2023年3月

在りし日


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あちこちで建物が壊され、新しいビルやマンションが建つ。ここにあったビルの一室を約20年、借りていた。日増しに外側のフェンスが、少しずつ低くなる。たいした音も立てずに、建物はコンクリートの塊となって外に運びだされていく。

信号待ちのわずかの間に、8階のベランダから眺めた、富士山、神宮外苑の花火、そして夕焼けを思い出した。新しい建物ができると、この記憶も薄らいでいくのだろうか。

芽吹き


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雨が木々を光らせていた。ケヤキは、桜の開花を確認してから芽吹きはじめるのか、新緑は、またたく間に黒い幹を隠していく。

多くの木々が、いまほんのりと赤い。芽吹きのサインだ。命の逞しいこと、忙しいこと。


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紅葉の芽吹き

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ウメ〜こと、いきますように


出てきたこの番号札を眺めながら・・・5が3つ、単純に喜んでみる。そして「生きているんだから、日々を楽しまなくっちゃ」、そんな言葉も思い出した。

「この番号札、貰っていいでしょうか」。郵便局の窓口でお願いすると、「まあ珍しい〜」と一緒に喜んでくれた。こんなことで幸せになれるんだな、と思った一日のスタートだった。


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人も桜もお天気に振り回されて

花のとき(2)


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週末に雨、を繰り返している。ならばそれもよかろうと、雨の桜を眺めてみようと、久しぶりに千鳥が淵を歩く。降ったり止んだりのなか、ポーズをとっている人たちの多くは外国人。日本の桜はすっかり有名になった。

カメラを忘れていることに気がつき、仕方なく写りのよくないスマホを取りだす。曇天の桜も悪くない。ピンクとグレーの色相の組み合わせは、穏やかなイメージ。そこにそぼ降る雨だから、しっとりした気持ちになる。

雨の重みも加わったのか、池に流れ込むような桜の幹に足が止まった。「桜は水の輝きに吸い寄せられるんです」と云っていたのは、いつしかのバスガイドさん。

週末にかけて、散る桜、花筏が見られるのだろうか。


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花のとき


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ヒヨドリの羽が美しい。日本画の彩色を見ているかのような浮き立つような滲み。その流れは嘴から頭、そして首筋へと流れている。

眼はたしかに蕊を見つめ、生命の息づく一瞬となった。


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サクラサク


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ドラマのような2日間、WBCをたっぷりと堪能した。君が嬉しい、僕が嬉しい、皆が嬉しい、こんなシーンを観てしまったら、3年後、大谷のいないWBCはありえないと思ってしまう。

この瞬間のために、お天気も今日一日雨を降らせず、満開へと導いたのではないか、と桜を眺めてきた。日本の勝利を見届けてから、我が家を出てきたのか、意外にたくさんの人の笑顔。まさにサクラサクだ。

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いつものように神田川から写真を撮る人たち


ドラマの終わりには、名文句が必要だ。敗者の弁がよかった。アメリカの監督は「違う結末を期待していた。今日は野球界とファンの勝利。大谷はどのような状況でも動じない」。

子供のように野球を楽しみ、そして成し遂げる。スーパースター大谷翔平のいたWBC劇場が幕を下ろした。

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喜ぶ日本チームを見つめるトラウトの横顔が心に残った


墨絵


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早朝、桜並木を襖絵にしてしまう

早起きは三文の徳。小学校が廃校となり新たな施設が出来るまでのわずかの間、朝日はこのフェンスを使って墨絵を描いてくれる。それも毎朝、少しずつ手を加え、来週には満開にしてくれるだろう。

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この一本、毎年、最初に花を多くつける

サクラサク?


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サクラが10日も早く咲き、ハクチョウは一週間も早く北国へと飛び立った。

私たちの
絆も
永久凍土も
永遠では
なかったのね  (モーソー劇場から)

さてどうなるのだろう・・・が、もう一つ。
こちらは、希望がもてる。

WBC、昨日、イタリアに勝利した日本選手たちはそのまま羽田に向い、先ほどマイアミに着いたようだ。21日の準決勝に勝利すれば、決勝は22日だ。
果たして「サクラサク!満開に!」となるか!?

ユキヤナギ


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温かな日、小山のようなユキヤナギが、前衛舞踊家の舞いのようにゆったりと揺れていた。じっと観ていると、妖しいお誘いを受けているような錯覚に陥った。この花を見ていると、その日のことを思い出す。

合唱


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五行歌の友人Uさんの合唱コンサートをKさんと聴いてきた。ステージには立派なパイプオルガンがあった。年末に聴いた池袋の芸術劇場のパイプルオルガンには叶わないが、十分に立派である。

あまり人に話してはいないが、中学校時代、合唱のメンバーだった。音楽の先生からテノールが足りないからメンバーに加わってほしいと頼まれ、中文連のコンクールが終わるまでのわずかの間、音楽室に通っていた。

そんなことを思い出しながら、男女18人による美しい合唱に耳を傾けていると、春うらら、♬たちが、集い、離れ、絡まりと追いかけごっこをしているようで、うっとりとする。
皆さんのドレッシーな装いと立ち姿の美しさ、とても若々しく見えた。

待てない桜


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温暖化の上昇曲線から開花日が滑り落ちているかのように、もう桜が咲いた。咲いてしまった。平年よりも10日も早いと云う。

桜といえば、かつて入学式の演出を担当していたはず、それが卒業式となり、そのうち梅に代わってひな祭りに主役になるのかもしれない。

開花が早まれば、散るのも早まり、新緑も梅雨入りも前倒しとなって、容赦ない熱い夏が早く始まる!? ( >_< ) 

WBC


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春爛漫

白いドームにも花が咲いたよ

翔平、ホームラン放てば

コブシ

二つ回して


スリム


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冷蔵庫を開くと、ヨーグルトが入っていた。手にすると、違和感をある。どっしり感がない。こんなにスリムだったか。容器を眺めるとフタだけが大きい。

「なんか変だね、これ」。家人に訊くと、以前は500gあったという。それが450gになって、今はこの400g、ただし値段は変わっていないそうだ。

食料品の値上がりが続いている。メーカーも大変なのだろう。ヨーグルトは、値段を据え置き、総量を減らす戦略をとったのだ。それにしても、帽子にだけ、かつての面影を残し・・・すこし哀しくなった。

GS


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友人Sからこの本「グループサウンズ」を薦められた。我が青春時代を揺さぶったグループサウンズ「GS」。わずか5年、駆け抜けていったあの音楽は何だったのだろう。これは読まないわけにはいかないと、すぐに購入した。

話は飛ぶ。ご近所のクリーニング店のオヤジが、なんと元GS、ダイナマイツのギターリストだった、という話を家人から聞いたので、「知っているよ」と答えた。
すると、店のおかみさんは驚いたらしい。「有名なグループではなかったから、知っている人は珍しい」と。
まさにその通りで、彼らは「トンネル天国」という曲を一度ヒットさせて消えていったのだ。

GSは、大手のプロダクションによってつくられた音楽グループで、ジュリーやショーケンといったアイドルが一世を風靡した。全盛期には100ものグループがあったという。

我々の世代は、エレキギターのイントロで、その曲とグループが分かる(はずだ)。
GSの話をすると、終わりがない・・・。

チビチビ飲みながら、フムフムとニヤつきながら読んでいくと、あの頃のもどかしくも真っすぐだったシーンが蘇ってくる。

雪山


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北の山々もゆっくり春に向かっているのだろうか。友人から届いた北海道旭岳、山頂付近の一枚だ。青と白だけの世界。心が吸い込まれていく。

所々に雪煙が起きている。いや、南側の山肌を登ってきた雲かもしれない。拡大すると、小さく小屋と山頂を目指す人影も見える。

地図を取り出す。そうか、ロープウェイで上がって、石室を経由し、地獄谷を左に見下ろしながら、稜線を辿って山頂に向ったんだ。アイゼン装着の靴から、ピッケルから、雪の引き締まった音が聞こえてくる。

山頂からは黒岳、十勝岳、富良野岳、そして未踏のトムラウシまで、360度の眺望が広がっていたに違いない。肌を刺す風も最高のプレゼントだ。
雪山が、私を呼ぶ。

香り


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来週の今日から(13日)、マスクの着用は、個人の判断でということを政府が決めたそうだ。御上が決めたということで、堂々とノーマスクで歩けるのだが、どれくらいの人が外すのだろう。

いよいよ開花が始まった。沈丁花の香りは強い。マスクの細やかな繊維を抜けて、その甘い香りを運んでくる。

香りを嗅いでふと思った。なぜだろう・・・

香りを嗅ぐとき、目を瞑るのに
香りを聴くとき、目を開けている


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蕊がスッと伸びて、やや青みがかかった梅を見つけた。桜に喩えるなら、オオシマザクラの雰囲気。香りも清々しく、枝に数輪だけというのも好ましい。

若い頃は、梅になんか全く関心を持たなかったが、微かな香りを放つ清楚な一輪を見るにつけ、この花の楽しみ、嗜みが分かるようになった。

小さな、わずかな、静かな声を感じるゆとりをもちたい。


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大岳山(1266m)


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先日、東京の一番高い山、大岳山を登った。過去二回登っているのだが、気楽な気持ちで向うと、けっこうズシリと堪える。とくに御岳山奥の院、鍋割山を経由するコースを選ぶと、山を二つ登ったような気持ちになって、ついため息の一つが〜。

ベテランと元自衛隊員という強力なメンバー構成で、最後尾を追いていくのが一杯だった。若い頃のスピードではもう登れない。

冬の眺望は、楽しみの一つ。はるか遠くにスカイツリーを捉えることが出来た。見える山並みの一つひとつを教えてもらうと、その大半はすでに登っている山。こんなに沢山良く登ったものだと、感心してしまう。

夢中になっていたその頃を懐かしく思った。


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