2014年11月

ウバユリの種


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これ以上でも、これ以下でもない美しいカタチ。ウバユリの種である。重さは1グラムあるかなしか。風から浮力をもらえるように、その形状はいたってシンプル。オブラートのような羽の真ん中に、種がピタッとふっついている。
どんな風に飛んでいくのかなと、種を高く放りあげる。ヒラヒラと、舞台に降る雪のように、ゆっくり時間をかけて落ちていった。来年、いくつの種が花を咲かせるのだろう。

*ウバユリの名は、花期の間に葉が枯れて落ちることから、「葉がなくなる」つまり「歯がなくなる」姥にかけて、命名されたらしい。


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雨上がる


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雨上がりの朝、深呼吸をすると、空気は新鮮で美味い。まもなく日が出てくるのだろう。東の空が明るくなってきた。雲を暖色に染めてから、光はアッという間に地上に下りてくる。高い建物が光をうけ、影を脱いでいく。

二日間降り続いた雨は、色づきはじめた葉をたくさん落とした。川に落ちたものは生き物の糧となり、土に落ちたものは木々の養分となる。当たり前のことだが、澄んだ空気の中では、頭が冴える。


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実りの秋


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里山は実りの秋だ。大根と柿が秋の陽射しをいっぱいに浴びている。白組の大根が、揃ってラインダンスをすれば、赤組の柿は、渋々皮をむかれて甘みを増殖中。


岩殿山


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先週末は、恒例のORMACの山の会。お天気に恵まれ、山梨県JR大月駅前にそびえ立つ岩殿山に登ってきた。じつはこの山、登りは一時間でも、下りに「稚児落とし」という物騒なルートを選ぶと、約3時間半の歩きとなる。途中には、本格的なクサリ場やハシゴなどのスリリングな箇所があって、油断は出来ないのである。
しかしながら絶壁状になっている頂上からの眺めは、圧巻の一言。山間から顔をのぞかせている富士山は、前々日の雨が雪に変ったらしく、五合目まで美しく雪化粧していた。

紅葉の山々と雪をのせた富士は、ORMACの今年のフィナーレに相応しい景色となって、我ら隊員をおおいに喜ばせてくれた。/^o^\


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高所恐怖症は、山頂から目を瞑って何回かシャッターを切った

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紅葉、銀杏、どんな木々ともお似合いの富士山である


駅前から見える岩殿山。これがなかなか、懐が深いのだ〜


皇帝ダリア


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これがそうなんだ。山里でみた大きな花が、皇帝ダリアだった。権師匠から教えてもらった。冷え込みが強くなるこの時期に、空に向かって大輪の花を咲かせている。まだ蕾をいくつも付けているから、しばらくは楽しめるわけだ。それにしても3メートルはゆうに超えている。空にそびえて立つ姿は圧巻、見事だ。皇帝の名に相応しい。


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遠くからも目に入った皇帝ダリア


駅・ステーション


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親子と楽しむ山登り」と「ORMAC」に使えるのではと思って、先週末ロケハンしてきた山は、埼玉県の物見山・日和田山コースだった。道草をしたり麓のお店でお茶していたら、すっかり日が暮れてしまった。駅にたどりつくと、もう五時。寒い。リュックからパーカーを出して着込んだ。

この写真を見ていたら、高倉健のあの映画「駅・ステーション」を思い出した。映画の舞台となった北海道の冬の駅は、どこも良かった。いしだあゆみが涙を浮かべて敬礼をしながら去っていった「銭函」。倍賞千恵子の店で「舟歌」を聴きいった「増毛」。そしてフィナーレの雪の「留萌」・・・。監督は名コンビの降旗康夫、原作は倉本聡だった。

昭和が終わっていく。健さんが尊敬していた大滝秀治が天国の駅で、あのニコニコ顔して出迎えたのではないかな・・・。


剪定


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新宿通りに床屋さんがやってきた。街路樹が次々に丸刈りにされていく。黄葉することも落葉することもなく剪定されていく街路樹は、我が頭のことをどう思っているのだろう。「剪定してもらうと、養分をしっかり根に蓄えられるので満足よ〜♬」。それとも、「いつもいつも美しく着飾ったと思ったら、すぐに脱がされてしまって、悔しい〜!」


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これが

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こんなに・・・若き日の健さんの頭みたくなっちゃった


剪定されてしまった新宿通りは、冬待ちの姿に変わってしまい、なにか寒々として見える。暖炉のような温かな彩りを消されてしまい、晩秋の日ざしにさえ、ちょっと苛立ちを覚えてしまうのだ。

お宝


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週末、納戸を整理していると、奥からすっかり忘れていたお宝が現れた。あらまあ〜若大将!こんなところに〜。懐かしいEP盤が6枚。どれも青春時代の一コマ一コマを焼き付けてくれた加山雄三の名曲ばかりだ。津軽海峡を一緒に渡ってきたんだ〜と、思うと胸がキュンとした。
山の上で、校舎の窓辺で、修学旅行のバスの中で、よく皆と歌っていた。若大将も、もう77歳。カラオケで唄っていますよ〜〜

空からキッス



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誰だって、そう思うよね。よく見ると仕掛けが分かる!
今日はこれだけなのだ〜〜〜。

カラスウリ


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今朝テレビを観ていたら、俳優の火野正平がこのカラスウリを食べていたのでビックリした。食べるなんて考えたこともなかったので、じっと見ていると「渋い〜」と言って顔をくしゃくしゃにした。何でも食べるあの好奇心こそが、彼の真骨頂なんだろう。偉い!!
そして中に「打ち出の小槌のカタチをしている種」が入っていると言っていた。はて、なんだろう?と思い、調べてみると


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なるほど。こんな種が隠れているんだ。中を割って調べてみたくなるよなあ〜。プレゼントにも好いし、乾燥させると可愛いグッズにもなるかもしれない。今度探してみよっ。

蕎麦


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まだヒメツルソバの花が咲いていた


いま新蕎麦が旨い。深大寺や高尾山には、多くの蕎麦屋がひしめき合っているが、地元に蕎麦畑はないから、そば粉はどこかからやって来る。いったいどこだろうと思っていたら、先日、権師匠に案内してもらった高崎観音山の蕎麦屋に「幌加内産の蕎麦粉が入りました」の表示があった。幌加内といえば、北海道の北、そして原野をイメージする。(この店の蕎麦は旨かったね)

子供の頃、蕎麦好きの父が、駅のホームで立食いの蕎麦をよく食べた。想い出のいくつかはこんなシーンだ。汽車が止まると父は慌ててホームへ下り、蕎麦を頼む。停車時間が限られているので、慌てて食べる。その様子が子どもにも分かる。出発を意味するアナウンスが流れる。すると、窓から顔を出して「汽車が出るよ〜」と涙顔で、何度も叫んだ。

弟がこんなことを言っていた。「駅で蕎麦汁の匂いを嗅ぐと、なぜオヤジがあんなに蕎麦が好きだったのか分かるな」。鼻腔をくすぐる蕎麦汁の匂いの季節がやって来る。


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高崎観音山の中腹にある蕎麦屋「手打ち蕎麦 そばっ喰ひ」

菰樽(こもだる)


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明治神宮の中で興味深かったのが、この菰樽の陳列だった。四斗樽。つまり36ℓの酒が入る。いいねいいね〜とじっくり銘柄をチェックしていくと、「水芭蕉」があった。これは昔、尾瀬の帰りに、鳩待峠の小さな店でギョウジャニンニクの天ぷらを食べながら呑んだ。端麗な淡口の酒だ。「旨い旨い」とスイスイ、グイグイやっていたら、女将が「餃子も出来ますよ」というので、追加したな・・・。


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懐かしいなあと思っていたら、その右下に「北雪」があるではないか。これは佐渡の酒。冬の佐渡で、外の吹雪を見ながら健さんのようにカウンターで呑った、忘れもしないあの純米大吟醸。こんなに美味い酒が佐渡でつくれるとのかと、ビックリした。いやあ〜、こんな話をしていると切りがない・・・(^^;


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大雑把


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そのマクロ機能で撮ったイヌホオズキ


随分時間が経ってから、気がつくということがある。本など読んでいて「そうか!このことだったのか!」と立ち上がったり、「思い出した!この味、昔あの店でも食べたことがあったな」とか・・・。
何か、嬉しい発見をしたみたいで、ちょっと得した気分になる。ところが、最近の発見した二つは、自分の大雑把さを露呈させた。

まずはリュック。購入してからすでに15年ほど立っているテント泊用の大型のリュックだ。先日、高尾山の鍋パーティにと久々に納戸の奥から引っ張りだして、チェックしていたら、リュックの下に雨天用のカバーが内蔵されていた。そうとも知らずに、別売りのレインカバーを買っていた。
そして、先週末の明治神宮でのこと。こちらもすでに3年経っているカメラにマクロ機能を発見した。もう一台のカメラ携帯して接写用に使っていた。
つまるところモノへの執着、頓着がないというか、すぐに調べずに走るというか、だいたいが大雑把なのである。
こんなことを告白すれば「知っているよ」と、皆は言うのだろうが。


明治神宮で吟行


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土曜日は吟行歌会だった。場所は明治神宮。雨が心配だったが、なんとか保ってくれた。お日柄がよかったのだろう。社殿では、結婚式や七五三を祝う人たちで賑やかだった。約二時間、御苑と神宮内を散策したが、すべてを廻ることはできない。総面積約70万平方メートルの境内は、驚くほど広いのだ。

吟行歌会は、いつもの角川庭園。こんな歌を詠んだ。

計らいを受けている
森は優しい
神前の挙式を
七五三の親子を
時空の中に包みこむ

印象的な歌を紹介する

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水を飲みにきたのに
人が多すぎて
飲めやしない
山雀のぼやき聞こえる
清正井(きよまさのいど)     

 Iさん作


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Sさん作

おかしいエピソードを一つ。
小石の入った井戸は「清正の井」。ここに屋敷をかまえたあの加藤清正が掘ったといわれ、滾々と水が湧き出ている。そばに制服の警備員が立っていて、井戸に手を入れないようにと注意をうながす。日がな一日、ただそれだけを言うためにいるらしい。

「この湧き水は、一日どのくらいの量なのでしょうか」と尋ねたところ、見事な答が返ってきた。

「だいたい、そこから溢れ出る量になります」
「・・・・・・・」
いやはや、久々に沈黙した。



山椒(サンショウ)


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ついに見つけました。サンショウの木は、よく見るのに、なぜ実がついていないんだろうと思っていたら、ありました。この赤い実の中に黒い粒が入っていて、パカッと割れて出てくるんだろう。初めて見たので、なにかとても貴重品を見つけたような感動〜。
調べると、この赤い皮も乾燥させてから粉末にして、粉山椒や七味に使われるようだ。

秋の野苺


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たぶん野苺では、一番遅い時期に実を付ける種類だろう。粒が小さいなあと思っていたら、花が終わった萼の中で育っていた。摘んで口にする。う〜ん、野趣溢れる深い味わいが、口に広がる。なんとも美味い!
それにしても、アチコチにたくさん。柘榴みたいに、一粒の中の種が大きい。まとめて口に放り込み、味わい、いくつかの種を飛ばし、残りはそのまま呑み込む。柘榴の味わい方もこれで好いのだろう〜。

柘榴(ざくろ)


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私は想像する。柘榴が好きな人は、無花果(いちじく)も好きなのだ。そしてきっと、木通(あけび)も。店頭に並ぶと、目を輝かし、密かに買って、ひとり静かに食べている・・・と。
しかしなぜ、あんなに種が多いものを食べなければならないのか。それとも、そこにミステリアスな魅力があるのか?・・・分からない。種は出すものなのか、そのまま呑み込むものなのか。
柘榴はきっと言うのだろう。「ご自由にどうぞ」と・・・


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昨日の夕焼けは美しかった・・・


ひっつき虫


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今ごろ野原や河原を歩くと、植物の種子が連れて行ってくれ〜と、ふっ付く。子供の頃、ひっつき虫と言っていたが、地方によってはドロボウグサとかドロボウなんて、物騒な名前で呼ばれているらしい。調べてみると「バカ」「くっつきむし」「イジクサレ」という名前が出てきて、驚く。北海道では「ばくだん」や「だっこの実」。知らなかったなあ〜。
思えば、このひっつき虫を仲間とぶつけあって、遊んでいた。自分に付けられたのを投げ返したりと・・・。小さいのは多く付き、取るのが大変だった。家に帰ると、母が一つひとつ丁寧に取っていた、ような気がする。


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トゲトゲで付いたり


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ベタベタで付いたり


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しかし「バカ」「ドロボウ」とは、すごい名前だ。