木の先生


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雑木林を登ってゆくと、小高い丘に出た。360度、見晴らしがいい。樹々はすべての葉を落としているので、樹形や樹皮までが分かる。もし木の種類が分かれば、もっと面白い見方ができるのかもしれない、なんて思いながら寛ぐ。

以前、高尾山の山中で、双眼鏡で木の上を見ている人がいた。不思議に思って「鳥がいますか」と訊ねると「葉っぱを見ているんです」「見るとだいたい木の種類が分かるんです」。

話し込むと、植物学の先生だった。樹皮や樹形だけでは木の種類が分かり難いので、葉っぱを見るのだという。優しい話し方に惹かれて、しばらく一緒に歩いた。

あの先生、葉が落ちてしまったここの木々は分からないだろうなあ。

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