2023年1月

晦日正月


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一月が終わってゆく。時の移ろいのなんと早いことか。
今日は晦日正月。正月の終わりの日として、蕎麦などを食べてお祝いをするそうだ。つまりひと月の間、正月気分に浸ってよかった時代があった!?。なんとものんびりで、羨ましい。

そしてもう一つは、愛妻の日。「i31の日」だそうだ。
こんな洒落、大好き、でも
これは伏せて、静かに帰ろう〜。

詐欺


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親しい友人(男)のお話。年末に「医療費が24000円、戻ります」の電話を受け、怪しいと思い放っておいたら、再び「少額ですが、受けとられた方がいいと思います」の電話に押され、指定のATMに向う(そもそも間違い)。

この友人、ATMでの操作に疎い。ATMに向っている途中、スマホに連絡が入る。「銀行が混んでいるようなので、コンビニに向ってください、操作を教えます」(ほらきた)。

コンビニ入り、いわれた通り、8000円?を三回に渡って、自分の口座に振り込んでもらう操作をする(おいおい)。8000円を「もう一つ0を」と80,000円?と迷っていると、後ろから「早くすれよ〜!」の声がかかる。慌てて『振込』を押す。

『振込』は「振り込んでもらう」だと思ったらしい(アホかいな)。
これを三回、それも80,000円。つまり24万をとある口座に振り込んだ。

しばらくしてから、銀行から問合せの電話が入る。「少し前に、振込をされましたか?」「その口座は、いま使えないようになってます」
・・・そこで、慌てて詐欺だったことが分かる。
コンビニで後ろからかかった声も、きっと仲間だったのかもしれないと。

・・・あなたね、ATMで振り込んだことないの?

24,000円という少額から始まった詐欺の筋書きに、感心するやら、呆れるやら・・・。人のいい友人は、疑いをもたないタイプ。なんかまた、ひっかかりそうだなあ。

路地


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ふらっと入っていきたくなる細い路地。眺めているとモノトーンの風景に変わって、昭和の人たちが現れてきそうだ。先日歩いた佃島、月島には、路地が多かった。戦前の区画がそのまま残っているのかもしれない。

向かいの家の夕餉が分かり、子供の泣き声が響く、隠せない、隠さない暮らしがある。人と人とはカドが取れて、当然のように丸くなってゆく。住んでみると、居心地がいいのかもしれない、と想像をして、そばのタワーマンションを見上げる。

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タワマンに囲まれた佃の一角に路地の暮らしがある


山渓noteに、久保敬親さんのプロフィールと写真集、小生が制作をした「野生圏カレンダー」が紹介されています。

頬被り


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かつて四阿山で一人、ホワイトアウトを体験した


最強の寒波がやってきた。分かっていたし覚悟もあったが、マイナスの寒さを久しぶりに体感し、寒さへの抵抗力が落ちていることを知った。

夜の新宿通り、都市特有の強いビル風が発生して、一瞬、体が運ばれ、車道方面に押し出された。もし吹雪いていたら、かなり危ない。この日の歌会に、偶然こんな歌を出していた。

あの漁師も
父さんも
吹雪のなか
頬被りするしか
なかったのだ

あの漁師、浜下福蔵さん。
本日、NHK-BS1 19:00〜 お会いできます。


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!?


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見てはいけないようなものを見てしまった。なんだろうこの嫌悪感。サーロインステーキの上に雲丹をのせていいのだろうか。禍々しいモノ。それを外国の若い人たちが、食べている。

創作する人も凄いが、買える人たちも凄い、そして食べる人も。
あ〜やだやだ。負け惜しみではない。

佃島


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タワーマンションに囲まれた佃島。このエリアだけ高い建物がない。徳川家康が入府の際、大阪の淀川区佃から漁民たちを招いたのが始まりといわれている。佃島に入ると、低層住宅の中に、三軒の佃煮屋さんと住吉神社があった。

佃から一緒にやって来た住吉神社、大阪の雰囲気が残っている。今年はいくつ神社を回ったことだろう。参拝後に向ったのが、近くにある石川島資料館。

小さい展示室には、佃島の歴史が満載。時代とともに島がどんどん大きくなっていく様、江戸から昭和にかけて果たした重要な役割などが見やすく展示されていた。

Tさんが、IHIのIHは分かるのだけど、うしろのIは何でしょうと、係りの人に訊いた。するとフルネームの表示を指して、IはISHIKAJIMA-HARIMA 、HはHEAVY、IはINDUSTRIESと教えてくれた。

えっ、Hは播磨のHだと思っていた。聞けば皆、そう思っていたらしい。ひとつ利口になりました。

もんじゃ焼き


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パフォーマンスは

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素晴らしいのだけど


寒さが染みる土曜日、友人らと築地、佃島、月島を歩いて、〆は「もんじゃ焼き」店へ。月島の商店街は、ほぼもんじゃ焼きの店ばかりが並ぶ。なぜだ?
一軒のお店で、もんじゃ焼きを食べ終わる頃、なるほど〜と、ひとり合点がいった。

旨いか否かは、ここでは触れずに、お店にとってのコスパが非常に高い。ミックスもんじゃ(エビ、タコ、ホタテ、塩辛他がそれぞれ少々)を頼んだのだが、主体はキャベツ(芯まで入る)、メリケン粉と水が主成分。原価は、料金の1/10くらいだろうか。

商店主たちは利益率の良さに感心し、次々に商売替えをしていったに違いない。こんな成功を収めた町起こし!?があったんだと、感心した。なんじゃ、もんじゃといいながら、月島商店街は何処も満員。

関西の方に、もんじゃ焼きの感想を聞いてみたい。

寒波とおじさん


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photo by Ranta

先日、氷点下62.4度という想像を絶する寒さを記録したロシア。この強烈な寒波が、もうすぐ日本にもやってくる。じわりじわりと近づく寒さのツナミだ。予想では来週半ばにピークを迎えるという。

以前、冬の蔵王山頂部で、マイナス30度を体験したことがある。息をすると肺まで冷えるような感覚で、ゴーグルを外すと瞬きもうまくできなかった。若かったからか、そんな寒さの中でもスキーを楽しんでいた。

この寒波を吹き飛ばす、熱いレジェンドのお話をいくつか。スキージャンプの葛西選手(50歳)がワールドカップに出場のニュースが入ってきた。予選を勝ち抜いて、ぜひ本戦で飛んでほしい。また、先日はサッカーのカズ(55歳)の契約延長の話もあり、おっさんたちは頑張っている。

昨晩は、全豪オープンテニスで35歳のマレー選手が五時間の死闘、フルセット(朝4時終了)の末、勝利し三回戦へコマをすすめた。その二日前の試合もフルセットで五時間近く戦っている。諦めない勝利への執念。声を出し、鼓舞し、しかし冷静に・・・頭が下がる。

こうしてはいられない、と思っても、何をしていいのやら・・・。

クラス会


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中学時代の仲間三人と新年会で盛り上がり、二軒目は新宿西口の思い出横丁の居酒屋へ。八人掛けのカウンターに四人が並ぶ。ビール2本とわずかなツマミを頼んで、半世紀前を回想する。一人だけが「アンタ」、他は皆「オマエ」と呼ぶあう。いつまでも変わらない。

「そうだったのか」「知らなかった」の話もポツポツと出てきて、壁のメニューを眺めつつ、それぞれの頭には、たぶん同じシーンが浮かんで、やんちゃなあの時間を共有する。

先週のことは忘れても、半世紀前のあの日は、消えることのないページとして、会うたびに繰られていく。

◯◯の日


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今にも吹出しそうな木の芽たち


日々に記念日がある。約束の日がある。
今朝、家人がカレンダーを見ながら「あら、今日はお団子が半額」。ウォーキング中に見つけた、良心的な、そして美味しい小さな和菓子店のお団子半額デー(1本50円)だ。

半間ほどしかないショーケースに、お団子二種類と豆餅、稲荷、饅頭があるだけ。ところがお団子はもちろん、ここの豆餅が美味い。黒豆がふんだんに入っていて、含めば豆の風味が口に広がる。あ〜、丹波笹山のKちゃんはどうしているだろう。

今日は18日・・・もしかして、8の◯◯に、1の串が刺さっているから「お団子の日」?
次回、口べたの店主にソッと聞いてみよう。

発見


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先日の夕暮れに見た不思議な空のコントラスト。自然界に、空に、直線が見えるとは珍しい。
調べても分からなかったが、この現象、きっと何らかの名前があるはずだ。

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ガラスが魅せる面白世界。その(1)は、カイツブリの足。こんな後ろに着いていて、まるで舟の櫓のように推進させていくことを知った。泳ぐ、潜るには最適だが、歩くとなるときっと不自由だろう。

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その(2)はカエルの吸盤。指の先端全てが吸盤になっている。どんな垂直の壁でも平気で登ってゆく。お腹は、アンコ型の相撲取りか!?

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葉のついたミツマタの蕾。この時期のミツマタの蕾は珍しくないけれど、葉がついている種類があるのを初めて知った。

言葉は、初めて知った驚きから生まれたのかもしれない、と思った。

冬の動物園


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「冬の動物園と武蔵野散策」。なんか、文芸作品のタイトルみたいで、名付け親はちょっと悦に入っていた。先週末の吟行歌会のテーマをこれに決め、井の頭公園内にある自然文化園に七名で訪れた。

おあつらえ向きの曇天で雲は低く、開園から直ぐに入ったこともあって人が少なく、まさに冬の動物園の雰囲気がたっぷり。檻のむこうとこちらで見つめ合い、湧き出る言葉を待って、それぞれが二首を詠んだ。

上席の歌を紹介する

遠い砂漠に      いわさきくらげ
住んでいた
フェネックが聞く
ガムの包みを
開ける音

群れの中       渡辺加代子
試しても試しても
お尻の沈まぬ
鴨一羽
見つめる

いつ出てくるんだ   山碧木星
待ちくたびれたよ
ハナコ
象舎を見つめる
錆びた無人カメラ


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アーベンロート


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年が明けてから、良いお天気が続いている。甲高い声がしたので見上げると、ヒヨドリが数羽啼いている高い枝が、まるでモルゲンロートのように赤く染まっていた。

いや、夕日だからアーベンロートか。こんな一瞬にアルプスに染まる山並を重ねてしまう。冬がとくに美しい。雲がないときに見られる現象だ。

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影と歩く、冬の楽しみ

欲望の果て


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藤原新也の「祈り」のなかに、こんな言葉があった。

この自己拡張と欲望の果てに何が待っているのか、その解答用紙に既に答えが書かれている今、

このフレーズの前で立ち止まった。
12月に上の歌を詠んでいたからだ。

ベートーヴェンを藤原新也に差替えたい衝動にかられた。
いま起きているあらゆる災いこそが、その答えなのだろうか。

ベートーヴェンの第九、第四合唱のフレーズの中には

全てのひとは兄妹になる、
進め、兄妹たちよ、おまえたちの道を 喜びに満ちて、勝利に向う英雄のように

とあり、高らかに合唱されている。こんなフレーズを為政者は見逃すはずがない。

1942年4月、ナチスの幹部たちが見守る前で、ヒトラーの誕生日を祝うためにベルリンフィルが演奏をした。その映像を眺めて、いつの時代も変わらないものだとこの歌を詠んだのだ。

藤原新也の言葉に見つけた不思議な安堵、でもそれは答案に◯をもらったうれしさとは違う、苦いものだった。


祈り・藤原新也


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なんとか間に合った。世田谷美術館「祈り・藤原新也」展。もう文明評論家といって良いのではないかと思いながら、彼の半世紀にわたる表現活動の写真、書、絵画を眺め、見つめてきた時間と人への思いを追った。

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インドやチベットの生と死の匂いが濃厚に立ちこめる風景、東北の被災地、コロナ禍の街など混迷を極める今の時代を映しだす数々、もう祈りしか残されていないというメッセージなのだろうか。

ー祈りからー

人の世は変わっても自然は泰然自若として変わらないというのは嘘である。
人間の所業は自らの生活ばかりか自然にまで及んでいる。
頭上の月を眺めながら変わらぬものは地球外の天体かと一息つくも、
頭上の月でさえ着々と人類の足跡が刻まれようとしている。
この自己拡張と欲望の果てに何が待っているのか、
その解答用紙に既に答えが書かれている今、
いま一度沖ノ島の禁足の森の想念を心に刻みたい。


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15の壮大なストーリーから浮かび上がってくるのは、藤原新也というとてつもない人間力だ。感性を極める、実態から目を背けない、とことん表現を探す、絞り出すエネルギー。半世紀変わらずに走り続けている藤原新也にふたたび惹かれた。

写真集を買って出ようとした時、彼が出口にいた。思わず話しかけて、サインをもらった。


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四半世紀前の絵ハガキが引き出しから出てきた

初登り


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当然のように列をなして並ぶ


今年もスタートは高尾山だった。中腹にある薬王院にて、一年間の山行無事のお礼をして、今年の安全登山と、この世がもう少し穏やかであってほしいと祈願した。

お正月の高尾山は、入山規制もあるくらいの混みようだったとか。この日曜日も参道に人が絶えることがなかった。参拝をして、ランチして、そそくさと人の少ない下山コースを選んで、静かな時間をつくった。

下山の途中から、蕎麦屋でのビールの話が出てくる。これはいつものこと。歩いて、そして乾杯と、皆の気持ちが一つになっていくのが分かる。

隊長は、記念撮影をしたり、店に電話を入れたりと、黒子となって準備を怠りないのである。

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ロウバイ


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この寒空のなか、ロウバイが咲きはじめたようです。


龍村仁監督


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正月早々、映画監督の龍村仁さんが逝去された。大自然と生命をテーマにした「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」シリーズ9本を映画製作。「地球はそれ自体が一つの生命体である」という考え方をコンセプトに、多くの学者やナチュラリスト、環境問題や人間の精神性に関心の高い人たちが毎回出演し、美しい映像と音楽が印象的だった。

龍村さんは、私たちの命は「母なる星、地球(ガイア)の命の中に生かされている」という考えのもと、死こそ、生かされていることへの感謝と喜びを呼び覚ましてくれる一瞬、とも言った。

首尾一貫した考え方と高い精神性に敬意を表し、ご冥福を心より祈りたい。
監督、母なる地球は、私たちをどう見ているのでしょう。


祈願


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友人Sの奥様より送られてきた見事な初日の出


明けましておめでとうございます。年賀状を書いて、箱根駅伝を観ていたら、三日間があっという間に終わってしまいました。こうして今年も過ぎていくのでしょうか。

書いた年賀状を投函して、ウォーキングした帰りに、近くの神社で、昨年の平穏に感謝しつつ、地球温暖化のスピードが少しでも遅くなりますように、そして戦争が早く終結しますように、と二つを祈願した。

というのは、元旦の番組、「フローズン・プラネット〜命かかがやく氷の王国〜」で、極北の生き物たちの生態に息を呑んでいたら、後半のショッキングなシーンに絶句してしまったからだ。

それは気候変動による驚く映像。
①両極の氷が溶けだし、氷の上に湖がいくつも露出、氷の隙間を勢いよく流れる川。
②氷河の流れが加速して、海に押し出されて行く大きな氷塊。
③シベリアの永久凍土が溶けだし、発生している高い温室効果をもつメタンガス(CO2の25倍)。
④周回するISSから写された数多くの山火事。

どれも地球温暖化につながっていく映像ばかりで、お正月気分が吹き飛んだ。
防衛するのは、国ではなくて、地球だろう。子どもたちだって分かっていることを、なぜ大人は実行できないのか。

お正月早々、なんか暗くなる話になってしまいました。


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寒空の下、祈りにも力が入る!?