樹木希林さん


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やはり書こう。樹木希林さんのこと。
昨年「日日是好日」という映画を観た。希林さんはお茶の先生だったのではないかと思うほど、所作が身に付いて、静かな気品を醸し出していた。その一方、普通のおばさんの姿も程良い感じで、その二つの行き来を見ていると、心が和んだ。四季の変化が随所におかれて、日常の一つひとつが人生なのだよと伝えているようだった。

女優では珍しく、美貌などを誇示することもなく老いの姿を伝えながら逝った。全身を癌に蝕まれているようには見えない立ち振る舞いと話し方。もしかしたらそれも演技なのだろうかと思えるほど、インタビューを受ける晩年の彼女はいつも自然体で、そして普段着が美しく似合う人に見えた。

花に喩えるとなんだろう。冬牡丹だろうか。画家堀文子の好きな花。椿や桔梗、蓮、芍薬など多くの花を描いてきた彼女が好きな花は、牡丹。「気高く、王者の風格があり、終わりが美しい」というのが理由だ。

終わりが美しい・・・早くから癌との付き合いが始まったから、終わりの準備ができていたといえばそれまでだが、それ以前の生き方があったからこそ、人生の最後を描けたのではないかと思う。
時間ができたら、彼女の映画をいくつか観てみたい。


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