2021年9月

小さな秋(2)


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金木犀の香りがあっという間に消えて、銀杏の実がポトポト落ちてくる。季節は駆け足ですすみ、日本はもう亜熱帯になったのだろうか。

雨も多くなり、超大型の台風も増えた。この100年の平均気温上昇を見ると、世界平均は0.68度なのに、日本は1.15度と高い。

季節は、さまざまな自然の恵みを運んでくれるはずが、今や様相を変えてきた。風も雨もそして海流さえも、警鐘を鳴らしている。


小さな秋


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一昨年だったか、散歩の帰りに少しばかり収穫をしていたムカゴの蔓が根元から切られた。春先だったから、雑草の一つとして刈られてしまったのだろう。

ところがである。二年の時を経て、逞しく網に絡まっている。蔓系の強い生命力だ。ムカゴは衝撃に弱く、大きくなると軽く触れるだけでもポロポロと零れ落ちてしまう。

しばらくは、眺めて楽しむことにした。


塩見岳(2)


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表紙には2014年とあるから、この地図を7年も見続けてきたことになる。コースタイムは、ほぼ頭に入っている。さて、台風とドンピシャになってしまったスケジュール。果たして台風一過の晴天となってくれるのか、台風の目から眼が離せない。


コンサート


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昨晩は、世田フィルの定期演奏会があり、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、モーツァルト三人の交響曲を久しぶりにゆっくり聴くことができた。コロナ禍にあって、開催が約一年遅れとなったコンサートだっただけに、指揮者、演奏者らの熱い気持ちが伝わってくるような演奏会となった。

音と言葉をつかさどる脳は、それぞれ違うはずだが、演奏者の言葉(文章)が、まるで音楽のように心地よく感じるときがある。演奏されるまでの至福の時間、プログラムに響くような言葉で書かれていると、期待はより高まる。

昨日も、そんな曲目紹介があったので紹介したい。ウィットもあって好感がもてた。

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メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

 本日お聴きいただく3曲の中でも、この曲は特に有名だと思います。本日お忙しいところ大田区のホールまで聴きにいらしてくださった熱心なお客様には、冒頭を鼻歌のように口ずさめる方も多いことでしょう。ベートーヴェン、ブラームスの協奏曲とともに三大ヴァイオリン協奏曲、あるいはチャイコフスキーを加えて四大ヴァイオリン協奏曲などとも言われますが、その中にあっても甘くせつない出だしで始まるこの曲は「メンコン」として断トツに親しまれている曲だと思います。
 
 ちなみにベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーはヴァイオリン協奏曲を1曲しか書いておらず、メンデルスゾーンが書いたもう一つのヴァイオリン協奏曲は弦楽器だけの伴奏によるものです。4人ともピアノ協奏曲は複数残していますので、ヴァイオリン弾きからすると、もっと書いてくれても良かったのにと思うところです。
 
 このヴァイオリン協奏曲は、急緩急の古典的な三つの楽章から構成されていますが、楽章間を休みなしに続けて演奏するように指示があります。本日も続けて演奏致しますが、楽章ごとに雰囲気とテンポがガラッと変わるので、楽章が変わったことにお気づきになるかと思います。ちなみに休みなしに続けて演奏される形式は、ベートーヴェンの田園交響曲などにもありましたが、斬新な手法であったようです。メンデルスゾーンは、当時、楽章ごとにあった拍手を嫌ったという説もあるようです。 

 第1楽章の冒頭にはオーケストラの序奏がなく、すぐに独奏者が耳慣れた旋律を弾きはじめ、心をつかまれます。ちなみに協奏曲によっては、前回の定期演奏会で聴いていただいたドヴォルザークのチェロ協奏曲のように独奏が出てくるまでに3分もあって、その間に独奏者が居眠りして独奏を出損ねたという逸話があるような協奏曲もありますので、すぐに主旋律が出てくるというのもこの曲の特徴のひとつと言えます。 
 
 この曲は1809年生まれのメンデルスゾーンが35歳の時に書いた作品ですが、38歳でこの世を去った早熟の天才、メンデルスゾーンにとっては既に晩年の作品ということになり、この時期には残した5曲の交響曲もすべて書き終えています。ちなみにメンデルスゾーンがいかに早熟だったかというエピソードもいろいろと残されています。最初に出版されたピアノ四重奏曲は13歳の時に作曲され、15歳で交響曲第1番を書いています。 

 本日の曲目解説は最近流行りの「ちなみにクイズ」の形式で書いてみましたが、もう紙幅が尽きようとしています。メンコンにさらに親しみを持っていただけましたでしょうか。最後に本日私が一番お伝えしたかった「ちなみに」は、メンデルスゾーンは音楽だけでなく絵の才能もあったということです。是非「メンデルスゾーン 風景画」で検索してみてください。 
(ヴァイオリン 川井孝之)


秋晴れ


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待ってました〜と、ベランダが賑わう、ニッポンの秋晴れ。

中秋の名月


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昨夜は全国的に美しい仲秋の名月が見られたようだ。月を見ていると、心が穏やかになっていくことが分かる。太陽の光を受け、間接照明となって自身を映しだしているからだろうか。

ススキやお団子を飾り付けるほかにも、池や水鉢に映したり、窓を使って一幅の絵としたり、日本人はさまざまなカタチで月を愛でてきた。

昨今の若者は、月を宝石に見たて、手や指と組み合わせたり、新名勝となっている東京駅の前では、カップルが月を入れて撮影したりと新たな嗜みを始めている。

で、おじさんはというと・・・「仲秋のおにぎり」と勝手にネーミングして、秋を一ついただきました。


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雑穀米に栗がひとつ

鞍掛豆


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弟の畑からやってきた鞍掛豆


札幌の弟から約束の枝豆が届いた。中を開けると収穫時期を逸したような豆がいくつもある。???。鞘から出すと豆が変色しているし。これは種類の違う豆なのかもとググると「鞍掛豆」という種類が出てきた。別名パンダ豆。なるほど、そうだったのかと安心する。流通している豆は乾燥しているものが多く、一度水に戻してから茹でるとある。どうしたらいいのか・・・。

半日経ってから弟からLINEが入る。「それは枝豆だから、そのまま茹でるのだ」。えだ豆よりもやや硬めとあるので、茹で過ぎないように注意していると、甘く強い香りがしてきた。これはまさしくエダマメだ。秋に入ってまだ枝豆を食べられる幸せ〜。豆の奥行きは広い。


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一緒に入っていたプチトマトも入れて撮り直し

塩見岳


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緊急事態宣言は、山小屋にも影響を及ぼした。その多くは閉鎖を余儀なくされた。あるいは人数制限をしての予約制、宿泊する場合は各自がシーツや枕カバー持参する。検温やマスクの着用、消毒なども平地と同じだ。

そんな中で10月の初旬、山岳会のTさんと塩見岳をアタックすることを決めた。長く憧れていた山だった、というよりも娘の名をこの山からいただいていた。山名の塩見を変えて、汐美。

いつか一緒に登ろうと勝手に決めて、幼児の頃は背負子に乗せて近隣の山を登った。小学校を卒業するまではかなりの山に登ったはずだが、中学校に入ると部活が優先された。大学、社会人となってから何度か声をかけたが、いい返事は貰えなかった。

長くとっておいたが、そろそろシオミ時。ゆっくり堪能して登ろう。


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雪が降らないことを祈っている


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雨上がり、大きな樹に付着している苔の美しさに足を止める。ここ数年、意識するようになったのは、こちらも歳を重ねてきたから!?。高尾山の巨木の多くに苔が鬱蒼と広がっている。樹皮を伝わっていく水に光があたると、苔はさらに美しさを増す。


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神田川沿いのソメイヨシノの古木にも苔が覆う


戦争が終わり、昭和30年代から全国でソメイヨシノの植樹が始まった。60年が経ち、そろそろ寿命ということもあって、樹の多くに苔が見られるようになった。

人生もソメイヨシノと同じように、60年といわれた時代があったなあ〜


リユース


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ここ数年、壁掛けカレンダーは浜野史子さんの描く動物カレンダーを使っている。温かみとユーモアがあって、眺めているだけで心が和んでいく。こんな素敵なイラストをポイと捨てるのは忍びないので、週末に封筒にしてみた。

忙しくなると手を動かしてみたくなるのは、性分だろうか。数ヶ月分の絵柄を見ながらトリミングを考え、展開図をイメージし、即カッターを入れ両面テープで仕上げる。ハマってしまって、一気に6枚を仕上げた。

そういえば、子供の頃、母とカレンダーやポスターで、長い二等辺三角形を沢山つくってスダレを作っていたことを思い出した。ゴミにせず、なんでも利用することを教えられていたのだなあと、母との時間を振り返った。


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浜野史子さん・・・http://www7b.biglobe.ne.jp/~fuuya/home.html


秋の虫


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これがカンタン


秋の虫の美声ベストスリーは、スズムシ、マツムシ、カンタンだそうである。秋の夜長、虫の声を愛でる日本の文化を素晴らしいと思う。

西洋人は虫の声を右脳の音楽脳で聴いてしまうので、それを機械音、雑音と認識するようだ。背景には、虫=害虫という潜在意識があるからという。

日本人はというと、左脳の言語脳で聴くので、表現も「虫の声」となる。とても納得。
虫の声に耳を澄ませながら、キューッと一杯、今宵も楽しみたい。


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往く夏を惜しむ虫たち

秋の花


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昨日の夕方、散歩中に金木犀の香り。今年もまた不意にやって来て、立ち止まらせた。虫の音も響き、いつのまにかひっそり秋に包まれてる。

夏の終わりの山道にも、萩、ミズヒキ、センニンソウ、そしてツリフネソウ、ホトトギスが咲いていた。


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萩の花を拡大するとこんな

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こちらは、キンミズヒキ

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センニンソウはジャスミンのような香り

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名前の如くツリフネソウ

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ちょっと色素不足のホトトギス

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シュウカイドウの開花期間は長い


古今東西・新旧混在


アサギマダラの好きなヨツバヒヨドリに・・・


首相退陣から次の総裁選にかけて、相変わらずの生臭い駆け引き、化かしあい、そして各候補といえば「不信・不安」の実力不足。この程度の粒しか残っていないのかよ〜と云いたくなる面々ばかり。

妖怪たちに担がれて、風見鶏を載せたニッポン神輿は、どこへゆく。


一方・・・・

全米テニス・女子の決勝カードが決まった。十代の二人だ。こちらは観客を味方につけて、一気に勝ち上がってきた。フレッシュな二人が、次々と上位選手を打ち負かした。
実力も充分。将来を背負って行くだけの力と華がある。

潮目が変わるときってあるようだ。男子も二十歳前後の選手が、上位に来た。若い人が伸びるときは、期待を大きくして観てしまう。決勝は、世界のテニスファンを沸かせてくれることだろう。


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18歳のエマ・ラドゥカヌ(左)と19歳のレイラ・フェルナンデス(右)

展望台


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アササンコースの途中に小高い公園があって、そこに展望台なるスペースがあることを発見。南東方面に目をやると新宿西口、そして遠くにはスカイツリーの上部が見えた。

風が強く吹いた後は、大気中の塵が取り払われて雲の微妙な色が楽しめる。昔、この辺りから富士山が見えたとしたら、富士のついた地名でも付いたかもしれない。いまや大気汚染と高層ビルで眺望すらかなわない。

それにしても、高層ビルをまた造っている。テレワークが主体となっていく社会状況の中、テナントは大丈夫なのか、と余計な心配・・・。


贔屓


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山登りの朝より早起きをして、全米オープンテニスの準々決勝にチャンネルを合わせる。一昨日に19歳になったばかりの女子選手、フェルナンデスのプレーを観たいからだ。

大坂なおみを負かしたとき、この選手の実力は半端じゃないと感じた。身長165センチは今大会で一番背が低いのではないか。ところがゴムまりのようなカラダから繰り出されるショットは、気持ちが良いほど相手コートに突き刺さっていく。きびきびした動き、メンタルの強さ、運を引き寄せていく態度、どれも惹き付けられる。

試合後、接戦をものに出来なかったスピトリナ選手の祝福がよかった。若くても、下位にいる選手であっても悔しさを抑えて敬意を示し、称えることが大切だ。勝ったときより負けたときの姿を人は見ている。

大坂なおみの後も、歴代のチャンピオン二人に辛くも勝利したフェルナンデス。後二回勝利すると、全米チャンピオンだ。だが、この後はさらに格上の選手が待っている。どんな戦いをして、どんな結果になるか、最後まで清々しい試合をしてくれることを期待している。


秋雨


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サルスベリの花も実も雨とともに・・・


あの熱波、猛暑はどこへやら。パラリンピック閉幕とともに気温が一気に下がり、秋を思わせるような雨の一日。外を控え目にしていたせいか、蝉の声やサルスベリの勢いを感じないで終わったような夏だった。

権力


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いつまでも しがみついていたかった でも 先が 無かった

あいすまんじゅう


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最近見つけた優れものがこれだ。コンビニやスーパーで時折見かける「あいすまんじゅう」。あまりにも美味しいので調べてみると、製造会社は九州久留米市にある創業88年の老舗。商品紹介には『世界に認められた品質、モンドセレクション金賞連続受賞』とある。発売は昭和37年、つまり60年の歴史を誇るアイスなのだ。

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このシリーズでは、『和栗』が美味い。初めて口にしたときの、栗のホクホクした味わいに、思わず、瞑目・・・栗と小豆、最強の組み合わせだ。秋冬のシーズン限定だけに、心配は、美味しさの噂が広まって、売り切れ・生産間に合わずの非常事態。
だから、本当は教えたくはない。

枝豆


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枝豆があるからビールを呑んでいる。と公言したいくらい、枝豆が好きだ。七月、八月と枝豆を食べなかった日は、数えるほどだったはずだ。大別すれば青豆、茶豆、黒豆の三種類、さらに品種が数多くあって、楽しめる。味の一番は、なんといってもトウモロコシのような香りと深い味わいだろう。

昼間の暑さを一瞬にして霧散してくれる枝豆。プチッと口に含めば、いっぱいに広がる豊穣の海、ゆっくりと噛みしめていくと口福の波が打ち寄せる。