ケヤキ


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雨が続き、青空の桜は、今年は無理だろうか。いいだけ待たせておいて、それは無かろうと、都々逸の一つでも捻りたくなる。あちこちで残念がる歌が詠まれているかもしれない。

桜もいいのだが、この時期の新緑の美しさも見逃さない。高き梢に緑を吹出し、揺れるケヤキにどうしても目がいく。なぜに心惹かれるのか。一つにはその美しいコントラストにあるのだろう。

長く裸木だったケヤキの幹、枝の黒色に、柔らかな刷毛で描かれていくような淡い緑色。黒と緑の色合いの絶妙を風が揺らし、日増しにケヤキたる姿に変っていく。爽やかで勇壮たる若者を見ているようだ。

但しその清々しい色合いもわずか10日くらいか。あっという間に枝々が見えなくなってしまう。

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