陽子さん


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この写真は、三階の展示室に入ってすぐにあった。「あっ、陽子さん」。図録を見ると、カメラマンの名に荒木経惟の名前がある。ずいぶん昔、どこかの図書館で見た写真集「センチメンタルな旅」で、被写体となっていた荒木陽子さんに心を惹かれた。夫との新婚旅行の中で見せるその虚ろげな表情。

この人の哀しみのような翳に、不思議な既視感を覚えた。以前にも会ったような、もしかしたら探していたかのような、そんな女(ひと)。

「原色のようだった私に、君はその虚ろげな表情がいい」と、天才アラーキーに口説かれて、人生が大きく変わったとあった。天才は最初の一歩から、もう天才なのだ、と思った。
陽子さんは、24歳で天才と一緒になり、42歳の若さで他界された。


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反面、太陽のように明るい陽子さんでもあった


陽子さんとの思いがけない再会をつくってくれたのは、じつはこの歌。

葬式に向かう
婆さまたちの
祭りに行くような
明るい笑顔
写真展の一枚

このお婆に会おうと、写真美術館に足を運んだのだった。
お婆たちの抜けたような笑顔にエールを貰った。クヨクヨするな〜
暑い夏は、美術館、写真館がおすすめ。シルバーパスが使えるし(^^)V


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コメント

 御生母の逝去心よりお悔やみ申し上げます。
貴兄は今迄ずっと親孝行をされて居ましたから、心残りは無く後悔することも無いでせう。僕なんかは、もっとあぁして居れば良かった、とか、色々、「孝行をし度い時には親は無し」でした。亡くなって暫くは、死の現實を忘れるものです。僕は浅草へ出掛けて、「さふだ母の好物だった紅梅屋の葡萄餅を買って歸らふ」と思って「あ、さふか、もう居ないんだ」と思ふ事が何度かあったものです。
 日本人は死を悲しいもの、とばかりは考へて居ない樣です。例へば「お通夜」の席では、悲しい顔ではなく、寧ろ談笑して故人を偲んだりして居ます。死は生の仕上げなんでせう。

A)
雅蘭洞さん、ありがとうございます。
死は生の仕上げ、なんて名言でしょう。
いつか、もっと沁みてきそうです。

昨日が一番下の弟の命日でした。
すぐ下の弟から、LINEが入りました。

君に似し 姿を街に見る時の こころ躍りを あはれと思へ

まさしくでした。
弟だけでなく、好きだった人にもこんな思いをしたものです。

いつか、兄妹らと「むっちゃ、母に似てない?」と
ある老女を見つめる日があるかもしれませんね。

2018年7月11日 08:57 | 雅蘭洞英齋居士

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