おもかげ


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電車の中刷りに、こんな一行があった。

忘れなければ、生きていけなかった。

走馬灯のように、想い出が蘇った。そんな時があった・・・何の一行だろう。見れば浅田次郎の小説「おもかげ」だった。惹かれるようにこの一冊を注文をした。じつは偶然のように、こんな歌を昨日の歌会に出していた。

もう一つの30年があった
手を伸ばせば
届きそうなあの日
未来のように
遠く

この歌を作っていなかったら、中吊りには目を止めていなかったかもしれない。こんな不思議はあるものだ。昨夜帰宅するとこの本が届いていた。ホームに立つ女性がじっとこちらを見ている。そして裏表紙には男性が一人、やはりホームに立ってこちらを見ている。
週末、この一冊はどこへ連れて行ってくれるのだろう。

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