2014年8月

吸う


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「吸う」なら、花の蜜よ〜


ありゃ
切ったばかり
蚊のキスマークに
掻けぬ爪で
十文字

題詠「爪」で、こんな歌を作った翌日に、デング熱騒ぎ。すぐ近くの代々木公園で、ウィルスを持つ蚊に三人の若者が刺されて感染・発症したいう。
鳥インフルエンザから始まって、オニヒトデやセアカゴケグモ、ヒョウモンダコなど、いろんな病気や生き物がやって来る。大型台風、コンピュータウィルス、エボラ出血熱・・・「こんにちは〜♬こんにちは〜♬世界の国から〜」。あれもこれも、やってくる怖い時代になった。


佐々木先生



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はい、まさにその通りです。というわけで、左胸部から鎖骨にかけての痛み解明のために、事務所近くの整形外科に行った。待合室の雑誌棚に、なぜか星野道夫の大きな写真集がある。その他にも自然関係の雑誌も・・・もしかして・・・。呼ばれて診察室に入ると、77歳くらい!?の哲学者風、白髪先生だ。事前に提出していた用紙を見て「スポーツに山登りとあるが、どんなところを登っているのか?」と聞くので、まあ全国アチコチ登っていますと答えると、長い山談義にはいった。やっぱり。若い頃から山登りをしていたと言う。

しばらくしてから、鎖骨下の部位を触り「***骨、****筋・・・」とそれぞれの名称と役割を次々に教えてくれるのだが、よく分からない。「まあ、老化の一つだ、他に痛むカ所はないか」と聞くので、「右手首、左足膝、左脇腹の後部、腰部脊柱下・・・」と全部、告白しようかと思ったが、話が長くなりそうなので、「右手首」だけにした。すると、テニス談義になり「シャラポワのグリップの握りを真似すると痛めるぞ****・・・・」。そしてやっとレントゲン室で、2つの部位を撮影。

フィルムを見ながら、痛みの原因を聞く。なるほどと納得。「痛みが消えて、元に戻ることはない。しかし、スポーツを止めることはない。人生を謳歌しなさい・・・****・・・・」

先生の机の上に、予約者の診察表が積み重なっていく。看護士の二人が、後ろのドア付近で苦笑いをしている。「先生、ありがとうございます。予約の方が待っていらっしゃるようなので、今日は帰ります」と先生の肩を優しくポンポンと叩いておいとました。

受付の女性が「久々に若い方が来られたので、先生嬉しそうでした」
「そうですか、またお邪魔します」と笑って帰った。

痛みは消えないが、面白い先生に出会えた。


百日紅


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札幌から上京した年の夏、経験したことのない暑さに参って身体を壊し、この都市で生きていけるだろうかと、不安になったことを覚えている。それから何年かが経って身体も慣れた頃、ぎらつく太陽に向かって花を咲かせているサルスベリを見た。不思議と言うか、異境の世界を観ているよう気持ちになった。それから随分して「百日紅」と書くのを知った。


昆虫食


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羽の小さなイナゴが一匹。跳ぶことはできるが、羽ばたくことができない。だから、サッと捕まえてイナゴの佃煮に・・・なんて、嘘。山菜はいただくが、イナゴや蜂の子の昆虫系の類いは、どうも苦手だ。しかし地方では、高タンパクでビタミン豊富な保存食として、いまでも珍重している。

今年の5月、国連食糧農業機関(FAO)が人口増加に伴い、「昆虫食が人類の食に貢献する」との報告書を発表した。人口問題や温暖化による環境悪化、世界的食糧危機で、いずれ「昆虫食」の時代が来るのだ。
ムシできない・・・。


マロニエ


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てっ! マロニエって、トチノキのことだとは・・・知らなかった。そうか、都会のならマロニエ、田舎や山道ではトチノキ・・・。つまり都会の「栃餅」は「マロニエスイーツ」!?。


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栃餅を口にして旨いなあと感じるとき、同時にその工程の大変さを思う。渋が強いため、いくつもの工程と日数をかけなければ、あの甘い餅にならない。以前、作り方を聞いたが、あまりにも工程が多いので、降参した。



向日葵の蕾


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覗いているのはクサキリの仲間!?

意外と知らない、向日葵の蕾。幾層もの萼にしっかり包まれている蕾は、葉っぱの影に隠れているから分かりにくい。でもでも、両手で顔を隠して、ワッと笑い顔を見せるみたいに、もう、中は向日葵カラーになっているのだ〜。


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ほらっ!


含羞の人


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電車の向かい側の席に、陽に焼けた老人がゆっくり腰を掛けた。穏やかな表情、優しいまなざし。誰かに似ていると思ったら、あ〜笠智衆さんだ。都会の電車が珍しいのか、静かな視線で車内の広告なんかを見ている。

白髪頭は短く刈られ、ゆったりめの半袖シャツに赤銅色の太い腕が似合う。きっと自然と向きあい、正直に生きてきた人なのだ。それにしても、なんだろう・・・この嬉しさと懐かしさは。私たちが、愛してきた、理想としてきた「日本の父、祖父」、そんな人に会えた幸せ!?目が合うと、フワッと含羞の人になって、小さく表情がほころぶ。こちらもフワッと黙礼。

こんな良い日、そんなにないなあ〜

・写真は8/7に御岳の山頂から見た、夏雲


トンボ採り


ナン、ザンショ、この暑さは〜という洒落さえ、暑苦しい一日だった・・・

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でも、広場にはトンボが飛びかい、遠くにはヒグラシも鳴き始めた


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そういえば、この夏、力強い夏雲、見ていないよなあ〜


花火


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秋の気配を感じた高尾山から、夕刻、神宮の花火を見る


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繰り返し明滅する


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残像


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なんだか


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夏が


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溢れ


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落ちていくよう


第五回ORMAC/高尾山


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城山茶屋は、かき氷や冷やしぜんざいなどを提供する人気のスポット


沢の音を聴きながら、なだらかな山道をゆっくりと登る。第五回のORMACは、裏高尾にある静かな林道「日影沢コース」を選んだ。この日は蒸し暑かったから、全身から汗が噴き出る。まあ仕方がないねえと言いながら、何度も水分を補給する。時おり沢から上がってくる風は、体が気化していくような涼しさを運んでくる。「お〜幸せ〜」。
そんな至福の風を何度も感じながら、二時間ほど歩くと、城山山頂の茶屋に到着。ここも風の通り道のようで、爽やかな休憩地だ。


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山頂部分は食べたけど、登山口まではまだまだ〜


桜の木蔭で少し早めの昼食をとる。隣のご夫婦が高さ30センチ(器の下から計って)もある、かき氷にシロップをかけて食べ始めた。聞けば、この茶屋の名物で、これを楽しみに登ってくるそうだ。二人向かい合わせで食べているのを見たら、甘いものが欲しくなって、冷やしぜんざいを注文。これもかなりボリュームがある。メニューを見ると、どれもこれも驚くほど安い。良心的な家族経営の茶屋と見た。


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寒天は冷たく、ぜんざいは甘く、ボリュームたっぷり。これで250円は、安い


「ミシュラン三つ星」の高尾山を楽しんだ後は、来月のORMAC「アルプスの名峰・燕岳」アタックの心構え講座。筋力アップのプログラムや準備する登山用具の確認など、各自奮励努力せよの通達をして、お開きとした。


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山は秋の気配。ミズヒキが揺れていた


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写真:野間氏提供

タマアジサイ


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奥多摩の山々、高尾山の沢沿いや林道にタマアジサイが咲き始めた。通常のアジサイよりも開花が遅い。球体のカタチをした苞が、パカッと割れて咲き始めるので、打ち上げ花火を重ねてしまう。
外側の四片の白い花びらをもつのは装飾花。小さな紫色の蕾が両性花で、こちらはゆっくりと開花していく。

その蕊を食べているのは、ヨツスジハナカミキリ。この時期、タマアジサイの花でよく見かける。黄色と黒のストライプは、蜂の擬態をイメージして身を守っているらしい。


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御岳山で見頃のレンゲショウマ。連日カメラマンのモデルになっている


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ヤマアジサイはこれからが見頃



スミナガシ(墨流し)



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フワリと珍しい色の蝶。これ、初めてかもしれない。藍染めを思わせるような色合いで、じつに美しい。染めと織りの工房を舞ってから、誰かに白いパステルでアクセントをつけてもらった。そんな感じの柄だ。調べてみると、名は「スミナガシ」。誰につけてもらったのか、素敵な名前だ。

思えば、蝶には日本の伝統色を思わせるような名前が多い。アサギマダラ(浅葱斑)、ルリタテハ(瑠璃立羽)、オオムラサキ(大紫)、アオスジアゲハ(青筋揚羽)、キマダラヒカゲ(黄斑日陰)ベニシジミ(紅小灰)など、舞う姿から、色の世界からやってきた使者と映ったのかもしれない。


トカゲのシッポ


日が射したり陰ったり、雲が低く、早く流れていく。いかにも台風一過の翌日らしいお天気だ。都内は、夏休みに入って帰省した人が多いのか、道路は車も少なくて、暑苦しさがない。風が強いこともあるけれど・・・。

さて、先日の奥多摩で見つけた生き物たちをいくつか紹介しましょう。


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シッポの先がピクンピクンと動く。手のひらに当たる。楳図かずおの世界だ〜


エッ〜ホントかよ〜。手のひらに乗せてもらったトカゲの尻尾が、ピクンピクンと動き続けている。「トカゲはこうしてシッポを動かしている隙に、逃げるんだよ」。先週の御岳自然教室の子どもたちは、みんな生き物好きで、いろんなことをよく知っている。どんな仕掛けが組み込まれて、こう長く動くのか。じつに不思議だ。

子どもたちに囲まれたカナヘビ君は、シッポを切って逃げたのだった。本体からは、いずれシッポが伸びるだろうけど、このシッポから体や頭が生まれたら、面白いだろうな〜なんて、子どもたちに囲まれていると、そんな発想が生まれてくるのだから、愉快。


御岳山子ども自然教室


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子供たちの創意工夫で完成させた「ティピー」に美しい木蔭が映る


わずか二日間なのに、子供たちとの別れはちょっぴり寂しかった。御岳山子ども自然教室。「御岳山の森でとことん遊び、体を動かすこと、自然の中で過すこと、遊ぶことの楽しさを実感してもらう」というプラグラムを取材した。いやはや、体クタクタ、心充実の二日間だった。子供たちの発想、工夫、挑戦、失敗、協力・・・。見ているとその豊かで柔軟な頭に、ただ驚くばかり。

たとえば、大きな布を渡して秘密基地を作るプログラム「ティピー」では、子供たちにヒントを与えない。布の構造とロープの長さや本数から、皆が意見を出し合い、創意工夫しながら完成させていく。その様子を見ていると、子供たちに未来があると、確信した。こんなにもキラキラしているのに、なんだかつまらない大人になってしまうのは、なぜだろうね。

子供たちにお願いをして、別れの挨拶を「ごきげんよう、さようなら」にしてもらったら、心にツンとワサビがきた。
花子先生は、こんな気分で甲府を後にしたのかな。


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足と手にたくさんの虫の跡〜想い出は痒みにも〜


アツアツ・・・


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昨日今日と風が強い。そして熱風である。風の吹く向こうには、砂漠があるのではないかと、砂丘に立っている気分で風を受ける。呼吸すると、胸がジンワリと熱くなってくる。暑いなあ・・・しかし、九州、四国は滝のような雨が降り続き、一向に止まない。森の生き物たちは、大丈夫だろうか。地球はいったいどうなっていくのだろう。


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明日から、仕事の山ではなく、山仕事だ。御岳山で、子供たちの冒険にお付き合いして、ロッククライミングなどの取材をする。
子供たちの一日のメニューを見たら、オジさんは自信をなくした。ビッシリ。ついていけるかどうか・・・心配だ。

というわけで、明日、明後日とブログはお休みです。

エンジュ(槐)


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アササンコースの一カ所に白い花がたくさん落ちている。見上げると、こんな感じ。ちょっと涼しげな葉のつき方だ。アカシアに似ているが、これは確か、エンジュ。マメ科の仲間で、漢字では「槐」と書く。そういえば事務所の近くの住宅街に、ひっそりと同じ名の古い喫茶店があったが、どうしたかな・・・と、思っていると、ハラハラと白い小さな花が零れるように落ちてきた。ひとつを手にすると、微かに好い香り。


クマゼミ


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これは、クマゼミの抜け殻ではありません


蝉が鳴きはじめている。今朝は、アブラゼミ、ミンミンゼミに加えて、クマゼミの鳴き声を聞いた。シャアシャアシャアと通る声で鳴いている。いつの間にか、クマゼミも北上して都内に出現した。植物も昆虫も、日本が亜熱帯化していることを伝えている。

そういえば「いけしゃあしゃあ」と言う表現があるが、これはクマゼミの鳴き声から来ているのだろうかと、一瞬考えた。「厚かましさ」は合っているが、まさかねえ〜と歩を進めた。

「しゃあしゃあ」を調べてみると、甲州弁では、「しらばくれている」「しらをきる」という意味で、但馬地方になると「元気で歩いたり、動作をしたりするさま」、もしくは「再々」とか「しょっちゅう」という意味をもつようだ。

クマゼミの鳴き声から、言葉が羽ばたいた。シェイシェイ〜