2014年9月

モルゲンロート


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山の朝は早い(夜の消灯も早いが)。4時半には、部屋の電気が「起きなはれ〜」と点く。すると、待ってました〜と、山男も山ガールもガサゴソと動き始める。オイオイ勘弁してくれ〜と思っても、明るさとガサゴソで目が覚めていく。


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今日はお天気になるようだし、久々にご来光を見るか〜。部屋の男性4人は、すでにダウンなどを着込んで準備完了だ。二日酔い気味の目をパチパチさせながら外へ出ると、雲海の向こうはオレンジ色に染まっている。展望スペースでは、ご来光カメラマンたちが東の空を眺めている。


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よし、燕岳とは反対側の稜線を辿って、槍方面に向かってみよう。小さなピークまで来ると、女性がカメラを槍に焦点を合わせていた。夜明け前、高い尾根筋が陽の光を受けて赤く輝く「モルゲンロート」を狙っていた。そうか、ここのポイントなら赤く染まる槍を撮れるのだ。
じっと待っていると槍の穂先が少しずつ、明るくなっていく。モンブランのように真っ赤には染まらなかったが、神聖な山の夜明けを体験した。


燕岳


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2500メートルを越える頃、稜線上に燕山荘がお目見え


こんな山の景色の夢を見ることもなく、昨夜は爆睡した。初めて本格的な山のリーダーとなり、8名のチームで燕岳を登った。その気疲れがあったのかもしれない。全員登頂、全員下山を目標に、今回の計画を慎重に練った。「Old Rookies」の山登りらしく、とにかくゆっくり、休憩を多くとって、標高2763mの山頂を目指した。


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燕岳頂上直下から燕山荘を振り返る


標高2500メートルを過ぎる頃、メンバーの何人かに疲労の色が出てきたが、真青な空と紅葉に染まった山々が、疲れを和らげ、我々を鼓舞した。高尾山の次に、北アルプス。ありえないようなストーリーは、現実となって歓喜の輪を生んだ。
燕岳山頂でのひとり万歳は、まさに万感の思いだった。

山荘に戻ると、権師匠から「御嶽山爆発」のメールが入っていた。声を出して読むと、周りの登山者が驚き、一斉にスマホを動かし始めた・・・。


いざ、燕岳


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遥か彼方に北アルプス。左奥に槍、大キレット、穂高の山々が見える(先週末の高峰高原)


いよいよ明日から「第7回ORMACの会・燕岳二泊三日(レベル★★★)」が始まる。心配をしていたお天気だが、台風一過となって、槍と穂高が一望できる秋晴れになるのではと期待している。
「初めての体験」は、だれでもドキドキするもの。Old Rookieたちからも、そんな思いがこの一ヵ月のメールのやり取りから伝わってきた。
山登りで、新しい世界を発見してもらえればとスタートしたORMACの会。さて、どんな山行になるか、こちらもドキドキだ。


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燕山荘に到着すれば、ルンルンして登れる


森の宝石


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森の宝石と喩えたくなるような、ルビー色の木イチゴ。湿原を上がっていく山道のアチコチに、ピアスのようにぶら下がっている。潰さないようにポロッといくつか採り、手のひらに乗せて、しばし鑑賞。そして口に含む。大きさ、色、カタチによってそれぞれ味が違う。甘い、甘酸っぱい、甘苦い。去年の今ごろは、浅間の麓でブルーベリーを食べていた。秋の楽しみは、実りを口にすること。これで五感の全てが満たされる。


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池の平湿原


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湿原には、もう秋が来ていた。今週末の燕岳登山のトレーニングと吟行歌会を兼ねて、ORMAC隊員3人(一人は予備軍)と群馬県の池の平湿原を歩いた。秋の花が次々に見つかるので、肝心の池の平湿原になかなか到着しない。


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リンドウ、マツムシソウ、ツリガネニンジン、ホタルブクロ、フウロ、ウメバチソウ、キオン、ヤマハハコなど、柔らかい秋の陽射しを受けて咲いている。すでに花を散らせたヤナギランやワタスゲの仲間は、白い綿毛を湿原のアチコチに飛ばしていた。


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マツムシソウ


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木道のそばに一輪のリンドウ


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ポロポロの花に、ボロボロの蝶


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ワレモコウ


湿原は高峰温泉のすぐそば。いつかここを皆で歩いて、吟行歌会を開きたい・・・


皇海山(3)



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↑写真をクリックしてみてください


頂上に辿り着いたときの一声は、「えっ、ここが山頂ですか」だった。緩い登りがあって、ふいに開けた小さなスペース、そこに山頂標識柱が三本。いつものような強い達成感が生まれてこない。あっ、そう、ここがねえ・・・たしかに眺望がないわ〜。山頂でなんとも閉塞感。こんな山は珍しい。でもまあ、これはこれで、アットホームな感じもする。
「日本百名山」の著者である深田久弥が登ったときには、きっと視界は開けていたのかもしれない。その後、ブームが訪れるまでに、山頂部の樹々はゆっくり視界を隠していったのだろう。


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倒木更新〜


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帽子デザインのヒントになりそう


皇海山(2)


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山登りをしている人は、主だった山を「さんづけ」しないで呼ぶ。大雪、安達太良、妙高、浅間、筑波など、呼び捨てだ。もちろん「岳」も省かれるので、穂高、槍、白馬、会津駒と短縮形になる。ところがこの皇海山は、皇海(すかい)ではない。あまり知られていないので、フルネームのまま「すかいさん」と呼ばれる。つまり富士山と同じように「さんづけ」の栄誉を手にしているのだ。
どうしてこんな美しい名前がついたのか。調べると・・・・

皇海山と書いて「すかいさん」と読むが、江戸時代の正保年間の地図には「サク山」とあり、別名として「笄山」と書いて『こうがいさん』と読んでいたという。この別名「こうがいさん」が後に「皇開山」と当て字され、開が海に置き換えられ、皇の字がスメと読まれることから「すかいさん」と誤読されるようになったと云われている。
本当なのかね・・・・

皇海山の麓にわずかに残っていた花たち


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散っても、なお美しい、セリ科の仲間


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キオンだろうか

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ノコンギクか、ヤマシロギク!?


皇海山(すかいさん/日本百名山・76座目)


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レインカバー内臓のドイターの新しいリュック


ここしばらく、週末になると雨模様。8月は「南アルプス3,000m!」と決めていたのに、雨天順延が続くと、気力は失せ、体力にも不安を感じるようになった。


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そんなこともあって、長く見送っていた百名山のひとつ、皇海山(すかいさん)に登ろうと決め、週末になんとか踏破した。この皇海山、百名山の中では、最も人気のない山として、ウェブなんかに紹介されている。アプローチが長いうえ、急な登りが多く、頂上からの眺望がまったくない。踏んだり蹴ったりなのである。喩えるなら、ある女性に貢いできたのに、最後に「ご苦労さま、お帰りはこっちよ」と言われそうな山。そんなつれない山をイメージしていたので、ずっと後回しにしてきた。


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まずはカラマツ林を登り


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白樺、ダケカンバのなかを歩いて


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最後はコメツガの森になる


ところが、そうではなかった。登山口までオフロード一時間強は、たしかにキツかったが、沢道を歩き始めると、水の音が終始聞こえ、気持ちの良い森が続く。そして最後にキツい壁を登り、尾根に出ると、山頂までがコメツガとシラビソの森の道に変わる。なんでこの山が人気薄なのだ!?頂上に着くと、なんともアットホームな雰囲気。樹々に囲まれて温かなスペースが待っていた。


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体力と時間に余裕があったので、反対側の鋸山に登り皇海山を眺める



ヤイトバナ(灸花)


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スッキリと晴れ上がり、爽やかなお天気になった。空が高くなると、じつに気分が好い。久々にアササンコースに出ると、サルスベリの花がここ数日の雨で、すっかり花を落していた。
でもこの花は、ツルの先で元気だ。ヤイトバナ(灸花)。別名をサオトメバナ(五月女花)。この時期に咲いているのに、なぜ五月女花!?と思って調べると、この名を名乗る花が三つあった。
「ハナショウブ」と「フタリシズカ」、そして「ヘクソカズラ」だ。どれも初夏から咲きはじめる。しかし、前者二つは本名が美しいのだから、「五月女花」は、いっそヘクソカズラに譲って上げたらどうだろうと、思ったのだが・・・。


オオハンゴンソウ(大反魂草)


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オオハンゴンソウが咲き始めた。野山や空き地なんかで見かけるキク科の大きな花だ。明治の頃に観賞用として導入されたらしいが、野生化して全国に広まった。この和名の「大反魂草」がすごい。
なんでこんな名前がついたのか!?きっと、根絶が難しいとされるその繁殖能力のせいだろう。地下茎で広がり、引っこ抜いても燃やさない限り、また根を張っていく。まったくもって見習いたい精神だ。
駄目なものはダメ!「大反魂草」に学びたい。


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こんな蕾


夏が散る


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昨夜のスーパームーンは美しかったなあと思いながらアササンしていると、わずかに残ったノウゼンカズラを発見。夏の花が終わって、いつのまにか萩の花やススキの穂が揺れている。
先週末、白馬岳を登った友人が、山道は、マツムシソウやリンドウ、ワタスゲなど、すっかり秋の花だと話していた。腰痛とお天気で山を三週間ほど見送っていたが、なんとか今週末、どこかの山に入りたいと思っている。


錦織、初優勝ならず


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季節は巡る。ヤマボウシに実がつき始めました


残念だった、錦織。初優勝はならなかった。相手のチリッチのプレイが素晴らしかった。錦織とともに進化していた選手がもう一人いたとは・・・。間違いなく彼が、今大会のNO.1に相応しい選手だろう。しかしあのサービスエース。決まり始めると、テニスがつまらなくなる。と、つい悔しいので、グチりたくなってしまう。上をいくには、どうしたら良いだろう。
名前でも変えようか。ラオニッチ、ジョコビッチ、チリッチときたので、カチッチ・錦織なんてどうだろう。


やったぞ!錦織


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第4セット、第9ゲーム。明らかにジョコビッチの心が揺れているように見えた。あの冷静で機械のような正確さでプレイを続けていた彼が、錦織のショットに押され始め、ミスを繰り返す。疲れもあるのだろう。それを錦織は感じているのだろうか。ジョコビッチの返球が短くなると、容赦のないボールが相手コートに突き刺さっていく。もう、どちらが上位選手なのか分からない。素晴らしいストローク戦が続き、遂にマッチポイント。
そして、歴史的な瞬間がついにやって来た。錦織圭が、全米準決勝でランキングNO.1のジョコビッチに見事勝利!!・・・・感動、感涙、感謝・・・・おめでとう。
さあ、あともう一つ!


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イケルイケル〜

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ジョコビッチからの祝福の言葉は何だろう


コーチ、マイケル・チャンの言葉は本当だった。



頑張れ、錦織!


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NHKの「プロフェッショナル」のナレーション風に・・・・社長の柳井は、二人を呼んで、こう告げた。「しっかりユニクロをつけてくれ」。それを聞いた錦織圭とジョコビッチは、目を白黒させた・・・・・・嘘  (^^;) 

いつか、こんな日が来ると、信じていた。
錦織圭、全米オープンテニス、準決勝進出! 頑張れ、ニシコリ〜!


存在感


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この給水塔を見ていたら、「存在感」という言葉が浮かんだ。すでに廃屋となってしまった屋上に、すくっと立っている。「廃屋になったけど、僕がここを守っているんだ!」と言っているかのように。

ところで、こんな給水塔、あまり見かけない。昔見た映画の田舎のワンシーンにあったような・・・。思い出した。「バクダットカフェ」。ドイツの田舎から夫婦でアメリカ旅行をして、ラスベガスから少し離れた砂漠で夫婦げんかが始まる。デブの奥さん、存在感あったなあ・・・挿入歌の「コーリング・ユー」も沁みたなあ〜。あの頃は、映画をよく観ていた・・・。


死んだふり


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仰向きになっている蝉に手を伸ばすと、突然、鳴いて飛んでいくことがある。だから、蝉は、死んだふりが上手い。そう思っていた。ところが、そうではないらしい。
セミは一度ひっくり返ると、まっ平らな場所では自力で起き上がることが出来ない。つまり自然界では舗装道路のように平らな場所がないため、そこでひっくり返ったときに起き上がれるようには進化してこなかった、というのだ。

あとわずかの命、そっと手を差し伸べて助けてあげましょう。きっと感謝して、飛んでいくに違いありません・・・。


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僕たちは、まだ死ぬわけにはいかないのだ〜


日傘


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日傘女子が並んだ横断歩道、久々に快晴の空が広がった。高気圧に覆われているのか、風も秋のような爽やかさで抜けていく。湿度はどれくらいなんだろう。これが秋の入口ならば嬉しいのだが、まだ暑さは続くらしい。でも、こんなカラッとした日がもうすぐ来るのだから、しばしの残暑は大目に見よう。


よくミント


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雑草化したハーブはよく伸びる。繁殖力が旺盛で、零れ種で支配をどんどん広げていく。小さな空き地にこのミントを見つけたときは、わずかだった。ところが、フェンスから顔を出すほどになった。ミントはギリシャ神話では「美しい妖精ニンフ」。殖えたって、甘い香りでアピールする。


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