ボンネットバス
この匂いは・・・国鉄時代の電車、チョコレート色した車輌の床から発していた独特な木の香り。ボンネットバスの車内に入ると、そんな香りが鼻を突いた。けっして不快ではなく、なんか懐かしい匂い。
このバスは少し前まで八王子駅と陣馬山の間を走っていた。運よくこのバスに乗れると、タイムマシーンの中にいる気分だった。スプリングが利いているので、体が上下した。
戦後間もない頃、母は北海道の小さな町でバスガイド(車掌)をしていた。叔父は、バスガイドの母は地域の憧れの的だったんだぞと言っていた。古い写真集を開くと、小さなボンネットバスの前で、車掌姿の母が恥ずかしそうに写っている。「ヤギまで乗せたことがあったんだよ」。そんなことも言っていた。
2019年9月25日 14:53 | カテゴリー: 歩キ眼デス3
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