2022年3月

言いにくい


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春場所、優勝したのは、軽量力士の若隆景(わかたかかげ)。双葉山以来、86年ぶりの新関脇での優勝で、大関候補となった。しかしこのしこ名、じつに言いにくい。
わかたかかげ。家人は、なんど繰り返しても上手く言えない。わかかげたか、わかたげかた・・・(笑)

命名した親方は、もしかしたらキャリーパミュパミュのファンかもしれない。
と思っている。


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上野公園の枝垂、京都・丸山公園にはかなわないか


大相撲


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相撲が好きだ。小学校の頃は、皆相撲に熱中した。土に大きな丸を描いては、仲間たちと相撲をとった。強い子は高学年も投げ飛ばした。下駄には、若乃花、栃錦など人気力士のしこ名が書かれていた。高学年になると、大鵬、柏戸に変わった。

小学校に入る前、相撲放送は一人ラジオで聴いていた。その頃の力士は軽量なので、皆動きが早い。早いからアナウンサーも、早口で喋る。若とか栃とか、略して喋り、二度繰り返して話すことが多く、スピード感が増した。

その声を聴くと、体に力が入って、拳をキツく握った。「投げた投げた」「吊った吊った」でカラダが動き、そして「残った残った」で息を取り戻して、腰を据え直した。

何年も放送を聴いていると、力士の様子を頭に描くことができるようになった。「手を伸ばして左はタテミツに」「無双を切った」「小手を巻いて右内掛けに」、そんな声に、体は力士になった。

いまでもラジオ放送を聴くと、四つになった力士の組んだ姿が浮かぶ。荒い呼吸も聴こえる。想像するということは、この時に学んだのかもしれないと、いま思う。

場所が始まると、今楽しみにしているのは、元横綱北の富士のコラム「はやわざ御免」だ。遠慮なしのキレのいい語りぷりは、力士時代と同じ。じつに小気味がいい。

昨日80歳になったが、男前は変わらない。相撲好きの内館牧子がこんな句を詠んでいる。

初場所や 心の恋人 北の富士

ヤンチャがよく似合う男である。


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さくら さくら いざ舞い上がれ
永遠にさんざめく光を浴びて
さらば友よ またこの場所で会おう さくら舞い散る道の上で

神田川の桜並木を歩いていると、森山直太朗の桜(独唱)が、耳元を奏でる。



蔓(まん)を持して


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長い規制だった・・・3月22日、蔓(まん)を持して、この歌を出した。

図書館


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我が家からすぐの処に区の図書館があった。本棚のようにして利用していたが、急に閉館になった。すると中学校の跡地に新図書館が完成したというので、どれどれと見学した。

以前の1分から今度は10分(トホホ)。中に入ると、その環境性と充実さに驚いた。児童書だけのフロア、辞典だけのエリア、ジャンル別のエリアも広く取られていて、明るく開放感がある。

並べられた大きなソファには、4人の中年男性らがしばらくは動かんぞという空気を醸し出している。壁のカウンターには、イヤホン学生たちがズラリ勉強中。閲覧席では、ホームレスらしき人がうたた寝。

その他、赤ちゃんコーナー、子どもラウンジ、授乳室、ミーティングルーム、そして企画展用の小さなスペースと至れり尽くせり。

公共施設も変わったなあ〜。今度、絶版の本をリクエストしてみよう。

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三階吹き抜けに本ビッシリ

浅き川も深く渡れ


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Kさんは五人の登山家の他に、写真家・星野道夫も紹介された。彼もまた人生という旅の最中にヒグマに襲われ命を落とした。43才という若さだった。

彼の言葉の多くは覚えていたつもりなのに、小学校の卒業アルバムに記した言葉「浅き川も深く渡れ」は知らなかった。こんな素敵な言葉を小学生が書くのだろうか。
いや星野道夫ならありえると思った。

浅そうな川であっても用心して渡れ、がその語意だが、星野が書いたのなら、もっと深い想いが込められているのではと思ってしまう。

なにか起こしている時、小さなことであってもきっと意味がある。そう思うことが大切だ。こんなことくらいしか思いつかない。

そしてなぜか、開高健の「悠々として急げ」を思い出した。


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登山家がいた時代


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氷雨と雪で、開花はしばしお預け


昨日、山岳会の知人で「山と渓谷」の元編集長Kさんの講演会を聴いた。タイトルが「登山家がいた時代」。1964年、東京オリンピックが開催され、日本は経済大国への道をひた走った。あらゆる分野で国際化が進み、登山界もおおいに影響を受け、若きクライマーが世界の山へ挑戦していった。

植村直己、加藤保夫、山田昇、長谷川恒男、小西政継といった伝説の登山家らがそうだ。彼らは、日本人初、世界初を目指し、冬季、単独、無酸素といったより困難な状況のなかで、険しいルートから山の頂を目指した。

個性ある人たちばかりだが、多くが四十才前後で山で亡くなっている。
山への真摯な姿勢、情熱、そして天性の素質があって、達成のための努力を惜しまない。そんなスペシャリストたちが山で命を落とす。

山には魔力のような魅力がある。山との向き合い方を高めようとすれば、当然リスクも高くなる。いくら経験を重ねても、年齢から来る体力は確実に落ちていく。Kさんは、それも落とし穴だったのではないかと推察していた。

多くの山は登り尽され、エベレストが大衆化してしまった今、登山家は、登山者、登山客と呼ばれるようになった。

Kさんは、約十年をかけて彼らの足跡を世界に辿って、一冊の本を上梓された。「未完の巡礼」。Kさんとお話をしてサインをいただき、会場を後にした。

いい話を沢山聞いて、心は熱くなった。この本で彼らを追いかけてみたい。


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植村直己の北極点犬ぞり単独行に夢中になった


青い影


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雪に映る影は青い、それを詠まれている歌があった。二月に谷川岳で撮った一枚にも青い影が映っている。こんな発見を歌にするなんて、親近感を覚えるなあ。

凍てつく日  空の青は
雪の上に
散歩中の
犬の影さえ
青く刻む          萌子

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そして青い影といえば、プロコル・ハルム。もう半世紀以上も前の歌だから、御存知のむきは少ないだろう。この曲が、バッハの「G線上のマリア」がベースになっていると知り驚いた。
二つの曲を比較できるサイトを見つけた。


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この雨で開花は三連休かな?


鳩サブレ


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鎌倉駅のそばで鳩サブレを買った。これといったインパクトがないので、印象は薄いのだが、家人が食べたいと云っていたのを思い出したのだ。

店に入ると大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の影響なのか、はたまたパラリンピックの会長が「ピース」と世界にメッセージを送ったからなのか、どのレジの前にも多くの客が並んでいる。

丸みのあるカタチ、そして香り、口にすると温かな気持ちになった。創業120年、鳩は永遠なのだなあと、変わらぬ味に染み入る。


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夕べの地震には、驚かされた。一週間くらい余震がくるかもしれないので、心づもりだけはしておかなければ。

文旦


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柑橘系で何が好きか、と聞かれたら、文旦(ブンタン)と応える。15年ほど前、高松の友人N君に四国を案内してもらった折、高知の果樹園でこのブンタンを初めて口にした。

その大きさ、皮の剝き方に驚いていたら、「この美味さはサイコーだよ」と云われ、口にすると爽やかで瑞々しい味わいに驚いた。こんな美味い果実があったとは・・・。感激して20個ほど買って我が家へ送った。

ところが、届いた文旦の半分は時期を過ぎていた。ガーン。ショックだったが、ジャムを作ったところ、香りもうま味もそのままの文旦ジャムができた。

そして今回。文旦の皮を捨てるのは勿体ない、とピールに初挑戦。レシピを見ながら、なんども湯でこぼしたのだが、苦みが残った。

ピールづくりの名人Tさんに聞いたところ、苦みを消すポイントは「おろし金で皮を削る」だった。残りの一個、週末に再度挑戦しよう。


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湯でこぼすこと3回、冷蔵庫で寝かせて、砂糖で煮詰める

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100度のオーブンで加熱

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一個でこんなに沢山できました〜♬

鎌倉アルプス


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二ヵ月間、見送られていたORMACのハイキングを開催した。北鎌倉駅から明月院の横を抜けて、鎌倉アルプスの最高峰「太平山」を目指す。アップダウンを繰り返して、進むこと約二時間で山頂に到着。湘南の海、そして鶴岡八幡宮が見えて鎌倉殿の9人は満足。

ランチしてからの下山コースも、ロープの急斜面、小さな渓谷、切通しなど、なかなかのバリエーションルートを楽しめた。鎌倉へ下りると、梅どころか桜、コブシが開花を始めていた。


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明月院の梅を見て

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太平山で春うららのランチして

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里に下りるとコブシ、桜が待っていた



ウォーキング


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我が家から一時間かけて事務所まで歩く。途中、新宿御苑横の散策路を通過している時に、発見!まぎれもなくフキノトウ。そしてそのすぐの水たまりでミドリガメが泳いでいる。
春のワンシーン。週末にかけて気温が上がっていくようだ。

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高層ビル


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ここは、我が家から歩いて五分くらいの散歩コース。フェンスの下は神田川だ。いつもここをひと回り(約6500歩)しながら四季の花を楽しんでいる。

以前は、遥か向こうに副都心が見えるだけだったのに、いまや巨大ビル群が乱立し、接近、包囲されていくかのよう。まるで彼の国のように。


春は海からも


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天気予報士の南さんが、サクラの開花時期を予測していた。今年は3月21日だそうだ。南さんは、この10年間の正解は、一度だけ。すべてはこれからのお天気次第らしい。
いよいよあと二週間でサクラか・・・。

そして今朝のご飯に桜えびが加わった。聞けば、隣り駅の大きな魚屋さんで買ってきたという。贅沢ですねえ〜と云いながら、ご飯といただけば、ほんのりの塩加減で、フワッと春が広がった。


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箱一つで、なんと298円〜、安〜!

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3月21日らしいぞ


ラッセル


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雪をこいで前に進むことを山言葉ではラッセルという。このワンちゃん、飼主がスノーシューを装着している間、ずっと雪の中をラッセルしていた。嬉しくてしょうがないのが分かった。


沈丁花


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花粉がおさまった夕方、神田川沿いを歩くと、所々で好い香りがする。もうこんな季節。椿はまだ蕾のまんまだというのに、沈丁花が満開になっているところが一カ所。
寒々しい色をしているからか、香りも冷え冷えとした感がある。


ある光景


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先日、20人くらいのご婦人らが、この彫刻を囲んで、なにかミーティングをしていた。代表者らしき人が、像の隣りで話をされている。そんな光景を二階から眺めていたら、ふいに可笑しくなった。みんな集中して聞いているのだろうか!?

館内に音楽ホールや美術館があるので、見学者か関係者かもしれない。立ち姿もよく、なんとなく品のある方たち。だからか、なおさら可笑しくて、クスクスが止まらなかった・・・。

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テレビで会えない芸人


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友人Kさんが勧めてくれた映画「テレビで会えない芸人」を先週末、地元のポレポレ座で観てきた。鹿児島テレビ制作のドキュメンタリー映画で、主演はコント集団「ザ・ニュースペーパー」の元メンバー、ピン芸人の松元ヒロさん。この映画は、彼の活動と暮らしの一年間を追っている。

彼はテレビには出ない、出られない。テレビも彼を避ける。彼は「政治」と「社会」をネタに、たっぷりの毒で笑わせながら、権力を風刺し、モノを言えぬ今の風潮を浮かび上がらせる芸を持ちネタにしているからだ。

例えば政治と金を扱ったネタでは、声もそっくりに「まあアソー セメントください」などと、メディアが取り上げられないブラックな笑いで、観客を楽しませる。

というわけで、彼に会えるのは舞台だけ。公演が決まるとすぐに完売。チケットがなかなか手に入らない。

落語家、立川談志が「他の人が言えないことを代わりに云ってやる奴が芸人だ!お前を芸人と呼ぶ」と彼の芸を観て評し、自分の舞台によく招いたという。

異質なモノを攻撃し、排除するような理不尽で不寛容な社会へ、彼の芸は訴え、問いかけていた。

叩かれ、パッシングされ続けると、モノが言えなくなる風潮がある。そしていつの間にか、戦争が始まって、誰も抑えられなくなっていく。そんな今の状況において、松本ヒロさんの生き方と芸は、凛々しく、そして逞しく映った。


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かもしか


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ロープウェイの窓から眼を凝らして生き物を探していると、人の足跡ではなく、転がる雪の跡でもないラインを見つけた。その跡を辿っていくと、木をひと回りしたり、孤を描きながら上に向っている。

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お、あれは、かもしか?。ズームにして、ピンを合わせる。雪の中にジッと踞っている。ぽかぽか陽気の下で昼寝でもしていたのだろうか。

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同系色だから分かりにくいが、春の山ではよくカモシカに出会う。八ヶ岳では、4、5メートル先にいたカモシカをしばらく眺めていたことがあった。


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八年前の八ヶ岳でも出会った


谷川岳


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週末の山は、無風そして気温が上がるとの予報。なら谷川岳から雪山を見よう!と決めて、早朝に出発した。谷川岳は、いままで正しく下から登っていたが、今回はロープウェイを使用。

こんなピーカンなのに人が少ない。なぜと思ったが、少ないのはスキー客で、すでに多くの登山者がピークに向っていた。

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ロープウェイ山頂駅から谷川岳の猫の顔を思わせる山容が見えた。岩の部分がなんだか猫の目のようで面白い。左のピークがトマノ耳、右がオキノ耳。時間的に山頂までは登れないと判断。眺めのいいところで360度を楽しむことにする。

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雲ひとつない空の向こうに朝日岳、巻機山、そして昨年登った平ガ岳が見える。眼下には、ピッケルの使い方、イグルー(カマクラ)造りの講習をしているパーティがあった。春を思わせるような温度(摂氏4度)で、一休みして汗を拭く。

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稜線をアップにしてみる

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さらにアップにすると

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もう下山している人がいる


腰を下ろして、空気を嗅いで、山の音を聴く。風がないのがありがたい。稜線部を望遠で撮る。アイゼンをつけての登りも下りもさぞかし気持ちがいいことだろう。この空の果てに戦争があるなんて信じられなかった。

久しぶりに「こんなことをしてられない!」を実現して、すっかり山屋さんになった。


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