2023年6月

芙蓉


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ここの路地をつい覗きたくなる。やっぱり、芙蓉の枝が伸びて、覆い被さって、しなっていた。腰を屈めなければ、通り抜けられないのだが、一日花の芙蓉は、蕾のように落花させ、足元を覚束なくさせる。

なぜ、蕾のようになって一生を終えるのだろうと、聖女のような芙蓉に想いを募らせる梅雨の一日。

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花を詠む


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秋か?と勘違いしてしまう。マツムシソウが咲いていた。山では秋の花だが、巷ではスカビオサと呼ばれ、演芸用としてポピュラーな花になっている。

野の花が、交配されてその種類を広げていく。紫陽花もその一つだ。一昨日の歌会で紫陽花を詠んだ素晴らしい歌があった。

夕暮れの道
希望の色ではなく
滅びの色でもない
紫陽花が
重い

かつて、紫陽花をこんな風に詠まれたことはなかった(のではないか)。作者は、花色を詠んだと言っていたが、心象を伝える歌がいくつかあったなかで、「紫陽花が重い」と決めたのは、見事だった。

お願いとお礼


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この絵馬を見て、4月の区議会選挙が終わった翌々日、当選した議員が駅前でお礼をしていた姿を思い出した。「お願いがあれば、お礼がある」。父がよく口にしていた言葉だ。

楽々さんは、元旦に誓いのお願いを書き込み、合格後の三月、お礼にやって来たのだ。嬉しかったことが伝わってくる。コロナもやや落ち着き、愉しい学生生活が始まっていることだろう。(向島白鬚神社にて)

揺れる


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日曜日、鎌倉より古い友人が訪ねて来ると云うので、玄関に花が飾られた。よく見ると、トラノオの花。この時期、涼しげでいいなあと思って眺めていたら、前日、向島百花園にもトラノオの花が咲いていたのを思い出した。

それは「オカトラノオ」。梅雨の頃、こうした細く揺れやすい花を眺めていると、こころの温度がいくぶん下がるような気がする。他にも、アバカンサス、サギソウ、ニゲラなども、出会えると嬉しくなる。


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ハギのトンネル、白い花が咲く頃、歩いてみたい。

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シモツケソウも雨のイメージだ。

向島百花園


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母鴨の廻りを泳ぐ三羽の小鴨。親はそれぞれに目を配っている。春には十羽近くいたのかもしれないが、天敵に襲われるなどして、この三羽が残ったのだ。

親は疲れて、草むらで昼寝を始めると、小鴨たちもいつのまにか、そこへ潜り込んでいった。親も仔もきっと幸せな微睡みの時間。こちらまで心が弛んでくる。

そんな姿を見守るかのように、半夏生と紫陽花が涼しげに淵を彩っていた。


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コンロンカ


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別名、ハンカチの花。白い部分が、ハンカチのようだからと云うのだが、そうなのかなあと思う。

丸みのある白い萼と、星形をした鋭角な黄色の組み合わせが、ファンタスティックなイメージをつくっている。星空が見えないこの時期の贈り物には、いいかもしれない。

雨の日


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昨日の夕刊に、六月に休日がないのはなぜか、というような記事があった。海の日が七月、山の日が八月に決まって、六月だけがポカンと空いた。

取り残された六月のために「雨の日」はどうだろう、と誰かが言っていた。「雨の日」、いいじゃないか。しかし祝日を決める国会議員は「!?」と、思うかもしれない、経済効果がないと跳ねるかもしれない。

時雨、樹雨、涙雨など、並ぶ雨の言葉を見ていると、いかに日本人が、情緒的であるかが分かる。こんな美しい言葉たちを想いながら、降りそそぐ雨を眺めて祝日を過ごすのもいいと思うのだが。

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ハルゼミ


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この写真を見ていると、ハルゼミの声が聴こえてくる。涼やかで、ひと呼吸を入れてから、透き通るような声で、カラマツの森に静けさを広げる。初夏、一番待ち遠しい音色だ。

子供の頃、こんなに早い時期から鳴くセミがいるんだと、感心したことをよく覚えているのだから、ハルゼミへの想いは随分と長い。

自然の中に身を置いていると、世の中、難しいことはないのでは、と思えてくる。
こんな歌を詠んだ。

静けさにも
深さが
あるのだろうか
カラマツの森の奥から
ハルゼミの声

花の名前


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覚えにくい名前があるものだ。朝ドラ「らんまん」には、知っている花が多く出てくるのだが、写真だけを出されると、直ぐにでてこない場合が多い。

先日の山登りでも、カラマツに垂れ下がる地衣類の名前がでてこなくて、喉を掻きむしりながら歩いていた。ようやく出てきたのは一時間を過ぎてから。「サルオガセだ!」。

すっきりしたのだが、きっとまた忘れてゆく。
人の名前を忘れ、花の名前を忘れ、食事をしたのを忘れて、歩いてゆくのだろう。

地球の裏側


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ずっと早起きをしていた。地球の裏側、プエルトリコでテニスの錦織が、復活の試合を勝ち上がっていたからだ。今朝五時、決勝の試合があった。

しかし大谷翔平とも被ってしまうので、忙しい。大谷の打席のときだけ、優先して応援する。

そんな慌ただしいなか、錦織は変らぬプレースメントで、勝ち切った。ギアを上げたときの姿が昔と変わらない。なんて華のある選手なのだろうと思った。

33才になったオジさん錦織をまた応援しよう。

晴れ間


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風が強かったせいか、青空が広がった。この時期特有の湿度のある、やや重い風が肌に触れて行く。

今日から山を計画して、準備をしている者、もう登り始めている者、下界を眺めている者がいるのだろうなあ。

初夏の花たちも、お花畑のなかで、彩りの仕度を始めているはずだ。

月たち


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雨垂れが
弾け
拡散し
波紋に揺れる
月たちよ

昨日は歌会だった。こんな歌があって、作者は若い男性。コメントに「じつは映っていたのは、月ではなくライトで、それを月に置き換えてみました」と云われた。

すっきりとした歌、作者の映しとるセンスと表現力に惹かれた。そういえば、水たまりに映るライトが、月に似ているなと思って、撮影したばかりだったので、そのことを彼に伝えた。

若い人から、こんな歌が生まれて、なんか嬉しくなった。


梅雨入り


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台風が連れてきたのだろうか。梅雨に入ってしまった。雨が暑さを抑えてくれるといいのだが、晴れ間には、夏日、真夏日になる。猛暑の準備を促しているのだろう。

この夏、東京の40度超えはあるのか。戦々恐々の思いだ。昔、東京にも霧がかかったり、夕方には、海からの涼しい風が吹いたり、夏の風情がまだあった。

いまは乱立する高層ビルの森が、気温を上昇させている。ニューヨークでは、2022年までに100万本の植樹を行った。さらに2030年までさらに100万本の樹を植えるという。気候変動に向けての対策だ。

ボストンやデンバー、ロスでも植樹を進めて、ヒートアイランド現象を軽減する試みを始めている。なのに東京は、高層ビルの森だ。

いつか、だれも外に出られない、「ヒートアイランド東京」が出来上がる!?


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長く雨が降るのだから、樹を育ててほしいものだ


熊野古道(2)


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教えていただいた「コガクウツギ」

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これは、ウツギ

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気がついたら、標識や石仏やお地蔵さんより、自然に目がいってしまう。

熊野古道


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道中には、入りたくなる茶屋がいくつか

熊野古道を歩いてきました。今回は中辺路ルートの一部です。感じたことは、和歌山、つまり熊野は山が深い。そして不思議な地名が多く、なぜなぜなぜの連続で、古の名がそのまま残っていることを実感しました。

例えば「近露王子」は、ちかつゆおうじ。ルビがなければ読めない地名を眺め、汗をたっぷりかいて歩きました。


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