春は急ぎ足


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この頃のケヤキが一番美しいと思う


春は急ぎ足だ。この雨で桜が散りはじめ、樹々は緑をつけはじめた。とくにケヤキは、日に日に緑を広げていている。無邪気に芝生を走っていく幼子のようで、目が離せない。ケヤキが最も美しくなるのは、もうすぐだ。黒い地肌の幹と枝に、淡い緑が重なっていき、最も美しいバランスになる。でもそれも一瞬。あっという間に梢と枝が、緑の中に消えてゆく。
ため息と深呼吸の新緑、お見逃しのないように・・・。


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明後日まで保ちますように・・・・


コメント

 けやきの葉が薄緑に輝くのは本當にこれからですね。
僕が未だ幼稚舎生だった頃、校庭に廣いけやきの林があって、それが敎室から見えて居たのですが、これから四月、五月の新緑の季節を終へ、夏休みが近付いて來ると丈夫さふな、濃い暗緑色になります。眞晝の太陽が頭の眞上から照りつけ、白い砂地と對照的な眞黒い影を落とし、見て居ると何だか物憂げな眠くなる樣な氣がして來たものです。

 授業がつまらなく成ると、校庭をぼんやり眺めて居た事に、今になって氣が付きました。でも樂しかった幼年期の終りでした。

A)
いいお話ですね。
雅蘭洞さんの文章を読んでいると、いつも小生の想像の翼が広がります。
セピア色した校庭にはケヤキ、それを見ている少年が浮かんできます。

緑の色が濃くなって、光も強さを増し、そして少年は成長していく・・・。
まだ時間がたっぷりあった頃の話ですね。
夏休みが終わるたびに、子どもらはグンと大きくなったような気がします。

暮らしの景色も時間も、まだゆったりとしていた頃。
知らないのに、懐かしく感じます。


2014年4月 4日 13:24 | 雅蘭洞英齋居士

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