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つい桜に目が向いてしまいがちだが、見上げるとケヤキには、新緑の萌。これから暫くの間、ケヤキがもっとも美しく映える。なぜか?

それは、空に打たれた投網ように黒々とした枝の美しさが、新緑によってより強調されて見えるからだろう。裸木のときは、さほど気に留めなかったケヤキの枝ぶり。それが水彩絵の具の淡い緑が加えられることによって、生命が漉きこまれたかのようにイキイキし始める。

画用紙に黒い幹といくつもの梢と枝を描きあげたら、水彩パレットの淡い緑を滲ませながら加えていくと、春にそよぐケヤキができあがる(はずだ)。


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