2013年2月

寒緩む


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二月も終り。年が開けて、あっという間だ。お屠蘇気分などあったのだろうかと振り返れば、記憶だけが遠くにあって、何かが変わったということもなく、数え年だけが一つ増えている。行って、逃げて、去っていく・・・そして桜が咲いて、良いんじゃない〜。そう、それで良いのかも。寒さを強く感じる歳になってくると、時計の針さえ進めたくなるし、何かにつけて流されやすい性格なのだから、花綻ぶまではこのペースで流されても良いのだ〜と。まだまだの蕾を眺めながら、寒さが緩んだ日のアササンはやはり嬉しい。


トリコローレ


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ラーメン屋や寿司屋の応援するわけではないが、イタリア料理店はいいよなあ〜と、この三色旗トリコローレを見るたびに思う。一体誰が最初に「イタリア料理店ここだよ」とぶら下げたのだろうか。素晴らしいアイデアだと思うのだが、イタリア人がこれを見るとどう思うんだろう。


レッドロビン


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今日は寒かった〜。今年は例年になく寒い日が多いように思う。アササンしていても、春をなかなか見つけられない。そんななか、このレッドロビンは、わずかな温かさにも反応するかのように、新芽を脹らましていた。もともと生け垣用に交配されて生まれた品種だから、この寒空でも平気なんだろう。ヤブ椿が花を落していくなか、花のような赤い新芽には、春の息吹を感じる。

さて今日はISSの観察DAYです。
★東京では・・・19:10:57/西北西 〜 19:14:11/南西 〜 19:14:29/南
よく見えそうです。

沙羅ちゃん


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おい、決めてくれたぜ〜♬


「前畑ガンバレ」から早77年。女が泳ぎ、やがてマラソンを走り、そして今やスキーのジャンプだ。「イカン!もう二時過ぎている!」と焦りながら、ノルディックスキー世界選手権の「ジャンプ混合団体」という競技を最後まで観てしまった。男子複合団体4位の悔しさを晴らしてくれるかのように、金メダルをビシッと決めたのは、この日の最長不倒記録を出した沙羅ちゃん。大ジャンプを決めた後も、ポワ〜ンとしていて、これがじつに好いのだ。キミはスポーツ選手なのか!?優勝がアナウンスされた後も、先輩女子選手が泣いている横でニコニコしている姿は印象的。まさにサラッと勝ってしまう沙羅ちゃん。努力を感じさせないようなあの笑顔に、いま痺れている。撫子のサッカーに続いて、女子ジャンプの底辺も広がるのではないだろうか。



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これは先日の女子ジャンプでの準優勝



日本の面(おもて)



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目の位置を動かしても問い続けてくる、狂言面「福の神」


少し前あるコンサートの帰りにひょいと立ち寄ったのが「日本の面(おもて)展」。意外や意外、これがじつに面白かった。能楽は世界に誇る伝統文化だが、そこで使われている面100点ほどが展示されていた。どれも能や狂言で使用される面ばかり。じっと見つめていると、こちらを見透かしているような眼差しなので、しばしにらめっこ状態が続く。とくに笑っている面と対峙すると、何かを問いただしているようで、長期戦になるとどうも不利だ。思わず「スマン!」と呟いて、立ち去ることになる。展示されている面は全て愛好家による手づくりの作品ばかり。いろんな創作の世界があるものだ・・・。



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悪には見えないよなあ〜。狂言面「武悪(ぶあく)」


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いいね、能面「若女(わかおんな)」


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これが一番のお気に入りでした。狂言面「乙御前(おとごぜ)」


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コンサート帰りの人たちで盛況だった



記念撮影


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雪祭りが終わった札幌の市街は、心なしかノンビリしていた。時計台や道庁の前では、家族や恋人たちが楽しそうに記念撮影。そこで面白いことに気がついた。オーバーアクションでポーズをとる人たちは、ほとんどが外国人なのだ。たぶん台湾や中国の人たちだろう。写真好きな国民性なのか、思わず笑ってしまうようなポーズをとる。写す方もしきりになにか指示をしている。可笑しくて、ぼんやり見ていた。別に恥ずかしがることもなく、撮り終えるとカメラを覗き込み、笑いあってから消えていった。



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道庁の前に大きな雪だるま。台湾の人は雪が珍しいらしい


写真は自分たちのために残すものだが、時代を経て、いつか子どもや孫たちが見たときには、違う姿を標している。この歌を思い出した。

よそゆきを着せられ
よそゆきの顔して
立っている
写真の裏に 満三歳
父の字が元気



サクラマス


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妹のつれ合いである、ソーちゃんが「来たら食べてもらおうと思って・・・」と自ら釣ったサクラマスをご馳走してくれた。海好きの彼はヨットマンで、仕事の合間に北海道中のヨットレースの大会に参加している。こちらが山なら、彼は海。フィールドが違っても、お互いスポーツが好きだから、話がよく合う。さて肝心なこのサクラマス。今回の旅では、タラバガニ、ツブ、ホタテ、ホッケと美味しいものを沢山いただいたが、最後に登場したサクラマスの刺身は絶品だった。濃厚にして繊細。舌に絡まってくるような甘い触感は、じつに官能的でじんわりと悦びが脳へと広がっていく。あ〜どの酒と合うのだろうと、銘酒の名が頭を過っていく・・・。なんとも北には、まだまだ隠れた味覚が眠っている、たいしたもんだ。このサクラマス、鮮度が良くなければ刺身には出来ないとのことだった。


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釣れたら引きが強いだろうなあ。開高健が見たら、何というだろう・・・


餌台



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そっとカメラを向けても、気づいて飛び立ってしまう



弟が作った鳥の餌台に、妹がいくつかに切り分けたミカンと種子らしき餌をバラバラと蒔いた。聞けば毎朝だという。餌台は、母がソファから観察できるようにベランダの角に設置してある。餌台の作りを見ると、粗野だがなかなか趣きがあって、母と鳥たちへの愛情がこもっている。柱を補強しているのか、アール状の枝が優しい。
餌台のことをすっかり忘れて、ストーブのそばで微睡んでいたら、外が何だか騒がしくなった。カーテンの隙間から観ると、二十羽ほどの雀が喧しく餌を啄んでいる。これは面白い。啄むたびにキョロキョロするもの、一心不乱に啄むもの。どれも個性的だ。しばらくすると一斉に飛び立ち、スッと一匹のヒヨドリがやってきた。こいつはミカンが好きだ。雀たちは、そばの松の枝で大人しく待っている。テレビをぼんやり見ているよりもよほど面白い・・・。カササギ、シジュウカラ、カラスまでやってきた。純粋の田舎育ちなのだろう。カメラを向けると皆飛び立っていく。警戒心が強い。


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これが結構大きい。台を入れると、左右70㎝くらいはある


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スズメ目カラス科のカササギ。一説によると韓国からの貨物船で持ち込まれたという


歌舞伎|江戸の芝居小屋


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サントリー美術館で開催されている「歌舞伎|江戸の芝居小屋」を観てきた。新歌舞伎座のライトアップの試験点灯が昨日から始まったが、この企画展は第五期歌舞伎座新開場を記念したもので、歌舞伎の変遷がじつによく分かる。浮世絵だけでなく舞台衣装や役者絵なども展示されていて賑やかな構成だ。とくに国貞の描く団十朗(五代目、七代目)半四郎(五代目)菊之丞(三代目)など(何とか覚えている)の役者絵なんかは、いかにも本人に似ているようで可笑しくなった。そして舞台風景の絵では、役者の姿よりも桟敷で見ている庶民の振る舞いが様々に描かれていて、賑やかな江戸っ子の様子を伝えている。「あ〜この時代に行ってみた〜い!」と、ワープしたくなること、間違いなし。

*明日から18日まで、ふるさと札幌です。

チーズフォンデュ


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ャ〜ン! マイフォークに好きな具を挿してチーズフォンデュの始まり〜♬


一夜明けても真青な空。今日の最大の楽しみは、森の中でのフォンデュ。直ぐに食べられるようにとフォンデュ最高責任者Tさんが、部屋で野菜の下茹を済ませている。「チーズと白ワイン、フランスパンと赤ワインね」などと、指差し確認しながら外へ。コースはホテルから一時間ほど登る高峰山だ。すっかり慣れたスノーシューを付けて、眩しい雪のなかを進む。動物たちの足跡、風紋、木の実などを見つけては、みんなで雪のなかを自由に歩く楽しさを満喫する。陽がサンサンと注ぐ尾根をしばらく歩くと高峰山頂。目の前に広がるのは小諸市内。その遥か向こうには雪をつけた北アルプス。う〜ん、良い日に来たよなあ〜。小さな社に手を合わせてから下山を開始。途中にチェックを入れておいた場所で、いよいよチーズフォンデュじゃあ〜。


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これは雪ウサギの足跡。枝先の木の芽を食べている


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コメツガの実だろうか〜


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ほら、宿から近いでしょ。高峰山は花の名山に入っています


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北アルプスがはっきり見えます


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これはおまけ。望遠で撮ったら、谷川岳まで見えました


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これに弱い・・・ロビーにあった薪ストーブ



スノーシュー


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バスでちょっこし居眠りをしていたら、標高2000メートルの高峰高原は銀世界だ。雪の上に一歩を標したのは朝10時前。早いねえ〜。山を見上げると、前日の雪だろうか?木々に雪の花が咲いて、じつに美しく、目映い。しかし寒〜!マイナス10度くらいだな。歩くと雪面からキュッキュッと高い音が響く。久しく聞いていなかったから、なんだか懐かしい。リュックを預け、山歩きの準備をしてスノーシューを装着。全員が初体験だ。いいね。「初めて」は、いくつになってもドキドキして楽しい。スノーシューは「西洋かんじき」。足元に力強さを感じて、何だかロボコップになったような気分だ。新雪めがけて歩き始めると、お〜凄い!沈まないではないか!
みんなと相談して、チーズフォンデュは翌日に廻し、まずはスノーシューに慣れようということで、ホテル前に立ちはだかる黒斑山(くろふやま/2404メートル)を目指した。



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靴に雪が入らないようにスパッツを付けてから、スノーシューを装着


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雪に沈むことなく、グングン進める


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樹氷で覆われた黒斑山の山頂が見える


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しばらく進むと浅間山が「イラッシャ〜イ」


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黒斑山の最大の難関「トーミの頭」。谷側に落ちると、サヨ〜ナラ〜


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二時間半で山頂に着きました(^O^)/ 標識も埋まるほどの積雪


アルキミクス


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これが、雪深い森や急坂もグイグイ歩ける「スノーシュー」


「歩く、食べる、見る」のアルキミクスで心身の活性化を!ということで、標高2000メートルの高峰高原の山々をスノーシューで歩き、チーズフォンデュに舌鼓を打ち、ワインを呑みながら遥かなる雪山に思いを馳せる。そんな雪山の旅を楽しんできました。
今回のメンバーは、山系男子四名と歌会の紅一点とのスノーシューコラボ。この時期、予約が難しい宿に、年明け早々連絡を入れるとキャンセルが出たばかりだとか。ラッキーとばかりすぐに予約。当初は歌会の予定だったが、2000メートルの雪山に怖れをなしたか、参加者はひとり。山系男子に助けを求めると、次々に名乗りが上がりすぐに定員に。さてどんな旅になったかは、アシタノココロ。


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一年に数度あるかどうかの快晴と、ガイド氏が言っていた。絶景!浅間山


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佐久平駅から高峰高原ホテルまでバスが直通。ロビーからは
富士山、八ヶ岳、甲斐駒、中央アルプスがクッキリと見えた


パピルス


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これも珍しい。神代植物園の温室のなかでパピルスの花が咲いていた。水辺などで見かけていたが、花は初めて。カヤツリグサ科の多年生植物で、茎の繊維は紙の原料となる。紙を意味する英語の「paper」やフランス語の「papier」などは、この「papyrus」に由来する。


風が強いので、今夕にISSが見られそうです。

◎8日 18:15:14 南 〜 18:18:30 南東 〜 18:20:11 東北東
○10日 18:10:37 西南西 〜 18:13:51 北西 〜 18:16:42 北東



カカオ



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なんである?。カカオである。枝ではなく、幹に。それもまあこんな、しがみつくようなお姿で。大きさは大人の拳くらい。このなかにカカオマメ(cacao beanns)が20〜60個入っている(らしい)。マメというがマメ科の植物ではなくアオイ科。バレンタインデーが近づいたので、カカオマメからチョコを作ってみよう〜、というわけではなく、神代植物園の温室のなかで偶然見つけた。オクラの実の付け方もスゴいが、このカカオも蝉みたいでなんか可笑しい。
そういえばオクラもアオイ科だった。



「帰ってきた寺山修司展」


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二階の展示室に向かう前に、「短歌の森」を思わせるようなこの部屋に入って、その仕掛けに驚いた。いくつも下がる懸垂幕には寺山の代表的な短歌が書き込まれていて、それを朗読しているのは、なんと寺山自身だ。闇のなかから聞こえてくる抑揚のない声には、なにか大切なことを伝えようとする響きがあって、気がつくと朗読の歌を探しながらこの中を彷徨っていた。
この仕掛け、もしかすると寺山自身のアイデアだったのかもしれない。
没後30年を記念したこの展示会には、初出品となる高校時代の貴重な書簡や中学時代の幻の文芸誌「白鳥」など、約500点の資料で構成されている。



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寺山修司展


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寺山修司・・・修司・・・シュウジ。そうだ、太宰の本名も修治、シュウジだったと、やや蒼白に見える十代の寺山青年の写真を見て、その不思議な偶然に気がついた。端正でありながら、ちょっと自信無げな二人の表情を重ねると、ふたりの天才を生んだ青森のやや暗い冬の空を思い浮かべた。
寺山の溢れ出るキラ星のような言葉は、俳句や短歌、戯曲となり様々なジャンルの人たち、そして若者を魅了していく。世田谷文学館で開催されている「寺山修司展」は、中学時代の貴重な文芸誌や高校時代の俳句や書簡を並べて、創作活動の原点ともいうべき青春時代を紹介し、その後の寺山修司の足跡を辿っている。いやはやその点数と言葉からのエネルギー・・・一度熱を冷ましてから、もう一度行こう。


権師匠から久々のISS情報です

◆久々のISS情報・・・やっと夕方パターンになりました。
◎8日 18:15:14 南 〜 18:18:30 南東 〜 18:20:11 東北東
○10日 18:10:37 西南西 〜 18:13:51 北西 〜 18:16:42 北東
以上東京データですが、関西方面は7日から10日の4日連続◎です。
下記JAXAサイトで観測地を選び、ご覧下さい。


立春


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先週末から、春を思わせるような暖かさ。立春の今日は、父の命日、そして娘の誕生日が重なるので毎年不思議な気持ちになる。暦の上ではもう春と言われても、明後日に雪の予報が出ているわけだから、おいそれと喜んではいられない。それでも待ち遠しい春をどこかで見つけては、人は喜ぶ。今朝、こんな短歌を見つけた。

雪かきを終へたる夫は頬を染め雪は重いと言ひつつ燥(はしゃ)ぐ

間違った解釈かもしれないが、雪国育ちの人間が詠むと、この夫婦に春の訪れを楽しんでいる姿を重ねてしまう。人はいつも春が待ち遠しい。
神代植物園の帰り、心にも潤いを忘れずにと娘にプレゼントしたサクラソウ一鉢。しかしいまひとつ感動がなかった。きっと花より団子らしい。


薮椿(ヤブツバキ)



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記憶がゆっくり戻ってきて、とどまった。娘が入学する小学校がここかと見上げた時も、このヤブツバキの花が咲いていた。もう小学生か・・・と感慨深く思った(はずだ)。その娘がもう、就活だという。月日の流れるのはなんとも早い。少子化がこの地域にも押し寄せ、小学校や中学校が統合されて数を減らしているらしい。娘から小・中の両方を無くした子もいると聞いていたので「おい、いつまでもここで咲き続けてくれよ」と願ってしまった、アササン親父の一コマである。