花散る頃


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鳥たちも花の終りが分かるのだろうか。それとも落花の頃に蜜が甘くなるのか、散りゆく花のなかで囀りが休みなく続いている。曇天の空の下、桜の花は風に誘われように舞いはじめた。神田川にかかる欄干からヒヨドリ、ツグミ、スズメ、そしてメジロが花びらを啄み、落していく様を飽きもせずに眺めていたら、不思議な気持ちが広がってきた。染み入るような幸福感と滲み出てくる喪失感。無常の思いを桜が引き出すのか・・・。この五年の間に逝ってしまった弟そして友人たちの笑顔が浮かんで来た。花びらが舞っていく川では、この春生まれたのだろう小ガモの数匹が烈しく水遊びをしている。それをじっと見つめる親ガモ。季節は、きちんと歩を進めていく。


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コメント

桜咲く頃の心のざわつきは、西行をはじめいろんな人が語っていますよね。幸福感と喪失感、桜は不思議な力を持っているのですね。車窓に山桜がほわっほわっと、過ぎていく山里の景色が一番好きです。なんともいえない幸福感が染み渡ってきます。

A)
見慣れていたはずの風景なのに、鳥たちのさえずりが様々に聞こえたからか、欄干から30分も飽きもせずに眺めていたら、現世の風景とは思えなくなってきました。

もしかしたら、もっとも美しい風景ではないのかと・・・
幸福と喪失は身近なところで繋がっているのかもしれないとか。

桜は摩訶不思議な力を持っていますね。
桜を追いかけて旅に出たいものです〜

2013年4月 1日 20:56 | ~ふ~

 川面一面に敷き詰めた櫻は見事ですね。
小鳥達に最後の蜜を吸はれて散って行く櫻を見て、諸行無常を感じられたのは、貴兄が日本人である證しでせう。松岡正剛氏がNHKで、日本の事を「おもかげの國 うつろいの國」と言って居られましたが、四季が有り、正しくその通りに移ろって行くことに、日本人は無常感を強く感じるのでせうね。

 星さんが故人の顔を想ひ浮かべた、と有りますが、御存知と思ひますが、良寛さんも辭世に詠んで居られますね「散るさくら 残るさくらも 散るさくら」

A)
そうなんですね。桜の花の中から聞こえる鳥たちの声に耳をすましていたら
人の幸せとは、こんな瞬間なのかもしれないと思えたのです。
いま何かを動かしているのは、この鳥たちだけだ・・・。
すると、生きている人間もすでに逝った人たちも、同じではないかと・・・
つまり、良寛さんのその句と同じような心境になったということかもしれませんね。
(^_-) 

2013年4月 2日 10:55 | 雅蘭洞英齋居士

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