テレビで会えない芸人
友人Kさんが勧めてくれた映画「テレビで会えない芸人」を先週末、地元のポレポレ座で観てきた。鹿児島テレビ制作のドキュメンタリー映画で、主演はコント集団「ザ・ニュースペーパー」の元メンバー、ピン芸人の松元ヒロさん。この映画は、彼の活動と暮らしの一年間を追っている。
彼はテレビには出ない、出られない。テレビも彼を避ける。彼は「政治」と「社会」をネタに、たっぷりの毒で笑わせながら、権力を風刺し、モノを言えぬ今の風潮を浮かび上がらせる芸を持ちネタにしているからだ。
例えば政治と金を扱ったネタでは、声もそっくりに「まあアソー セメントください」などと、メディアが取り上げられないブラックな笑いで、観客を楽しませる。
というわけで、彼に会えるのは舞台だけ。公演が決まるとすぐに完売。チケットがなかなか手に入らない。
落語家、立川談志が「他の人が言えないことを代わりに云ってやる奴が芸人だ!お前を芸人と呼ぶ」と彼の芸を観て評し、自分の舞台によく招いたという。
異質なモノを攻撃し、排除するような理不尽で不寛容な社会へ、彼の芸は訴え、問いかけていた。
叩かれ、パッシングされ続けると、モノが言えなくなる風潮がある。そしていつの間にか、戦争が始まって、誰も抑えられなくなっていく。そんな今の状況において、松本ヒロさんの生き方と芸は、凛々しく、そして逞しく映った。
2022年3月 3日 13:26 | カテゴリー: 歩キ眼デス3
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