2017年1月

熱き想い


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なるほどね・・・川の真ん中を見てほしい。大きな石を集めて枝一本を斜めに立てている。このカメラマンが作ったに違いない。とすると、相手はカワセミだろう。いいなあ〜、声をかけて確かめたいところだが、その隙にカワセミがやって来るとも限らない・・・モノ好きというのはどこにでもいるもんだ。

街では熱燗を求めて徘徊している輩がいるというのに、山、星、鳥、魚に心を馳せる者たち。熱き想いは、寒さだって融かすのだ。


烏の行水


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烏の行水とは、入浴時間がきわめて短いことのたとえである。それは本当か?堀に集まったカラスたちをじっと観ていた。

スッと一羽が下りてきて、浅瀬からヨチヨチ歩いて水浴びをする。バタバタ・・・確かに短い。でもこの季節ならそんなものか。水浴びを終えると、スペースを譲って浅瀬に移動するか、もしくは堀の上へ。順番は序列なのだろう。何羽かが壁面に止まって、ジッと待っている。一羽がジャブジャブと派手な水浴びを何度も繰り返していた。どうやら、ことわざ通りではないようだ。

水浴びを終えたカラスの羽は美しい。光の加減でときどき青く輝く。これを濡羽色いうのか。日本の伝統色にあるあの色だ。


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ミツバチ


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遠くからもすぐにミツバチの箱と分かった。多摩川でも見られるんだ・・・。囲いの外から目を凝らすと、この寒さのなかで、ミツバチたちが巣箱の小さな穴の回りで慌ただしく動いている。気温は低いし、菜の花だってまだ咲いていないだろうに・・・

箱は大きな団地のようにいくつも並んでいて、どの箱の前も大賑わい。暖かくなると、養蜂家と一緒に花の旅をするのだろう。


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滝山丘陵


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空気が澄んで眺望がいい。丘陵の高さは100mくらいだろうか


冷たい風を受ける山登りを止めにして、多摩川沿いにあるハイキングコース「滝山丘陵」約9キロを歩いた。武蔵野を思わせる雑木林を歩くコースは、見晴らしがよくて気持ちが良い。
多摩川を見下ろす丘の上に立つと城址があった。名を滝山城址。調べると、多摩川と秋川の合流点にある加住丘陵の複雑な地形を巧みに利用した天然の要害で、関東随一の規模を誇ったとある。不勉強なので分からなかったが、タモリなんかが大喜びしそうな、堀の跡や石畳が残っていて、ポイントに立つ案内板のQRコードで城の様子を知ると、より楽しめるのかもしれない。


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丘陵を下りてくると広い川原を目指して歩く。小川、野焼きの煙、冬野菜の畑を見ながら、土手にいくともうオオイヌノフグリの花が咲き始めていた。


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カワニナなどの巻貝はよく見るけれど、小川に二枚貝は珍しい

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5ミリくらいのオオイヌノフグリがもう咲いていた


勝負


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ポッと頬を染めるように、こちらも開花


大相撲九日目、稀勢里ー琴奨菊の一番は、見応えがあった。勝負はすでに六敗している琴奨菊が気迫の押し相撲で、稀勢里を押し切った。稀勢里はこの一敗で踏みとどまり優勝し横綱昇進。一方、琴奨菊は負け越して大関陥落。負けて上がり、勝って落ちる・・・なんという勝負の世界。勝負士は、常に勝たなければならないと、つくづく実感した春場所だった。


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待ちに待った日本人横綱らしく、マスコミはどこもはしゃぎ過ぎ。ダメ大関の多いなか、よく頑張っていたと思うが、彼曰くこれからが勝負だ。堂々と勝ち続けてほしいと願う。

もうひとつ、おかしなことに気がついた。
三賞の選出についてだ。殊勲賞の貴ノ岩と敢闘賞の高安は、同じ11勝4敗。
貴ノ岩は、14日目に横綱白鵬を破っている。一方高安は横綱白鵬、鶴竜の二横綱、そして大関二人を破っているのだ。
なのになぜこんな評価が下されるのか。記念撮影の高安の笑っていない顔が、それを語っているかのようだった。横綱昇進に沸くなか、三賞選考委員会のおかしな選出が気になった。


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来場所は平幕上位に実力者が並んだから、面白くなりそう


タマモノ



週末、Yさんにいただいた多摩モノレールの一日乗車券で、五行歌掲載の車輌をハシゴしながら、車窓の景色を楽しんだ。知っている方の歌がいくつも選ばれていて読むたびに親近感を覚えた。小学生の歌をフムフムと読んでいると、あっという間に折り返し駅。外の冷たい風がまったく分からない車内の静けさと暖かさだ。日向ぼこの水平移動が眠気を誘う・・・。
残念なことに、じっくり中吊りを眺めている人は少なかった。でもこの企画は、ずっと続いてほしい。

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ミモザの蕾


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雪洞のようなミモザの蕾は、やはり雪洞のカタチをしている。日のよく当たるところで脹らんでいた。今日は大寒。厳しい寒さを何度もくぐり抜けて、花はきっと眩しいばかりの黄色になるに違いない。


宝島社新聞広告


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正月の楽しみの一つが宝島社の新聞広告だ。昨年は「死ぬときぐらい好きにさせてよ」のキャッチの横で、樹木希林がオフィーリアになって水に浮かんでいた。さて今年はと、新聞のセンターページを開くと、真っ向勝負とばかりに直球が投げられてきた。

「忘却は罪である」のキャッチの上に二つの写真。真珠湾攻撃と広島の原爆投下。つまり初めと終り。1941.12.8と1945.8.6の数字が記されている。この小さな国が約3年半もの間、戦火のなかにあったのだ・・・。いまなら数日どころか、一瞬で終わるのかもしれない。


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「人間は過ちを犯す。しかし学ぶことができる。世界平和は、人間の宿題である」。その通りと思うけれど、過ちと理解しなければ、学びだって生まれない。いま過ちを犯しそうな国のトップらが、自国最優先のカードを切り、世界情勢を大きく変えようとしている。何かが起きそうな今年の予感。この広告の意味するものはとても大きい。


忙中閑あり


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忙しいのは、きっと「幸せ欲張り」だからだと思う。スケジュールが一杯なのに仕事や頼まれごとを詰め込む。遊びを詰め込む。疲れているのだから、錦織の再放送など観ないでさっさと寝れば良いのに。つまりあれもこれもと欲張ってしまう性分が災いして、忙しいということになる。
と前ふりをして、夕方こそっと抜け出して菊之丞の落語を聞きにいく。年が明けてもう三回目。忙中閑あり、などと宣って・・・。


*菊之丞の独演会が、このところすぐに満席になってきた。二つ目から追っかけをして応援してきただけに、パトロンとしては嬉しい限り。


人生フルーツ(その2)


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あの映画「人生フルーツ」の余韻が残っていて、本二冊をアマゾンで購入した。「ときをためる暮らし」。なんて素晴らしいタイトルだろう。
それを呟きながら、歩いていた。もうすぐ読み終えようとしている。ひとり残された映子さんの「ふたりからひとり」が年末に、出版されたばかり。少し時間を置いて、読んだ方がいいのかもしれないな。


神楽坂吟行


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会場の角川庭園では白梅の香りが漂っていた


先週末は、この冬最強の寒波と言われたなかでの吟行歌会。メンバーはモコモコホカホカの冬装備で神楽坂に集まり、横丁や路地歩きを2時間に渡って楽しだ。案内をいつものように山口師匠にお願いをしご一緒した。

三年坂や軽子坂、かくれんぼ横丁、芸者新道など聞けばなるほどの名称が、今もそのまま残っており、石畳を歩いていると、なんだか旅気分を感じてしまうから楽しい。江戸城へ続く物資の道、明示、大正、昭和と文豪が歩いていた路地、作家であればここに缶詰になりたいと言われた旅館など、神楽坂は都心の真ん中にあって、いまも時代の空気を宿していた。


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落語ブーム


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仲入りで次回分のチケットを二つ目のメンバー自らが熱心に販売をする


再びの落語ブームらしい。最近は入門したい若者が増えちまって、本当か嘘か前座見習まであるなんてぇ〜話をマクラで聞いたことがある。二つ目にはずらりと実力者が揃ってることがわかり、彼らが自主的に作っている「研精会」をパトロン気分で応援をし始めた。

正月にその一人、桂宮治の「寝床」を聞いてビックリした。ここれ、古典か〜正座から空中に舞い上がってドンと伏せて落ちる。オイオイと初めは引いていたが、何度も繰り返されると、その迫力と独創性に引き込まれてしまった。この男から、目が離せないかも〜。

そして何とその寝床を翌々日の菊之丞独演会で再び聞くことになる。
(菊之丞は、上手くなると二つ目の頃からずっと応援してきて早十年。いまじゃ押しも押されぬ大師匠)
寝床が始まった。そう、そうだよ、ご隠居の江戸弁、所作なんざぁ、こうでなくっちゃ〜〜と、江戸の下町の世界にグイグイ引き込まれていく。
このテンポのいい話っぷりを聞いてるてぇ〜と、浮き世のごたごたなんざ、ちょっぴり忘れちまったぜぃ〜


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ぞろり、将来の大物たち。もうすぐ笑点にも現れるかも・・・


新年登山


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ORMAC、年の初めは恒例の参拝登山。ということで今年は奥多摩の御嶽神社。希望はあまり脹らまないけれど、燦々と陽の当たる御嶽神社の境内には、木の芽がいまかいまかと綻んでいた。改装してすっかり美しくなった神社へ、急階段を上がってくる参拝客が引きも切らない。
今年も一年、ORMACのメンバーが怪我をせずに登山できますように〜パンパンと、柏手を打って祈願した。


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羽織袴のブルドッグ君が参拝に来ていた

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山の後はつるつる温泉。今回はお湯とお酒でホカホカ気分〜♬

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武蔵五日駅までは、このバスに揺られていく


権師匠


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娘さんが代筆をした


三連休、慌ただしく動いていた。まずは権師匠の報告から。
日曜日早朝の寄席「菊之丞独演会」をお仲入りで抜け出し、前橋の郡大病院に向う。山でもなく歌でもない旅は久しぶりだ。アクセスの良い電車バスに次々に乗り換え約2時間半で権師匠の病室に到着。
なんと広い一人部屋。ベッドに胡座をかいてテレビを観ていた。右手には点滴。
よっ!から話を始めれば、いつもと変わらないやり取り。安心が生まれて、こちらの口も軽くなる。痺れから入院までの経緯、病院、看護士、クスリ、今後の対処などを聞いていると、人生は突然変わってしまうのだなあと思う。

こちらの腰、頸椎の心配をしてもらい、なんだか相哀れむで、歳をとるのは辛いものだとなる。始まったばかりの大相撲を観ていると、元気な看護士が入ってきて「私、相撲フアンなんです。去年は6場所を観にいきました」と、驚くべきことを言う。これはいい。二週間、相撲の話で盛り上がることだろう。

色々話をしていると、どうやら奥さんとの仲の良さは看護士らの噂になっているようだ。年上のかみさんはいいなあ〜と思いながら、暇を告げれば「今度は俺が東京に行くよ」と嬉しい言葉で送ってくれた。
きっと春頃には退院できるのじゃないかな。


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その染五郎くん。突然の入院だったので精神的にちょっと折れているらしく・・・


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帰りは冷たい雨になったが、心は温かだった


人生フルーツ


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ずっと楽しみにしていた映画「人生フルーツ」を地元の映画館ポレポレ東中野で観てきた。ある建築家夫婦の暮らしを綴ったドキュメンタリーだ。上映まもなく心がほぐされ、伸ばされ、温かくなっていったのは、ナレータの樹木希林の朴訥とした語りと珠玉のような言葉の数々が心に響いていったからかもしれない。

風が吹けば、枯葉が落ちる。
枯葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実が実る。

こつこつ、ゆっくり。
人生、フルーツ。

家は、暮らしの宝石箱でなくてはいけない。

人生は、だんだん美しくなる。

観終わった後のなんともいえない幸福感。人生は素晴らしいのだと肯定できる安心感。ぜひ東中野まで足を運んで、ご覧いただければと思う映画でした。

公式サイト


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おめでとうございます


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Kさんから毎年いただく手づくりの干支


厳しい年を迎えるかもしれない日本。国の個人の生き方が、改めて問われそうです。それでもゆトリのある年にしたいです。
今年もよろしくお願いいたします。