2017年9月

建仁寺(2)


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祇園、花見小路からすぐにある建仁寺は、臨済宗の大本山。京都最古の禅寺で、今も禅の道場として多く人の心のよりどころになっている。ここには琳派を代表する絵師、俵屋宗達作の「風神雷神図屏風」が収められていた。晩年の最高傑作らしいが、インパクトが今ひとつの印象。
いやはや失礼なことを・・・。これをモチーフにしてあるダクトの商品名として使わせてもらっているので、偉そうなことを言ってはいけない。はっはーと頭を下げねば・・・。


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そして広い法堂に入ると、天井には「双龍図」が、圧倒的な迫力で迫ってくる。創建800年を記念して、小泉淳画伯が77歳で描き上げたのだ。77歳でこの大きな絵を・・・何とエネルギッシュな〜龍の名を持つ男としては、ただただ頭が下がる。


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こちらは桃山時代に描かれた雲流図。デジタル複製だ

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人が少なければ、ボ〜と庭を見ていたくなる


建仁寺


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もう一人はインド系のお嬢さん


午前中の研究会が終わってから、京都のお茶屋さん「津田楼」でランチ懐石をいただき、近くの建仁寺を訪ねた。ここは写真撮影OKの緩いお寺。外国人が多く、みなそれぞれにここのお寺を楽しんでいた。石庭に向って冥想をする女性、着物姿を自撮りする女性、そして外国人を案内をする外国人男性。なんともインターナショナルな空間になっていた。


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なにか投げ出しているようなポーズ、いいね。気分はアラーキー

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言葉がわかれば面白いのかもしれない

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こちらは写経をしている日本人

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お〜、仙厓さんの禅画かなと思った



琵琶湖周航の歌


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年に一度の五行歌、全国大会。歌会が終わった後の懇親会も終盤に近づき、琵琶湖周航の歌詞が舞台の真ん中に貼り出された。司会者は隣の人と肩を組み歌いましょうと声をかけた。アルコールも入って良い気分のところにイントロが流れてくると、隣り合わせた数人ずつが肩を組んで歌いはじめた。

ちょうど目の前の二人が、好い感じだ。たまたま隣席だった二人が、歌を歌いながら五行歌仲間との再会を心から楽しんでいるように映った。ゆっくりと体を左右に揺らしながら、歌う二人を見ていると、思わずカメラを向けていた。なんかクラス会、同級会のイメージ。ジーンとしながら、二人の後ろで3番、4番を歌っていた。

♬〜
波のまにまに 漂えば
赤い泊火 懐かしみ
行方定めぬ 波枕
今日は今津か 長浜か

今年は、この歌が誕生して100周年にあたるそうだ。

琵琶湖


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週末、五行歌の全国大会で大津市に滞在した。会場は琵琶湖の南側に位置しているので、早起きができれば朝日、そして夕日だって眺めることができる。静岡県の富士山のように、滋賀県といえば琵琶湖なのだ。散歩、魚釣り、クルーズ、花火と、楽しみは、湖のそばにあるようだ。


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琵琶湖は外来魚の宝庫。ルアーやフライで釣った魚はリリースせずにここへ入れる

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14歳の五行歌集


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変えていくのは子どもたちかもしれない・・・五行歌の話だけど。14歳の源カエデ君の歌集「一ヵ月の反抗期」が今評判だ。書籍広告まで出て版元の鼻息は荒い。広告にはこの歌が選ばれていた。

親が離婚した
けど僕は関係ない
ただ
ひとりの親に
捨てられただけ

14歳の少年の心って、どんなだろうと思っても、まったく想像がつかない。傷つきやすいではなく、傷ついた少年の心がドンと伝わってきた。結びの歌はこんなだった。

僕は
まだどこかで
自分の気持ちを
抑えている
これ以上は言えない

歌を続けていけば、いつかこの気持ちを歌に託すことができるかもしれない。書籍広告を見て動いたのは、本屋さんの担当者だったのだろうか。あの将棋の天才少年、藤井四段の本に横に並べてくれた本屋さんもあったらしい。もっと紹介してもらいたい一冊だ。


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残暑


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残暑は眩しい。歳だから光がキツいのか、成層圏のオゾン層が脆弱になっているのか、サングラスが欲しくなる。雲が勢いよく流れてゆくここは東名の足柄インター。撮影で静岡県掛川までの往復6時間、カメラマンの車に乗った。閉所嫌悪症!?でもあるので、車から降りて、腰を伸ばすとホッとする。すぐ上を雲がグイグイ流れてゆく。歌の一つでもとボンヤリしていたら「さあ、行きましょうか」の声がかかった。


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富士宮からの富士山も素晴らしい


トマト


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弟の農園で取れたトマトだ。箱に詰められ北海道からやってきた。小さいけれど、どれもが個性的な味わいで、宝石のような輝きがある。採れたてはもっと美味いのだろう。

畠作りにはまると、面白くて止められませんよと、事務所のY君も言っていたので、さぞ収穫までの間には、子育てのような楽しみがあったに違いない。

世の中のつまらぬことに目を向けて苛立っているよりも、小さな四角い農園に目を配っている方が、ストレスを貯めずに暮らせるのかもしれない。


自販機娘


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スリムになってゆくのは女の子だけじゃない。自販機娘だって今やこんなだ。省エネと狭小地に対応したモデルが進化している。飲料メーカーと自販機の製造メーカーが工夫に工夫を重ねて、こんなにスリムにした。節電しながらもお客さんが来たら、明るくなったり、方言でお喋りをしたり、販売数量を記憶したりと、こう見えてなかなかのしっかり娘なのだ。

もしかしたらボトルを補給してくれるお兄さんにも「今度いつ来てくれるの?」なんて、話しかけているかもしれない。


竃馬


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この字を「かまどうま」と読めるだろうか。カマドウマは、バッタ目・カマドウマ科に分類される昆虫で、誰が命名したのか「便所コオロギ」とも呼ばれる。山道んを歩いていると、Iさんのパンツの裾に引っ付いていた。

こいつは、いつも突然現れる。昔は、よくトイレから悲鳴を上げさせた。今だって密室にいたりするので、おいおい〜どこから侵入してきたのだと、不思議に思う。


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卵管があるので♀だろう


山へ


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山仲間たちと待ち合わせて世田谷文学館「山へ」を観てきた。館内にクイズコーナーがあって、ここの表現プランを提案した。お礼は入場チケット。
館内に入ると各コーナーには、山の高さを意味する一合目から十合目のプレートがかかっていて、順路を表記している。面白いアイデアだ。
百名山ブームを作った作家深田久弥のコーナーがとくに良かった。

目の前の山に登りたまえ。山は君の全ての疑問に答えてくれるだろう。

この言葉は沁みる。娑婆でのアレヤコレヤを、このフレーズが吹き飛ばしてくれた。高い山に登り、美しい景色を手にした帰り、しみじみ下りたくないと思う。なんども振り返って、あ〜また世知がない娑婆にまた戻るのか・・・と一瞬思う。
名著「わが山山」からの一文が壁にあった。みんながそれを読んでいた。
山を登って、展示を見て、そして呑む。正しく幸せな一日となった。


空蝉


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ぶら下がった蝉の抜け殻が、逆光を受けて透き通っている。雨や風を受けたのだろうが、二本の後ろ足がしっかり体を支えている。

抜け殻はなぜ、崩れることなくいつまでもそのカタチを留めているのだろう。もしかすると、土の中の長く不遇の時間が関係しているのではないか。真っ暗な闇の世界で、ずっと生きてきたのだ。光り輝く娑婆への思いは、断ちがたいのだろう。このカタチは、生への思いかもしれない。.


ヤマホトトギス


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ホトトギスといっても鳥ではない。花の名前。花の仲間には、鳥を名乗る種類があって、サギソウやヒヨドリ、トキソウ、チドリなどがある。虫ではクワガタ、ホタルブクロ、マツムシソウなど、調べると面白い。

ヤマホトトギスといえば「目に青葉 山ほととぎす 初がつを」を思い出す。これは春の歌だから、「テッペンカケタカ・・・」か。ホトトギスが咲き始めると、もうすっかり秋だ。

撮ってから気がついた・・・拡大してみると、花に小さな水の結晶のような玉が連なっている。モウセンゴケの粘液みたいだが、なんだろう。今度じっくり見てみよう。

高尾山では夏を惜しむように蝉たちが鳴いていた。山はまだまだ晩夏真っ盛りで、蝶もトンボも種類が多い。みんな長雨をなんとかしのいだのだろう。


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南斜面ではヒガンバナ一輪が、開花していた


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お天気になった。街路樹では、待ってましたとばかりに、蝉ファイナル。
仕事に追われて、酒が切れて、心身が参っていた。ジッと我慢の子だった。ろくろ首が、夜中、行灯の油を舐めるように、首をゆらゆらさせながら、こんな写真を見つめては喉をヒクヒクさせていた。

けれど、いま心はろくろ首。明日は、山仲間と高尾山を軽くハイキングして、山の展覧会を観てからグビッと呑るのだ〜
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青蛾


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昭和50年代、新宿三越の裏通りにひっそりあった喫茶店「青蛾」


散歩しいているときに、見覚えのある文字に目がいった。「青蛾」。新宿三越の裏通りにあった懐かしい喫茶店の名前だ。昭和50年代、髪を伸ばしてジーンズをはいて、コーヒーを飲みながら、長々と本を読んでいた喫茶店。木造二階建てのやや薄暗い店内は、大正のモダニズムの匂いがあった。竹久夢二の絵が飾ってあったり、置かれていた壷や出されるコーヒーカップが古いものであることは、何となく分かっていた。

年輩のご主人は、少し大きな声を出すと必ず注意にやって来た。常連は当然知っているから店はいつも静かで、若者たちはじっと本を読んでいた。夏なんか冷房がないから、扇風機が回っていた。そういえば、音楽もかかっていなかった。誰もが、取り残されたような空間に身を置いて、心を休めていたのかもしれない。

新しい店は、先代の娘さんが切り盛りをしているらしい。いつかふらっと入って、コーヒーを飲みながら青春時代を思い出してみよう。


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いつかここの扉を開けよう


満月


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掌を返したかのように秋がやってきた。夏は夜逃げのようにいなくなって、湿度だけが置き去りにされた。今日は満月らしい。チラリとでも見られるかな。


備長炭


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ややレア気味の塩レバが美味い。滅多に食べない焼き豚(とん)だ。ちょっと高いね・・・と思って目をやると「紀州備長炭使用店」の札がぶら下がっていた。

なるほど・・・
炭で焼くとなんでも美味い。とくに備長炭で焼くと美味い(紀州まで入るとなおさらか)。備長炭が偉いのか。ネタがいいのか。焼き方が上手いのか。こだわりの店主だ、きっと全部が揃って美味くなるのだろう。

炭職人と焼き方の強いタッグを表現するこの「紀州備長炭使用店」の札。説得力がある。客が美味い!と食べることで帰結して、伝統的なブランドとして輝き続けている・・・
と納得し、ハツの塩と日本酒一合を注文するのだった。


ボストン美術館の至宝展


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昨日、暑さが弱まったので、よし〜と都美術館の「ボストン美術館の至宝展」を観にいった。上野公園は、人また人。パンダの赤ちゃんか!?まだ公開されていないはず・・・ウ〜ム・・・科学博物館で始まっている「特別展・深海」は140分待ち、プラカードを持っているお兄さんがちょっと自慢げだ。もしかしたら、ボストンも・・・ところが美術館に続くエスカレータで下りると、すんなり入場できた。

まずは音声ガイドを借りる。最近はこの案内による楽しみを知って、必ず一緒。
人が少ない。ゆっくり鑑賞できる。日曜日なのになぜだろう・・・音声ガイドを聞きながら作品に魅入っていく。クラシック音楽が流れ、絵に隠された秘密なんかが語られると、贅沢な時間を浮遊しているなあと、ありがたい気分になる。こんな素晴らしい絵が海外に流失してしまってと、思ってもあとの祭り。当時の日本は、そう考える人が少なかったのだろうか。
二時間、鑑賞して気がついたことがいくつか。

・ボストン美術館のコレクションの数(50万点)と質にビックリ。
・英一蝶(はなぶさいっちょう)なる絵師を知って、絶句(巨大涅槃図)。
・モネ、ゴッホの作品のコレクションが凄い。ルーラン夫妻の肖像画2点ほか。

ボストンの街を一度歩いてみたいと思いながら美術館を出た。


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今回の目玉は、ゴッホのルーラン夫妻の肖像画らしい

晩夏初秋


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九月に入った。こころなしか、光も風も晩夏初秋の趣きだ。新宿通りを歩いていると、スイスイと数匹のヤンマが追い抜いていく。一瞬、翅に陰りのような輝きがあった。トンボも夏の終わりを感じているのだろうか。
もうすぐお天気が崩れるらしい。
「一雨毎に寒くなる・・・」父の独り言を思い出した。