下駄


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山から下りて、久しぶりに下駄を履いた。桐の下駄だろうか、とても軽い。鼻緒から微妙な圧が加わって心地がいい。子供の頃、夏は下駄と決まっていた。若乃花、栃錦などの横綱名が書かれていて、子どもたちは、いざ履く時に自分の下駄が直ぐに分かった。

10年以上も下駄を履き続けると、親指と人差し指の隙間が大きくなり、どちらの指も逆三角形のカタチになった。新しい下駄の鼻緒に無理矢理、指を差し込んだときの感触を思いだす。最初は馴染めないのだが、いつのまにか指とフィットし、足の裏が吸い付くようになった。

石ころだらけの道を走り回っていると、稀に下駄が割れた。割れ目に肉が食い込み、悲鳴が上がる。紐などで結んで、足を引きずりながら帰ると、父は下駄の裏から添え木を当てて釘を打ち、修復した。歩くとその下駄が重かった。モノを大切にする精神を足の裏も学んでいた。


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前日の山行を思いながら、朝の山を眺めるのは至福の時間


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