増上寺

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知らなかった。東照宮とは徳川家康公のことだったとは・・・。
週末の吟行歌会は雨。歴史研究家の山口さんの案内で、芝の増上寺を吟行した。最初の説明にあったのが冒頭の下り。家康は自分を神格化させるために東照宮を名乗った。東を照らす宮ねえ・・・。どこかの首相にも似てるねえと、皮肉の一つも言いたくなった。西を煽って、東には尻尾を振る。

増上寺の敷地は広く、戦前の寺所有の領地は25万坪。今の15倍以上にも及んだ。大門の上から南方を眺めれば東海道、その向こうは遠浅の海が続いていたという。話を聞きながら、ぼんやりと景色を想像した。長閑である。

戦前の写真を見せてもらった。例えば本殿に入る中門と霊廟の造りは実に手の込んだもので、壁に天井に開き戸など、すべてに美しい彫り込みと彩色が施されていた。これが戦火で失われたのかと思うと、勿体ない話だと溜息の一つも出てしまう。


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かつては交差点付近にあった徳川家専用の参詣門の御成門

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京都のお寺との違いは、江戸の寺は解放されていたことだ。市が立ち、縁日やお祭りなど、多くの人で賑わい、今でいうアミューズメントパークだった。そんな話に茶々を入れながら、山口さんの面白話を聞いてこんな歌を詠んだ。


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め組の火消しの大喧嘩に
煽った半鐘が悪い の
大岡裁き
なるほど上手いねと
めぐみの雨を受けながら

吟行ならではの歌。なんとこれが一席になった。
みなさんの歌を紹介する。


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花も 蝶も
葵御門に
ひれふして雨
三代の黒門くぐり
徳川へ「お邪魔します」   Kさん


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徳川家の
御威光を
見おろして
東京タワーは
霧の中                 Sさん

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花嫁御寮は
雨に濡れ
芝大明神に
願かけて
夢はおぼろか          Fさん

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権勢の象徴
小雨にけむる
芝東照宮
何を想う
訪れる異人達は         Kさん


次の吟行は、もう来年の一月。谷中辺りを歩こうかな。


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