2009年9月

黄金色の秋

東北の秋は、黄金色に輝いていました。
どの路線に乗っても、車窓から稲穂の広がる景色が見えて、
しみじみ日本はお米の国なんだなと実感しました。
そして間近に見ると、素直に幸福な気持ちになります。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」は、名言ですね。


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やはり日本は黄金の国だったのだ



河童の狛犬

遠野には河童伝説があると聞いていましたが、
まさか河童が狛犬なっているとは知りませんでした。
遊び心を象徴するものはあちこちにあり、この地方がいまも
民話の世界を作り上げていることが伝わってきます。
柳田邦男が収集した民話には、座敷童や不思議な生き物が多く登場します。
伝えること大切さと聞くという楽しみが、何百年もの間
大人から子どもへ繰り返し伝承され、
この土地特有の温かさとなって、今も息づいているのかもしれません。


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伝承園にある河童の狛犬

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河童の好きなキュウリを仕掛けて誘っています

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河童が魚釣りをしています



遠野の朝

朝少し早起きして、宿からの坂を下りていくと
たわわに実ったリンゴ園に着きます。
リンゴは何種類もあって、下向き加減の枝には
どれも嬉しくなるほどの数のリンゴがぶら下がっています。
そして遠くには、野焼きの白い煙があちこちに上がり
日本の秋の田舎風景ができあがっていきます。


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遠野は東京23区がすっぽり入るほどの広さがあります。


囲炉裏

曲り家という、母屋と馬屋がひとつになっている民宿に泊まりました。
L字形をしている東北地方独特の農家の建物で、
囲炉裏端から眺めていると昔の人の暮らしを想像することができます。
家の真ん中に据えられている囲炉裏で、マキのはぜる音を聞きながら
炎を見ていると、この日泊まる人たちが集まってきました。
炎の持つ魅力が誰も饒舌にするらしく、あっという間にみんな和やかになり、
遠野を訪ねてきた理由や旅などの話題で盛り上がっていきました。



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小高い丘に立ち、辺りは金色に輝く田が広がります。

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囲炉裏に座ると、火ばさみを使いたくなります。



白い萩

白い花が風に揺れている。
バスの中から見下ろす急勾配一面に広がる白い花が萩だとわかり
訃報の多い一週間を振り返った。
街道や河原に揺れる萩の花は、哀切感あふれる風景となって
旅立ったひとたちを思い起こさせた。
初めて見る白い萩は、心に残る花となって記憶に残りそうだ。


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白いハギが揺れる、遠野「伝承園」のバス停前。


ワレモコウ

秋の山を散策していると必ず目にするのがワレモコウです。
「われもこうありたい」とはかない思いをこめて
名づけられたという説がありますが、
この花を見ていると「どうして!?」となります。
楕円の形とくすんでいく色、こうありたいとは感じてこないのです。

赤い玉状のものは、実のように見えますが、
目を寄せると一つひとつに小花が密集しています。

吾亦紅、我吾紅、そして吾木香の漢字表記があり、虚子の歌に
「吾も亦(また)紅(くれない)なりと ひそやかに」があります。
花言葉は「愛慕」「変化」そして「移りゆく日々」


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ちょっと黒っぽくなっていました。


同行二人

最近、遠くへ出かける時や高い山を登る時に、万歩計をつけています。
ちょっとつけるのが恥ずかしい代物のひとつだったのですが、
この春、義妹から弟の形見分けとしてもらいました。
小さいくせになかなかの優れもので、過去1週間分の歩数、距離、
消費カロリーや時計などの機能がついています。
しばらくして四国のお遍路さんのことを思い出したのです。
弟が生前、何処を歩いていたかは知らないけれど、
今はこうして一緒に歩いているのだという気持ちが強くわいてきました。
いまはお大師様のようなお守りになり、一緒の旅をしています。


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高尾〜陣馬山コースの歩数は、3万歩を超えていました


陣馬山

この山を訪れるのは5年ぶりくらいになります。
以前は八王子からボンネットバスの「夕焼け小焼け号」に乗って、
登山口まできて855mの山頂を目指しました。
このバスの心地よいエンジン音を聞きながら、山道を揺られていると、
里山の風景がのんびりと映り、童謡の世界を走っているようでした。
バスの名は、この地にある公園の名称「夕焼け小焼け」からつけられ、
登山者から絶大な支持を受けていましたが、2年前に排気ガスの規制から
このレトロなバスはついに引退してしまいました。


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今も変わらぬ陣場山のシンボル「白い馬のオブジェ」


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バスは廃車にならず次の出番を待っているようです



キアゲハ

アザミにキアゲハやヒョウモンチョウが競って蜜を吸いに来ています。
次の世代を残すために必死なのか、
それとも卵をもう産みつけて余生を楽しんでいるのか。
眺めていると飽きることがありません。
ところが、どのキアゲハも羽をあちこち痛めています。
夏も終わる頃、鳴いているセミを見ると数匹が羽を痛めていました。
虫たちにとって、短かくも熱き夏を謳歌し、
生きてきたのだということが、その姿から伝わってきました。


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アゲハ追う あの日の姿 ここにあり


ハギ

万葉集でもおなじみの秋の七草です。
週末に歩いた、高尾山から陣馬山への山道で見つけました。
なるほどマメ科の花らしく淡い赤紫の花の房と
楕円形をした三枚ワンセットの葉がついて、枝垂れるように伸びています。
秋の夕方近く、ススキとハギが覆う見晴らしの良い山道を歩いていると
風が心地よく、雲の形も良いので、
夕焼けを見てから帰ろうかなと思うのでした。
花言葉は「思案」「もの思い」「内気」


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万葉集では、ハギを詠み込んだ歌は142首で最大数。


男体山(番外編)

登っている最中に、若い二人の女性にすれ違いました。
とても楽しそうに話しながら下りてくるので、まずは挨拶。
ややあって、思いがけないことを口にしていました。
「君たちは、おいくつなの」。 いかんと思っても後の祭り。
しかし、お姉さんタイプのひとりが「私が23で、彼女が20です」
と笑顔で答えてくれました。
「若い女性が山を登っているというのは、本当なんだね」と
嬉しい気持ちを伝えましたが、
同時にちょっとオジサンぽいよなあ〜ともう一人の自分を見つけた、
山登りの旅でもありました。


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幻で、天然で、こんなに沢山?なんか変。字も変。(許可を得て撮っています)


男体山(その4)

霧がまく山頂では眺望も楽しめず、約20分の滞在で下山を決定。
2本のストックの長さを調節し、膝にサポータを取り付け
ゆっくりと4本足の動物になったような動きをしながら下りていきます。
登りでチェックを入れておいた花たちを見つけては、撮影をしていくのですが
期待していたリンドウには出会えませんでした。
写真の花たちに共通することが後で分かりました。
どれもキク科の種類なのです。
ますます秋を感じる花たちです。


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アキノキリンソウ(秋の麒麟草)
山地や丘陵部の日当たりのよい場所に生えています
花言葉は、「警戒」「要注意

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キオン(黄苑)
高さは1メートルくらいで直径2センチくらいの黄色の花をたくさんつけます。
花言葉は、「元気」「陽気

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ヤマハハコ(山母子)
茎は白い綿毛に覆われ、高山帯の日当たりのよい草地に生えています。
花言葉は、「純情

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岩の間で小さな実を付けていたヤマイチ



男体山(その3)

八合目を過ぎると、シラビソ、コメツガといった亜高山帯の
常緑針葉樹が増えてきます。シラビソは甘い香りを放ち、
森をより濃密な世界にして、登山者を迎えます。
僕はこの香りに出会うたびに、山がもつ懐の広さのようなものを感じ
忘れていた気持ちを取り戻します。
しかし頂上直下までくると、風景は殺伐としたものになり、
この山の気象条件の厳しさを想像させるようなものに出会います。


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どれも自然が創りあげたオブジェのようです。


男体山(その2)

猿ともお分かれして、五号目に入りました。
下からかなりのスピードで、ガスが湧きあがってきます。
紅葉している木が少しずつ増え、登山道にも秋の花が目に止まってきました。
秋のキリンソウ、ヤマハハコやキオンなど亜高山帯の花たちです。
山の樹木は、高度によって種類が変わってくるので、
登山者は木の放つ匂いを楽しみながら、高く登っていることを実感します。
しばらく登っているとゆっくりガスが切れ、
遥か下に中禅寺湖の姿が現れてきました。
高度感にしびれ、一気に頂上を目指すパワーが生まれてきました。

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ガスが切れてくると、色づいた木々が目につきます

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高度約2,000メートルからの中禅寺湖


男体山(その1)

早出、早着きが山登りの原則。分かっていながらも、この天気図なら・・と日光の中禅寺湖にそびえ立つ、男体山(標高2480m・100名山)に日帰りでアタック。結果、中年の太ももには厳しい山行となりました。
アキレス腱が、ほぼ伸びっ放しの急斜面が続くために息が切れ、
前夜のビールが滝のような汗となって、額からポタポタと落ちていきます。
1合目に入ってから青空に雲がかかり始めると、森にもガスがかかってきました。すると突然、山中に奇声!? よく見ると、直ぐ近くに10匹くらいの猿の群れがいます。
小猿2匹が小さな木を遊び道具のようにして、追いかけあいながら、じつに楽しそうですそんな姿を見ると、気持ちにやっと余裕が戻り、アルキメデスタイムが始まりました。

    
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駅前の紅葉は、だいぶ色づいています

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これはボス猿みたいで悠々としていました

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前半は混成林の中をすすみます


イガグリ君

栗のイガがどんどん大きくなっています。
小さい頃、イガが大きくなっていくとワクワクし
まだ青いうちから、竹竿などでよく落としていました。
すっかり色づくと、近所や山を歩き回り、あちこちのクリを
ポケット一杯になるくらい拾い集め
たき火に放り込んで焼き上げて、あつあつのクリを弟たちと食べました。
食欲の秋、この頃の子どもたちは、おやつを自給自足していました。
花言葉は「満足」「豪奢」「私を公平にせよ」


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ここでは年に一回このクリが販売されます。


「五行 はこべば」がスタートしました。
こちらもご覧ください。
http://1c.3coco.info/5gyo/

ミツバチ

世界のあちこちでミツバチが消えています。謎の失踪です。
なぜ、突然世界的規模で消え始めているのか?
3〜4キロしか飛べないミツバチの姿を発見できないのはなぜか!?
一説には殺虫剤の使用によって方向感覚を失ったとか、
花の種類が少ないことによるストレスと考えられているようですが、
まだはっきりとは、解明できていません。
ミツバチの失踪は、人間の食物に大きな影響を与えるようです。


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アカツメクサの蜜を吸う、これはハナアブの仲間でしょうか


キバナコスモス

コスモスが、あちこちで咲き始めています。
最近は種類もふえて、いろんな色が楽しめるようになってきました。
このキバナコスモスにもかなり種類があるようですが、
オレンジ系の色はピンクや白とは違って、存在感を強く感じさせてくれます。
これは花びらが八重のように少し重なっているので、
ボリューム感も伝わってきます。
和名「黄花秋桜」 花言葉は「野性的な美しさ」

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何かを運んでいるようにコスモスが風に揺れています。



アブチロン

台風一過で眩しいばかりの朝です。
コースの途中に柑橘系を思わせるような、透き通った花が咲き続けています。
5月から花をつけていて、その生命力に感心していました。
今朝、女性が手入れをしていたので花の名前を聞いてみました。
花の名は、「アブチロン」。
おじいさんが園芸店から苗を買ってきて、庭に植えたところ
どんどん成長して3メートル近くになったそうです。
やはりお店の人に、長く花を楽しめますよ、と言われたそうです。
調べてみるとアオイの仲間でした。
花言葉は「憶測」「秘めた思い」「尊敬」です。


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蕾もあるので、まだまだ楽しめそうです