福岡伸一さん


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対談企画ではあったが、その殆どは福岡さんの話に終始した。山口果林さんは聡明な人。私たちの思いを察知しているかのように、昆虫少年、生物学、動的平衡、そしてフェルメールへといった興味深い話を引き出し、福岡伸一という人物を多角的に切りとって見せてくれた。

方丈記の一説・・・川はいつもそこにあるように見えるが、流れている水は二度と再び同じ水ではないという引用で生命科学を語り、「エントロピー増大の法則」の「秩序があるものは、その秩序が崩壊される方向にしか動かない」という宇宙論へと広げていく。

福岡さんは、学者でありながら表現や物の見方が文学的というか、ロマンチストというか、彼の目を通して世界を見ると、この世は「センス・オブ・ワンダー」にあふれているようだ。

二時間の話は、あっという間に過ぎてこんな結びが用意されていた。
東山魁夷の「年暮る」という絵が映しだされ、山口さんが彼の想いを朗読した。


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目を閉じると今もなおしんしんと降り続いている。
それは、静かに、ひとしく、すべてのものごとの上にやわらかく降りつもる。
つまりここに描かれているのは雪の一片一片ではなく、
時間そのものなのである。


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