コンサート


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昨晩は、世田フィルの定期演奏会があり、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、モーツァルト三人の交響曲を久しぶりにゆっくり聴くことができた。コロナ禍にあって、開催が約一年遅れとなったコンサートだっただけに、指揮者、演奏者らの熱い気持ちが伝わってくるような演奏会となった。

音と言葉をつかさどる脳は、それぞれ違うはずだが、演奏者の言葉(文章)が、まるで音楽のように心地よく感じるときがある。演奏されるまでの至福の時間、プログラムに響くような言葉で書かれていると、期待はより高まる。

昨日も、そんな曲目紹介があったので紹介したい。ウィットもあって好感がもてた。

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メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

 本日お聴きいただく3曲の中でも、この曲は特に有名だと思います。本日お忙しいところ大田区のホールまで聴きにいらしてくださった熱心なお客様には、冒頭を鼻歌のように口ずさめる方も多いことでしょう。ベートーヴェン、ブラームスの協奏曲とともに三大ヴァイオリン協奏曲、あるいはチャイコフスキーを加えて四大ヴァイオリン協奏曲などとも言われますが、その中にあっても甘くせつない出だしで始まるこの曲は「メンコン」として断トツに親しまれている曲だと思います。
 
 ちなみにベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーはヴァイオリン協奏曲を1曲しか書いておらず、メンデルスゾーンが書いたもう一つのヴァイオリン協奏曲は弦楽器だけの伴奏によるものです。4人ともピアノ協奏曲は複数残していますので、ヴァイオリン弾きからすると、もっと書いてくれても良かったのにと思うところです。
 
 このヴァイオリン協奏曲は、急緩急の古典的な三つの楽章から構成されていますが、楽章間を休みなしに続けて演奏するように指示があります。本日も続けて演奏致しますが、楽章ごとに雰囲気とテンポがガラッと変わるので、楽章が変わったことにお気づきになるかと思います。ちなみに休みなしに続けて演奏される形式は、ベートーヴェンの田園交響曲などにもありましたが、斬新な手法であったようです。メンデルスゾーンは、当時、楽章ごとにあった拍手を嫌ったという説もあるようです。 

 第1楽章の冒頭にはオーケストラの序奏がなく、すぐに独奏者が耳慣れた旋律を弾きはじめ、心をつかまれます。ちなみに協奏曲によっては、前回の定期演奏会で聴いていただいたドヴォルザークのチェロ協奏曲のように独奏が出てくるまでに3分もあって、その間に独奏者が居眠りして独奏を出損ねたという逸話があるような協奏曲もありますので、すぐに主旋律が出てくるというのもこの曲の特徴のひとつと言えます。 
 
 この曲は1809年生まれのメンデルスゾーンが35歳の時に書いた作品ですが、38歳でこの世を去った早熟の天才、メンデルスゾーンにとっては既に晩年の作品ということになり、この時期には残した5曲の交響曲もすべて書き終えています。ちなみにメンデルスゾーンがいかに早熟だったかというエピソードもいろいろと残されています。最初に出版されたピアノ四重奏曲は13歳の時に作曲され、15歳で交響曲第1番を書いています。 

 本日の曲目解説は最近流行りの「ちなみにクイズ」の形式で書いてみましたが、もう紙幅が尽きようとしています。メンコンにさらに親しみを持っていただけましたでしょうか。最後に本日私が一番お伝えしたかった「ちなみに」は、メンデルスゾーンは音楽だけでなく絵の才能もあったということです。是非「メンデルスゾーン 風景画」で検索してみてください。 
(ヴァイオリン 川井孝之)


コメント

会場にご一緒できているのではないか、と錯覚してしまうレポートを拝読させていただきました。
感動の響きまでも想像しております♪
演奏家さんも聴衆の皆さまも、本当に良かったですね^ ^

ありがとうございました。

A)
二度の順延を余儀なくされ、関係者の方々もご苦労を重ねました。
それだけに、ようやく皆が集い演奏が出来る、
聴ける幸せを感じたのではと思っています。

当たり前が、戻ったひとときでした。
これからどんどん日常を取り戻していきたいですね。

2021年9月28日 02:19 | ゆみゆみ

会場にご一緒できているのではないか、と錯覚してしまうレポートを拝読させていただきました。
感動の響きまでも想像しております♪
演奏家さんも聴衆の皆さまも、本当に良かったですね^ ^

ありがとうございました。

2021年9月29日 01:11 | ゆみゆみ

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