あの日


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五行歌を始めて13年目になる。歌への変わることのない想いがずっと続いている。もし若い日の私が、歌を詠む楽しみと能力を持っていたら、どんな歌を創っていただろうと思うことがあった。
そんなことを夢想していたら、去年辺りから、ふと現れる少年の青年の私が、歌を詠み始めるようになった。


慎ましい暮らしがあった頃
こんな石鹸で
顔や手を洗って
清潔の匂いを
嗅いでいた

きれいな人が
ひとりいて
きれいな風が
はいってきます
三年四組  窓側  一番後ろ

分かってた
二人とも
なのに
爆ぜる薪  見つめながら
夢なんか  話してた


少年は未知への憧れと汚れていない心を持っていた。青年はそれに向かって走り始めていた。懐かしい私は、歌を創る余裕を持っていた。それが嬉しい。
いま、記憶の引き出しを一つずつ開けて、母との時間を取り戻そうとしている。

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