はちきん
「はちきん」というらしい。まさに男勝りの女(ひと)だった。夕べはあんまりにも寒いので、一杯引っかけて帰ろうと、いくつかの居酒屋を思い浮かべた。よし、勇気だしてあの店に入ろうと選んだのが、20年以上前から目をつけていたこの店だった。
外から中が伺いしれない、重そうな木のドア、ベタベタと張り紙が多い・・・しかし昭和の風情。そして気になるフレーズ。「風の便りと旬の味」。変だけど妙に心を引かれる。
ドアを開けると、いきなり顔があった。「いまさ、メニューを書いてたのよ」。開いているのかと聞けば、いいよと言う。半畳ほどの玄関で靴を脱ぐ。なんで脱がなければならないのだ?
「以前飲み逃げされてさ〜」・・・なるほど。
年中無休。ただし何時から始めるかを決めていないと言う。「よくドアを開けたねえ」「気に喰わない客は追い出すんだ」。
土佐のハチキン。ウィキペディアにはこうある。
話し方や行動などがはっきりしており快活、気のいい性格で負けん気が強いが、一本調子でおだてに弱いといわれる。後ろを振り返ることなく前進し続けるといった頑固さや行動力あふれる点で、土佐の男性と共通する。
二人いた客は帰り、さしで呑んだ。「そっかあ、苦労したんだ」「よく頑張ったね」。二時間後、少し酒の回ったハチキンは泣いていた。なんだか聞き上手をしてしまった夜・・・。
心引かれる話が一つあった。どうしてここの場所なんだ?
「屋根に落ちる雨音が聞こえてさ、電車の音が響くだろ、それがいいんだよ」
2016年11月10日 14:03 | カテゴリー: 歩キ眼デス2
コメント
なんだか小説を読んでいるみたいです。
文章の組み立てが、上手いですねぇ。
私もここで、雨の日に呑みに行きたくなります。フレーズの「風の便り」も気になります。
ハチキンさんは、声のよく通る、瞳が強い、髪の毛を1つに束ねた女性のイメージで読みました。
A)
口のキツい人は、良い人が多い。
「そう、そのテーブルも親父が作ってくれたのよ」
なんだか居心地よ過ぎて、時間を忘れそうになりました。
瞳が強い、当り。射抜かれそう。
髪はショート。
「お兄さんは良い人だねえ・・・」
瞳の大きい人が言うのだから、間違いなし!
なんてね〜
2016年11月10日 14:56 | かに
え~なに、昨夜はここに行ったの? ひとりで(笑)
でも、いい夜だったようで、なによりです。
そのうちに、いい歌ができるのでは?
私たちは健全に酒抜きで、ご飯食べて帰りましたわ。
A)
そう、大人の世界さ。
今度行く?
泣けてくるような好い話もありました。
2016年11月10日 17:11 | 空
コメントの投稿