大雪
懐かしい音が外から聞こえてくる。チェーンをつけた車が新宿通りを走っているのだ。「懐かしい音だなあ〜」と言うと、Y君から「懐かしくはないでしょう」「僕らの時代は、スタッドレスですよ」と言われた。そうか、記憶は古いものが優先されるらしい。
冬、北国では聞こえてくるのは、チェーンをつけた車の走行音だった。遠くから聞こえて過ぎ去っていくその鈍い金属音で、降っている雪の量や質を想像できた。そして靴の底から響く音で、雪質や気温も分かった。
もうすっかり東京人になってしまった。わずか20センチほどの雪を「大雪」。その表現にも違和感がなくなった。この雪だるまと同じように、東京のポカポカに、北海道が融けてしまっている。
2018年1月23日 13:16 | カテゴリー: 歩キ眼デス3
コメント
大雪で何時も思ひ出すのは、雪の降った翌日の木の枝や屋根から落ちる雪の音。鵠沼の家は古い木の雨戸だったので、そこいらに穴が開いて居て、朝日が差し込むと布團の中からでも、天氣解った。そして枝に積もった雪が陽に溶けてどさっと落ちる音。
この感じは荷風散人の「雪解け」と言ふ短編小説にうまく描寫されて居る。
雪の朝の静まり返った時間に「音」が與へる映像が、それを受け取る人の人生經驗や年齡によって大きく樣々に違ふ面白さを山碧木さんに敎はった。
A)
布団から空が見えたのでしょうか。
風流ですねえ〜〜
都会の人、それも通勤を余儀なくされている人にとっては、厄介な雪ですが
子供や句を嗜む人には、嬉しい使者かもしれませんね。
路地のあちこちに作られた雪だるまを見ると、いつもより早起きして雪だるまを作って
学校へいったんだろうなあと思いました。
雪国の人には、辛い雪かきがあります。
お金と時間と体力が奪われ、腰をさすりながらため息をついていることでしょう。
でもその分春が待ち遠しいのです。
氷柱から落ちる水の音は、じつに心地いいいものです。
そんな思いを表わしているのがこの歌かもしれません。
麹町歌会で年間大賞に選ばれたキコさんの歌。
空の記憶も
山の記憶も溶け出して
ぽたん ぽたん と
氷柱のリズム
春を刻む
2018年1月24日 08:46 | 雅蘭洞英齋居士
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