微熱少年


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その昔、作詞家の松本隆が書き上げた青春小説にこんなタイトルがあった。「微熱少年」。このアオオサムシを見つけると、小学生のあの日に見てしまった「オオルリオサムシ」に繋がっていく。

小学校三年の夏、山で見かけた瑠璃色の虫。青い輝きを放ちながら、山道から草むらへ逃げ込んでいった。その虫の名をどうしても知りたくて、近くの大学の構内に入り込み、標本の中から北海道にしかいないというオオルリオサムシを見つけた。

暇さえあれば、大学の標本室に通い、穴があくほど眺めていた。もう一度見たい、捕えたいと、短い夏のほとんどを一人で山に入って、探した。翌年の夏も、その次の夏も。そして中学校に入学した最初の夏に、隣りのクラスの男子が甲虫の標本を自由研究として出品した。そこに虹色のオオルリオサムシがいた。

驚きとあれほど探しまわったのに見つけられなかった悔しさのようなものが沸いた。その彼と話をした。生態や学名まで知っている知識に愕然とした。上には上がいるのだと知った。

どうして、あんなにも熱を上げてしまったのか。瑠璃色を見ると、あの夏に繋がっていく。


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微熱少年にさせたオオルリオサムシたち


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