2023年2月

二月尽


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二月というのは、存在感が薄い。おめでたい正月と桜の三月に挟まれて、寒いからさっさと出ていけと言われているような肩身の狭い月。喩えれば、幸せな長男カップルに居候している厄介者の弟といった感じか。

というわけで、二月が終わる。ロウバイ、福寿草、ミモザ、マンサク、レンギョウ、菜の花と黄色い花たちが咲き始めると、春待つ心が浮き立ってくる。

古地図


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事務所の近くに新宿歴史博物館があって、「戦前の新宿」という企画展がいま開かれている。仕事場を新宿に移してから40年という時間が経ち、周辺も随分様変わりをした。

古い町名の多くは消えていったが、古地図には全て載っている。例えば「角筈(つのはず)」「十二社(じゅうにそう)」。

バス停で置き去りにされた少年が、かつで角筈と呼ばれた街で、酒に酔い、幻の父親を見る.浅田次郎の「角筈にて」は、泣けてしまう小説だった。

角筈は、江戸時代以前からある地名で、現在の西新宿や歌舞伎町、新宿三丁目。由来は、名主の髪の束ね方が角のような形で里人が「角髪来る」と呼んだからだそうだ。

また十二社は、新宿中央公園の西側で、現在、西新宿となっている。紀州熊野神社を勧請した熊野神社が、紀州熊野の12の社の神々を一緒にまつったことが起源。神社は十二社の社を「そう」と読ませ、相、双など多くの文字をあてたという説がある。

その他にも、美しい呼び名の町名がいくつも消えていったのが分かる。名前とともに失った大切なものがいくつもあるのではないかと、地図と写真に見入って思った。


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AI


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古い毛や 刈らずに飛び出す 床屋さん「歩き眼AI作」


AIのことはよく知らないのだが、面白い記事に引き込まれた。なんでもAIとタッグを組んで創作した作品が、ある文学賞の優秀賞になったという。作者が正直にそう語るので、どこまでが作者の才能なのか、分からないのではないか?と心配する。今後こうしたことが、選考会で論議されていくのではないか。

音楽や絵画の世界などでは、オペレーションの技術と芸術的なセンスで、すでにいくつもの作品が発表されているようだし、映像の世界ではまるで本物のように映しだされている。

こうしたAIの利便性を危惧したその作者が「何でもいいから、楽をしたい。それは創作活動に対する心構えの欠如だ」とネットで公開していたそうだが、じつはその文案もAIの力を借りて書いたそうだ。
笑ってしまうというか、怖くなるようなお話。


ニャンと


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この寒さのなか、もう綻びそうだ


今日は「2/22」で猫の日。猫ではないが、どこかに陽だまりはないかと探したくなるような寒さが続く。年を重ねるたびに、寒さが堪えるようになったが、そんな冬が好きという人もいて、この鴨たちとかわらないニャン。


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鴨たちが浮く、はるか向こうの岸に

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アオサギを発見

記憶


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カメとカモ、アッチ向いてホイ!清洲庭園にて


カメラが見つからない。さて・・・どこかで忘れたか? と、最後に撮った記憶を辿る。土曜日、清澄・深川を散策して、沢山シャッターを切った。

二次会の席ではカメラを出していないはずだから、芭蕉記念館か。たしか芭蕉のスタンプが美しく上がったので、それを撮ったのが最後だったはず。

電話を入れると、「ガラスケースの上に置かれていました」と優しい女性の声が返ってきた。良かった〜、これでまず、家人から厭味をいわれなくて済む。胸を撫で下ろす。旅先で何度も忘れて、その度に小言を言われていたのだ(すべて却ってきたが)。

危機迫ると、人間の記憶力は一段とバージョンアップするようだ。


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職人の遊び心かな、どなたでしょう?

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雪吊りは今年、少し役に立ったかな

施肥



おっ、準備が始まっている。年々開花が早くなっている桜、東京の開花予想は3月20日で、満開は25日辺り。入学式の頃は、もう散り始めているのかも。


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昼日中


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寒梅や山里の湯に昼日中。

そんな句を読んで、フフンと思った。昼日中といえば、まっぴるま。「昼日中から・・・」。正しい行ないには使われないはず(たぶん)。

ところが、この昼日中のもつ「後ろめたさ」「申し訳なさ」「罪悪感」を押しやってしまうというのは、実に心地がいい。

椎名誠の古いエッセイで「全国のおとっつぁん、暑い中、お仕事ご苦労様です」と、四万十川のせせらぎにデイレクターチェアを出して座り、ビーチサンダルの足を解放して、缶ビール片手に好きな本を読むという、夏の至極の幸せを独り占めにしている様子を、綴っていたのを思い出した。

梅の香りを嗅ぎながらの露天風呂、これくらいなら、いいだろう〜昼日中。

味噌ラーメン


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冬、味噌ラーメンを食べたくなるのは、道産子のDNAにプログラムされたミソ塩基配列によるものか、などとモーソーしていると、味噌の湯気するラーメンがドンとテーブルに置かれた。今日は身に沁みる寒さ、自宅を出た時から、昼は味噌ラーメンにしようと決めていた。

アツアツのもやしとラーメンを口にすると、外が吹雪いていようが、体の熱量が一気に上がっていく。若い頃は、ニンニクの摺り下しを投入して、満足度をさらに高めたのだった。

完食して、店を出るときには、勝者の気分。
ご馳走さまでした〜♬(気分は井の頭五郎)



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花が終わった後も、まるで咲いているかのように、萼が冷たい風を受けていた。散っていった花びらはどんなだったのだろう。

日高の叔母を訪ねると、いつも大きな帽子と軍手姿で庭から出迎えてくれた。ベランダでお茶を飲みながら花談義をするのが楽しく、時間を忘れるのが常だった。

「あなたはなんでそんなに花に詳しいの」と必ず言われた。「花に詳しいとモテるからですよ」と返せば、愉快に笑った。

「あれはヤマブキですよね」と聞くと、「ヤマブキは散っても、萼が可愛いでしょ、だからしばらくはそのままにしているの」とヤマブキを見つめていた。

咲き終わった花の萼を見ると、美しい笑顔の叔母を思い出す。

石老山(702m)


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最後の登りは階段、これが堪える・・・


金曜日の雪で山はすっかり雪化粧。土曜日に予定していた「石老山」は日曜に順延された。雪は融けていると思ったが、山頂部と北斜面は雪が残り、選んだ下山コースは、アップダウンが多いうえ、滑りやすくて緊張を強いられた。

しかしその辛さも筋肉痛も、相模湖駅前の名店「かどや食堂」で霧散していく。久しぶりにお座敷に上がり、我ら七名、ビールで乾杯して地酒コースに入る頃には、すっかりご機嫌になっていった。

かどや食堂の歴史は75年。地元はもちろん山屋さんの仕上げとなるお店として愛されてきた。以前、お店の人に終電、大丈夫ですか?と云われて、慌てて精算し、フラフラになりながら相模湖の駅の階段を上った。そんなことをお座敷の壁に寄りかかって、思い出していた。


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昔はほぼこんな感じだった

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我々に相応しい名前?山頂は雪が残っていた

三岸節子


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いつだっただろう。札幌の道立美術館で初めて三岸節子の絵を見て、引き込まれた。そして絵に向う生き方にも感銘を受け、いつか岐阜の美術館に行こうと、決めた。

そしてその日がやって来た。聞いたこともない町、尾張一宮を地図で見つけ、電車、バスを乗り継ぎ訪れると、玄関で節子の銅像が出迎えてくれた。館内の方に説明を受け、企画展の「咲き誇れ花々よ」の部屋に入る。

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いきなり代表作「さいたさいたさくらがさいた」に出会う。大きな枝垂れ桜が、額一杯に吹き零れるように咲いている。そのパワーに圧倒される。その他の花の存在感たるや、節子の愛する花たちが、今もその魂を抱いて咲き誇っている。

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好きな絵の一つ「ミモザの咲く山」

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花を愛し、花を育て、絵と向かいあった生涯を思った。久々に静かな時間のなかで絵を鑑賞した。

岐阜城


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一度は、そこからの眺めを体験したいと思っていた岐阜城。標高329m、山頂の天守閣まで四つのルートがあるが、今回はロープウェーで上がった。

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周囲に小山があり、そこにも城があったのかも


先ず長良川が見えて、遠くに木曽川、そして伊吹山などの山並が浮き上がってくる。山頂駅から天守閣までの急坂を登り、最上階に上がると、その眺めは圧巻だった。真下に落ちるような高度感、そして天下を取るとは、こんな気分なのかと思わせる大眺望。

岐阜城は、鎌倉時代から築城が始まり、斎藤道三が整備したと考えられている。その後、稲葉山城の戦いに勝った信長が奪取し、さらに手を加えた。

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よくこんな高いところに築城したものだと、天下人の力と財力に驚く。調査では、この金華山全てが城郭だったことが明らかになった。今度来る時は、もっと歴史を学んでから思いを深めようと思った。

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みんな信長公

犯罪


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今朝のマンションの理事会で、連続して起きた強奪事件が話題になった。マンションだからといって、けっして安全ではないことを感じた。

ある方のお話。マンションの玄関モニター前に立つ、三人の宅配業者風の男から、解錠を求められた。アマゾンのパッケージを振って見せている。これはヤバい!?と思い、頼んでいませんと、断って切ったと言う。

その映像を見た管理人もふだん来ていない宅配業者であると確認。つまり部屋に入り込もうとしたのか、下見をするためにマンション内に入ろうとしたのか、いずれにしても犯罪は近くにまで忍び寄っている。

怖い話は、テレビや新聞の中だけではない。我が家にも起こりうる。日本の安全・安心神話は崩れようとしている!?。


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カラスにしか見えなかった


大きな魚を丸呑みする鳥にオオサギ、アオサギ。そしてカワウ(川鵜)がいる。大きな魚が喉を通過していく様子を見ているとドキリとする。ありえん〜と一瞬、思う。

だから、ありえん〜話を疑わずに、信じてしまうのを「鵜呑みにする」。合点がいく。

メタセコイア?の上から、鳥の鳴き声が続いていた。巣から幼鳥が顔を出している。カラスだと思っていたのだが、よく見ると嘴が黄色い。もしかしたらカワウ?


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餌をねだって啼いている、だが親は意に介せず・・・

デパート


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咲くものがあれば、散ってゆくものもあり。全国のデパートが閉店に追い込まれている。昨日の渋谷東急デパートばかりでなく、帯広市のデパート「藤丸」もそうだ。歴史は、122年。明治33年の呉服屋から営業を続けていたが、売上が低迷してついに閉店となった。

涙を流している人がいた。想い出が一杯詰まっている大切な大きな箱が、無くなるのだ。藤丸で展覧会を開いたことのある友人が、嘆いていた。展覧会を開いたデパートが次々に無くなってゆくと。

デパートといえば、父と出かけ、買い物の帰りに屋上で遊び、食堂でバナナパフェを食べるのが楽しみだった。「マチに出かけるぞ」と言われると、ウキウキしたものだ。

デパートはいつのまにか置いてきぼりになってしまった。
昭和がまた一つ、消えていく。