2012年12月

良いお年を


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今年も瞬く間に、一年が過ぎようとしています。こんな装備をして、今年もアチコチの山をよく歩きました。来年はどこの山を登っているのでしょう。日本地図と山地図を眺めながら、お正月を過ごそうかと思っています。歩くことは未来に向かうことだから、いろんな人との出会いや自然からの学びがあるのではと期待しています。「歩キ目デス」を見守っていただいた皆様、一年間ありがとうございました。良いお年をお迎えください。


振り向くと木々がいて


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迎賓館前の新緑から落葉までの八ヶ月間をアップしました。信号待ちの間、そして緑を見ながらここを渡り続けて、早30年以上・・・。この木々と一緒に歳を重ねて来ました。クルマの流れを河に見立てると、何度も白線の橋を往復してきたことになります。橋を渡る小生を誰かが30年、いやこれからずっと撮り続けてくれていると面白いのになあ〜と思うのですが・・・。
ちょっと、タイムスリップしてみましょう。



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蘖・孫生え(ひこばえ)


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寒いです。風が強くて冷たくて、すごすごとアササンは中止。というわけで、今日は室内編。我が家のパキラの根元から、小さな枝が出てきたと思ったら、いつの間にか数が増えた。これは「ひこばえ」。20年ほど前、奥多摩の尾根を登っている時に出会った、初老の植物学者から教えて貰った。「ひことは孫の字です」。そんな話を覚えている。銀杏やブナなどの根元でよく見かけるあの新芽のような枝だ。ナラやウバメガシといった炭の原料となる木を切る時に、必ず切り株を残して、ひこばえを育て、次の森をつくる。昆虫写真家の今森光彦さんはそれを「やまおやじ」と呼んでいた。



美術にぶるっ!


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「冷える時は 寒いところが 温かい」という冬の東北を紹介する広告コピーがあったが、「寒さにブルッ」しながら近代美術館の「美術にぶるっ!」を観てきた。日本近代美術100年からのベストセレクションというテーマで、約300点の作品が紹介されている。なぜ「ぶるっ!」なのかというと、美術を体感する。深く感動する。知的に考える。すべての出発点である衝撃をこの言葉で表現したとある。300点を総て観て、ブルッしているわけにはいかない。一点一分としても約五時間。最後はぐったりとしたが、展示した方々も大変だっただろうと思う。



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この大きさでは迫力を伝えられませんが・・・


さてその中でのお気に入りは、川端龍子の「炎葉」。黒に近い紺地に金泥を組み合わせて、夏草だけを描いた作品だ。この作品を部屋に飾って一人鑑賞してみたいと真面目に思った。左右三間、6メートル近くある大きな屏風絵だ。闇のなかから湧き出るような熱気をはらんだ野草が、動いているかのように見える。まさに妖艶な「炎」を感じさせるような作品だった。

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展示はゆったり、すっきり

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圧巻!横山大観の40メートルの蒔絵「生々流転」


近代美術館の「美術にぶるっ!」はここで



冬至に思う


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北国の人は今日の冬至を迎えてホッとする。陽が少しずつ長くなっていくからだ。寒さはこれから本番というのに、日照時間の方が優先される。こんな習性をもっているのは、北海道人だけかと思っていたら、アラスカや北欧の人たちも同じだと、あるエッセイに綴られていた。そんな思いで北の人の心は繋がっているのかと思うと、なにか嬉しくなってくる。緯度が高いほど、この思い入れ濃度も高くなるのだろう。地球儀あれば、くるっと回してみたくなる。

さてこのカボチャ、事務所の一画を占拠している。ハロウィンが終わった翌日、二千円だったカボチャがなんと300円。昼食帰りに衝動買いした。カボチャに原発マークを彫って、どこかに飾るか、プレゼントしようかと考えたのだが、ついに冬至まで・・・これもやらなければ・・・・。


不老不死!?


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この紫陽花に記憶があるでしょうか。11月15日に紹介した「谷間の紫陽花」の今日の姿です。あれから一ヶ月。どうしてこんなに元気なのでしょう。変わったところと言えば、花色がやや白っぽくなった。少し小ぶりになった。しかし花数はむしろ増えて見える。奥にぼんやり見える木の葉はもう色づき、ほとんどが落ちているというのに。人にもそんな方がいらっしゃいますが、遺伝子が違うのでしょうか。この紫陽花、どうも返り咲きではないようです。要チェックです。


立寒椿 


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山茶花だと思ったら「タチカンツバキ」の表示がある。えっ、もうこの時期に椿なんだと調べてみると「サザンカを母種としたカンツバキ群の園芸品種で、違いは名前からも推測できるように、立ち性で枝は比較的まっすぐ上に伸びる傾向があり、樹高はカンツバキより高くなる」。山茶花との違いが分かっていないのに、サザンカを母種なんていわれ・・・・・ますます分からない。


落ち葉の日


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穏やかな初冬の日差しが心地好い


落ち葉を踏みしめながら歩くのは、秋の贅沢だ。すこし風のある日に紅葉した道を歩くと、いろんな落ち葉に出会う。最初は柳の葉だ。これは意外。柳がこんなところにあったとは知らなかった。ひらひらと塀を越えて落ちてくる。柳の葉はあまり紅葉しないようだ。次々といろんな葉が落ちてくると、まるで植物図鑑を開いて、その上を歩いているような気分になってくる。



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ヒラヒラと落ちてきた柳の葉


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これは木を見ても分からない


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これはケヤキだろうな


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豚の饅頭


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知らなかった。この可愛らしいシクラメンの和名がなんと「豚の饅頭」。豚まんと言えば、横浜中華街の旨味たっぷりの饅頭を思いだすが、なぜこの花にそんな情けない名前がついたのか。調べるとこうだ。
明治の植物学者大久保三郎という人が、シクラメンの英名「sow bread」(雌豚のパン=シクラメンの球根が豚の餌になることから命名)を日本語に翻訳した名が「豚の饅頭」。花への優しさがみられない凄い命名だ。しかし、それを不憫に思ったのかどうか知らないが、日本のある貴婦人(九条武子だといわれている)が、「これはかがり火の様な花ですね」と言ったのを聞いた牧野富太郎が名づけたのが、「篝火花」。こちらは上手く言い当てている。いずれにしてもいまそんな名前で呼ぶ人たちはいないが・・・。


☆彡双子座流星群


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権師匠から届いた双子座流星群の写真。見えるかな〜〜


今朝にかけて双子座流星群がたくさん飛ぶらしいと聞いていたので、深夜、ほろ酔い気分で高台にある、交番の横から天空を眺めると、いきなり流れ☆。いつも最初が感動的だ。思わずおおっと声が出る。次が現れないので、しばらく目を凝らして見ていると☆が多いことに気づく。東京の空にもこんなに☆があるんだ。山頂から見る数には叶わないけど、オリオン座もはっきり見えるし、凍るような☆明かりを見ていると、いろんなモヤモヤが消えていく。二個目を見つけたところで寒さに負けて帰宅。権ちゃん今ごろ撮影しているのだろうかと思いながら・・・。


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君も寒いだろうけどこちらもだ。ヒメツルソバ。手がかじかんでピンがなかなか合わない


12・12・13


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昨日は「121212」の日だったらしい。では「111111」は、何をしていたのだろうと、ブログを戻すと「私を通り過ぎていった花たち」というタイトルで、「スピランテス・オレラシア」という花を紹介していた。時間はなぜか、急いで進む。
久々の定点観測写真。新緑の頃が懐かしい。もうこんなだ。茶褐色になった頃、台風が来て、あれよあれよという間に大半の葉が散った。撮り始めたのが4月初めだから、約八ヶ月間、緑の移ろいを楽しませてもらったことになる。何十年も見続けてきたのだから、ここは自分の原風景になっているのかもしれない。


銀座


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昨日ひと仕事を終えて銀座通りを歩いていると、なんとビルそのものをパッケージにしてしまった一画を発見。さすが銀座!と近づいてみると、BVLGARIの文字の上に、まるで宝石を散りばめたような鳥が翼を広げている。こんなに金をかけて元は取れるのだろうか、と余計な心配をする。

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そして向かいを見れば、こちらは赤いリボンに結ばれたCartier。無数の赤いライトが燦然と輝き、年末の女性の心を否が応でもくすぐっている(のだろう)。時計の看板や広告も目立つし、男は大変だ・・・。しかしどんな時代でも銀座はこうでなくちゃいかん!と妙に納得し、前から目をつけていた四丁目の居酒屋「ささもと」の暖簾を独りくぐった。


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BS「吉田類の酒場放浪記」でも取り上げられた「ささもと」
煮込みは串で出てくる。酒は焼酎+ワインの「葡萄割り」


琳派芸術


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琳派と言えば金色でモダンなデザイン。そんなイメージを抱いて出光美術館の「琳派芸術」に行くと、いかに琳派について無知であったかを思い知らされた。かの有名な「風神雷神図屏風」を、俵屋宗達や尾形光琳、酒井抱一という琳派ビック3がそれぞれ描いていたとは、まったく知らなかった。
それどころか豪奢な金屏風のひとつであるカキツバタの「八ツ橋図屏風」。この絵も光琳のほかに抱一が描いていた。継承者たちが琳派の伝統を真摯に学び、超えていこうとしたことが作品の比較から見て取れた。
江戸文化のなかで磨かれていったモダンで、洗練された江戸琳派の新たな創造性というものが伝わってくる分かりやすい企画展だった。


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こちらが宗達


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こちらは、宗達の模写をした光琳の「風神雷神図屏風」


宗達は絵画的で、光琳はデザイン的だといわれています。
そしてこれが継承者、抱一の作品。


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光琳の「風神雷神図屏風」を模写したものです



リース


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不思議だ。どうってことのない玄関のドアに、リースが掛けられているのを見ると、その周囲に灯るような暖かさを感じて、こちらまで幸せな気持ちになってくる。きっと私たちの心に、人の幸せを願う優しさがあるからだろう。
週末、拾い集めておいた木の実や葉でクリスマスリースを完成させた。


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土曜日、サワラの木を剪定している植木屋さんから貰った小枝が効いた





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雀が一所懸命に餌を啄んでいる。誰かが蒔いたお米だろうか。鳥というのは、常に捕食活動に明け暮れているなあと思っているが、もしかしたら違うのかもしれない。実は巣に戻れば、夫婦で子育てのことや巣の増築について話し合っている・・・。そんな事を想像していたら、人間社会の方が働き過ぎのワーカーホリックがいたり、家族がバラバラだったりして・・・いつも身近にいる雀たちが、なにか愛おしく思えてきた。


勘三郎


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明るくなるまで見守ろうとしているのか、朝の半月がまだこの高さにある。梨園の太陽が沈み、こちらも半泣きの気分だ。いつも華があった。もし同席の機会をもてたとしたら、彼の表情を気にして見ていたかもしれない。所作や笑いには、周りを明るく華やかにする不思議な力があった。
ある雑誌で、一年に渡り12人の女優と対談する企画があったが、話の聞き方やツッコミがお茶目であるにもかかわらず洒脱で感心したことがある。若い時分から男の色気が備わった人で、年下にも関わらず羨ましく思っていた。あ〜勿体ない。この気分、星野道夫や筑紫哲也を失った時の気持ちに似ている。
これから先、もし彼がここにいたら、どんな表情でどんな話をするのだろうと、思うことがあるかもしれない。そうでしか想いやれないからだ。しかしそれもきっと寂しいに違いない。



箱根旧街道


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「1680年、江戸幕府は箱根旧街道に石を敷き、舗装をした」とこの石畳の道に標識が立っていた。ここは「箱根八里」と呼ばた東海道の小田原宿から三島宿までの32キロの途中にある。以前、箱根湯本駅から元箱根まで、この道を通ってハイキングしたことがある。途中いくつかの石畳を通り、畑宿本陣跡や甘酒茶屋などで休憩をとって、江戸時代の空気を味わいながら歩いた。薄暗い石畳を歩いていると、いまにも飛脚が駆け抜けていくのではないかと思うことがあった。箱根旧街道。名前もなかなか良い。

華やかな大輪の花が、ポツンと散った。中村勘九郎、57才。好い男だった。
合掌。


彫刻の森美術館


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水滴も体温を下げているのでは〜と心配


先週末、箱根の「彫刻の森美術館」を訪ねた。この冬一番の寒さという日に、標高の高い箱根とあれば、当然吐く息は真っ白。庭園内を歩いているだけで、作品のように固まりそうだった。とくに、作品のほとんどが鉄素材だから、見ているだけでゾクゾクとしてくる。たとえば、お気に入りとなった上の作品。「おい!しっかりしろ〜」と、呼びかけたくなるほど、寒々しさが伝わってきた。


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ピカソ館も内装がすっかり変わった


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雨が降りそうだ、と心配をしているのか・・・


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木の彩りも計算されているのか!?と、思ってしまう


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草紅葉が美しい


早明戦


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お呼びがかかって大学ラグビーを観戦することになった。東京・国立競技場で100試合目となる伝統の早明戦だ。若い頃は、高校ラグビーから有力な選手をチェックして、大学、社会人までその活躍ぶりを追いかけていた。記憶に残る選手といえば、早稲田のスタンドオフ堀越正巳とウイング今泉清、そして明治のウイング吉田義人やセンターバック元木由記雄、強いキャプテンシーで両校の試合を湧かせた。忘れもしないのは1987年の雪の早明戦だ。雪のなか、重戦車と称される明治FWと必死のタックルで守る早稲田、体から湯気を上げるほどの攻防は、観る者の胸を打った。そんなことを思い出しながら、伝統の一戦を応援すれば、明治がロスタイムに逆転し33-32で勝利した。ノーサイドの瞬間、歓喜が寒気を吹き飛ばした。歴史に残る一戦に立ち会えた。


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さすがに伝統の一戦。80分間の攻防は寒さを吹き飛ばすほどの熱戦だった


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戦いが終わって応援団に挨拶の選手たち