Mさんのこと


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昨晩、仕事の先輩Mさんの通夜に行ってきた。30年以上前に知り合ったのだが、誰に紹介されたのか、お互いにすっかり忘れてしまった。出会いの印象は、強烈だった。背丈があって、声が低くて通る。顔は厳つく、目がギョロッとしている。日本人離れしていて、圧倒された。しかし笑うと可愛い。希少種の動物に出会ったような喜びが、カラダの中から湧き出て、この人とは、きっと良い関係で付き合っていくかもしれないと予感した。

やがて香港の取材を一緒にしないかと誘われた。デザインしか出来ないのだから、無理だと断ったが、なにか書いている振りをしていれば良いと言われ、生まれて初めての海外旅行「香港五日間の旅」が始まった。運転手つきのベンツに乗って、香港のアチコチを取材していく。豪華な料理の撮影が終わるたびに、一日五食以上食べたというか、食べさせられた。Mさんはもりもり平らげていった。凄い食欲だった。一度足を踏み入れると、生きて外へは出られないと噂されていた九龍城。そこへ連れて行かれたときの怖さは、半端ではなかった。薄暗い迷路のような細い道には、アヘンのような匂いが漂い、ときおり見かける老婆の顔には刺青があった。映画のロケ現場ではなく現実だと思うと、生きた心地がしなかったが、彼は逞しく、力強かった。

Mさんの話をすると切りがない。芸大の試験では、筆記が受かったのに実技のデッサンで落ちたこと。若い頃、ヨーロッパを放浪し、シロクマの毛皮や手づくりのロウソクを道端で売って暮らしていたり、世界各地の湖や川を釣りしていたことなど・・・。何より凄いのは、一度も務めることなく人生を送ったことだ。無責任な先輩だったけど、おおらかで、優しくて、誰からも愛された人だった。合掌。



コメント

お知り合いがまた減り寂しい事ですね。
私も自治会の方ですが少しの患いでなくなられました。
その方は植物がとてもお好きで、庭にお花から野菜といろんなものを大切に作っておられました。種ができるとそれを全部蒔いて、苗が出来るとご近所さんにあげたりされていました。
私もいただいたものが形見となってしまいました。
仲良くしていただいていた人との別れはとても寂しいものです。

A)
お花が好きな方であれば、毎年必ず思いだすことができますね。
いただいたお花が咲けば、良い時間を過ごせます。
春夏秋冬、すべての季節に一つずつ、好きな花を決めておけば良いかもしれないと
良からぬアイデアが浮かびました〜〜〜 (^^;) 

2013年12月 5日 21:59 | tama

ここのところ、何件か訃報が続きました。

街の中で、よく似た人を見かけて
あれっ、と振りかえるのですが、
「そうだ、あの方はもういないんだ」と思う時の寂しさ・・・。

A)
そんなことが、ときどきあります。
その方への想いが、心のどこかに残っているからでしょう。

別れた人にも、同じことありますね・・・(^_-)

2013年12月 6日 14:00 | yachiyo

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