてくれた権ちゃん。権師匠。だれからも慕われていた。体の機能が徐々に衰えていく難病を抱えて、ここ数年、辛い時間を過ごしていた。やっと楽になれたのかな。

沁みるようなことを言う友人ばかりが、なぜか先に逝く。

滝雲


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早朝、広がった雲海は、山の稜線から滝のように流れ落ちていくことがある。これを滝雲という。運よく正面から見ることができると、一条の滝に見えたり、溢れでるような大滝だったりと、自然がつくった造形美のなかでもひときわ美しい。

モルゲンロート


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デジカメのバッテリーが切れていたので、この写真はスマホで撮った。ズームにしていることもあって画像はよくない。笠ヶ岳に向って、槍の穂先の影が伸びている。皆がご来光を眺めているとき、振り返ったら、こんな面白いシーンに立ち会えた。

遠くから見る笠ヶ岳は、槍に似ているのでよく間違えられる。四年前、10時間ほどかけて登った記憶が蘇った。ぐるり360度の山々は、ほとんど制覇した山となった。どの山も鮮明に思いだすことができる。日常のあれこれは、はっきり覚えていないというのに、不思議なものである。槍は、体力的にもこれで最後になるだろう。

*モルゲンロート
夜が明けきらない早朝に、東の空より一筋の光が山筋を照らし、山脈や雲が赤く染まる朝焼けのことをいい、山がもっとも美しく見えるときの一つ。


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笠ヶ岳の山頂から槍を眺めた四年前・・・


母子手帳


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妹から届いた古い母子手帳。母が残した箱の中に入っていたそうだ。藁でも漉き込まれているのではないかと思われる質のよくない紙。馬糞紙とかいわれた紙だろうか。表紙には母の名前はあるが、私の名前が抜けている。中面にもほとんど記述がない。長男として大切に育てたはずなのに、なぜ記帳しなかったのだろう。

ヒナが口を揃えているイラスト。四羽というのは、この国を早く復興させるために、まだまだ生めよ増やせよだったのだろうか。親鳥の羽がアメリカ国旗のようにも見える。


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朝方生まれたことも初めて知った


カワハギ


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カワハギの肝和えを食べたい・・・


セミファイナル


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しっかりと樹液を吸っているミンミンゼミ


長い梅雨が終わって、蝉たちが競うように鳴いている。主力はアブラゼミの合唱で、ミンミンゼミがソロの高音域で啼き叫ぶ。この二種類の比率はどれくらいだろうか。

いつもの散歩道を歩いていると、一度だけツクツクホウシの声が聞こえた。徐々に回転数を上げる啼き方が懐かしい。幾種類も聴こえると生物の多様性があるようで安心する。これで夕方にヒグラシでも啼いてくれると嬉しいのだけれど・・・。


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五行歌の展示会には、山友、歌友、学生時代の仲間が来てくれました


落花せず


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これは暑さのせいなのだろうか。ムクゲの花が閉じたまま落下せずに枯れている。普通であれば、花が終われば蕾となってホロホロと落ちていくはずなのだが。

ムクゲは韓国の国花。もしかしたら暗礁に乗り上げたままの日韓関係を憂いているのかもしれない。


コバイケイソウ


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圧巻は、このコバイケイソウだった。カール一面にこれだけの群落は、他の山では見たことがなかった。見事なのだが、この花には臭気がある。昆虫たちにはたまらないのかもしれないが、公衆トイレを想像させる臭いだ。この後、いくつかの群落を通過するたびに、臭いの覚悟を必要とした。

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ヤマハハコ

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ハクサンイチゲ

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ゴゼンタチバナ

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チングルマ

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北アルプス縦走(3)


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右に行けば笠ガ岳、そして左には槍ヶ岳

槍の医務室で頭の傷を縫合してもらってから一週間。そろそろいいだろうと思い、近所の外科で抜糸した。痛っ、と思ったらハイ終わり。黒い二本のナイロン糸を貰い、戒めとしてときどき眺めることにした。槍の外科医は「まかり間違えたら・・・」と言っていた。きっとその通りかもしれない。運がよかっただけだ。

反省を込めて今回の山行を振り返った。
・五泊を車中、山小屋泊はキツ過ぎ(睡眠不足)
・体力が落ちていた(地図中の時間通りに歩けない→老化)
・リュックの荷の重さが堪えた
・暑さ、酸素の薄さが堪えた
・熱中症になりやすい体質を自覚した

人よりは強いと思っていたのは、昔の話。荷物は少なく、時間と余裕をもって、計画は綿密に。事故はすぐそこにある。



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北アルプス縦走(2)



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白山が見えた。あのときも夜行バスで金沢に行き、その日に山頂まで登り、山小屋で一泊した。翌日ゆっくり下山して温泉につかってから、金沢21世紀美術館で舟越桂の作品展を観た。そんなことを思いだしながら、広大な北の俣岳への道を上がっていく。


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遥か彼方に槍を見つける、明日はあそこまで行けるのか・・・

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百名山中、もっとも時間のかかる山がこの黒部五郎岳だ

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やっと黒部五郎小舎を発見する、ここも遠かった

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この日の夕焼け


北アルプス縦走


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いつどこを見ても北アルプスの山々は、その雄大な姿を満々と讃えていた。朝な夕なに、刻々と変る天然色。その変化を見逃さぬよう焼き付けた。

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黒部五郎岳(2,840m/日本百名山89座目)


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黒部五郎岳の山頂直下で雷鳥の番いを発見、これは雄


黒部五郎岳を登頂した翌日、槍ヶ岳までのルートで、後半、気を失いかけるほど体力を消耗した。朝3時に黒部五郎小舎を出発し、槍ヶ岳山荘に到着したのは17時。14時間くらい歩いていた。酸素をいくら送り込んでも10メートルほどしか進まなくなってしまい、最後は気力を絞った。気力だけで1時間くらいは進むことを去年体験済み。

小屋になんとか到着して直ぐに慈恵医大の医師がいる医務室に向う。
「すいません、点滴をお願いします」と看護士に伝える。しかしすでに二人が点滴中。待っている間に、頭を打ったことを伝え、診てもらう。
「これ重症ですよ。パックリと肉が裂けている」。スマホで写真を撮り、切り口を確認。「直ぐに縫いますから、麻酔打ちますよ」医師二人、看護士二人に囲まれ、掴まれ、オペの始まり。

午前中、三俣蓮華岳の手前で派手に転倒し、岩に打ちつけられた頭部から嫌な音が聞こえた。後ろを歩いていた三人のパーティに助け起こされ、出血を伝えられた。岩に座り、全身をゆっくりと動かす。手足の四五カ所が痛んだが、骨は折れていなかった。帽子、パーカーがダメージを抑えたのかもしれない。頭からの血はしばらくして止まった。

「はい、縫い終わりましたよ」。ユーモアのある中年の男性医師が、ポツリ。「運がよかったですね。今日は外科医の当番だったから」「頭の打ち所が悪かったら、ヘリを呼んでいたかもしれない」。

槍には、いい医者がいると知っていましたので、気力でここまで来ました。
「嬉しいことを言ってくれますね」。二人で笑った。
礼をいい、医務室を出たとき、ヤバかった・・・と、震え上がった。


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こちらは雌、優しげだ


西鎌尾根


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黒部五郎岳と草原の中の黒部五郎小舎


久々の三千メートル峰。今夜からバスに揺られて、百名山89座目、黒部五郎岳を目指す。この山はどこから登っても二日がかり。20年前「北アルプスの貴婦人」と呼ばれる薬師岳を登ってから、広大な雲の平を歩き、この黒部五郎を右に見ながら、水晶岳、鷲羽岳と登った。

今回は雲の平を眺めながら黒部五郎岳を登頂する。小屋泊をして三俣蓮華岳、双六岳を登り、西鎌尾根を経由して、第二の目標、槍ヶ岳を目指す。
三日目の西鎌尾根ルートタイムは10時間。体力は果たして保ってくれるだろうか。おじさんは少し不安気味・・・。

黒部五郎岳へ


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週末からの山に備えて、メモしておいたグッズを石井スポーツで購入する。三日目は約10時間の登りが待っていて、久々の重いリュックに膝と腰は耐えてくれるだろうかと不安だ。今回初めて購入したのは「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」なる漢方薬。山小屋での夜、足のツリの痛みに襲われることが多くなったので、今回寝る前に試してみる。

もうひとつはモンベルの不思議なサンダル。軽くて薄くて収納しやすい。これなら小屋から外へ出ると時、電車やバスで移動の時も便利そうだ。非常食はどんどん美味しくなるし、衣類は機能性が高まっていくし、山グッズの進化は驚くばかり。後は体力だけ。これが課題。


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大草原にポツンと立つ黒部五郎小舎。夜空が楽しみ


*忘れていました〜、本日私めの誕生日でした〜 m(_ _)m


梅雨明け


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梅雨は空けたのだろうか。じわじわっと暑くなってきた。今年は、長く潤いのある日々が続いた。ジメジメとした梅雨を疎ましく思っていたが、慣れれば酷暑よりも好いのかもしれないと心変わりも・・・これは加齢のせいなのだろうか。

大仕事が終わると、気持ちは少しずつ山に向っていく。久々の北アルプス三千メートルを闊歩する。否が応でもテンションが高まり、気圧配置が気になってくる。

ボッカさん


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尾瀬の木道を歩いていると、腕を組みながら重い荷物を背負って歩いているボッカさんに出会うことがある。尾瀬の小屋で必要な食料や燃料、日常品を目一杯担いでいる。ハイカーは彼らにひと声をかけて、道を譲る。ボッカさんは尾瀬の英雄なのだ。彼らなしで尾瀬の小屋は回っていかない。

力持ちのボッカさんであれば100キロを担ぐ。賃金はキロ100円というから、100キロの荷物を運ぶと約1万円。背負子に独特の積み方。より高い所に荷物の重心を置く。よくこれで傾かないものだと感心する。
この日は湿度100%。休んでいる彼に、ご苦労さまと、ハイカーは声をかけて通り過ぎて行く。


森林公園


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雨天結構ということで、先週末、ORMACは埼玉県の森林公園のハイキング。ここは東京ドームの約64倍広さをもつ大公園。湿度ほぼ100%の中を歩くもの好きは少ないわけで、すれ違う人はほとんど無しの貸し切り状態。おじさん&おばさんは、汗をしたたらせ2万歩以上を歩きました。


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ムシムシ 虫


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ムシムシすれば、ムシムシと出てくる。森林公園で1本のクヌギを見つけた。近寄ると樹液の出ている箇所でカブトムシとカナブンが食事中。美味しいんだろうなあ、警戒心がまるでない。しばらく待つと、クワガタやヒカゲチョウの仲間、そしてスズメバチもやってくるかもしれない。少年時代は、樹液の出る木をしっかり覚えて、毎年夏になるとせっせと、友人たちと虫取りに励んだ。


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至福の至仏


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パネルデザインの仕事をようやく終えて、友人Sとの山行。こんな幸せなことはない。至仏山では多くの花に会え、下山後はゆっくりと温泉につかり、朝もやの森を散策し心を和ませた。
梅雨の時期、期待を大きくしなくても、思いがけない発見がある。


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紅く染まっていたナナカマド

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サラサドウダンの花

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警戒心のないイワヒバリにしばらく話しかけた

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至仏山の花


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至仏山の標高は2228メートル。湿原から続く一本の山道に沿って山頂まで、さまざまな花が咲いていた。まずはウスユキソウ(エーデルワイス)。例年になく多いのではないか。珍しい花も発見した。食虫植物のモウセンゴケ。岩陰で1センチにも満たない大きさだったが、触手の先に雨粒をつけて獲物を待っていた。


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この時期の雨は花にとって大切な恵み。それぞれの色やカタチを創り上げていく。それにしても種類が多い。目を凝らして探せば、この倍以上の花が見つかったかもしれない。

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ハクサンチドリ

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コイワカガミ

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ハクサンイチゲ

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シナノキンバイ

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オゼソウ

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タテヤマリンドウ

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ハクサンコザクラ

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ハクサンシャクナゲ

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イワイチョウ

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ウスユキソウ

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イワシモツケ

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ギンリョウソウ

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花が終わったチングルマ

尾瀬の花


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コバイケイソウがスッと立っていた


ガスで眺望が失われても、高山植物を楽しむことができた。雨をうけて咲き誇る花たち、愛らしくどれも健気。小さな花ばかりなので、しゃがみ込んでばかり、なかなか前に進まない。「花の百名山」には、この至仏山が入っている。

湿原を代表するニッコウキスゲは、鹿の食害で激減。時おり数本を見かけたが少ない。一面がオレンジ色だった頃が懐かしい。それでもタムラソウ、レイジンソウ、ヒツジクサ、コバイケイソウ、サギスゲなど、初夏を代表する花が見られてよかった。


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タムラソウ

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ヒツジグサ

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サギスゲ

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ユキノシタ

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ヤグルマソウ

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ポツンとニッコウキスゲ

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ニガナだろうか

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レイジンソウ

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オダマキ

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アマドコロ

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半夏生のようだけど・・・


至仏山


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五合目までは湿原と木道が見えていた


友人のSと群馬県の至仏山に登ってきた。もしかしたら雨が上がり、花の百名山らしく多くの花を愛でることができるかもしれないと淡い期待をもって、尾瀬の玄関口、鳩待峠(はとまちとうげ)から山の鼻を目指した。

平日ということもあって登山客の姿は少ない。一時間ほど山の鼻まで下って、そこから約800メートルの登り。今回で三回目の至仏山、前回もキツい登りだったが、やはりバテた。一番は高い湿度だ。そして急登一直線の山道。本来なら振り返るたびに尾瀬湿原が見渡せるはずが、ガスが流れてきて全貌が分からなくなっていった。

つまらんのう〜と愚痴る。頂上を見上げてもガスの中。どれくらい登ればいいのか分からない。三時間のコースを一時間近くオーバーしてトーチャコ。山頂からは時おり青空が見えるのに下はガスっていて、高度感無し。ただ花たちは、雨を受けながら健気に咲き誇っていた。


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巨木


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雨が上がった昨日、新宿御苑の樹々は、たっぷりの雨を吸ったせいか緑の色が深く、どっしりとしていた。吟行歌会のメンバーは八人。ボランティアガイドの方に苑内の巨木案内していただいた。

新宿門を入って右手に大きなモミジバスズカケの木がある。ゴツゴツとしたぶっとい幹廻りに圧倒される。ガイドさんに勧められ、抱きついていると不思議な安心感に包まれる。フィトンチッドが降りてきているのかもしれない。

ヒマラヤスギ、ラクウショウ、メタセコイア、ケヤキ、プラタナスと苑内の巨木について、それぞれの特長やエピソードを聞きながら、歌の草案を始めていった。
生まれた歌がこんな。

百年を生きた巨木は
誰かに似ている
自由で
孤独で
太っぱら

蝶道


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小学生の私は、昆虫少年だった。五年生の夏休み、藻岩山の麓でアゲハを追いかけているときに、大きな捕虫網を持っているお兄さんから、捕えたばかりのカラスアゲハを貰った。
いいんですか?と訊ねると「羽に傷がついたからいいよ」と言った。

動かずに蝶を待っているお兄さんを不思議に思い、なんでここで待っているんですか、と尋ねた。すると「見てごらん、木の間からアゲハが飛んでくるから」「蝶道といって、ここは蝶の通り道なんだ」。お兄さんは、大きな捕虫網をさっと動かして、飛んでくるカラスアゲハを次々に捕まえ、三角紙に収めていった。その見事な技に、目を奪われた。

いつか大きな捕虫網を買ってもらい、ここでアゲハを待とう。それは叶わなかったけれど、蝶道という不思議な言葉は、人生のいくつかと重なった。
決められた道を飛ぶしかないアゲハ・・・。こんな歌をつくった。

蝶には
蝶の道がある
蝶道
ときとして
捕らわれるための


蛇の目傘


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こちらジャノメチョウ

開くと蛇の目模様が現れる蛇の目傘は和傘の一種。最近はすっかり見ることが少なくなった。元禄ごろに始まったといわれ、明治以後はおもに女性が用いた。中央と周囲は青土佐紙、中間は白紙張りの上品な傘は、僧侶や医師が使っていた。いまは歌舞伎や粋向きの趣好品!?

甘味


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雨の日は、窓辺で甘いものと読書



五行歌展示会(2)


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週末、泣きそうな空を見ながら、可愛い恐竜君を連れて、新宿西口まで散歩。いろんな場所で撮影を試みる。終わったはずのデザインパネル一点をこの恐竜君に変えようと決め、いろんなポーズをお願いした。どんな五行が入るのか、彼は知らないのだ。

座り込んで撮影するおじさんを、おチビちゃんや恋人たちが、不思議そうな顔をして通り過ぎてゆく。きっと恐竜オタクに見えるんだろうなあ。


雨の神宮


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打ち合せの帰り、雨の神宮外苑を歩いてきた。雨の神宮といえば、昭和18年の秋、冷たい雨のなか学徒出陣があった場所。戦局が悪化し徴兵されないはずの学徒たちが集められ、ここから戦地に赴いた。学徒たちを鼓舞するあの音楽が一瞬流れた。あれから75年、神宮の森には新たな競技場が完成しようとしている。

見上げると、木と緑を活かした競技場。ここからではなく、ここへ、もうすぐ世界から若者たちが集う。


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学徒出陣

学徒出陣を見送る女学生の中には、茨木のりこ、杉本苑子さんらがいた。


ある風景


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詳しいことは分からないが、居住者は立ち退きを求められているのだろうか。問題は道路の陥没だけなのだろうか。建物の向うは神田川。陥没すると建物ごと崩れ、川へと落ちてゆく(はずだ)。
どこから読むと経緯が分かるのか、書き手はそんなことを考えてはいない。散歩コース難易度3くらいの場所に、この不思議な風景がある。


ハミング


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打ち合わせの帰り、地下鉄の車内で本を読んでいたら、小さな声のハミングが聴こえた。はじめは気に留めなかったが、駅についてドアが締まるたびに聴こえる。顔を上げると目の前の背の高い外国人男性だった。それがどんな曲なのかは分からないが、男性がハミング・・・なんか微笑ましくなった。

頭の中だけでなく、自分の耳でその曲を聴いてみたくなったのかもしれない。そう思っていると、銀座駅でその人は降りていった。
先日の歌会で、こんな歌を出していた。

君は誰を
僕はあの人を
深夜  小田和正を聴きながら
ふたり
秘密のハミング


梅雨に思う


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沖縄は梅雨明け、なのに九州から関西にかけ猛烈な雨が降っている。ここ数年、豪雨をもたらす線状降水帯が影響しているらしい。500mmの雨って50㎝だと知って、そして不安になってしまう。

メキシコでは「大都市で大量の雹(ひょう)最高で2m、押し流された車も・・・」の記事。どこでどんな災害が起きるか、いまや分からなくなっている。どうしたものか。東京はこれぞ梅雨といったお天気が続いているのだが。


五行歌展示会


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作品作りのために、こんな写真も撮りました

遂に五行歌の作品パネル211点が完成。四月から多くの時間をパネル制作に費やしてきた。思えば歌友のRさん、Kさんのストック写真にどれだけお世話になったことか。作品のためにわざわざ撮影にまで行ってもらったり。大先輩のAさんは膨大なストック写真を送ってくれた。そして友人、知人にも・・・今回のミッションに手を差し伸べてくれた方々に感謝だ。

200を超えるの歌と数千の写真。この点と点をどう結ぶか。毎日毎日、来る日も来る日も同じような時間の中に佇み、交錯し、WIN WINを求めた。夜になると頭が火照った。気がついたら作品のほとんどを暗記していた。

自分以外の作品にデザインを施す。それも200点余という膨大な点数。集中、不安、逡巡、停滞、発見、至福、光明、猛進・・・それぞれ作家の思いをどれだけ分かっているのか、それを表現するとして、どこまでを・・・・その間際でずっと悩んだ。初めての体験だった。

展示会で五行歌を初めて読む人たちをイメージし、そこに光を見いだそうとした。出来上がった作品を眺めているとじつに不思議な気持ち。これを一人で・・・幸せな時間だったと実感する。

作品を送ってくれた歌友の皆さんに、大きな満足を伝えられるかは分からないけれど、一つひとつの作品が多くの人たちの心に届くと信じている。


紫君子蘭


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一昨日の歌会で話題になった花がこれ。アガパンサス。直ぐには覚えられない名前だけれど、毎年決まった場所で咲くから、愛でているといつのまにか覚えられる。慌てて覚えると、アバカンサスになったりする。

この花にはいい和名がある。紫君子蘭(むらさきくんしらん)。なんと高貴な名前だろうと思いながら、この花を思い浮かべると、たしかにスッといつの間にか背を伸ばして、ポツンポツンと薄紫の花を咲かせていく姿と重なる。ピッとあった名前だと思う。


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握手のカタチ


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悲しいまでの笑顔をつくって、外交だか接待だかを繰り返し、防衛のための装備品を大量に買わされたあげく、日米安保条約破棄を示唆されて、あの人は青くなっているのではないかな。

こんな歌をつくりました。

掌を上に向けての
握手のカタチ   
止めてもらいたい
つい手を乗せてしまうあの人が
ポチに見える


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よく集めました〜〜

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皆、ポチかミケになってしまう

ヤマアジサイ


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この野生のヤマアジサイの花は「がく(額)咲き」。中央の小さな蕾らしきものが花になる。
紫陽花の原種は日本だ。それ以外は本来セイヨウアジサイ。プラントハンターがヤマアジサイを本国に持ち帰り、品種改良させて種類を広げた。毎年その種類は増えて、いまや3千種類とか。


ワインのような


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ワインを思わせるような美しいラベルのデザイン。実は日本酒。お酒を頼むと、こうしてボトルをドンと見せてくれる店がある。ラベルをデザインした人がこれを知ると、きっと嬉しいはずだ。
日本酒好きの外国人が増えているようだから、このラベルデザインを見てどんな感想をもらすか、聞いてみたいものだ。


入笠山(4)


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ツマトリソウ


少し時期は早かったが、入笠山は花の山だ。なにか咲いているでしょうと探し歩けば、スズラン、アツモリソウ以外にもありました。都会の花はなかなか覚えられないが、山の花は不思議とスッと口にする。そうすることで記憶の扉の蝶番に油が注されるはずだ。滅多に見ないクリンソウが出てきたのは嬉しかった。


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浅間山の茶屋「道子」にもあったね クリンソウ

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これも直ぐに浮かんだ ツバメオモト

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直ぐに出るよ マイヅルソウ

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エンレイソウは花の時期が終わっていた

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少し離れた大阿原湿原は、尾瀬を思い起こさせた


入笠山(3)


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入笠山では、絶滅危惧種になったホテイアツモリソウを見ることができる。この山に数多く咲いていたらしいが、盗掘が繰り返されて消えてしまった。いまはフェンスに守られ、数株がじっとこちらを見ていた。

初めてのご対面は、パンダを見るような気分。お〜奇怪なお姿。こちらを向いて文句を云っているようにも見える。いかにもランらしいカタチ。この中に蜂は入っていくのだろうか。近くには、これも珍しいクマガイソウも咲いていた。カタチがよく似ている。


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こちらはクマガイソウ

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この蕾はどっち・・・


入笠山(2)


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入笠山は一年を通して楽しめる山だ。春から秋まで山頂付近には多くの花が咲き、冬はスノーシューで雪山歩きができる。眺望もよく、お天気が良ければ目の前には八ヶ岳、そして鳳凰三山、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、御岳、乗鞍をはじめ、北アルプスの山々まで見える(らしい)。

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白いズミの木が点在してなんだかお花見の気分


風とガスの日は、大人しく花を愛でる。木道に沿ってズミ(こなし)の木が多くあった。リンゴの花を思わせる蕾は紅色だが、開くと真っ白になる。

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優しい甘い香りがする

サルオガセ


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強い風に、糸状の地衣植物サルオガセがなびく。実に不思議な生命体。ここまでぶら下がっているのは初めて見た。朽ちたカラマツに絡まっているのか、絡まったから枯れていったのか。ジッと眺めているとおぼろ昆布を思いだした。
地衣類は成長が遅く、寿命が長いそうだ。そして大気汚染に弱いことも指摘されている。とすると太古から健康だった森を歩いていたことになる。

 
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入笠山


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木道からの花々は今年遅れているという


梅雨の晴れ間になると予想して、土曜日の夜、リュックに雨具などをパッキングする。目指すは花の宝庫と呼ばれる入笠山。過去二度ほど登っていたが、初夏は初めてだ。いま花の名山はどこも混んでいる。山ブームが来てから、ゆっくりと愛でることができなくなった。

入笠山ロープウェイの乗り場に立つと、ハルゼミの鳴き声が聴こる。今年も初夏の山に来たぞという実感。標高差700メートルを一気に登って山頂駅に着くと、小粒の雨と凄まじい風だ。慌てて雨具を装着。下界は初夏のお天気なのに・・・と嘆くが、山は時おりこんなだ。

入笠山の花に魅せられてか、続々と登山者が上がってくる。一番の人気はスズラン、そして絶滅危惧種のホテイアツモリソウか。


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これはドイツスズラン、これから100万株のニホンスズランが咲く


山頂駅では、星野富弘版画展が開催されていて、ロープウェイのチケットにいくらかをプラスすると観ることができるという。
誰が企画したのか素晴らしいアイデアだと唸った。両者(富弘美術館と入笠山ロープウェイ)を繋ぐのが「花」。ここでこんなことを学ぶとは・・・勉強になりました。


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下山の頃、ようやく富士山が見えた


ネーミング


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旅に出るとお土産コーナーでネーミングをチェックする。今回発見したのはこれ「十勝無敗」。十勝(とかち)を全面的にアッピールした焼酎である。縁起がいいねえ〜と手にするかもしれないが、いかんせん、この書体。洒落を考えついた人が、自分で書いたのかもしれない。もう少しなんとかなったはずだ。

いままで発見したものには、愛媛の「海千山千」。乾燥した小さな野菜と小魚のクズのようなものが入っていた。何じゃこれ!と思ったが、名前の通り。仕方がないと納得。最近発見したのには、皮を剥いたミカンで「むかん」。これは手が伸びる。
他には漬け物用の糠(ぬか)で「ぬかよろこび」。これは買えなかった。


老後2000万


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イカリソウ


健康保険料を払い続けても
病院のお世話にはならない健康を維持し

介護保険料を上乗せさせられても
認知、ボケとは縁のない独り暮らしを続け

年金受給を少しでも遅らせるため
七十歳過ぎても けっして労働意欲を失わない

そしてポックリと成仏する

そんな高齢者に 私はなりたい

って

思う人が いるのか・・・


街路樹


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この時期、街路樹の緑が美しい。なぜに美しく感じるのか。目を凝らす。深くて濃い緑の奥から新緑が溢れでるように、幾層も重なっている。こんもりとした単一なカタチではない。幾つもの膨らみが樹形の美しさを創っている。

青々と雨は降り続き、たっぷりと水を蓄えた樹々は、やがてこんもりと膨らんでいくだろう。選定を施した人たちの技の見事さに、ふたたび気づく。
街路樹の美しさもきっと後わずかだ。


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倒木更新。近くの大きな杉の木が、根から引き抜かれたように倒れていた。それだけにこの幼木が愛おしく思えた。


豊平川


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山ちゃんが美女を射止めたというニュースが話題になっているので、チラリと読んでみると、なるほど・・・いい女というのは、最後にそんな山ちゃんをしっかりゲットするんだ、と納得。こっちの山ちゃん、おかしな自信を深めた。地味であっても誠実に頑張っていれば、いつか良いことがあるんだ。フムフム・・・。


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法事の前日に市内を流れる豊平川沿いを歩いた。ここは思い出の多い川だ。小さい頃、浴衣を着せられ、父と涼み行った。家族で花火を見た。川で採ったカラス貝を母に渡すと、真珠が入っているかもしれないと言うので、ドキドキしながら凝視したが、真珠などなくて、落胆する母見て一緒に落胆した。炊事遠足では何度も訪れた。鮭が遡上するニュースを聞き、心躍った。などなど、思いだせばきりがない。


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ひばりが忙しなく警戒音を発していた

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なぜかハマナスが咲いていた

故郷は、時間を置いて訪ねてみると、そこにいた私と会える。


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中島公園


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ライラックが終わりを迎え、札幌の街はニセアカシアの甘い香りが広がっていた。中島公園の小道を歩くと、まさに香りのシャワー。ニセアカシアの香りが風に乗り、ときには頭上から舞い降りてきた。

中島公園は、想い出があり過ぎ。父に連れられ初めて相撲の稽古を見た、お祭りでオートバイサーカスに驚いた、高校時代、バイトの帰りSと喫煙していたら警官に尋問され、嘘の高校を言って逃げたなどなど、きりがないほどの思い出が詰まっている。

今は美しく整備されて、市民の憩いの場所のはずなのだが、人は多くないように見えた。


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母の一周忌


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早い。あれからもう一年。これから母の一周忌のために札幌へ。初夏を一杯に吸い込んでこようと思っていたのにこれから雨模様。
でも小学校の恩師と仲間、そして中学時代の友人ら、札幌歌会の方々、親戚家族と会える。


昆虫少年


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トンボや蝶が飛んでいるのを見ていると、夏だなあ〜と少年時代に戻っていく。シオカラトンボやギンヤンマを見つけると心躍り、オニヤンマには崇めるような思いで、その堂々たる飛翔を追っていた。そんな思いは刻み込まれているらしく、すぐに昆虫少年に戻っていく。


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和紙工房


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今回の山旅プログラムには、和紙工房見学をセットした。「見学時には、なるべく声をかけないようお願いします」と担当者から事前に云われていた。猛暑の中、工房を訪ね、ベテランの職人さんの後ろで、総勢八人は息を潜めて眺めていると、久保さんはにこやかに話しはじめた。


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手漉きの和紙職人が減ったこと、和紙作りのための道具を作る職人も全国で十人を切っていることなど、手漉き和紙の現状を話しながらも手は止まらない。無駄のない動きは美しい。力が入っていないように見える。が、軽やかなリズムがそうさせているだけで、とてつもない重量を受けながら、一枚一枚の和紙を仕上げているのだ。


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ここに三千本の極細のひごが編まれているという


先人が作った工房は、すべて木(竹)と布だ。木のしなり、膨張、乾き、水との相性をすべて計算されて道具が作られている。改めて日本人はスゴいと思う。巻きすを見せてもらって驚く。ひごの直径は、1ミリもない。つなぎ目の工夫、糸の紡ぎ方、どれをとっても、繊細な職人の技だ。


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久保さんは、若い人はそれなりに味わいのあるものを作る、紙には力強さがあると誉めたたえ、けっして自信の五十年の年期を自慢しなかった。こうでなくてはいけない・・・(反省)。
職人の話は、スッと入ってくる。モノ作り人間の共通した想いが流れているからだろうか。
久保さん、ありがとうございました。


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玄関には紙となる三種類の植物が

仙元山


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エゴの花が散りはじめました


土曜日もアツカッタ・・・。そんな中をORMAC隊は、標高****メートルの仙元山を目指した。埼玉県の小川町駅に集合し、野草を愛でながら川沿いの道を歩く。水辺には鳥たちが遊び、川は魚影が濃い。流れが長閑なので、ついペースも落ちる。


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地図を頼りに仙元山への道を何とか見つけ、分け入っていくと体感温度が一気に下がる。時おりエゴの花がはらはらと舞う。その一輪を手にとって嗅ぐと好い香り。白い絨毯を歩くのがもったいないくらいだ。一時間弱で山頂に到着する。眺望できる箇所はわずか、ウ〜ム残念。

それでも涼風が入ってくる東屋でランチしていると、達成感が湧いてくる。恒例のおやつとお惣菜交換をすれば、それぞれのリュックが軽くなる。心も軽くなる。さあ記念撮影をして、和紙工房を見学しましょう〜。


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3,000メートルには、ちょっと足りなかった・・・

古書店


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時間がなくて、通り過ぎてしまった京都の古書店。こんな中に一歩足を踏み込んでしまうと、時間を忘れてしまうだろうなあ。「日本絵双六集・・」「京都百年パノラマ館」「七福神の彫り方」「露地」・・・開いてみたくなるような本が並ぶ。店内の照明もいい味を出している。本の山に囲まれた向こうには、店主が置物のように座っているに違いない。どんな顔をした御仁なのだろう。
ところで、どこの通りだったか・・・忘れてしまった。


おはぎのさいち


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それは小さなお総菜屋さんだった。えっ、こんなお店なの・・・。週末ともなると、あるモノを求めで県内外から大勢の人がやってくる。周辺の道路は大渋滞となり、それを地元の人は「おはぎ渋滞」と呼ぶ。そう、美味しいおはぎがここで売られているのだ。

お店の名前は「主婦の店 さいち」。仙台市内から車で30分ほど郊外のごく普通の小さなスーパーマーケットだ。店内の一角にある「おはぎコーナー」まで、入口から真っ白な導線が標されている。粒餡、きな粉、ずんだ、納豆の4種類が陳列棚一杯に並ぶ。選んでいる端から手が伸びて、おはぎが無くなっていく。おはぎに失礼と・・・。

1個108円。いくつかの単位でパッケージングされ、一日で5000個が売れるという。秋保という小さな町まで、おはぎを買いにくるエネルギー・・・凄いというか驚き。周辺にはお店よりも広い駐車場が三つあり、誘導する警備員が何人もいた。いやはや、おはぎオソロシヤ〜

甘味が抑えられて、我が家での評判もよかった。全国のおはぎファンの方、ぜひお試しあれ。


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こんな小さなお店


君の名は


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鬱陶しい日々がくるまで、しばしこの風と光を楽しもうと空を仰ぐ。台風一過のような良いお天気〜今日はアロハでも来ていこうかなと思っていたら、朝一番にクライアントとの打ち合せがあるのを忘れていた。残念。

初めて見た〜を体験したければ、花を好きになるのがいいと思う。まだ知らない花がどれだけあることか。仙台市の郊外で見つけた花たち。ゆっくり名前を調べたい〜。


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なんで、この樹にピクピクと反応をしたのだろう。珍しい樹形をしているからか。いやいや、よく見ると太い幹が途中から五本に分かれているではないか。

五!?。五、五、五、いまカラダは、この数字に過剰な反応を示す。五行歌25年。一日25時間、GOGO25、あれやこれやが一日、頭の中を駆け巡っている。


五月の風


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仙台の緑の風は心地よい。我が身を風にまかせ、自由に泳ぐ緑の枝先を眺めていると、人生これ以上幸せなことはないのではないか、と思えてくる。
たゆたい、なぶられ、ひるがえり、樹々の緑は五月の風と遊ぶ。あ〜生きて冬を越して良かった。父は生前そんなことを言っていたが、分かるよなあと思う、五月の風と緑なのだ。


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風にのって、フジの香りが届く


目に青葉


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ホウチャクソウが咲き始めた


花粉が消え、梅雨までのわずかな間、一年でもっとも空気がうまいと感じる。目に青葉の・・・の諺があるように、緑の美しさも存分に味わえる。
明日からは仙台。ケヤキ並木の美しい青葉通りが待っている。


N先生


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昨晩、小学校時代の友人Sさんからメールが入った。「6月に帰ってくるのでしょうか。年賀状を読んだN先生が会いたがっていますから、ミニクラス会しましょう」。そんな内容だった。そうだ、母の一周忌で帰りますと書いたなあ・・・。

いま思えば、N先生こそ我が人生を決定的にした人だった。「君は絵の才能があるから、伸ばしなさい」と云われたのを卒業後も覚えていた。図工は卒業までの三年間、通信簿に「5」が付いていた。

NHKの朝ドラ「なつぞら」を観て、あの頃の自分と同じ状況にいるなあと主人公を愛おしく思っていた。好きなことをして生きていきたい。ただその一念だった。若さと言うものは恐ろしい。それしか見えなかった。

37年目後のクラス会の時に、「先生っていい仕事ですね。僕はあの言葉を忘れずに、頑張れたんですから・・・」。そんなこと言って、N先生をおおいに泣かせた。自慢の教え子の一人として記憶されたのかもしれない。

N先生は、札幌美術協会の要職にあったと聞く。体育の先生だとばかり思っていたら、美術にも造詣が深かったのだ。卒業してから55年、恩師と交流をもてる幸せを感じている。


舞妓さん


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すれ違う度に唄ってしまう。舞妓の舞妓のこねこちゃん〜♬。長めの帯を揺らし、下駄の音も高らかに、ソッソッと涼しげに歩いていく。そういえば、芸者はネコで幇間はタヌキと先月の吟行歌会でそんな話を聞いた。いつかは、お座敷遊びをしたいものだと思うが、ツアーでなければ無理だろうなあ。

というわけで、庶民は錦市場商店街を目指す。卵だけを売るお店や、栗、干物、ゴマ、湯葉、豆、佃煮など若い頃なら見向きもしなかった専門店が約400メートルに渡って並んでいる。


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ゴールはお馴染み学問の神様である錦天満宮

無鄰庵


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京都の二日目は、Iさんの立ち上げの五行歌会に出席した。会場は南禅寺前の「無鄰庵」。訪れるのは三回目だ。明治維新、官軍の勇である山県有朋は、接収した地にこの別荘を建てた。外装・内装の隅々に贅沢で高度な技術が施されている。東京なら旧岩崎邸庭園の洋館だろうか。

この会では「五行歌全国展示会」への参加をお願いするはずが、連休前に200名の定員に達してしまったため、今回はそのことには触れないことにした。歌を創るのは初めてという方もいたが、レベルの高い歌ばかりで驚いた。

一席は代表であるIさんの歌。

全身で
泉を呑むようだ
青空に透けた
千のみどり葉を
仰げば

我が歌は、異彩を放っていた。

ここより先
立ち入ってはならぬ
あなたの
顔に
マムシが出ます

どう読めばいいのか、コメントを言うにも勇気がいる。
喩えるなら、女優の木村みどりこが目を細めながら笑っている様子だろうか。
ときどきこんな看板を目にするが、一歩足を踏み込むと、本当にマムシは出るのだろうか?と疑う。もしかしたらタケノコや松茸が出るのではないか・・・。


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広い庭園を彩るカキツバタ

高瀬川


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川の柔らかなカーブが心を和ませる


週末は京都で、ちょっとしたミッションがあった。夜までの時間を暑さと人混みを避けるように木屋町通を二条通から高瀬川に沿って南へと散策した。江戸の頃、この周辺は大きな藩邸が高瀬川に沿っていくつも並んでいたらしく、船着き場の跡や小さな橋などに往時を偲ばせるものがあった。

坂本龍馬や中岡慎太郎、後藤象二郎らがこの橋を渡ったのかもしれないと思えば、感慨も深くなる。京都はちょっとした路地にも思いがけない歴史があったりするので油断はできない。


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初夏は水と青葉が涼しげ


風薫る


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桐の花が咲いたよ


風薫る五月。なぜ五月の風は薫るのか。それは、花たちの香りを運んでくるから。新緑の香りはもちろん、果樹の花や園芸植物、ハーブ、桐の花など、淡く甘い香りは、心をはずませてくれる。


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ずいぶん前に咲き終わりました


檀一雄碑



20年前、取材の帰りに能古島で檀一雄碑を探し当てて感慨にふけったことがあった。若い頃に「リツ子その愛」「その死」を読み、いつかは能古島に行こうと決めていたから、自分の約束を一つ果たしたような歓びがあった。このとき能古島からの船が港に着き、下りて来たのはなんと、息子の太郎氏だった。偶然とはいえ、大きな躰を見たとき、オヤジそっくりだなあと嬉しくなったことを覚えている。

今回は、秋の展示会のための福岡美術館の会場チェックと九州歌会に参加という目的が合ったので、能古島はオマケの旅。太郎氏が建て直したという家の裏手にある、もう一つの碑に今回は会えた。

歌碑には、律子の死を悼んで詠んだ歌 ―― 「つくづくと櫨(はじ)の葉朱く染みゆけど下照る妹の有りと云はなく」と刻まれている。
意味は「櫨(はぜ)の木が真っ赤に染んで来たが、今その下に佇んで自分に見せてくれ。最愛の妻は逝って悲しく切ない」。


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モッコウバラが裏庭に沿って咲いていた

レンゲ畑に太郎さん!?と思ったが違った


終わりと初めの日に


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平成の最後の日、令和の初日、そして今日と五行歌展示会のパネルデザインの真っただ中にいる。静かな東京で、歌と写真に向き合っているというのは悪くはない。穏やかで安らぎの時間だ・・・と言いたいところだが、じつはあまり時間がない。

詩歌もそうだが、絵や写真の前に立って思うのは「いい作品は、足を止める力を持っている」ということだ。


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はて?


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これ猿の糞だよ〜〜


ポトリとマツボックリのような実が落ちて来た。旅好きのSさんは、大木を見上げて「これは高野まきかもしれないわねえ」と言った。枝や葉がたしかに似ている。しかし実はどんなであるかは知らない。誰かが「***」ですと言った。誰かを驚かそうと動物のフンのような実を握ってヒヒヒ〜としていたので、その名前を聞き忘れてしまった。


ミツバツツジ


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人差し指と中指と薬指を合わせたような葉。そこから名前が付いたミツバツツジ。細い枝から、ピョンピョンと上に向って、小さな合唱団だ。薄赤紫の花と早緑が、春の山を彩る。


クサボケ


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クサボケ。これまた変な名前。この花を初めて見たのは、玉川上水だった。土からいきなり造花のような花が咲いていたので、誰かのイタズラだと思った。膝をついて良く見ると、ちゃんと土から短い茎を出している。驚いた。世にも不思議な咲き方だ。後で調べると「クサボケ」とあった。今はこれを見つけると春だなあと思う。


ニリンソウ


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展示会の歌の中には、夫婦を詠む歌があるはずだからと、ニリンソウはしっかり撮っておく。そういえば川中美幸が「あなた おまえ」とニリンソウを唄っていた。「大きなニリンソウ、もしかしたらイチリンソウでは」と誰かが言った。たしかに・・・蕊の様子が違う。二輪並んでいるからといって、すぐ信じてはいけない。「あなた おまえ」じゃない場合もある。


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こちらイチリンソウ
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イチゴも花を急ぐ
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雨の頃になるといろんな花が咲きそうだ

チゴユリ(稚児百合)


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五行歌の展示会の仕事で一日の半分は、その世界に漂っている。いい歌が多くてデザインなんか要らないのではないかと思ってしまうのだが、いやいや新しい世界を創るのだという気概を呼び覚まし、イケル、大丈夫と暗示をかけて向き合っている。

昔に比べてずいぶん体力が落ちた。疲れを知らなかったあの頃が懐かしい。今はペースを考えて無理をしないようにしているが、山頂までは遥かだ。まずは五合目までを目指す。一歩一歩、踏み外すことなく、高さを稼いでいく。

チゴユリ。なんとも可愛い。春、この小さな花に会うと、思わず「可愛い」が出てくる。他に思いつかない。可憐、初々しい、儚い、よくぞこんな花を創られたものだとしみじみ思う。小さくても葉っぱも百合のそれだ。


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ユリといえば
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ユリかごから酒場まで、そしてあるときはカメラマン


ステンドグラス



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そういえば、このステンドグラス、お寺の中にありました。


芽吹き


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ケヤキ、ヤナギ、クヌギ・・・あっという間に芽吹いている。
心が追いついていかない。

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珍しいクヌギの花


冬のソナタ


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おっ、舟越桂の作品だ。すみだトリフォニーホール一階ロビーに展示されていたのは「冬のソナタ」。なんだか懐かしい名前。見えない鍵盤に左右の手が置かれている。なにを弾いているのだろうか。いまからもう八年以上も前、白山から下りて来て金沢21世紀美術館に寄ると「舟越桂展」が開催されていた。好きな作家だったので、なんとも嬉しかった。

それ以後、山から下りると、空き時間を利用して美術館に行くことが増えた。クールダウンに丁度いい。白山と島根県立美術館、開聞岳は知覧特攻平和会館、石鎚山は丸亀平井美術館・・・八ヶ岳の周辺の美術館にもよく立ち寄った。

鳥海山を下りた後は酒田市内の図書館で時間をつぶした。GWの頃だったか、ストーブには火が入っていて、方言が時おり聞こえてきて、郷土史の本を読んでいると時間を忘れそうになった。

そういえば福岡から上京していたSさんは、滞在中にずいぶん美術館巡りをされていたようだけど、もう帰られたのかな。。



吟行・四季の歌会30回


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思えばよく続いています。吟行・四季の歌会30回。スタートは易く、持続は難し。年4回だから足掛け8年になる。先週末は、神田稲荷町から浅草界隈を歴史ナビゲータのYさんに案内をお願いして、下谷神社から浅草六区までのお寺、神社、商店街を巡った。約2時間半、たっぷりと歩いたのでランチのお蕎麦の美味しかったこと。歌づくりをしばし忘れて、皆さんそばに舌鼓を打った。

一席はこんな歌。

絶望したら
浅草に来なよ
酔って、笑って、騒いで、鳴いて
馬鹿野郎でも大忙し
生きてるだけで大成功

作者Kさんは、地元浅草を仕事場にしています。


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ゴールは雷門でした

たおやかに揺れる


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春、心地のいい風景の一つに「ヤナギの新緑が風に揺れる」がある。どの木々よりも早く芽吹き、桜が咲く頃には、枝垂がすっかり緑になっている。風にたおやかに揺れ、光り輝いている姿を見ていると、幸せな気持ちになっていくのはなぜだろう。


やりましょう!



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できました〜♬ 表紙です


先月は、日本山岳会の大きなポスター二点とパンフレットの見開き、そして歌集60ページの編集とデザインを終えた。そして今月から夏場にかけて、歌のパネルを200点(!?)を作り上げる。頼まれたのではない。どれもかってに手を挙げて「やりましょう」と受けたモノばかり。

俺はマゾなのではないか、と思う。どうするんだ〜こんなに〜、どうしようか・・・いつもそんな自答から始る。あるのは知恵と度胸のみ。辛さ・しんどさが麻痺していくと、悦楽の世界が待っている。このゾーンがヤバイ(使っちゃった〜)。
ウルトラマラソンを最後まで走り抜けるだろうか。


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モッコウバラが咲き始めた


健忘症?


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おた、見たことがある・・・・何だっけ、この花・・・・え〜と。すぐに出てこない。忘れていく固有名詞が多くなっている。ウ〜ン。花の名前二つ覚えれば、人の名前三つ忘れる。そんな歌をつくったなア〜、そんなことはどうでもいい。何だっけ・・・

そうだ、ミツガシワ! やっと出た〜、スッキリ。


田沼武能さん


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8月からの五行歌展示会に向けて、ヒントを貰おうと時間があれば展覧会を覗いている。この日は、田沼武能(たぬまたけよし)さんの写真展「田沼武能写真展 東京わが残像 1948-1964」。

ずいぶん前、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の新聞広告を担当することになり、田沼さんの撮ったマザーテレサの写真を使いたくて連絡を入れた。「分かりました、使ってください」と気持ちよく返事をもらった。いかほどお支払いをしたらよろしいでしょうと尋ねた。しばらくの沈黙があって「あるだけください」と言われた。
はっ・・・こちらも沈黙した。「じつは旅費にいつも困っています」「あればあるだけ欲しいのです」。(この頃の田沼さんは世界の舞台に様々な報道写真を撮られていた)。

こんな見事なあっけらかんとした要求はない。「分かりました、新聞社に相談をしてあるだけ支払ってもらえるようお願いしてみます」と笑いながら答えた。その旨を担当者に伝えた。新聞社はどれくらい支払ったのだろう。

田沼さんの「あるだけください」は、とても気にいった。それ以来、ギャラを聞かれると「あるだけください」と言った。知っているクライアントは大笑いする。初めての人は「じつはそんなにないんです」と答える。

いつかまた言ってみたい・・・「あるだけください」。


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砧公園はノビルがたくさん〜

回っております〜


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この雨でだいぶ散りはじめたかな。先日、スズメが桜の花を落とすのを嘆いたが、よく観察すると、彼らはじつに高い技術を持っていることに気づいた。蕊の部分をくわえると、嘴でクルクルと回し始める。蜜を吸いとっているのか、その所作が早い。「回っております、回っております〜」、あのお染めブラザースを彷彿とさせるのだが、直ぐにポイ。花はクルクルと落ちていく。来年は、喜んで観ていたりして・・・。


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新しいスニーカーと夏山のパンツでご機嫌
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クモの巣のイタズラ

カワセミ


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人は二つに分けられる。カワセミを見たことがあるか、否か。ふと、そう思った。そう思いたくなる奇跡の時間だった。瑠璃色の羽、白の点々がある青緑の頭、オレンジ色の嘴と足、そして愛らしい目。まさに飛ぶ宝石の喩えに相応しいカラリング。

都内でカワセミが多く見られるということは、自然保護の環境が整ってきているという証拠だろうか。十連休は、都内で自然観察しながらハイキングするというのも悪くないな。


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大きな魚も丸呑みするアオサギ
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ウミウ?カワウ?


こら!スズメ


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満開の桜の下を歩いていると、ときどき夥しい花が落ちてくる。見上げるとスズメの群れが花を啄み、落花させている。まあ、そのスピードの早いこと・・・。ヒヨドリだけと思っていたが、蜜を求めているのか、くわえたと思ったらポイ。いくら啄んだところで、蜜なんか、スズメの涙しかないだろうに。

すでに花を失った枝が何本もあって、これでは花吹雪まで保たないよなあ。
こら!スズメ。あっちに行け〜


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こちらは、桜の下に集まってくる


親子登山


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週末、高尾山を二家族と歩いた。日本山岳会主催の親子登山だ。今年は元気な男の子二人。四歳ってこんなにパワーがあるのかと驚く。テントの張り方を教え、バターとアイスクリームたっぷりのフランスパンのおやつ作りを一緒にしているうちに、すっかり打ち解けた。
男の子も可愛いもんだなあ〜。


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新元号


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雨に濡れた新芽が美しい


新元号は令和。頭文字が「R」なんて予想だにしなかった。「人々が美しく心を寄せあうなかで、文化が生まれ育つ」という意味だそうな。なんと素晴らしい。素直に思った。今、取り組んでいる山と五行歌への想いと重なって、一陣の風が吹いた。どんな時代になっていくのか。それを創っていくのは私たちだ。

雨上がりの昨日は定例の「親子登山」のお手伝い。腰の具合が思わしくなかったけれど、きっと歩いているうちに代謝が良くなって、痛みも少しずつ麻痺していくだろうと、たかを括って高尾山ハイクに参加した。ところが四歳の男の子は元気いっぱいで、先頭をグイグイ引っ張って登っていく。
おいおい〜イメージと違うぞ〜・・・。


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下山すると見事な桜が待っていた


オタマジャクシ



里山を歩いていると、小さな水溜まりを発見する。覗いてみると、いるいる。水があるうちに、カエルにならなくては干涸びてしまう。カエルニなってもトカゲや鳥などの天敵がいるしなあ、生きていくのは大変だなあ〜。


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野バラの花も咲き始めた


謂れ


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コバルトブルーの色をして可愛いのに、数ある野草の中でもひときわユニークな名前を頂戴しているのが「オオイヌノフグリ」。なぜこんな名前になったのだろうか?

少し小型で花の色がピンクの「イヌノフグリ」という在来の野草があるのだが、大正時代に全国にヨーロッパ原産のイヌノフグリが広がった。この草と区別するために、大きいという意味を表す「オオ」を付けてオオイヌノフグリと命名したらしい。

では、なぜ犬のフグリなのか、花が散った後の果実がそれに似ているらしい。


水面


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川に石を投げてみる。波紋が広がる。水面の景色がゆらめく。

ただそれだけのこと・・・


素材集め


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埼玉県、名栗川の渕を歩いているとニリンソウが開花していた。早いなあ。撮った一つをパソコンでソフトフォーカスの処理していると、浮かび上がってくるようなイメージになった。まあこんなことができるんだ・・・驚き。

八月から始まる展示会のために、出かける時はカメラを持ち歩いて、これ良いかもと思ったらドンドン撮り貯めている。応募された皆さんの歌が立ち上がるように、写真の素材集めにいま余念がないのだ。


スミレノハ〜ナ〜♬


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四谷の上智大学では卒業式だったらしい。髪をポニーテールに凛々しくまとめた羽織袴の女子たちが、駅の改札を通過していった。四谷の土手の桜も綻び始めているし、歓びも満開だろう。

昨日は、二月の雨のために中止になった天覧山〜多峯主山(こうのすやま)をロケハンした。マイナーなイメージだったが、どうしてどうして春のハイキングには、ハミングが出そうなコースだった。ツツジ、野バラ、スミレ、そしてニリンソウまで咲き始めているのにはビックリ。

花粉さえなければ・・・とマスクおじさんは、呟きながら飯能の低山そして川原歩きを楽しんだ。


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黨が立っていないのをいただいて、今朝フキ味噌を作った


モクレン


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白い蝶が空に向って、一斉に飛び立つかのようだ。桜よりも一足先に咲くのが、コブシそしてモクレン。
この時期になると決まって、一本の大きなコブシを思い出す。花をつけたコブシと彼方に聳える雪山。二つの白が呼応しているかのような早春の美しい風景だった。後にこんな歌を作った。

ふるふると
白い手を振る
谷間の辛夷
眺めているのは
残雪の山々


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40年


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四谷界隈に再開発の波が来ている。駅前の横断歩道に立てば、静かだった街が賑わい始めていることが分かる。ここに事務所を決めたのはもう40年も前。不動産屋のおじさんだったかおばさんだったか、「ここの新宿通りは皇居に向って気の流れがある。事務所を持てば成功間違いなし」。

この一言に反応した。「よし決めた、ここにしよう」。山の手線のど真ん中、アクセスもよく便利だ。洋風なピンクのモルタル造りの建物を見つけ、先輩のコピーライターと事務所をシェアして借りた。ガラス戸を開けるとすぐにマントルピースのあるリビング。そこに丸い大きな木のテーブルを置いて、打合せ室にした。庭にはヤシが植えられて、隣室には占師や建築家らがいて、ドラマでも始りそうな雰囲気があった。集まる友人らは、ウイスキーを持参し自分の名前を書き込んだネッカーをぶら下げた。ボトルはどんどん増えていき、毎夜のように酒盛りが行われた。

「もう仕事なんか止めて、こっちで呑もう」。テンションの高い声を聞きながら仕事をした。よくあんな環境で仕事が出来たものだ。一緒に呑んでから机に戻れば、徹夜になった。若かったんだよなあと思う。

ピンクの建物跡には、大きなビルができた。多くの人が逝った、しかし街を歩けば、床屋、酒屋、居酒屋、そしてどこで知り合ったかなと思う人が挨拶をしてくる。まさかこの街に、40年も通い続けるなんて、その頃は思いもよらなかった。


山の日フェア


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昨日は、山と自然を考える「山の日フェア」会場で、日本山岳会の広報活動のお手伝い。法被姿でパンフレット類を配り、ブースへの誘客を担当した。不思議なもので、法被を引っ掛けるとなぜか元気が出てきて、誰にでも声をかけることができてしまう。

今回のミッションは体力テストだったので、「あなたの登山力は!?」のキャッチを考えた。カンタンに参加できるテストにチャレンジしてもらい、打ち解けてから山や登山の話に繋げていく。写真はテストの一つ「片脚立ち」。当たり前かもしれないが、若い人ほど持続力がある。
山登りする人がどんどん増えるといいなあと思う。


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越冬


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「越冬つばめ」という演歌があったが、この蝶、成虫のまま冬を越えたらしい。翅が傷んでいる。「越冬つばめ」の歌詞は、冬にそむいた冬のツバメよ、吹雪に打たれりゃ 寒かろに〜ヒュルリ〜と切なく歌われているが、成虫で冬を越える虫たちは、体内にグリセリンという凍結しない成分を持っているので、あまり辛い思いをしなくて済むようだ。

温かさに誘われて、やっと春だ〜と、木の樹皮などから飛びだしてきた。花たちも虫を誘いはじめている。


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巨樹


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幹廻りが優に5mを超えるような巨樹を見つけると、思わずハグして悠久の時間を感じようと努める。樹皮に耳を当てて昨年亡くなっていた山登りの仲間を想った。彼だけではなく今年に入ってから友人知人四人を送った。哀しみとともに、死は身近にあると感じるようになった。
昨日の歌会で詠題の「やもり」でこんな歌を詠んだ。

生きていることの
確かな寂しさ
ヤモリが
夜気を
聞いている

難題やもりが、この歌をつくってくれたのかもしれない。導きに感謝。


ミツマタ(三椏)


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神奈川県の大山をハイキングした。春は黄色の花をよく目にするが、このミツマタもそうだ。三つの枝先には小さな蕾をつけて、日当りの良い場所では、花火のような小さな花を弾かせていた。

亀3


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温かくなってくると新宿西口公園の人工池にミドリガメが現れる。冬場はいないから、飼主が越冬させ、春先にここへ運ぶのかもしれない。温かな陽射しを目一杯受けようと、三匹それぞれの甲羅干しの型が決まったら、もう〜動かない。


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ちりめんじゃこ


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京都に行って必ず買って帰るのは「ちりめん山椒」。これに出会ってから、日本人である幸せ項目が一つ増えた。ちりめんと山椒の絶妙な組み合わせ。暖かなご飯にのせて、ムンズと頬張った後の幸福感。しかしウマい美味いと言っているうちに、いつのまにか無くなってしまう。

ある日、ちりめんじゃこの安売りがあった。あったといってもそんなにお安くはないのだが、もしかしたら家でつくれるのじゃないかと、先週末にチャレンジ。レシピもネットにあるので、まったく心配なし。カンタンに出来た。美味い。梅干し、昆布の佃煮、ちりめん山椒のトリオが、毎朝、舌の上で幸せを奏でている。


LINE


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昨夜、新宿通りを歩きながら、何かを忘れてきた・・・なんだろうと悶々とした。四谷駅に着いて、そうだ、ブログのアップをしなかったんだ。追われていても忘れることはないのに。余裕がないのかな。


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LINEも大事だけど、こちらのLINEにも目が奪われる。

梅は咲いたが〜


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桜も咲きました。カワヅザクラ、コフクザクラ、カンヒザクラ、オオカンザクラ・・・
御苑は、いま梅と桜が混在して、人も鳥も待ちきれません。


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三浦雄一郎さん


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週末、新聞社主催の三浦雄一郎氏の講演を聞いた。御年86歳。南米の最高峰アコンカグアにチェレンジした話だった。入場者の多くはアウトドアファッション。高齢でありながらもイキイキした生き方をしているように見えた。

登壇した三浦氏、「午前中は、私が校長をしています高校で卒業式がありました。それを終えてから飛んできました」。「帰国してから風邪にかかっていると思っていましたら、軽い肺炎になっているようでお聞き苦しいと思いますが・・・」。いやはや、タフなおじさんだ。

約一時間、無念の下山を強いられたアコンカグアの約一ヵ月のエピソードを聞いた。一度も座ることなく、途中一度水を飲んだだけで話し通した。出かける時は、足首とリュックに負荷をかけるためにウェイトをつける。毎日、1キロ近くのステーキを食べている。お陰で今メタボです・・・。

夢と目的を実現するために、体力をいつも維持する。父敬三氏もそうだった。100歳超えても独りで料理を作って暮らしていた。心とカラダの長生き遺伝子を受け継いでいるのだろう。広告界にとって、これほどの健康・元気キャラクターはいないかもしれない。

90歳でもう一度ヒマラヤに挑戦したいと云う。家族はどう思っているのだろうか。父の元気は、暮らしのバロメータ!?。なんて思ったが、夢を語り、実現していく男に、やはりロマンを感じた。


三月


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二月が駆け足で逃げていった。「来月末から10連休が始るよ」「どちらにお出かけですか」と、三月のカレンダーが云った。さて、どこに行こう・・・どこへ行っても人の波だろう。もしかしたら東京が一番静かなのではないか。本でも買い込んで、居心地の好いところを探して、読書三昧しようか。夏山のために体力アップしようか。
皆、どうするのだろう・・・。


着ぐるみ


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開発したキャラクターが着ぐるみになって、クライアントの受付で待っていた。身長190センチ、両手を広げて140センチ。ウ〜ム・・・かなりのインパクト。空調ダクトのキャラクターで、名前は「悟空」。来週から始る展示会に登場し、三蔵法師のコンパニオン嬢と会場をおおいに賑わしてくれるはず。


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手動式


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手動開閉式のカゴから


展示会の案内が友人から届く。場所は銀座奥野ビルだ。展示よりもあのレトロな建物のなかを歩ける、そう思っただけで、気持ちが向いていく。平成が間もなく終わり、昭和はますます遠くなっていくなか、昭和の匂いがつまっている奥野ビルは心が安らぐ空間なのだ。

たとえば手動開閉式のエレベータ。二つのドアには、すこし力が必要だ。閉めなければエレベータは動かないし、目的の階に着いたら、当然自分の手で開ける。
これを不便だとは、誰も思わない。停電の時のロウソクのように、ギギギという音を聞いていると、懐かしさとありがたさが沁みていく。


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インジケータは各階、デザインが違う

シンボルマーク


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昨年、五行歌の会のSさんからお声がかかった。25周年を迎えるにあたって、いろいろ相談をさせてくださいという内容だった。事務局に伺うと、主宰からなにか良い企画はありませんかと聞かれたので、即座に「五行歌の展示会全国ツアーはいかがでしょう」と答えた。

話はトントンと進んで記念のシンボルマークを創る運びとなり、主宰にキャッチフレーズのお願いをした。数日後「言葉でひらく未来」という、心に響く一行をいただいた。
うん、いい。この一行に、しばらく水を与え続けた。イメージがどんどん広がっていった。たくさんのラフを描いて、このマークが生まれた。事務局への提案書にはこう標されていた。

キャッチフレーズから広がるイメージをそのままに表現。 さまざまな言葉は、未来に向けて、光のように拡散。 五つの楕円は、人、花、五行・・・。

マークはいま一人歩きをして、いまさまざまな企画や歌会のプリントなどに活かされている。そしてSさんから昨日送られてきたのは、記念切手シート。基金に寄付をされた方々にお贈りするという。なんだか身に余る光栄。ジッと眺めてはにんまりしている。


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富士山の日は


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一昨日の23日は、静岡、山梨両県がそれぞれ条例で定める「富士山の日」。そしてこの日はなんと、皇太子殿下の誕生日。つまり来年から「天皇誕生日」となって祝日となる。山好きの皇太子殿下の誕生日が富士山の日といっしょというのは、なんか嬉しい。

皇居に行ってバンザイをしなくても、白い富士を眺めて、おめでとうございますといえば良いのだ。この習慣、広がるのではないかな。


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ホワイトスペース


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久しぶりにホワイトスペースが効いた広告を見た。初めは「リゼ」の文字が、右側の英会話教室と繋がっているのかと思った。しかし「医療脱毛のリゼ」とある。違う違う。眼を左にずらすと「まっさらな肌へ。」の文字が出てきた。なるほど・・・ホワイトスペースがメチャ活きている。

そのホワイトスペースを見ていると、なにやらが浮かんできた文字・・・毛毛毛毛・・・。凹なのか、凸なのか、白い文字が光の加減で浮かんでくる。あったはずの毛が消えたということか。手が込んでいる。ライバルが多い業界、印象の強い表現を狙ったものなのだろう。

はたしてホワイトスペースの効果が現れて、ケケケケ・・・となるのか。


ルビーチョコ


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バレンタインデーの日「今年はルビーチョコが人気らしい」と娘に言った。すると翌日にプレゼントされたのがこれ。ルビーチョコは高価らしくて、市松模様にミルクチョコも収められていた。

先日テレビで放映されていたチョコの食べ方を見習って、香りを嗅いでから、チョコを折って音を聞く。ふむふむ・・・切り口の香りをもう一度楽しむ。そして口に含んだら上あごに貼付けて、舌で舐め溶かしてチョコを口一杯に広げて贅沢に味わう。なるほど〜新感覚。

ルビーチョコとは?
ダーク、ミルクに続いて、ホワイトが世に出てから約80年。ルビーカカオ豆が偶然に発見されてから栽培されて製品化された。着色料もフルーツのフレーバーも入っていない、ルビーカカオ豆から生まれた種類。
味はというと、深みと酸味の効いたイチゴのような甘味、だろうか。


ルーメソ


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友人Sは「ナンジャ、これ?」と言った。下の黒板にも手書きでルーメソとある。ふふふ・・・俺は分かったぞ〜。面白いことを考えたねえ〜。大山神社の下社近くにあった茶店。


珍味


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この写真を見て直ぐに分かった人は「珍味通」だ。食べてみますかと聞かれて・・・

さて日本の三大珍味と言えばウニ(塩うに)、カラスミ(ボラの卵巣の塩漬け)、このわた(なまこの腸の塩辛)で、酒好きにはたまらない。しかし、ご遠慮しますという珍味も多い。たとえばホヤ、イナゴの佃煮、ザザムシ、はちのこ、へしこなどなど、何それ!?という名前も並ぶ。漁港近くではイソギンチャクやフジツボなども魚屋に並んでいるので、それはそれで素晴らしい地産地消と感心する。

話は長くなったが、この酒のアテは、鱓(うつぼ)の燻製。人生ン十年、初体験の味は・・・それほど美味いものではない、だった。脂がのった歯ごたえの良い鮭トバのような味。にごり酒との組み合わせは、失敗だった。


大山


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残念ながら富士山は霞の中だった


翌日に太股痛、翌々日(つまり今日)にふくらはぎ痛がやって来た。週末、友人S夫婦と丹沢の大山をケーブルカーを使って登ったのだが、思った以上に足腰に来た。とくに下りの階段が長くキツく、もしかしたら残るかなと思ったら・・・やはり。

伊勢原の駅のそばに好い居酒屋を見つけていたので、後半はそれを楽しみにして歩いていた。近郊の山登りは、山なのか酒なのか、それとも両方なのか、最近はトンと分からなくなってきている。なんせお店のオープンに合わせて、逆算してスタートの時間を決めている。

いかんいかんと思いながらもGOOLは、居酒屋なのである。


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いきなりの梯子のような階段がキツい
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狛犬の替わりに竜がいた

たい焼きエレジー


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我が事務所の周辺には、和菓子屋が多い。カステラの坂本屋、和菓子の寛永堂、大角玉屋 本店、そして加賀藩御用御菓子司 森八・・・。和菓子好きには、もう嬉しい環境が整っている。そしてなんといっても自慢は、ジャ〜ン〜!鯛焼きの「わかば」。粒餡の鯛焼き一種類だけで60年。いやはや、頭が下がる。冬になると午前中から列ができて、今やすぐには買えないのである。

そして本日、NHKの番組「ドキュメント72時間」で「冬の東京 たい焼きエレジー」として紹介される。粒餡たっぷりの鯛焼きクンに吸い寄せられる面々をトクとご覧いただきたい。


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チョコブリ


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先週末、天然ぶりが調理されている番組を観ていたら、無性に食べたくなった。そうだ、鰤だけを食べさせる店がある。そこへ行こう。オーナーが鰤のおいしさを広めようと開いた店で、まさに鰤つくしのレシピが並ぶ。
カウンターに座り、店主と酒や養殖の話をしながら、好きな酒を呑るのが楽しい。

これは食べたことがないでしょうと勧められたのが「チョコブリ」。ミカンぶりやスダチぶりのように、餌にチョコを与えた養殖ブリだという。スゴいモノをつくるなあ・・・。
申し訳ない、今日は遠慮しておこう。


パチモン?


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「それにしても似てるわねえ」と家人が言った。先月、福岡空港で渡されたお買い物袋を見つめている。たしかに・・・。数式にしてみると、Takashimaya−kashi=Tamaya。そしてバラのイラストまで。こんなデザイン許されていいのだろうかと気になった。すぐにググってみる。

お〜なんと、玉屋さんは、高島屋主体のハイランドグループに加盟しているとある。さらにシンボルマークには「バラ」の花を採用。紙袋とレジ袋、ギフトカードのデザインは昔から高島屋と全く同じものを使用しており、高島屋のロゴの部分が玉屋のロゴに変わっただけである(ウィキペディア)。

なるほど、そうだったんだ。どちらも200年以上の歴史があるから、通じ合うものがあったのかもしれない。これでスッキリ〜、安心した。


陣馬山


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雪が止んだ。雪の富士山を見たい。どこがいい・・・やはり陣馬山だろう。というわけで、日曜日、高尾駅からバスに揺られて陣馬高原下へ。雪化粧した木々の美しさに息を呑む。まずは和田峠まで一時間、緩斜面の山道を登っていく。吐き出す息も真っ白。それがなんとも神聖な気分で、キーンとした冬山気分になるのだから、嬉しいというかありがたい。

和田峠の茶店で甘酒を呑んで、直登の階段を上がっていくと、お待ちしていました〜とでっかい富士山が現れた。


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堀文子さん


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堀文子さんが亡くなられた。100歳。群れず、慣れず、頼らず・・・
みんなひとりが寂しいといいますが、人といれば本当に寂しくないのかしら? 人は そもそも孤独なんです。名言を幾つも残された。画家も歌人も心構えは、同じなのだろうか。合掌。


極渦崩壊(きょくうずほうかい)


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そんなこと、あたし知りませ〜ん



何て読むのかと思った。「きょくかほうかい」でもいいらしい。
北半球に寒波が襲っている。北極上空を循環する冷たい空気の塊が崩れて、アメリカ大陸側とロシア側に流れ込み、先月末のシカゴは、華氏マイナス45度を記録した。そして今週末、日本も温度が一気に下がり、北海道の陸別ではマイナス30度を下回る予報が出ている。

北極の氷が溶け続けると極渦現象はより頻繁に発生するといわれている。これも温暖化と関係はあるのだろうか。


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こうなるらしい

タワークレーン


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子供の頃、ビー玉を目の高さから落として、仲間のビー玉に命中させると貰えるという遊びをしていた。片目を瞑って狙い落とすのだが、これがなかなか当たらない。

四谷の交差点の信号待ちで、そんなことを思い出しながら、ビルの上のタワークレーンを見ていた。クレーンの運転手は、ピンポイントに向って滑車を下ろし、資材をフックで引き上げては、自らの階の嵩上げをしていく。どこまで上がって、どう下りてくるのだろう。

運転手の特殊技術はスゴいと思うが、なによりあの高さが平気というのがスゴい。コックピットには、トイレや冷蔵庫などが完備されているという。
どんな風の音を聴きながら、どんな街並みを見ているのだろう。


ハートマーク


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このようなサービスをされると、じつに困るのですが・・・


三代目


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ついにやってきました。どうしようかなあと思いながらも選んだのは、OLYMPUS。三代目となる。スペックがほぼ同じというのは、分かりやすく使いやすい。新しい機能のWi-Fiの内蔵は、スマホと連携すれば転送が出来る。その他にも手ぶれ補正やリモート撮影機能、ハイビジョンムービー、接写など、機能を確かめながら仕事の合間にスリスリしている。


待つ


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首を長くして待っているのは何だろう。花粉が終了したころの春だろうか。手術を待っている友人の吉報、友人Y君のお嬢さんの受験の合否、山の雪融け情報と出てくる。二月はきっと、あっという間に終わるのかもしれない。


北雪


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もうずっと昔のこと。佐渡の冬の中にいた。どの街にいたのかさえ覚えていない。夜、吹雪のなか旅館から飛びだして居酒屋を捜すと、すぐに萎びた居酒屋が見つかった。雪降るなかにポツンと灯りを点けて、なんだか健さんの映画に出てくるような構えだった。中に入るとカウンターだけで、女将が「あら、いらっしゃい」と迎えてくれた。

頭の雪をはらって、熱燗を頼んだ。ツマミは軽いものを適当にお願いして、女将をよく見ると、驚くような美人だった。なぜ、こんな街に・・・ちょっと嬉しくなった。この雪では、客はもうこないだろう。

熱燗が出てきた。「美味い」。沁みるように胃に広がった。至福〜。いい酒ですねえと誉めると、これですと一升瓶を見せてくれた。ラベルには「北雪」とあった。新潟の酒ですか?
「これは、佐渡のお酒なんです」。手に取ってじっくり見た。北雪の文字が吹雪いている。そんな話をして笑った。島で、こんなうまい酒を造るなんて、凄いと感心した。これからこの酒を贔屓にしようと決めた。

しばらくすると「いらっしゃいまし」と角刈りの好い男が現れた。
「ん!?」。だよなあ、一人なわけないよなあ・・・苦笑い。

北雪のラベルを見ると、必ずこのときのことを思い出す。あの女将はどうしているだろう。訳あり風の二人なのだと勝手に決めて、記憶の片隅に置いた。東京に帰ってから北雪を探し歩いたが、なかなか見つからなかった。
昨日、事務所の近くのリカーショップで発見。いま、とてもご機嫌。。


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死亡記事


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いただいたカレンダーは全て飾っている



あ〜もう一月が終わる。一月はイク、二月はニゲル、三月はサル・・・年の初めは、ことさらに早いらしい。

死亡記事が目に入る。一昨日は友人の動物カメラマンのKさんが。そして昨日は橋本治氏。いずれも70歳。まだまだ若く、人ごととは思えない。橋本氏の喪主が、母親になっている一行を凝視した。おいくつなのだろうか。東大の合格を、書き上がっていく作品を、さぞ喜ばれたに違いない。なのに自慢の息子を送ることになってしまうとは・・・辛いよなあ。人生は分からない。


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九州新年歌会の二席でこんな副賞をもらった


あの日


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五行歌を始めて13年目になる。歌への変わることのない想いがずっと続いている。もし若い日の私が、歌を詠む楽しみと能力を持っていたら、どんな歌を創っていただろうと思うことがあった。
そんなことを夢想していたら、去年辺りから、ふと現れる少年の青年の私が、歌を詠み始めるようになった。


慎ましい暮らしがあった頃
こんな石鹸で
顔や手を洗って
清潔の匂いを
嗅いでいた

きれいな人が
ひとりいて
きれいな風が
はいってきます
三年四組  窓側  一番後ろ

分かってた
二人とも
なのに
爆ぜる薪  見つめながら
夢なんか  話してた


少年は未知への憧れと汚れていない心を持っていた。青年はそれに向かって走り始めていた。懐かしい私は、歌を創る余裕を持っていた。それが嬉しい。
いま、記憶の引き出しを一つずつ開けて、母との時間を取り戻そうとしている。

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肉が18枚。つまり「ニクジュウハチ」。九州新年歌会の懇親会は、博多しゃぶしゃぶだった。滅多に口に入らないブランド肉がこんなにも〜〜。タレが三種類あって、もう箸が止まらない美味しさだった。そしてお酒は、気仙沼のTさんが持参したウスニゴリ。これも極上の酒で、しばし首を垂れて、涙・・・(ウソ)。

歌会で二席をもらった上に、大好きな九州の人たちと酒が呑める幸せを噛みしめていた。うまか〜よかよ〜と、最高の夜を過ごさせてもらったのだった。


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プロジェクターにも映していただきました


「富久」


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絵師Kさんの描く菊之丞師匠


錦織は残念ながら負けたけれど、なおみちゃんが決勝に進出。全豪オープンから目が離せない。若手がどんどん伸びている。五行歌もテニスも新人が伸びていくのは気持ちがいい。
さて今日はこれから落語の会で、菊之丞師匠の一席が聞ける。新年らしく「富久」がかけられる。分かってはいるが、幇間の久蔵の慌てぶりに笑いも一緒にお伴しやす。。


年間大賞


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昨日は麹町歌会。年間大賞の発表があった。一年間の席の歌から選出者43名の投票により、一席を決めるという年明け恒例のお楽しみだ。一席はこの二首だった。


恋しさの         Kさん
伝えかた
人間が一番下手
言葉を見つけて
しまったから
              
猫のツメみたいな月が   Hさん
心を引っ掻く
今夜は
騙されたままで
いようか



小生の歌は次点だった、残念〜。


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題詠は、ほぼ予想通りでこの二首が一席。Kさんはグランドスラムだ。


連凧に         Kさん
なれない
凧は
空の大きさと
独りで闘う


冬のりんご       Mさん
四つに切ってから
皮をむく君を見ながら
まぁるく剥いてた
あの人を思い出してる


題詠で、小生のこの歌が三席に入った。


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五行歌会


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森羅万象だろうが、海千山千だろうが、「日光連山伏流水仕込み」の表記を見れば、もう気分は我田引水。歌会を終えて素早く宴会の準備。
風林火山のごとくコップに注ぎ、深山幽谷の味わいを楽しめば、天下泰平、不老不死・・・と思ったのは、もう一ヵ月前。

もうすぐ今年初の麹町歌会。年間大賞が発表される日でもある。さてどんな歌が選ばれるのかな。

来客


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冬鳥をよく見かける。日本は過ごしやすいですか?鳥ばかりでなく、人も日本に多くやって来ていて、増加の一途をたどっているようだ。政府の目標は、東京オリンピック開催までに約4,000万人の訪日外国人を呼び込むと鼻息が荒い。一番の理由は、円安。そしてビザの緩和。もう一つがLCC。つまり航空運賃の安い便が増えていることだろうか。

昔は、爆買いする旅行客が多かったけれど、ネット販売が主流になるとピタッと消えた。いまは、着物を着る、食事をする、旅館に泊まるなどを楽しみにしている人が多いという。結構なことだ。
あとは、Wi-Fiサービスの徹底だけかな。


空が近くて


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去年のクリスマスの日、夕暮れの少し前、環八の大きな歩道橋の上で、水色の空を眺めていた。大きな刷毛で重ね塗りされた空色や藤色が染みるように広がって、贅沢な日本画の冬空。西からの光がこんなマジックタイムを創っていたのだろう。
一つの歌を思い出していた。

歩道橋の上で
きみに
話してみたくなったのは
きっと
空が近かったからだ

この歌は、新年の歌会に出されていた。こんな解釈をしていた。
亡くなった親しい友人のことを想い続けていた。歩道橋の上でこんな大きな空に出会ったら思わず立ち止まってしまう。そして元気だった君を思い出して話したくなる。

作者:歩道橋の上で振り返って、思わず君に話しかけてしまった・・・。
なるほど、そうであってもかまわない。なぜなら空がこんなにも近くて、美しいのだから。


冬苺(フユイチゴ)


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名前がいい。フユイチゴ。イチゴは冬だろうと言われれば、確かにそうなのだが、野山ではイチゴは、初夏に花を咲かせて実をつける。冬、杉林の下で隠れるようにしているイチゴを見つけると、どうしても手が伸びる。そして一粒を口に含む。
甘酸っぱい。けれどちょっと違う。完熟しているような、寒さを耐え忍んでいるような「冬の味」がした。


葛飾柴又(2)


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こんな見事な自己紹介、他にあるだろうか〜♬

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獅子舞は、16世紀初頭、伊勢国(いまの三重県)で飢饉や疫病除けに獅子頭が作られ、正月に舞ったのが最初だと言われている。その後、17世紀に伊勢より江戸へ上り、悪魔を祓い、世を祝う縁起ものとして江戸に定着。祝い事や祭礼で獅子舞が行われるようになった。


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お囃子にあわせて獅子が舞い、ご祝儀が出ると店員、客を問わず大きな口を頭にタッチ。今どきは噛まないそうで、みんな嬉しそうに頭を出す。そんな様子を眺めていると、忘れていた小さな幸のありようを知る。眺めている人たちが、皆笑っている。

寅さんと山田監督は、こんな日本の原風景を残しておきたかったのだなと思う。佃島は高層ビルに囲まれてひっそりと残っていたが、ここは生き生きとした街の賑わいがある。まさに生きたテーマパークだ。

お店に入ると女性たちは、サクラさんのように三角巾を被り、それぞれの店に名物オヤジがいそうだ。団子を頬張りながら、ゆっくりとまた歩いてみたい。

葛飾柴又


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吟行歌会も29回を数えた。年4回(春夏秋冬)だから八年目を迎えることになる。今年の最初は、葛飾柴又。ご存知、寅さんの故郷だ。柴又駅に降りると、駅前には寅さんの像がスッと立っている。いなせな姿は実際の寅さんより男前だ(たぶん)。ここで地元のボランティアの方と落合う。

まずは疾病除けとして「神獅子」と呼ばれる獅子舞神事が奉納されている八幡神社へ。するとその獅子舞を演じる方々が出てきた。お囃子がなって獅子が舞い始めると、商店街が一気に賑やか華やかになる。正月らしくていいねえ〜。


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一軒一軒で獅子が舞い、無病息災、商売繁盛を祈願する人たちが獅子に頭を噛んでもらい、ご祝儀を大きな獅子の口に入れる。懐かしい風景だ。帝釈天でお参りをしたあと、商店街の一軒でランチして吟行モードにはいる。


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記憶


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梅の写真を見ていたら、正月、高尾山の帰りに嗅いだ白梅の香りを思い出した。そうだ・・・シャッターを押すとき、被写体に向けて想いを重ねていることがある。後日、そのカットを見ていると、言葉が生まれてくる・・・。

カメラを失くして気がついた。高尾山で会津で、撮影した一つひとつに何かしらの想いを込めていたはずだ。もしかするとそんな想いを記憶させるために、シャッターを押していたともいえる。カメラは記憶の装置か。

とすれば、失ったカメラから旅の記憶を引き抜くことはできるかもしれない。一つひとつを思い出してダビングしてみようかという気になった。
それで想いの半分は取り戻せる。


樹木希林さん


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やはり書こう。樹木希林さんのこと。
昨年「日日是好日」という映画を観た。希林さんはお茶の先生だったのではないかと思うほど、所作が身に付いて、静かな気品を醸し出していた。その一方、普通のおばさんの姿も程良い感じで、その二つの行き来を見ていると、心が和んだ。四季の変化が随所におかれて、日常の一つひとつが人生なのだよと伝えているようだった。

女優では珍しく、美貌などを誇示することもなく老いの姿を伝えながら逝った。全身を癌に蝕まれているようには見えない立ち振る舞いと話し方。もしかしたらそれも演技なのだろうかと思えるほど、インタビューを受ける晩年の彼女はいつも自然体で、そして普段着が美しく似合う人に見えた。

花に喩えるとなんだろう。冬牡丹だろうか。画家堀文子の好きな花。椿や桔梗、蓮、芍薬など多くの花を描いてきた彼女が好きな花は、牡丹。「気高く、王者の風格があり、終わりが美しい」というのが理由だ。

終わりが美しい・・・早くから癌との付き合いが始まったから、終わりの準備ができていたといえばそれまでだが、それ以前の生き方があったからこそ、人生の最後を描けたのではないかと思う。
時間ができたら、彼女の映画をいくつか観てみたい。


ならぬことは、ならぬものです


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娘へのお土産を見て、また思い出す。「コーラ!」



ふとこの言葉を思いだした。会津若松の駅前や城下町のあちこちで目にした「什の掟(じゅうのおきて)」という会津藩の藩士の子弟を教育する7カ条の訓示だ。

一、年長者の言ふことに背いてはなりませぬ
二、年長者には御辞儀をしなければなりませぬ
三、虚言を言ふ事はなりませぬ
四、卑怯な振舞をしてはなりませぬ
五、弱い者をいぢめてはなりませぬ
六、戸外で物を食べてはなりませぬ
七、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ

そして7カ条のお終いに、
ならぬことは、ならぬものです とある。
例え不合理と思われるものでも、決められた事を守れ。そういうことだ。昔は何の迷いもなく、教えを守っていた時代があった。

遠いご先祖を会津に持つ父親に、そんな精神を叩き込まれた。
あのカメラ持ち去りおばさん、会津駅から乗車したはずだが、会津の人間ではないな。

皆さまからいただきました慰めのお言葉をありがたく受け止めています。時間が解決していくことでしょう。きっと失恋から立ち直るよりも早いと思います。


ガックリ・・・


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手に残っているのは一枚の版画とチケットのみ


余程のことでなければ、へこたれないけれど、今回は参った。打ちひしがれた。もうすぐ新宿という長距離バスの中で、誤ってカメラを座席から落とした。カメラは床を滑り前へ流れていった。シートベルトをしているので、到着してから拾おうと判断した。バスが止まったので屈んで探していると、おばさんが拾って行きましたよと、若い女性が教えてくれた。荷物を外に出している運転手に渡すのだろうと思い、降りて聞くと受け取っていないという。
衝撃が走った。どうして?
車内に戻って、運転手ともう一度、床と座席を確認したが見つからなかった。案内所、バス会社のカウンターに行き事情を説明したが、これはもう戻らないのかもしれないと思った。
落としたときに、「カメラを落としてしまいました」と何故声を出せなかったのか。大いなる反省。自分を責めた。

アルキメデスを10年支えてくれた相棒である。その中には、年始、仲間たちと登った高尾山のスナップと会津の冬の風景300カットが記録されていた。二日間、雪の中に立って、木立や池、美術館、磐梯山の峻烈な姿を撮った時間が眠っていた。

池にでも落としたなら諦めはつくが、数人しか乗っていないバスの中で失うとは夢にも思わなかった。おばさん、返してくださいよ〜。



おめでとうございます


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一富士、みたか、嬉しいな。元旦、新宿発のホリデー号の車窓(三鷹付近)から富士山が拝めることができた。なんか、とても新鮮な気分。
一週間の禁酒でカラダが慣れてしまって不安になっていた。起きるはずの禁断症状がまったく現れない。これは歳のせいだろうか。コワ〜というわけで、2日のお屠蘇をいただく前に心身を清めようと、御岳山&日の出山登山を決めた。

ケーブルカーなんか使わず下からきちんと登ろう。山の冷気を吸い込みながら、一歩一歩登っていくと、新しい年の始まりを強く感じた。約一時間半で御嶽神社に到着。今年一年の山登りの安全、家族の健康、五行歌の発展を祈って柏手を高らかに打つ。


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日の出山まで足を伸ばし、お雑煮タイム。下ごしらえをしてきたから簡単だ。溶けないという餅二個をコッフェルに入れて、出汁を注ぎ込む。ガスに火をつけて、蓋をして、しばし景色を眺めてのんびり。正月の関東平野の空は晴れ渡っている。筑波山、富士山、副都心、そしてスカイツリーがはっきり。


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いい音がしてきたので、蓋を開けて餅を確認。お〜食べごろ。紙のボールに移し替えて、三葉と柚子を添えて完成〜。スープが冷えたカラダに沁みること〜、なんかとても真面目なお正月を過ごしているなあと自画自賛。この後、つるつる温泉でさらに幸せになって、2019年の元旦を終えた。


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冬の寒さが美しさを創造するのか



佳いお年を


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Kさんから毎年いただく手づくりの干支


事務所の掃除もようやく終わり、開放された。
サザンオールスターが、来年結成40年!と、WOWOWで桑田君が言っていたが、思えばこちらも独立して40年・・・そんなになるのか・・感慨深い。
よく持ったなあと思う。来年は記念行事がいくつかあるので、実りのある一年にしよう、と、思うのだった。

皆さま、佳い年をお迎えください。
こちらは、1月2日が酔い年になります〜\^o^/^o^\

写真はこの一年の続き



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また来年もよろしくお願いします



振り返って


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残すところ今年もあと僅か。振り返るといろんなことがあった。一番は母を送ったこと。これは堪えた。暮れに入ってから回想していることが多くなった。雪の中、帰京する息子をずっと見送る母。「寒いから中に入って」と叫んでもずっと見送っていた。母というのはそうなのか。
それからそれからと記憶の断片を拾っている。

旅は、奈良、秋田、山形、京都へ。秋田で観た祈りのようでありながら、妖しいまでの雰囲気を醸し出していた西馬音内盆踊りが忘れられない。

山は、初夏の燕岳から飯盛山、そして月山、空木岳、八ヶ岳と登った。年々キツく感じてくるのは歳、そして運動不足か。百名山残り12座、果たしていけるだろうか。

仕事では、久しぶりに制作した新聞広告が、思いかけず日経広告賞をいただいた。新製品、新サービスのネーミング、ロゴタイプにも挑戦した。
そして五行歌25年の来年、展示会や作品作りできっと全国の仲間と連携していくはず。もうひとつの本郷歌会20年も動きだしている。好きなことはいつもだって楽しい。しみじみ、そう思う。


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ピロリ絶滅作戦


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しばらくは歌とお茶の世界で生きてゆく



船は港を離れ〜暗い波間を進む〜♬
泣いて見送るお酒〜あんなに小さい・・・♬

前川清の演歌がつい口に出る。昨日から禁酒一週間の修業が始った。ピロリ菌ことヘリコバクター絶滅作戦だ。こんな年末年始にやるなんてどうよ!と思ったが、担当医師の話が、引き金になったのかもしれない。

「採取した胃の組織を調べましたが、問題はありませんでした」。もしかしたら胃がん!?、と思っていただけに安堵した。よっしゃ〜、禁酒一週間くらいやってやろうじゃないのよ。

賽は投げられた。船は出た。もう立ち止まることはできない。年明けの1月1日まで、実行あるのみ。
頑張るぞ〜!^o^^o^^o^


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ハ〜ヤク  コイコイ  お正月〜♬


有馬記念


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雨の予報ならば、山は山でも中山へというわけで、高尾山をあきらめ、我が家から一時間の中山競馬場に向かう。到着して驚く。なんて人の多いこと。日本人が皆ここへ集まったのではないかと思うほどの人人人だ。駅から競馬場まで続く地下通路を人の列が埋める。

有馬記念で夢をという人が多いのだろう。案内板を頼りになんとかパドックに辿り着く。まあ広いこと。そしてサラブレッドの美しいこと。見るモノ全てが新鮮。
ところがチケットの買い方が分からない。マークシートになっているらしい。アドバイザーに教えを乞う。なるほどなるほど、了解!


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狙うはただ一頭。障害だけではなく、平地でもトップを目指すという、まさに二刀流の馬。人に喩えると大谷翔平か。その夢かなえてくれ〜。

スタート。飛び出した。第三コーナーまではトップグループ。しかし最期の直線で怒涛のように有力馬たちに抜かれた。残念〜、でも楽しませてくれた。ふとLINEを見ると、家人から。

「もし買えたらでいいのですが、8番の馬を。なんとかワンピース、名前が素敵」。電光掲示板を見ると、その馬が一着だった・・・アリ・・マア・・・。


美ら海水族館


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どこへ行きたい?と聞かれれば、美ら海水族館と答えるかなあと、この大迫力のジンベイザメの写真を見ている。Hさんから沖縄に行ってきました〜と立ち泳ぎをするジンベイザメ君が送られてきた。餌をもらっているらしい。オキアミだろうか。

クジラもそうだけど、この大きな鮫が広い海を悠々と泳いでいる姿を想像すると、脱力してしまう。もうひとつの命の時間がそこにある。
そういえば先月、ジャイアントマンタの飼育にも成功したとあった。幅が5m近くあるらしい。マンタとジンベイザメ・・・来年は行ってみようかな。

立ち泳ぎといえば、こんな歌をつくっていた。

立ち漕ぎで
坂を
上っていく
君の息と
白いソックス


冬至


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思えば、毎年のように冬至をテーマに書いている。なぜだろう。小さな頃に吹き込まれた一言があるのではないかと思う。「冬至がくれば、日一日と長くなっていく」。それが父であったかどうかは、はっきりしないが、寒さが厳しくなるというのに、少しずつ明るくなっていく喜びを感じた。

山に喩えれば、きつい登りの峠を越えた安堵感だろうか。そんな想いを半世紀以上抱えて、年の暮れの冬至を喜んできた。帰宅すれば、思いがけない柚子湯があったりして、日本はいいよなあと思う。

先日の歌会でこんな歌を詠んだ。

緩やかな
冬至という峠を越えて
一日は         
夜を捨て
昼を拾っていく


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仏手柑


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イゾラドには、驚いたけれども、これにもビックリした。こんな果実があった。仏手柑(ぶっしゅかん)。ググるとこうある。

ミカン科ミカン属の常緑低木樹で、「カボス」「ユズ」などと同じ香酸柑橘類の一種である。シトロンの変種。ブシュカンとも言う。

インド東北部原産。果実は芳香があり濃黄色に熟し、長楕円体で先が指のように分かれる。名称はその形を合掌する両手に見立て、「仏の手」と美称したもの。一般的に砂糖漬けなどで菓子にしたり、乾燥させて漢方薬にしたりして利用される。収穫量の全てが鹿児島県において生産されている。

これが食べられるなんてねえ、世の中には驚く発見がある。
この猫の存在にも驚いた。マヌルネコ。こんな真ん丸の可愛い猫が、モンゴル高原を走り回っていたなんて。どう見たって、マヌルネコではなくてマンマルネコ?



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イゾラドを観て


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週末、NHKスペシャル「大アマゾン・最後の秘境」を観ていた。イゾラド。アマゾンの奥地、文明を持たず、現代人との接触を一切もたなかった民。原初の先住民がまだこの地球上にいた。衣服を着ずに、手にしているのは、槍か弓矢の武器だけ。その男イゾラドと私たちの間には、まさにアマゾンのような大きな川が流れていた。

部族の仲間たちを失い、たった一人自分しか分からない言葉で話し続ける男の瞳には、深い孤独が映っていた。意味の分からない言葉は、小さな打楽器から響く音のように聞こえる。その言葉は誰に理解されることもなく、土に森に吸い込まれ、消えていく。

「彼を彼らの言葉を失うということは、私たちが豊かさを失うということでもあるのだ」保護官の男は、隔離という方法でしか彼らを護れない現状を嘆きながら語った。

まさしくその通り。たとえば力の政治で美しい海に土砂を入れ、埋め立てる行為もまた、私たちから豊かさを奪っている。失われていく豊かさと代替えに、与えられるものは、エゴむき出しの差別と政治という計り知れない力でしかない。屈してはいけない。


甘露甘露


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久しぶりにカンロ飴を口にした。懐かしい甘さが口に広がった。なんだろう、このやさしい甘さは・・・袋を見ると「水飴」の表記があった。原材料は「砂糖、水飴、しょうゆ(小麦、大豆を含む)、食塩」。これだけである。

なるほど〜と感心していると、家人が「安全な材料ばかりなので、最近はお料理に使っている人が多いみたい」。

ググってみると「大学芋」「いかなごのくぎ煮」「肉じゃが」「蓮根の甘煮」などのレシピが並んだ・・・良いねえ〜まさに甘露甘露。



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こちらは朝日新聞「かたえくぼ」で半年ぶりの快挙、Sさん、おめでとうございます


侘び寂び



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秋の山には、やや肩を落としたような初老の趣きがある。西日を受けて光を放つのはススキの穂やドライフラワーとなったヤマアジサイの花くらいか。
木々の葉はほとんど落ちて、枝があらわとなり、遠くの山々が見通せるようになった。褪せていく、枯れていく姿の「寂び」と「詫び」。こんな自然の刹那にも美しさの意味を感じ取れるようになってきた(かな)。


アザミ嬢


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ララバ〜イ ひとりで眠れない夜は〜♬と、歌っていたアザミ嬢も冷たい風が吹き始めると、花を散らして姿を変えていく。タンポポと同じような綿毛姿となり、風に誘われて飛び立っていく。綿毛の一つひとつには、さらに細かい毛が生えていて、新しい地を決めると、そこでアザミ嬢は根を下ろす。


かどや


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山を下りると居酒屋が待っている。それを励みに山登りをしている倶楽部が、我らの会ORMAC。正しくはOld Rookies Mountain&Alcohol Club。酒好きが揃った山の会だ。そんなわけで居酒屋の開店時間にあわせて、山のスタート時間が決まるという不思議な倶楽部運営をしている。

↑ここは山の友人から教えられたJR相模湖駅前の「かどや」。以前の店舗は昭和を感じさせる雰囲気だったが、改装が加えられてすっかり新しくなった。しかし、メニューとおかみさんの人柄とサービスは、なんら変わっていない。

この丸っこいメニューの文字〜。一つひとつに店主の愛情と小さな自慢が見え隠れしている。登山者も地元の人にも愛されている貴重なお店で、高尾山からわざわざ足を延ばして来る人たちがいる。

ところがこの日は、貸し切り。残念。丹沢ほまれ(一合350円)を呑りながら、乳酸菌の効いた漬け物とさばの味噌にを食べたかった・・・。


フェイク


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向き合おうともせずに、フェイクだと言ってその場逃れをする人がいる。それをそのまま信用する人たちもいる。何が事実でどれが嘘なのか。いま求めない情報までが入り込んできて、脳を揺さぶる。事実をしっかりこの目で確認しないと、真実は見えない。

BBQの帰り、この寒いのにナイトマラソンがあるという。見ると若者達が多く集まって20キロハーフを走ろうとしている。「おっ、あそこにいるのは、川内くん」「記念撮影をいいですか」とお願いすれば、「どうぞ〜」と答えてくれた。向き合って、話をして、肩を組んで、ツーショット。

ご機嫌な気持ちでそこを離れると、あの人はそっくりさんですよと言われた。「えっ!?」。しっかり見たはずなのに・・・。

よ〜く見ると「埼王県庁」「M高史」。彼は隠してはいなかった・・・。


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屹立


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生涯これだけの酒を呑めるだろうか。いやもしかしたらもう呑んでいるのかもしれない、とシャンパンタワーを見上げた。あ〜もう10月・・・嘆いたのはほんの少し前のはずだ。はや師走でクリスマス。実感がともなわない毎日が流れていく。

小さな変化を認められるとしたら、毎朝の鏡の中か。じつに僅かだが、おっさん化している。ここから早いのだろうか。そうはいかんぞと鏡を睨みつける。

赤と黄の間で


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一昨日から三日間、病院通いをしている。背中右下の腎臓のある箇所に強い痛みが出てから早二週間、心配になってCTスキャンを撮ってもらった。
画像を見た医師曰く「もう石は、出ていますね」。
参った・・・「たぶん石があるんじゃないかと思うんです」と、事前に伝えていたので、その答らしいのだが、ビシッとツボを押さえられた。思わず笑った。「そうですか・・・もう少し、様子をみることにします」。

昨日は、歯の定期検診。山の話を聞きたがる若い医師と仲がいい。他に患者がいないと、トレーニングや3000mの高所などの話をしばらくする。朗らかで、聞き上手でこんな良い人いるのだろうかと思う。総入れ歯にならないよう、ブラシングとケアを怠らないようにの言葉をいただく。

そして今日は、胃カメラ。春の検診で胃にピロリ菌があると言われて、紹介状を書いてもらっていた。10年前に苦しい思いをしてから避けていたのだが、「CTスキャンと一緒にやってもらったら」と家人が言うので、仕方なしに受けた。全身麻酔。記憶なし。フラフラしながら、医師とモニターに映る胃壁を見つめる。「ピロリ菌はいます。治療をしていきましょう。そして癌らしき細胞を取りましたので後日、結果がでます」。「それは意外〜!」。

そうか・・・腰の痛みが出なければ、胃がんが進行していたのかもしれないのか。結果が出るまで、あと三週間、赤と黄の間で揺れ続ける・・・。


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もぎりよ・・・


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満席となり、舞台の袖の太鼓部屋から織音さんの講談を聞く


一昨日は、年末恒例の「華競(はなくらべ)女伊達演芸会」と題した講談の会だった。友人Yさんが席亭を務めて早10年。その間、黒子に徹して下足番とモギリを担当してきた。玄関で舞台横の太鼓部屋で、Yさんが創作した人情話を聞いていると、いろいろと感慨深いものがあった。
この講談会はこれで一区切り。この間、神田織音(おりね)、そして神田鯉栄(りえい)のご両人は、見事真打ちに昇進された。二人は所属する会が違う、けれどいつも仲が良くて、微笑ましい。これでしばらく彼女たちとも会えないかと思うと、寂しいものがある・・・
これからは、テレビで演芸場で活躍する彼女たちを応援していこう。

さて〆は、なぞかけで〜〜

「席亭であるYさん、私への感謝とかけまして」

「石原裕次郎と解きます」

 そのこころは〜〜

「モギリよ今夜もありがとう」


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織音師匠へ、10年間ご苦労さまでした


親子でBBQ


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パタパタパタパタパタパタ・・・千回以上扇いだかも


晩餐会の翌日は、山岳会の家族登山普及委員会のメンバー6人と三家族親子9人によるBBQパーティ。今回はリーダーなので、昭和記念公園を事前に訪れて、詳細なコースプランと準備をしていた。

持参したORMACの30ℓのナベで芋煮の準備を始める。まずは火起こし。毎年炭の質が落ちているのではないかと思えるくらい、燃焼力がいま一つ。出来上がるまでにずいぶん時間がかかってしまった。


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そして今回の副菜は、おっさん、おばさんの好みを子供たちに食べてもらおうと、レトロ感が溢れる「お餅とおやき」を組み合わせた。おやきの中身はもちろん野沢菜。子供たち食べられるかな〜と思ったが、自分たちで焼いてパクパクと食べてくれた。野沢菜、全然平気だ。

芋煮も、人気があった。寒かったこともあるけれど、子どもたちは二杯、大人も平均五杯くらい食べてくれた。すっかり皆のお腹に消えていった。アルコールなしというのが辛かったが、たまにはこんな健康路線も良いのかも。


バターとシナモンによる焼きバナナ、人気がありました


連日の疲れと好い居酒屋が見つからないこともあって、暗くなる前に解散。家族登山普及委員会ではじつに珍しいことだった。


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小さい頃から五感を育もうとハーブの香りを体験したね〜


秋を楽しむ


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九州の友人は、山でうどんをよく作っているらしいので、よし!こちらも〜というわけで、ガスコンロとコッフェルをもって高尾山の一丁平へ向う。

今回はケーブルカーの最前列で紅葉を楽しもうと改札を抜けると、なんと〜すでに占領されていた。みんな知っているのだ・・・動き始めると皆さんスマホで映しはじめる。お〜キレイ、それ、いいなあ〜。

こちらは歌を

紅葉の絵画を
手繰り寄せるかのように
ケーブルカー
わっし わっしと
傾斜31度を登っていくよ


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最近はまってしまった天狗焼き

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干し柿


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干し柿を見ると心が温まる。子どもの頃、一つ貰うと惜しむように時間をかけて食べた。北海道は柿が出来ないので、内地から届く柿は、干し柿か、渋柿を酒樽に詰め、樽に残るアルコール分で渋を抜いて甘くした樽柿(たるがき)だった。

去年の冬、会津を旅したときに無人駅で地元の女性から貰った干し柿を思い出した。昔々に口にしたあの干し柿の深い味わいだった。



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廃線跡


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奥多摩のむかし道を歩いていたら、廃線になったレールやトンネル、橋などを見つけた。たぶん古い奥多摩の路線だと思いながら、しばらく辿って歩いた。かつてここを多くの人が往来していたのかと思うと感慨深かった。

ところが調べてみると廃線跡は「水根貨物線」という小河内ダム建設のために敷かれた東京都水道局の専用線だった。運行期間は昭和27年(1952)の鉄路開通から昭和32年(1957)の小河内ダム竣工までの5年間だけ。もったいない。
もし整備をして復活すれば、紅葉の中を走る人気路線として評判を呼ぶのではないかと思ったのだが・・・。


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隧道はいくつもあった

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この吊り橋の上から勇気を振り絞って撮った


雪虫


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今日は雪の季節の始まりを告げる「小雪」だというので、雪虫の登場。むかし道を歩いていると、目の前をフワフワと雪虫。おお〜久しぶりのご対面。北海道時代は毎年、10月頃には必ず現れた。これが舞うともうすぐ雪になるから、あ〜やだねえ、となる。雪の妖精とも言われるが、北国の人はこの雪虫を歓迎していたわけではなかった。

みんな急かされるように厳しい冬の支度を始めるのだ。庭の冬囲い、スパイクタイヤの準備、冬物の服をだしたりと、雪虫を境に暮らしが変わっていく。そんな日があったことを思い出した。お前はそれを伝えに飛んでくれるんだよなあ〜。



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ひっつき虫


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拡大すると矢じりの先にはカエシが付いているコセンダングサ(小栴檀草)


こう寒くなると、誰かにひっついて暖をとりたくなる。若いカップルがベタッとしながら歩いていると、いいなあ〜冬がくるなあ〜と思う。

さて、秋の野山を歩くと衣服にさまざまなひっつき虫。棘でつくもの、粘着系でつくもの、イキモノに種子を運んでもらって子孫を増やす企みだ。拡大してよく見ると、放射状の種子の一本一本には釣り針のようなカエシが付いている。衣服に近づけると、ひっつき虫〜♬〜見事なもんだ。


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ひっつき虫の正体は、こんな花


自撮り



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日曜日、発作的に独り歩きをしたくなって、読みかけの文庫本を手にして奥多摩まで足を延ばす。終点の奥多摩駅に着くと気温が意外に低いので驚く。バス停には長蛇の列。とりあえず奥多摩湖まで行き、江戸時代から利用されていた「むかし道」を歩くことにする。

バスの終点、奥多摩湖に着くと、湖がドーンと広がっていた。湖の浮きの上に見えるいくつかの影は、きっとカワウだろう。並んで羽を休めている。ここには豊富なエサ(魚)が多いのだ。毎日、この広い湖を眺めながら、食の心配もなく、ぼんやり・・・幸せだねえ。

湖周辺にポツポツと咲く十月桜を眺めてから「水と緑のふれあい館」へ。ここは東京都水道局が管理をしている展示館だ。奥多摩の四季の映像をなるほど〜と観てから、専用眼鏡をかけて「3Dシアター」の「奥多摩の森の不思議編」を楽しむ。飛びだしてくるような映像が刺激的だった。日暮れは早い、そろそろ歩き始めなくては。

コースにはモミジが多い。去年の春に登った時には、全く気がつかなかった。独りの男性がミラーに映る自身の写真を撮っていた。あら面白い〜。どれどれ撮ってみよう。オレンジのパーカーが、紅葉と合ってよく映えること。


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熱燗


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寒くなってきて、寒さに弱くなったことを知る。暖が恋しい。熱燗が恋しい。燗のなかの文字は、なぜ「日」ではなく「月」なのか。熱い酒が胃に沁みていくと、月のカタチになっていくのだろうか。そう思うと、吊革をもつ手に力が入って、ごくりと喉が鳴るのだった。


ウバユリ


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ウバユリってバカにすんなよ〜


ウバユリの乾燥した実を見つけると揺すって、種子を飛ばして遊ぶ。△のカタチをした種子は、ヒラヒラと風に乗って飛んでいく。この種子はオブラートでラッピングされたお菓子に似ている。

ウバユリ。なぜこんな名前が付いたのか!?蕾がつきはじめると葉が枯れて、ボロボロになっていくことから「葉(歯)」がない。それを姥にたとえて「ウバユリ」。ちょっと可愛そう。きれいな花が咲くのに・・・


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環境問題


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昨日、環境ポスター展が終わりました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
学生時代の友人、仕事の仲間、歌会や山仲間など久々に会えた人も多く、展覧会は、集う人を暖めてくれる焚き火のようなものかもしれないと思いました。

「環境」をテーマにすると、さまざまな問題や課題が複雑に絡み合っているので、制作していくのがじつに難しい。最終的に行き着くところは、人間の行いと地球との関係。

ポスターから伝えられることは何だろう。人や社会を動かせるのだろうかと、いつも悩んでしまう。そんな時に思い出すのが、半世紀近く前、18歳の青年に衝撃を与えたこの全10段の新聞広告だった。



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思えばこの新聞広告が、環境という後々の仕事のテーマを示唆してくれたのかもしれない。
この広告はスクラップブックに貼られて、ゴリラは何度も私と対峙することになった。10年、20年経つと最後は黄ばんで、彼の目の輝きも失われた。

でも課題を与えられた学生のように、いまも真剣に向き合って表現の道を探している。それはきっと生き方の確認であり、読み聞きした知恵であり、眠っている感性を呼び起こすことではないかと思う。

ゴリラの呼びかけに、私は今でも応えようとしているのかもしれない。


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 多くの方に来ていただきました



信玄棒道


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スタートは紅葉真っただ中の三分一湧水のある公園


八ヶ岳南麓から西麓にかけての甲信国境にある信玄棒道(しんげんぼうみち)は、武田信玄が北信を攻め上がるときに造られた軍用道路といわれている。その約8.5キロ区間(小海線の甲斐小泉から小淵沢まで)をORMACのメンバー五人とハイキングした。カラマツは黄葉を過ぎていたが、コースを彩るモミジは紅に朱にそして薄緑に染まり、晩秋の美しさを際立たせていた。

遠くには南アルプス、麓には八ヶ岳連峰が聳え立ち、道の途中には江戸時代に安置された石仏がいくつもあった。多くは観音様で、豊かな表情を讃えて私たちの疲れを癒してくれた。穏やかな枯れ葉の道を踏みしめていくと、醗酵がすすむ枯れ葉の匂いが足元から上がってきて、時の移ろいを深く感じさせてくれた。

ORMACも高齢化がすすんで、きつい山が敬遠されるようになってきた。来年はどんな山旅を計画していこうかと考えながら、ゴールの小淵沢駅へ下りていった。


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最後尾を歩きながらリースを作っていた


虫たち


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友人Sの肩に止まったイトトンボ。今年は、虫に出会うたびに昆虫少年だったという福岡伸一さんを思い出すことが多かった。
初蝶が飛びはじめる春、黄色が先か白が先かと占いの話を思い出したり、初夏になれば今ごろエゾハルゼミの声が森に沁みわたるように聞こえているのだろうなあと想像して、もう一つの時間を抱えていた。

さあ、ギャラリーに行かなくては・・・。


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鳥の写真


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山仲間のTさんから送られた冬鳥のジョウビタキの写真。ピントバッチリ、素晴らしい〜、腕はもちろんだけどカメラも良いんだろうなあ。警戒心のない表情が愛らしくイキイキとしている。
Tさんはこの一瞬のために、どれだけの時間が費やしたのだろう。


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我がカメラだってチョコレート好きな!?スズメをばっちり押さえている。じつは偶然、ピントがあったような気もするのだけど・・・後ろに映っている二人は、なぜ頭を下げているのだろう。
日比谷公園だから皇居に向って!?


環境ポスター展


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久しぶりに学生の気持ちになって環境ポスターを1点制作した。友人でデザイナーの儘田能光さんに出しなさいよ〜と毎年お誘いを受けていたが、どうにもアイデアが浮かばず、ポスター展で作品をただ眺める人になっていた。

それが今年は、一つ超えられるものが見つかり、そうか、こうだったかと、一気に仕上げることができた。それは・・・↓ ぜひここでご覧ください。

・11/7(水)〜11/13(火)、11日(日)は休館。
 11:00〜18:00 最終日(13日)は14:00まで
・山脇ギャラリー(山脇美術専門学校)
・千代田区九段南4−8−21
・JR市ヶ谷駅・都営新宿線市ヶ谷駅から徒歩1分

*チャリティカレンダー展も同時開催中。
*9日、10日の14:00から在廊しています。


ブルームーン


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バラフェスタが終わって、バラの名前を一つ覚えた。ブルームーン。誘うような甘い香りの囁きに痺れた。その香りを嗅ぐと、カラダが麻痺していくような錯覚・・・これは危険な香り。
ウィキペディアには「青系のバラで、ダマスクとティーの混在した、いわゆるブルーローズの香りがする」とある。分かるようで分からない。
部屋のどこかにこのバラがあると、集中力が落ちるかもしれない。


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どのバラも絵画というかイラスト画のようでもある。


甘利山


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地図を眺めていると、ある山に目が止まるときがある。この山頂から北アルプスはどんなふうに見えるのだろう・・・ここへ続くなだらかな美しい稜線をいつか歩いてみたい・・・。若い頃は、その山への思いを強くして軽い興奮を覚えた。

甘利山もそのひとつ。南アルプスの支稜鳳凰山東側山腹に位置する1700mの山から、どんな景色が見えるのだろうとマークしていた。ひょんなことから山頂部の東屋まで足を延ばすことになった。グングン高度を上げていくと、眼下の甲府の街が広がり、遠くに富士山がクッキリと姿を現した。
雄大な景色は、地図上の創造を遥かに超えた。


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霧氷


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北八ヶ岳、2400m付近はマイナス5度。シラビソの樹々は霧氷を纏い、青空を突き刺すかのようにそびえ立つ。一足早いクリスマスツリーだ。しかし、こうしてよく見えるのは周辺の倒木のせいと気づいた。ここ縞枯山一帯は、針葉樹林のシラビソやオオシラビソに被われているのだが、まるでゴジラでも歩いたのかのように、なぎ倒されていた。次々に襲った大型台風の影響だろう。


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風が吹くと凍りつくように冷えこむ。カメラを持つ手がかじかむ。頬の筋肉がどんどん硬直していく。冬装備をしてきたのに・・・一晩をここで過ごすのは凍死を意味するだろう。


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山裾は、黄葉のカラマツ林が広がっていた。西日が舐めると息を呑むような黄金色に輝く。


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早い〜、もう11月。日めくりのようなカレンダー・・・


世田谷フィルオーケストラ


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この日のロビーコンサートは打楽器だった


友人Tさんの奥さんは世田谷フィルオーケストラのフルート奏者。縁があって演奏会のパンフレット制作などのお手伝いをして、早15年以上が経つ。つまり年2回として30回以上、この昭和女子大の人見記念講堂に来ていることになる。お陰さまですっかり縁がなかったクラシック音楽の素晴しさが分かり、今はあちこちに足を運んで聴いている。
歩く、観る、聴く、食べる、そして呑む。ようやく五感の秋がやって来た。


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いつもの二階席から。ハープが二台入っている〜とか思って、待っている


ネコ戯らし


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昨日が「ワン」なら、今日は、ネコ。
正式名はエノコログサ(狗尾草)。犬の尾に似ていることから「犬っころ草」。この「いぬっころくさ」が転じてエノコログサになり、これに猫がじゃれつくので、ネコジャラシになったんだと。。


ワンだFULL


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福岡伸一さん


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対談企画ではあったが、その殆どは福岡さんの話に終始した。山口果林さんは聡明な人。私たちの思いを察知しているかのように、昆虫少年、生物学、動的平衡、そしてフェルメールへといった興味深い話を引き出し、福岡伸一という人物を多角的に切りとって見せてくれた。

方丈記の一説・・・川はいつもそこにあるように見えるが、流れている水は二度と再び同じ水ではないという引用で生命科学を語り、「エントロピー増大の法則」の「秩序があるものは、その秩序が崩壊される方向にしか動かない」という宇宙論へと広げていく。

福岡さんは、学者でありながら表現や物の見方が文学的というか、ロマンチストというか、彼の目を通して世界を見ると、この世は「センス・オブ・ワンダー」にあふれているようだ。

二時間の話は、あっという間に過ぎてこんな結びが用意されていた。
東山魁夷の「年暮る」という絵が映しだされ、山口さんが彼の想いを朗読した。


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目を閉じると今もなおしんしんと降り続いている。
それは、静かに、ひとしく、すべてのものごとの上にやわらかく降りつもる。
つまりここに描かれているのは雪の一片一片ではなく、
時間そのものなのである。


家族登山教室


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秋晴れの日曜日は、年に6回の家族登山の日。東京都の最深部に位置する「桧原都民の森」を子供たちと一緒に歩いた。都民の森までは、電車、バスを乗り継ぎ約二時間かかる。数えると今年すでに三回目。縁があるというか、ここがオープンした(平成2年)際に、ポスターやパンフレットなどを制作したこともあって、今もおらが森という愛着がある。

今回のメインは、山ごはんとキーホルダー作り。久しく使っていなかったガス、バーナー、コッフェルのセットでナポリタンを作ったのだが、これが意外に上手くできて好評。14人分がぺろりとなくなった。そして森林館でキーホルダー作り。やっぱりね〜、必ず大人たちが夢中になるのだ。

孫のような子供たちと森の中を歩きながら、受けないクイズを出し続ける。「大きなヘビが二匹いました。名前はなんでしょう?」「・・・・」「ニヒキヘビです」「・・・・」。
「大きなお相撲さんが二匹いました、なんて言う名前でしょう」「・・・」「コニヒキです〜」「・・・分かる分けないよ〜」。
なぜだか楽しいのは、なぜだろう。



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男の子たちはピストル。なるほど、そうなるか・・・


芸術の秋


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昨日おじゃました「さとうしのぶ展」より


この一週間に友人の展覧会4つを回りました。五行歌展、絵画展、書道展、絵画展、どれも刺激を受けました。きっとどこかに記憶されて、何かの時に立ち上がってくるのだと思います。そしてこれから生物学者の福岡伸一さんと山口果林さんの対談を聞きに朝日新聞ホールへ。いまもっとも夢中の福岡氏、どんなメッセージを発信してくれるのか、興味津々。。


地面師


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地面師・・・不思議な肩書というか職業というか、なんとも怪しい漢字三文字。家人から初めて聞いたとき「ジメンシー」と聞き間違えた。
何じゃそりゃ?

新聞によると日本の大手住宅メーカーが、この地面師らにまんまと63億円を支払ってしまったとある。戦後のドタバタならまだしも、今の時代にこんなことが起こるなんて、じつに可笑しい。アッパレをペタペタ貼りたくなる。まるでドラマを見ているようで、思わず登場人物を並べて俳優を選んでしまった。

三文字目の「師」に注目。なんで「師」なのか?そもそも「師」とは・・・教師、宣教師、美容師、講談師、マッサージ師と世の中、たくさんの「師」がいらっしゃるわけだが、地面のプロなのだろうかと、ググった。

地面師とは、土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る不動産をめぐる詐欺の手口の一つ、またはそうした手口の詐欺師。
そうだ・・・サギにも「師」がつく。「師」の付くいわれは何だろう。

落語は落語家、講談は講談師、じつに不思議。
いつか分かった時にまた続きを・・・。。


塩害


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これは、十月桜かもしれない・・・


耳慣れぬ言葉。塩害。大型台風による塩分を含んだ潮風が、農作物や街路樹、そして人工物にも大きな被害を与えている。「植えられたコスモス約100万本がほぼ全滅」とか「季節外れの桜開花相次ぐ 全国で350件」「電線から火花が発生する現象が300件以上起きていた」などの新聞記事を目にした。

気持ちのいい潮風も塩を含むと大きな害を及ぼす。今年は暑い日が続いたかと思うと、台風、そして塩害まで・・・観光地は、踏んだり蹴ったりだろう。


佃島(2)


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佃島には、取り残された古い下町の空気というか、懐かしい気配があった。それは助走を付けなくても隣りの家にひょいと飛べそうなくらいの路地の狭さだったり、人情に溢れているけれど、キツそうな顔をした人たちが、今にも出てきそうな古い家だったり・・・。

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低い街並の中にポツンと住吉神社があった。戦災にも合わなかった古いレンガ造りの神輿蔵、三年に一度の祭にお披露目される八角神輿、そして手水舎に彫られている漁師や獅子など、その時代の佃島の歴史が残っていた。


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渡船場の前でYさんが話をしていると、女性が近づいて来て「ここに嫁いで60年です」と話し始めた。こんな出会いも吟行の楽しいところ。「昔はこの前から船が出ていて、多くの人が行き交っていたんです」と往事の風景を思い出しながら話された。もしかしたら花嫁姿で河を渡った来たのだろうか。
佃の渡しは昭和39年の東京オリンピックの年まで対岸の明石町を結んでいたが、佃大橋が完成して渡しは廃止された。


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佃煮屋さんが三軒あって、その一軒で「あみ、しらす、あさりの皮包み・三品」を買った。

佃島


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今は陸続きになってしまった佃島は、高層マンションから見下ろされている街



先週末は、久々の吟行歌会で参加者七名。月島駅に集合し、江戸の歴史に詳しい友人Yさんの案内で、佃島から明石町界隈を歩いた。
佃島は、江戸時代、徳川家康が隅田川河口の砂州を埋め立て、人口の島を造り、摂津国佃村(現大阪市西淀川区佃町)の漁師33人を招いて住まわせたところから、この名がついたといわれている。その背景には、本能寺の変に際して摂津国佃村の人たちが家康の脱出を助けたというエピソードがあるらしいが、どうなんだろうか。もしかしたら大きくなってゆく江戸の街に、魚を扱う人や市場が必要だったのかもしれない。

古地図を見ると佃島は、ポツンと田の字をして浮かんでいるように見える。戦災にも合わず、島はそのままの姿で歴史を刻んだようだ。祭の勇壮さ、漁師の荒々しさとともに小さな町で支え合ってきたからこその人情、そして渡し船が唯一の交通手段だったという辺境感が、小さな街から伝わってきた。


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田の字に見える佃島。上の大きな島は石川島(後のIHI)


こんな歌をつくった。

砂州を埋め立て
島をつくり
海という田を与えた家康公
人はここを故郷とし
佃島と呼んだ


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佃大橋から見る佃町。マンションは一軒も立っていない


白いクレパス


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絵を観ていると思い出が蘇ったり、もしかしてと創造の羽が生えてくることがある。過去と未来が交差するそれは静かで幸せな時間だ。この夏「巨匠たちのクレパス画展」を観て、一つ発見があった。この展覧会はサクラクレパスがパトロン。展示された絵の全てはクレパス画ばかり。えっ、これが?クレパスだけで描かれている?と驚く。

クレパスといえば、子供、初めてのお絵かき、日記帳、そんなイメージしかなかったから、日本の著名な画家たちのクレパス画を観て唸った。どれも名画ばかり。色彩の豊かさ、華やかさは想像をはるかに超えていた。熊谷守一、小磯良平、三岸節子、梅原龍三郎、林武、加山又造ら多くの画家たち、もしかしたらクレパスに夢中になっていたのではないか、と静かに興奮した。

油絵と見紛うような絵の中にクレパスでなければ生まれないような色彩の美しさがあった。なぜこんなに色が豊かになるのか。目を凝らして観ているうちに、共通しているテクニックを発見した。それは白いクレパスの重ね塗りだった。原色部分に白いパステルが入ると淡い色調が生まれ、何とも穏やかな風合いを醸しだす。白いクレパスって、下書きだけではなく、こんな素晴らしい働きをするんだ。クレパス画を鑑賞する楽しみが広がった。

観終わって、クレパス画のことを思っていたら、こんな歌ができた。

白いクレパスって
聞き上手な人に似ている
重ね色をして
どんどん
魅力的に変えていく


そして、先日の「没後50年藤田嗣治」の絵画展からは・・・

嗣治の
乳白の少女の頬と
虚ろな瞳
あの日  ホームでサヨナラした
君とおんなじ

秋という触媒に反応させて、もっと私を引きだそう.


台風マリア


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これでもかと今年は、台風が次々にやってくる。それも鼻息の荒い体育会系のようなタイプばかり。たまには「どうした、しっかりしろ、大丈夫か?」と、こちらが心配してしまうような文系優男風の台風は来ないものだろうか・・・。

生まれた台風には、全て名前が付けられる。出生場所や規模で命名されるわけではなく、台風委員会(日本を含む14カ国が加盟)がすでに用意した140の名前を順に付けていく。先日取り上げた台風25号(ニゴー)には「コンレイ」。カンボジア語で「伝説の少女」という意味らしい。

話は半世紀ほど前に戻る。学生時代、何かの記事で「台風マリア」という名前を知った。それをテーマに童話風のシナリオを作り絵本にしたことがある。マリアの哀しみが雨になり台風になるというストリーだ。そんなことを思い出しながら、題詠「台風」の歌を一つ作った。


ママが熱がってる
だから
風を起こして
雨を降らせて 冷やしてるんだ
台風マリアが哭き叫ぶ


*台風マリアは、No.13(アメリカ命名)。今年7月、日本に来た台風8号の名称。


白杜鵑草(シロホトトギス)


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初めて見た。白いホトトギス。新宿御苑だったか、以前、若い女性がホトトギスを見て、気持ちが悪いと言っていた。なるほど〜、そう云われるとたしかに不気味ではあるが、見慣れてくると、あ〜もう秋なんだなあと思う。
花言葉は「永遠にあなたのもの」。


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雨粒にもシロホトトギスが映っていた


タイチョー不良


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イベントと呑み会が続き、抵抗力を失っていたのか、風邪の菌に制圧されてしまった。美人アマチュアゴルファー風無口女医に助けを求める。いつからですか、喉が赤いですね、クスリを出しておきましょう、のいつもとおんなじの言葉をありがたく受けとり、ものの1分で診察終了。
最初のクスリで鼻水は止まり、咳が消えたが、たまに出るクシャミが腰に響く。今日も早寝をして、早く復活しよう。

昨日は、月イチのORMACで、東京都で最も標高のある大岳山登山。隊長は辛い、ムリを押して中央線に飛び乗る。青梅を通過してから雨が降り始めた。すぐに止むだろうと鷹を括っていたが、なかなか降り止まない。ウ〜ム仕方ない!というわけで、知っている宿坊に電話を入れ、風呂・ビール・蕎麦のランチコースを頼む。

晴れ男、晴れ女で快調に10月まできたが、ついに涙雨。Aさんと檜の風呂でゆっくり世間話をしてから、フキ味噌、ヤマイモの千切り、手づくり蒟蒻の刺身、ワラビの和え物を摘みながらビール、日本酒に突入。蕎麦を食べて、すっかり酔いが回った頃、雨が上がった。


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雨の日は雨を楽しむ。ツリフネソウも水をたたえて


ニゴウまで


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暴風、強風、大荒れ、猛烈な勢力、厳重な警戒・・・大型台風が近づくとテレビから聞こえてくるお馴染みの言葉だ。暴風とはどのくらいの風なのだろう。風速60mクラスの風は、どう表現すればいいのか。豪風、激風と、もしかしたら新しい風の名前が生まれるかもしれない。

四谷駅交差点のスズカケの木が無惨な姿になっていた。酷暑の日、いつもこの下で信号が青になるのを待っていた。来年は汗して待たなければならない。次々に襲う台風が、木々をなぎ倒していく。

「酒と女はニゴウまで」という言葉があるが、今度の台風でお終いにしてほしい。なんせ25(二ゴー)らしいので。

*システムエラーが発生〜〜写真がアッップできません。。_`。)


100日


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通夜の日、妹が母を送る五曲を奏でた。皆が思い出に耽り、涙した



今日、母の100日法要だった。あの日からを振り返る。葬儀の日、雨が上がって晴れ上がり、兄妹、甥っ子らと棺を運んだ。親しくしていた住職は、七日、十四日、二十一日と四十九日まで、七日起きに法要に来てくれた。そして今日も穏やかなお天気だったらしい。

あの頃、腰痛が酷くてロキソニンのお世話になっていたが、葬儀が終わり、帰郷してからはすっかり痛みが消えた。もしかしたら、母が天国へ持っていってくれたのだろうか。そんなことを今日、思っていた。


それぞれの秋


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いやはやの台風だった。酷暑が終わった途端に、強烈な雨と風の連続パンチ。猛烈娘の25号も接近中だという。この星は、どうなっていくことか。
意地悪ばかりしていると、しっぺ返しを喰らう。なんでもそうだ・・・。

電車のドアが開き、四谷駅のホームに足の乗せた瞬間、キンモクセイの香りに包まれた。きた〜。空気ひんやり、香りふんわり。気温が下がると一気に開花が始まるのだろうか。キンモクセイが秋を連れてきた。


空木岳(4)


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初夏の空木岳は、沢山の花で彩られるが、今はもう最終章。散りかけていたり萎んでいたり、実を付ける花はそれぞれにと、季節の移り変わりを感じさせる。夏の終わりの山行は、不思議な佇まいというか移ろいがあって、なにか沁みるものがある。


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花言葉のようにリンドウの花は散らないのか

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シラタマノキの実

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トリカブトを見つけた

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ゴゼンタチバナの実

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セリ科の仲間

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オオカメノキの実は鳥に!?

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なんだろう、ハッカのような爽やかな香りがした

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1000m地点に赤い実を付けた樹が

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森に静けさをつくるサルオガセ


山登りは、歩いている時間が長い。今回はとくに標高差もあったので、かなりの負荷を体にかけてしまった。ダメージは下山途中からで、両足の親指に豆ができ、かがとの上アキレス腱辺りの皮も剥け始めた。それでも下りなければならない。相棒のTさんも両太腿が痛みだして、休む回数が増えた。

なんとか2000メートルを下りきって、アイシングなんだろうなあと思いながら、温泉でふくらはぎと太ももをマッサージ。風呂から上がって体重計に乗ると3キロ減。おお、よくがんばったなあと、腹を撫でながら独りごち・・・

足の筋肉痛は二日目から始まったが、今は心地よい痛みになった。
空木岳の山頂から眺めた南アルプスの山々。塩見、荒川、赤石、聖、光、いずれも未踏峰の山だ。Tさんが別れ際に言った。
「来年の夏までにトレーニングをして、一緒に行きましょう」。
さて、どうなるかなあ。


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山ガールの台頭が凄かった


空木岳(3)


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小屋の前から空木岳を眺め、別れを告げる



二日目、素晴らしいお天気になった。もう下りてしまうのかと思うと、残念でならない。朝食は、広いカールのどこかで食べようと決め、下山を始める。山との別れの儀式は、何度も振り返ること。また来るぞとは言えなかったけれど、ありがとうの気持ちは込み上げてきた。


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この小屋におよそ50人が宿泊した(翌日には100人以上が宿泊したかも・・・)

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出発するとすぐに大きなカールが見えてくる

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一瞬、山頂が消える駒石辺り

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ここで朝食。小屋も豆粒ほどになった


下り始めると直ぐに二人の若者とすれ違った。リュックが小さいから、この下の非難小屋に泊っていたのだろう。軽快に山頂に向かっていった。空木岳を眺めながらの朝食は、おにぎりと温かい卵スープ、それにチーズなど。風も気温もそして光も秋らしく、美味い、旨い、ウマい〜!
さあ、帰りはゆっくり紅葉と花を撮りながら下りよう。


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ナナカマドの実が紅くなりはじめていた

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雪のせいだろうか、ダケカンバがクネクネ・・・

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ここで空木岳とお別れ、樹林帯に突っ込む

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ダケカンバとナナカマドの秋の競演が始まった

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見上げたら見下ろしていたダケカンバ

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垂直に近いクサリ場、雨の日は辛い


こんなにたくさんの梯子と階段とクサリ場があったのかと驚ろく。まあ2000メートル下るわけだから、仕方がないか。樹林帯に入ると、山と空の景色が消えた。ここから8時間、山道だけを見つめて下りる。


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標高約1800m地点の池山尾根水場

ようやく1000m下りて水場に到着。標高約1800m地点。大量の汗をかいた。湧き出る水をガブガブと呑む。まだ1000下りるのかよ・・・でもそこには、温泉とビールとソースカツ丼が待っている〜。


空木岳(2)


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朝日がシュールな雲をつくりあげた



狭い山小屋の中は薄暗く、玄関には夥しいレインウェアが掛けられていた。それをかき分けて中に入り、宿泊の手続きをする。小屋の中を見渡すと、食事する人、すでに寝袋の中で目を閉じている人、リュックから荷物を出している人など、皆さん八時消灯を意識しているようだ。

片隅に置かれているテーブルで、Tさんと簡単な夕食を摂る。あまりにも疲れ過ぎて、食事が喉を通らないので、缶ビールで流し込む。咀嚼はできるが、飲み込む力が失せていた。食べておかないと体力が回復しない。
食べ終わる頃、数人が泊めてくださいと入ってきた。もう寝るスペースはないのではないか・・・

階段を登って狭い二階に上がると、イワシの缶詰状態。つまり頭・足・頭・足・・・と寝袋がビッシリ並んでいる。頭を踏みつけないように、跨ぎながら自陣まで抜き足差し足で向かう。久々の体験だ。いつも感心するのは、これだけ宿泊者がいるのに、殆ど声が聞こえないこと。それぞれが気を使い、少しでも快適空間をつくろうと努力している。

明日の予定をTさんと相談してから、オフにしていたスマホを眺める。こんな狭いところでももう一つの社会と繋がる不思議。ニュース、LINEを見ていると、Tさんの寝袋から寝息が聞こえてきた。本人曰く、眠りの天才。どこでもいつでも眠れるそうだ。羨ましい。寝袋に潜り込み足を伸ばすと、Tさんの頭に触れた。仕方ないよね。八時ピッタリに灯が消された。

四時過ぎに起きると、皆さん外に出る準備をしている。日の出は五時半なのに、まあ早いこと。我々も厚着をして、暗闇に聳える空木岳山頂を目指す。夜空には、まだたくさんの星が残っている。眼下には雲海。白い荒野が彼方まで広がっている。またこんな景色に出会えた。
10分も登ると空木岳山頂。やりました〜、さあ後は、朝日だ。


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小屋の向こうは雲海、その向こうに八ヶ岳連峰のシルエット

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雲って生まれて育っていくんだ・・・

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七年越しの空木岳山頂〜ハグ

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南アルプスの主峰、北岳の背から朝日が現れた

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北側に目をやると御嶽山

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朝日が空木岳の山頂部を映しだした

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20年以上も前、木曽駒ヶ岳に登ったときも雨だった・・・

ヤブガラシ(藪枯らし)


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ヤブガラシの葉にセセリチョウ


酷暑と大雨。夏雲を気持ちよく眺めた記憶はないし、夕立を喜んだ記憶もない。ずっと変な天気が続いている。人間は今年の夏にブツブツ文句を言っているが、蔓系の植物は嬉しそうに蔓を延ばしていた。

ヤブガラシ
葛の花の森を
呑みこんで
晩夏の降りそそぐ雨も
旨そうに


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このすぐ上にヤブガラシが近づいていた

歩道脇の萩と葛の紅い花にヤブガラシが覆い被さろうとしていた。すごい勢い。なんたって薮でさえも枯らしてしまうのだから、一度絡まれると逃げられない。しつこくて、とびっきりのワルなのだ。



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神楽坂の毘沙門寄席、100人の満席だった

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夕べは落語会。雨のなか、40年来の仕事仲間であり落語仲間と、ご贔屓の古今亭菊之丞の「唐茄子屋政談」を楽しんだ。


空木岳(2864メートル)


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塩レモンチキンバーガーとコーラの組み合わせ、旨い!


おいおい、勘弁してよ〜。天気図を眺めながら、雨のなかを登る空木岳を重ねた。数年前からいつかはと狙っていた中央アルプスの空木岳。山仲間のTさんと話がふいに決まった。金曜日の夜、バスで空木岳の麓まで入る。土曜日にアタック、山頂の山小屋で一泊。食事は自炊だ。日帰りも考えたが、往復11時間以上の歩きに自信なし。それに泊まりであれば、朝晩の景色の楽しみもある。

しかし雨・・・温度も下がるだろうから、荷物の量がいくぶん増える。
ウ〜ム、晴れ男を信じて、とりあえず行ってみるか。久々の3000m級のアルプス登山、テンションは高くなる。


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   山の打ち合せは、オープンカフェで


借景?


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新宿御苑の千駄ヶ谷門から入ると、正面にユリノキが三本ある。それは見上げるような巨木で、気分がたちまち高揚する。雨上がり、ムッとするような匂いを感じながら、千駄ヶ谷門の入口に立つと、そのユリノキの下部分が映った。なんか借景のようで、いい感じ。一瞬、足立美術館のワイドな窓を思いだした。人の気配がまったくないと、こう見えるんだ。


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近くで見ると幹廻りが太い


何度訪れても、御苑は飽きることがない。何本もある巨木は、いつだって枝を空に伸ばして自由を謳歌している。その姿は、もっとノビノビ生きなさいとでも言っているように見える。

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終わりなき旅


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星野道夫を思い起こさせる言葉だ・・・


二十歳になったばかりの私が、もしこれを読んでも、感動なんかしなかっただろう。噛みしめる余裕なんてなかった。でもいまなら、こんな願いを短冊に書けるかもしれない。何か起きてもいいような余白を抱えて、旅に出るのは楽しい。

版画家ヨルク・シュマイサーの作品展「終わりなき旅」を観てきた。羨ましいほどに世界を旅している人だった。ドイツに生まれ、日本に学び、オーストラリアを拠点に、欧米、中東、アジア、そしてついには南極にまで、その体験を日記風なメモを思わせるような手法で版画にしていた。「旅する版画家」と称されるように、その探究心は、先日観た松浦武四郎と重なった。


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アジアのどこだろう、忘れた

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芹が谷公園の巨大オブジェ、噴水と呼ぶのだろうか、動きだすと大迫力


秋到来


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秋、スズメバチの活動も盛んになる。雑食性のキイロスズメバチ、ヤブカラシの花の蜜に夢中だった。


タイムカプセル


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かなり草臥れているのは、弟たちも足を通したから!?


妹から電話がかかってきた。「お兄ちゃん、母の荷物を整理していたら何が見つかったと思う。桐の箱に入ったお兄ちゃんのへその緒。びっくり、送るね」。

その桐の箱が、65年の月日を超えてやってきた。対面するのは、初めて、いや、もしかしたら、子供の頃、見せてあげようかと言われて、拒否したような記憶もある。

紫色の紐を解くと、柔らかな和紙に包まれた霧の小箱が現れた。恐る恐る開けると、まず二つに折られたブルーグレーの靴下。たぶん最初に履いたものだろう。手にすると、じんわり親の気持ちが伝わってくる。そして、小さく小さく折りたたまれた和紙。広げると「命名  渡邉龍哉」の文字。父が書いたに違いない。28歳の作だ。書くのが好きだった父、溌剌とした勢いがある。

そして和紙に包まれたものが三つ。へその緒、小さな爪、わずかな髪の毛。そんな習慣があったのか。まだ若い両親は、この五つをタイムカプセルに収めて、赤ん坊に何を託したのか。
長い時を経て、若い二人の思いが届いた。感慨深い・・・。



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小さく折りたたまれていた


秋到来


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気温が一気に下がった。「おい、どういう了見だい。こんなにいきなり下げやがって〜」と、お天道様に愚痴りたくなるのは、なぜだろう。あまりにも長きに渡っての酷暑への恨みつらみだろうか・・・。

いい気分にさせておいて、ふたたびの真夏日は勘弁してもらいたい。先日歩いた越生の里山では、ヒガンバナが咲き始め、ススキが穂をふくらませ、ジョロウグモが巣を大きくしていた。


痛み


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元気になると花を愛でる気持ちも違ってくる


やっと左腕が自由に動くようになった。グルグル、ノビノビ、エイエイオー。二ヵ月ほど、首筋、肩口、胸部と四十肩や五十肩ではない痛みを抱えていた。稼動域が日々狭くなり、筋肉が硬化していくのではと不安だったが、少しずつ痛みが消え、治まっていった。
嬉しいやらありがたいやら、今日は新宿通りをリズミカルに歩いた。
なんだか、10歳くらい若返った気分〜♬


大高取山(376.4メートル)


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ランチは中腹の展望台で


一昨日はORMACの山の会。埼玉県の越生(おごせ)駅から大高取山をハイキングをして、地元の露天風呂で汗を流し、グイッと一杯というコースだった。
越生駅に到着すると、山登りの恰好をしている人たちが多くいた。ハイキングコースとしては手頃なのだろうか。ORMACのメンバー4人と挨拶を交わして歩き始める。

「越生」という地名の由来は諸説あるが、秩父地方へは尾根を越して行くことから、「尾根越し(おねごし)」が「尾越し(おごし)」となり、それがやがて「おごせ」と変化したのではと、あの柳田國男も書いている。

低山には低山の魅力はあるものだが、大高取山は杉林が多いうえ、眺望出来るカ所が少ない山だった。そんなこともあって、下山してからの幸せばかりが頭にちらつき、山に寄り添えない男はひたすら「ゆうパーク越生」を目指した。

下山途中に好い香りに気がつく。それは柚子の香りだった。見ると山のあちこちに栽培されている。ここは関東でも柚子の一大産地。柚子4個100円をゲットする(これがやがて我ら五人を悦ばせることになる)。

ゆうパーク越生の露天風呂から上がって、素早くビールをして、居酒屋へ移動〜のはずが、ここの緑の景色と料理に魅了されて、焼酎ボトルキープとなる。
染み渡るような焼酎の旨さ。ここに柚子を絞りたい。隊長は、柚子を持って厨房へ・・・。これこれ然々・・・プラン作りから、賄いのおじさんまで、幸せは歩いてこないのだ。柚子を絞れば、何という美味さ〜!
山に寄り添えなかったが、最後の最後に越生と深く繋がるのだった。

\^o^/^o^\ 大坂なおみちゃん、全米優勝おめでとう〜!



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センニンソウが咲き始めた



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今朝、弟からトマトが届いた。送付状の日付けを見ると9/4とある。
そうか、地震の前日に送ってくれたんだ。先日は、ジャガイモ、そしてトマト。二三個洗って、口にすると捥ぎたての旨さ。他にも根のついたままのバジルも、香りがふわっと部屋に広がった。

演劇青年だった弟は、役者人生を選んで、かなりの間、頑張ったが芽が出なかった。札幌に戻ってからは、市民劇団の一員として第二の人生を楽しんでいる。畠作りと釣りと演劇。羨ましい組み合わせだ。お互い60を過ぎて、好きなことがあるというのは、幸福なこと。静かに応援している。

*札幌にお住まいの方へ
弟が出演する演劇のお知らせです。よろしければいかがですか。

銀の会 第22回公演「シャッター通り商店街」
・9/21(金)18:30~ 9/22(土)14:00~
・札幌市教育文化会館/小ホール

チケットのお問い合わせ
■お問合せ:教文プレイガイド 011-271-3355(直通)
■営業時間:9:00~19:00
■休館日:第2・4月曜日は休み(祝日の場合はその翌日)


地震


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千歳空港は全て欠航。観光客は内地に帰れない


朝早くに錦織圭のテニスの試合を見ていたら、画面に北海道に地震の表示が出た。あら、またかい。そう思っていたら、一族のLINEが鳴りだした。規模が凄い。停電になった。姪のLINEに笑った。「電気がしんだ」。この表現、意外に深くて、重みがある。その文字をしばらく眺めた。

妹の住む勇払は、震源地からすぐの地域。震度7は、3・11の東京よりも高いレベルだ。妹たち、その家族の無事が分かった。友人、知人から心配のメール、LINEが寄せられた。ありがたいこと。北海道の状況が気にかかって落ち着かない。


台風


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台風一過、こんな雲が出た



台風21号は、未来型台風だ。予測不可能な風は、現実となって吹き荒れた。いまだかってないが、毎年増えて、我々の暮らしに警鐘を鳴らしていく。

以前、風速40メートルくらいの風を冬山の稜線で体験したことがある。伏せなければ、体が風に運ばれてしまうので、ピッケルを両手で持ち両足を大きく開いて前傾して耐える。途中で止めた友人が風で転がった。皆必死に耐え、風の息を読んで岩影に隠れながら移動し、ハイマツの間に入った。
山で一番危険なのは、雨でもなく風だ。雨は怖くはない。増水した川が怖いだけ。そしてつぎが霧のホワイトアウト。

おい、人間。好き勝手していると、次は風速80メートルで吹くぞ〜〜



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穏やかな秋が恋しい


雨の日の川


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月山登山前日の最上川は濁っていた


雨風の音が強くなってきた。川の近くの男たちはどうしているだろう。
四万十の川漁師は、朝晩に川を眺めるという。晴れの日も雨の日も毎日川を眺める。なにかその人生は、分かる。のだけど・・・河が増水してくると、チェックしたい、という性分が男にはあるらしい。

「危険ですから河の近くには行かないように」のニュースを待っていたかのように出かける男たちがいる。多くは、田畑などを心配しての人たちかもしれないが、毎回、決まって何人かが流されている。笑ってはいけないのだが、なぜ、と思ってしまう。

先日のテレビのニュースでも濁流を眺めているおじさんが映しだされていた。ああ〜、あの人もチェックしたい症候群なのだ。男は海だけではなく、川とも引き合う何かがあるのかもしれない。


最上川には月見草がよく似合う  太宰芭蕉


からみつく


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・月山で見つけたツルニンジン、別名バアソブ、ジイソブ。
ソブは木曾地方の方言でソバカスの意味で、花冠の内側の紫褐色の斑点を
おばあさんのソバカスに喩えたのが名の由来。日本に自生する同属のツル
ニンジンはよく似て花冠が大きい事から別名をジイソブといわれている。



絡みつくような暑さが消えて、今日は秋を思わせるようなお天気。のんびりと散策を楽しめると思っていたら、台風が通り過ぎるとまた暑さがぶり返すらしい。

絡みつくといえば、今年は雨が多かったせいか、雑草や蔓系の植物がよく延びている。神田川の散歩コースは一部歩道まで、ヤマブキ、ハゴロモジャスミンなどの徒長枝がピョーンと延びているし、ヤブカラシやヘクゾカズラなどの蔓系植物もこれでもかというくらい生け垣に絡みついている。


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野でも里でも見られる蔓系のヘクソカズラ


月山(3)



雨にあたらなくてよかった〜と月山を後にして、日本海側にある湯野浜温泉を目指した。運がよければ夕焼けを眺めながらの露天風呂が待っている。

ずいぶん昔、湯殿山を登った後に、鶴岡駅の案内所で宿を紹介してもらい、湯田川温泉に泊まったことがあった。条件は一万円以下。案内所の女性は、穏やかな庄内弁で宿の方と折衝してくれた。「なんでも藤沢周平さんのファンだそうで、山から下りてきた人です」「あ、そうですか、ありがとうございます」

藤沢周平のファンというのは嘘ではなかったが、その頃は二三冊くらいしか読んでいなかった。泊まりたかった所は、藤沢周平が教師時代に教えていたという元生徒の宿。駅前からバスに揺られて宿に着き、恰幅のいい女将に感謝を述べた。部屋に通されて、驚いた。最上級の部屋だった。まずかったかなあ〜。

夕食は懐石のコースで、女将が食事の間、ずっと藤沢周平の話をしてくれた。その日は、お客がほとんどいなかったはずだ。なにかばつが悪くて、かしこまって聞いて、食べて、少し呑んだ・・・

そんなことを思いだしながら、潮騒の音を聞きながら湯に浸かった。あの旅館はまだあるのだろうか。女将はお元気だろうか。山形の人には、いつもお世話になりっぱなしだ。



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月山(2)


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シシウドの花にコエゾゼミ。背中をよく見ると「山」の文字、なんだか可笑しい


月山にはさまざまな肩書がある。日本百名山、花の百名山、山麓は月山山麓湧水群として名水百選に、そして水源の森百選にも選定されていて、懐が深いというか、温厚で包容力のある山なのだろう。

というわけで、もう少し早ければ花が綺麗だったかな・・・となる。登り口にはシシウドの花が群生していた。この花のスケール感は、気持ちがいい。山を誇っているかのようで、山の稜線と重ねて合わせて見ると、その対比はいろんな想像を喚起させてくれる。


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チングルマの綿毛は食虫植物のようだ


中腹はクサモミジが始まっていた。風が吹くと茶褐色がうねる。秋をしみじみ感じる色合いだ。高度を上げていくと、霧に濡れているチングルマの綿毛が、風のままの美しいオブジェをつくっていた。なんだか宇宙と交信しているようにも見える。


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湿地によく見られるイワイチョウ

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雨に濡れたのか、今ごろまでニリンソウが咲いていた

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梅の花に似たウメバチソウ

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ウサギが食べるのだろうか?ウサギギク

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日本海側の亜高山の湿原に咲く花、イワショウブ

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演歌タイトルのような名前、ハクサンチドリ、下から萎んでいた

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木道脇でアキノキリンソウが散りかけていた

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コバイケイソウの葉が秋色に

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オニアザミだけはこれから咲き始める

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そして秋といえばリンドウ、君の哀しみに寄り添いたい、となる

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この霧の向こうにもいろんな花があるのかも


月山(1984メートル/日本百名山87座目)


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東北の山を一つ忘れていた。山形県の中央に鎮座している名峰、月山。修験者の山岳信仰の山として知られている。途中までは一度登っていたが、今回は山頂まで極めようと、南側の姥沢口からアタック開始。山域は磐梯朝日国立公園の特別区域に指定されているだけに、もし晴れていれば絶景が見渡せたに違いない。雨は朝方には上がったが、ガスがかかってその懐の広さをつかめない。


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山がたばこを吸っているのだろうか?細い雲が次々に流れていく


お天気がイマイチでも、ポジティブに考える。雨が上がってよかった。曇空のお陰で、山の緑の深さ豊かさが美しい。そして流れる雲の見事なこと。人も少なく、静かな山行が楽しめる・・・。
途中、修験者の一団とすれ違う。先頭の山伏は真っ白な髪とヒゲの男で、眼光鋭く、一瞬、ニホンカモシカではないかと思った。迫力あるなあ〜。
しばらく登っていくと、あの山伏の吹くホラ貝の音か、雲の下から霊験あらたかな響きが聞こえてきた。


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最後の急登は堪えた。久々の山だったこともあり、息が上がり、何度も山頂を見上げては、ため息をついた。しかし歩をすすめれば、やがて終わりは来る。月山神社が見えてきた。風が強いなか、やっとこさ、山頂。神主さんにお祓いを受けて、無事に月山を登りきった。


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ときおり雲が切れて、景色が広がる、オオ〜                                                                                

愛酒の日


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今日8月24日は「愛酒の日」らしい。酒が好きだった若山牧水の誕生日だから。牧水は、こんな歌を詠んでいる。

白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり

ゆっくり、じっくり、楽しめる、スッキリの秋の夜は、いつ来るのだろうか。そんなことを思いながら、喉を通り過ぎていった酒たちを振り返る。


P6104835.JPG三段重ねがうれしい

私を泳がせる


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今月の五行歌本誌8月号から、これいいなあと思った二首です。

寄せる青と
たゆたう白と
私が
いない日の
海を想う


勝負は引き分け
私は
命を失うが
地球も
私を失う


夏が過ぎた頃、海を眺めてみたくなるような歌。
涼しい木蔭で、好い歌を読みながら、ビールを呑みたいなあ〜


五平餅


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あれはマコトちゃんか!?



どこかで観たな〜と、赤白のボーダー柄の家を眺めていたら、思いだした。NHK朝の連続テレビ小説「半分、青い。」の「センキチカフェ」のユニホーム。鈴愛(すずめ)が着ている同じ赤のストライプだ。

ここは梅図かずおの「まことちゃんハウス」。出来上がったとき、派手な外観に近隣住民から「景観を損なう」と訴えられて、大騒ぎになった家だが、植物が大きく育って、その全貌が分からなくなっていた。
いまも彼はボーダー柄のシャツを着て、住んでいるのかな。

中村雅俊爺ちゃんの五平餅は、じつに美味そう。秋風羽織も娘のかんちゃんも大好物。といっても観ていない人には分からないか・・・。



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樹木ですっかり被われていた



昆虫食


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今年は暑さのせいか蝉の鳴き声が少ないなと思っていたら、思いがけないニュースをネットで発見。「食用でセミの幼虫捕らないで」。
なんじゃそれっ。埼玉県川口市の青木町公園総合運動場にこんな文言の看板が設置されていたのだ。

市では、「青木町公園でセミの幼虫を大量に捕っている人がいる」という情報が複数寄せられたため、看板を設置したという。それも3カ国語。
昆虫食が話題になっているが、もう食べ始めている人がいるんだ・・・
幼虫はどんな味がするのだろう・・・一瞬想像した。


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うかうかしていられないぞ〜


花の名前


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何度覚えても忘れてしまう花がある。この花もそう。ルドベキア。以前、北海道のあちらこちらに沢山咲いていた。関東周辺でもよく見かけるから、野生化しているのかもしれない。忘れては、ふとある時に思いだす。どうして記憶しようか・・・

先日の山で、思いだせなかった花がホトトギス。たしか鳥の名前と同じだったはずと、一つひとつ潰していくと「はいはいホトトギスね」、こんな風に覚えておくと思いだすとき楽しくなる。

他には、メチャせこいわ⇒メタセコイア、舌のようにベロペロ⇒ベロペロネ、などシャレや特性で覚えておくと意外に整理しやすい。しかし花ばかりに思いを寄せると・・・

花の名前
三つ
覚えて
人の名前
二人 忘れる


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三年前の今ごろ、美瑛で名前を覚えた


尾畠さん


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あのプロボランティアの尾畠さんは、この向日葵ではないかと思った。高い、大きい、鮮やか、そして照らす。無欲の人の心は美しいと、尾畠さんから強く感じた。


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この蜂は、見つかった少年のようだ


ロックガーデン


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少年Aが捕まえた沢蟹を見せてくれた


お盆に一度くらい、山に登っておかなければいけないだろう、出来れば涼しいところ・・・ふと浮かんだのは、御岳山ロックガーデン。川沿いを歩いて、最後は滝を見上げる。余裕があったら大岳山を回って、御岳の宿坊に寄って汗を流し、ビールを呑んで帰る。これで行こう!そして、ほぼその通りになった。
違ったのは、ビールで終わらず冷酒までいってしまったこと。


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山道にはランプのようなレンゲショウマが咲いてます


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滝があって

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涼しげな宿坊には、ビールどころか冷酒まであって・・・


松浦武四郎


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母の四十九日で札幌に帰っていた。半日時間があったので、初めて野幌(のっぽろ)なる地に足を延ばし、北海道博物館で開催されていた松浦武四郎特別展を観た。

松浦武四郎は、元祖日本の「歩キ眼デス」かもしれない。第一章の入口に彼を現す言葉があった。「好奇心、探究心、情熱、行動力」。いきなりノックアウト〜。

江戸時代末期(幕末)から明治にかけての探検家で、「北海道」の名付け親。今の三重県松坂市の庄屋の家に生まれ、16歳の時にはすでに日本国内の諸国を巡っていた。そして20代後半には蝦夷地から択捉島、樺太までを調査し赴いた地の詳細をまとめたことが評判となり、江戸幕府から蝦夷御用御雇に抜擢される。

この会場では、探索した地の風景や人々の暮らし(アイヌ文化や風習)、自然と生産物、北海道・北方領土・カムチャッカの大地図など、絵と文章で克明に綴った記録を数多く展示していた。調査記録書は150冊に及び、虐げられていたアイヌの人たちの状況も幕府に報告していた。

晩年は、奈良県大台ケ原に登り始め、自費で登山道の整備や小屋の建設などを行ったとあったので、ますます武四郎への興味と愛着をもつのだった。




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常設展のスケールも凄い、次回はこちらを中心に観よう

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北海道百年記念塔


クモの巣


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!?なにこれ・・・変わったカタチのクモの巣だ・・・新種だろうか。もしかしたら大捕り物騒ぎの後、上手く繕ったのか。感心して見ていると、蜘蛛がいることに気がついた。隠れているのか、猛暑から避けるためなのか、左右対称の美しさにしばし見とれた。


雨風強し


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いま、歌会が中止になった。雨風が強くなってきた。歌でもつくって大人しくしていよう。


寒天工房


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神田川沿いの遊歩道を歩いていくと、寒天工房の玄関がお洒落になっていた。こんな鮮やかな暖簾のブルー、見たことがない。よくこの色に決めたなあ〜と感心した。そして道行く人たちが休めるようにと細長いベンチを配している。優しいよなあ。盆栽と苔玉が置かれていて、とても落ち着く。
少し涼しくなったらここで寒天を食べよう〜!


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愛されました・・・


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被害者も加害者も分からない。錆び色に変化したのはなぜだろう。
ポツンと五センチの不思議が落ちていた。


夕焼け


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暑さへの罪滅ぼしか、神様は時々、夕焼けをプレゼントしてくれる。天空を染めるような日本海側の夕焼けにはかなわないが、茜色に変わっていく空を眺めるのは幸せだ。この日は、日曜日だった。外に飛びだして、西の空が広く見える神田川にかかる橋の上でシャッターを切った。いいねいいねと夢中になっていると、蚊もホントホントと首筋に足に手にやって来た。


真っ赤に燃える


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去年も暑かったが、今年はさらにヒートアップ。息絶え絶えで新宿通りを歩いている。歩くスピードは老化とは別に、間違いなくこの熱さでトボトボと遅くなっている。写真は、昨日の午前10時40分頃、気候変動観測衛星「しきさい」が観測した地表面温度の画像だ。関東平野が真っ赤に燃えている。都心の道路は、50℃を超えているのではないか。

ふいに美空ひばりの歌が聴こえてきた・・・
真っ赤に燃える〜 関東平野〜 真夏の道は〜 超えて気絶なの〜♬


夏酒


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夏酒と聞くと、心がサワサワしてしまう。なんと心が踊り、ゴクリとする言葉〜。夏酒。しかしよく考えると、これはなんであるか。ググった。

この呼び方が生まれたのは最近のことで、夏の日本酒需要の伸び悩みが背景にあったらしい。つまり夏酒という呼び方によって「夏でも日本酒がおいしく飲める」ということを知ってもらいたかった。
というわけで、夏酒といってもたくさんのタイプの日本酒がある。

・酸味の効いたスッキリとした飲み口の白ワインタイプ
・フレッシュな味わいが楽しめる生酒タイプ
・キリリと冷たい原酒ロックタイプ
・お米の栄養が詰まったにごり酒


なるほど、なるほど・・・一つに定まっていないのね。夏酒とは各酒蔵から提案されている「夏においしく飲める日本酒」のこと。それでいいらしい。


サプライズ


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台風12号が上陸しなければ、先週末は親子4組と一緒にこんな景色を見ていた(はず)。山岳会「家族登山普及委員会」のイベントで上高地一泊二日が中止になった。残念だけどお天気には逆らえない。

夏休み最初の週末に台風なんて・・・観光地や野外のイベント会場は、中止・キャンセルが入って、大きな打撃を受けたことだろう。我らもすで用意していた食糧をどうするか悩んだ末、メンバーのNさんの自宅でホットドッグパーティをやろうという話になった。


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ワイワイとビールがすすむなかで、ピザでサプライズ〜♬
誕生日がバレていました。家族以外で祝ってもらえるなんて、初めての体験。
嬉しい〜皆さん、ありがとう。
Mちゃん、Tさん、プレゼントありがとうございました。

ルート66は、どこに向って延びていくのでしょう。


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ありがとう〜


懐かしい写真


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このリンゴ、掌よりも大きい、そして美味い!


ORMAC50回の山登りをまとめようと、写真のチェックをしていたら「歩キ眼デス」にアップしなかったカットがいくつも出てくる。どんな思いでシャッターを切ったのだろうと、ついつい眺めては当時を思いだしている。たとえば、青森の市場でのイカとリンゴの価格に驚いた。
マイカ20パイで2,000円、リンゴ三個で150円。どうよ〜。


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なのにフジツボ一皿2,000円。分からん・・・


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この価格・・・なかには、タラコか白子か


山道


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今日の新宿周辺は27度。涼しい・・・数日前から10度くらい下がっている。せっかく暑さに慣れてきたのに〜なんてほざいていたら、週明けからふたたびの猛暑らしい。

この山道を思いだしながら山百合の歌を一つ作った。御岳山から日の出山へ向う途中にこのカーブがあって、いつもここで足を止める。なんだろう、映画のワンシーンに出てくるような迷宮への入口というか、このまま歩いていくと白いワンピースの女の子がポツンと立っているのではと想像してしまうようなポイント。結界!? 今なら山百合の花がいくつも咲いている。


黒蝶を
放った  山百合
甘い香りで
異界へ
おいで  おいで


!!


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昨晩、歌会の帰りの電車のなかで、Oさんと思わぬ話で意気投合した。暑さ対策になるか分からないけれどと、我が家のエピソードを話しはじめた。

「水道水までお湯のようだねえ」などと言いながらトイレに入って、ウォシュレットにタッチ・・・!?・・・!!。なんとお尻に真水。冷たいというか、ビックリで、「あれは、調節したの」と家人に聞くと「いいでしょう、我が家で一番ヒンヤリする瞬間」とのたまう。一瞬、背筋が伸びるような体験だった。

試すといいかもしれないよとOさんに話すと「じつは我が家でもそうしています」と答える。えっ、ホントに。いやはや、思いがけないことを同体験していたのだ。

なんか地下水脈で繋がっているではないかと、後で可笑しくなった。


なら、行かん


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キャッチを書いたコピーライター氏、ここまで暑くなるとは思ってなかっただろう。眺めているうちに悪戯をしたくなった。「が」にマジックで×をつけて、「も」の字を入れる。
ライター氏、今ごろ臍(ほぞ)を噛んでいる違いない。


熱き吟行歌会


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まあ〜この暑さなか、吟行歌会なんて、死の行軍では・・・
そんなご意見もあるかと予想し、今回はインドアでの吟行歌会を企画した。新宿歴史博物館で新宿の歴史と「〜錦絵で読み解く四谷怪談〜幻想の新宿」という企画展の世界に浸って、歌を捻ろうじゃないかという試みだったが、参加者は五人。皆さん強靭な体力の持ち主だった。


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新宿歴史博物館までの道のりが、暑くて辛い。何とか辿り着けば、館内に人は少なかった。まずは内藤新宿の縮尺模型展示ジオラマがドンと現れた。じっくりと眺めていると学芸員の方がやって来て、江戸から昭和にかけてのさまざまな説明をしてくれる。江戸時代から、内藤新宿で暮らしていたのではないかと思うほど、もの知りの方だった。もしや名のある方なのではないかと思い、自己紹介をして名刺交換をさせてもらった。


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あの日の暮らしがそこかしこにあった


館内は涼しくて楽しい。撮影どこでもオッケー。ワイワイと昭和の世界を楽しんだ。もっと時間をかけて、見たいところだが、すぐ近くの消防博物館の予定も入っている。それ〜と火事のような世界に飛びだしたのだった。


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消防博物館もゆっくり回ると、江戸からの消防の歴史がよく分かる


アチイ〜


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今日はこのパラソルの下にいても暑いだろうなあ。蝉の死骸をいくつか見つけたけれど、一鳴きしたのだろうか。明日は吟行歌会・・・大丈夫か!?


キーホルダー作り


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先週末に登った三頭山(1524m)に、一緒に登りませんかと山岳会のMちゃんから声がかかった。10月に予定している家族登山の下見で、今週末だという。お〜、何とタイミングが合わないことか・・・。現地のコース情報とキーホルダーが作れる木材工芸センターの楽しさを説明して、行けないことを伝えた。

三頭山の麓にある木材工芸センターは、木工の楽しさを教えてくれる。二度目のキーホルダーは猫にチャレンジ。なるべく大きく、難しい形を選んだ。糸鋸の扱いは意外に難しい。とくに複雑で小さなアールを描いていくときは、背筋を伸ばして体を動かさず、丁寧に慎重に・・・。それでも糸鋸はラインから外れていく。

さて次は何を作ろうかなと、猫ちゃんを窓辺に飾ってみた。



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さらば


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スマホ君の最後の仕事は撮影だった。ピンが合わせ難い、青と赤の色が出ない、接写に弱いなどと飼主にブツブツ言われながらもメールやライン、電話、検索にとよく働いてくれた。
35度を超えた猛暑の三頭山で、息絶え絶えで残してくれたのが、これらの写真。二年間、あちこち共に旅をした・・・ありがとう。


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小さなエゾハルゼミの抜け殻

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甘酸っぱい木イチゴ


熱い夏


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ついにお前もか・・・スマホが熱中症になって息絶えた。三連休の最後は、買い替えの手続きで一日が終わった。母を送って、スマホを送って、やれやれと思っていたら「この歌、ダントツの一席でした」のファックスが秋田「雪葩五行歌会」から届いた。



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昨晩は本郷歌会。題詠「開」をテーマに多種多様な19首の歌が集まった。「開」を旅した人たちは、自分の歌に、そして選んだ歌にコメントを寄せた。入口は同じでも出口が違う。どんな旅をしてきたのか、それぞれがその旅を語った。大いに笑ったり、なるぼど〜と想像をめぐらしたり・・・題詠歌会、好いかもしれない。
12月には、恋の歌を歌おうと二次会で盛り上がったのだった。

選んだ歌はこんな歌・・・

人生百年となれば
私の未来は
洋々と
開かれている
としよう

ゆっくりと
瞳孔 開き
数多の
「嘘」
を 見極める

空に浮かぶ
冷蔵庫が開いて
限りなく
降ってくる
神経症

待つこと
待ち続ける
柔らかな気持ちが
閉ざした心を
開かせる

小生の歌はこんな・・・

この透き通った青い目を見ろ
粋がいいの 分かるだろ
叩くなり
開くなり
好きにしやがれ


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まずは・・・


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半分青いなどと言いながら、流氷に想いを寄せて地ビールを楽しむ


ビールが好きだ。美味いビールのために山登りをしているのではないか・・・と下山後、口の回りに泡をつけてそう思うときがある。まずはビール。・・・だが、じつは最初だけ。渇きが癒えてきたら、ビールにはお引き取りを願う。その後は、旬の肴をアテに夏酒となる。薬味たっぷりの鰯のなめろうとか、鯵の南蛮漬けとか、茗荷と胡瓜の酢の物など、こんなのと一緒に冷やでキューー。ア〜〜たまらん・・・


風鈴


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きれいな音のする方へ行ってみると、組まれた棚に沢山の風鈴がぶら下がって揺れていた。真下に入ると、ガラスの奏でる音がじつに賑やか。短冊には子どもの字かな、名前やら思いやらが好きに書かれている。

風鈴は昔、軒先辺りから聴こえたものだが、最近は音がうるさいと近所からクレームが入ると聞く。夏の夕方、路地に響く下駄の音を楽しんだものだが、今はそれがない。防音対策として、下駄の裏にゴムのシートが貼られている。

運動会の練習の音や声までに地域からクレームが寄せられるというし、了見が狭いというか、風情を楽しめないというか、世知辛い世の中になったものだ。


流木


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母の葬儀の翌日、勇払の浜辺を歩いた。風があって、潮の香りがして、遠くに苫小牧のパルプ工場の煙突が見えた。煙突からの煙は、ほぼ真横にたなびき海の方に流れていた。母を送った実感が、まだ湧かなかった。

流木を見つけたので、立ててみようと思った。湿った砂に深く埋めたら、すべすべの細い流木はスッと立った。「なんでそんなことをするの!?」。母なら、そんなふうに聞いてくれると思ったからか・・・
あの流木、まだ海を見つめているだろうか。


陽子さん


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この写真は、三階の展示室に入ってすぐにあった。「あっ、陽子さん」。図録を見ると、カメラマンの名に荒木経惟の名前がある。ずいぶん昔、どこかの図書館で見た写真集「センチメンタルな旅」で、被写体となっていた荒木陽子さんに心を惹かれた。夫との新婚旅行の中で見せるその虚ろげな表情。

この人の哀しみのような翳に、不思議な既視感を覚えた。以前にも会ったような、もしかしたら探していたかのような、そんな女(ひと)。

「原色のようだった私に、君はその虚ろげな表情がいい」と、天才アラーキーに口説かれて、人生が大きく変わったとあった。天才は最初の一歩から、もう天才なのだ、と思った。
陽子さんは、24歳で天才と一緒になり、42歳の若さで他界された。


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反面、太陽のように明るい陽子さんでもあった


陽子さんとの思いがけない再会をつくってくれたのは、じつはこの歌。

葬式に向かう
婆さまたちの
祭りに行くような
明るい笑顔
写真展の一枚

このお婆に会おうと、写真美術館に足を運んだのだった。
お婆たちの抜けたような笑顔にエールを貰った。クヨクヨするな〜
暑い夏は、美術館、写真館がおすすめ。シルバーパスが使えるし(^^)V


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雨に思う


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雨にあたると見る見るうちにガラスの花になるサンカヨウ(photo by sasamoto)


梅雨明け、台風が消えたにもかかわらず、西日本では線状降水帯なる怪しげな雨雲が、繰り返し発生して、大雨を降らせている。センジョーコースイタイ・・・なんか怪しげである。

かつてないとか、気象観測史上初めてなど、その凄さを喩える言葉を聞くと、これはただ事ではないと思う。風速80メートルのハリケーンとか、50度を超える猛暑など、よその国の話だと思っていたが、天と地からこの国を揺らし続ける。いつか国家予算が災害対策費用として、消えていくのではなかろうか。



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水を浴びると・・・

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透明になってしまう


弛んでいる


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ある作家のエッセイを読んでいたら一駅乗り越してしまった。四谷駅前にはトンネルがあるというのに、気がつかない・・・頭が弛んでいる。

その作家は「怖い短編」をまず紹介をした。一人の男が結婚式でスピーチを始める。話が長くなり、三十分経ってもまだ話をしている。一時間、二時間、三時間・・・式場がパニックになっていく。話題になった短編らしい。それと同じ体験をしたというのだ。

ある有名な話好きの女史が乾杯の前に、新郎新婦の馴れ初めからプロポーズまで、延々と約三十分、話し続けていた。乾杯が始まらない。同席していた作家の久世光彦氏が、通る声で「長いなあ」と言った。それでもその女史の話は終わらない。

しばらくすると、ピンスポットの中の女史の顔の前を白い煙が流れていった。女史がふいに「長くなりましたので終わります」と言った。照明が点くと久世氏が美味そうにタバコをくゆらせていた。

あとにもさきにもあんな恰好のいい煙草の吸い方を見たことがない・・・そんな話に、ニヤニヤしていたら市ヶ谷駅でドアが開いたのだった。



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はまなす


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経済発展に伴い、日本の浜辺から砂浜が消えた。いや、少なくなった。子どもの頃、夏休みに預けられていた親戚の住む日高の浜辺には、ハマナスの花が咲き乱れていた。そばには小さな沼もあって無数のトンボが飛んでいた。

高校生活が終わる頃、北海道である歌がヒットした。ザ・キッパーズが歌った「はまなすの恋」。北海道のブルーコメッツ(いま思えば、笑っちゃう)と呼ばれていた。ときはGSの時代。ググってみた・・・結成は1963年。なんと、結成以来一度も解散をしていない長寿バンドとして、今も活躍しているという。
えっ!?55年経つぞ。

ザ・キッパーズ/はまなすの恋


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白いハマナスなんて、初めて見た


記念写真


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娘と甥っ子、年齢が近いから話しが合うらしい


家族葬であるはずなのに、ずいぶんたくさんの人がやって来るものだと、挨拶をしていくと、ほとんど知っている親戚、そして繋がりのある人ばかり。50人もいただろうか。こんな時でなければ会えないね。そんな言葉を交わして、叔母たちや従兄弟、姪や甥たちと久しぶりに話をした。

20年前、父の葬儀のときに娘と甥と姪6人が並んで撮った写真があった。今回も同じ並びで撮ろうということになり、母を真ん中にしてパチリ(前は父が真ん中)。二つの写真を並べると楽しい。小学生、中学生がみんな成人になっている(あたりまえか)。次は、俺が真ん中になるのかな〜と言えば、誰が撮るのだ〜と甥っ子からツッコミが入った。


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母逝く


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母を送った翌日、家族と近くの浜を歩いた


もう7月なんだと、昨日カレンダーを見て気がついた。過ぎ去っていった時間だけを思っていたら、過ぎていく時間をすっかり忘れていた。

28日、出棺の日、降り続いていた雨はピタリと止んで、北海道らしい晴れ間が広がった。母を送るのにふさわしい空。洩れる光が、さまざまな木々の緑を輝かせた。父も弟も、別れの日は吹雪だったから、嬉しい六月の青空だった。

この日は、いつか来る日だった。いや、もうすぐ来る日だった。妹から母のさまざまな数値が下がり始めたことを、知らされていたので、覚悟はあった。弟から「お母さん亡くなったよ」の連絡を受けた時、間をおいて思ったのは、「辛さからやっと解放されたね」だった。

名ばかりの長男は、母のことのほとんどを妹に頼っていた。母が90歳になった時に妹は、こんなことを言った。「私一人が母を独占しているみたいで、申し訳ないね」「いつ母とお別れをしても何も悔いはないよ。沢山のことをしてもらって、沢山のことをしたから」。

その言葉は温かかった。気遣うその優しさに感謝した。いくら母のことを思っても、妹にはまるで敵わない。きっとそんなふうに思っている兄への配慮の言葉だったのだろう。

あれやこれや、書けばきりがない。人生は続く。


子育て


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子育ての真っ最中のキセキレイが、沢山の虫をくわえている。巣で待つヒナたちに持ち帰る途中なのだろう。若鳥になるまで、親はエサを運び続けて、愛情を注ぐ。そして時が訪れると、親は自立のススメをする。生き物は、子育てと子別れがきちっとしている。


W杯


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芝にネジバナ・・・勝負の行方は分からない


夕べは、遅くまでというか早くまでというか、サッカー日本戦を観ていた。サッカーの詳しいことは分からないが、勝負の流れは予感できる。たとえば、日本は二度の得点チャンスをモノにできなかった。

「あ〜あ、悪い流れ・・・こんなとき、サッカーの神様は、相手にチャンスを与えるんだよなあ」「ア〜、やっぱり」。セネガルにゴールを許し、再び突き放された。野球とおんなじ。チャンスの後には、きまってピンチが来る。凌げるか、モノにできるか、戦いはいつもその駆け引きだ。

このまま、悲しい敗北になるかと思ったが、日本は気持ちを切らさなかった。冷静さを失うことなく攻撃的なモチベーションを持ち続けた(ように思う)。組織プレーは続いていた。相手に反則が増えはじめてくる。もしかしたらの思いが強まったときに、本田のゴールが決まった。

深夜だというのに、大声を上げてしまった。
世間はどうなんだ〜と、カーテンから覗くと、ご近所はどこも観戦中のようだった。「窓明りが、はんぱない!!」
衛星から列島を映すと、きっとニッポンの形を灯していたに違いない。


ワールドカップ予選 と かけまして

梅雨時の美しい花の特長 と 解きます

ソノココロは

ショウブは紙一重


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photo  by  kikorin



清里の駅前で、手作りの小さな凧を並べているご夫婦がいた。凧を見ると、揚げてみたくなる。これ、ちょっと良いですかと聞いて、竿の釣り糸を伸ばして、泳がせてもらった。

浮きあがった時に、竿をクイクイとしならせてみるのだが、風がなかなか拾ってくれない。
こちらを少年にしてしまった凧作り!?のご夫婦の笑顔がよかった。夢を抱えて清里に住み着いた人だったのだろうか。飯盛山から戻ってくると、もういなかった。


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photo  by  kikorin

雨の日


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富士には月見草がよく似合うと、太宰治は「富岳百景」の中に書いていたが、雨には紫陽花がよく似合う。紫陽花という花がなかったら、六月はつまらない月になっていたかもしれない。

七月に海の日があり、八月には山の日ができた。休みがない月は、六月だけだ。どうだろう、「雨の日」という名の休日を制定しては、と思うのだが・・・
文系の代議士なんてたぶん少ないだろうから、無理かなあ。


清里


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今も小海線の二輛連結の車輌は清里駅に止まるが・・・


週末の清里の駅周辺は、いつだってウンザリするほど人が多く、ここは山梨の原宿だ〜と思っていた。それがどうだ・・・晴天の日曜日、駅前を歩いているのは外国人らしきカップル二組だけ・・・軒を連ねているお土産店や飲食店の大半は、閉じられたままだ。
ゴースト化している。売り物件が半分くらいあるのではないか。なぜ・・・

父が昔、話してくれたことを思いだした。なんでも一気に加熱したものは、下火になるのも早い。金儲けだって、グラフだってそうだろう・・・その言葉に、いろいろなものが重なる。

例えば、お湯を沸かす「ティファール(T-fal)」と「鉄瓶」。
沸騰も冷めるのも早いティファールに比べてて、時間はかかるが鉄瓶で沸かしたお湯は、湯のみに移してもなかなか冷めない。そして鉄分を含んだお湯には、まろやかな味わいが生まれて、お茶も美味しくなる。

そんなことも重ねて、清里はもう復活しないだろうなあと思うのだった。



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空き物件には雑草が生えていた


飯盛山(めしもりやま)


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山梨県と長野県の県境に茶碗を伏せたような小さな山がある。飯盛山1643メートル。山の会ORMACの50回記念登山をこの山に決め、梅雨の晴れ間、5人の仲間たちと登ってきた。思い返せば、10年おきくらいに飯盛山に登っていて、今回は4回目。山の様子がずいぶん変わった。

植生された木々は成長して、豊かな森をつくり、広い登山道が設けられた。登り始めてすぐに、八ヶ岳、南アルプスが見え始め、そして中腹からは富士山が現れる。山頂に着くと浅間山、茅が岳、瑞牆山と、360度の山々が見渡せた。

鳳凰三山、北岳、仙丈ヶ岳、八ヶ岳連峰ほか、登ってきた山々に囲まれて、今日の幸せはきっと誰よりも深い。吹き渡る風は心地よく、ハコネウツギやアカヤシオの花の蜜を求めて、幾種類もの蝶が乱舞する。
\^o^/サイコーと大声を上げたい気分の飯盛山登山だった。


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登山道入り口辺りから八ヶ岳連峰が現れる

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鳳凰三山の向こうに南アルプスの主峰北岳が聳える

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道が整備されて登りやすくなった

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ボールをひっくり返したような山容の飯盛山山頂


ワル


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その名もワルナスビ、徹底的に悪い奴


ワル・・・なぜか心惹かれる言葉。悪の語源でもと思っていたら、「ワル」をテーマにした展覧会が開かれているという。浮世絵専門の太田記念美術館の「江戸の悪」。

近寄りがたいがそそられる、そんな存在、ワル。悪いことはできないが、他人の悪はのぞきみたいという気持ちがあるのだろうか。江戸時代には盗賊や悪党が人気で、脚色された歌舞伎で演じら、浮世絵も多く描かれた。

あなたって、ワルね。言わせてみたい、言葉では、ある。


ワルナスビ
茎や葉に鋭いとげが多く、垂直および水平に広がる地下茎を張ってあっという間に繁茂する。一度生えると完全に駆除するのは難しく、全草がソラニンを含み有毒であるため食用にはできず、家畜が食べると場合によっては中毒死する。これらのたちが悪い生態により命名された。


かわせみ


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拭っても汗が噴き出す。30度を超えるなかを歩き続けるとさすがにバテてくる。地図で見つけておいたお店を探していた。長年の感から、住宅街にポツンとある店にほぼ外れはない、と信じているので、今回もきっと・・・ありました。

「かわせみ」、好い名前じゃないの〜。暑い時に、こんな和テイストなお店は嬉しい。カウンターの奥の席に座る。熱いお絞り、冷水、少ないメニュー、光を落とした照明、ジャズのBGM、どれも気にいった。季節のおすすめが目に入る。「むらさきあんみつ」。ぜんざいにアイスクリーム、ブドウ味の寒天、梅の蜜をかけていただくそうだ。

「それ、お願いします」。気分はもう「孤独のグルメ」の井の頭五郎だ。

目の前に、店主の蔵書だろうか、趣味の好い本が並んでいる。話しをしたくなるが、作業中につき、すこし我慢。「花森安治のデザイン」「和菓子のほん」を眺めて、待つ時間を楽しむ。少し離れた席で、イギリス人だというカップルが、店主と会話を楽しみはじめた。

「むらさきあいす」が、差し出された。う〜ん、冷たい餡を含むと、涼風が吹く〜。アイスクリームに梅の蜜をほんのりかけた。お〜、染みる甘酸っぱさ。夏はひんやり甘味にかぎる〜〜
ここをまた訪ねて来ましょう。


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この店で、ある発見をした。
あれ!?もしかしたら、カワセミとヒスイは、おんなじ漢字!?

ググってみた。どちらも「翡翠」だった。
二つの漢字の羽の字のつくりがすこし違う。そういえば、菖蒲も「しょうぶ」と「あやめ」。不思議なつながりだ・・・。


少年時代


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だめだめ、そんなに動かしちゃ。喰いつくまでじっと我慢しないと・・・。ザリガニ釣りに夢中になる少年を見ると、つい声をかけたくなる。このくらいの少年の頃が、人生で一番幸せなのではないかと、少年たちの話を聞いていると、そう思った。菖蒲なんてまるで見えていない。ザリガニとヤゴ、そして、ときどきオタマジャクシ。

声を上げて、生き物に目を輝かせる時間は、大切なのだ。この時間が、きっと幾つものハードルを越えていくんだ、とおじさんは思うのだった。


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いつの時代もザリガニの餌はスルメだけど、最近はイカが不漁らしいから、ザリガニ釣りは贅沢な遊びかもしれない。


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菖蒲


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この時期は、やはり菖蒲でしょうと、先月に訪ねた広い空のある北山公園に向う。東村山駅を下りてビックリ。菖蒲の咲く公園までミニバスがピストン走行している。ありがたいけれど、ここは歩いていこう。

公園に着くと、ショーブの時らしく、お囃子演舞、お茶のお点前の他に、焼きそばや団子などの出店がズラ〜り。そしてなぜか人力車までが苑内を回っていた。じつは菖蒲の楽しみ方がまだ分からない。薄い和紙のような花びらの繊細な柄は、それぞれ個性的ではあるけれど一つ響いてこないのだ。もしかしたら、広く咲いている様子を楽しむのだろうか。


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東村山の菖蒲祭は6/17まで。
http://www.shoukoukai.or.jp/shoubu.kaika.html


暖簾


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とある焼き鳥屋の暖簾である。歴史が、染みこんでいる。屋号さえ分からない。是か非か・・・判断に悩む。カメレオンやナマケモノが一歩すすむのに、体を前後させてしまうのが分かる。制御しているのは、心か、カラダか!?


北上市立博物館


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一度は歩いてみたい北上川・・・というわけで北上駅で下車し、北上川夜曲を歌いながら川沿いを歩く予定が、なぜか博物館へ。縄文人の生活の一端や平安時代からの北上の特徴的な6つの歴史的事象が展示されている。とくに平泉文化の前に栄えた国見山廃寺の仏教文化の世界は興味深いものだった。

ここは昔、黒沢尻と呼ばれていた地域だったとか、伊達藩と南部藩が睨み合っていた地域だったとか、フムフムといいながらも感心を引いたのは、昭和の生活用品だった。この時代に生まれたモノは、敗戦後の暮らしから少しずつ豊かさに繋がっていった家族の歴史とも重なり、あの頃が蘇ってくるのだった。


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時間があれば、森に点在する民俗村の建物を訪ねたかった


西馬音内(にしもない)盆踊り


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打ち抜かれました。編み笠を深く被り、美しい端縫い衣装を身にまとった二人と、そして亡者を思わせるひさこ頭巾を被った一人が、勇ましく野性的なお囃子と地口の唄い手の哀調を帯びた声をうけながら、優雅で流れるような上方風の踊りを舞い続けました。

西馬音内盆踊り。切なくなるようなこの舞いのカタチは、おわら風の盆の幻想的な踊りと重なりました。祈りのようでもありながら、妖しいまでの雰囲気を醸し出すのは、自在にしなる白い手首と白い指のように見えました。そしてときおり見え隠れする白いうなじ。
一度、篝火だけの弱い光のなかで見てみたい。そんな想いを起こさせる素晴らしい踊りでした。


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踊ってくれたのは、西馬音内盆踊保存会の皆さん。


三人の踊りには、かなわないけれど・・・参考に。
https://www.youtube.com/watch?v=wVmyOysFDKg



鳥海山


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もう15年は経つかな。夜行バスに揺られ、早朝酒田についてから羽越本線に乗り換え羽後本荘へ。そこから由利高原鉃道に乗って終点矢島駅まで。さらに鳥海山五合目までバスで行く予定が・・・バスがなかった・・・ガ〜ン。

タクシーもないような小さな駅の早朝。呆然としてバスの時刻表を見ていると「どうしました」と、後ろから声がかかった。車から若い男性が顔を出していた。事情を説明すると「今から鳥海山の五合目の小屋へ行くところです。乗ってください」と言う。渡りに船〜どころか、天は見捨てなかったと思った。早朝である。こんな不思議な声がかかるとは奇跡。その男性は、地元の職員の方だった。

ここから話すと長い。この男性、五合目の小屋のおやじさん、山頂で知り合った佐藤慶そっくりの山形大学心臓外科の医師と看護士のお二人・・・この人たちに出会えなければ、雪の鳥海山往復は出来なかったかもしれない。

そんな懐かしいことを思いだしながら、秀麗鳥海山を飽きもせず二日間眺め続けた。秋田から、横手から、湯沢から、独立峰にはどこから見ても孤高の美しさがある。いつか、また登ってみたいと思った。


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ニュースをいくつか。

五行歌の友人、Sさんが快挙!
朝日新聞の川柳欄と同じページにある『かたえくぼ』欄に、彼の作が本日(6月5日)掲載された。


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事務所のS君が開発した
https://youtu.be/fjQDDm8tI1g

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そして山碧木が \^o^/なんと〜
「東北合同五行歌会in秋田2018」で一席〜

心って
けっこう
厄介
もう決めたことなのに
袖を引っ張る




燕岳(4)


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森の中にイワカガミの花が咲き始めた


山の上は雪が多いが、五合目より下に春の花が咲き始めていた。どれも春が来たことを教えてくれる花ばかりだ。まずはヤマツツジ、ポツンポツンと緑の中にピンクが映える。そしてオオカメノキの花。五枚の花びらが美しい。五枚の花びらがついたまま登山道にこの花が散っていると、そこを歩くのをためらってしまう。


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オオカメノキの花は好い香りがする

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ショウジョウバカマ

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イチリンソウを思わせる可憐な花、ウメバチソウ

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燕岳(3)


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稜線歩きは楽しい。西からの風が強く吹くと肌を刺すが、360度の景色は贅沢なご馳走だ。西に目をやると手前にはハイマツが鬱蒼と茂って、凹みには雪が残り、白い枝珊瑚のようなダケカンバの樹々が谷に向って伸びている。そこから一気に千メートルほど切れ落ちて、谷には急峻な沢からの雪融け水が注ぎ込む。そして遥か向こうから雄大な北アルプスの連なりが現れる。


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そうです、イルカ岩。奥に槍ヶ岳

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これは、めがね岩


人気のある燕岳には、面白いカタチをした岩が多い。いわゆるインスタ映え〜という人気の奇岩だ。燕岳は、登りやすく撮影ポイントが多いこともあって、山渓(山の雑誌)の人気投票では第二位。一位は当然のように槍だ。

眺めて思うことは、槍も富士山同様、その山容を遠くから眺めて、ため息をするためにある山かもしれないと・・・。


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そして、槍ともお別れ。また会おう

燕岳(2)


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雪山が好きだ。といっても厳寒期の山は命に関わるので、この時期の雪山を楽しんでいる。雪を辿ってくる湿った風には、春の独特のニオイがある。解けた雪の匂いというか、芽吹きに向う樹々の命の匂いというか、山が少しずつ目覚めていくような、そんなエネルギーの気配を感じる。

山が賑わう前に、ひっそりとこの景色を独占していると、なんだか申し訳ないような気持ちになる。
柿の種を齧りながらビールを呑み、目の前のアルプスの景色を眺めていると、山は止められんなあ〜という思いが深まるのだった・・・


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大天井岳への道を辿りながら燕山荘を振り返る

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雪上テント泊組のリュックの重量は30キロくらい。持てない、支えられない・・・

燕岳


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無事に還ってきました。梅雨が来る前に一つ三千メートル級を登っておこうと北アルプスの燕岳へ。当初は、ピッケル、アイゼン必携だったが、雪融けがすすみアイゼンとストックだけで何とか山頂へ。しかし体が鈍っているというか、老化が進んでいるというか、キツかった・・・

こんなにキツかっただろうかと、休憩の度に地図を見る。しかしこの地図がいかんせん古い。1997年版だから、もう20年前のものだ。表示されている歩行時間が驚くほど短い。昔の人は体力があったのか。結局、雪道ということもあって、地図時間の1.5倍かかってしまった。


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雪に囲まれた合戦小屋を超えてしばらく上がると、槍の穂先が見える。恋人にあったようにワクワクする。どうして槍はアルピニストを駆り立てるのか。呼吸が荒くなろうと、ガツガツと上がる。穂高が見えて、笠ガ岳も現れる。そして北アルプスの心臓部となる山々が顔を出し始めると、ファンファーレがひときわ高鳴る。


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燕山頂は雪がないが寒い。風が強まると体温が奪われる

松本楼


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建物が全焼しても大銀杏は生き残った


久しぶりに日比谷公園の松本楼で食事をした。森の中に佇むこの建物を見つけると、つい入りたくなってしまう。ここの歴史は古く、創業は明治36年だという。昔はモボやモガたちが松本楼でカレーを食べてコーヒーを飲むのが、最高のお洒落だったという。ある時期は、10円カレーのチャリティセールもやっていたが、今もやっているのだろうか。
大銀杏の下で、ビールを呑む幸せ。誰にも教えたくないけどここは別天地。


三頭山(2)


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こんな碑が立っていた。何度登っても三頭山。

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どうしたらこんなカタチになるのだ

三頭山(1524m)


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三頭山山頂までは、都民の森の入口からゆっくり約二時間登ると到着する。針葉樹と広葉樹の森に囲まれた「大滝の路」を進んでいくと、落差35メートルの三頭大滝が現れる。吊り橋からの眺めは絶景なのだが、吊り橋は揺れやすいので高所恐怖症には辛い。目を細めて、滝を眺めて引き返す。

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水の流れにそって登っていくと、せせらぎと鳥の声が聴こえてくる。水の中を眺めると、緑陰が揺れて、ファンタジックな世界をつくっている。
五月、今だけの世界がここにある。歌が生まれる。

木陰をはおり
風のそよぎをうけて
五月を歩く
いまを
いまだけをと歩く

都民の森


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山頂から富士山がバッチリ!


五月を代表するような爽やかな昨日、久しぶりに奥多摩のさらに奥にある三頭山(1531m)を登った。山頂からは富士山がクッキリと見え、思いがけないプレゼントをもらった。三頭山は、裾野に広がる都民の森のもっとも高い位置にある。

この森がこんなにもみごとに育ったんだ・・・とあの頃を思いだした。ここには、驚くほどの巨木が何本もあって、森をいっそう森らしくしている。


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巨木第二位はカツラ(胴回り5.7m)

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第一位はトチノキ(胴回り6.7m)


四半世紀も前の話。奥多摩に都民の森を造るというので、東京都のデザインコンペに参加したところ一席を貰った。オリエンテーションの時に、閃いたキャッチが効いたのだと、そのとき思った。

キャッチは「森は先生」。人はもっと自然に謙虚でなければいけない。次世代の子供たちに自然の素晴らしさを伝えたい。この二つのコンセプトを「森は先生」に込めた。

ポスターを始めとしたメインビジュアルは、イラストの森のなかでブナの切り株の上に立つ女の子。まだ高校生だった高橋由美子さん(いまなにかと話題の人になっている)だった。頼まれもしないのに「都民の森」のロゴタイプをつくったら、今もそのまま使用されていた。


森は先生.png左のパンフはプレゼンターションの作品

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左がロゴがそのまま使われている今のパンフレット
右は五つの森が開いて見られる当時のパンフレット


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木材工芸センターやレストランなどがある


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この森を歩きた〜いと、しみじみ思うムシムシの日である



あちい〜〜と、言いながら外から帰ってきた。湿度がいきなり上がるとキツい。次の打ち合せまで時間があることが分かったので、京橋で友人の個展、知人の個展の二つを観た。

じつに不思議。二つの画廊の距離はけっこう離れているのに、オーナー同士は知り合いであることを、二人のオーナーから聞いた。つまり、オーナーとのお喋りを楽しんでいるうちに、そのことが分かったのだ。さらに画廊に置かれていたチラシのヴァイオリニストも共通の友人だったりして、世間は狭いですね〜となった。どうも昨日から縁がキーワードらしい。


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上/「やすらぎひと」儘田能光作品展 5月14日〜19日 会場:京橋 T-BOX
下/「1/1という表現」さとうしのぶ版画展 5月14〜23日 会場:京橋 アートスペース 繭(まゆ)




池澤夏樹さん


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アマゾンでチェックしたら3万円を超えていた。どこかにあるはず・・


昨日、池澤夏樹さんに初めてお会いした。なんて言うと格好いいが、じつは彼のミニ講演会に行ってきたのだ。講演のテーマは「須賀敦子を語る」。新聞の小さな囲み記事を見つけて、申し込んだ。会場に着くと、すでに二百名くらいの老若男女が静かに着席していた。

時間になって池澤さんが紹介されると、やや俯き加減で登壇された。白っぽい麻のジャケットに、ふんわりとしたパンツ、無精髭、イメージ通りの姿だった。池澤さんまでの距離は、約15メートル。

亡くなられて既に20年経つ須賀さんのことを懐かしく語りはじめた。朴訥だけれど、言葉を選びながらの語りは、知性的で、ゆっくりと丁寧に生きている人のように映った。須賀さんの魅力を、共通のシニカルな世界観、文学者としての感性や表現力、イタリア人ぽい頑固なところなどと、少年のような眼差しで語られていた。


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縁は不思議だ。写真家星野道夫に惹かれてからいろんな人に出会う。新聞のあるコラムから、児童文学の田中裕子さんを知って画家の堀文子さんを紹介される。星野道夫さんの本の書評を書いた池澤夏樹さんや生物学者の福岡伸一さんのコラムから、須賀敦子さんの作品と出会う。好きになっていく人から新しい世界を教えてもらえることは、幸せなことだと思う。

好きということ


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好きなテレビ番組がある。NHKのプロフェッショナル。昨日はサッカーの本田圭佑だった。好きなサッカーを追いかけ、世界のトップチームへの入団を果たし、ビッグマウスと呼ばれている男。今年のワールドカップ出場に全てをかけている姿が映しだされていた。

番組最後の質問「プロフェッショナルとは?」にしばらくの間をおいて、こう答えた。「ケイスケホンダ」。驚いたというか、呆れて、笑った。「今後、ケイスケホンダにしてしまえばいいんです」。プロフェッショナル=ケイスケホンダ・・・「自分への豊富を込めてこの答にします」と結んだ。

今朝の新聞のコラムに書いてあったが、好きであるというのは才能らしい。
本田もそうだが、辞めない安倍さんも総理職が好きで好きでたまらないのかもしれない。


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こちらは滑らかな人


けやき


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裏高尾のいろはの森の入口に幹廻り4〜5メートルのケヤキ
巨木のある森は、護られているような安心感がある


ケヤキ並木のある街が好きだ。私の街の自慢はケヤキですと、阿佐ヶ谷の中杉通りを教えてもらったのは、もうずいぶん昔のこと。新緑が美しいトンネルをつくって、街の喧噪を鎮めていた。けやきの黒い幹と緑のバランンスは、じつに涼しげな景観をつくる。

ところがケヤキは枝を自在に伸ばし、葉をたくさんつけるために、驚くほどに剪定されてしまうことがある。見上げてガックリ。なんと哀れな姿・・・昨今の庭師というか、剪定する作業者の技術は、愛情がないというか、低くなったような気がしてならない。


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花の香り(3)


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フラワーアーティストのお二人もバラを喜んでくれた


花の香りといえば・・・・バラのかお〜りが、く〜る〜し〜くて〜え〜♬
ブルーコメッツのあの名曲「ブルーシャトー」が聴こえてくる。いつの時代もバラは想いを伝える花、女性が喜ぶ花、と信じている。

「取材で女性を訪ねるときは花を携えて」、広告代理店のある先輩が教えてくれた。「花を貰ってうれしくない女性はいません」。言われた通り、取材する前に花屋の店員さんと相談し、決まってバラを選んだ。バラには、深い色合いのあるものやパステルトーンの明るい種類など多くある。選んでもらったバラを贈ると、どなたもが喜んでくれた。
「あら、男性から花を貰うのは久しぶりだわ」と言う方もいて、取材はスムースに運んだ。

星野道夫写真展を後にしてから、ひょいと公園に入ると奥にバラ園があった。香りのあるバラには、プレートがつけられていた。懐かしいような、恥ずかしいような名前がいくつもあって、それはそれでバラに相応しいのかもしれないと思った。


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P5050774.JPGブルームーン

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ダイアナ  プリンセス  オブ  ウェールズ

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ホワイトクリスマス

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花の香り


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今時期のアササンの楽しみの一つに花の香りがある。大きな石の上にエゴノキの落花を見つけた。見上げるともう僅かしかなくて、それでも柔らかで涼しげな香りを放っていた。このくらいの香りが好いなと思った。


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鯉物語


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鯉が泳いでいるのを見ると爽快な気分になる。ここには男の子がいるんだな、と昔はよくそう思って見上げていた。ところが最近は、子どもが家を出ていってしまい、余っている鯉のぼりを自治体に寄贈しているケースが多いらしい。つまりたくさんの鯉が河の上を泳いでいるという地区は、過疎化が進んでいる!?・・・ちょっと寂しい鯉の物語があるのだ。


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人間関係


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近づくとすぐ逃げるニホンカワトンボ


家人から、それは気象病ではないかと言われた。ここ数日、気怠くて何をするにも集中できない。ググッてみると、該当する症状があった。気圧の変化によって音が聞こえ難くなる、腰痛が始まるなど。不定期的定期の腰痛は気圧の変化だったのか(発見)・・・おまけに風邪の症状・・・
あ〜どこかへ逃げ出したいなあ〜と思っていたら、「人間関係が辛くて逃げ出した」の新聞記事を目にした。

パワハラが騒がられている昨今、弱者へのいじめが記事になることが多い。刑務所は見えない空間であるだけに、もしやの想像も広がって、脱走くんへの同情が生まれてきた。

人間関係  俺も逃げ出したいような  (朝日川柳)



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三連休の中日に風邪の症状がでた。腰痛も重なってしまい、哀れなおっさんとなる。咳をすると腰周辺が激しく痛むので、グッと我慢をする。しかし咳はワガママ、大人しくしてはくれない。仕方がないから「コホコホ」と芝居がかった咳をすれば、それが誘い水となり、我慢の限界が一気にやってくる。
ままよ〜!痛みは慣れだ、と、おもいっきり咳をする。と、痛みが脳天に突き抜ける。
そんな一日を過ごして、体力をかなり消耗した。


春は駆け足


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今年の春は駆け足だ。花はもちろん、楽しみにしていたワラビまで、すっかり大きくなって、ほとんどが摘み取られていた。山道付近だけをキョロキョロしながら探したので、多くは見つからない。それでも何とか酒のアテくらいにはなったかな・・・。


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ほうれん草と湯葉のおひたしにタラノメ一つ


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もうウツギの花が咲き始めていた


五の日


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イチリンソウの花が美しい。ニリンソウが群生する裏高尾の小道で見つけた。ニリンソウに比べると五片の花は大きく、背丈もある。寄り添う二輪と孤高の一輪、そんな思いで二つの花を見比べると味わい深いのだが、花たちはそんなこと知らない。

そして、五行歌。
昨日の麹町歌会の題詠「白」で一席をいただいた。じつに久々。

白い月は知っている
ブランコが
寂しがりやにも
傷ついた人にも
優しい椅子であることを

ブランコと月を歌にしてみたいという想いが結実した一首。アササンのお陰である。

なるほど・・・それで、五、なるほどねえ〜
いやいや、じつは もう一つある。

五節供
昨日の読売新聞夕刊に小生が担当している広告が掲載された。紙面の真ん中に五節供マークを配置したレイアウト。全国版だったので、親しい人には伝えておいた。妹は母に見せるとLINEをくれた。偶然見てくれた先輩S氏は、重力を失うほどの絶賛のメールをくれた。

というわけで、今日は一日幸せな気分の中にいる。


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イカリソウ


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\イカリソウ/


セクハラ疑惑、文書改ざん、記録や日報の隠蔽、謝罪&撤回などなど、けしからんことが続くから、この花もお怒りではないかと、登場ねがった。
このイカリは花のカタチから。船の錨に似ていることから命名された。


ORMAC


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流れていったハナイカダ、ここに蕾をつけました


登る&呑むの会「ORMAC」が、丸4年続いている。正式名称は「Old Rookies Mountain&Alcohol Club」。「山を愛し、酒を愛する」を掲げて、月に一回の近郊の山登りを楽しんでいる。最終目的地は山頂ではなく、あくまでも麓の居酒屋、というじつに配慮が行き届いた?山の会なのだ。「無事に下山して、全員で呑む」このORMACの精神を護ることが、48回無事故登山が続いている要因かもしれない。
椎名誠流に云えば「われら怪しい山の会」ということになる。


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ヒトリシズカが呟いた・・・ヒトリウルサイ


ただ下向きに


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緑のなかを下向きに歩く人たち。新緑と黒い幹とのコントラストを楽しみなさいよ、と、つい云いたくなるのだが・・・木蔭は画面が見やすいのだろうか。


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シジミバナだって、知らなかった〜

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八重の花が散って、小さな命ひとつ発見


うみ


長年の友人であり、吟行歌会の街案内をしてくれる山口さん。今では珍しい狂歌を歌う(!?)一人だ。彼のペンネームが面白い。

酒上綾街。「さけのうえのあやまち」。

字が凝っている。ちょっと色男風の若旦那といたっところか。この名前で投稿してほしかったなあ〜の一句・・・


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彼の作った川柳が、先週末(4月14日)の朝日川柳で掲載された。読んで直ぐピンときた。昨日も「しっかり」「うみを出し切って」「行政の長として」と、あの人はインタヴューに応えていた。
おいおい、うみを出し切ったら、なにも残らないのではないのか。


フジ


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髪を藤色に染めた外国人の女性が咲き始めた藤棚の下で・・・


藤の花が咲き始めた。この頃に雨が降ると、花房が落ちてしまうのではないかと心配する。フジの柔らかく甘い香りは、心をなごませる。山歩きをしている時に、その匂いに気づいて探してみると、かなり高いところだったりする。まああんなところにと、その香りの強さに驚く。ある気温になると香りが強くなるようだ。


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オドリコソウ


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オドリコソウといえば、伊豆の踊り子を思い出す。吉永小百合、内藤洋子、山口百恵といったヒロインたちのあどけない顔が浮かんでくる。都会を知らない田舎娘の初恋物語に清廉な想いを重ねたあの頃が懐かしい。

男優は、高橋英樹、三浦友和は出てくるのだが、内藤洋子のお相手は、さて誰だったのだろう?ググってみると、なんと〜黒沢年男。なぜか影が薄い。東宝のこの映画は、あまり当たらなかったのかもしれない。

吉永小百合以前の踊り子はというと、鰐淵晴子、美空ひばり、田中絹代と、そうそうたる女優が並ぶ。

オドリコソウは、笠をかぶって踊る踊子に似ていることから命名された。


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鬱蒼〜


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いい匂いがするので見上げると、カツラの木だった

うっそ〜、と云いたくなるくらい、新緑が色を濃くしている。新宿御苑の森も緑一色になった。雨上がりだから、人が少ない。こんなときは、歩を緩めてゆっくりと歩く。深呼吸すると空気が美味しい。カツラの木は、もう香りを放ちはじめた。


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ラクウショウの森につい足が伸びる


ペットパック


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なんである。パンである。つぶれない


山登りの季節がやってきた。新緑の森を抜けた後に、景色を眺めながらのランチは至福の時間だ。前日の余り物だって、お腹が空いていれば、そして外で食べるから不思議と美味しい。余っている飴やお菓子や鯖の缶詰(!?)も袋に入れて持っていこう。


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*ペットパックのつくり方
メーカの違うペットボトル2つを真ん中から切って、本体とフタとする。切り口を軽くサンドペーパーで磨いておく。パンやおにぎりなど、目的地に着くまでリュックの中で型くずれしない。

下駄


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こんな下駄で高尾山に登ってきた若者がいた。高尾山は天狗信仰の霊山だから、なるほどそういうことかと合点して、一枚撮らせていただいた。登りはまだいいが、下山時は目線がアップしているし、バランスをとるのは大変だと思うのだが、そこは若者、そんな心配はないのだろう。

昨日の歌会の題詠は「下駄」。こんな歌を出していた。

昭和の子たちは
「ちびた」に愛されていた
鉛筆、消しゴム、下駄・・・
そして両手の指の間から観る
怖い映画にもまた

なんと、この歌が一席。勝負は下駄を履くまでわからない・・・


きがあう


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種類が違うのに、キが合う!?


先日の高尾山で見つけた二本の木。人目をはばかることなく、仲がいいねえ〜


吟行歌会/お茶の水界隈(2)


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湯島聖堂で学問のお話を聞いてから向ったのは、神田明神(神田神社)。ここからもうすぐ日本の夏祭りが始まる。大小200の神輿が練り歩き、粋でいなせな江戸っ子たちの元気の良いかけ声が、神社に響き渡る。参道には、甘酒屋、蕎麦屋、煎餅屋などが軒を連ねていて、神田の賑わいが感じられる。


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豆に目がないのでこの芝崎納豆を買いました。豆が大きい〜

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銭形平次の碑があった

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平次が投げていたのは寛永通宝


神田明神には三つの神様(大黒様、恵比寿様、平将門)が祀られている。それぞれに手を合わせると三つのご利益がもらえるのだ。大黒様は縁結び、恵比寿様は商売繁盛、平将門はというと厄除。境内には銭形平次の碑があった。碑の発起人の欄には、大川橋蔵、長谷川一夫らの名前が記されていた。


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こんな歌が詠まれました。

水の道や学舎街               Sさん(一席)
知らない街を
少しずつ
なじませて歩く
私は歴史のエキストラ


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ニコライ堂に咲く             Kさん(一席)  
真っ白なチューリップは
ハリストスの聖歌隊
春風のタクトで
軽やかに揺れる


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ニコライ堂                   Mさん(二席)
湯島聖堂を結ぶ
聖橋
その袂に太田姫
椋の木に抱かれて


なんだかんだと言うまもなく    山碧木(二席)
削られ  掘られて
渡されて
御茶ノ水界隈に
学びと祈りの声  流れる

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江戸の守護神も               Kさん(三席) 
今は都民の味方
震災・焼失・再建
苦労してるね
神田明神

吟行歌会/お茶の水界隈(1)


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太田姫稲荷神社


先週末は春の吟行歌会。江戸の歴史のナビゲータYさんに、お茶の水界隈の名所・史跡を案内してもらった。コースは、JRお茶の水駅から大久保彦左衛門屋敷跡~小栗上野介屋敷跡~太田姫稲荷神社~ニコライ堂~蜀山人終焉の地~太田姫神社元宮~聖橋~湯島聖堂(昌平坂学問所)~神田明神~お茶の水の碑までの約一万歩。

お茶の水辺りは、神田山と呼ばれた麓にあったこと、幕府の命を受けた伊達藩がここに深い堀を造って神田川の水を引いたこと、架けられた橋からは富士山、東京湾がよく見えたことなど、Yさんは絵や地図を出して説明してくれた。さらに江戸の地図の上に掌を乗せ「江戸の頃は、五つの台地が海に向っていました。親指が上野台地、人差し指が本郷台地・・・」「つまり山の手という名はここから由来しています」には、一同感心しきり。聖橋の上から当時の風景を想像し、下を流れる神田川の深さに感心する。

太田道灌の娘の病を治したという太田姫稲荷神社、幕府直轄の学問所で日本の学校教育発祥の地が湯島聖堂、銭形平次が投げていたのは寛永通宝、神田明神で売られている納豆や甘酒の謂れなどなど、江戸の雑学を楽しく語るYさんは、なんだかインテリ寅さんのようだった。
チョロチョロ流れるお茶の水、粋なネーチャン・・・〜



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ニコライ堂の前で

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湯島聖堂の孔子像の前で

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昌平坂学問所

二刀流


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山登りもするが歌もつくる・・・これって、二刀流?


暇だね〜と言われるかもしれない。メジャーリーグの大谷の活躍を喜んでいる人たちは、同性の大谷さんだけではない、大谷という地に住んでいる人たちだって嬉しいのかも・・・とググってみると、北は北海道、南は鹿児島まで、全国100カ所以上に大谷の名がつく地域があった。「オオタニ」と呼ばれるたびにニコッとしているのかもしれない。

二刀流は、格好いい。どうしたらあんな選手になれるのか。秘密があった。大谷だけではないが、アスリートたちはこんな目標達成シートを作って、研鑽している。大谷くん、これ全て実行したのだろうか、とイヤハヤため息が出た。
「今の若い者ときたら」は・・・はもう死語だ。


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高校生の大谷君が作った目標達成シート


惹かれあう


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今年の初蝶は、紋白蝶だった


好きな人ふたりが、何かの縁で繋がっていることを知るのは嬉しいものだ。まして面識も無いふたりと分かれば、なおのこと、心地よく思うのはどうしてだろう。

堀文子展で購入した一冊に、こんな一文があって笑った。

老残のかけらも見えぬ、阿部なを先生の迫力の原動力を知りたかった。
「死ぬまでに体の悪い所を直しておかないと。」 何というすごい生き方だ。

厳しい人生をあえて選んできた堀文子さんが、料理研究家の阿部なをさんの言葉を紹介していた。昔、なをさんの料理番組が好きでよく観ていた。あの言葉は津軽弁だろうか。なをさんの話を聞きながら、その所作を眺めているのは至福の時間だった。無駄がなく、朴訥であっても優しい。
画家と料理研究家、底流にあるのは自分を律する生き方だ。

この人たちは同じ意識下にいた、地下水脈で繋がっていたのかもしれないと、ふたりを我が師のように愛おしく感じてしまった。こんな心地良さを分かってもらえるだろうか。おふたりがこちらを知らなくたって、同じ仲間であるような心地よさと安心感。こんな思いを表す言葉は、あるのだろうか。


死ぬまでに
体の
悪い所を
治して
おかないと

こんな言葉、どうして生まれるのだろう。


前へ


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種がこぼれて岩の間に入ったのだろうか。わずかな隙間からスミレの花が咲いていた。公園の中で偶然に見つけたのだが、小さな命の逞しさに惚れ惚れとする。

東京の桜は散ったが、海を渡った大谷桜が開花した。可能性を追いかけ、ただ一途に努力を続けている若者の姿は、勇気と希望を与えてくれる。愚痴ばかりこぼしていないで、前へ進もう。



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桜が散っていきます。散らないで〜と止めるシベもなくと思ったら、蕊が残っていました。ヤマブキの花もそうであるように、蕊も花のようです。まだ数日、蕊を楽しめそうです。そして葉桜も・・・


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この桜をご存知ですか?服部桜(はっとりざくら)、今にも散りそうです。

親子で山登り


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週末、日本山岳会主催「親子で山登り」企画で三家族と一緒に高尾山を登った。今年すでに四回目の高尾山。おじさんおばさんの山登りの会ORMACもいいけど、子供たちと登るのも楽しいはずと参加を決めた。サポートするのは山岳会のメンバー6名。八時過ぎに高尾山599ミュージアムに集合して、自己紹介、体操、コース紹介などしてから登山を開始。


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担当を任されたのは五歳の女の子Aちゃんだ。ヤマネのバッチを見て可愛い〜と声を弾ませ、帽子に付けてくれた。さて、どれだけ体力があるのだろうか。Aちゃんのペースに合わせ、話を聞きながら登っていく。ケーブルの山頂駅から薬王院までの道沿いには、茶屋やお土産ショップ、おみくじなどが並んでいる。子供たちは、それを見つけるたびに声を上げて走り出す。ちょうど?年前・・・娘とここを歩いた日々を思い出した。


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ママたちも楽しいようだ。子どもから開放され、桜やツツジを愛でながら、ゆっくりと歩ける。お天気にも恵まれ、手をつないで最後まで歩き通した。ゴールのキャンプ場では、Nさんが大きなテントを張って待っていた。それを見つけて、子供たちは大喜びして中に飛び込んだ。子どもはテントが好きだ。

オヤツのチョコレートフォンデュも大受け。バナナとチョコ、イチゴとホワイトチョコの美味しさに大人も童心に還った。次回は富士山の洞窟探検。これも家族が楽しめる企画になりそうだ。


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帰りは二人の女の子に手をつながれて〜♬



阿 吽


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仕事の先輩カメラマンが不定期に開催している写真展を覗いてきた。「NOM会+5写真展 通過展2丁目」というタイトルだが、この会も「写真を肴に酒を飲む会」として40年程前からスタート・・・とあったので、なんだ同じコンセプトだなあ〜と思いながら、久しぶりにお会いしたIさんと話し込む。

Iさんの写真は、ひときわ目立った。阿 吽。「これ、Iさんの社会への怒りを現している作品でしょう」とコメントすると、「わかる!」と喜んでくれた。「社会への怒りをこんな顔で表現するなんて、凄い」「ブログにアップしましょう」とこのカットを撮らせてもらった。大きなパネルから「喝」の声が聞こえてくるようだ。

知人、友人らの話をしていたら、昔、仕事をお願いしたことがあるSさんがやってきた。いま日本広告写真家協会(APA)の会長をされているとか。現役バリバリだからか、フンワリのオーラが伝わってくる。そうだ・・・呑んでばかりいないで、こうした作品展を不定期にでも開催していくのは大切なことかもしれないと、桜を眺めつつ思った。

お花見の帰りにいかがですか。
「NOM会+5写真展 通過展2丁目」
ポートレートギャラリー/東京都新宿区四谷1-7-12 日本写真会館5階


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明日は、山岳会のボランティアガイドで、高尾山を三組の親子と登る。担当は五歳の女の子。山頂まで自分の足で登ってくれるかな。桜を求めて混雑するだろうなあ・・・と、あれこれ心配をしている。


フキノトウ


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これ、フキノトウ。摘まれずに残って、ここまで成長していた。大きくなると食べられない(食べる人もいるのかな)。これはさらに伸びて、白い花をつける。そして花は綿毛になり種を飛ばす。つまりタンポポと同じ形態で増えていく。


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見上げると紅葉が小さな花をつけていた


モクレン


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よそ見をせずにただ上を向いて咲き、他には目モクレンのがモクレン。ORMACでは、コブシとの違いをそうシャレて説明をした。ハクモクレンが咲き終わってから、このシモクレン(紫木蓮)が咲き始めるようだ。大木戸門の横から四谷三丁目につながる小道に、ユキヤナギ、レンギョウと一緒に咲いていた。


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表紙は麹の香りが揺らいでいるイメージ


昨日は、麹町倶楽部の20周年記念歌会だった。33名という大人数。歌集とDVDのデザインを担当した。歌集は青と赤の二冊!?じつは中身は同じだ。カバーを二種類作ってあって、重ねて製本されている。つまり「20=にじゅう=二重」となっている。

「麹」には「麦」「米」の二字が組み合わされている。そうだ・・・麦麹を青とし、米麹を赤とすれば、二つを重ねて麹となる。青は成長を意味し、赤は周年のめでたさ。
麹は醗酵して20年、好い香りを放つようになりました〜!決まり!


ヒトリシズカ


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御苑の桜をスパッと諦めて、先日ORMACで歩いた玉川上水の最終ポイントとなる大木戸までのせせらぎ沿いを歩いた。ふだんは静かな道(内藤新宿分水散歩道)も桜の頃は人が多い。すでに見終わったカップル、外国人、家族連れが、大木戸門方向から流れてくる。

せせらぎの深さはわずか10センチくらい。とりあえず大木戸まで流しましょうというお役所的な意図を感じてしまう小川なのだ。シャガの草原の横で、小さな花を見つけた。ニリンソウとヒトリシズカ。わずか10センチくらい。誰も気がつかない。

季節は巡り、木の芽、花の芽、命あるものは目覚めて、いっせいに萌えだしていく。


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こちらはニリンソウの蕾・・・小さい


日本人と桜


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前方入り口方面に約150メートル、係員の視線の先に約100mの列・・・


FB、ブログ、LINEに友人たちの桜の写真が溢れていく。昨日、新宿御苑はもう混んでいるだろうなあ〜と思い、ある作戦を思いついた。皆さんが帰る頃に入園しようと、我が家から御苑までの約3キロをゆっくりウォーキングして、3時半に新宿門に到着。

目が点!信じられない長蛇の列・・・入り口まで約200メートル、人の頭が満開だ。とりあえず並ぶと、後方にも人が列をなしていく。おいおい、時間内に入れるのか〜。桜を見るための、エネルギーの凄さよ・・・と歌を詠みながらも、はて!?と・・・

少し前に進んだ時、一人の係員が「閉館は四時半です」「四時までにご入場ください」と大声を上げた。時計を見るともうすぐ四時ではないか、入り口までまだ100mはある。
それって変!のランプが点いたので、列から離れた。

日本人と桜。これは、いったいなんであるか!?


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というわけで、入園せずに大木戸門前の桜を無料鑑賞、不動産の広告写真みたいになった

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我が家近くの神田川の桜は五分咲きだったが・・・



萌え


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雨で桜は来週かなと思ったが、電車から新宿御苑の桜が咲き始めているのが見えた。モクレン、コブシがあっという間に咲き散って、ユキヤナギ、レンギョウ、ヒュウガミズキ、トサミズキの花が連なり始めた。
足元には、イチゴやカラスノエンドウ、オオイヌノフグリ・・・春は命あるものを目覚めさせた。

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熟成肉


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「寝かせておけば美味しくなるなら、よく寝ている私も熟成肉〜」と、お腹の肉をグイッと掴んだ熟女がいるかもしれないと、テレビのニュースを見ていた。いま「熟成肉」がブームらしい。

美味いという付加価値をつけるためには、手間と時間をかけて市場に出す。少し寝かした方が肉も魚も美味くなるというから、それは合点がいく。

しかし・・・表面の黒くなったカビ状の肉を庖丁で、全て削いでいたから、なんだか勿体ない。牛ロースの熟成肉・・・庶民には、手が届くお値段なのだろうか。


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小魚をパクッと襲う岩にしか見えないオニダルマオコゼ

玉川上水を歩く


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五ノ神神社にある「まいまいず井戸」に集結した隊員12名

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上を向いたまま咲いて、目もくれんのが、モクレン

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富士山が見えるという手づくりの単眼鏡

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サボテンに襲われた家

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チュウサギかな

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鼻はむずかり、花はムスカリ


この時期、スギ花粉を浴びながらの山歩きはしたくはない、というわけで3月のORMACは、山から平地に切り換えて、玉川上水に沿った散策コースを歩いた。取水口のある青梅線の羽村駅に集合し、中里介山のお墓、開花前の桜並木、雑木林、ゴルフコースの横、立体交差の橋などを確認しながら、玉川浄水駅までの約13キロをただひたすらに歩いた。
13キロは長かった。途中4名がパスをしてゴールに先回り。
ヘトヘトになった隊員たちだったが、一年振りの居酒屋Oでは、再び元気を取り戻した。


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二人で真似れば、玉川カルテット!?
知らないだろうなあ〜

!?


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新聞で読み間違える時がある。その昔「米朝問題」なんて書かれていると、米朝師匠が上方落語協会ともめているのか!?なんて思ったことがあった。しかしこれはすぐに分かった。

上の写真と右の見出しを見てほしい。この記事を見て、一瞬「ムムム」と思った。パラリンピックの成田緑夢(グリム)選手がメダルを取った後に、3回目の滑りを見せなければならなくなった・・・その合意を本人からとる・・・なんと大げさな表記・・・メダルを取るのというのは大変だ・・・!?


うらら


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BSで世界のニュース、朝刊で改ざん記事・・・まともじゃない人たちが、この国を、世界を動かしているのかと思うと絶望的な気持ちになる。怒のエネルギーをそこへ向けすぎると具合が悪くなるので、深呼吸を一つする。

外を見れば温かな日差し。ふと「うららか」の言葉が浮かんだ。四文字を頭に浮かべる。うららの曲線が美しい。鉛筆を手にして書いてみた。さらさらと綴り文字になった。何度も書いているうちに、柔らかなラインに導かれて、少しだけ気分が良くなった。


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先日見つけたユキワリソウ

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ひと枝にまだロウバイが


野鳥ウォッチング


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久しぶりに葛西臨海公園の鳥類園に行った。着いた時間が遅く、鳥たちのモグモグタイムが終わっていて種類が少ない。カモ類、カイツブリ、ウミウ、コサギ、バン、シジュウカラ、セグロセキレイ、ムクドリ、ツグミ、ヒヨドリ・・・双眼鏡に映るのは見慣れている種類ばかり。


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海辺を見ると、コサギが岩場で何かを補食していた。はじめはその餌が分からなかった。とても小さい。フナムシだ。魚や昆虫ではなくフナムシ。忍び足で近づいて、ゆっくり首を伸ばしてからヒョイっと捕獲。クチバシの先でわずかに動く。岩場に多いフナムシなら餌に困らないだろう。

コサギは美しい。冠、胸、尾の部分に飾り羽をもつ。動きにも無駄がなくて、見ていて飽きない。本来なら川や沼がホームグラウンドのはずだが、海岸にも進出している。サボテンを食べていたイグアナが、いつしか海に潜って海藻を食べはじめたように、生き物たちの食性は変わり始めているのかもしれない。


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バン

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ムクドリとスズメ

観覧車


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夕日を浴びて、大きな観覧車のシルエットが美しい。止まっているかのように見える。しばらく眺めていると、時計逆回りであることが分かって、想い出が一つ蘇った。

やはり止めればよかった。ガチャンと観覧車のドアが閉められた瞬間、そう思った。後悔と恐怖も一緒に乗せて動き始めた。わずか五メートルくらいの高さで、心身が強ばりはじめる。声が出なくなっていった。そして最高地点で、ほとんど固まった。時間の進みを遅く感じた・・・。

高さに滅法弱い。ドローンやスカイダイビングのカメラ映像にさえ緊張する。どうしてスリリングな高さを楽しめるのかが、よく分からない。フグの毒を味わって、痺れを楽しむ感覚と同じなのだろうか。
それなら挑戦できるのだけど。

花の名前


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ビヨウヤナギの芽がふくらんできた


この葉っぱを見て「おっ、ビヨウヤナギ」なんて分かるがわけない。小さな表示を見つけたのだ。でも花の姿はちゃんと想像できる。野の花ならけっこう知っていると思う。
じつは、花の名前を覚えようと、決めた時があった。

作家、伊集院静が賭け事にはまって、一時期やさぐれていたときがあった。それはそれで格好がよくて、文無しと言いながらも京都のどこかの小粋な店のカウンターで、一人呑んでいた。女将に呟く。

「あれは侘助ですか」。
女将がふわっと微笑んで、「お客さん、お花のこと、詳しいんですね」と応える。それから会話がポツポツと進んでいく。

これを読んだ時に、立ち上がった。これだ!これでいこう。
侘助なんて、いいじゃないか・・・すぐに覚えた。

それから数年が経って
「お姉さん、あれは、侘助ですか」
「山茶花じゃないの」

ガクッ・・・

マンサク


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今日、新聞のコラムで寂聴さんは、このマンサクの花を雪洞が点るようと表現されていた。近くで見れば変な花だなと思ってしまうが、春を待つ人には、枯れ枝から黄色い花が吹出していくのだから、灯りのように思えるのだろう。福寿草、ロウバイ、スイセンと始まって、サンシュユ、菜の花、トサミズキ、ミモザと黄色の花が続いていく。


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二つの綿毛


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終わりのムクゲと

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始まりのコブシと


やばいしょ〜


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「そだね〜」「いいんでないかい」「いっしょ〜」。
カーリング女子の会話イメージが残っているうちに、これを紹介しなくては。
梅園の中を歩いていると、おかしな立て札を見つけた。「やばいけ〜」「やばいしょ〜」とある。なんだ、こりゃ。これはぜひ、氷上でカー娘らに言ってもらいたい。「やばいしょ〜」は、もうそのまま使える。


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調べると「やばいけい」とは、野梅から変化した原種に近い梅。中国から渡来した梅の子孫と言われ、枝は細く、花も葉も比較的小さい種類。そして香りがいいとある。
そして「やばいしょう」は、原種に近い梅。枝が細くトゲ状の小枝が多い。日焼けすると赤みがでる。葉は比較的小さく毛がない。花は白または淡紅が多く、香りが高い。果実は丸い。なんだ、ほとんど同じではないか。


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桜ばかりがもてはやされているようだが、梅だって味わいがある。華やぎは桜には叶わないが、自在に伸びた老練な枝と愛らしい花の妙とか。そして清しいかおりとか・・・
「そだね〜」


母の時間



ホームの自室で、母は飽きもせず、時々表情を動かしては、外の雪景色を見ている。両手は車椅子の上で重ねたままだ。このポーズをどれだけの時間を続けてきたのだろうか。

僕はというと、母が声を上げて歓迎してくれた先ほどの時間から、六十年ほどをフィードバックし、あれこれを思い出そうとしていた。

ちょうどデッサン教室で母の横顔を描く生徒のようなポジショニングに座っている。顎がちょいとしゃくり上がって、耳が大きくて、目を細めて雪景色を見つめている横顔は、なんか外国人みたいで、繕うことのない美しさがある。
ときどきこちらを向いた時にだけ、目を合わせて微笑む。

パチパチと燃える暖炉が近くにあって、薪の匂いが漂ったりすれば・・・きっと永遠のような時間が生まれるのかもしれない。

わずか前に母と不思議な会話をしていた。

誰かに会いたい
誰かに会いたい と繰り返すから
誰に会いたいの と聞けば

誰かに会いたい  と言う。
いったい誰に会いたのか、それすら思い出せないのだろうか。
思い出せないから、なお寂しくなるのだろうか。

母親は長男が一番可愛いのだと友人に言われた。なら、沢山の恩返しをしなければならないのだが、出来ることといえば、こうして母のことを思ってあげるくらいだ。

雪が強くなってきた。

きれいだねえ〜と言えば やだねえ〜と言う。
きれいでしょ。 やだねえ〜。

18歳で札幌を離れた人間と、ずっと雪かきを続けてきた母とは、雪の価値観が違うのだ。
わずかな会話の中に、忘れていた時間や想いが湧きあがってきた。

四時過ぎたけれど、時間は大丈夫?
母が不意に言ったので、驚いた。
時計を見て、ちゃんと話ができるじゃない。

そうだね、明日またくるからね。
手を優しく包んで、別れた。


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命に関わる・・・


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数時間前の千歳付近。
「猛吹雪や吹きだまりによる交通への影響などに厳重に警戒し、屋外での行動は危険だとして外出を控えるよう呼びかけています」と朝のニュース。そして「人命に関わる暴風雪や大雪おそれ」とも言っていた。

なんとか千歳空港まで辿り着く。スカイマークは、強い。JAL、ANAが早々に白旗を上げて全便欠航宣言したのにも関わらず、天候を見極めて対応した。

今回は、母が危ないのメールを妹から貰っての帰郷だったが、奇跡の復活。
このお話は、また明日。

冬苺


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高尾山で冬苺を見つけた。初夏の野苺とは別の種類で、秋に花を咲かせ、冬に実をつける。一つ摘んで口に含んだ。甘い。

そういえば、雪の下から掘り起こされた、葉の茎部分に赤味があるほうれん草やしっかり結実したキャベツ、そしてダイコンや人参など、どれも驚くほど「甘い」。雪の中で冷やされると糖度が増すからだ。

人間も同じかな。「おらおらでひとりいぐも」の桃子さんのように、雑味が消えて、だんだんと旨味が引き出されていくのかもしれない。



影絵


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週末の朝、新聞を読んでいると、狭いダイニングに木漏れ日が入って、壁に庭木の影を映した。これは冬のお楽しみで、雲が低く流れている時などは、室内が息をしているように柔らかな影の明滅を繰り返す。

ふと影絵を思い出して、幾つ覚えているか、やってみた。犬、キツネ、鳥と、ここまで思い出したが、その後は手がもがく。そして新作のピロリ。


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大杉蓮さん


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大杉蓮さんが亡くなった。歳が近いこともあったけれど、演技の上手さ、若々しさ、そしてなにより華があって好きな役者だった。新年、ある二次会の司会で「こんばんは、大杉蓮です」とやった。ちょっと憧れでもあった。

死は、突然にやってくる。同じ心筋梗塞で帰らぬ人となった、父と弟のあの日を思い出した。蓮さんのご冥福を祈りたい。


ピロリ


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今年の健診項目にはピロリ菌チェックがあって、結果を見ると陽性だった。やっぱり。幼い頃はポンプで汲み上げた水を飲んでいたし、今も高い山では沢水を飲んでいる。まして日本人(50歳以上)の四人に三人はピロリ菌感染者だから、この結果は仕方があるまい。
その他の数値を眺めていたら、主治医からピロリ菌を除去してくださいねとT病院の紹介状を渡された。

ピロリ菌の正しい名前は、ヘリコバクター・ピロリ。なんか強そうでありながらもユーモラスな一面を持ち合わせているような響きだ。調べるとまさにその通りで、酸性の強い胃液の中にあってもアルカリ系の鎧をまとって、体をクルクル回しながら猛スピードで動き回っているという。
その推進力を生む回転速度は一秒間に約100回。人間にたとえると100メートルを5,5秒で走るスピードらしい。

凄いパワーの持ち主だ。何とかやっつけなければと思ったのだが・・・長く共に生きてきた同胞!?を絶滅に追いやるというのは、どうなんだ・・・。
不思議な寂しさが湧いた。


福浦港みなと食堂


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見あげると鳶が泳ぎ

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のんびり釣り糸が垂らされて

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浜では海苔を採る人たちもいるから

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一時間以上 待てる 春の人となる


オリンピッククラス会


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週末は中学時代の仲間と梅の咲く湯河原でクラス会。面子、待ち合わせ場所・時間、宿、カラオケルーム・・・全てがいつもと同じ。湯に浸かり、酒を呑み、懐メロを歌って、あの頃を語るという超マンネリの会なのだが、今回はオリンピックと重なった。

幹事の号令の元、スピードスケートのスタートの時間に合わせ、夕食を一時間、カラオケを二時間と決める。すると、おっさんたちはすっかり五輪戦闘モードになった。夕食はスキージャンプのごとく、全員が一時間ピッタリのK点超え。両手を広げるテレマークスタイルでカラオケルームへと向う。
マイクを持てば浴衣姿のイナバウアー。皆すっかり冬季オリンピックモードになった。よしラスト〜と声がかかれば「旅人よ」を合唱し、拍手で終わった。

さあ、いよいよ女子500mだ。カラオケルームを出た浴衣姿のおっさん五人は、女子団体パシュートのごとく一列になり、体をくの字の前傾姿勢をとって、廊下を滑るようにして部屋に戻るのだった。


P2189163.jpg^o^おめでと〜♬

おにぎり


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先日飛び込みで入った居酒屋に顔を出すと、「お〜いらっしゃい」と、今度は正しく迎えてもらった。主人とオリンピックの話で盛り上がる。世界のトップアスリートを讃え、なかなか日本は金がとれないねえ〜と、もう常連のようにすっかりリラックスしていく。
〆はおにぎりタラコでとお願いすれば、ド〜ン!風呂敷のような海苔に山盛りのご飯、なかにタラコが二本。思わず唸った・・・最後に何かが出るらしい・・・。

海を見る


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神奈川県立美術館の庭から細い道を下りていくと海に出た。光を吸い込んだようなスカイブルーと寄せてくる白い波。大きく息を吸えば、磯の香りがする。海が好きで、湘南に住まいを決めて暮らしている人たちがいる。この海の色を見ていると、なんか、分かるなあ。


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二匹の犬を連れて散歩しているカップルがさまになっていた。主人の海好きを知っているのだろう。寄り添うようにして、犬も海時間を楽しんでいる。
ふと犬好きの友人Zのことを思い出した。

「書き物をしている時なあ、大きな犬が足元にいると、ほっとするねん」。
その昔、愛犬のバーニーズ・マウンテンドッグが日産のCMに出ることになったと喜んでいた。サーファーでもあったから、あの犬も海に連れていってもらったのだろう。
海は、いろんなことを思い出させてくれる。


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海に出ていく人もいる


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堀文子展


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山の翌日は海。行ける時に行かねばと、葉山の神奈川県立美術館で開催されている「白寿記念/堀文子展」を観てきた。どうしてこんなに心に響いてくるのだろう。椅子に深々と沈みこみ、しばし考えた。

堀文子を知るきっかけは思いがけないことからだった。20年ほど前、写真家星野道夫の新聞記事を書いていたT氏に、一方的に星野の写真集を送った。それから十日後にファックスが鳴った。「いつかお会いしてお礼をしたいと・・・」。T氏と出会い、それから数年後「時間ある?いまから堀文子さんの作品展にいきませんか」と誘われ、堀文子の画を知った。この時期、柳沢桂子さんの表紙絵を描いていた。人との出会いは連鎖する。思考や生き方が近い人同士は、意外につながっていることが多い。

作品スペースの合間に彼女の言葉が記されていた。たとえば「・・・知識や経験をため込まないように心掛け、いつもゼロからの出発で、行く先もわからぬまま・・・」とか、「みんなひとりが寂しいといいますが、人といれば本当に寂しくないのかしら?人はそもそも孤独なんです」

そして
「群れない 慣れない 頼らない これが私のモットーです」
「自由は命懸けのこと」

などなど、自然に対する敬意やその厳しい生き方を知ると、絵を観るのではなく読むような感覚に変わっていく。彼女の気迫と優しさはどこから生まれてくるのだろうか。

丘の上の一本の木が強風に煽られている絵。銀波をきらめかせる海へ漕ぎだす一艘の小舟の絵。どちらも堀文子自身の生き方に違いなかった。
3/25まで。おすすめです。


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美術館の前は真青な湘南の海だった


鋸山(のこぎりやま)


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標高約330メートルの鋸山を甘くみてはいけない。急峻な登り階段と目が眩むほどの絶壁があって、なかなかの山なのだ。房州石と呼ばれる石材の産地として、江戸時代から盛んに採石が行われた山で、石切場跡には「百尺観音」なるものが彫られていた。

ここには「地獄のぞき」という名前からして恐ろしい眺望!?箇所がいくつかあり、お天気の日は東京湾だけではなく、富士山まで見ることができる。


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日本一大きな大仏様がある

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まるで海を見下ろしているような千五百羅漢の一つ

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漱石と子規も来ていた


空から鳶の鳴き声が聞こえ、春間近を思わせる一日だった。


ビデオ撮影


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フードスタイリストのご自宅のキッチンをお借りして終日撮影


仕事のお話。クッキングペーパーの撮影依頼がきた。写真ではなく映像、つまりビデオ撮影だ。「たぶん大丈夫でしょう」と応えたが、経験はほぼゼロ。親しい仕事仲間に相談すると、なんとかいけそうだった。紹介をされた編集スタッフには、正直に「初めてですのでいろいろ教えてください」と伝えた。この歳になると怖いモノはない。丸一日の撮影を終えた時には、ドット疲れていたが、ストーリ、脚本、原稿を売れっ子作家のようにガンガン描く、書く・・・。
いつのまにか対応できる知恵と工夫が眠っていた。
ますます怖いモノ知らずになりそう〜


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テニスボールの新しい利用・・・なるほどねえ

デコポン的出会い


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昨日の写真の答は「デコポン」。
こんな悪戯を思いつくまでには、ちょっとしたエピソードがある。

先週末、仕事が終わってから「おらおらでひとりいぐも」と居酒屋を探していた。断られたり、中に入ってから後ずさりしたりと、諦めかけて細い路地に入ると、小さな灯りがあった。もしかしたら暴力団系の店か、バカ高い店か?それとも民家・・・一度は通り過ぎたのだが、戻って、ままよ〜と重い引き戸を空けると、ギョロ目の親父と目が合った。

呑めますか? と聞けば
呑んでないか、あんた?と聞き返してくる。

呑んでませんが・・・

呑んでいるならダメだし
うちは一見さんお断りなんだ。

そうですか、でも僕は気にいりました。
呑ませてくださいよ。

そんなやり取りをしながら、カウンターの上の大皿料理を眺めると、どれも美味そうなものばかり。

うちはメニューも値段も出していない。

一枚板のカウンターは厚くて、広い。
椅子の具合もよく、オヤジの上から目線の位置も丁度いい。
気にいった。

よくドアを開けて入って来れたなあ、あんた。よっぽど変な人でなければ、このドアを開けて入ってくる人はいないよ。

勇気いりました・・・

ポツポツと話していくと、父方と同じ会津出身だと分かった。上京してからの苦労話や女に騙された話、店を作るまでのエピソードなど、いつの間にかこちらが聞き役になっていた。

美味しかった。また来ますとお勘定をお願いすると、「これお土産」と袋に包まれたデコポンを渡された。
シーラカンスと名店は、意外なところに隠れている。


!?


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さてこれは何でしょう?


一枚切りカッター


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新聞紙一枚だけを切り抜く。下の一枚を傷つけることなく魔法のように切る。雲のようなカタチをしたこの樹脂の先に、わずかな突起がある。これが優れもので、指を当てると感触はあるのだが、傷つくことはない。ここを紙にあて水平に動かすと、あ〜ら不思議。スルリと切れるのだ。
これを右手に持ちながら新聞を読むと、いつのまにか記事やエッセイの類いが増えている。


香香(シャンシャン)


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シャンシャンにちょっと心奪われている。今までのパンダとは何処が違うのか。頭のカタチ、タレ目、見つめる目、所作などが愛くるしくて、今までで一番かもと思っていたら、こんなニュースが流れた。

「パンダ史上最も美しいひざカックン」

映像を見るとシャンシャンの追撃に親パンダの左手が見事に挙がった。笑ってしまったのは「パンダ史上最も美しいひざカックン」のこのタイトルだろう。

今までの「一番」を見せろ、なんて野暮なことは言わない。
思い出したのが噺家、春風亭柳昇の自己紹介。年齢を重ねるごとに老人然とした風貌になり、しなびた声が心地よく、変わらぬ冒頭のセリフにいつも笑った。

「わたくしは、春風亭柳昇と申しまして、大きなことを言うようですが、今や春風亭柳昇と言えば、我が国では・・・(沈黙)・・・わたし一人でございます・・・」。
「我が国では」の後の沈黙で、もう笑いだす客もいた。

春風亭柳昇をシャンシャンに差し替えると、この大騒ぎがよく分かる。


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抽選によるご対面が終わり、いよいよ先着順で誰もが観られるようになった

おらおらで


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振り返ると一月は、追われるように一生懸命仕事をしていた。歌会以外で呑むこともなく、我ながら良く耐えたものだと思う。
こうなったら、おらおらでひとりいぐも。


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花の香りより酒の香り



赤い月


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9時51分。肘を躰にグッと引きつけ、呼吸を止めてシャッターを切る。それでもズームのシャッターは、ゆっくり瞬きを閉じるように時間をかける。本当に赤い月なのだろうか。引き延ばしてみると、たしかに赤かった。でもぶれていた。寒いベランダに15分おきに出て、陰っていく月を眺めていた。

「赤い月」は、なかにし礼の小説にある。戦前、小樽から満州に移り住んだなかにし一家の苦難と波乱に満ちた戦争体験の物語だ。彼は、この小説を書くために生きてきたと断言した。
実母がヒロインとなっている。偶然、その時代とヒロインの個性が重なる「月下上海(山口恵以子)」を読んでいる。舞台は夢のような都市「上海」、行ってみたかった・・・。


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そうか、タイトルの赤い月は
想いを寄せても裏切り続けた日本を意味していたのかもしれない。


井上井月(いのうえせいげつ)


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ドキュメントとフィクションによる映画「ほかいびと 伊那の井月(せいげつ)」を観終わってから気がついた。もしかしたら観たかった映画は「おだやかな革命」だったのではないか。

こんなことが数年に一度ある。対象がいつのまにか入れ替わってしまう症候群。カツ丼を食べようと出かけたはずなのに、いつの間にかカキフライ定食を口にしている。ハサミを探していたはずが、爪切りを見つけて爪を切っている・・・。

こんなときは、あまり考えずに流されてしまうのが良い。運命の神様はきっと、俳人「井上井月」の生涯を教えたかったのだ。井月の自由と孤独を演じた田中泯が良かったし、ナレーションの樹木希林の声が沁みた。随所に好きな南や中央アルプスの山々が映っていた。チラシには「芥川龍之介に見いだされ、山頭火に慕われ、つげ義春が漫画に描いた井月」とある。

「ポレポレ座」は、少数派の映画を上演してくれる地域自慢(俺自慢!?)の映画館だ。「ほかいびと」を観終わって出ると、多くの人が行列をつくっていた。次は「人生フルーツ」。アンコール上映がまだ続いていた。


横断歩道


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大通りからは雪が消えたが、陽の当たらない道には凍った雪が残っている。明後日からはまた雪の予報。どうなることやら。


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大きな交差点の横断歩道を見ると、白線が剥げていたり、黒ずんだりしている。歩道には、小指の先ほどの小石がいくつも散らばっている。チェーンを装着した車が、雪の二日間を走ったせいだ。

白線塗り直しのための臨時予算なんて捻出されないだろうから、しばらくは黒ずんだ白線を踏んで渡ることになる。どうも気になってしょうがない。


ふくら雀


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寒空の下、スズメたちが細い枝に数羽止まっていた。そっと近づいてズームで撮る。これ以上近づくと逃げてしまう。よく見ると、カメラ目線。警戒心は怠っていない。

それでも都会のスズメは、すっかり人になれたように思う。外で食事をしている時に足元までやって来ることがある。餌を与えていくとテーブルの上へ。何世代も都会で暮らし続けると、人との距離が縮まっていくようだ。


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こちらもカメラ目線・・・


国防色


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雪と灯りが美しかった飯田橋駅のライトアップ


昨晩は神楽坂で落語好き仲間と古今亭菊之丞の独演会を楽しんだ。演目は「七段目」と「たちぎれ線香」。七段目には、歌舞伎の女形(おやま)の所作がふんだんに出てくるのだが、あれほど粋で美しく見栄を切れる噺家はいないのではないかと思う。指先までじつに艶やかに動く。芝居かぶれの若旦那を演じる芸は、七段目を知らない客だって引きずり込んでしまった。

マクラで紹介された「軍歌バー」の話が面白かった。間違って入った福岡中洲の軍歌バー。客がコスプレで軍人になっていた。「驚いてママを探すと、国防色の軍服にモンペ姿。肩からは国防婦人会のたすき・・・ハイ〜」「未だにあるんですねえ」。

居酒屋で一杯やりながら大笑いした後、そういえば「国防色」ってどんな色だっただろう・・・昔、両親がよく「国防色」と口にしていた。帰宅してから深いモスグリーンだったかなとググってみれば、カーキ色。そうか、この色だ・・・。


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枯れても散らない


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ヤマアジサイがそのカタチを残して西日を浴びている。自然がつくったドライフラワーだ。高尾山に多く見られ、夏の頃からゆっくり咲き始め、開花期間がじつに長い。花の時期を終えても花(萼)を落とすことなくその姿を留めている。高度が上がるほど、開花時期が遅くなるようだ。

大雪


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懐かしい音が外から聞こえてくる。チェーンをつけた車が新宿通りを走っているのだ。「懐かしい音だなあ〜」と言うと、Y君から「懐かしくはないでしょう」「僕らの時代は、スタッドレスですよ」と言われた。そうか、記憶は古いものが優先されるらしい。

冬、北国では聞こえてくるのは、チェーンをつけた車の走行音だった。遠くから聞こえて過ぎ去っていくその鈍い金属音で、降っている雪の量や質を想像できた。そして靴の底から響く音で、雪質や気温も分かった。

もうすっかり東京人になってしまった。わずか20センチほどの雪を「大雪」。その表現にも違和感がなくなった。この雪だるまと同じように、東京のポカポカに、北海道が融けてしまっている。


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高尾山


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高尾山のキャラクターはカラス天狗だ。天狗焼きに黒豆の粒餡が入っていた


今月二度目の高尾山だ。コースは前回と同じ一号路表参道コース。ORMACのメンバーとはロープウェー清滝駅前のムササビ像で集合だ。毎年一月は、参拝登山で筑波山、大山、御岳山と神社のある山を登ってきた。一号路は舗装されていて登りやすい。休憩を取りながら、オヤツを食べて、参拝をして、お守りなど買って、じつにのんびりした山登り。隊員の安全と健康を祈願して、真剣に手を合わせた。
頂上でゆっくりめのランチをしたら、もう一つの目的地に向って下山開始〜


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みんな素直にポーズをとってくれた

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この日犬と一緒の登山者が目立った

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キタサンブラックで!?

会津


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会津藩は我がルーツ。血には白虎隊の哀惜が沁みているらしく、ときどきフツフツと音をたてる。会津へ行くのなら雪の冬と決めていた。会津城へ向う。天守閣からの眺望は美しかった。こじんまりとした街が広がり、四方が雪山に囲まれていた。父方の遠戚がもしかしたらどこかに住んでいるのかもしれない。そう思って眺めていると、感慨深かった。歴史が変わっていれば、出生、運命が変わっていたのかもしれないのだ。


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広い武家屋敷の中を震えながら見学した

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会津若松といえば馬肉らしいが・・・


斎藤清美術館


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ここに座ってしばらく雪景色を見ていたかった


斎藤清美術館は只見線の会津柳津駅から徒歩約20分、只見川の河畔に建っている。数寄屋造りをイメージした建物で、館内はいたってシンプル。大きな展示室に約100点の版画が展示されていた。残念ながら会津の冬をイメージした作品は少なかったけれど、猫をモチーフにしたモダンな作品が目を引いた。

しっとりした土着性と都会的なセンスの対極。そして余計なものを削除し、残ったものに意味を託す。そんな思いを斎藤の作品から感じた。


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残った柿は鳥たちに啄まれているのだろうか


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「会津の冬」は今年の末に展示されるそうだ




版画家斎藤清


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版画家斎藤清の作品と出会ったのはもうずいぶん前のこと。作品の多くは「会津の冬」をテーマにしたものだった。赤い角巻きの女性が、雪のなかにポツンといた。どこかで観たような既視感。郷愁を誘うなにか。いつかゆっくりその作品を観ようと思っていたら、友人が会津に美術館があると教えてくれた。それもずいぶん前の話。
行こうと決めてアクセスを調べると、まあ何と遠いことか。


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美術館のある会津柳津駅まで、会津若松から只見線で一時間雪原を走る


谷中七福神めぐり


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吟行の谷中七福神めぐりコースは、時間の関係で「五福神」にショートカット(福禄寿と弁財天はごめんなさい)。五つのお寺詣りだけでなく、お洒落な酒器が並べられているお店に立ち寄ったり、富士山が見えなくなった富士見坂の上で日本人の景観への意識の低さを嘆いたり、懐かしいお菓子「シベリア」を公園で食べながらその言われを探ったり、黒田清輝美術館で作品を鑑賞して、お隣の子供図書館でランチするなど・・・谷中〜上野をよく歩きました。

上位三席の歌です。

上野桜木一丁目
石畳を這う影長く
六、七、八人
あれ 九人目が
福袋背負って・・・    (一席)Kさん


まるでラビリンス
七福神も迷い込んだ
不思議の谷中
片隅でふるえてたね
小さい木瓜の花      (二席)Kさん


八福人で歩く
谷中界隈
ご本尊から裸体まで
初春の七福神めぐりは
ありがたや ありがたや   (三席)山碧木


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五行歌漬け


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大黒天が祀られていた東叡山寛永寺護国院は、建立されてから400年


週末は五行歌漬けだった。一昨日は吟行歌会「谷中の七福神巡り」で、昨日は関東新年歌会。懇親会では司会と聞いていたので、これはほとんど呑めないと判断。吟行歌会後に大好きな居酒屋で痛飲。気がついたら二日酔い・・・というわけでフワフワした気分の一日を過ごした。その効果か、緊張もなく大役をなんとか果たせた。


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古いお店が突然現れて、街歩きが楽しくなる


吟行歌会は、今月の4日にロケハンをしていたので、迷路のような谷中の道をスイスイ案内できた。広い参道が延びていたり細い路地が現れたりと、谷中界隈は江戸時代から変わっていないのかもしれない。


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大きなヒマラヤ杉と小さなパン屋さん

懐かしいお菓子「シベリア」で盛り上がったり、歌を作ったり、冬の一日を楽しんだ。上位三作品は明日紹介。

ブログカウント2001


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この日の眺望は良く横浜のビル群が見えた


昨日、ブログがなかなかアップできないと思ったら、2000回を迎えて「歩キ眼デス2」が一杯になっていた。つまり今日が2001回目。思えば遠くに来たもんだ〜♬
新たな気持ちでスタートしよう。

今年の初登山は高尾山だった。天気予報は雨。なら人が少ないかもしれないとアルキメ予測をして出かけると、当り。これが高尾山!?外国人も少なくて、開放感のある山歩きを楽しめた。来週、そして来月も高尾山に登るのだけどコースを変えれば違う味わいが出るだろう。


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高尾山薬王院もガラガラだった