濁り酒


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入口に「雪っこ入りました」の張り紙を見て暖簾をくぐった。暮れから濁り酒にはまっていて、「冬期限定」の表示なんかを見ると、心が動く。カウンターに座る。客はいない。息子と親父、二人で切り盛りしているようだ。店内がキリッと締まっている。

濁りの話をすると「ぜひこの酒を呑んでほしい。東日本大震災のときに津波で流された気仙沼の酒蔵で、親子で応援していて、ここの酒だけを仕入れている」と云う。
呑もう。呑むことが応援に繋がるなんて、素晴らしい。
活性原酒「雪っこ」は、とろっとしているが、酵母が醸し出す深い味わいに上品さがあって、ため息ついて魅せられた。アルコール度数20度と高いので、一人二杯まで。ザンネン・・・

カウンター越から眺める無口な父さんの姿が格好いい。出されたいわしの刺身の美しいこと、美味いこと。毎日河岸に行っているのだろう。肴どれもに、ウン、と頷いてしまう冴えがあった。いい気分になっていくと、ポツポツやって来た地元の人たちで、カウンターはいつしか一杯になった。やはり愛される店なのだ。路地の奥にこんな好い店があるなんて。太田和彦の気分になって店を出た。


コメント

此の場の雰囲気が伝わってきます。
期限限定が効きますね。
お好きなお酒で被災者の応援ができれば
嬉しさも増しますね。
楽しいお酒は百薬の長。何よりです。

A)
好きな酒が応援に繋がっていくのだあ〜と思って
呑む酒は、いつもより味わいが深いです。

東北も熊本も時間がかかるかもしれないけれど、何とか再建して
次の世代へと繋げていってほしいと思います。

2017年2月19日 13:42 | tama

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