2018年3月

阿 吽


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仕事の先輩カメラマンが不定期に開催している写真展を覗いてきた。「NOM会+5写真展 通過展2丁目」というタイトルだが、この会も「写真を肴に酒を飲む会」として40年程前からスタート・・・とあったので、なんだ同じコンセプトだなあ〜と思いながら、久しぶりにお会いしたIさんと話し込む。

Iさんの写真は、ひときわ目立った。阿 吽。「これ、Iさんの社会への怒りを現している作品でしょう」とコメントすると、「わかる!」と喜んでくれた。「社会への怒りをこんな顔で表現するなんて、凄い」「ブログにアップしましょう」とこのカットを撮らせてもらった。大きなパネルから「喝」の声が聞こえてくるようだ。

知人、友人らの話をしていたら、昔、仕事をお願いしたことがあるSさんがやってきた。いま日本広告写真家協会(APA)の会長をされているとか。現役バリバリだからか、フンワリのオーラが伝わってくる。そうだ・・・呑んでばかりいないで、こうした作品展を不定期にでも開催していくのは大切なことかもしれないと、桜を眺めつつ思った。

お花見の帰りにいかがですか。
「NOM会+5写真展 通過展2丁目」
ポートレートギャラリー/東京都新宿区四谷1-7-12 日本写真会館5階


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明日は、山岳会のボランティアガイドで、高尾山を三組の親子と登る。担当は五歳の女の子。山頂まで自分の足で登ってくれるかな。桜を求めて混雑するだろうなあ・・・と、あれこれ心配をしている。


フキノトウ


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これ、フキノトウ。摘まれずに残って、ここまで成長していた。大きくなると食べられない(食べる人もいるのかな)。これはさらに伸びて、白い花をつける。そして花は綿毛になり種を飛ばす。つまりタンポポと同じ形態で増えていく。


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見上げると紅葉が小さな花をつけていた


モクレン


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よそ見をせずにただ上を向いて咲き、他には目モクレンのがモクレン。ORMACでは、コブシとの違いをそうシャレて説明をした。ハクモクレンが咲き終わってから、このシモクレン(紫木蓮)が咲き始めるようだ。大木戸門の横から四谷三丁目につながる小道に、ユキヤナギ、レンギョウと一緒に咲いていた。


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表紙は麹の香りが揺らいでいるイメージ


昨日は、麹町倶楽部の20周年記念歌会だった。33名という大人数。歌集とDVDのデザインを担当した。歌集は青と赤の二冊!?じつは中身は同じだ。カバーを二種類作ってあって、重ねて製本されている。つまり「20=にじゅう=二重」となっている。

「麹」には「麦」「米」の二字が組み合わされている。そうだ・・・麦麹を青とし、米麹を赤とすれば、二つを重ねて麹となる。青は成長を意味し、赤は周年のめでたさ。
麹は醗酵して20年、好い香りを放つようになりました〜!決まり!


ヒトリシズカ


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御苑の桜をスパッと諦めて、先日ORMACで歩いた玉川上水の最終ポイントとなる大木戸までのせせらぎ沿いを歩いた。ふだんは静かな道(内藤新宿分水散歩道)も桜の頃は人が多い。すでに見終わったカップル、外国人、家族連れが、大木戸門方向から流れてくる。

せせらぎの深さはわずか10センチくらい。とりあえず大木戸まで流しましょうというお役所的な意図を感じてしまう小川なのだ。シャガの草原の横で、小さな花を見つけた。ニリンソウとヒトリシズカ。わずか10センチくらい。誰も気がつかない。

季節は巡り、木の芽、花の芽、命あるものは目覚めて、いっせいに萌えだしていく。


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こちらはニリンソウの蕾・・・小さい


日本人と桜


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前方入り口方面に約150メートル、係員の視線の先に約100mの列・・・


FB、ブログ、LINEに友人たちの桜の写真が溢れていく。昨日、新宿御苑はもう混んでいるだろうなあ〜と思い、ある作戦を思いついた。皆さんが帰る頃に入園しようと、我が家から御苑までの約3キロをゆっくりウォーキングして、3時半に新宿門に到着。

目が点!信じられない長蛇の列・・・入り口まで約200メートル、人の頭が満開だ。とりあえず並ぶと、後方にも人が列をなしていく。おいおい、時間内に入れるのか〜。桜を見るための、エネルギーの凄さよ・・・と歌を詠みながらも、はて!?と・・・

少し前に進んだ時、一人の係員が「閉館は四時半です」「四時までにご入場ください」と大声を上げた。時計を見るともうすぐ四時ではないか、入り口までまだ100mはある。
それって変!のランプが点いたので、列から離れた。

日本人と桜。これは、いったいなんであるか!?


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というわけで、入園せずに大木戸門前の桜を無料鑑賞、不動産の広告写真みたいになった

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我が家近くの神田川の桜は五分咲きだったが・・・



萌え


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雨で桜は来週かなと思ったが、電車から新宿御苑の桜が咲き始めているのが見えた。モクレン、コブシがあっという間に咲き散って、ユキヤナギ、レンギョウ、ヒュウガミズキ、トサミズキの花が連なり始めた。
足元には、イチゴやカラスノエンドウ、オオイヌノフグリ・・・春は命あるものを目覚めさせた。

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熟成肉


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「寝かせておけば美味しくなるなら、よく寝ている私も熟成肉〜」と、お腹の肉をグイッと掴んだ熟女がいるかもしれないと、テレビのニュースを見ていた。いま「熟成肉」がブームらしい。

美味いという付加価値をつけるためには、手間と時間をかけて市場に出す。少し寝かした方が肉も魚も美味くなるというから、それは合点がいく。

しかし・・・表面の黒くなったカビ状の肉を庖丁で、全て削いでいたから、なんだか勿体ない。牛ロースの熟成肉・・・庶民には、手が届くお値段なのだろうか。


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小魚をパクッと襲う岩にしか見えないオニダルマオコゼ

玉川上水を歩く


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五ノ神神社にある「まいまいず井戸」に集結した隊員12名

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上を向いたまま咲いて、目もくれんのが、モクレン

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富士山が見えるという手づくりの単眼鏡

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サボテンに襲われた家

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チュウサギかな

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鼻はむずかり、花はムスカリ


この時期、スギ花粉を浴びながらの山歩きはしたくはない、というわけで3月のORMACは、山から平地に切り換えて、玉川上水に沿った散策コースを歩いた。取水口のある青梅線の羽村駅に集合し、中里介山のお墓、開花前の桜並木、雑木林、ゴルフコースの横、立体交差の橋などを確認しながら、玉川浄水駅までの約13キロをただひたすらに歩いた。
13キロは長かった。途中4名がパスをしてゴールに先回り。
ヘトヘトになった隊員たちだったが、一年振りの居酒屋Oでは、再び元気を取り戻した。


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二人で真似れば、玉川カルテット!?
知らないだろうなあ〜

!?


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新聞で読み間違える時がある。その昔「米朝問題」なんて書かれていると、米朝師匠が上方落語協会ともめているのか!?なんて思ったことがあった。しかしこれはすぐに分かった。

上の写真と右の見出しを見てほしい。この記事を見て、一瞬「ムムム」と思った。パラリンピックの成田緑夢(グリム)選手がメダルを取った後に、3回目の滑りを見せなければならなくなった・・・その合意を本人からとる・・・なんと大げさな表記・・・メダルを取るのというのは大変だ・・・!?


うらら


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BSで世界のニュース、朝刊で改ざん記事・・・まともじゃない人たちが、この国を、世界を動かしているのかと思うと絶望的な気持ちになる。怒のエネルギーをそこへ向けすぎると具合が悪くなるので、深呼吸を一つする。

外を見れば温かな日差し。ふと「うららか」の言葉が浮かんだ。四文字を頭に浮かべる。うららの曲線が美しい。鉛筆を手にして書いてみた。さらさらと綴り文字になった。何度も書いているうちに、柔らかなラインに導かれて、少しだけ気分が良くなった。


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先日見つけたユキワリソウ

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ひと枝にまだロウバイが


野鳥ウォッチング


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久しぶりに葛西臨海公園の鳥類園に行った。着いた時間が遅く、鳥たちのモグモグタイムが終わっていて種類が少ない。カモ類、カイツブリ、ウミウ、コサギ、バン、シジュウカラ、セグロセキレイ、ムクドリ、ツグミ、ヒヨドリ・・・双眼鏡に映るのは見慣れている種類ばかり。


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海辺を見ると、コサギが岩場で何かを補食していた。はじめはその餌が分からなかった。とても小さい。フナムシだ。魚や昆虫ではなくフナムシ。忍び足で近づいて、ゆっくり首を伸ばしてからヒョイっと捕獲。クチバシの先でわずかに動く。岩場に多いフナムシなら餌に困らないだろう。

コサギは美しい。冠、胸、尾の部分に飾り羽をもつ。動きにも無駄がなくて、見ていて飽きない。本来なら川や沼がホームグラウンドのはずだが、海岸にも進出している。サボテンを食べていたイグアナが、いつしか海に潜って海藻を食べはじめたように、生き物たちの食性は変わり始めているのかもしれない。


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バン

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ムクドリとスズメ

観覧車


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夕日を浴びて、大きな観覧車のシルエットが美しい。止まっているかのように見える。しばらく眺めていると、時計逆回りであることが分かって、想い出が一つ蘇った。

やはり止めればよかった。ガチャンと観覧車のドアが閉められた瞬間、そう思った。後悔と恐怖も一緒に乗せて動き始めた。わずか五メートルくらいの高さで、心身が強ばりはじめる。声が出なくなっていった。そして最高地点で、ほとんど固まった。時間の進みを遅く感じた・・・。

高さに滅法弱い。ドローンやスカイダイビングのカメラ映像にさえ緊張する。どうしてスリリングな高さを楽しめるのかが、よく分からない。フグの毒を味わって、痺れを楽しむ感覚と同じなのだろうか。
それなら挑戦できるのだけど。

花の名前


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ビヨウヤナギの芽がふくらんできた


この葉っぱを見て「おっ、ビヨウヤナギ」なんて分かるがわけない。小さな表示を見つけたのだ。でも花の姿はちゃんと想像できる。野の花ならけっこう知っていると思う。
じつは、花の名前を覚えようと、決めた時があった。

作家、伊集院静が賭け事にはまって、一時期やさぐれていたときがあった。それはそれで格好がよくて、文無しと言いながらも京都のどこかの小粋な店のカウンターで、一人呑んでいた。女将に呟く。

「あれは侘助ですか」。
女将がふわっと微笑んで、「お客さん、お花のこと、詳しいんですね」と応える。それから会話がポツポツと進んでいく。

これを読んだ時に、立ち上がった。これだ!これでいこう。
侘助なんて、いいじゃないか・・・すぐに覚えた。

それから数年が経って
「お姉さん、あれは、侘助ですか」
「山茶花じゃないの」

ガクッ・・・

マンサク


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今日、新聞のコラムで寂聴さんは、このマンサクの花を雪洞が点るようと表現されていた。近くで見れば変な花だなと思ってしまうが、春を待つ人には、枯れ枝から黄色い花が吹出していくのだから、灯りのように思えるのだろう。福寿草、ロウバイ、スイセンと始まって、サンシュユ、菜の花、トサミズキ、ミモザと黄色の花が続いていく。


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二つの綿毛


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終わりのムクゲと

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始まりのコブシと


サトウマツ


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マツボックリ・デラックスだ

喩えて言うなら、マツボックリ・デラックスか。想像を絶する大きさだ。サイズは約50センチで、もてばズシリと重い。アメリカ西海岸などに生息するサトウマツ(砂糖松)が、このマツボックリをつける。甘い樹脂を分泌することでsugar pineと呼ばれ、和名はそのまま砂糖松。
ふ〜ん・・・「佐藤松」なんているんじゃないのと、打ってみたら


やばいしょ〜


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「そだね〜」「いいんでないかい」「いっしょ〜」。
カーリング女子の会話イメージが残っているうちに、これを紹介しなくては。
梅園の中を歩いていると、おかしな立て札を見つけた。「やばいけ〜」「やばいしょ〜」とある。なんだ、こりゃ。これはぜひ、氷上でカー娘らに言ってもらいたい。「やばいしょ〜」は、もうそのまま使える。


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調べると「やばいけい」とは、野梅から変化した原種に近い梅。中国から渡来した梅の子孫と言われ、枝は細く、花も葉も比較的小さい種類。そして香りがいいとある。
そして「やばいしょう」は、原種に近い梅。枝が細くトゲ状の小枝が多い。日焼けすると赤みがでる。葉は比較的小さく毛がない。花は白または淡紅が多く、香りが高い。果実は丸い。なんだ、ほとんど同じではないか。


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桜ばかりがもてはやされているようだが、梅だって味わいがある。華やぎは桜には叶わないが、自在に伸びた老練な枝と愛らしい花の妙とか。そして清しいかおりとか・・・
「そだね〜」


母の時間



ホームの自室で、母は飽きもせず、時々表情を動かしては、外の雪景色を見ている。両手は車椅子の上で重ねたままだ。このポーズをどれだけの時間を続けてきたのだろうか。

僕はというと、母が声を上げて歓迎してくれた先ほどの時間から、六十年ほどをフィードバックし、あれこれを思い出そうとしていた。

ちょうどデッサン教室で母の横顔を描く生徒のようなポジショニングに座っている。顎がちょいとしゃくり上がって、耳が大きくて、目を細めて雪景色を見つめている横顔は、なんか外国人みたいで、繕うことのない美しさがある。
ときどきこちらを向いた時にだけ、目を合わせて微笑む。

パチパチと燃える暖炉が近くにあって、薪の匂いが漂ったりすれば・・・きっと永遠のような時間が生まれるのかもしれない。

わずか前に母と不思議な会話をしていた。

誰かに会いたい
誰かに会いたい と繰り返すから
誰に会いたいの と聞けば

誰かに会いたい  と言う。
いったい誰に会いたのか、それすら思い出せないのだろうか。
思い出せないから、なお寂しくなるのだろうか。

母親は長男が一番可愛いのだと友人に言われた。なら、沢山の恩返しをしなければならないのだが、出来ることといえば、こうして母のことを思ってあげるくらいだ。

雪が強くなってきた。

きれいだねえ〜と言えば やだねえ〜と言う。
きれいでしょ。 やだねえ〜。

18歳で札幌を離れた人間と、ずっと雪かきを続けてきた母とは、雪の価値観が違うのだ。
わずかな会話の中に、忘れていた時間や想いが湧きあがってきた。

四時過ぎたけれど、時間は大丈夫?
母が不意に言ったので、驚いた。
時計を見て、ちゃんと話ができるじゃない。

そうだね、明日またくるからね。
手を優しく包んで、別れた。


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命に関わる・・・


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数時間前の千歳付近。
「猛吹雪や吹きだまりによる交通への影響などに厳重に警戒し、屋外での行動は危険だとして外出を控えるよう呼びかけています」と朝のニュース。そして「人命に関わる暴風雪や大雪おそれ」とも言っていた。

なんとか千歳空港まで辿り着く。スカイマークは、強い。JAL、ANAが早々に白旗を上げて全便欠航宣言したのにも関わらず、天候を見極めて対応した。

今回は、母が危ないのメールを妹から貰っての帰郷だったが、奇跡の復活。
このお話は、また明日。