2024年1月

口癖


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誰にでも癖はあるもの。でも本人は気づいていないことが多い。とくに口癖となると、知らないうちに何度も繰り返されている。

例えばスポーツ選手たちが、つい口にする「本当に」。真意を伝えたくて言っているのだろうけど、余りにも繰り返されると、「誰も嘘だとは思ってないぞ〜」と云いたくなるし、語彙が少ないんだろうなあ、と思われてしまう?

最近は言葉を探しながらゆっくりと話す選手が増えてきた。「本当に」を使わなくても、思いや真意が充分に伝わってくる。そんな姿を見ていると、競技の深さばかりでなく、その人の全体がよく見えてきて、好感を持つ。

今日の新聞の「天声人語」に紹介されていた首相の「しっかり」は、口癖なのだろうか?。なんでも就任以来、2500回位以上、繰り返し使っているというから、便利な言葉なのだろう。
・・・ため息・・・「しっかり しろー」とゲキを入れたくなった。

東京タワー


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東京タワーは、眺めるもの、見上げるものだった。それがいつしか見下ろされる時代になるとは、昭和の頃、誰も想像していなかったはずだ。

映画「モスラ」では、ここで蛹になり、ザ・ピーナッツが歌い続けると蛹から孵化して蛾(モスラ)となった。「ALWAYS三丁目の夕日」では、少しずつ出来上がっていく東京タワーが後方に映しだされていた。そして「オカンとボクと、時々、オトン」のラストシーンもこの東京タワーだった。

戦後の復興のシンボルとして、昭和以降の東京を見つめ、誰かを支え、励ましてきた。大きくなってしまったこの街を、東京タワーはどんな思いで見つめているのだろう。

舟歌


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流しのギターの上には、アイパッドがあった

カラオケに行くと、かならず八代亜紀さんの「舟歌」を歌った。日本で、彼女の次にこの歌を歌っているのは、俺に違いないと思うくらいよく歌ってきた。

八代亜紀さんの訃報が入ったときは、信じられなかった。歌のイメージとは重ならない、明るい苦労人で人柄もよく、絵の才能があり、きっと感性も優れた人なのだろうと思っていた。

昭和のいい歌手が亡くなっていく・・・

舟歌といえば、映画「駅・ステーション」。大晦日、雪の降る炭坑街の居酒屋で、倍賞千恵子と高倉健が二人、「舟歌」を静かに聴いているシーンが、浮かぶ。そのシーンに、この歌は、必要だった。

そんなことを思い出しながら、舟歌を歌っていくのだろう。

舟歌

目が点


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雪道を歩いていたら、こんな模様が浮かび上がっているところがあった。きれいだなと思い、しばらく見ていた。そうか、これは融雪剤か。道を凍結や積雪から守るため冬場に蒔かれる薬剤。

二つが並んでいると、顔みたいで面白い。だけど人工的なものだから、何らかの負荷が道路や車に残るはず。便利には、きまって何らかの代償が伴うんだよね。

常念岳


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松本市街から歩く(登る)と約一時間、市民の公園として人気のアルプス公園に行った。低い雲が切れて、遠くにアルプの山々が見えた。その中でひときわ峻烈な頂を誇っている山があった。

確信は持てなかったが、たぶん常念岳だろう。冬はこんなに美しくなるんだ・・・。昔、燕岳から大天井岳(オテンショウダケ)を抜けて常念岳を登った。表銀座と呼ばれるこのコースはいつも人気で、槍や穂高が間近に見える。誰もがその勇姿を見ると、次は槍、穂高を目指したくなるはずだ。

夏の暑い日で、汗を吹きながらアルプスの山々をしばらく眺めていた。槍の姿とお別れするのは、辛いもので、何度も振り返りながら山を下りた。

下山後、穂高駅近くの店で食べた馬刺の美味さを思い出した。腹を空かしてフラフラになって下りてきたのだから、たぶん何を口にしても美味かったのかもしれない。

登ってきた山を眺めると、想い出まで見えてくるのは、その頃、山以外何も見えていなかったからだろうと思う。

木の先生


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雑木林を登ってゆくと、小高い丘に出た。360度、見晴らしがいい。樹々はすべての葉を落としているので、樹形や樹皮までが分かる。もし木の種類が分かれば、もっと面白い見方ができるのかもしれない、なんて思いながら寛ぐ。

以前、高尾山の山中で、双眼鏡で木の上を見ている人がいた。不思議に思って「鳥がいますか」と訊ねると「葉っぱを見ているんです」「見るとだいたい木の種類が分かるんです」。

話し込むと、植物学の先生だった。樹皮や樹形だけでは木の種類が分かり難いので、葉っぱを見るのだという。優しい話し方に惹かれて、しばらく一緒に歩いた。

あの先生、葉が落ちてしまったここの木々は分からないだろうなあ。

冬鳥観察


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冬鳥たちの写真を今一度、眺めていると、思いがけないことに気づく。たとえばカモの羽の美しさ。オナガガモの雌の羽は、雄に比べると地味な茶褐色なのだが、流体を包むかのように一つひとつの羽が、堅実な美しさを編んでいる。

雄は白い優美なマフラーを巻いて、雌にアピールをするのだろう。ひときわその姿を強調しているように見える。

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よく冬の使者と喩えられるハクチョウは、あらゆる所作が優雅で美しい。訪れを心待ちする人たちの気持ちが分かる。冬景色のなか白い曲線美は、寒さと日常を忘れさせてくれた。

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そしてコイツ、と言いたくなるのはキンクロハジロ。金色の目と短くて幅広の嘴と頭部の冠羽が見事に決まっている。動きが機敏、大きな鳥にも攻撃的で、気性は荒いと見た。

冬鳥観察は、寒さを防ぐ重装備をして出かけるのが肝心だと分かった。

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カモカモ・・・


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陸地から沼からカモ達がやってくる

湖や近くの河川には、ハクチョウのほかにも沢山のカモがいた。無人のエサ販売所があったので、箱に200円を投入し、エサ(麦)の入った小さなバケツをもって水場に向うと・・・

カモたちが、いっせいに近寄ってくる。青いバケツ=エサだと知っているのだろう。声を上げながら付いて来た。なにか起きるのではないかと、不安になる。

グルリ見渡すと、様々なカモがいる。尾が尖っているオナガガモ、頭部に黄色のスジがあるヒドリガモ、全身真っ黒で嘴だけが白いオオバン、そして可愛いキンクロハジロ。だいたいがこの4種類なのだが、もしかして他の種類もいたのかもしれない。

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▼エサを蒔くと
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パニック状態に
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飛び込むもの、上がってくるもの


さて、堰堤に立って、最初の一蒔き。その瞬間、声を上げたカモたちに取り囲まれた。パニック状態に陥ったのではと思うくらいのエサの奪い合い。足元までカモだらけで、その喧しいこと。こんな僅かなエサでなにか申し訳ないなと思う。

人生、初体験。アイドルになったようなカモに囲まれたエサやり体験でした。

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麦のエサには見向きもしない、カワウやハクチョウたち

ハクチョウ


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親子はいつも一緒、仲がいい


友人Sに、飛来しているハクチョウを見た後、雪があればスノーシューを楽しまないかと誘われ、安曇野へ向った。ところが日本海側の大雪は、どうやら白馬辺りまで。松本、安曇野はまったくの雪なしで、白い景色を見ることができなかった。

雪は諦め、ハクチョウを見にいこうとなり、毎年飛来するという湖に向った。ところがその数は、気候変動の影響があるのか例年より少なめという。

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幼鳥はグレーで、嘴にはまだ黄色がない

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水深が浅いので、水底での食事が見える

風が吹くとたぶん氷点下、凍えそうになりながら、仲の良い親子のハクチョウを観察した。この寒さのなか、ハクチョウはなぜ平気で泳いでいられるのだろう。ガタガタ震えながら、穏やかな顔を見て思うのだった。

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冬の朝


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今朝は寒かった。氷点下に近かったかもしれない。六時過ぎ、アササンコースを軽いジョギング。寒いからではなく、ここ数日、肩の廻りの筋肉が強ばって苦しんでいたので解してみようと、肩の上げ下げをしながらゆったり走った。

おかしな走り方をしていたのではないかと思う。暗い早朝、すれ違う人は少ないし、すれ違ったとしても同じような輩の人なのだろうと思って続けた。

東の空が明るくなってくる頃、ようやく体が温まり、肩の廻りが動き始めた。無理に動かすと、強烈な痛みが襲うので、少しずつ広げていく。

3キロくらい走って、終了。吐く息は白い。呼吸が落ち着くと、ずいぶん楽になった。

PERFECT DAYS


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劇場は東宝、というわけでゴジラがお出迎え


「こんなふうに 生きていけたら」のコピーが、俯せで文庫本を読む役所広司の上部にレイアウトされている。そんなポスターに、こころが動いた。

「PERFECT DAYS」は、カンヌ映画祭で役所広司が男優賞を受賞した映画。その影響なのか、ネット予約では封切りの日はほぼ満席、日をずらしてようやく席を取った。

公共トイレの清掃員として働く主人公の平山(役所広司)は、淡々とした毎日を送っているが、彼の日々は、新鮮な喜びに満ちているらしい。木を愛し、毎夜、読書をする、そんな決まった日常をきちんと過ごすことが、あたかも贅沢な時間であるかのように、役所広司が演じている。

同じような毎日であっても、わずかに違う日が繰り返されているのだよ、そんなメッセージをこの映画は伝えようとしているのだろうか。脚本も素晴らしいのだが、役所広司でなければ、成立しない映画だった。
おススメです。

おめでとうございます


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能岳からの富士はくっきりと見えた

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高尾山の頂からもこんなに大きく

今年は、山登りをすでに二回、高尾山と山梨県の能岳を歩いた。いずれもお天気に恵まれ、雪を被った富士山を眺められたことで、気持ちがすこし、温かになった。正月開けの空気は心なしか澄んでいて、眺望が効き、能岳からははるか房総半島までが見えた。

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すでに一週間が過ぎて、時の早さを今年も痛感するのだろうか。
冬至にカボチャを食べたと思ったら、七草でお粥をいただき、明後日は鏡開きのお汁粉。気候変動のなか、暮らしの行事は続いていく。

今年も「歩キ眼デス」へのご贔屓をよろしくお願いいたします。