2021年5月

初夏


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足元には自分の蛹の抜け殻か?ミヤマカワトンボの雄


新しいカメラが届いたので、試し撮りに選んだのは、天覧山〜多峯主山(とのすやま)〜入間川のハイキングコース。二年前、ORMACのメンバーと歩いたお気に入りのコースだ。

山靴、サングラス、シャツなども新調したので気分は高まったのだが、如何せんこの日は夏日。飯能駅から山に入るまでが暑かった。いつもより水の補給を繰り返し、低山、里山、川歩きという三拍子揃った道を辿っていくと、ドラミングのコゲラ、涼しげなカワトンボ、そして鈴の音のように鳴くカジカガエルの声に出会うことができた。


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コゲラのドラミングが響いた

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標高は高尾山の半分以下〜楽チン

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入間川に掛かるその名もドレミファ橋

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気温が一気に下がった

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鈴の音のようなカジカガエルの声が響いていた

ネマガリダケ


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北の友人からネマガリダケが送られてきた。まだ間に合うかもしれないと、わざわざ山に入って採ってくれたものだから、喜びはひとしおだ。

東北・北海道でタケノコといえば、このネマガリダケ。北海道ではヒメタケ(姫竹)。山で夢中になって採っていると、熊と遭遇の話をよく聞く。冬眠が終わった熊は、このタケノコが大好物。毎年タケノコ採りで、熊に襲われたニュースが流れるのも今ごろ。

これを茹でて、週末に煮物や天ぷら、酢みそ和えなどでいただこう。酒は何にしようか、今からルンルンである。


卯木の頃


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緑のトンネルは愉しい


初めての山道を歩くときは、アンテナをいっぱいに広げて感受しようとする。道のおおよそは、事前の地図でイメージできるが、樹々や花の種類までは分からない。


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マルバウツギ

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雨の季節、谷を彩るウツギの花

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シシウドの仲間がもう咲いていた


ヤマザクラもサツキも今年は早くに咲いた。ウツギもそろそろだろうが、セリ科のシシウドがもう咲いているのには驚いた。青い空に、白いアンテナを高く広げるのは、8月だと思っていた。


ヤマザクラ


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ワクチン、ワタシが先よ
そうはさせないわ

なのか

咲くときは、一緒よ
モチロンだとも

なのか

あなた、じつはサクラでしょ?  
そういう君もサクラだな

なのか

山の中だから、誰も見てないわ

乗り越し


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その日は、この花の名前・・・ベロペロネ


このご時世に、呑み過ぎての乗り越しを体験した。中野駅で乗り換えをして、一駅のはずが、座ったのが不味かった。すぐに眠りに落ち、目が覚めたら13駅も乗り越し。聞き覚えのない駅名が聞こえ、一瞬なぜその駅にいるのか分からなかった。

反対ホームで電車を待つ間に思ったのは、懐かしさと嬉しさ。こんな馬鹿なことをよくやっていたよなあ。浦和に行ったり、高尾で気がついたり・・・。

Nさんの自宅兼事務所で呑むと、毎回呑み過ぎてしまう。ピッチが早くなるのはなぜだろう。気がつくとグラスに酒が入っている。話に花が咲く。おっさん同士で緊張感が無いなど、奈落の酔いのエレベータ。

そういえば、近頃電車で酔っている人を全く見かけなくなった。
これでいいのだろうか!?


ユキノシタ


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ダイモンジソウに似ているが、これはユキノシタ。ほぼ真っ白なダイモンジソウに比べ、こちらはカラフル。何で今ごろユキノシタが咲き始めるのか。それも雪が降り積もらないような場所で。

名前の由来は諸説あって、どれもフムフムというようなもので、説得力に乏しい。素直に雪の下で頑張っていたんだ・・・と思うことにしよう。

ユキノシタと云えば、去年の日本海側はまさに雪の下だった。雪は止むことなく、秋田の内陸部の友人は毎日のように雪かき、屋根の雪下ろしをしていると云っていた。

そこに咲くユキノシタと都会のユキノシタでは、花に向けられる思いが全く違うのだろう。


ネーミング


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ネーミングに弱い。とくにこの類いの名前を見つけると、心が躍る。「ヤングドーナツ」一袋43円。レジに並んでいるときに、思わず手を伸ばした。「ヤング」、オマエはまだ生きていたか。「ナウでヤングな」などと使っていた時代があった。

なぜこんな名前が付いたのか?宮田製菓のHPをチェックした。創業70年の老舗で、餡ドーナッツを製造したのが50年前。ヒット商品に恵まれずにいたある日、「子どもが喜ぶように小さく食べやすく、安価なドーナッツを作ってはどうか」となって、見た目も可愛く、誰からも愛されるドーナツはヒットした。つまりこのヤングは、子どもたちを対象としている。

静岡の夜のお菓子「うなぎパイ」。北海道の名菓「白い恋人」。売れる製品には、美味しさだけではなくネーミングの妙がある。

東京には、お土産になるような代表的な菓子がなかったが、ある時「東京ばな奈」という凄いネーミングの菓子が東京駅に現れた。
「東京」を入れたか・・・これきっと、良い勝負をするかもと思っていたら、いまや主要駅やターミナルでの大ヒット商品になった。

どれもが旅行客をターゲットにしているなか、この「ヤングドーナツ」は、生活密着型商品といえる。たまには、こんなおっさんも買ってしまうし。
それにしてもイラストの「ヤングくん」。トホホの涙である。


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エゴの花が終わった



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緑に緑を
重ねて
光の下に
緑をつくる

この水面を見ていたら、Aさんの歌を思い出した。緑にもこんなに沢山の色があるのかと感心する。絵画のような揺らめきをの中にいると、現実から遠のいていくような気分。
樹々や田の緑は水を得て、これから色を濃くしていく。


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いつのまにか、送るから送られるへ


沈黙は金


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この歌、表彰台には上がれなかった


あちこちでオリパラ開催の是非が論議されている。開催と云うラグビーボール型の時限爆弾を抱えて、三者(IOC会長、首相、都知事)が、パス廻ししながらゴールに向って走っている。

トライした者は負けなのか、勝ちなのか。ゴールは近づいている。


もう


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いよいよ、ではなく、もう梅雨入り。今年は平年より二十日以上も早いらしい。さあこれからと思った矢先に、五月の君はもう去って行く・・・。

残されたものはいくつもの憂鬱ばかりだよ。


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歩く


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こんな景色を見られる場所を発見!


いつもと同じ道を歩いている時に気がついた。歩くスピードが落ちている。四谷駅前の横断歩道を渡ってから次の信号まで、普通に歩けば問題なく着いたはずが、いま信号の点滅を確認して慌てて渡っている。

スピードが落ちた理由として考えられるのは、
①老化。知らず知らずうちに進んでいるのだろう。若い人たちがスイスイと追い抜いていく。そうか、あなたたちの人生はきっと忙しいのだな、とエールを送っている。

②急ぐ必要が無くなった。急ぎの仕事がない日は、和菓子屋さんのお姉さんに黙礼したり、プラタナスの緑を眺めたりしてのんびり歩くようになった。

昔、友人のSさんが「ここの通りは良いねえ、道幅が広いから歩きながら本が読める」と言っていた。ケータイがまだ現れない頃のエピソードだ。そんなことを思い出しながら、慣れ親しんだ新宿通りを今日もマイペースで歩いている。


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ビルの屋上部にも緑が増えてきた


もやもや


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気圧が下がると頭が重たくなり、後頭部に違和感が広がる。ポジティブに考えれば、天気の変わり目をキャッチするセンサーを獲得したわけだが、あまりいい気分ではない。

頭を痛めているといえば、世界の首脳も同じだろう。とりわけこの国の首相は、オリンピック、ワクチン、コロナウィルスの国難三大疾病を抱え、解決策を見いだせないでいる、どころか、さらに混迷を深めようとしている。
本当に殺されるのではないか。

AIの予測は、凄い。一ヶ月前、非常事態宣言をしても五月中旬に感染者数増加を予測していた。政治不安という情報も加味していたのだろうか。


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花の季節であることがわずかな救い

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週末はトマトラーメンで楽しみます


告白(2)


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4月15日の「告白」では、ベイスターズファンであることを赤裸々に綴った。
この歌は、その前日、雨の神宮球場を後にしながら詠んだものだ。そして昨夜のベイスターズの三嶋投手、この歌を身に沁みるものにしてくれた。
連夜の九回の悪夢。セットアッパーの三嶋、九回ツーアウトまで取りながらツーランホームランを打たれ、勝利を消した。

ここまで繰り返されると、歌が現実を作り上げているのではないかと、怖くなってくる。ベイスターズからジャイアンツに鞍替えした井納投手にホームランを浴びせ、梶谷選手を三振に打ち取り、ガッツポーズで九回が終わるはず、が、まさか、またか。

ベイスターズの選手から、この歌への共感はいらないのである。
新たな歌を詠むしかないのか。

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涙雨のなかでアジサイだけが活き活きしている


オトシブミ


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この時期、注意深く山道を歩いていると、オトシブミが見つかる。小さな甲虫のオトシブミが、ナラやクヌギの葉にかみ傷を作り、筒状に巻き込んで卵を産みつける。孵化した幼虫は、葉を食べて成長し羽化して成虫になる。

誰が命名したのか、古典的でロマンチックな名前だ。作っているところをなんとか見ようと探したが、この日は発見できず。


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これが成虫


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ウツギの花にやってきたオナガアゲハ


花が咲くと蝶たちがやってくる。そして昆虫おじさんたちもやって来て、この日は「オナガアゲハ」を教えてもらった。名前だけではなく、生態や好きな花、雌雄の判別方法など聞いた。


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そしてもっとも好きな甲虫のオサムシとも出会えた。こいつは足が速いので、撮るのが大変。しゃがんで追いまくって、ようやく一つだけピンが合った。
アオオサムシ。青緑の光沢が美しい。


政治に殺される


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題詠「心」で詠んだ歌


こんな歌をつくっていたら、宝島社からドーンと ↓ こんな新聞広告が出た。あまりにも的を得た表現とコピーに、思わず唸る。


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タケヤリ、少女、そして真ん中の赤いコロナは、日の丸か。この難敵を少女のタケヤリで打ち負かそうとしている。根拠のない精神主義の妄想政治で、ついに来るべきところまで来てしまった。笑えて、そして哀しい、日の丸広告。これこそ今置かれている、我らの国、日本だ。


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「私たちは騙されている」。そう思っている日本人は少なくはない。けれど大人しくしている。云わないことが、美徳なのか、保身なのか。しかし「このままじゃ、政治に殺される」とまで云われている、さてどうする。


我が家から歩いてみる


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新緑も美しい樹齢約400年の松本楼の大銀杏


友人のグループ展が土曜日で終わることに気がついて、どうせなら歩いて行くかとググれば、我が家から京橋までは約8キロ。コースを頭に叩き込み、指示通りの道を辿ってみた。

途中でお茶をしよう、できればオープンカフェがいいなと記憶を辿れば、日比谷公園の松本楼が浮かぶ。しかし夏日、一度も休まずに日比谷まで歩けるか?
こんな自虐的なことが好きで、つい挑戦したくなる。

準備をして、正午にスタート。爽やかな風の中、黙々と歩けば、約50分後には事務所の前を過ぎ、30分後には半蔵門。皇居一周のランナーたちに抜かれながら、日比谷へと下りていく。


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皇居の廻りは、ワラビが多い。頭の部分だけでも摘んでいこうかなと思ったが、「オソレオオクモ・・・」の声が響いてきて、手を引っ込める。遠くには警官が立っているし、カメラもどこかに備え付けられているに違いない。「モッタイナイ」。


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ようやく松本楼に到着。大銀杏の前の特等席が空いているという。これはご褒美だ。四百年以上生きてきたイチョウと今年も会えた。初夏、お茶をしながら、巨木を眺める幸せ。テーブルにやってきたスズメにケーキをお裾分けする。


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キミは青くはないけれど、幸せは近くにもあると教えてくれた


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Mさんのバッグ。「フェルトの布で五角形にしてみたが、ものを入れにくいのが難点」。こんな自由な感覚が好いなあと思う。


エゴノキ


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可憐な花なのに、なんでこんな名前なのか。それは実を食べると分かるらしい。舌や喉を刺激するほどのえぐさ、えごさ。だから、エゴノキ。
でも房状にぶら下がって咲く花の香りは、芳しい。この木の下に入ると、香りのシャワーを浴びているような気分になる。


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山笑う


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この五日間、よく歩いた。山では、強い風に吹かれたけれど、五月の樹々は、廻りを緑に染めるかのように、光を散らす。キャンバスとなった大地は、その影を輝きに変える。

目を瞑って息を吸い込めば、目眩と緑の匂い。

山も悦んでいるのが分かる。


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チゴユリとホウチャクソウが咲きはじめた