田沼武能さん
8月からの五行歌展示会に向けて、ヒントを貰おうと時間があれば展覧会を覗いている。この日は、田沼武能(たぬまたけよし)さんの写真展「田沼武能写真展 東京わが残像 1948-1964」。
ずいぶん前、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の新聞広告を担当することになり、田沼さんの撮ったマザーテレサの写真を使いたくて連絡を入れた。「分かりました、使ってください」と気持ちよく返事をもらった。いかほどお支払いをしたらよろしいでしょうと尋ねた。しばらくの沈黙があって「あるだけください」と言われた。
はっ・・・こちらも沈黙した。「じつは旅費にいつも困っています」「あればあるだけ欲しいのです」。(この頃の田沼さんは世界の舞台に様々な報道写真を撮られていた)。
こんな見事なあっけらかんとした要求はない。「分かりました、新聞社に相談をしてあるだけ支払ってもらえるようお願いしてみます」と笑いながら答えた。その旨を担当者に伝えた。新聞社はどれくらい支払ったのだろう。
田沼さんの「あるだけください」は、とても気にいった。それ以来、ギャラを聞かれると「あるだけください」と言った。知っているクライアントは大笑いする。初めての人は「じつはそんなにないんです」と答える。
いつかまた言ってみたい・・・「あるだけください」。
砧公園はノビルがたくさん〜
2019年4月 9日 14:45 | カテゴリー: 歩キ眼デス3
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