焼岳(2)
抑えようにも抑え切れない。眠っていた熱情と歓喜がパチンと弾けた。若き日に起きていた駆け出したくなるようなあの高揚感。登山口から続いた樹林帯を抜けた瞬間だった。突然、姿を現した焼岳の天を突くピーク、白い噴煙、雲ひとつない眩しい青い空。そして高度感に圧倒された。
登山道の入口に立ったとき、吐く息が白かった。歩きはじめの登山道は、樹々に覆われてうす暗く、雪の積もった木道はよく滑った。今日中に帰って来れるのか・・・まあ、いけるところまで頑張ってみるか。そう、言い聞かせて、ピッチを上げた。約二時間休憩なし。途中水分だけは摂った。
日も上がり、樹林帯がふと切れた瞬間、目を疑った。広いカールに陽がサンサンと降り、見上げる焼岳は紺碧の空に映えている。大きな深呼吸をした。このルートを選び、決心して良かった・・・聳え立つ山をしっかりと眺めた。
あの雪の斜面のちょうど反対側に、夏山を思わせるこんな明るい斜面が待ち構えているとは。草紅葉もあちこちに見える。
よし、グイグイ高度を上げてやろう。吐く息に合わせ、意味のない声を発して登っていくと、腿の筋肉もそれに合わせてリズムを刻む、汗まで吹出してくる・・・振り返ると周辺の山々も立ち上がってきた。
若き日に何度も感じた山への熱い想いが、目覚めた。
噴煙は硫黄臭い。下山するまで爆発するなよ〜〜
「さあ、もう少しですよ、頑張って」頂上から降りてくる人たちが、声をかけてくれる。烈しい音とともに吹出すイオウ臭い煙を吸い込み、岩場をよじ上り、頂上に立った。やったぜ〜、バンザイだ。
昨日、この焼岳を眺めていた上高地が眼下に見える。穂高、槍、そして7月に登った笠ガ岳も青空にクッキリ。
今年の単独行と百名山は、これで終りになるだろう。お天気にも恵まれ、一年を締めくくる良い山行を楽しむことができた。
梯子を外された北東側の斜面から上高地を眺める
2015年11月 4日 14:41 | カテゴリー: 歩キ眼デス2
コメント
ひゃー、お疲れ様でした~~。
焼岳、
そっか~~、下から見てるときは登れるなんて思わなかったけど
登るとこんななんですね。
すごい!
A)
野獣でなかった (^^; 山男に戻りました〜
一気に1000メートル上がるのは、久々で、気圧の壁を感じました。
前回の笠ガ岳もそうでしたが、ここも良い山・・・
残り21山。少しずつセンチになっていくのかも。
見上げると
気高き山ばかり
メートルを上げると
なぜだか
センチにもなる
来年の80座をどこにするか?
これも年末年始の楽しみ〜♬
2015年11月 4日 19:49 | 空
79座制覇おめでとう!!!
大きな岩がごろごろと・・・
やっぱり 石老山はスキップ?!?(笑)
お陰さまで 何だか自信?に繋がりました。
A)
焼岳のあと、筋肉痛が少しありました。
そのせいかどうか・・・・
石老山は太ももが張っていたので、他人の足で登っているような感覚。
とても登りは楽でした。
一度登ってしまえば、自信になりますね。
来年は700メートルくらいの山を選びましょうね。
\^o^/^o^\
2015年11月 5日 15:38 | おかいこさん
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