昭和


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下町を歩いていると、印刷機の音が聞こえてくることがある。ガチャンガチャンとリズミカルに聞こえるのは、活版印刷機だろうか。

久しぶりに訪れた柴又の寅さん記念館、たこ社長が経営する「朝日印刷所」のコーナーでその音を聞いた。
寅さん映画のワンシーン、印刷会社で働く若者たちは東北地方の出身者ばかりだ。寅さんは、汗して働く若者に余計なことを言っては、たこ社長と揉める。

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そんなことを思い出しながら、活字の組まれた見本を眺めた。学生時代、活字を組む授業があって「さ」と「ち」をよく間違えた。ようやく組んだ版で、自分の名刺をテフート(たしか)という印刷機で刷ってみると、自分の名前が小さな紙に浮かび上がっている。活字の文字の美しいこと〜、そのときの小さな感動が蘇った。

世の中は便利になり、様々な昭和が消えてゆく。モノだけでなく、習慣、もしかしたら人情まで・・・居間や小物を眺めて、ふと思った。

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