2022年5月

サギ


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深夜、FBに映しだされた広告のコピーに心が動いた。

コロナウイルスの影響により、弊社のキャッシュフローが悪化し、実店舗での運営を維持できなくなり,全店舗閉店となりました。ただし、倉庫にまだロレックス腕時計300個ほど在庫があるため、ネットで在庫一掃激安セールを実施します。在庫無くなり次第終了しますので、どうぞ、お見逃しなく!

そうなんだ・・・・と、時計の写真をクリックすると、こんな画面が現れた。

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なんと、一千万円のお値引き!


えっ、48時間だけのセールとある。デパート、ROLEXの文字に惹かれ、気がついたら時計を選んでいた。とりあえずこれを一つ買ってみようかな・・・。

でも、一応、配送などをチェックしておこうかと、「私たちに関しては」を読んでいくと、日本語が変!?かもと、気づいて、これはサギだと分かる。

思えば、在庫一掃とはいえ、デパートが99%も割引くわけがない。ROLEXのロゴに惹かれ、危うくカードを引き出していたかもしれない。

FBには、まだこの画面が出ている。どれだけの人が騙されているのだろう。それにしても、この写真を選んだ犯人のサギレベルは高い。

恋は、雷のようなもの


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観客、わずか8名。ドキュメント映画「瀬戸内寂聴 99年を生きて思うこと」の観客数を数えていたら、いつのまにか映画が始まっていた。

日曜日。気温が30度を超えている、どう過ごそうか?。こんな日は、山ではなくて、涼しい映画館か・・・。とマークしていた映画を観ることにした。寂聴さんの新聞のエッセイを読んでいたこと、そして恋仲だった男のこと、その男の娘・井上荒野の小説「あちらにる鬼」を読んでいたこともあり、〆はこの映画だろうと選んだ。

すでに観ていたテレビのドキュメンタリーの映像を使いながらも、いくつかのフィードバックを繰り返すことで、重厚にまとめられていた。心を寄せた人(ディレクター/監督)に見せる姿が愛らしく、作家の本音を上手く引き出すその人の語りの技量は、なかなかのモノと感心した。

「恋は、雷のように落ちて来るのだから、打たれるしかないの」。これは名言だと思う。救われた人はどれほどいたことだろう(笑)。

そんなことを思いながら、少し涼しくなった西新宿のビル街を抜け、我が家までの道を歩いていた。

私の前を・・・


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通り過ぎていった花たち。ではない。私が通り過ぎていったのだ。というわけで、紹介できなかった花たち。

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春好きな花の一つ、山のミツバツツジ

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テンナンショウ、別名マムシグサ

匂う


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この二つの花を植えているお宅がある。テイカカズラとニオイバンマツリ。足を緩めて匂いを嗅ぐ。競うかのように、どちらも強い香りを放っている。
どんな人が住んでいるのだろう。

紫陽花


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歌を詠みたくなる


紫陽花は、雨に似つかわしい花だと思う。この季節を選んだのは、水をたくさん必要とするからだろうか。

上京した年、この時期の雨に音を上げた。北海道では一番良い季節なのに、連日の雨、そしてジットリとした湿度に体調を崩しかけた。まるで外国人だなオレはと、うな垂れた。

ところが、慣れてくると不思議なもので、このウェットな感じ、悪くないと思っている。透明傘に流れていく雨と紫陽花の組み合わせ、なんとも好い。

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?ジョオン


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写真を撮っていると、知らない人にも聞かれる。
「この花は、どっちですか?」

よく分からないので、春に咲くのがハルジョオン。夏以降に咲くのがヒメジョオンと、勝手に決めています。

これを教えてくれたのは、亡くなった友人のSだった。見分けがつかないのだから、それでいいのだよと。

この花を見つけると、ふとSを思い出してしまう。

アサギマダラ、リンドウ、ヒメジョオンと人に繋がっていることに気がついた。


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先週末で終わったMさんの個展、曲線のオブジェは楽しげだ


パラソル


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今日のランチはオニギリにしようと、四谷アトレのエスカレータを上がっていくと、色とりどりのパラソルがお出迎え。お〜、粋なことをするじゃんと、嬉しくなった。

パラソルを使ったこんな表現を時々見かけるけど、梅雨の鬱陶しさを逆手にとって、華やかさも生まれて、とても良いアイデア!

誤送信


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もうすぐ黄金色になるはずのコバンソウ

我が家のFAXが鳴った。ゴゴゴゴッと音がして、一枚の送信表に「ご送金いたしました」とある。ナニナニナニ!と色めき立った。文面を読むと、ある区役所の送信ミスと分かった。

内容は、とある保育園が区に申請をしていた案件に対し、区が振込みをしたという通知だった。「こんなふうに山口県のある町では、オッチョコな担当者が、誤送金したのだな」と独りごち。

それにしてもあの男、オンラインのカジノで勝てるとでも、思っていたのだろうか。海外ならまだしも、こんなおかしな事件が日本でもあるのかと、いささか驚いた。

じつは、どこかに隠しているのではと睨んでいる。警察のこれからの調査に期待をしているのだが・・・さて。


コゴメウツギ


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植物に詳しいHさんが「これはコゴメウツギです」という。たしかに「小米」だ。写真にとっても、その大きさが分からないので、手を差し伸べた。

これより少し大きい種類が、ヒメウツギ。五月の山には、いくつものウツギが見られる。マルバウツギ、ハコネウツギ、タニウツギなど、どんよりした空にしっくりとくる雨の花だ。


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虫たちの活動も始まった

寄り道


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ナンジャモンジャノキ


八王子城に向う途中、鬱蒼とした緑の庭をもつ一軒の家があったので、玄関から恐る恐る声をかけた。

「素敵なお庭なので、少し拝見させてください」

「どうぞどうぞ〜」

素敵な庭は、見てもらいたい庭でもあるはずだから、ダメですという人は、まずいない。「失礼します」と奥に入ってゆくと、手造りのピザ釜と東屋があって、その回りを様々な低木が囲んでいる。

「主人が造園の仕事をしているので、全てが手造りなんです」

テイカカズラ、エゴノキ、ウツギ、ナンジャモンジャノキ、テッセンと初夏の花が満開だ。さらに二カ所ほどに湧き水!?があって、水琴窟、メダカの泳ぐ池と、子どもになってしまいそうな仕掛けが施されている。

「あ〜こんな暮らしがしたい」とメンバーのFさんがポツリ。季節の移ろいとともにある暮らしは、心穏やかなことだろう。山登りを忘れて、しばしお話を聞いていた・・・。

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玄関には、可愛い鬼が対になって迎えてくれる。ググると「庭カフェ〜作庭家 林好治の世界」が出てきた。これはもう、素敵なご夫婦に違いない。

美し郷
http://www.hayashiteien.co.jp/umashisato/index.html


八王子城址


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ハコネウツギは・・・

鎌倉山の翌日は、裏高尾の八王子城址を訪ねる。さすが山城、これでもかというくらい、城址は遠かった。登り終えても天守閣はさらに奥、よくぞここを落城させたものだと感心する。

途中から関東平野が一望できる箇所があった。駿河湾、横浜、六本木、スカイツリー、筑波山、さらに男体山までが眺望できるとなると、ここに城を建てたくなる思いは分かるような気がした。

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紅く色を変えてしまう

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卯木の季節、これはマルバウツギ

鎌倉山


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西側には雲海から丹沢山系が顔を出していた


先週末、そろそろ会おうよとなって、家人と鎌倉山に住む女友達を訪ねる。20年ぶりの再会だ。ドアツードアでちょうど2時間。鎌倉山のバス停で下りると、小犬を抱えて待っていた。大きな池のある公園を抜け、山頂近くのマンションにおじゃまする。リビングに入ると広い窓からドーンと小高い山が見えた。

ベランダからこんな豊かな緑の景色が見えるというのは、初体験だった。山の向こうに江ノ島、富士山、丹沢が見える。眺望にうっとりしてしまい、20年ぶりの会話はすぐに始まらなかった。

「素晴らしいところに移って来たんだねえ〜」と、話が始まった。出逢ってから40年。その半分は、手紙や電話のやりとりだった。共通の友人たちのその後、家族のこと、日々の暮らしなどを語り合っていたら、あっという間に4時間が経った。20年も4時間もあったという間だ。

噂に聞いていた鎌倉山は、リゾート地のような別世界だった。軽いカルチャーショックを抱えながら、帰りの車中でググると、200メートルくらいかなと思っていた鎌倉山は、なんと標高520メートル。高尾山より上だった〜!

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真ん前が江ノ島、そして富士山〜、我が家と比較してしまう

ウスバシロチョウ


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風に乗るように優雅に飛んでいる白い蝶、もしやと思って近づく。止まった瞬間に、この一枚だけを撮った。フサフサの体毛から、そして翅のスジ模様からして、間違いなくウスバシロチョウ。珍しい蝶である。

150万年前の氷河期を生き残って、今日まで至ったという証の密生した体毛。極寒の世界を生き延びてきた変わらぬその姿に、愛おしさを感じた。


GW(4)シャクトリムシ


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シャクトリムシの歩行はユニークだ。6本の足は全て前にある。後ろは、足のような吸盤で、これを上手く使って前進する。危なかしくって、見ていて飽きない。

時おり、後ろの吸盤を支えにして立ち上がり、風の匂いを嗅いでいるかのようにキョロキョロとした動きをする。目は見えているのか!?

そんな動きをするものだから、多くが鳥の餌になってしまう。うまく蛹になると、シャクガという蛾なる。

シャクトリムシの名は、等間隔で歩くことから「尺を取る」ので、この名前が付いたとあるが、距離からすれば、尺ではなく「スン(寸)トリムシ」では(^^♪


GW(3)カーテンを洗う


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三日目からは、我が家の人になる。全てのカーテンを取り外して洗い、干す。これだけで三日もかかる。部屋が広いのではなく、ベランダが狭いのだ。干し上がるまでの時間は、資料や書籍のかたずけ、そして散歩と読書。散歩に出ればお気に入りの和菓子店で、豆餅とミタラシ団子を買ってくる。

新しい散歩コースで見つけた和菓子店。一口食べて、眠っていた「豆餅命(いのち)」が目を覚ました。遂に発見〜!!家人が呆れるほど、ごそっと買って、しみじみと食べる。塩味がほんのり効いて、しっかりとやや固めの黒豆は、その存在を主張してくる。

枝豆、黒豆、鞍掛豆(くらかけまめ)・・・いま、お気に入りの「みつ豆」だ。

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つい買い過ぎてしまう


GW(2)ウォーキング


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幹廻り約6メートル、樹齢は推定で400年の松本楼の大銀杏


二日目は、恒例となった日比谷公園までのウォーキング。今年で4年目。我が家から車の少ない新宿通りをひたすら半蔵門に向って歩く。半蔵門に突き当たったら右折して、お堀沿いを国立劇場、最高裁判所、国会議事堂を横目に見ながら桜田門へと下りてゆく。

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伸びてしまったワラビを拡大すると


お堀サイドには、ワラビがわんさかと伸びている。もう十年以上も前、家人と「勿体ないこと〜」と言いながら摘んでいると、警官がやって来て「もしもし、いけませんよ」と注意された。どうやら見えない監視カメラがどこかで睨んでいたのだった。

そんなこともあって、毎度おなじみの愚痴をこぼしながら、ワラビは「撮る」だけにして「勿体ない」を収める。

お堀を見ると、冬鳥の多くが飛び去り、いるのは、オオバンとカワウの数羽だけだ。

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ようやく日比谷公園の松本楼に到着。指定席は、大銀杏の前と決めている。カラッカラに喉が渇いていたので、生ビールとステーキ一枚が乗ったダイナミックサラダを注文。ヒンヤリの木蔭で、至福の時間。

遠くの喧噪を聞きながら、柔らかい光をうけていると、リゾート地にいるのではという錯覚に陥る・・・。

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GW(1)生藤山


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ツツジと木漏れ日の山道

皆さんのGWは、どんなだったのだろう。まずまずの天気に恵まれ、久しぶりの遠出を楽しまれた方も多かったようだ。こちらは、恒例の安近短コースでゆったりの時間を楽しんだ。


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時おり、山桜の花びらが舞ってくる

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フカフカの尾根道

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さらにフカフカの森の道

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前半の一日目は、990mの生藤山(神奈川県)へ山仲間3人と登山。深緑から新緑のグラデーションに揺れる山道を約二時間半かけて無事に登頂。楽しみにしていた富士山の眺望は、すっかり緑に覆われてしまった木々が邪魔をしてかなわず。

それでも久しぶりに登った千メートル峰の達成感を味わった。五月の風と優しい陽光をうけてのおにぎりの味は、至福の時間。一年の美味しいところを摘んでいるような幸福感に充たされた。

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バス停のある里山へ下りると、谷間を埋めるように鯉のぼりが泳いでいた。かつては、ここにも多くの子どもたちがいたのだ。泳がせる人も眺めている人も、今は年寄りばかり。山間の鯉たちは、たまには帰ってコイ〜と泳いでた。

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お庭御免


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お土産の栗のマロンパイ


長野の二日目、小布施に立ち寄った。友人のSに、「栗の木テラス」のモンブランを食べたいとお願いをしていた。店内が混みあっていたので、テイクアウトをして裏の小道に入ると、以前テレビで放映されていたコーヒーを焙煎して飲ませてくれる店を見つけた。

蔵を改装した趣きのある店構え。中に入って注文してから「以前、テレビで拝見したお店だと思うのですが・・・」と訊ねると「三年前のNHKの『小さな旅』で紹介していただきました」と云う。

「お嬢さんは、お元気ですか。お友達と小道を走っていましたね」と記憶を辿って話すと

「よく覚えていらっしゃいますね」と感心された。大切なことをよく忘れるが、小さな感動は、どこかに仕舞われているらしく、ふとした時に思い出す。

小布施には、「お庭御免」という文化があって、どこの家の庭も平気で通り抜けができる。花を愛で、ゆっくり散歩ができる。この日は、裏のベンチでコーヒーとモンブランの時間だけで終わったが、季節の良い時にまた訪れ、お庭御免を楽しんでみたいと思った。