2020年9月

否定形


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娘に「どうする、たべる?」と聞いたら、「大丈夫、ありがとう」の応えがあった。ずいぶん昔のことだが、初めは「ん?」だった。なにが大丈夫で、ありがとうなのか・・・。暫くして「いらない」の上品な断り方だと分かったが、それでもなにか合点がいかなかった。
そして世の中は、こんな言葉がいつの間にか定着していった。

もはや「全然大丈夫」は日常会話のなかで、堂々と用をなしている。全然は否定形だろうと言う人も、もはやいない。

ど〜僕のこと?

「・・・全然好きです」。・・・・・やはりスッキリしない。


リアル歌会


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久しぶりに、これからリアル歌会。皆と顔を会わせるのは半年ぶりだ。「よくぞご無事で」「耐久生活はいかがですか」と時候の挨拶をするのだろうか。
少しでも前へ進まなければ、未来はない、とはいうものの、参加の判断はひとそれぞれ。これから僅かずつでも参加者が増えていけばいいなと思う。

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春の花のような色合いのツルボ(蔓穂)


秋到来


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新宿御苑で見つけた白い萩


朝、抜けるような空の青さを見て、やっとこんな日が来たかと思った。窓を開けると爽やかな空気が流れ込む。ややヒンヤリの空気が美味い。当たり前に当たり前の空気を胸一杯に吸える幸せ。
変わることのない季節の移ろいを感じながら、歳を重ねていきたいものだ。


テレ笑い狂歌会


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山でこんな蔓を見ると、思わず口ずさむ「つたのからまる」。
江戸時代、浮世絵を出版していた名プロデューサー蔦屋重三郎の狂歌名、蔦唐丸(つたのからまる)が頭に浮かぶ。
歌麿・写楽らの浮世絵を世に送りだし、広めた出版人なのだが、狂歌本も手がけ、ヒット作を次々に刊行した。

そして身近にも酒上綾街(さけのうえのあやまち)という粋な狂歌人がいて、「テレ笑い狂歌会」の宗匠を努めている。「テレ笑い狂歌会」とは狂歌のユーモアをネットで楽しもうというお遊びの会で、門下生には落語家、講談師のほか怪しげな人たちが名を連ね、定期的に捻りのある歌を詠んで投稿している。

前回は「前句付」というジャンルだった。
後の句:「行きたくもあり行きたくもなし」の前を詠んでみようというもの。
たとえば

マスクしてフェイスシールド美人ママ・・・
格安の世界一周クルーズは・・・
年老いた初恋に会う同窓会・・・・
あの世には樂しみもなく苦もないが・・・

閉鎖的になりそうなコロナ的状況をユーモアで乗り切ろうじゃないかという遊び。すっかりハマっている。


大岳山(1266m)


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先週の四連休、関東近郊の山々には人がどっと押し寄せた。奥多摩三山の一つ、大岳山(おおだけさん)山頂もランチする場所が確保できないほどの賑わい。二十年前、札幌に帰ると決めた弟と最後に登った山がこの大岳山。御嶽駅からロープウェーを使わず歩きはじめ、御岳山、鍋割山を経由して大岳山に辿り着いた。

ここまで来たら鋸山を経由して奥多摩駅まで行ってみるかとなった。これが大間違い。厭というほどの登り返しが続く鋸山。まさに鋸の刃のごとし、ヘトヘトになって奥多摩駅に着いた日を思いだした。

この日は、ガスがかかり山頂からの景観は望めなかった。山頂付近の山道は暗く、偶然出会ったヤマドリにもなかなかピンが合わず、ガックリ。


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秋を感じさせるシュウカイドウ


秋の花


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シシウドの花を下から見上げた。手前の蕾をよく見ると、お料理のゼリー寄せみたいだ。小さな花がギュッと寄せ集められている。


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ジャスミンのようないい匂いがした。

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ホトトギス


お床の・・・


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息が詰まりそうなほど花をつけたボタンクサギ


信号待ちしていたら目の前に黄色の派手なダンプが止まった。解体専門のダンプらしい。好きなことが勘亭流で書かれている。面白いので一つひとつ眺めていたら、後部の一行に笑った。

お床のなかの男

なんだこれ?(^^; よく見ると「なか」の右横に元気なイラストまである。いやはや・・・どれだけの人を笑わせたことだろう。


免疫


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免疫学者の多田富雄さんが「免疫の意味論」という本の中で、面白いことを書かれている。「免疫」というシステムは、単に体の中に侵入してくる異物を拒絶し、排除する自衛的なはたらきをしているだけではない。異物と共存する作用も持ち合わせている。

免疫の中には<寛容>というはたらきがあって、自己の中に非自己を共存させていく側面をもっているという。つまり<自己とは何か>というものを決定するのが免疫の大きなはたらきだと言う。

そんな免疫システムが、我が体内にあるのかどうか・・・好き嫌いが少ないと自負している大家は、店子にも寛容であってほしいと願っている。


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烏瓜の蔓は自分より硬いものを見つけると巻きはじめる


秋風索漠


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赤い「氷」の字が涼しさを呼ぶのが不思議


ようやく朝晩が涼しくなってきた。蝉の声に変わり、夕方になると虫の声が聞こえてくる。辛くて長かった夏の日々を思う。七月の長雨が終わったら、八月は厳しい猛暑。日本列島が毎日のように赤く染まっていた。

なんとか乗り越えて、ようやく心が落ちついてきた。



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鳩に似ているけれど、違う鳥かなと思った。揺れる枝に止まって、花?を啄んでいる。道や公園で餌を探すふだんの姿ではない。眺めていると、鳩の昔は、こうだったのではないかと思えたきた。


アツクナレバ


こんな記事を見つけた

台風10号 勢力弱まった要因 先行台風が海水温低下させた影響か 

台風10号は一時、鹿児島県に接近する段階の中心気圧が930ヘクトパスカルと、特別警報級に発達すると見込まれましたが、東シナ海を通過する過程で発達が止まり、その後、勢力を弱めました。
この要因について専門家は、先行して東シナ海を通過した台風8号と9号が、周辺の海水温を下げたことが影響したと分析しています。

一般的に台風は、海水温の高いところを通過するとエネルギー源となる水蒸気が供給されるため勢力が強くなるということですが、台風が通過すると海水をかき混ぜるため、深いところの冷たい海水が持ち上げられ海水温が下がります。

これを読んで、思わずヒザを叩いた。
読みが当たった・・・


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ちょうど二年前に環境ポスター展に出品した作品がこれ。地球だって人間と同じなのではないか。そう思って、このキャッチフレーズに行きついた。
生命の星、地球は、自浄能力を持っているのだ。


変さ値(へんさち)


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ブログを長く続けていると、よく不思議なことや発見に出会う。我がアンテナに神様が協力をしてくれるのか、もともと変なことに出会いやすい体質なのか、分からない。

先日、ある本を読んでいたら「変さ値」なる言葉に出会った。これは変な人の変具合を数値化したものではなく、変なことによく出会う人の変の値だという。

今日は「変さ値」が高かった〜。駐車場の前の家の、あれはアオギリという木かな。根元をよく見ると鉢から伸びているんだ。苗木を植えてそのままにしていたら、どうやら鉢の底を破って根を地下に延ばしたらしい。

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沸沈


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新型コロナウィルス(COVID-19)のワクチンの臨床試験が中止になったという。イギリスの製薬メーカーの臨床試験を受けていた参加者に有害事象が確認された。ほら、やぱりね。
人の命を救うはずのワクチンが、いまや大国の経済武器になろうとしている。そんなことを予感して、GWにこんな歌をつくっていた。

SARSやMERSのワクチンだって開発することができなかった。抗体ができにくい、できても消えていくという今回のCOVID-19の特長を考えれば、わずかな期間でできるのだろうかと訝っていた。

開発競争に参加している大国、大手製薬会社、そして買い付けに走る先進国。自国最優先という獲得合戦のエゴイズムが露呈している。これはまさにワクチンナショナリズム。

ワクチンができるまで、きっと時間がかかるはず。それまでに感染して、自身で新たな抗体をつくる人がどんどん出てくるかもしれない。


御法度


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お犬さま御一行とすれ違う。みんな仲良しだ。こうしたグループの場合、犬が主人で、飼主は従人となる。ゆえに話題は主人中心となり、けっしてお一人暮らしですか、とか、主人に留守番を任せて一杯やりませんか、などと、従人同士の話題は御法度なんだろうなあ〜と、すれ違うのだった。


神田川


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アササンのコースに、この碑が立っていたのを知らなかった。「神田川」。昭和の名曲の一つだ。いまの若い人にこの切なく哀しい歌詞のイメージは伝わるだろうか。

一緒に出ようと約束したら、待たされるのは男ではないのか?と思うのだが、待っているのは女。待たせてはいけないという女心か。赤い手拭をマフラーに、そして石鹸がカタカタ鳴る、なんとも昭和の貧しかった時代を歌っている。

この碑の近くには、たしか銭湯があった。友人Sが古びたアパートの二階に住んでいて、その銭湯に一緒に行ったことを思いだした。

若かったあの頃、恥ずかしいことや間違いばかりを繰り返して生きていた。そんなことを想起させる歌詞が刻まれていた。


半田素麵


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去年からハマっている麺の一つに半田素麵がある。徳島県のつるぎ町の半田地区に伝わる素麵だ。冷麦と同じくらいの太さで、讃岐うどんのような腰の強さが特長だ。

近所に素麵専門店が出来たと聞いて、直ぐに食べに行ったのがもう十年前。すっかりご無沙汰していたら、そこの女将が様々な素麵レシピをテレビで紹介していた。スダチのスライスが丼一杯に乗った、スダチ素麵もその一品。

暑い日、冷えた出汁、素麵、スダチ、この三つを口に含んで避暑地をつくれば、四万十の風が吹き渡る。


スーパーベスト


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来るなら来てみろ〜


桁違いの台風が日本に近づいている。各テレビ局の気象予報士がその凄さを伝えようと、様々な言葉を使っていた。

・過去最強クラス
・スーパーベストな避難
・最大級の警戒
・極めて異例な規模
・稀にみる危険な台風
・特別警報急の勢力
・甚大な被害が予想される

このなかで響いてきたのが、「スーパーベストな避難」という言葉だった。普段はバカにするような言葉なのに、不思議なインパクトがある。スーパーベスト、このダブりなんだかおかしい。

九州の人たちは、固唾をのんで台風の進路に注視していることだろう。これ以上の被害を日本に起こさないでくれいと願っている。


紫さん


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紫のクサコならリンドウだろうか



早いなあ、もう四年も経ったんだ。四年前の今日、五行歌の友人、紫草子さんが亡くなられた。いつも明るく元気な人で、圧倒されっぱなしだった。二人して漫才をして遊んだこともあった。

「私も山に連れてってよ〜」
「いいよ、リュックに入れて連れていく」
「どこの山へ行くの〜?」
「姥捨て山〜!」

 チャンチャン。

ご自分の名前、草子を「くさこ」と言っていたのを思いだす。有言実行と言うのだろうか。クサコは九三子。九月三日を命日にしてしまった。これなら誰も忘れることはできない。なら九月三日を「むらさ忌」としようか。
そちらでも歌を楽しんでますか。


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漫才の練習をしたり〜♬


清掃


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集められた枯れ葉が、道の際に点々と美しい


アササンをしていると、枯れ葉を掃き集めている人がいた。皆が歩く頃、すっかり歩道がきれいになっているのは、こうした方たちの日々の清掃の賜物だ。作業の男性に、感謝していますの黙礼をして通り過ぎた。


としまえん


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今朝、豊島園が94年の歴史に幕を下ろしたという記事を読みながら、娘を連れて正しいお父さんをしていた時代があったなあと、懐かしんだ。

ある川柳を読んで、この広告を思いだした。35年前、この広告を見た時に、やられた!というか、これだ!と思った。世の中の広告クリエーターが、表面的なかっこよさや美しさを追いかけていた時代だった。売れようが売れまいが、かっこ良くて、オシャレな広告ばかりをつくっていた。それを笑うかのように、この広告は、ガツンと登場した。

背景にあるのは「ビール冷えてます」。この広告を見たら、おとっつぁんは子どもを連れて、プールへ行きたくなるだろう。何度も眺めて、ため息をついた。
「上手い」。

こんなユーモアで潜在意識を喚起させ、共感を呼び起こす広告をつくろうと決めた(ような気がする)。広告が、まだまだ楽しい時代だった。

この広告を想起させた川柳がこれ ↓

惜しまれて 総理ではなく としまえん

そして怪しい総裁選には、このコピーで広告を。

国民 冷えてます