2015年6月

おけら


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権師匠の庭に潜み、鳴いているる生き物が判明した。その正体は「おけら」。正しくは「ケラ」ね。よく「虫けら」などと言うが、このケラとは、まったく関係がない。それにしても不可解、不思議な生き物だ。初めて触った時は、その柔らかさが掌から温かく感じられた。子どもの頃は怖くもなく、回りの仲間に渡したりして、じっくりと観察した。

ケラは、バッタ目・ケラ科に分類される昆虫で、ちょっとコオロギに似ている。昔は、畑でよく見かけたが、農薬が普及されてからは、久しく見ていなかった。

おけらと言えば、「おけら街道」。駅から競馬場や競輪場まで続く道をそう呼んでいた。大半が巻き上げられるわけだから、レースが終わると、みんな肩を落としておけら街道を帰る。どこかでパ〜ッと、盛り上がるはずが、ポケットには電車賃しかないという有様。完璧な敗北感・・・
止めればよかった・・・の反省を抱えながら・・・

・おけらの活用形
「金貸してくれんか?」「ごめん、俺いまオケラなんだ」。
昔よく言っていた・・・


環境ポスター展



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昨日、友人のデザイナー儘田能光さんの環境ポスター展を見てきた。ポスターから伝わるのは、鋭さと優しさ、斬新な視点、そして美しいデザインだ。彼はライフワークとして環境問題を考え、見つめ、展覧会を通して自分の思いを伝えている。言葉よりも強い力を持つビジュアルがあるのだということを、彼の作品からいつも教えられる。


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今回の作品は、B倍判という大型サイズだったので、受けるインパクトの大きいこと。人の心に残るのは、大きな声やきれいな言葉ではない。本質をつく一点であるように思う。
今年は言い訳をせず、何とか秋のポスター展に参加させてもらいます!


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こちら自然環境をテーマにした作品


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このギャラリーは、広いし通路にもなっているから、誰もが目を止めてくれる



しっとり



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朝5時半、湿度はすでに80%を超えていた。大気がじっとり、草木や花の香りがしっとり、この二つがからまった濃密な空気がアササンのコースに沈殿している。

ノウゼンカズラを撮っていたら、左右の足に蚊の攻撃をうけた。ポジションが決まったときに、必ずといっていいほど攻撃してくる。ジッと我慢をして、献血に協力。・・・しばらくするとウズウズと痒さがやってくるが、慣れというのは、不思議なもので、家に着いた頃には、もう平気。チョンチョンとキンカンを塗ってもう終わり!


居酒屋


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訪れた街に、自分好みの居酒屋があると、夜がぐっと濃くなるから、旅先には好い居酒屋があってほしい。だからといって「食べログ」やら「ぐるなび」で探したって、そうカンタンには出てこない。
居酒屋探しなら、この人! という師匠がいる。

吉田類!、ではない。我が師匠は「太田和彦」である。師匠推薦の店をいくつか訪ねたが、ウ〜ム、間違いのない!人なのだ(酒の世界だけね)。

静かに男がひとり酒が呑める店。というわけで、仙台では「源氏」を覗いた。ところが、コの字のカウンターには、大勢の若者が密着するようにして名物女将を囲んでいた・・・。むむむ〜〜、なんだ、この風景は!?

いつの間にやら、オジサンだけでなく、若者たちに、その人気が知れたらしい。料金もリーズナブルだし、昭和のイメージが彼らには新鮮なのかもしれない。悲しいような、嬉しくないような・・・。

仕方ないなあ〜、いつの間にか若い男ができてしまって・・・
哀しい男は、夜の国分町の路地をうろつき、小さな店に入っていくのだった。


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路地の先には、好い店があるものだ・・・



マメコガネ


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今回の獲物はこれ、マメコガネ。こいつには想い出があって、クワガタからいよいよ甲虫全般に向けてスタートした小学校の夏休みに、最初に出会った虫だ。名前が「マメコガネ(豆黄金)」だからすぐに覚えた。というか、この頃の記憶力というのは凄いもので、どんな名前でもすぐに覚えることができた。エゾカタビラオサムシなんか、いまでもすっと出てくる。今でいう、オタクだったのだ。

名前の通り、マメ科の植物にはよくいて、動きが鈍いので、すぐに捕まえられる。アメリカでは「Japanese Beetle」。向こうでは、豆につく害虫として厄介者扱いだ。


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こいつは見かけなかった・・・


モリアオガエル


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鳴き声のそばにゆっくり分け入ると、見覚えのある白いボールがいくつも木の枝にぶら下がっていた。泡で包まれたこのボール状の正体は、モリアオガエルの卵。ときおり、オタマジャクシがポチャンと池に落ちる音がする。近寄ってよく見ると、黄白色をしていて、表面部分は薄い和紙状の質感で乾いている。
この落ちてくるオタマジャクシを下で待ち構えて、パクッ食べるというのがイモリだが、水面辺りを探してみたが、いないようだ。オタマジャクシの生存率はどのくらいだろう・・・
ときおり聞こえるモリアオガエルの鳴き声を聞きながら、下山した。


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泉ヶ岳


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「気をつけて登りなさい〜」


週末、仙台から北西に約25キロ、市民に愛されているという泉ヶ岳を登った。前日のアルコールがしこたま残っているので、すぐにはピッチが上がらない。30分くらいたった頃から、ようやく汗が出はじめる。久々の単独行なので、高度をグングン稼ぐ。唐松林からエゾハルゼミ、遠くからはブッポウソウの鳴き声が聞こえる。水の豊かな山らしく、沢筋からはせせらぎの音が絶えない。


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エゾハルゼミの涼しい鳴き声が響くカラマツの森


市民から愛されていることは、登山者を見るとよく分かる。親子連れ、女性の年配者がとても多い。きっと何度も登っているのだろう。緊張感もなく、お喋りの声が聞こえてくる。


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この日の東北地方の予報は、午後から雷を伴う雨。森に満ちる湿気は、雨の匂いも運んでくる。空の雲も活発に動き始めた。登山口からは頂上が雲に覆われ、見えなかった。どうしようか。いい山だし、時間もあるからこのまますすむか、悩んだ。


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食べてる場合ではない


よし、また引き返して、登り口から聞こえた声の主を捜してみよう〜
あの声は、ツチノコではない。変なことを思い出した・・・。


亀裂岩


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山登りの途中、大きな岩が現れた。道のど真ん中に鎮座して、左右どちらにでもどうぞ〜と、偉そうに指図している。それにしてもデカイ。左側の高さは3メートルくらいある。
よく見ると、岩には大きな亀裂が二本入っている。もしかしたら・・・ここを切り抜いて、通路にしようと試みたのかもしれない。ところが何らか理由があって挫折した。たとえば、岩堀り名人の岩兵衛さんが突然亡くなった。または、岩兵衛さんが岩に着くと、左右の木が伐採されて道が出来ていたとか・・・。
いずれにしても、なにか亀裂があったことは間違いない・・・
亀裂岩と名付けよう。


花のつづき


私の前を通り過ぎていった花たち・・・
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ツマトリソウ


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イワカガミ


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マイヅルソウ


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ツガザクラ


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タデ!?


新種!?


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タマムシ科、シデムシ科、コメツキ科・・・背の部分の突起が特長だ。もしクワガタの仲間だったら新種かもしれない。調べてみたが、分からない。花ならともかく、昆虫まで権師匠にお願いするのは気がひけたが、いつまでもここに眠らせておくのはよくない。

答は、すぐに来た。
見つけたよ!これだろう?『アラコガネコメツキ』


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お〜、コメツキだったか。

残念!新種ではなかった。瑠璃色をしたこの虫は、初めて見た甲虫だった。撮影場所は、長野県浅間山の麓、水ノ塔山中腹、標高二千メートル。単独行であれば、もう少しこの虫を観察できたのかもしれないが、皆と一緒だったので撮るだけにしていた。

アラ、黄金、コメツキ。これで覚えられるかもしれない。


記憶


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この花の名前を覚えていたはず・・・たしか良い名前だった・・・どこで見たっけ・・・思い出せない・・・ん・・・そうだ・・・ゴゼンタチバナ?。自信はなかったが、不意に口から出た。なんの脈略もなく、淡い電流だった。花に重ねると、その記憶の名はイキイキしてきた。
間違いない。もう一度、口にする。「ゴゼンタチバナ」。もう大丈夫だ。

白山の最高峰御前峰(ごぜんがみね)で初めて発見され、実がカラタチバナに似ていることから命名されたとある。これでは覚えられない。

コマクサ


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湯ノ丸湿原、標高2000メートル「三方ヶ峰」の山頂付近で


コマクサとは久々のご対面だ。調べると、二年前の今ごろ、岩手山の火口付近でコマクサを撮っていた。登山者に人気の花で、別名「高山植物の女王」。高山の斜面の砂礫地を住まいとしているので、なんでまあこんな厳しい場所を選んで咲くのだろうと思うのだが・・・


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答えは「他の植物が生育できない場所を選ぶことで、競わない生き方を身につけたのよ」かもしれない。花のカタチも独特で「馬(駒)の顔に似ている」ことから「駒草」。


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柵の向こうの風当たりが強い砂礫地で、根を深く下ろしている


梅酒


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柔らかくなっていたから梅酒よりジャムかな


勿体ない〜、梅がたくさん落ちている。ミカン色、うす緑、黄緑色、木の下にバラまかれたかのように。よし〜、これを集めていっちょう梅酒でもと思ったが、梅園なのでそうもいかないだろう。少し前のテレビで、ちょっと面白い梅酒の作り方が紹介されていた。

京都大原に住むベニシアさんの梅酒は、レモンバームも入れるだった。爽やかな呑み心地と夏の疲れを癒す一杯ですと・・・ウ〜ム、一つ作っておくと、暑い夏に良いかもしれない。梅酒は人気らしく、右肩上がりの売れ行きらしい。


タイサンボク(泰山木)


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大きな花をつけている木を見つけた。引き込まれるように近づき、柵を跨いで、見上げる。妖しく謎めいた木だ。ゴムのようなテカテカの葉っぱの間から、いくつかの花が顔を出している。ホオノキの花くらい、いや、もっと大きい。帰ってから、ググって調べたが分からない。こんな時は、権大明神〜

メールが来た。「時期の過ぎた『タイサンボク』と見た!!! ↓
どう?・・・ほぼ同じだろ?」

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なるほど〜!噴水のような蕊が、まったく同じだ。
タイサンボク・・・・二年前かな、小石川植物園である人から聞かれた。
「タイサンボクの花が咲いているらしいのですが、分かりますか」・・・
名前も知らなかった。
この花だったのだ。これなら、わざわざ出向いて、見るに値する。圧倒するような大きな花から、甘い香りが放たれる・・・・とあった。


ハスの葉の上で


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花が終わったハスの葉に
水を落としてみる
コロコロと水銀のように輝き 動き回り
レンズのようカタチになる
風に揺れると
水は葉の外へ出ようとする
その動きが危なかしくて 面白い

水面に浮く葉っぱの上には 行き場を失った蟻がいた
どこから来たのだろう
見ようとしなければ
見えない命
そんな命がここにもひとつ


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子育て


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二羽のカイツブリが、ときおり高い声で鳴く。こんな声で鳴くんだ。なにか警戒声のように聞こえる。一羽が潜った。しばらくすると小さな魚をくわえて浮き上がり、パクッと呑み込んだ。お〜、初めて見た。水面下でどんな風に魚を捕るのだろうねえ。見てみたいものだ。


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橋桁の下を見ると、カイツブリの巣!?だろうか、3個の卵が見える。水浸しだから、放棄されているに違いない。残念だねえ・・・。ところがカイツブリは、意外に粘り強いということが分かった。


弱い生き物は、知恵と工夫、そして粘り強さがなくては種を残していけないのだ。このカイツブリたちの次の巣もどこかにあるのかもしれない。


虫屋、山屋


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逃げるアオカミキリを追いかける


虫の好きな輩を虫屋、山の好きな連中を山屋と呼ぶ。これは、一定のマニアックなレベルには到達している人に与えられた称号だと思うから、熱に冒されていた頃ならともかく、今は虫好き、山好きあたりが正しいだろう。

なぜ山に登るのか、なぜ虫が好きなのか。それは、なぜ猫が好きなのか、なぜ酒が好きなのかと同じ。答は、そこに猫がいるから、酒があるから。理由なんてないのだ。


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よく見ると右の触覚が切れている・・・



アメンボウ


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アメンボウとは、よく言ったもんだと水面を眺めていた。ピチピチピチと雨が降っているように見える。ところが「飴の匂いがするからアメンボウの名が付いた」という説もあるようだ。本当かねえ〜とアメンボウをつかまえて、その匂いを嗅ぎたいとは思わない。子どもなら皆集まって、嗅いで、お〜ホントだあなんて、目を輝かせるのだろうね。


なぜ水無月?


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水有月(みうづき)でもいいじゃん


六月は半月くらい雨が降る。なのに、なぜ水無月なのだ?
調べると『水無月の語源は諸説ありますが、旧暦の六月は梅雨明けの季節です』とある。他には『水のない月と書くが、水が無いわけではない。水無月の「無」は神無月の「な」と同じく「の」にあたる連帯助詞「な」で、「水の月」という意味がある』。なるほど〜、こちらの方で納得。
関東ももうすぐ梅雨入りだ。今日の風を楽しみましょう。


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空に遊ぶ


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面白いでしょ!歩き疲れてベンチに座って、空を見たら、樹形が面白いトリミングをしていた。鳥が羽ばたくような形は、マグリットの「空の鳥」を想像させた。体を動かして空を見ると、形が少し変わる。これ、新しいジャンルの「遊びアート」になるかもしれない。なんと名付けようか!?夕焼け時に♡の形に見えたりとか・・・

ただ、歩きながら作るのは、危ない。
つまずく、ぶつかる、落ちる・・・(恋にではない)・・・。


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バタフライ眼鏡!?


水に遊ぶ


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水に遊ぶ子どもたちを見ているのは楽しい。好奇心にあふれ、輝いている。この水場には、そんなに多くの生物はいないはずだが、石の裏を眺めたり、網ですくっては生き物を探っている。足に感じる水の流れは、子どもたちの好奇心をくすぐり、小さな学者を育てる。発見する、調べる、感じる・・・こんな場所や時間が大切なのだと、オジサン少年は思うのだ。


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ホラーポスター



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こんなポスターが貼られていた。
見たくないものが目に入ってしまうというのは、じつに気分が悪い。
この言葉は、何を意味しているのだろうと、立ち止まった。

こんなことを囁かれて、舞い上がる人間はいない。
と、最初はそう思ってジッと見ていた。

ところが、総理は私たちを見て、語ってはいない。
つまりこのメッセージは、私たちへの呼びかけではないのだろう。

では誰に!?

総理の視線は、斜め上に向けられている。
そうか!総理に向けられた言葉か。

そういうこと・・・

堂々としたナルシズム、というか
取り巻きが、彼を押し上げている。 
怖いポスターだ・・・

やがて、手を開き、鼻の下に髭をたくわえるのだろうか。
彼がすすめていく、怖い日本の将来が見えてくる。