欲望の果て


ベートーヴェン-.jpg

藤原新也の「祈り」のなかに、こんな言葉があった。

この自己拡張と欲望の果てに何が待っているのか、その解答用紙に既に答えが書かれている今、

このフレーズの前で立ち止まった。
12月に上の歌を詠んでいたからだ。

ベートーヴェンを藤原新也に差替えたい衝動にかられた。
いま起きているあらゆる災いこそが、その答えなのだろうか。

ベートーヴェンの第九、第四合唱のフレーズの中には

全てのひとは兄妹になる、
進め、兄妹たちよ、おまえたちの道を 喜びに満ちて、勝利に向う英雄のように

とあり、高らかに合唱されている。こんなフレーズを為政者は見逃すはずがない。

1942年4月、ナチスの幹部たちが見守る前で、ヒトラーの誕生日を祝うためにベルリンフィルが演奏をした。その映像を眺めて、いつの時代も変わらないものだとこの歌を詠んだのだ。

藤原新也の言葉に見つけた不思議な安堵、でもそれは答案に◯をもらったうれしさとは違う、苦いものだった。


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