2017年11月

紅葉


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右下に映っているのは友人のSだ〜


紅葉の字は、歌の中にあるとこれがじつに厄介で、前後関係から「もみじ」「こうよう」のどちらで読むかを判断しなくてはならない。しかし分かりにくい場合も多い。
他にも銀杏や菖蒲。居酒屋で「イチョウをください」とは言わないだろうが、菖蒲なんかは花自体が「あやめ」か「しょうぶ」か分からないのに、誰が二つの読み方を定めたのか。この字には、あまり近づきたくはない。

今年はよく紅葉をみたので、こんな歌を作った。

紅葉は
森の暖炉
晩秋の冷気をまとった
朽葉色を
あたためる

紅葉にはルビをふったのだが、もみじと読めたかもしれない。


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昨日は歌会だった。芒と紅葉で一首ずつ。芒の歌は、二席に選ばれた。
箱根の登山道でうねっていた芒は、晩年、車椅子の生活を余儀なくされた舞踊家、大野一雄が上半身だけで踊っていた姿に似ていた。両手を空に掲げて、揺れているようだった。次第に大きく揺れて、しなって、うねっていったあの踊り。
光と風によってさまざまな姿を見せてくれる芒の舞いも、そろそろ終わりに近づいた。


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風の誘いに
ためらいます
ゆれます
しなって うねって
芒 ほどけます


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村山貯水池


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狭山丘陵の渓谷に造られた村山貯水池は、多摩湖の名で呼ばれている人造湖だ。東京の人口増加に対応し、多摩川の水を羽村取水堰で取り入れ、導水管でここまで導かれた。堤防の上からは、遠くに富士山が見え、狭山公園の森が見え、そしてそれを囲むアメーバのような宅地が広がっている。

池の西側には、日本でもっとも美しいと言われている取水塔が二つある。湖面に白い影を落とし、なんだかヨーロッパの風景をイメージさせる。我が家から、一時間弱でこんな好い散歩コースがあったなんて、知らなかった〜。春にでもORMACのメンバーと訪れてみよう。


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モミジの間からぼんやり富士山が見えた


紅葉(もみじ)


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そうだよ〜、紅葉だよ・・・歌会の題詠「紅葉」がなかなか歌にならなかったので、週末は山登りを止めて狭山丘陵の森を歩いた。狭山丘陵には、武蔵野の面影を残す狭山自然公園があって、森を縫うようにして散歩道が迷路のようにあちこちに延びている。
多摩湖の堤防を歩いてから、野鳥の森に入ると、イロハモミジが西日を浴びて輝いていた。皆さん、撮らずにはいられないと、カメラ、スマホを上に向けて、シャッターを切っている。写真に、絵に、歌にと、紅葉の下は、芸術の秋!?を楽しむ人が目についた。


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落ち葉の道を歩くのはいい気分

根菜類


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長いも、サツマイモ、ジャガイモ類が、次々に届きました


寒くなると根菜類の入った料理が美味しい、嬉しい。今日なんか、口の中で踊るサトイモの温かで優しい感触に、鍋の到来を予感した。牡蠣、鱈、つみれ・・・そこに白菜、葱なんかが私も入れて〜〜と、入り込んでくる。好いなあ〜面倒見が良くて、人を温め、楽しませ、最後の最後まで無駄を出さない。鍋は偉い!
そうだ、来週末のORMAC忘年会・BBQの山形風芋煮鍋とホイル焼きのレシピをまとめねば・・・
   

ソーラーパネル


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茅ヶ岳の登山口で、ソーラーパネルの設置作業を見ていた。山の広い林が一つ消えて、ソーラーパネルが設置されていく。作業のスピードが意外に速いので驚いた。伐採された跡地に、パネルを載せる枠組みが組まれると、その上にパネルが置かれて止められていく。この斜度はかなりの勾配なのだが、大雨が降った後は大丈夫なのだろうかと不安になった。
そして、人に優しいは、環境にも優しい、のだろうか。


茅ヶ岳(2)


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暖かな秋の森を歩くのは楽しい。落ち葉を踏む音を聞きながら、遠くの山を眺める。懐かしい山葡萄の実を口にしたり、四谷「わかば」の鯛焼きの餡の量に感動したり、動物のフンやスズメバチの巣を見つけては種類を特定したりと、いつのまにか子どもの時間に戻っている。
日が傾くと、色づいた葉は輝き、幹は影を延ばしてくる。そんな当たり前の時間を森の中で見つけた。


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山葡萄の実が入っているから猿のフンだ

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たぶんコガタスズメバチの巣

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団栗の頭から伸びているのは、芽ではなく根なんだ

茅ヶ岳(1,704 m)


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茅ヶ岳の山頂からは雪を被った八ヶ岳、北アルプスが見える


百名山を踏破してみようと思ったのは、小説家であり随筆家の深田久弥の著した「日本百名山」が発端だ。世の中いつの間にか、登山ブームとなり百名山ブームとなって、人前で言うのがだんだんか気恥ずかしくなった。全てを踏破したら、登山中に脳卒中で死去した深田久弥の終焉の地、茅ヶ岳に赴き、手を合わせようと考えていた。


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韮崎のホームに下りると目の前に茅ヶ岳が・・・


でも、いつ踏破できるか分からんし・・・登れる時に登っておこう。踏破したらまた登れば良い。というわけで、韮崎駅のホームに降り立つと、北の空に茅ヶ岳がドンと現れた。茅ヶ岳は約20万年前に火山活動した山で、全体が安山岩に覆われている。山頂からは八ヶ岳、北アルプスをはじめ、中央、そして南アルプス、富士山までが贅沢に見えた。


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遥か遠くに北岳、間ノ岳の頭を見つけた

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山頂直下にある「深田久弥終焉の碑」の新旧


リース


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街路樹がいま美しい。先日の風が葉を落としたことで、樹のカタチが戻り、街並を秋に変えた。日中と朝夕の気温差も、紅葉を鮮やかにしたようだ。
それに習って、リースに余っていた葉っぱ(イミテーション)だけを付けてみた。蔓の太さと質感を活かした方が、味わいが出てくるようだ。


山の恵み


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野生の血がまだ残っているのだろうか。山歩きをしていると、いろんな恵みに目がいって、春ならイチゴや山菜を採りたくなるし、秋は栗やアケビの実をリュックに入れている。そしていい蔓がぶら下がっていると引っこ抜き、歩きながらリースにして、リュックにポン。
自然をいつも身近においていたいのだ。


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フデリンドウが箱根の山道に咲いていた

ススキ


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秋の日を受けてススキが揺れる。風がタクトを振っているかのように、緩やかに、ときに激しく舞いを奏でる。そこに光が交錯すると、息を呑むような美しさだ。風に逆らわず、いやいや、風を弄んでいるのかもしれない。
コスモスもそうだが、秋の花は風に揺れるのが好い。


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鎌倉古道(湯坂道)


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今月の山の会(ORMAC)は、箱根の鎌倉古道(湯坂道)を選んだ。この道が出来たのは、今から千年以上も昔。803年に開かれて鎌倉歴代将軍が往復したとあるから、歴史のある道なのだ。ここを歩くのは四回目。いつも箱根湯本駅から延々と登っていた。しかしORMACは、その逆のコース(200メートル登って600メートルを下る)を選ぶ。


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千条ノ滝(ちすじのたき)


箱根湯本で登山鉄道に乗り換え、小涌谷駅で下車。千条ノ滝(ちすじのたき)を眺めてからから浅間山(せんげんやま)に登ってランチをすると、昼寝でもしたくなるような温かさだ。みかんやお菓子がいつものように交換され、この日話題になったのはピーナッツ。Sさん持参の千葉県産のピーナッツを皮ごと食べながら、血液サラサラ、お肌ツヤツヤと言って頬張った。食べ物と健康。最近、こんな話題が増えていく・・・


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陽射しを受けながら、風に揺れるススキの尾根道をお喋りして温泉へと下っていった


歌集「波まかせ」



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歌集を読み、プリザーブドでこんなアレンジメントを作ってプレゼントしました



昨日の本郷歌会は、前代表の柳瀬さんの歌集出版を記念し、サイン会を設けて皆で感想を述べあった。三冊目の歌集「波まかせ」は、さらさらと読めて読後感はスッキリ。ピースボートに乗船した103日間の船旅から切り取られた歌が、美しい写真とともに添えられている。船室のざわめきは聞こえず、海と空だけに眼差しが向けられている。
写真を眺めながら読みすすめていくと、海と空は詩人を創ってしまうのだろうかと錯覚してしまう。
柳瀬さんから生まれてきた言葉たち・・・

舳先を踏み耐えて
潮風になぶられている
時を押し展いて
船は進む
前だけを見ていよう

海面を
無数の白兎が
翔びはじめた
− 時化るな −
水夫が呟く

ゆっくり
クレパスの裂目は
ひろがり
今 氷河は
海に還っていく


蔓と蔦


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手持ちぶさたのツルが秋の光を浴びていた。絡まる相手がいないとこんなカタチになるんだ。手揉みして撓をつくっているみたい。

蔓が絡まる、で思い出した。蔦屋重三郎。江戸時代の版元で、歌麿・写楽らの浮世絵を出版していたプロデューサーだ。別名「蔦唐丸(つたのからまる)」と言う狂歌名をもつ。サントリー美術館で彼がプロデュースした作品展を見たことがあった。

つたのからまる・・・ツタ、カズラ、ツルは別の草木に絡みつき、這いながら伸びていく。
名のごとく、歌麿・写楽らに絡まって、大もうけしたのだろうか。


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陣馬山(2)


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咲いたばかりのタマジサイ

週末の陣馬山、高尾山は人が多い。この二つの山を結ぶコースも人気がある。正しく歩くと約7時間。距離にして15キロを超え、アップダウンも多いので、歩き終えた時はかなり足腰にくる。フルに歩く人は少ないと思うが、週末の尾根道はいつも人が絶えない。皆お気に入りのコースだけを歩いているのだろう。


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ノコンギク

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ミズソバ

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ツリフネソウ

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ヤマアジサイは金色になるまで散らない

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花の季節はほとんど終わりだが、ノコンギク、イヌタデ、紫陽花、ツリフネソウ、ミズソバなどが見られた。タマアジサイなんかまだ蕾が残っている。花が終わると木の実が残り、冬鳥たちが集まってくる。


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冬になると陣馬山からの富士は、かなりの確率で見える


陣馬山


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ウスユキソウを思わせる白い花に小さな雨粒が残っていた
ブローチにしたくなるような美しさ、ノコンギクだろうか


「人体」驚きのパワー!「脂肪と筋肉が命を守る」という、ドキッとするような番組があった。なんでも「筋肉から出る物質が、脳に働きかけて記憶力を高める」という。またその逆で「肥満して食べすぎている人は、脳にその命令が行き届かない」とか「脂肪を摂りすぎると免疫細胞が暴走する」など恐ろしい報告もあって、体は、想像以上に連絡網がしっかりしているらしいのだ。

こうしてはいられない。筋肉を鍛えることは、脂肪を燃焼させるだけではなく、体の状態を正常に保つことにつながるのだ。免疫の暴走を防ぐためにも、山登りは続けなければいけない・・・というわけで週末は陣馬山。久しぶりに白馬とご対面した。



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夕暮れ


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皆さん、皇居を包む夕暮れを待っている。考えることは同じ。見晴らしのいい出光美術館は、帝国劇場の九階にあって、皇居を一望できる。恒例の淋派展を観てから、無料のお茶を手にして夕暮れの景色を見ようと思ったのに、どうも席を空けてもらえる様子はない。ここは夕焼けウォッチングの特等席・・・「夕焼け」をテーマにした歌を一つ、と思ったのに残念〜


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こちらは頬も赤く?染まった、余市のニッカウヰスキー北海道工場の夕暮れ


魚市場


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大振りの鰤の安さよ!

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魚市場を見つけると、入らずにはいられない。父がそうだったように。魚の種類や値札は、その地域の暮らしが見え隠れしている。機嫌の良さそうな男を選別して、魚のことを聞く。「これ食べられますか?」なんて馬鹿な質問はしない。どう食べると美味いかと聞けば、案外優しく教えてくれる。


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ふくらぎは、ワンパック280円


たとえば不漁の鮭とよく獲れるという鰤の価格が面白いので、聞けば、北海道では鰤を食べる習慣がないので、鮭よりも低い価格が付けられるという。鰤は出世魚、小さいのは「ふくらぎ」と呼ばれ、ここでは三匹入ったワンパックが280円。一匹はサバより大きい。烏賊は三杯で330円、小さな鯖のワッパクの値段は120円・・・
旅をしていなければ買って帰りたい。気分は、檀一雄だ。


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小さな鯖は、ワンパック120円

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三杯で330円〜!

オンコ


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オンコといえば、温故知新、ではない。オンコの実、つまりイチイの実。小さい頃、通学時にこれを見つけると、摘んで口にしていた。粘り気があって、甘苦さが口に広がる。つまり「ビミョー」な味なので、口にしていたのは、少数かもしれない。
山で木の実を見つけると、習慣でつい口に放り込む。で、半分以上はペッと吐く。口に残った苦みは、人生の苦さほど後を引かない。