大相撲


P3270219.JPG

相撲が好きだ。小学校の頃は、皆相撲に熱中した。土に大きな丸を描いては、仲間たちと相撲をとった。強い子は高学年も投げ飛ばした。下駄には、若乃花、栃錦など人気力士のしこ名が書かれていた。高学年になると、大鵬、柏戸に変わった。

小学校に入る前、相撲放送は一人ラジオで聴いていた。その頃の力士は軽量なので、皆動きが早い。早いからアナウンサーも、早口で喋る。若とか栃とか、略して喋り、二度繰り返して話すことが多く、スピード感が増した。

その声を聴くと、体に力が入って、拳をキツく握った。「投げた投げた」「吊った吊った」でカラダが動き、そして「残った残った」で息を取り戻して、腰を据え直した。

何年も放送を聴いていると、力士の様子を頭に描くことができるようになった。「手を伸ばして左はタテミツに」「無双を切った」「小手を巻いて右内掛けに」、そんな声に、体は力士になった。

いまでもラジオ放送を聴くと、四つになった力士の組んだ姿が浮かぶ。荒い呼吸も聴こえる。想像するということは、この時に学んだのかもしれないと、いま思う。

場所が始まると、今楽しみにしているのは、元横綱北の富士のコラム「はやわざ御免」だ。遠慮なしのキレのいい語りぷりは、力士時代と同じ。じつに小気味がいい。

昨日80歳になったが、男前は変わらない。相撲好きの内館牧子がこんな句を詠んでいる。

初場所や 心の恋人 北の富士

ヤンチャがよく似合う男である。


P3270210.JPG
P3270233.JPG

コメントの投稿

トラックバック

トラックバックURL: http://1c.3coco.info/mt-tb.cgi/3338